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 *誰がために彼の者は行く ◆RsQVcxRr96 
 
 
 
 シャーリー・フェネットは途方に暮れていた。 
 いきなり訳の分からないまま殺し合いに巻き込まれて。 
 いきなり訳の分からないまま襲われて。 
 いきなり訳の分からないまま殺されかけて。 
 いきなり訳の分からないまま17歳という短い生涯を終えるところだった。 
 
 しかしそうはならなかった。 
 
 無我夢中火事場の馬鹿力と言うべきか。 
 シャーリーの渾身の蹴りは見事襲撃者エネルを撃退したのだ。 
 そこにはいくつかの偶然があったのだが、シャーリーはそんな事全く知らなかった。 
 無事に生きている、それだけで十分だった……外見はそうではなかったが。 
 死に瀕した際に流れた大量の汗が身体と制服を存分に湿らせていた。それに加えて乙女の尊厳が…… 
 何はともあれ、シャーリーは落ち着いて着替えができそうな場所に向かう事にした。 
 地図を開いて目的に見合いそうな近くの施設を探していると、それはすぐ近くにある事が分かった。 
 
 「温泉か……」 
 
 温泉。 
 ブリタニアにはあまり馴染みのないものだが、シャーリーが住んでいるエリア11つまり日本には古来より数多くの温泉が点在していた。 
 それは人々にとって憩いの場所となり、心身共にくつろげる場所である。 
 シャーリーもエリア11に住んでいる以上、温泉の名を耳にする事もあった。 
 確かミレイ会長が生徒会で温泉旅行に行きたいとか言っていたような……いなかったような…… 
 ともかく目的地は決まった。 
 シャーリーは一時でも早くこの不快感から脱却したいと思い、急ぎ足で温泉へと向かって行った。 
 
 
    ◆   ◆   ◆ 
 
 
 闇が支配する夜。 
 生命が眠りに就く時間帯、ましてやこの場所は森の奥深い場所だ。 
 そこに「天の道を往き、総てを司る男」こと天道総司はいた。 
 彼はつい先程の凄惨な出来事を思い出していた。 
 集められた人々、異を唱える少女、そして見せしめの如く爆破される首輪、そして一人の少女の死。 
 
 「俺は確か……」 
 
 そして続いてあの広間に来るまでの事を思い出してみる。 
 最も新しいと思われる記憶は間宮麗奈率いるワームと戦っていたものだ。 
 麗奈率いるワームに対して仮面ライダーカブトに変身した天道達は優勢に戦況を進めていた。 
 そのような中で悲劇は起こった。 
 共に闘っていた時空管理局の魔導師であり、知り合いでもあるフェイト・T・ハラオウンがキュマラスワームに瀕死の重傷を負わされたのだ。 
 あの場は戦場であったから満足な治療など望めるはずはなく、助かる見込みはほぼなかった。 
 そうフェイト・T・ハラオウンはあの場で短い生涯を閉じるはずだった。 
 
 しかしそうはならなかった。 
 
 時空をも超越するアイテム――ハイパーゼクターを使用したカブトによって時間は巻き戻され、フェイトの死は回避されたのだ。 
 もちろん時間を越えて過去を改竄してフェイトの命を救った事は当事者のカブトだけが知る事だ。 
 カブト自身も時空を超える事で時空管理局が自分により一層目を向ける事はなんとなく気づいていた。 
 もちろんその場で使えば事情聴取という名目で連行され、全てを話すように仕向けられる事も理解していた。 
 それでも何故使ったのか、それは天道自身にしか分からない事だった。 
 ただ分かるのは一人の言葉が天道に影響を与えたであろうという事だけだ。 
 フェイトは言った――『……過ぎた時間は絶対に戻ってこない……だから今を必死で頑張ってるんだ!』と。 
 その言葉に天道が何を感じたか、それを知る術はない。 
 
 「……プレシアとか呼ばれていたな。あの女」 
 
 この状況下で天道が考えるべき事は山のように存在した。 
 さしあたってまずは名簿の確認を行う事にした。 
 誰が参加させられているのか、知っている者がいれば導き出せる方策も多くなるからだ。 
 
