「エリオ君がみてる」(2009/01/26 (月) 21:48:58) の最新版変更点
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エリオ君がみてる ◆7pf62HiyTE
『6000万ボルト、雷龍《ジャムブウル》』
参加者の1人である神・エネルが放った龍の形をした雷によりビルは崩壊し、その余波によりE-6が火の海と化した。
幸か不幸かその時点でE-6にいた参加者はエネル以外には彼と戦っていた相川始だけだった為、犠牲者は誰もいなかった。
さて、エリア1つを崩壊させる程の雷そして火事である。当然、周辺エリアにも確認する事が出来る可能性は高い。
事実として、F-7にて殺生丸とミリオンズ・ナイブズの激闘の跡地に向かったギンガ・ナカジマがそれを確認している。
さらにギンガは一度エネルと遭遇していた事もありその雷がエネルによるものだとすぐにわかった。
その後彼女は問題のE-6に向かい戦闘は終了しているものの未だ火の海だったそこで生存者を捜索した。そして負傷して気絶している始を救出した。
さて、この時のギンガは知らなかったが実は始とギンガは一度出会っている。
それはギンガ、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲート・ヘルシング、キャロ・ル・ルシエの3人がエネルからの襲撃から逃げる時のことだ、始は彼女達を襲ったのだ。
それによりギンガとインテグラはキャロとはぐれるという結果となったのだ。
幸運な事にギンガとインテグラは無事に目的地だったHELLSING本部にたどり着き、キャロも何とか死なずには済んだ。
何はともあれギンガは始を背負いインテグラの待つHELLSING本部へと戻っていったわけだが、その後の彼女達の話はここでは語らない。
話を戻そう。先程も述べた通りE-6の雷と火災は相当なものだ。もう一度言うが周囲エリアにいる者ならば確認出来る可能性が高い。
そう、このE-6の火災を確認している参加者が少なくても後2人はいたのだ。
★
「あの雷……」
D-7にいたキャロは南西方向に落ちる雷を見ていた。キャロはギンガとインテグラと共に駅の詰所に居た時に襲った男が同じ様な技を使っていたのを覚えていた為、彼によるものだとすぐにわかった。
キャロはその時混乱していた為気付いていなかったが矢車想が命を懸けたお陰で3人はエネルから逃げる事には何とか成功したが、その直後に漆黒の鎧を付けた人物……キャロは知らないが始の襲撃に遭いギンガ達とはぐれてしまったのだ。
しかし、キャロは気づいていないもののある理由により何とか始によって命を奪われずに済んだ。
さて、その雷がエネルによるものだとわかったならばどうするだろうか?
雷が落ちた場所E-6が危険地帯であるのは言うまでもないし、キャロはエネルの脅威を知っているのだ。普通に考えればその方向には向かわないだろう。
だが、キャロはE-6へと足を向けていた。
「大丈夫……あの人も私が……」
そう、キャロはエネルを殺すつもりでE-6へ向かうのだ。勿論、エネルと遭遇する可能性は高いだろうが、その反面行き違いになる可能性もあるだろう。
だが、キャロとしてはそれでも構わないと考えていた、何故か?
