「第一回放送」(2010/01/16 (土) 02:19:53) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*第一回放送 ◆RsQVcxRr96
一人の年頃の女性がいた。
彼女は今一人寂しくとある部屋の中にいる。
そんな彼女の目に映るもの。
それは死体。
首から上が無残にも吹き飛ばされた死体。
できる事なら逃げ出したかった。
しかしそれは無理だった。
それもそのはずだ。
彼女は椅子に座らされた体勢のまま光の縛鎖で縛りつけられて身動き一つ取れないでいたのだから。
彼女はただ誰とも知らない骸と共に静かな部屋に居続けていた。
だが、それも終わりを告げた。
『ピ、ピ、ピ、ピ、ピ……』
小刻みに電子音が彼女の首から放たれる。
首輪だ。
彼女の首には金属製の首輪が一つ嵌められていた。
「うそ、いや――ッ」
彼女は恐怖した。
なぜなら目の前の人物を死体にしたのは紛れもなくこの首輪。
突然鳴り響く電子音。
思い出されるのは少し前の光景。
目の前の人物は突然の事態に状況把握が追い付いていなかった。
そして。
首輪が爆ぜ、目の前の人物は物言わぬ骸となってしまった。
「いや、そんなのって……」
いつもなら強気な彼女も死の直前とあっては恐怖に心が支配されていた。
なんとかしないと死ぬ。
そう分かっていても身動き一つできない彼女は神に祈るぐらいしかできなかった。
もしかしたら誰か助けに来てくれるのではと、淡い期待も抱いた。
魔法を使える彼女の友人が今まさに助けに来てくれるのではないか。
そんな幻想に縋るしかなかった。
『ピピピピピ――』
だが、そんな彼女を嘲笑うかのように首輪のタイムリミットは刻一刻と近づいてくる。
彼女は周りを見渡したが、特に何も変化はない。
「……なのは」
『――ピッ』
首輪の電子音が途切れた。
同時に彼女の意識も途絶えた。
▼ ▼ ▼
日が昇り、大地に陽光が差す頃合い。
常なら大多数の人にとって起床の時間。
これから新しい1日が始まる。
そんな時間になったが、この特別な場所にいる人にはそれは当てはまらない。
午前6時。
それはこの場所での最初の放送が入る時間。
時計の長針が12を指し、短針が6を指す時。
デスゲームの主催者、プレシア・テスタロッサによる最初の放送が始まった。
▼ ▼ ▼
さて、皆が待ち望んだ最初の放送の時間が来たわ。
まずはここまで生き残った事を誇りなさい。
あなた達は為すべき目的のために他者の死を踏み台に生き残ったのよ。
これは恥ずべき行為ではないわ。
目的のためなら如何なる手段をも辞さない姿勢こそが重要なのよ。
それでは最初に禁止エリアの発表を行うわ。
最初に死者を教えたら禁止エリアを聞き逃して間違って死ぬバカがいるかもしれないものね。
ありがたく思いなさい。
それじゃあ禁止エリアの発表よ、よく聞きなさい。
7時からB-1
9時からD-3
11時からH-4
以上の3エリアよ。
では次にお待ちかねの死者の発表よ。
アグモン
エリオ・モンディアル
カレン・シュタットフェルト
神崎優衣
ギルモン
クロノ・ハラオウン
シグナム
殺生丸
高町なのは
ティアナ・ランスター
ディエチ
ミリオンズ・ナイブズ
矢車想
以上13人よ。
6時間で13人。
素晴らしいわ。
まさかあなた達が6時間でここまでやってくれるなんて思ってもみなかったわ。
