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「サンダー遭難中... そして、バクラの考察」(2009/01/07 (水) 16:00:34) の最新版変更点
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*サンダー遭難中... そして、バクラの考察 ◆Qz0BXaGMDg
何故だ。
何故こんなことになっている?
なんで、なんで……
「なんで誰にも会えないんだ!!!!!!!!!!!」
『あんまり大声出すなよ宿主サマ。周りに聞こえちまうぜぇ。……まぁ、そう言いたくなる気持ちはわかるけどよ』
万丈目とバクラは、今スーパーの前に居た。
あれから東にある市街地に向かった二人(実際には一人だが)は、近場で尚且つ人が居そうな場所――という訳でスーパーに向かったのだ。
だが、スーパーの中には結局、人は見つからなかった。
いや、それどころか先程居た場所からこのスーパーに行くまでの間に、誰にも会えなかったりする。
いや、本当に……
なんか……こう……
『同情するぜぇ、宿主サマ』
「うるさい!!! 少し黙ってろバクラ!!!」
ちなみに、市街地の中心付近には結構参加者がいるのだが、万丈目のいる付近には人が居なかったりする。
まったく、不運としか言いようがない。
『いいや、黙んないぜぇ。このまま誰一人として人に会えなかったら、死ぬのは宿主サマなんだぜぇ?』
「くっ……!!わかっているそんなこと……」
そう。
万丈目は今現在、危機的状況にあるのだ。
万丈目の支給品の一つであるカードデッキ。
非常に強力な力を持っているが、この支給品には一つのリスクがある。
「生きた参加者」を契約モンスターに喰わせること。
しかも、喰わせなければ――
「自分が喰われるか……」
『正確には所有者が喰われる、だけどな』
「貴様に言われんでもわかってる」
万丈目としては生贄を捧げたいわけではない。
だが、自身が喰われたいわけでもないのだ。
出来ればカードデッキの持ち主を探したいが、もしもの時は……
『いずれにしても、人を見つけなきゃいけないって時に誰にも会えないなんてな』
「唯一会ったのが、あの眼帯の少女だけとは……お前のせいではないよな」
『まっさか!俺にそんな力はねぇよ』
無論それはわかってはいたが、しかし万丈目はここまで人に会えないものなのか、と思っていた。
『確かにな……もう少し会えてもいいんじゃねぇか。なぁ、宿主サマ?』
「だから、心を読むなと何度も……」
そこから先の言葉が続くことはなかった。
なぜなら――
『さて、皆が待ち望んだ最初の放送の時間が来たわ。』
プレシアの放送が始まったからだ。
◇ ◇ ◇
「くそ……もう犠牲が出ているのかっ!!」
『13人か……思ったより盛り上がってるじゃねぇか……』
バクラはともかく、万丈目は放送を聴いた時、ある人物に大変激怒していた。
プレシアはもちろんだったが、今万条目が激怒している人物というのは他でもない、自分自身だった。
もしかしたら、止めることが出来たのかもしれないのに。
幸いにもアカデミア組は全員無事だった。そのことは良しとしよう。
だが……
高町なのは ティアナ・ランスター エリオ・モンディアル
魔道師6人の内の3人
この3人は無事ではなかった。
ゲームに乗った人間に殺されたのだ。
あるいは、誰かを助けるために犠牲になったのかもしれない。
いずれにしても、この三人は万丈目にとって仲間だった。
だというのに、万丈目準はただ人を捜しているだけで何もできなかった。
もしかしたら、あの眼帯の少女がやったのかもしれない。
だったら、あそこで止めていたら……あるいは……
『……別に慰めるわけじゃねぇがよ、悔やもうが自己嫌悪しようが死者は基本的に帰ってこねぇよ』
「……貴様はここにいるだろうが」
『まぁ、そりゃそうだけどな』
バクラと会話している間に少しだが、気が楽になった気がする。
初めて、バクラに感謝することになったな、と万丈目は思った。
