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「仮面ライダーらしく」(2009/03/17 (火) 21:22:57) の最新版変更点
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*仮面ライダーらしく ◆Qpd0JbP8YI
キングと天道を乗せたカブトエクステンダーは温泉を目指し、川沿いの道を疾走していた。
碌に整備もされていない道だが、カブトエクステンダーの能力のおかげだろうか、
その悪路ともいうべき道のりをキングでも難なく進めていた。
このままならすぐに温泉へと着くだろう。
キングがそう思った矢先、道の向こうから三人の姿がキングの目に入ってきた。
ズサッと驚くほどの制動距離でもってバイクを三人の前で停止させ、
キングは一人一人の顔を検分しようとする。
だが、そんな事をする前にキングの前に歩み寄る人物が一人。
「ちょうどいい。お前、俺と戦え」
カテゴリーキングに属するアンデッドを前の前にしても、
何ら臆することなく獰猛な瞳を向ける浅倉威であった。
「戦う? ちょっと待ってよ。僕はこのゲームになんか乗っていないよ」
「そんな事を関係ない。お前は強いだろ? だったら俺と戦え」
ただの人間の不遜な態度に流石のキングも幾分かの反感を覚えないわけではないが、
生憎と今は背中に大切な玩具を背負っている。
それをこんな事で壊してしまっては堪ったものではない。
それに態々デスゲームとやらを面白くしてくれそうな人間を、
自分の手で殺してしまうのも憚られる。
「いやいや、僕と戦ったってつまらないよ。それに、ほら」
そう言い、キングは背中で気を失っている天道を見せる。
「僕はこれからこの人間を手当てしなくちゃだからさ」
「そいつは……!」
「おや、知り合い?」
「俺の獲物だ。お前がそいつをやったのか?」
「まさか! 僕はそんなことはしないよ。最初に会った時から、こいつはこんなんだったよ」
「そうか……じゃあ、俺と戦え」
「いや、待ってよ。何でそんな話になるのさ。全然話が繋がってないよ」
「関係ない」
にべもない一言。
浅倉は一歩、また一歩とヴィンデルシャフトを構えながら、キングにへと歩み寄っていった。
とは言っても、相手はアンデッド、キング。
そんな事に全く動じもせずに、目の前の男を吟味しつつ、相手がどんな人間か――
いや、『CROSS-NANOHA』を持つキングは相手が誰であるかを考え始めた。
「そう言えばさ、君は天道のことを獲物って言ってたよね? ひょっとして、前からこいつのことを知ってたの?」
「さあな」
ふ~ん、と喉を鳴らしながら、キングは自らの記憶を探る。
『CROSS-NANOHA』における仮面ライダーの部分は
他の物よりはよく目を通したとはいえ、まだ全てを覚えきったわけでない。
でも、そんな斜め読みでも天道と同様に印象に残った人物が一人いた。
そしてその確認の為にも、キングはあるキーワードを歩み寄る男に告げてみた。
「そういえば、この天道って人、最強の仮面ライダーらしいんだよね」
「なに!?」
その動物のように野生じみた瞳に一瞬、驚愕の色が写ったのをキングは見逃さなかった。
「ねえ、君の名前を聞いてもいいかな?」
「……浅倉だ」
「そっか」
その答えを聞いて、キングは傍から見ても分かるような笑みを隠さず浮かべた。
「じゃあ、やっぱり君も仮面ライダーなんだね?」
その質問を聞いて、浅倉もキングに負けず劣らずの凄絶な笑みを浮かべた。
「なるほど。それなら話は早い。お前も仮面ライダーなら……」
顔に笑みを浮かべたまま、浅倉はヴィンデルシャフトをキングに向けて、振りかぶった。
「俺と戦え!」
狂気と歓喜を孕んだ一撃が、キングの脳天めがけて、勢いを乗せる。
しかし、ヴィンデルシャフトがキングにぶつかると思った瞬間、空中に盾が出現。
再び驚愕の色をその瞳に写し、浅倉はヴィンデルシャフトと共に後方に弾き飛ばされた。
「変な勘違いはしないでよ。僕は仮面ライダーなんかじゃないよ」
そんな言葉を聞いても、浅倉は笑みを絶やさず、再びヴィンデルシャフト構えて、立ち上がった。
そして今度こそは一撃をキングに見舞ってやろうと、踏み込んだところで
キングは突然とバッグからベルトを取り出し、浅倉の前に掲げた。
「何のつもりだ!?」
キングの不可解な行動に浅倉も思わず足を止め、質問をしてしまう。
「仮面ライダーのベルト。本来はこの天道のらしいんだけど、こいつはこんなんだろう?