エネルの攻撃があったという事はその場には他に参加者がいる可能性が非常に高い。エネルと戦っていた相手もしくはエネルから逃げまどう参加者といった人物だ。
つまりキャロの目的はそういった人達を殺す事でもあったのだ。
「エリオ君……」
本来キャロは心優しい少女で殺し合いに乗る様な性格ではない。だが、今の彼女はある理由の為に参加者を全て殺そうとしているのだ。
何が彼女をそうさせてしまったのだろうか?結論から言えば種々様々な理由が重なったからである。
1つ目の理由としては始の襲撃から逃げる際にギンガから捨て石にされたという状況があったからだ。
勿論キャロ自身は心の何処かでそんな事はないと信じてはいたし、実際ギンガとしても捨て石にするつもりは全く無くあれは不幸な偶然でしかなかった。
だが、結果としては捨て石という状況になってしまった事に変わりはない。そしてそれがキャロの精神に幾らかの影響を及ぼした可能性は高い。
事実としてキングに自身の仲間を話す時に最後までギンガの名前が出なかった事からもそれは明らかだろう。
もし、その状況が無ければもう少し違う結果になっていた可能性はあったかもしれない……。
だが、この理由は些細なものであろう。むしろ決定的な理由は次以降だ。
2つ目の理由はキャロにとって大切なパートナーと言うべきエリオ・モンディアルの死である。
キャロにとってエリオは単純な機動六課の仲間というだけではない。
キャロと同様にフェイトに保護された同年代の少年で多くの戦いを共に潜り抜け今ではフェイトと同じぐらいの大切な存在となった彼の死がキャロの心に大きな空洞を空けてしまったのだ。
3つ目の理由は放送で伝えられた優勝者には願いを叶えるという話だ。最初に殺されたアリサ・バニングスの復活実演を行う事で人を生き返らせる願いでも良いと説明した上でだ。
例えば既に死亡しているエリオを生き返らせる事でも……。
4つ目の理由はキングがエリオの死と優勝者へのご褒美の話を利用してキャロを追いつめた事だ。
キングの目的は殺し合いで優勝する事でも、主催者を打ち倒す事でもない。
この殺し合いを含めた全てを滅茶苦茶に破壊する事なのだ。既に家族とも言うべき強い絆に結ばれた八神はやてとヴィータを戦わせる様に仕向け、はやてに自分以外の全てを利用させる様にし向けさせている。
そして、キャロと別れた後も遭遇したシャーリー・フェネットやヴィヴィオの心を壊そうと目論んでいる。
キングの手元には『CROSS-NANOHA』と呼ばれる参加者の足跡が物語という形で綴られたサイトへのリンクがある携帯電話がある。キングはそれを使いシャーリー達の精神を破壊するだろう。
だが、キングは気づいていない。それこそが主催者の目論みである事も……そう、キングは結果として殺し合いを壊すどころかむしろ殺し合いを促進させてしまっているのだ。完全に道化である。
閑話休題、この時のキャロはエリオの死やご褒美の話があってもまだ殺し合いには乗ってはいなかった。
しかしキングは自らの真の姿とも言うべきコーカサスビートルアンデッドとも呼ばれる怪物アンデッドの姿を晒し剣を向けた。
そしてキャロを死の恐怖に晒す事でその精神を壊そうと迫ったのだ。
5つ目の理由……それはキャロに支給されていた巫器(アバター)憑神鎌(スケィス)だろう。
巫器は通常のデバイスとは違いロストロギアによって構成されたデバイスである。通常は強固なプログラムにより一切使用する事が出来ない。
しかし、持ち主が心に大きな欠損を抱え、それによる強い意志を発揮する事でプログラムは解除され強力な力を発揮する。
巫器の力がどれだけ強大なのか……この場に置いて、八神はやて(キングが遭遇したはやてとは別人)がシグナムの死によって巫器憑神刀(マハ)を起動させた際にF-3のエリアを崩壊させた。
はやての魔力が強大だった事も理由に挙げられるが、巫器の力が強大でなければそこまでの力は発揮出来ない事は確かで、巫器の力を裏付けるものである事に変わりはない。
事実としてギンガに捨て石にされたキャロの心の空虚が憑神鎌を起動しかけた事があった。空虚が足りなかった故、起動とはいかなかったもののその力の危険性に気が付いた始に撤退を選択させた事からもそれは明らかだろう。