『別に感謝しても、何も出てこないぜぇ』
「ちっ、だから心を読むな!!!」
バクラは笑い、万丈目が怒る。
なんとなくだったが、調子が戻った気がした。
「……すまんな」
『だから、別に感謝しても何も出ないって言ってるだろう』
「ふん、わかっている」
先程まで言い合っていた二人がそこに居た。
◇ ◇ ◇
『とりあえず、現状確認くらいはしたほうがいいんじゃねぇか?』
「ふん、わかっている。何度も言わすな」
調子を取り戻した万丈目は、現在の状況を確認することにした。
今現在わかっていることは、禁止エリア、死者の数、死んだのが誰か、そして――
「死者蘇生か……デュエルモンスターズじゃあるまいし、そんなことはありえんな」
『俺とかいるのにか?』
「お前のは違うだろうが」
『まぁ、わかっているがよ』
はっきり言って二人は、死者蘇生についてまったく信じていなかった。
何かのトリックか、それとも……
「まぁ、考えてもしょうがない。その件は置いておこう。それよりもやることがある」
と万丈目は現状確認に戻ることにしていた。
なので、気づかなかった。
『……まさかなぁ……』
そうバクラが呟いていることに。
◇ ◇ ◇
「まぁ、こんなものか」
『いいんじゃねぇの?』
と、今現在の状態をノートに書いたものを見て二人は言った。
万丈目としては別にノートに書く必要はなかったのだが、バクラにしては珍しく書けと言ってきたので、書くことにしたのだ。
「しかし、何故こんなものを書けなどと言ったんだ?」
『まぁ、後で説明してやるよ。まだ書いてもらうことがあるしな』
こんな会話をしながら、二人はノートを見た
ノートにはこんなことが書かれていた。
------
自分の知り合い:遊城十代、天上院明日香、早乙女レイ、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン
スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ
バクラの知り合い:キャロ・ル・ルシエ、ユーノ・スクライア、フェイト・T・ハラオウン
危険人物:眼帯をした少女→名前を聞いておけば…
→仲間がいる可能性あり
禁止エリア:B-1 D-3 H-4→何か基準でもあるのか?
アグモン、ギルモン→どうでもいいが兄弟かなんか?
フェイト・T・ハラオウン、クロノ・ハラオウン→おそらく兄妹かなんかだと思われる。
スバル・ナカジマ、ギンガ・ナカジマ→兄妹、または姉妹だと思われる。この人とも合流したほうが良いかも。
柊かがみ、柊つかさ→おそらく兄妹、あるいは姉妹であろう。
武蔵坊弁慶→昔の人間?あるいは同名異人の可能性あり。
C.C.、L→コードネームかなんか?
キング→王?
なのは、フェイト、八神はやての名前が二つある→誤植?
死者蘇生→ありえない。何かトリックがあるのでは?
------
まさかフェイトとも知り合いだったとは、と思いながら万丈目は鉛筆を動かそうとした。
「で、次は何を書けば……」
『ちょっと待て宿主サマ。その前に少し俺の話を聞け』
一瞬むっとしたが、万丈目はなんだ、と聞き返した。
『宿主サマの知っている相棒……キャロ、フェイトについて話してくれねぇか』
「ん?なんでまた……」
『いいから、話しな。ひょっとすると、とんでもなく重要なことかもしれねぇからな』
重要、と聞いて万丈目は何かわかったことがあるのでは、と思った。
なので、
「あぁ、わかった。話そう。」
そう言って、万丈目は自身が知っているキャロ、フェイトについて話した。
◇ ◇ ◇
『なるほどねぇ……それが宿主サマの知っている相棒とあの女ってわけか……』
「あぁ。おいバクラ、説明してくれ。なんでこんなことが重要なことなのかをな」
万丈目はバクラに話しながら、人を捜すために歩いていた。
自身の居るエリアの隣にある禁止エリアになりかけているD-3のエリアに注意しつつ、彼らは商店街に向かっていた。
先程スーパーに行った時もそうだったが、彼らは近く、そして人が集まりそうな場所に向かえば誰かは居るだろうと考えたのだ。