こんなんじゃベルトも役に立てなくて可哀想だから、これは君に上げるよ♪」
放り投げられたベルトを浅倉は思わず受け取ってしまう。
「……お前……何がしたい?」
「いやだなー。そんなにも睨まないでよ。さっきも言ったでしょ? そのベルトを役に立てるためさ。
仮面ライダーには、やっぱり仮面ライダーらしく振舞ってもらいたいからね♪」
「仮面ライダーらしくか……」
「そうそう♪」
キングの「仮面ライダーらしく」という言葉に浅倉は愉悦を顔一杯に広げた。
そしてその様子を見て、キングも楽しげに頷く。
目の前の仮面ライダーを知る浅倉という名の人間。
キングの記憶が確かなら、連続殺人犯。
そして戦うためだけに仮面ライダーとなった狂人。
そんな人間の手に自分の大切なベルトが渡ったと知ったら、天道の心はどうなるか。
自分のベルトによって多くの人間が命を失うと知ったら、天道の仮面ライダーとしての誇りはどうなるか。
(な~にが天の道を往き、総てを司るだ? お前のぜ~んぶを滅茶苦茶にしてやるよ)
キングは背中で眠る天道を我が子のように愛しげに見つめた。
「そうそう、そんなに戦いたいなら、僕より強い奴が向こうにいるよ。
いきなり鎌を持って僕に襲い掛かってきてね~。魔法も使ってくるしで、逃げるだけで手一杯だったよ」
ベルトをつけた浅倉が自分に歩み寄ろうとするのを目の端に留めたキングは
彼が自分に向かってこないように、美味そうな餌を彼に放った。
とはいえ、それが幾ら極上な料理であろうと、
目の前にある餌を見逃すほど浅倉の飢えは生易しいものではない。
浅倉はベルトに手を宛がい、変身の準備へと取り掛かった。
「それにさ、僕は天道を手当てしなきゃなんだよ。浅倉もさ、この天道とちゃんと戦ってみたいでしょ? こいつ、このままだと、死んじゃうよ?」
そのキングの言葉に浅倉の動きは止まる。
天道は浅倉にとっても是非とも戦ってみたい相手だ。
絶えず鬱屈するイライラを拭ってくれるような予感を
浅倉は天道と会った時に僅かにしろ抱いたのだから。
「どこだ!? そいつはどこにいる!?」
そして野獣はキングの放り投げた餌に齧り付くことになった。
「そんな慌てないでよ。向こうだよ、向こう。まだそんなに時間も経ってないし、まだあそこにいるんじゃないかな。
戦いたいんだったら、急いだほうがいいよ。あ~、あとゲームにも乗っているみたいだから、気をつけてね♪」
キングの言葉を聞き届けると、浅倉は慣れぬ武器、ヴィンデルシャフトをゴミのように放り投げ、
それからジェットエッジと自分が立つ悪路とも言うべき地面を交互に見比べ、
やがて忌々しそうにそのローラーブレードも捨てた。
今、彼の手にはライダーベルトがある。
その喜びで顔を狂気に彩らせた浅倉は、キングの指差した方向へと歩みを進めていった
そしてそんな勝手な浅倉と気絶している天道を、おろおろと交互に見比べる少女が一人。
「あの、その人を助けてくれるんですか?」
やがて意を決したかのように少女、ヴィヴィオはキングに訊ねた。
「……その前に君の名前は何ていうの?」
「えっと、私の名前はヴィヴィオです」
ヴィヴィオと名乗る少女の名前と容姿を頭の中に刻み込み、キングは笑みと共に質問に答えた。
「ふ~ん、ヴィヴィオね。僕の名前はキング。え~と、それで何だっけ? あ~そうそう、うん、勿論、助けるつもりだよ」
「そうですか」
キングの答えにヴィヴィオは笑顔を広げる。
「えーと、それじゃあ、その人の事をよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げ、後顧の憂いを無くしたヴィヴィオは浅倉の捨てた「ゴミ」を拾いながら
急いで彼の後を追いかけていった。
その影二つを優しく見送りながら、キングはバイクのエンジンを点け、
再び走り出そうとするが、不意にそれを制止する声が耳に入った。
「待ってください」
キングが目を向けてみると、オレンジ色の鮮やかな髪の色をした女性、シャーリーがいた。
「なに?」
「ゼロのことを、その人のことを、どうするつもりですか?」
「どうするって……そりゃあ、助けるさ。こんな様じゃ、可哀想だろう?」
「その人は、ゼロは、たくさんの人を殺したテロリストなんですよ! それでも助けるというんですか!?」
「そうなの?」
「そうです!」
天道はゼロでありテロリストであるという命題を解くのには、キングの情報が不足していた。
ゼロという単語は確かに目にした記憶はあったが、それが何だったかいまいち思い出せない。
それに天道の部分もまだ完璧に網羅しているわけではない。
もしかしたら、彼女の言うことは本当なのかもしれない。
しかし、仮面ライダーとゼロは別個の話だったような気がしないでもないし
やはり、彼女の言うことは狂言、もしくは単なる思い込みなのだろう。