自分のため、誰かのため、他者を殺した感想はどのようなものかしらね。
もしかしたらあなた達の隣にいる人があなたの大切な人を殺した殺人者かもしれないわよ。
その辺りよく考えてみる事ね。
そうだ、あなた達に朗報があるわ。
あなた達の努力に敬意を称して私から褒美を与えてあげる。
最後まで生き残った一人の望みを叶えてあげるわ。
帰還、富、名声、力、なんでもいいわ――たとえ死者を蘇生させる事でも。
大切な人を失った者よ、これはチャンスよ。
あなたが最後まで生き残れば、その大切な人を生き返らせる事ができるのよ。
あなたの大切な人にもう一度会う事ができるのよ。
だから何をするべきか、よく考えなさい。
▼ ▼ ▼
「……ああ、そうね。証拠を見せましょうか」
プレシアは一呼吸置いてからマイクを持っていない左手で空間モニターを軽く弄った。
すると目の前にある画面の一部に変化が見られた。
これで参加者の目の前には等しく空間モニターが現れたはずだ。
念のため確認してみても不備はなさそうだ。
「今から私の言葉が本当だという事を証明するわ」
そう言ってプレシアは左手で空間モニターへ操作を施す。
しばらくして準備が整うと、プレシアの正面にある画面はある部屋の様子を映していた。
この映像は参加者の目の前に現れている空間モニターにも等しく映っている。
それはいくつもの椅子が並べられている部屋の映像だった。
だがその中には一つだけ誰かが座っているものがあった。
プレシアはそれが誰か知っている。
そしてこの映像を見ている全員も知っている。
そう、この映像は皆が最初に集められた部屋の映像。
そして唯一人椅子に座っているのは物言わぬ骸となったアリサ・バニングス。
「あなた達も覚えているでしょ。愚かにも最初に私への反抗を示した人物、アリサ・バニングス」
その名前は参加者ならどこかで聞き覚えのある名前だろう。
当然だ。
見せしめのために首輪のデモンストレーションとして死んでいった彼女の名は多くの参加者の胸に刻まれている事であろう。
「今から彼女を蘇生してみせるわ。よく見ていなさい」
そう言い終えた瞬間、映像の中のアリサに変化が起きた。
唐突にアリサを中心に魔法陣が形成されるや、凄まじい光が見る人の目を一瞬眩ませた。
そして再び見たモニターに映っているのは――
『え?』
そこにいたのは素っ頓狂な声を上げる女性。
何が起きたのか分からない表情をしたアリサ・バニングスの姿だった。
爆弾で失った頭も元通りになって、服に付いた血も綺麗に消えていた。
まさにあの部屋で皆が目にしたアリサ・バニングスその人だった。
『な、なんで!? 私は死んだはずじゃ……』
モニターの向こうのアリサはなぜ自分が生きているのかさっぱり理解できていない様子だった。
頻りに周りを見渡し、自分の身体を何度も見て状況を探ろうとしていた。
ただし最初のようにバインドで身を縛られているために身動きはできなかった。
「さて、これで分かってもらえたかしら」
これでプレシアの言う事が嘘でないと皆に伝わっただろう。
もっとも疑り深い者はどこまでも疑うだろうが、今はこれでいい。
自分の力を示す事ができて、これで一応目的は達成された。
「それと何人か殺し合いを止めようとしているみたいだけど、頑張っても無駄よ。なぜならそんな事をし続けても、いずれは――」
――ボンッ!