ほっとけば、後数時間でモンスターに喰われてしまう。
それだけは何としても避けなければならない。
なので、(出来れば殺し合いに乗っている人がいいが)生きた参加者を生贄にして、自身の安全を確保したいと考え、このように移動しているのである。
『あぁ、いいぜぇ。話してやるよ』
万丈目は歩きながら、バクラの話しを聞いた。
『結論から言わしてもらえば、どうやら俺の知っている相棒、フェイトとは少し違ってるってことがわかったよ』
「何?どうゆう意味だ」
『じゃあ、宿主サマにもわかるように説明してやるよ』
「なんか癇に障るが……まぁいい、話せ」
そう言ってバクラは万丈目に説明をし始めた。
まず容姿についてだが、これは双方の言っていることに何ら違いはなかった。フェイトに関しては、ほぼ100%で少しも違う部分はなかった。
だが、キャロについては少し違っていた。
容姿に違いはなかったが、着ている服が違っていたのだ。
たかが服と万丈目は思ったが、着ている服の内容を聞いた時、万条目は顔を赤くしながら怒鳴った。
「バ、バクラ!!子供に何を着せているんだ貴様!!!」
『なんだよ、別にいいじゃねぇか。相棒……キャロは色気が足りなかったんだからな』
「そ、そうゆう問題ではない!!」
少なくとも万丈目の知っているキャロは、そんな服は着ないだろうとは思った。
バクラは万丈目を無視して、そのまま話しを続けた。
違いが顕著に現れていたのはその後の立ち位置についての話しの時だった。
「な、何っ!?キャロがマフィア!!?それにエリオ達のことも知らないだと!!?」
『あぁ、そうだ。時空管理局ってのには入っていないな。それにエリオとかスバルとかも知らねぇな』
ありえない、と思った。
だが、嘘を言っているようにも見えなかった。
見えないだけで嘘をついている可能性もあったが、すぐにその考えを消した。
バクラは確かに悪人の位置にいる。
だが、今現在自分をサポートをしてくれている奴がそんな嘘をつくだろうか?
少なくとも、今は自身の味方である人物が、そんな嘘をつくとは思えない。
なので、万丈目はバクラを信じることにした。
「となると……つまりどうゆうことなんだ?」
『鈍いなぁ宿主サマ。じゃあ、さっきの死者蘇生のショーを思い出してみろよぉ』
そう言われて思い出してみた。あの、アリサという少女が再度殺された時のことを。
「うーん……一体どうゆうことなんだ……?」
『ったく、本当に鈍いなぁ。つまりよぉ、俺達は違う世界から来たんじゃねぇかってことだよ』
「なんだと!?まさか……」
『すごく突拍子もない言っているのは自分でも分かってるんだがなぁ、そうゆうことなると全て説明がつくんだよ』
バクラも気づいたきっかけは些細なものだった。
少し前から疑問は感じていたバクラだが、アリサの死者蘇生ショーを見た時に疑問に答えを出すことが出来たのだ。
それが、並行世界、パラレルワールド説だ。
それならば、全てに説明がつく。
何故、キャロが万丈目の記憶で千年リングを持っていない?当たり前だ。万条目の世界のキャロには会っていないから持っているはずがない。
何故、双方の記憶に誤差がある?当たり前だ。世界が違えば、やることや起きることも違ってくるだろう。なら、そのときに色々と違う出来事が起きて未来が変わることだってあるかもしれない。
「た、確かに……それならば説明もつくな……」
『だろ?そう考えると説明がつくんだよぉ。他にもまだあるんだぜぇ。』
「まだ、あるのか……」
『ったく、だらしねぇなー宿主サマよぉ。今のことをノートに書こうとか思わないのか?』
「う、うるさい!!言われんでも分かっている」
万丈目が鉛筆を動かす中、バクラは話を続けた。
アリサの死者蘇生やなのは、フェイト、そして八神はやてという人物の名前が何故二つあるのかまでをずっと喋っていた。
◇ ◇ ◇
「こんなものでいいか?」
『あぁ、いいぜぇ。上出来だよ宿主サマ』
そう言って、バクラはノートを眺めた。
ノートにはこう付け加えられていた。
------
なのは、フェイト、八神はやての名前が二つある→誤植?