だが、ここで重要なのは巫器が持つ強大な力そのものではない。心に欠損を抱えた者が強い意志を発揮する事が重要なのだ。
キングに追いつめられた際、ついにキャロは憑神鎌を起動させた。勿論、キャロが抱えた心の欠損はエリオなのは言うまでもない。
しかし、最も重要な話はここからだ。巫器の発動には強い意志を発揮する事が必要である。はやてが憑神刀を発動させた時は戦いを止める事を願った。その意志に応え憑神刀はその強大な力を発揮し確かにその場での戦いは止まった。
では、キャロはどのような意志で憑神鎌を発動させたのだろう?無論エリオを生き返らせる為に全ての参加者を皆殺しにするというものである。
キングとしてはキャロの精神を壊し殺し合いに乗せる事が目的だったのでそれについては狙い通りであった。
だが、キングが追いつめた程度では発動しなかった可能性がある。例え自身に死が迫ろうともエリオを生き返らせる為に他の人を殺す事については迷いがあったからだ。それでは憑神鎌を完全に起動させる事は出来ない。
そう、その迷いを断ち切りキャロの後押しをした人物がいたのだ。その人物こそがエリオである。
キングに追いつめられた際、キャロはエリオの姿を見たのだ。そしてエリオはキャロに言ったのだ。
『……キャロのやりたいようにすればいい。大切なのは自分の意志だし、それを無理やり抑え込むのはよくない。
フェイトさんだってそう言うだろうし……僕も……そう、思う』
『僕と違って、キャロにはまだ時間があるんだ。そうやって後悔するくらいなら、最初から自分の意志を貫き通してみなよ』
『行きなよ、キャロの行きたい方へ』
『僕はここにいるから』
エリオの言葉によりキャロの心は決まったのだ。エリオを生き返らせる為に参加者を皆殺しにすると……それに応え憑神鎌は起動した。
ところで、少し考えてみて欲しいが幾ら大切なのはキャロの意志だとはいえキャロに人殺しをさせる事をエリオが望むだろうか?
既に死亡したエリオだって参加者を守る為に戦っていたはずだ、殺し合いで人が死ぬのを望むはずがない。
では何故、エリオはキャロの前に姿を現しエリオを生き返らせる為に皆殺しにするのを後押ししたのだろうか?
勿論、キャロ自身にとって都合の良い妄想のエリオが現れただけという可能性はあるだろう。だが、キャロ自身もあの時のエリオには若干の違和感を覚えていた。
つまり、別の可能性も考えられるのだ。そう、キャロの妄想以外の所からエリオが現れる要素があるという可能性が……
推測でしか無い話だが仮にキャロの手元に憑神鎌が無ければエリオが後押しをしなかった可能性は高いだろう。憑神鎌ではなく憑神刀がキャロの手元にあったとしても……。
そもそも憑神鎌は何処から持ってこられ、同時に本来は誰が持っていたものなのだろうか?キャロ達がいた世界に巫器というものは存在していなかった。つまりキャロは気づいていないが別の世界のものといえる。
巫器が存在する世界はキャロ達のいる世界から見て並行世界ともいうべき世界だ。巫器の有無等幾つかの違いはあるものの根本的な部分は変わらない。
その世界にもキャロは存在するしスバル・ナカジマやティアナ・ランスターもいるし、勿論エリオやフェイトだっている。
だが、先程も述べた通り幾つかの状況が異なっている。特にエリオとフェイトを中心としてだ。
キャロと同じ世界にいるエリオは元々研究施設にいたのをフェイトが保護していた。
対しその世界のエリオは別の人物によって助け出されている。フェイトとははエリオが自分の意志で管理局に入った時からの関係である。
更にその世界のエリオは他の世界のエリオよりも若干人間不信の度合いが強かった、何しろエリオを助け出した人物もエリオの元から去っていったことがあったのだから……。
とはいえ、紆余曲折はあったもののフェイトとは他の世界同様良好な関係を築いてはいた。
そんなある日、その世界のフェイトが何者かに襲われ意識不明となった。
そしてエリオはフェイトを助け出す為に機動六課へと入りフェイトを襲った相手との戦いに身を投じたのである。フェイトを助け出す為に、全てを取り戻す為に……。