「――こうなるからよ」
画面の向こうのアリサはもう生きてはいなかった。
最初の見せしめの時同様、首輪の爆発が彼女を死に至らしめたのだ。
「別にすぐにとは言わないわ。でも殺し合いが進まないと困るから、しかるべき時には……」
この光景を見た参加者はどうなるのだろう。
そんな事を考えながらプレシアは左手で空間モニターを弄ると参加者の前に出ていた空間モニターを消した。
少々細工をしているその空間モニターからこちらを逆探知する事は不可能だ。
その辺りに抜かりはない。
▼ ▼ ▼
それじゃこの辺りで放送を終わるわ。
次は六時間後の12時よ。
それまでに今度は何人の命が奪われるのかしらね。
今から楽しみだわ。
それじゃあ、あなた達の活躍を期待しているわ。
ふはははははははははは、はははははははははは、はははははははははは――
▼ ▼ ▼
実を言うと今の死者蘇生劇には種があった。
確かにモニターの中のアリサ・バニングスはどちらも19歳の大学生だ。
ただし別の世界のアリサ・バニングスだ。
最初に殺されたアリサは19歳のなのは達と一緒の世界のアリサ(『アリサ』)だ。
一方、今殺されたアリサはルルーシュ達と一緒の世界のアリサ(【アリサ】)なのだ。
種はこうだ。
まずはわざわざ首輪で【アリサ】に自分が死んだと思わせるために一芝居を打つ。
首輪が爆破したと思い込んだところで【アリサ】を気絶させるのだ。
そして頃合いを見計らって転送魔法を使って『アリサ』が死んだ場所に【アリサ】を転送させる。
その際に同時に『アリサ』は別の所へ転送して、【アリサ】は転送終了と同時に目が覚めるようにしておく。
あとは適当に死者が蘇生したかのように見せかけてからボロが出る前に【アリサ】を殺すだけ。
平行世界の存在を知っているからこそできた芸当だった。
▼ ▼ ▼
「ふぅ、意外と疲れるわね。で、そっちはどうなの?」
初めての放送という一仕事を終えて一息つくプレシアは後ろに控えている人物に声をかけた。
その人物は生真面目で気丈そうな雰囲気を漂わせる若い女性だった。
身に纏っているのは使用人を思わせるような独特なデザインの長袍らしき白を基調とした服装。
薄茶色の髪は肩の上の辺りで揃えられて頭には白い帽子がちょこんと乗っている。
黒のウェーブの掛かった長髪に漆黒のドレスの出で立ちのプレシアとは黒と白のように対照的だった。
「はい、今のところ特にあの者達に問題はありません」
彼女はプレシアの使い魔。
主人の目的のために造り出された命。
名前をリニスという。
「そう、それなら良かったわ。引き続き監視の統括をお願いね」
プレシアはリニスに監視の統括役という役目を与えていた。
如何にプレシアが優れた魔導師だとは言え、一人で参加者全員を見張るのは無理があった。
そこで監視にはある者達に当たらせて、リニスにはその統括役として総合的な監視を任じているのだ。
「プレシア。心配なら御自分で確認されては――」
「何度も言わせないで。私は忙しいの。大まかな監視記録は私の元へも来るようにはしているけど細かい所までは目が届かないわ。
だからあの者達に監視をさせて、その見張り役として貴女を統括役にしているのよ。
今は有能で好意的だからいいけど……だからと言ってあの者達を完全に信頼する事は出来ないわ」
「それは、分かっています」
「なら私の言う通りにして。ほら、用が済んだのなら早く監視室に戻りなさい。もちろん報告は怠らないでね」
「……分かりました」
その返事を置いてリニスはプレシアの部屋から退室していった。
リニスはどことなく不満げな様相をしていたが、プレシアは特に気を留めなかった。
そんな事よりもプレシアの関心はデスゲームに向いていた。
今の放送が殺し合いにどう影響するのか。