といっても、だからキングが何をするという話でもない。
彼女の言葉の調子からゼロという者に恨みを抱いているのが見受けられる。
それも相手が死んでも構わないくらいに。
彼女を壊すのは簡単だ。
天道を殺させた後に、彼はゼロではなかった証明してやればいい。
そうすれば、無関係な人を殺したという罪悪感に勝手に押しつぶされて、愉快な姿を曝け出してくれるだろう。
だけど、それだとキングが困る。
何故なら、天道はキングにとって、自分が壊すべき大切な玩具なのだから。
「ん~、まあ、このままだと死んじゃうかもしれないしね~。それだと、つまんないから助けるよ」
つまんないから。
そんな予想だにしてなかった理由にシャーリーは思わず口を噤んでしまう。
「で、もう行っていい? 早くしないと、こいつ死んじゃいそうだからさ」
「え? えーと、これからどこに行くつもりなんですか?」
「ん~、温泉。日本人といったら、やっぱり温泉でしょ?」
「そう……ですか。それはいい考えだと思います」
「でしょ? 最後に君の名前を聞いてもいいかな?」
「……シャーリーです。シャーリー・フェネット」
「シャーリーね。覚えたよ」
最後に子供のような無邪気な笑顔を残し、キングはバイクで走り去っていった。
そしてそれを見送るシャーリーはキングの「つまんないから」という言葉を思い出し、一人頷いた。
確かにキングの言うとおり、ゼロがこのまま簡単に死んでいってはつまらない。
彼はおおよそ悪とはかけ離れた民間人を多数殺したテロリストだ。
その大罪を購う為にも、ゼロは精一杯苦しまなきゃならない。
自分の手で殺していった人間の命の重さを知るためにも、これでもかというほどに。
それを今、ここで簡単に殺してしまっては、死んでいった彼らの痛みなど伝わらない。
それでは父の、ゼロによって死んでいった人々の無念が晴らされることはないだろう。
だから、彼女は天道を殺さなかった。
(ゼロ、私はあなたを決して許さない。だから精一杯苦しんで)
ゼロの容態、そして彼の向かった温泉には治療に使えそうなものなど
何一つ残っていなかったのを思い出し、
彼女はほんの少しの罪悪感を覚えながらも、ほんの少し笑った。
【1日目 朝】
【現在地 C-7】
【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】右脇腹負傷(身体を動かすことはできるレベル)、気絶中
【装備】爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸
【道具】支給品一式、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル
【思考】
基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。
0.気絶中
1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。
2.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。
3.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。
4.感謝するぞ、加賀美。
【備考】
※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。
※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。
※身体がいつものように動かない事を知りました。
【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】
【状態】変身による疲労(中)、一時間変身不可(コーカサスビートルアンデッド)、非常に上機嫌
【装備】カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、ソリッドシールド@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【思考】
基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする
1.温泉に向かう
2.天道で遊ぶ
3.『CROSS-NANOHA』でヴィヴィオ、ゼロ、シャーリーを調べる
4.浅倉とキャロに期待
5.はやてとの合流は後ででも良いかな
6.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ
7.とにかく面白いことを探す【備考】
※制限が掛けられている事に気がつきました