その目的に対するエリオの意志は非常に強いものだった。それは他の世界のエリオの比ではない……
キャロのいる世界を含めた他の並行世界において模擬戦で無茶をしたのはティアナだったが、その世界において模擬戦で無茶をしたのはエリオだったことからもそれは明らかだろう。
ちなみにその模擬戦がきっかけであまり他人に心を開かなかったその世界のエリオはキャロ達との絆を深めていった。
さて、ここまでくれば最早おわかりだろう。その世界において憑神鎌を持っていたのはエリオだ。
エリオはフェイトを失った心の空虚からフェイトを助け全てを取り戻すという強靱な意志を持って憑神鎌を起動させたのだ。
そして、その強大な力をいち早く使いこなす為エリオは模擬戦でも無茶をしたのだ。
つまり、憑神鎌の本来の持ち主であったエリオならばキャロの意志……エリオを取り戻す事を肯定する事も何ら不思議は無いということだ。
同時に憑神鎌にその世界のエリオの意志が宿っていたのもあり得ない話では無いだろう。もっとも、手にしたのがキャロ以外の人間だった場合はエリオは現れなかっただろうが。
そして憑神鎌ではなければ駄目だというのも当然であろう。憑神鎌以外の物にその世界のエリオの意志が宿っているわけがないのだから……。
1つ1つの理由だけではキャロに殺し合いをさせるだけの決定的な理由にはなり得ない。だが、それらの要因が重なる事でキャロは殺し合いに乗る事を決意したのだ。
今のキャロを止める事は誰にも出来ないだろう。今現在唯一生き残っているフォワードのスバルであっても、他の仲間達であってもだ。生半可な説得ではキャロの持つ強大な意志を変える事はまず無理だからだ。
恐らくキャロを止める事が出来るのはキャロを保護したフェイトだけだろう。だがそれも最早不可能である。何故なら既にフェイトも死亡しているからだ。
なお、この場にはもう1人フェイトはいるが、彼女は10歳の少女であり当然キャロの事など知る筈がないし、キャロもそのフェイトをフェイトと思うわけがない、当然説得など無理であろう。
かくしてキャロは戦いの跡地とも言うべきE-6に辿り着く。
戦いは終わり雷も止んでいるというのにその場所は今も炎に包まれていた。キャロはその中を歩き周り参加者を探す。
「誰もいないね……」
1時間程参加者を捜したが誰1人見つける事は出来なかった。
エネルとは丁度行き違いになった為遭遇することはなかったし、負傷して気絶している始はギンガによって助け出され、ギンガは始を助け出した後早々にE-6を離れHELLSING本部に戻った為キャロと遭遇する事は無かったのだ。
ひとえに遭遇する事が無かったのは偶然というのもあるだろうが、キャロの方がギンガに比べて消耗が激しかったというのもあるだろう。
何はともあれ、キャロは誰とも遭遇する事は無かった。残酷な事だがこれがギンガにとっては幸運であった事は言うまでもない。
恐らくあの場でキャロとギンガが遭遇したなら確実に戦いとなり3人の誰かが犠牲になった可能性は高いからだ。
だが、キャロにとっては不幸である。エリオを生き返らせる為には他の参加者を殺さなければならないのだから……。
嘆いていても何かが変わるわけではない。キャロは気を取り直し次の目的地を定める。
「地上本部……あそこだったら……」
キャロが目的地に定めたのは西のE-5にある地上本部だ。殺し合いを止める目的を持った機動六課の仲間達が集まっている可能性が高いと考えたからだ。
そこにいる参加者達を皆殺しにしようとキャロは考えたのだ。
戦う事については全く不安も恐れもない、何故なら……
「エリオ君、見守っていてね」
キャロにはエリオがいるからだ。
キャロは憑神鎌を一舐めし地上本部へと向かっていった。そこにいる参加者を殺す為に……
【1日目 午前】
【現在地 E-6】
【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(中)、魔力消費(中)、脇腹に切り傷・左太腿に貫通傷(応急処置済み)、歪んだ決意
【装備】憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning
【道具】支給品一式×2、『かいふく』のマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、葉巻のケース
【思考】
基本:エリオを蘇らせるため、この殺し合いに優勝する。
1.地上本部へと向かい、敵を探す。
2.相手が機動六課の仲間であろうとも容赦はしない(ただし、フェイトが相手の場合は微妙なところ)
3.次にキングと会った時は、絶対に逃がさない。
[備考]
※別の世界からきている仲間がいる事に気付いていません。
※憑神鎌(スケィス)のプロテクトは外れました。
※自分の決断が正しいと信じて疑っていません。
|Back:[[夢と誇りを胸に全てを終わらせるため……!]]|時系列順で読む|Next:[[クアットロデラックス!]]|
|Back:[[夢と誇りを胸に全てを終わらせるため……!]]|投下順で読む|~|
|Back:[[Deathscythe]]|キャロ・ル・ルシエ|~|
|Back:[[サイカイ]]|クアットロ|~|
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*エリオ君がみてる ◆7pf62HiyTE
『6000万ボルト、雷龍《ジャムブウル》』
参加者の1人である神・エネルが放った龍の形をした雷によりビルは崩壊し、その余波によりE-6が火の海と化した。
幸か不幸かその時点でE-6にいた参加者はエネル以外には彼と戦っていた相川始だけだった為、犠牲者は誰もいなかった。
さて、エリア1つを崩壊させる程の雷そして火事である。当然、周辺エリアにも確認する事が出来る可能性は高い。
事実として、F-7にて殺生丸とミリオンズ・ナイブズの激闘の跡地に向かったギンガ・ナカジマがそれを確認している。
さらにギンガは一度エネルと遭遇していた事もありその雷がエネルによるものだとすぐにわかった。
その後彼女は問題のE-6に向かい戦闘は終了しているものの未だ火の海だったそこで生存者を捜索した。そして負傷して気絶している始を救出した。
さて、この時のギンガは知らなかったが実は始とギンガは一度出会っている。
それはギンガ、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲート・ヘルシング、キャロ・ル・ルシエの3人がエネルからの襲撃から逃げる時のことだ、始は彼女達を襲ったのだ。
それによりギンガとインテグラはキャロとはぐれるという結果となったのだ。
幸運な事にギンガとインテグラは無事に目的地だったHELLSING本部にたどり着き、キャロも何とか死なずには済んだ。
何はともあれギンガは始を背負いインテグラの待つHELLSING本部へと戻っていったわけだが、その後の彼女達の話はここでは語らない。
話を戻そう。先程も述べた通りE-6の雷と火災は相当なものだ。もう一度言うが周囲エリアにいる者ならば確認出来る可能性が高い。
そう、このE-6の火災を確認している参加者が少なくても後2人はいたのだ。
★
「あの雷……」
D-7にいたキャロは南西方向に落ちる雷を見ていた。キャロはギンガとインテグラと共に駅の詰所に居た時に襲った男が同じ様な技を使っていたのを覚えていた為、彼によるものだとすぐにわかった。
キャロはその時混乱していた為気付いていなかったが矢車想が命を懸けたお陰で3人はエネルから逃げる事には何とか成功したが、その直後に漆黒の鎧を付けた人物……キャロは知らないが始の襲撃に遭いギンガ達とはぐれてしまったのだ。
しかし、キャロは気づいていないもののある理由により何とか始によって命を奪われずに済んだ。
さて、その雷がエネルによるものだとわかったならばどうするだろうか?
雷が落ちた場所E-6が危険地帯であるのは言うまでもないし、キャロはエネルの脅威を知っているのだ。普通に考えればその方向には向かわないだろう。
だが、キャロはE-6へと足を向けていた。
「大丈夫……あの人も私が……」
そう、キャロはエネルを殺すつもりでE-6へ向かうのだ。勿論、エネルと遭遇する可能性は高いだろうが、その反面行き違いになる可能性もあるだろう。
だが、キャロとしてはそれでも構わないと考えていた、何故か?