→違う世界のなのは、フェイト、八神はやての可能性あり
死者蘇生→ありえない。何かトリックがあるのでは?
→違う世界の同じ人物を連れてくれば実行可能
並行世界、パラレルワールド
→断言できないが可能性あり
------
別にバクラ自身はこのような考察はどうでもいいと考えている。
だが、万丈目は――ひょっとしたら相棒もかも知れないが――仲間と合流して、プレシアに反逆しようとしている。
もしそういう状況になれば、少なからずこういった考察は必要になるだろうと考え、万丈目にノートを書けと言ったのだ。
(まぁ、俺はデスゲームを楽しみたいだけなんだから別にいいんだけどよぉ……)
と、やれと言った本人はどうでもいいといった表情をしていた。
「……サンダーっと。よし。名前はこれでいいだろう」
『……センス疑いたくなるなぁ、おい』
確かに……ノートに鉛筆で『万丈目サンダー』と書かれれば誰でも(バクラでも)美的センスを疑いたくなるものだ。
「ふん。貴様には言われたくないな」
『おいおい、まるで俺がセンスがねぇとでも言いたげだなぁ……』
「違うのか?」
こんな会話を続けながらも、万丈目は行く準備を済ませていた。
よく考えたら、考察しても喰われてしまえば元もこうもない。
『さてと、少し時間をかけ過ぎた……。急いで商店街に行かねぇとなぁ宿主サマ』
「お前が止めたんだろうが!!まぁいい。急ぐぞ」
そう言い、万丈目は再び歩き出した。
仲間のために、自分のために。
万丈目サンダーの戦いは再開したのだった。
『たく……いつになったらデスゲームを楽しめるのやら……』
そのバクラの言葉は、しかし万丈目には聞こえなかった。
【1日目 朝】
【現在地 D-2北部 市街地】
【万丈目準@リリカル遊戯王GX】
【状態】健康、三時間バクラ憑依不可
【装備】千年リング@キャロが千年リングを見つけたそうです
【道具】支給品一式、カードデッキ(ベルデ)@仮面ライダーリリカル龍騎、ルーテシアのカレー@闇の王女、考察を書いたノート
【思考】
基本 殺し合いには乗りたくない。仲間達と合流し、プレシアに報復する
1.D-3に注意しながら商店街に向かい、キャロやカードデッキの持ち主を捜し、千年リングとカードデッキをどうにかする
2.仲間(理想は明日香)達との合流
3.できればカードデッキに生贄を捧げたくない
4.余裕があればおじゃま達を探したい
5.なんで誰にも会えないんだ……
【備考】
※チンク(名前は知らない)を警戒しており、彼女には仲間がいると思っています
※エリアの端と端が繋がっている事に気が付きました
※デスベルトが無い事に疑問を感じています
※パラレルワールドの可能性に気づきました
※千年リングを装備したことにより、バクラの人格が目覚めました
基本 このデスゲームを思いっきり楽しむ
1.万丈目をサポート及び誘導する。
2.いざというときは万丈目に憑依し、確実に参加者の誰かをバイオグリーザの餌にする
3.可能ならばキャロを探したいが、自分の知るキャロと同一人物かどうかは若干の疑問
備考:※千年リングの制限について大まかに気が付きましたが、再憑依に必要な正確な時間はわかっていません。最低でも放送前後までは無理だと思っています
※キャロが自分の知るキャロと別人である可能性に気が付きました
※千年リングは『キャロとバクラが勝ち逃げを考えているようです』以降からの参戦です
【デスベルトについて】
十代達デュエルアカデミアの生徒(このロワでは十代、万丈目、明日香、レイが該当)が異世界に飛ばされる前にプロフェッサーコブラによって右腕に付けさせられた腕輪
デュエルを行ったり、モンスターを召喚するとデスベルトが作動し闘気や体力が吸い取られてしまう
これまで外す事は出来なかったが、このロワでは他の装備品同様外され没収された模様
【考察のノートについて】
ノートには文中で書かれていることが書かれています
表紙に『万丈目サンダー』と書かれています
|Back:[[そんな運命]]|時系列順で読む|Next:[[ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい]]|
|Back:[[そんな運命]]|投下順で読む|Next:[[XANADO]]|
|Back:[[闇とリングとデッキの決闘者]]|万丈目準|Next:|
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*サンダー遭難中... そして、バクラの考察 ◆Qz0BXaGMDg
何故だ。
何故こんなことになっている?