 結果、天道が知っている名前はそれなりにあった。 
 高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて――この3人だけはなぜか2つずつ名前が記載されていた。 
 クロノ・ハラオウン、矢車想、浅倉威、以上6名(複数記載を含めれば9名)であった。 
 気に入らないが時空管理局に所属している高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて、クロノ・ハラオウンは信用できるだろう。 
 残りの矢車は現状では保留、浅倉は危険人物というところが妥当だろう。 
 加賀美や蓮華、剣の名前は見当たらなかった。 
 それに幸い妹の天道樹花の名前はなかった、そしてもう一人の妹である日―― 
 
 「ガッ――!!」 
 
 そこで天道の思考は中断された。 
 原因は右脇腹から流れ出る赤い血が雄弁に語っていた。 
 考え込んでいた隙を突かれて何者かに襲撃されたのだ。 
 しかし普段の天道ならこの程度の襲撃を感知して回避するなどできたはずだ。 
 それが今回は見事に脇腹に目に見える程の傷を負っていた。 
 天道の回避を妨げたもの、それは制限という名と枷であった。 
 この会場にいる者の内、数人の強者には身体的な制限が加えられている。 
 それは参加者に配られている支給品にも同じような事が言える。 
 完璧超人である天道に課せられた身体的な制限は微々たるものだったが、それが仇となった。 
 いつもと同じような動作で襲撃を察知して回避しようとした身体は思い通りには動いてくれなかった。 
 
 「ハァァァ!!!」 
 「――ッ!!」 
 
 しかも襲撃者が止めを刺しに来た事で状況はさらに悪化した。 
 天道はデイパックに手を突っ込み手に触れたもの――禍々しい刀――を引き抜いて、敵が振り下ろしてくる武器と交差させた。 
 襲撃者は黒い鎧を身に纏った戦士だった。 
 赤いハートを模していてどこか昆虫のような印象を与える仮面、それが目に付くと天道の脳裏にあるものが浮かんだ。 
 
 (マスクドライダー? だが俺達のものとは違うところも……むしろブレイド――) 
 
 深く考える暇もなく天道は目の前の敵の対応に忙殺されていった。 
 敵の弓のような武器の両端に備え付けられた刃が次々と繰り出されていく。 
 斬撃! 斬撃! 斬撃! 斬撃! 斬撃! 斬撃! 斬撃! 斬撃! 斬撃! 斬撃! 
 縦横無尽に振るわれる刃によって天道の身体には無数の傷が刻まれていく。 
 最初こそ互角の戦いをしていたが、数合と渡り合わないうちに形勢は天道に不利なものとなった。 
 初撃による右脇腹の傷、それが天道にとって大きな重石となっていた。 
 刀を振るうにしても、刃を避けるにしても、脇腹の傷が天道の動きを妨げる。 
 そして天道の傷はどんどん深くなり、完全なる悪循環に陥っていった。 
 
 何か打開策はないかと模索していると、天道の視界が急に開けた。 
 森を抜けたのだ、そして目の前には崖があった。 
 ここは川の上流らしく流れも多少激しく、崖と水面との距離もそれなりにあった。 
 それを確認した天道は襲いかかる敵に向かって刀を下から振り上げた。 
 敵は天道の動きを見ると、まともに受けずに一瞬立ち止まった。 
 敵は天道が刀を振り上げて無防備になったところへ止めの一撃を送ろうとしたが、それは天道の誘導だった。 
 刀の振り上げを途中で止めて天道は全速力で川に向かって走った。 
 ここに来てようやく敵も天道が川に逃れる事を察知した。 
 
 「逃がすか」 
 
 もちろん敵に獲物を逃がす気など全くなかった。 
 目的を果たすためここで確実に仕留めるつもりだ。 
 
 ――FLOAT―― 
 ――DRILL―― 
 ――TORNADO―― 
 ――SPINNIG DANCE―― 
 
 不意に響く4つの電子音声。 
 それと共に自然にできたとは思えない程の威力を秘めた竜巻が巻き起こる。 
 それに乗り黒き鎧の戦士は天道に向けて死を送るため足を伸ばす。 
 回転しながら突き進むその姿は万物をも穿つ螺旋のようであった。 
 その軸はしっかりと天道を捉え、走る天道にはかわす術など存在するはずもなかった。 
 このままいけば天道に死が訪れる事は確実だった。 
 