エネルの攻撃があったという事はその場には他に参加者がいる可能性が非常に高い。エネルと戦っていた相手もしくはエネルから逃げまどう参加者といった人物だ。
つまりキャロの目的はそういった人達を殺す事でもあったのだ。
「エリオ君……」
本来キャロは心優しい少女で殺し合いに乗る様な性格ではない。だが、今の彼女はある理由の為に参加者を全て殺そうとしているのだ。
何が彼女をそうさせてしまったのだろうか?結論から言えば種々様々な理由が重なったからである。
1つ目の理由としては始の襲撃から逃げる際にギンガから捨て石にされたという状況があったからだ。
勿論キャロ自身は心の何処かでそんな事はないと信じてはいたし、実際ギンガとしても捨て石にするつもりは全く無くあれは不幸な偶然でしかなかった。
だが、結果としては捨て石という状況になってしまった事に変わりはない。そしてそれがキャロの精神に幾らかの影響を及ぼした可能性は高い。
事実としてキングに自身の仲間を話す時に最後までギンガの名前が出なかった事からもそれは明らかだろう。
もし、その状況が無ければもう少し違う結果になっていた可能性はあったかもしれない……。
だが、この理由は些細なものであろう。むしろ決定的な理由は次以降だ。
2つ目の理由はキャロにとって大切なパートナーと言うべきエリオ・モンディアルの死である。
キャロにとってエリオは単純な機動六課の仲間というだけではない。
キャロと同様にフェイトに保護された同年代の少年で多くの戦いを共に潜り抜け今ではフェイトと同じぐらいの大切な存在となった彼の死がキャロの心に大きな空洞を空けてしまったのだ。
3つ目の理由は放送で伝えられた優勝者には願いを叶えるという話だ。最初に殺されたアリサ・バニングスの復活実演を行う事で人を生き返らせる願いでも良いと説明した上でだ。
例えば既に死亡しているエリオを生き返らせる事でも……。
4つ目の理由はキングがエリオの死と優勝者へのご褒美の話を利用してキャロを追いつめた事だ。
キングの目的は殺し合いで優勝する事でも、主催者を打ち倒す事でもない。
この殺し合いを含めた全てを滅茶苦茶に破壊する事なのだ。既に家族とも言うべき強い絆に結ばれた八神はやてとヴィータを戦わせる様に仕向け、はやてに自分以外の全てを利用させる様にし向けさせている。
そして、キャロと別れた後も遭遇したシャーリー・フェネットやヴィヴィオの心を壊そうと目論んでいる。
キングの手元には『CROSS-NANOHA』と呼ばれる参加者の足跡が物語という形で綴られたサイトへのリンクがある携帯電話がある。キングはそれを使いシャーリー達の精神を破壊するだろう。
だが、キングは気づいていない。それこそが主催者の目論みである事も……そう、キングは結果として殺し合いを壊すどころかむしろ殺し合いを促進させてしまっているのだ。完全に道化である。
閑話休題、この時のキャロはエリオの死やご褒美の話があってもまだ殺し合いには乗ってはいなかった。
しかしキングは自らの真の姿とも言うべきコーカサスビートルアンデッドとも呼ばれる怪物アンデッドの姿を晒し剣を向けた。
そしてキャロを死の恐怖に晒す事でその精神を壊そうと迫ったのだ。
5つ目の理由……それはキャロに支給されていた巫器(アバター)憑神鎌(スケィス)だろう。
巫器は通常のデバイスとは違いロストロギアによって構成されたデバイスである。通常は強固なプログラムにより一切使用する事が出来ない。
しかし、持ち主が心に大きな欠損を抱え、それによる強い意志を発揮する事でプログラムは解除され強力な力を発揮する。
巫器の力がどれだけ強大なのか……この場に置いて、八神はやて(キングが遭遇したはやてとは別人)がシグナムの死によって巫器憑神刀(マハ)を起動させた際にF-3のエリアを崩壊させた。
はやての魔力が強大だった事も理由に挙げられるが、巫器の力が強大でなければそこまでの力は発揮出来ない事は確かで、巫器の力を裏付けるものである事に変わりはない。
事実としてギンガに捨て石にされたキャロの心の空虚が憑神鎌を起動しかけた事があった。空虚が足りなかった故、起動とはいかなかったもののその力の危険性に気が付いた始に撤退を選択させた事からもそれは明らかだろう。
だが、ここで重要なのは巫器が持つ強大な力そのものではない。心に欠損を抱えた者が強い意志を発揮する事が重要なのだ。