なんで、なんで……
「なんで誰にも会えないんだ!!!!!!!!!!!」
『あんまり大声出すなよ宿主サマ。周りに聞こえちまうぜぇ。……まぁ、そう言いたくなる気持ちはわかるけどよ』
万丈目とバクラは、今スーパーの前に居た。
あれから東にある市街地に向かった二人(実際には一人だが)は、近場で尚且つ人が居そうな場所――という訳でスーパーに向かったのだ。
だが、スーパーの中には結局、人は見つからなかった。
いや、それどころか先程居た場所からこのスーパーに行くまでの間に、誰にも会えなかったりする。
いや、本当に……
なんか……こう……
『同情するぜぇ、宿主サマ』
「うるさい!!! 少し黙ってろバクラ!!!」
ちなみに、市街地の中心付近には結構参加者がいるのだが、万丈目のいる付近には人が居なかったりする。
まったく、不運としか言いようがない。
『いいや、黙んないぜぇ。このまま誰一人として人に会えなかったら、死ぬのは宿主サマなんだぜぇ?』
「くっ……!!わかっているそんなこと……」
そう。
万丈目は今現在、危機的状況にあるのだ。
万丈目の支給品の一つであるカードデッキ。
非常に強力な力を持っているが、この支給品には一つのリスクがある。
「生きた参加者」を契約モンスターに喰わせること。
しかも、喰わせなければ――
「自分が喰われるか……」
『正確には所有者が喰われる、だけどな』
「貴様に言われんでもわかってる」
万丈目としては生贄を捧げたいわけではない。
だが、自身が喰われたいわけでもないのだ。
出来ればカードデッキの持ち主を探したいが、もしもの時は……
『いずれにしても、人を見つけなきゃいけないって時に誰にも会えないなんてな』
「唯一会ったのが、あの眼帯の少女だけとは……お前のせいではないよな」
『まっさか!俺にそんな力はねぇよ』
無論それはわかってはいたが、しかし万丈目はここまで人に会えないものなのか、と思っていた。
『確かにな……もう少し会えてもいいんじゃねぇか。なぁ、宿主サマ?』
「だから、心を読むなと何度も……」
そこから先の言葉が続くことはなかった。
なぜなら――
『さて、皆が待ち望んだ最初の放送の時間が来たわ。』
プレシアの放送が始まったからだ。
◇ ◇ ◇
「くそ……もう犠牲が出ているのかっ!!」
『13人か……思ったより盛り上がってるじゃねぇか……』
バクラはともかく、万丈目は放送を聴いた時、ある人物に大変激怒していた。
プレシアはもちろんだったが、今万条目が激怒している人物というのは他でもない、自分自身だった。
もしかしたら、止めることが出来たのかもしれないのに。
幸いにもアカデミア組は全員無事だった。そのことは良しとしよう。
だが……
高町なのは ティアナ・ランスター エリオ・モンディアル
魔道師6人の内の3人
この3人は無事ではなかった。
ゲームに乗った人間に殺されたのだ。
あるいは、誰かを助けるために犠牲になったのかもしれない。
いずれにしても、この三人は万丈目にとって仲間だった。
だというのに、万丈目準はただ人を捜しているだけで何もできなかった。
もしかしたら、あの眼帯の少女がやったのかもしれない。
だったら、あそこで止めていたら……あるいは……
『……別に慰めるわけじゃねぇがよ、悔やもうが自己嫌悪しようが死者は基本的に帰ってこねぇよ』
「……貴様はここにいるだろうが」
『まぁ、そりゃそうだけどな』
バクラと会話している間に少しだが、気が楽になった気がする。
初めて、バクラに感謝することになったな、と万丈目は思った。
『別に感謝しても、何も出てこないぜぇ』
「ちっ、だから心を読むな!!!」
バクラは笑い、万丈目が怒る。
なんとなくだったが、調子が戻った気がした。
「……すまんな」
『だから、別に感謝しても何も出ないって言ってるだろう』
「ふん、わかっている」
先程まで言い合っていた二人がそこに居た。
◇ ◇ ◇