それがプレシアのもっとも気にする事だった。
憎き人物の死を喜ぶのか。
誰かの死を知って怒るのか。
大切な人の死を知って哀しむのか。
この状況を楽しむのか。
それがプレシアの目的にどんな影響を齎すのか。
――彼女の願いは、闇の中に。
&color(red){【アリサ・バニングス@コードギアス 反目のスバル 死亡確認】}
&color(red){【残り47人】}
|Back:[[孤独の王]]|時系列順で読む|Next:[[アナタハマタマモレナイカモネ]]|
|Back:[[孤独の王]]|投下順で読む|Next:[[アナタハマタマモレナイカモネ]]|
|Back:[[パンドラの箱、もしくは始まりの唄]]|プレシア・テスタロッサ|Next:[[]]|
|Back:[[それは最悪の始まりなの]]|&color(red){アリサ・バニングス}||
||リニス|Next:[[第二回放送]]|
----
*第一回放送 ◆RsQVcxRr96
一人の年頃の女性がいた。
彼女は今一人寂しくとある部屋の中にいる。
そんな彼女の目に映るもの。
それは死体。
首から上が無残にも吹き飛ばされた死体。
できる事なら逃げ出したかった。
しかしそれは無理だった。
それもそのはずだ。
彼女は椅子に座らされた体勢のまま光の縛鎖で縛りつけられて身動き一つ取れないでいたのだから。
彼女はただ誰とも知らない骸と共に静かな部屋に居続けていた。
だが、それも終わりを告げた。
『ピ、ピ、ピ、ピ、ピ……』
小刻みに電子音が彼女の首から放たれる。
首輪だ。
彼女の首には金属製の首輪が一つ嵌められていた。
「うそ、いや――ッ」
彼女は恐怖した。
なぜなら目の前の人物を死体にしたのは紛れもなくこの首輪。
突然鳴り響く電子音。
思い出されるのは少し前の光景。
目の前の人物は突然の事態に状況把握が追い付いていなかった。
そして。
首輪が爆ぜ、目の前の人物は物言わぬ骸となってしまった。
「いや、そんなのって……」
いつもなら強気な彼女も死の直前とあっては恐怖に心が支配されていた。
なんとかしないと死ぬ。
そう分かっていても身動き一つできない彼女は神に祈るぐらいしかできなかった。
もしかしたら誰か助けに来てくれるのではと、淡い期待も抱いた。
魔法を使える彼女の友人が今まさに助けに来てくれるのではないか。
そんな幻想に縋るしかなかった。
『ピピピピピ――』
だが、そんな彼女を嘲笑うかのように首輪のタイムリミットは刻一刻と近づいてくる。
彼女は周りを見渡したが、特に何も変化はない。
「……なのは」
『――ピッ』
首輪の電子音が途切れた。
同時に彼女の意識も途絶えた。
▼ ▼ ▼
日が昇り、大地に陽光が差す頃合い。
常なら大多数の人にとって起床の時間。
これから新しい1日が始まる。
そんな時間になったが、この特別な場所にいる人にはそれは当てはまらない。
午前6時。
それはこの場所での最初の放送が入る時間。
時計の長針が12を指し、短針が6を指す時。
デスゲームの主催者、プレシア・テスタロッサによる最初の放送が始まった。
▼ ▼ ▼
さて、皆が待ち望んだ最初の放送の時間が来たわ。
まずはここまで生き残った事を誇りなさい。
あなた達は為すべき目的のために他者の死を踏み台に生き残ったのよ。
これは恥ずべき行為ではないわ。
目的のためなら如何なる手段をも辞さない姿勢こそが重要なのよ。
それでは最初に禁止エリアの発表を行うわ。
最初に死者を教えたら禁止エリアを聞き逃して間違って死ぬバカがいるかもしれないものね。
ありがたく思いなさい。
それじゃあ禁止エリアの発表よ、よく聞きなさい。
7時からB-1
9時からD-3
11時からH-4
以上の3エリアよ。