 しかしそうはならなかった。 
 
 「な!? ……川が、光っ――――?」 
 
 それは偶然だった。 
 同刻、下流では自らを神と名乗る者がその神の偉大さを見せつけるべく力を解放した。 
 その力――雷を体現するかの如き力は一帯の川に凄まじい発光現象を引き起こしたのだった。 
 夜の暗さの中で突然当てられた輝かしい光は敵の目を眩ますには十分すぎるものだった。 
 完璧だったはずの狙いは突然の事態に動揺した事により僅かに外れる事になる。 
 
 ――爆音。崩れる崖。立ち起こる土埃。果たして立っているのは…… 
 
 
    ◆   ◆   ◆ 
 
 
 戦闘が終わり、その場に残ったのは黒き鎧を身の纏った戦士――仮面ライダーカリスだけだった。 
 今の自分が出せる最強の技スピニングダンス。 
 それで確実に参加者の命を落とせたはずだが、神の悪戯かそうはならなかった。 
 生死を確認しようにも獲物は川に落ち、下流へと流されていった。 
 あの負傷では助かる可能性は低いと考え、カリスはここでの戦闘が終わったと判断した。 
 カリスは右腰に付けられたカードケースから1枚のカード――ハートの2――をベルトに通した。 
 するとそこにはもうカリスの姿はなく、一人の青年――相川始、ヒューマンアンデッドの姿を模したジョーカーの姿があった。 
 
 相川始、彼は人間ではない。 
 ジョーカーと呼ばれるアンデッドである。 
 アンデッドはお互い己の種の繁栄を賭けて戦い合う存在、ジョーカーはその戦いの中でどの種の始祖でもないイレギュラーとして参加していた。 
 その戦いはバトルファイトと呼ばれ人間の知らないところで進行していたが、ある時不運な出来事が起こった。 
 雪山で写真撮影をしていた栗原晋がジョーカーとギラファアンデッドとの戦闘に巻き込まれて致命傷を負わせてしまったのだ。 
 晋はそのまま帰らぬ人となり、始の手には死の間際に託された栗原親子の写真が残された。 
 ジョーカーとして殺戮の日々を生きてきた始は最期まで家族を想う晋の心を理解できなかった。 
 それが気に掛かった事もあり、罪滅ぼしの意味も込めて始は自分の罪は言わずに栗原親子の経営する喫茶店ハカランダに居候する事にした。 
 そしていつのまにか栗原遥香とその娘天音を慈しむようになっていた。 
 栗原遥香と天音を守る――いつしかそれが始の生きる目的となっていた。 
 そんな日々がこれからも続くと思っていた。 
 
 しかしそうはならなかった。 
 
 巻き込まれたのはバトルファイトに似た殺し合い。 
 違う点はアンデッド以外も参加させられている点だ。 
 深い森の中に転送された始は最初に名簿の確認をした。 
 取りだした名簿を確認する事数回、始は安堵した。 
 栗原遥香と栗原天音、この二つの名がなかったからだ。 
 とりあえずこれで一番の懸念は解消された。 
 もしも一般人である二人がこのような場所に放り込まれたとしたら、辿る結末など火を見るより明らかであった。 
 知っている名前も僅かに金居――ギラファアンデッドのみであった。 
 ところどころに天音の友達のような名前が見られたが、彼女らはなんの力もない小学生のはずだ。 
 よもやこのような場所に連れて来られる事はないと言えよう。 
 それに例え天音の友達だとしても始の目的の前では何の意味もない。 
 
 「そうだ! 俺は最後の一人になってみせる! そして帰るんだ、天音ちゃんの元へ!」 
 
 自分以外の59人の命を奪う事で最後の一人になる。 
 あの場で最後の一人が無事に帰らせてもらえるなどプレシアと呼ばれた女は言っていなかったが、それ以外に帰る術は思いつかなかった。 
 その最大の理由が首輪だ。 
 首輪とは当然自分達をこの場に縛りつける枷だ。 
 そんな重要なものが生半可な知識で解除されるとは思えない。 
 恐らく工学系、もしかしたら未知の技術にも通じている者でないと解析は無理なのかもしれない。 
 果たしてそんな都合のいい人物がここにいるのだろうか――いるはずがない。 
 プレシアにとって首輪を外される事は自身の目的が達成されないという事。 
 ここまで大がかりな用意をして開かれたデスゲームにそんな自らの計画を破綻させるような者を招くはずがない。 
 もし仮にいたとしても首輪を安全に外せる保障はどこにもない。 
 最悪外した瞬間を見計らって罠が仕掛けられている可能性もある。 
 そんな不確定な要素が多い方法より、参加者を皆殺しにした方がまだ望みはある。 
 