『とりあえず、現状確認くらいはしたほうがいいんじゃねぇか?』
「ふん、わかっている。何度も言わすな」
調子を取り戻した万丈目は、現在の状況を確認することにした。
今現在わかっていることは、禁止エリア、死者の数、死んだのが誰か、そして――
「死者蘇生か……デュエルモンスターズじゃあるまいし、そんなことはありえんな」
『俺とかいるのにか?』
「お前のは違うだろうが」
『まぁ、わかっているがよ』
はっきり言って二人は、死者蘇生についてまったく信じていなかった。
何かのトリックか、それとも……
「まぁ、考えてもしょうがない。その件は置いておこう。それよりもやることがある」
と万丈目は現状確認に戻ることにしていた。
なので、気づかなかった。
『……まさかなぁ……』
そうバクラが呟いていることに。
◇ ◇ ◇
「まぁ、こんなものか」
『いいんじゃねぇの?』
と、今現在の状態をノートに書いたものを見て二人は言った。
万丈目としては別にノートに書く必要はなかったのだが、バクラにしては珍しく書けと言ってきたので、書くことにしたのだ。
「しかし、何故こんなものを書けなどと言ったんだ?」
『まぁ、後で説明してやるよ。まだ書いてもらうことがあるしな』
こんな会話をしながら、二人はノートを見た
ノートにはこんなことが書かれていた。
------
自分の知り合い:遊城十代、天上院明日香、早乙女レイ、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン
スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ
バクラの知り合い:キャロ・ル・ルシエ、ユーノ・スクライア、フェイト・T・ハラオウン
危険人物:眼帯をした少女→名前を聞いておけば…
→仲間がいる可能性あり
禁止エリア:B-1 D-3 H-4→何か基準でもあるのか?
アグモン、ギルモン→どうでもいいが兄弟かなんか?
フェイト・T・ハラオウン、クロノ・ハラオウン→おそらく兄妹かなんかだと思われる。
スバル・ナカジマ、ギンガ・ナカジマ→兄妹、または姉妹だと思われる。この人とも合流したほうが良いかも。
柊かがみ、柊つかさ→おそらく兄妹、あるいは姉妹であろう。
武蔵坊弁慶→昔の人間?あるいは同名異人の可能性あり。
C.C.、L→コードネームかなんか?
キング→王?
なのは、フェイト、八神はやての名前が二つある→誤植?
死者蘇生→ありえない。何かトリックがあるのでは?
------
まさかフェイトとも知り合いだったとは、と思いながら万丈目は鉛筆を動かそうとした。
「で、次は何を書けば……」
『ちょっと待て宿主サマ。その前に少し俺の話を聞け』
一瞬むっとしたが、万丈目はなんだ、と聞き返した。
『宿主サマの知っている相棒……キャロ、フェイトについて話してくれねぇか』
「ん?なんでまた……」
『いいから、話しな。ひょっとすると、とんでもなく重要なことかもしれねぇからな』
重要、と聞いて万丈目は何かわかったことがあるのでは、と思った。
なので、
「あぁ、わかった。話そう。」
そう言って、万丈目は自身が知っているキャロ、フェイトについて話した。
◇ ◇ ◇
『なるほどねぇ……それが宿主サマの知っている相棒とあの女ってわけか……』
「あぁ。おいバクラ、説明してくれ。なんでこんなことが重要なことなのかをな」
万丈目はバクラに話しながら、人を捜すために歩いていた。
自身の居るエリアの隣にある禁止エリアになりかけているD-3のエリアに注意しつつ、彼らは商店街に向かっていた。
先程スーパーに行った時もそうだったが、彼らは近く、そして人が集まりそうな場所に向かえば誰かは居るだろうと考えたのだ。
ほっとけば、後数時間でモンスターに喰われてしまう。
それだけは何としても避けなければならない。