※ゴジラにも少し興味を持っています
※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。
※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。
※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。
※カブトの資格は持っていません
※キングの携帯のお気に入りフォルダに『CROSS-NANOHA』へのリンクが存在します。
【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】
【状態】健康、悲しみ
【装備】浴衣、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ゼロの銃(10/10)@コードギアス 反目のスバル
【道具】支給品一式、デュエルアカデミア売店の鍵@リリカル遊戯王GX、ランダム支給品0~2(元シャーリー:0~1(一見して治療に使えそうなものはありません)、元ヴィヴィオ0~1)
【思考】
基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。
1.ヴィヴィオの為にフェイトを探す
2.もう1人いるなのはを探し、ヴィヴィオのママかどうかを確かめる
3.浅倉と行動を共にしヴィヴィオを守る
4.ルルやスバルや六課の人を捜す
5.この人(浅倉)って……実は良い人?
6.デュエルアカデミアって……決闘の学校?
【備考】
※天道のことをゼロだと思っています
※ゼロを追いかける為に、一時的に二人の仲間になることにしました
※六課がブリタニア軍の特殊部隊で、スバルはその一員だと考えています
※ザフィーラを大型犬だと思っています
※プレシアはブリタニアの偉い人で、この殺し合いを開いたのは六課や日本人及びその関係者を抹殺する為だと考えています
※ヴィヴィオの境遇を自分と重ねています
※2つあるなのは、フェイト、はやての名前から同姓同名の別人がいると思っており、放送で呼ばれたなのはが別人の可能性があると考えています
※デュエルアカデミアを物騒な所だと思っています
※ゼロは苦しんで死ぬべきだと思っています
【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】
【状態】右手に火傷
【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式
【思考】
基本 戦いを楽しむ。戦える奴は全員獲物
1.鎌を持った奴(キャロ)と戦う
2.1の後は市街地にある施設に向かってみる
3.回復した天道、キングと戦う
4.更なる戦いの為、ヴィヴィオとシャーリーを利用する
5.この二人がウザい。鬱陶しい。
【備考】
※自分から二人に危害を加えるつもりはありません
※二人の事は使えないと判断した時点でいつでも切り捨てるつもりです
※プレシアは殺し合いを監視しており、参加者の動向を暗に放送で伝えていると考えています
※ヴィンデルシャフトのカートリッジシステムには気付いていません
※カブトに変身できる資格があるかどうかは分かりません
【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、深い悲しみ
【装備】ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式、ヴィンデルシャフト@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジェットエッジ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
基本 フェイトママや、六課の皆と一緒に脱出する
1.なのはママ……
2.フェイトママを探す
3.浅倉とシャーリーに着いて行く
【備考】
※浅倉の事は、襲い掛かって来た矢車から自分を救ってくれたヒーローだと思っています
※浅倉を信頼しており、矢車とエネルを危険視しています
※キングのことを天道を助けてくれるいい人だと思っています
※この場にもう1人なのはがいる事に気付いていません
|Back:[[ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい]]|時系列順で読む|Next:[[バイバイ]]|
|Back:[[ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい]]|投下順で読む|Next:[[バイバイ]]|
|Back:[[Deathscythe]]|キング|Next:[[]]|
|Back:[[Deathscythe]]|天道総司|Next:[[]]|
|Back:[[混濁の純血 この身は汚れても]]|浅倉威|Next:[[三人の印象]]|
|Back:[[混濁の純血 この身は汚れても]]|ヴィヴィオ|Next:[[三人の印象]]|
|Back:[[混濁の純血 この身は汚れても]]|シャーリー・フェネット|Next:[[三人の印象]]|
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*仮面ライダーらしく ◆Qpd0JbP8YI
キングと天道を乗せたカブトエクステンダーは温泉を目指し、川沿いの道を疾走していた。
碌に整備もされていない道だが、カブトエクステンダーの能力のおかげだろうか、
その悪路ともいうべき道のりをキングでも難なく進めていた。
このままならすぐに温泉へと着くだろう。
キングがそう思った矢先、道の向こうから三人の姿がキングの目に入ってきた。
ズサッと驚くほどの制動距離でもってバイクを三人の前で停止させ、
キングは一人一人の顔を検分しようとする。
だが、そんな事をする前にキングの前に歩み寄る人物が一人。
「ちょうどいい。お前、俺と戦え」
カテゴリーキングに属するアンデッドを前の前にしても、
何ら臆することなく獰猛な瞳を向ける浅倉威であった。
「戦う? ちょっと待ってよ。僕はこのゲームになんか乗っていないよ」
「そんな事を関係ない。お前は強いだろ? だったら俺と戦え」
ただの人間の不遜な態度に流石のキングも幾分かの反感を覚えないわけではないが、
生憎と今は背中に大切な玩具を背負っている。
それをこんな事で壊してしまっては堪ったものではない。
それに態々デスゲームとやらを面白くしてくれそうな人間を、
自分の手で殺してしまうのも憚られる。
「いやいや、僕と戦ったってつまらないよ。それに、ほら」
そう言い、キングは背中で気を失っている天道を見せる。
「僕はこれからこの人間を手当てしなくちゃだからさ」
「そいつは……!」
「おや、知り合い?」
「俺の獲物だ。お前がそいつをやったのか?」
「まさか! 僕はそんなことはしないよ。最初に会った時から、こいつはこんなんだったよ」
「そうか……じゃあ、俺と戦え」
「いや、待ってよ。何でそんな話になるのさ。全然話が繋がってないよ」
「関係ない」
にべもない一言。
浅倉は一歩、また一歩とヴィンデルシャフトを構えながら、キングにへと歩み寄っていった。
とは言っても、相手はアンデッド、キング。
そんな事に全く動じもせずに、目の前の男を吟味しつつ、相手がどんな人間か――
いや、『CROSS-NANOHA』を持つキングは相手が誰であるかを考え始めた。
「そう言えばさ、君は天道のことを獲物って言ってたよね? ひょっとして、前からこいつのことを知ってたの?」
「さあな」
ふ~ん、と喉を鳴らしながら、キングは自らの記憶を探る。
『CROSS-NANOHA』における仮面ライダーの部分は
他の物よりはよく目を通したとはいえ、まだ全てを覚えきったわけでない。
でも、そんな斜め読みでも天道と同様に印象に残った人物が一人いた。
そしてその確認の為にも、キングはあるキーワードを歩み寄る男に告げてみた。
「そういえば、この天道って人、最強の仮面ライダーらしいんだよね」
「なに!?」
その動物のように野生じみた瞳に一瞬、驚愕の色が写ったのをキングは見逃さなかった。
「ねえ、君の名前を聞いてもいいかな?」
「……浅倉だ」
「そっか」
その答えを聞いて、キングは傍から見ても分かるような笑みを隠さず浮かべた。
「じゃあ、やっぱり君も仮面ライダーなんだね?」
その質問を聞いて、浅倉もキングに負けず劣らずの凄絶な笑みを浮かべた。
「なるほど。それなら話は早い。お前も仮面ライダーなら……」
顔に笑みを浮かべたまま、浅倉はヴィンデルシャフトをキングに向けて、振りかぶった。
「俺と戦え!」
狂気と歓喜を孕んだ一撃が、キングの脳天めがけて、勢いを乗せる。
しかし、ヴィンデルシャフトがキングにぶつかると思った瞬間、空中に盾が出現。
再び驚愕の色をその瞳に写し、浅倉はヴィンデルシャフトと共に後方に弾き飛ばされた。
「変な勘違いはしないでよ。僕は仮面ライダーなんかじゃないよ」
そんな言葉を聞いても、浅倉は笑みを絶やさず、再びヴィンデルシャフト構えて、立ち上がった。
そして今度こそは一撃をキングに見舞ってやろうと、踏み込んだところで
キングは突然とバッグからベルトを取り出し、浅倉の前に掲げた。
「何のつもりだ!?」
キングの不可解な行動に浅倉も思わず足を止め、質問をしてしまう。
「仮面ライダーのベルト。本来はこの天道のらしいんだけど、こいつはこんなんだろう?
こんなんじゃベルトも役に立てなくて可哀想だから、これは君に上げるよ♪」
放り投げられたベルトを浅倉は思わず受け取ってしまう。
「……お前……何がしたい?」
「いやだなー。そんなにも睨まないでよ。さっきも言ったでしょ? そのベルトを役に立てるためさ。
仮面ライダーには、やっぱり仮面ライダーらしく振舞ってもらいたいからね♪」
「仮面ライダーらしくか……」
「そうそう♪」
キングの「仮面ライダーらしく」という言葉に浅倉は愉悦を顔一杯に広げた。
そしてその様子を見て、キングも楽しげに頷く。
目の前の仮面ライダーを知る浅倉という名の人間。
キングの記憶が確かなら、連続殺人犯。
そして戦うためだけに仮面ライダーとなった狂人。
そんな人間の手に自分の大切なベルトが渡ったと知ったら、天道の心はどうなるか。
自分のベルトによって多くの人間が命を失うと知ったら、天道の仮面ライダーとしての誇りはどうなるか。
(な~にが天の道を往き、総てを司るだ? お前のぜ~んぶを滅茶苦茶にしてやるよ)
キングは背中で眠る天道を我が子のように愛しげに見つめた。
「そうそう、そんなに戦いたいなら、僕より強い奴が向こうにいるよ。
いきなり鎌を持って僕に襲い掛かってきてね~。魔法も使ってくるしで、逃げるだけで手一杯だったよ」
ベルトをつけた浅倉が自分に歩み寄ろうとするのを目の端に留めたキングは
彼が自分に向かってこないように、美味そうな餌を彼に放った。
とはいえ、それが幾ら極上な料理であろうと、
目の前にある餌を見逃すほど浅倉の飢えは生易しいものではない。
浅倉はベルトに手を宛がい、変身の準備へと取り掛かった。
「それにさ、僕は天道を手当てしなきゃなんだよ。浅倉もさ、この天道とちゃんと戦ってみたいでしょ? こいつ、このままだと、死んじゃうよ?」
そのキングの言葉に浅倉の動きは止まる。
天道は浅倉にとっても是非とも戦ってみたい相手だ。
絶えず鬱屈するイライラを拭ってくれるような予感を
浅倉は天道と会った時に僅かにしろ抱いたのだから。
「どこだ!? そいつはどこにいる!?」
そして野獣はキングの放り投げた餌に齧り付くことになった。
「そんな慌てないでよ。向こうだよ、向こう。まだそんなに時間も経ってないし、まだあそこにいるんじゃないかな。
戦いたいんだったら、急いだほうがいいよ。あ~、あとゲームにも乗っているみたいだから、気をつけてね♪」
キングの言葉を聞き届けると、浅倉は慣れぬ武器、ヴィンデルシャフトをゴミのように放り投げ、
それからジェットエッジと自分が立つ悪路とも言うべき地面を交互に見比べ、
やがて忌々しそうにそのローラーブレードも捨てた。
今、彼の手にはライダーベルトがある。
その喜びで顔を狂気に彩らせた浅倉は、キングの指差した方向へと歩みを進めていった
そしてそんな勝手な浅倉と気絶している天道を、おろおろと交互に見比べる少女が一人。
「あの、その人を助けてくれるんですか?」
やがて意を決したかのように少女、ヴィヴィオはキングに訊ねた。
「……その前に君の名前は何ていうの?」
「えっと、私の名前はヴィヴィオです」
ヴィヴィオと名乗る少女の名前と容姿を頭の中に刻み込み、キングは笑みと共に質問に答えた。
「ふ~ん、ヴィヴィオね。僕の名前はキング。え~と、それで何だっけ? あ~そうそう、うん、勿論、助けるつもりだよ」
「そうですか」
キングの答えにヴィヴィオは笑顔を広げる。
「えーと、それじゃあ、その人の事をよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げ、後顧の憂いを無くしたヴィヴィオは浅倉の捨てた「ゴミ」を拾いながら
急いで彼の後を追いかけていった。
その影二つを優しく見送りながら、キングはバイクのエンジンを点け、
再び走り出そうとするが、不意にそれを制止する声が耳に入った。
「待ってください」
キングが目を向けてみると、オレンジ色の鮮やかな髪の色をした女性、シャーリーがいた。
「なに?」
「ゼロのことを、その人のことを、どうするつもりですか?」
「どうするって……そりゃあ、助けるさ。こんな様じゃ、可哀想だろう?」
「その人は、ゼロは、たくさんの人を殺したテロリストなんですよ! それでも助けるというんですか!?」
「そうなの?」
「そうです!」
天道はゼロでありテロリストであるという命題を解くのには、キングの情報が不足していた。
ゼロという単語は確かに目にした記憶はあったが、それが何だったかいまいち思い出せない。
それに天道の部分もまだ完璧に網羅しているわけではない。
もしかしたら、彼女の言うことは本当なのかもしれない。
しかし、仮面ライダーとゼロは別個の話だったような気がしないでもないし
やはり、彼女の言うことは狂言、もしくは単なる思い込みなのだろう。
といっても、だからキングが何をするという話でもない。
彼女の言葉の調子からゼロという者に恨みを抱いているのが見受けられる。
それも相手が死んでも構わないくらいに。
彼女を壊すのは簡単だ。
天道を殺させた後に、彼はゼロではなかった証明してやればいい。
そうすれば、無関係な人を殺したという罪悪感に勝手に押しつぶされて、愉快な姿を曝け出してくれるだろう。
だけど、それだとキングが困る。
何故なら、天道はキングにとって、自分が壊すべき大切な玩具なのだから。
「ん~、まあ、このままだと死んじゃうかもしれないしね~。それだと、つまんないから助けるよ」
つまんないから。
そんな予想だにしてなかった理由にシャーリーは思わず口を噤んでしまう。
「で、もう行っていい? 早くしないと、こいつ死んじゃいそうだからさ」
「え? えーと、これからどこに行くつもりなんですか?」
「ん~、温泉。日本人といったら、やっぱり温泉でしょ?」
「そう……ですか。それはいい考えだと思います」
「でしょ? 最後に君の名前を聞いてもいいかな?」
「……シャーリーです。シャーリー・フェネット」
「シャーリーね。覚えたよ」
最後に子供のような無邪気な笑顔を残し、キングはバイクで走り去っていった。
そしてそれを見送るシャーリーはキングの「つまんないから」という言葉を思い出し、一人頷いた。
確かにキングの言うとおり、ゼロがこのまま簡単に死んでいってはつまらない。
彼はおおよそ悪とはかけ離れた民間人を多数殺したテロリストだ。
その大罪を購う為にも、ゼロは精一杯苦しまなきゃならない。
自分の手で殺していった人間の命の重さを知るためにも、これでもかというほどに。
それを今、ここで簡単に殺してしまっては、死んでいった彼らの痛みなど伝わらない。
それでは父の、ゼロによって死んでいった人々の無念が晴らされることはないだろう。
だから、彼女は天道を殺さなかった。
(ゼロ、私はあなたを決して許さない。だから精一杯苦しんで)
ゼロの容態、そして彼の向かった温泉には治療に使えそうなものなど
何一つ残っていなかったのを思い出し、
彼女はほんの少しの罪悪感を覚えながらも、ほんの少し笑った。
【1日目 朝】
【現在地 C-7】
【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】右脇腹負傷(身体を動かすことはできるレベル)、気絶中
【装備】爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸
【道具】支給品一式、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル
【思考】
基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。
0.気絶中
1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。
2.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。
3.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。
4.感謝するぞ、加賀美。
【備考】
※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。
※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。
※身体がいつものように動かない事を知りました。
【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】
【状態】変身による疲労(中)、一時間変身不可(コーカサスビートルアンデッド)、非常に上機嫌
【装備】カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、ソリッドシールド@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【思考】
基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする
1.温泉に向かう
2.天道で遊ぶ
3.『CROSS-NANOHA』でヴィヴィオ、ゼロ、シャーリーを調べる
4.浅倉とキャロに期待
5.はやてとの合流は後ででも良いかな
6.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ
7.とにかく面白いことを探す【備考】
※制限が掛けられている事に気がつきました
※ゴジラにも少し興味を持っています
※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。
※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。
※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。
※カブトの資格は持っていません
※キングの携帯のお気に入りフォルダに『CROSS-NANOHA』へのリンクが存在します。
【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】
【状態】健康、悲しみ
【装備】浴衣、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ゼロの銃(10/10)@コードギアス 反目のスバル
【道具】支給品一式、デュエルアカデミア売店の鍵@リリカル遊戯王GX、ランダム支給品0~2(元シャーリー:0~1(一見して治療に使えそうなものはありません)、元ヴィヴィオ0~1)
【思考】
基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。
1.ヴィヴィオの為にフェイトを探す
2.もう1人いるなのはを探し、ヴィヴィオのママかどうかを確かめる
3.浅倉と行動を共にしヴィヴィオを守る
4.ルルやスバルや六課の人を捜す
5.この人(浅倉)って……実は良い人?
6.デュエルアカデミアって……決闘の学校?
【備考】
※天道のことをゼロだと思っています
※ゼロを追いかける為に、一時的に二人の仲間になることにしました
※六課がブリタニア軍の特殊部隊で、スバルはその一員だと考えています
※ザフィーラを大型犬だと思っています
※プレシアはブリタニアの偉い人で、この殺し合いを開いたのは六課や日本人及びその関係者を抹殺する為だと考えています
※ヴィヴィオの境遇を自分と重ねています
※2つあるなのは、フェイト、はやての名前から同姓同名の別人がいると思っており、放送で呼ばれたなのはが別人の可能性があると考えています
※デュエルアカデミアを物騒な所だと思っています
※ゼロは苦しんで死ぬべきだと思っています
【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】
【状態】右手に火傷
【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式
【思考】
基本 戦いを楽しむ。戦える奴は全員獲物
1.鎌を持った奴(キャロ)と戦う
2.1の後は市街地にある施設に向かってみる
3.回復した天道、キングと戦う
4.更なる戦いの為、ヴィヴィオとシャーリーを利用する
5.この二人がウザい。鬱陶しい。
【備考】
※自分から二人に危害を加えるつもりはありません
※二人の事は使えないと判断した時点でいつでも切り捨てるつもりです
※プレシアは殺し合いを監視しており、参加者の動向を暗に放送で伝えていると考えています
※ヴィンデルシャフトのカートリッジシステムには気付いていません
※カブトに変身できる資格があるかどうかは分かりません
【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、深い悲しみ
【装備】ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式、ヴィンデルシャフト@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジェットエッジ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
基本 フェイトママや、六課の皆と一緒に脱出する
1.なのはママ……
2.フェイトママを探す
3.浅倉とシャーリーに着いて行く
【備考】
※浅倉の事は、襲い掛かって来た矢車から自分を救ってくれたヒーローだと思っています
※浅倉を信頼しており、矢車とエネルを危険視しています
※キングのことを天道を助けてくれるいい人だと思っています
※この場にもう1人なのはがいる事に気付いていません
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