 そう考えてとりあえず支給品とやらの確認をした。 
 ジョーカーやカリスへの変身能力があるとはいえ、武器は多いに越した事はない。 
 デイパックの中を調べ始めてすぐに始は驚愕した。 
 カリスが使用する事が出来るラウズカード――ハートの1~10のカードが揃って支給されていたのだ。 
 何枚かはもともと自分のものだが、中にはまだ自分が持っていないカードまであった。 
 これだけあればある程度の者には負けないだろう。 
 始はこの点に関してはプレシアに感謝したくなった。 
 
 (もしかして俺が殺し合いに乗る事を見越して……そんな事どうでもいか) 
 
 ふとハートのJ、Q、Kもどこかにあるのかとも思い、十分あり得るという結論に至る。 
 ともあれ10枚のカードは自身のカードケースに収めておく。 
 生憎もうひとつの支給品はいますぐ使うようなものでなかったので、デイパックに戻しておいた。 
 
 「天音ちゃん……遥香さん……」 
 
 始は愛する人の名を口に出すと、一刻も早く目的を果たすために動き出した。 
 最初の獲物はすぐに見つかった。 
 暗がりの中で名簿を確認している青年。 
 始が何の迷いもなくハートのAを取り出すと、腰にベルトが現れる。 
 
 「変身」 
 ――CHANGE―― 
 
 変身を終えると、そこには黒き鎧を身に纏った戦士仮面ライダーカリスの姿があった。 
 カリスはすぐさま専用の弓型武器である醒弓カリスアローを出現させて構える。 
 高熱エネルギー矢の光弾を放って致命傷を与え、近づいてカリスアローの両端の刃で止めを刺す。 
 この手順で一人目を葬るつもりだった。 
 誤算があったとすれば最初の光弾で致命傷に至らなかった事だ。 
 だがあのまま斬り合いを続ければ間違いなくこちらの勝ちは確定だった。 
 川に逃げ込もうとした時もスピニングダンスで葬れるはずだった。 
 戦闘は有耶無耶のうちに終わった。 
 勝負を短時間で決する事が出来なかったのが痛かった。 
 だが今の戦闘で確実に分かった事があった。 
 ――身体がいつもより動かしづらい。 
 少ししたら慣れるだろうが、いつもより力がでない事は確かだ。 
 加えて技の威力も若干いつもより低くなっているようだ。 
 これはいったいどういう事だろう。 
 
 (まあ、今分かっただけでも良かった。急ぐか) 
 
 大切なものを守りたいと願う蟷螂はただ走りゆく。次なる獲物を求めて―― 
 
 
 【1日目 深夜】 
 【現在地 A-7 川(崖)付近】 
 【相川始@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 
 【状況】健康、疲労(小) 
 【装備】カリスラウザー+ラウズカード(ハートのA~10)@魔法少女リリカルなのは マスカレード 
 【道具】支給品一式、ランダム支給品×1 
 【思考】 
  基本:栗原親子の元へ戻るために優勝を目指す。 
  1.次の参加者を見つけて殺す。 
  2.どんな人だろうと殺す。 
  3.ハートのJ、Q、Kがほしい。 
 【備考】 
  ・参戦時期はACT.5以前。なのは達の事は名前のみ天音より聞いた事がある(かもしれない)程度です。 
  ・自身にかけられた制限にある程度気づきました。 
  ・首輪を外す事は不可能だと考えています。 
 
 
    ◆   ◆   ◆ 
 
 
 「……かはっ……はぁ、ぐぁ……」 
 
 暗がりの中をいかにも苦しげな様子で足を動かす青年がいた――天道総司だ。 
 直前で狙いが外れたとはいえ、カリスが誇るスピニングダンスの余波は間違いなく天道に影響を及ぼしていた。 
 最初に受けた右脇腹の傷、戦闘で刻まれた傷、余波による全身への負傷、そして川に落ちた時に受けた衝撃。 
 それらが天道の命を確実に蝕んでいた。 
 はっきり言ってこの状態で歩けるだけでも大したものである。 
 伊達にカブトの資格者ではない。 
 だがそれも最早限界に近くなっている。 
 視界は霧がかかったようにぼやけていき、足取りもだんだんと重くなっていく。 
 しかし天道はこんなところで倒れる訳にはいかなかった。 
 彼には探し求めている人がいた。 
 