なので、(出来れば殺し合いに乗っている人がいいが)生きた参加者を生贄にして、自身の安全を確保したいと考え、このように移動しているのである。
『あぁ、いいぜぇ。話してやるよ』
万丈目は歩きながら、バクラの話しを聞いた。
『結論から言わしてもらえば、どうやら俺の知っている相棒、フェイトとは少し違ってるってことがわかったよ』
「何?どうゆう意味だ」
『じゃあ、宿主サマにもわかるように説明してやるよ』
「なんか癇に障るが……まぁいい、話せ」
そう言ってバクラは万丈目に説明をし始めた。
まず容姿についてだが、これは双方の言っていることに何ら違いはなかった。フェイトに関しては、ほぼ100%で少しも違う部分はなかった。
だが、キャロについては少し違っていた。
容姿に違いはなかったが、着ている服が違っていたのだ。
たかが服と万丈目は思ったが、着ている服の内容を聞いた時、万条目は顔を赤くしながら怒鳴った。
「バ、バクラ!!子供に何を着せているんだ貴様!!!」
『なんだよ、別にいいじゃねぇか。相棒……キャロは色気が足りなかったんだからな』
「そ、そうゆう問題ではない!!」
少なくとも万丈目の知っているキャロは、そんな服は着ないだろうとは思った。
バクラは万丈目を無視して、そのまま話しを続けた。
違いが顕著に現れていたのはその後の立ち位置についての話しの時だった。
「な、何っ!?キャロがマフィア!!?それにエリオ達のことも知らないだと!!?」
『あぁ、そうだ。時空管理局ってのには入っていないな。それにエリオとかスバルとかも知らねぇな』
ありえない、と思った。
だが、嘘を言っているようにも見えなかった。
見えないだけで嘘をついている可能性もあったが、すぐにその考えを消した。
バクラは確かに悪人の位置にいる。
だが、今現在自分をサポートをしてくれている奴がそんな嘘をつくだろうか?
少なくとも、今は自身の味方である人物が、そんな嘘をつくとは思えない。
なので、万丈目はバクラを信じることにした。
「となると……つまりどうゆうことなんだ?」
『鈍いなぁ宿主サマ。じゃあ、さっきの死者蘇生のショーを思い出してみろよぉ』
そう言われて思い出してみた。あの、アリサという少女が再度殺された時のことを。
「うーん……一体どうゆうことなんだ……?」
『ったく、本当に鈍いなぁ。つまりよぉ、俺達は違う世界から来たんじゃねぇかってことだよ』
「なんだと!?まさか……」
『すごく突拍子もない言っているのは自分でも分かってるんだがなぁ、そうゆうことなると全て説明がつくんだよ』
バクラも気づいたきっかけは些細なものだった。
少し前から疑問は感じていたバクラだが、アリサの死者蘇生ショーを見た時に疑問に答えを出すことが出来たのだ。
それが、並行世界、パラレルワールド説だ。
それならば、全てに説明がつく。
何故、キャロが万丈目の記憶で千年リングを持っていない?当たり前だ。万条目の世界のキャロには会っていないから持っているはずがない。
何故、双方の記憶に誤差がある?当たり前だ。世界が違えば、やることや起きることも違ってくるだろう。なら、そのときに色々と違う出来事が起きて未来が変わることだってあるかもしれない。
「た、確かに……それならば説明もつくな……」
『だろ?そう考えると説明がつくんだよぉ。他にもまだあるんだぜぇ。』
「まだ、あるのか……」
『ったく、だらしねぇなー宿主サマよぉ。今のことをノートに書こうとか思わないのか?』
「う、うるさい!!言われんでも分かっている」
万丈目が鉛筆を動かす中、バクラは話を続けた。
アリサの死者蘇生やなのは、フェイト、そして八神はやてという人物の名前が何故二つあるのかまでをずっと喋っていた。
◇ ◇ ◇
「こんなものでいいか?」
『あぁ、いいぜぇ。上出来だよ宿主サマ』
そう言って、バクラはノートを眺めた。
ノートにはこう付け加えられていた。
------
なのは、フェイト、八神はやての名前が二つある→誤植?