キングに追いつめられた際、ついにキャロは憑神鎌を起動させた。勿論、キャロが抱えた心の欠損はエリオなのは言うまでもない。
しかし、最も重要な話はここからだ。巫器の発動には強い意志を発揮する事が必要である。はやてが憑神刀を発動させた時は戦いを止める事を願った。その意志に応え憑神刀はその強大な力を発揮し確かにその場での戦いは止まった。
では、キャロはどのような意志で憑神鎌を発動させたのだろう?無論エリオを生き返らせる為に全ての参加者を皆殺しにするというものである。
キングとしてはキャロの精神を壊し殺し合いに乗せる事が目的だったのでそれについては狙い通りであった。
だが、キングが追いつめた程度では発動しなかった可能性がある。例え自身に死が迫ろうともエリオを生き返らせる為に他の人を殺す事については迷いがあったからだ。それでは憑神鎌を完全に起動させる事は出来ない。
そう、その迷いを断ち切りキャロの後押しをした人物がいたのだ。その人物こそがエリオである。
キングに追いつめられた際、キャロはエリオの姿を見たのだ。そしてエリオはキャロに言ったのだ。
『……キャロのやりたいようにすればいい。大切なのは自分の意志だし、それを無理やり抑え込むのはよくない。
フェイトさんだってそう言うだろうし……僕も……そう、思う』
『僕と違って、キャロにはまだ時間があるんだ。そうやって後悔するくらいなら、最初から自分の意志を貫き通してみなよ』
『行きなよ、キャロの行きたい方へ』
『僕はここにいるから』
エリオの言葉によりキャロの心は決まったのだ。エリオを生き返らせる為に参加者を皆殺しにすると……それに応え憑神鎌は起動した。
ところで、少し考えてみて欲しいが幾ら大切なのはキャロの意志だとはいえキャロに人殺しをさせる事をエリオが望むだろうか?
既に死亡したエリオだって参加者を守る為に戦っていたはずだ、殺し合いで人が死ぬのを望むはずがない。
では何故、エリオはキャロの前に姿を現しエリオを生き返らせる為に皆殺しにするのを後押ししたのだろうか?
勿論、キャロ自身にとって都合の良い妄想のエリオが現れただけという可能性はあるだろう。だが、キャロ自身もあの時のエリオには若干の違和感を覚えていた。
つまり、別の可能性も考えられるのだ。そう、キャロの妄想以外の所からエリオが現れる要素があるという可能性が……
推測でしか無い話だが仮にキャロの手元に憑神鎌が無ければエリオが後押しをしなかった可能性は高いだろう。憑神鎌ではなく憑神刀がキャロの手元にあったとしても……。
そもそも憑神鎌は何処から持ってこられ、同時に本来は誰が持っていたものなのだろうか?キャロ達がいた世界に巫器というものは存在していなかった。つまりキャロは気づいていないが別の世界のものといえる。
巫器が存在する世界はキャロ達のいる世界から見て並行世界ともいうべき世界だ。巫器の有無等幾つかの違いはあるものの根本的な部分は変わらない。
その世界にもキャロは存在するしスバル・ナカジマやティアナ・ランスターもいるし、勿論エリオやフェイトだっている。
だが、先程も述べた通り幾つかの状況が異なっている。特にエリオとフェイトを中心としてだ。
キャロと同じ世界にいるエリオは元々研究施設にいたのをフェイトが保護していた。
対しその世界のエリオは別の人物によって助け出されている。フェイトとははエリオが自分の意志で管理局に入った時からの関係である。
更にその世界のエリオは他の世界のエリオよりも若干人間不信の度合いが強かった、何しろエリオを助け出した人物もエリオの元から去っていったことがあったのだから……。
とはいえ、紆余曲折はあったもののフェイトとは他の世界同様良好な関係を築いてはいた。
そんなある日、その世界のフェイトが何者かに襲われ意識不明となった。
そしてエリオはフェイトを助け出す為に機動六課へと入りフェイトを襲った相手との戦いに身を投じたのである。フェイトを助け出す為に、全てを取り戻す為に……。
その目的に対するエリオの意志は非常に強いものだった。それは他の世界のエリオの比ではない……
キャロのいる世界を含めた他の並行世界において模擬戦で無茶をしたのはティアナだったが、その世界において模擬戦で無茶をしたのはエリオだったことからもそれは明らかだろう。
ちなみにその模擬戦がきっかけであまり他人に心を開かなかったその世界のエリオはキャロ達との絆を深めていった。
さて、ここまでくれば最早おわかりだろう。その世界において憑神鎌を持っていたのはエリオだ。