 「……ひより」 
 
 日下部ひより。天道にとって唯一人の本当の肉親、妹である。 
 彼女を探し出すまでは倒れる訳にはいかない。 
 その気力で歩き続けてきたが、もう既に限界だった。 
 岸に上がった所から推測して休めそうな施設へ向かっていたが、そこまで意識があるかどうか分からない。 
 しかしこんな所で倒れたら殺し合いに乗った者にとっていい餌でしかない。 
 それにその前に出血多量と疲労で死ぬ可能性が高いだろう。 
 1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩、1歩―― 
 
 (……ひ、より……待って、いて、く、れ――) 
 
 視界が暗転する。 
 天道の身体は限界に達して意識を手放した。 
 最後に少女の声を聞いたのは気のせいだろうか。 
 
 
    ◆   ◆   ◆ 
 
 
 「はあ、さっぱりした。いい湯だったなあ」 
 
 無事に温泉に着いたシャーリーは目的であった湯浴みを終えて一休みしていた。 
 こんな状況ゆえにあまり時間はかけられなかったが、温泉はいいものだった。 
 恐怖と寒さで色を失っていた身体も今ではほんのりと赤みがさしている。 
 本当なら今すぐにでもルルーシュや生徒会のメンバーを探すべきなのだが、なにしろどこにいるのか見当がつかない。 
 よって一休みと称して地図とにらめっこをしているのだが、それで誰がどこにいるか分かる訳なかった。 
 ちなみに今シャーリーが着ている服はここに備え付けられていた浴衣だった。 
 下着も完備されていて至れり尽くせりな点が嬉しかった。 
 浴衣の着方などシャーリーはよくは知らなかったが、すぐ近くに着る手順が書かれた紙が張っていたので苦労はさほどしなかった。 
 
 「それにしても海鳴温泉って……ここってエリア11? 確かウミナリゲットーっていう所があったような……」 
 
 そんな事も考えたりするが、一向に名案は思いつかなかった。 
 だからといって考えもなしに歩き回るのは無謀である事は確かだが。 
 シャーリーが自身の行き先について必死に考えを巡らせていると、不意に玄関の方から物音が聞こえてきた。 
 
 (え!? ちょ、今の音って、もしかして私ピンチ? しまった! 出口の場所確認しておけばよかった……) 
 
 今更悔やんでも詮無き事だ。 
 訪れた事態に後押しされる形となり、シャーリーは次なる1歩を踏み出す。 
 まずは影から様子を確認する事にした。 
 廊下の角からゆっくりと顔だけを出していく。 
 まず目に入った光景は開け放たれた玄関、扉が開いたままだ。 
 そしてその視線をそのまま下にスライドさせていくと、全身ずぶ濡れの青年が倒れていた。 
 
 「!? し、しっかりしてください!!」 
 
 その姿を見るやシャーリーはすぐさま青年の傍に駆け寄った。 
 罠かもしれないという考えは微塵も浮かばなかった。 
 目の前に傷だらけの人が倒れている、それだけでシャーリーが彼を助けようとする理由は十分だった。 
 近づいて見てみると、脇腹の傷が特に酷かった。 
 
 (ルル、みんな、ごめん。私この人を見捨てられないや。だからみんなと合流するのは後になりそう) 
 
 心中で詫びを入れつつシャーリーは倒れている青年――天道総司を個室まで運び入れ始めた。 
 二人の行く先が揺らいでいるのは温泉の湯気のせいだけではないだろう。 
 
 
 
 【1日目 深夜】 
 【現在地 B-7 温泉(海鳴温泉)】 
 【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】 
 【状態】健康、気分一新 
 【装備】浴衣 
 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3 
 【思考】 
  基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。 
  1.目の前の人(天道)を介抱する。 
  2.ルルやスバルやカレンを探す。 
 
 
 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 
 【状態】重傷(全身、特に右脇腹)、ずぶぬれ、疲労困憊、気絶中 
 【装備】爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸 
 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~2 
 【思考】 
  基本:元の世界への帰還。 
  1.気絶中。 
  2.……ひより。 
 【備考】 
  ・参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。 
  ・なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。 
  ・身体がいつものように動かない事を知りました。 
 
 
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