では次にお待ちかねの死者の発表よ。
アグモン
エリオ・モンディアル
カレン・シュタットフェルト
神崎優衣
ギルモン
クロノ・ハラオウン
シグナム
殺生丸
高町なのは
ティアナ・ランスター
ディエチ
ミリオンズ・ナイブズ
矢車想
以上13人よ。
6時間で13人。
素晴らしいわ。
まさかあなた達が6時間でここまでやってくれるなんて思ってもみなかったわ。
自分のため、誰かのため、他者を殺した感想はどのようなものかしらね。
もしかしたらあなた達の隣にいる人があなたの大切な人を殺した殺人者かもしれないわよ。
その辺りよく考えてみる事ね。
そうだ、あなた達に朗報があるわ。
あなた達の努力に敬意を称して私から褒美を与えてあげる。
最後まで生き残った一人の望みを叶えてあげるわ。
帰還、富、名声、力、なんでもいいわ――たとえ死者を蘇生させる事でも。
大切な人を失った者よ、これはチャンスよ。
あなたが最後まで生き残れば、その大切な人を生き返らせる事ができるのよ。
あなたの大切な人にもう一度会う事ができるのよ。
だから何をするべきか、よく考えなさい。
▼ ▼ ▼
「……ああ、そうね。証拠を見せましょうか」
プレシアは一呼吸置いてからマイクを持っていない左手で空間モニターを軽く弄った。
すると目の前にある画面の一部に変化が見られた。
これで参加者の目の前には等しく空間モニターが現れたはずだ。
念のため確認してみても不備はなさそうだ。
「今から私の言葉が本当だという事を証明するわ」
そう言ってプレシアは左手で空間モニターへ操作を施す。
しばらくして準備が整うと、プレシアの正面にある画面はある部屋の様子を映していた。
この映像は参加者の目の前に現れている空間モニターにも等しく映っている。
それはいくつもの椅子が並べられている部屋の映像だった。
だがその中には一つだけ誰かが座っているものがあった。
プレシアはそれが誰か知っている。
そしてこの映像を見ている全員も知っている。
そう、この映像は皆が最初に集められた部屋の映像。
そして唯一人椅子に座っているのは物言わぬ骸となったアリサ・バニングス。
「あなた達も覚えているでしょ。愚かにも最初に私への反抗を示した人物、アリサ・バニングス」
その名前は参加者ならどこかで聞き覚えのある名前だろう。
当然だ。
見せしめのために首輪のデモンストレーションとして死んでいった彼女の名は多くの参加者の胸に刻まれている事であろう。
「今から彼女を蘇生してみせるわ。よく見ていなさい」
そう言い終えた瞬間、映像の中のアリサに変化が起きた。
唐突にアリサを中心に魔法陣が形成されるや、凄まじい光が見る人の目を一瞬眩ませた。
そして再び見たモニターに映っているのは――
『え?』
そこにいたのは素っ頓狂な声を上げる女性。
何が起きたのか分からない表情をしたアリサ・バニングスの姿だった。
爆弾で失った頭も元通りになって、服に付いた血も綺麗に消えていた。
まさにあの部屋で皆が目にしたアリサ・バニングスその人だった。
『な、なんで!? 私は死んだはずじゃ……』
モニターの向こうのアリサはなぜ自分が生きているのかさっぱり理解できていない様子だった。
頻りに周りを見渡し、自分の身体を何度も見て状況を探ろうとしていた。
ただし最初のようにバインドで身を縛られているために身動きはできなかった。
「さて、これで分かってもらえたかしら」
これでプレシアの言う事が嘘でないと皆に伝わっただろう。
もっとも疑り深い者はどこまでも疑うだろうが、今はこれでいい。
自分の力を示す事ができて、これで一応目的は達成された。
「それと何人か殺し合いを止めようとしているみたいだけど、頑張っても無駄よ。なぜならそんな事をし続けても、いずれは――」
――ボンッ!