→違う世界のなのは、フェイト、八神はやての可能性あり
死者蘇生→ありえない。何かトリックがあるのでは?
→違う世界の同じ人物を連れてくれば実行可能
並行世界、パラレルワールド
→断言できないが可能性あり
------
別にバクラ自身はこのような考察はどうでもいいと考えている。
だが、万丈目は――ひょっとしたら相棒もかも知れないが――仲間と合流して、プレシアに反逆しようとしている。
もしそういう状況になれば、少なからずこういった考察は必要になるだろうと考え、万丈目にノートを書けと言ったのだ。
(まぁ、俺はデスゲームを楽しみたいだけなんだから別にいいんだけどよぉ……)
と、やれと言った本人はどうでもいいといった表情をしていた。
「……サンダーっと。よし。名前はこれでいいだろう」
『……センス疑いたくなるなぁ、おい』
確かに……ノートに鉛筆で『万丈目サンダー』と書かれれば誰でも(バクラでも)美的センスを疑いたくなるものだ。
「ふん。貴様には言われたくないな」
『おいおい、まるで俺がセンスがねぇとでも言いたげだなぁ……』
「違うのか?」
こんな会話を続けながらも、万丈目は行く準備を済ませていた。
よく考えたら、考察しても喰われてしまえば元もこうもない。
『さてと、少し時間をかけ過ぎた……。急いで商店街に行かねぇとなぁ宿主サマ』
「お前が止めたんだろうが!!まぁいい。急ぐぞ」
そう言い、万丈目は再び歩き出した。
仲間のために、自分のために。
万丈目サンダーの戦いは再開したのだった。
『たく……いつになったらデスゲームを楽しめるのやら……』
そのバクラの言葉は、しかし万丈目には聞こえなかった。
【1日目 朝】
【現在地 D-2北部 市街地】
【万丈目準@リリカル遊戯王GX】
【状態】健康、三時間バクラ憑依不可
【装備】千年リング@キャロが千年リングを見つけたそうです
【道具】支給品一式、カードデッキ(ベルデ)@仮面ライダーリリカル龍騎、ルーテシアのカレー@闇の王女、考察を書いたノート
【思考】
基本 殺し合いには乗りたくない。仲間達と合流し、プレシアに報復する
1.D-3に注意しながら商店街に向かい、キャロやカードデッキの持ち主を捜し、千年リングとカードデッキをどうにかする
2.仲間(理想は明日香)達との合流
3.できればカードデッキに生贄を捧げたくない
4.余裕があればおじゃま達を探したい
5.なんで誰にも会えないんだ……
【備考】
※チンク(名前は知らない)を警戒しており、彼女には仲間がいると思っています
※エリアの端と端が繋がっている事に気が付きました
※デスベルトが無い事に疑問を感じています
※パラレルワールドの可能性に気づきました
※千年リングを装備したことにより、バクラの人格が目覚めました
基本 このデスゲームを思いっきり楽しむ
1.万丈目をサポート及び誘導する。
2.いざというときは万丈目に憑依し、確実に参加者の誰かをバイオグリーザの餌にする
3.可能ならばキャロを探したいが、自分の知るキャロと同一人物かどうかは若干の疑問
備考:※千年リングの制限について大まかに気が付きましたが、再憑依に必要な正確な時間はわかっていません。最低でも放送前後までは無理だと思っています
※キャロが自分の知るキャロと別人である可能性に気が付きました
※千年リングは『キャロとバクラが勝ち逃げを考えているようです』以降からの参戦です
【デスベルトについて】
十代達デュエルアカデミアの生徒(このロワでは十代、万丈目、明日香、レイが該当)が異世界に飛ばされる前にプロフェッサーコブラによって右腕に付けさせられた腕輪
デュエルを行ったり、モンスターを召喚するとデスベルトが作動し闘気や体力が吸い取られてしまう
これまで外す事は出来なかったが、このロワでは他の装備品同様外され没収された模様
【考察のノートについて】
ノートには文中で書かれていることが書かれています
表紙に『万丈目サンダー』と書かれています
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