エリオはフェイトを失った心の空虚からフェイトを助け全てを取り戻すという強靱な意志を持って憑神鎌を起動させたのだ。
そして、その強大な力をいち早く使いこなす為エリオは模擬戦でも無茶をしたのだ。
つまり、憑神鎌の本来の持ち主であったエリオならばキャロの意志……エリオを取り戻す事を肯定する事も何ら不思議は無いということだ。
同時に憑神鎌にその世界のエリオの意志が宿っていたのもあり得ない話では無いだろう。もっとも、手にしたのがキャロ以外の人間だった場合はエリオは現れなかっただろうが。
そして憑神鎌ではなければ駄目だというのも当然であろう。憑神鎌以外の物にその世界のエリオの意志が宿っているわけがないのだから……。
1つ1つの理由だけではキャロに殺し合いをさせるだけの決定的な理由にはなり得ない。だが、それらの要因が重なる事でキャロは殺し合いに乗る事を決意したのだ。
今のキャロを止める事は誰にも出来ないだろう。今現在唯一生き残っているフォワードのスバルであっても、他の仲間達であってもだ。生半可な説得ではキャロの持つ強大な意志を変える事はまず無理だからだ。
恐らくキャロを止める事が出来るのはキャロを保護したフェイトだけだろう。だがそれも最早不可能である。何故なら既にフェイトも死亡しているからだ。
なお、この場にはもう1人フェイトはいるが、彼女は10歳の少女であり当然キャロの事など知る筈がないし、キャロもそのフェイトをフェイトと思うわけがない、当然説得など無理であろう。
かくしてキャロは戦いの跡地とも言うべきE-6に辿り着く。
戦いは終わり雷も止んでいるというのにその場所は今も炎に包まれていた。キャロはその中を歩き周り参加者を探す。
「誰もいないね……」
1時間程参加者を捜したが誰1人見つける事は出来なかった。
エネルとは丁度行き違いになった為遭遇することはなかったし、負傷して気絶している始はギンガによって助け出され、ギンガは始を助け出した後早々にE-6を離れHELLSING本部に戻った為キャロと遭遇する事は無かったのだ。
ひとえに遭遇する事が無かったのは偶然というのもあるだろうが、キャロの方がギンガに比べて消耗が激しかったというのもあるだろう。
何はともあれ、キャロは誰とも遭遇する事は無かった。残酷な事だがこれがギンガにとっては幸運であった事は言うまでもない。
恐らくあの場でキャロとギンガが遭遇したなら確実に戦いとなり3人の誰かが犠牲になった可能性は高いからだ。
だが、キャロにとっては不幸である。エリオを生き返らせる為には他の参加者を殺さなければならないのだから……。
嘆いていても何かが変わるわけではない。キャロは気を取り直し次の目的地を定める。
「地上本部……あそこだったら……」
キャロが目的地に定めたのは西のE-5にある地上本部だ。殺し合いを止める目的を持った機動六課の仲間達が集まっている可能性が高いと考えたからだ。
そこにいる参加者達を皆殺しにしようとキャロは考えたのだ。
戦う事については全く不安も恐れもない、何故なら……
「エリオ君、見守っていてね」
キャロにはエリオがいるからだ。
キャロは憑神鎌を一舐めし地上本部へと向かっていった。そこにいる参加者を殺す為に……
【1日目 午前】
【現在地 E-6】
【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(中)、魔力消費(中)、脇腹に切り傷・左太腿に貫通傷(応急処置済み)、歪んだ決意
【装備】憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning
【道具】支給品一式×2、『かいふく』のマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、葉巻のケース
【思考】
基本:エリオを蘇らせるため、この殺し合いに優勝する。
1.地上本部へと向かい、敵を探す。
2.相手が機動六課の仲間であろうとも容赦はしない(ただし、フェイトが相手の場合は微妙なところ)
3.次にキングと会った時は、絶対に逃がさない。
[備考]
※別の世界からきている仲間がいる事に気付いていません。
※憑神鎌(スケィス)のプロテクトは外れました。
※自分の決断が正しいと信じて疑っていません。
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