「――こうなるからよ」
画面の向こうのアリサはもう生きてはいなかった。
最初の見せしめの時同様、首輪の爆発が彼女を死に至らしめたのだ。
「別にすぐにとは言わないわ。でも殺し合いが進まないと困るから、しかるべき時には……」
この光景を見た参加者はどうなるのだろう。
そんな事を考えながらプレシアは左手で空間モニターを弄ると参加者の前に出ていた空間モニターを消した。
少々細工をしているその空間モニターからこちらを逆探知する事は不可能だ。
その辺りに抜かりはない。
▼ ▼ ▼
それじゃこの辺りで放送を終わるわ。
次は六時間後の12時よ。
それまでに今度は何人の命が奪われるのかしらね。
今から楽しみだわ。
それじゃあ、あなた達の活躍を期待しているわ。
ふはははははははははは、はははははははははは、はははははははははは――
▼ ▼ ▼
実を言うと今の死者蘇生劇には種があった。
確かにモニターの中のアリサ・バニングスはどちらも19歳の大学生だ。
ただし別の世界のアリサ・バニングスだ。
最初に殺されたアリサは19歳のなのは達と一緒の世界のアリサ(『アリサ』)だ。
一方、今殺されたアリサはルルーシュ達と一緒の世界のアリサ(【アリサ】)なのだ。
種はこうだ。
まずはわざわざ首輪で【アリサ】に自分が死んだと思わせるために一芝居を打つ。
首輪が爆破したと思い込んだところで【アリサ】を気絶させるのだ。
そして頃合いを見計らって転送魔法を使って『アリサ』が死んだ場所に【アリサ】を転送させる。
その際に同時に『アリサ』は別の所へ転送して、【アリサ】は転送終了と同時に目が覚めるようにしておく。
あとは適当に死者が蘇生したかのように見せかけてからボロが出る前に【アリサ】を殺すだけ。
平行世界の存在を知っているからこそできた芸当だった。
▼ ▼ ▼
「ふぅ、意外と疲れるわね。で、そっちはどうなの?」
初めての放送という一仕事を終えて一息つくプレシアは後ろに控えている人物に声をかけた。
その人物は生真面目で気丈そうな雰囲気を漂わせる若い女性だった。
身に纏っているのは使用人を思わせるような独特なデザインの長袍らしき白を基調とした服装。
薄茶色の髪は肩の上の辺りで揃えられて頭には白い帽子がちょこんと乗っている。
黒のウェーブの掛かった長髪に漆黒のドレスの出で立ちのプレシアとは黒と白のように対照的だった。
「はい、今のところ特にあの者達に問題はありません」
彼女はプレシアの使い魔。
主人の目的のために造り出された命。
名前をリニスという。
「そう、それなら良かったわ。引き続き監視の統括をお願いね」
プレシアはリニスに監視の統括役という役目を与えていた。
如何にプレシアが優れた魔導師だとは言え、一人で参加者全員を見張るのは無理があった。
そこで監視にはある者達に当たらせて、リニスにはその統括役として総合的な監視を任じているのだ。
「プレシア。心配なら御自分で確認されては――」
「何度も言わせないで。私は忙しいの。大まかな監視記録は私の元へも来るようにはしているけど細かい所までは目が届かないわ。
だからあの者達に監視をさせて、その見張り役として貴女を統括役にしているのよ。
今は有能で好意的だからいいけど……だからと言ってあの者達を完全に信頼する事は出来ないわ」
「それは、分かっています」
「なら私の言う通りにして。ほら、用が済んだのなら早く監視室に戻りなさい。もちろん報告は怠らないでね」
「……分かりました」
その返事を置いてリニスはプレシアの部屋から退室していった。
リニスはどことなく不満げな様相をしていたが、プレシアは特に気を留めなかった。
そんな事よりもプレシアの関心はデスゲームに向いていた。
今の放送が殺し合いにどう影響するのか。
それがプレシアのもっとも気にする事だった。
憎き人物の死を喜ぶのか。
誰かの死を知って怒るのか。
大切な人の死を知って哀しむのか。
この状況を楽しむのか。
それがプレシアの目的にどんな影響を齎すのか。
――彼女の願いは、闇の中に。
&color(red){【アリサ・バニングス@コードギアス 反目のスバル 死亡確認】}
&color(red){【残り47人】}
|Back:[[孤独の王]]|時系列順で読む|Next:[[アナタハマタマモレナイカモネ]]|
|Back:[[孤独の王]]|投下順で読む|Next:[[アナタハマタマモレナイカモネ]]|
|Back:[[パンドラの箱、もしくは始まりの唄]]|プレシア・テスタロッサ|Next:[[第二回放送]]|
||リニス|Next:[[第二回放送]]|
|Back:[[それは最悪の始まりなの]]|&color(red){アリサ・バニングス}||
----
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: