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「解ける謎!!(後編)」(2010/12/21 (火) 08:56:31) の最新版変更点
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*解ける謎!!(後編) ◆LuuKRM2PEg
◆
激しさを増す戦いの影響で、辺りは次々と吹き飛んでいった。
仮面ライダーと、アンデッドと、ソルジャーの手によって。
周囲の大地は所々が砕かれ、所々に亀裂が走り、植物はメラメラと音を立てながら燃えていた。
もはや、森林という元の原形は一片たりとも、保っていない。
そんな中で、三人は戦いを繰り広げていた。
カブトは、クナイガンの引き金を引いて、イオンで出来た弾丸を放つ。
アンジールは、渾身の力を込めてリベリオンを振るって、それを弾いた。
コーカサスビートルアンデッドは、ソリッドシールドを形成させ、イオンビームを防ぐ。
遠距離からの攻撃は、通らずに終わった。
カブトはクナイガンの持ち方を、クナイモードに変える。
目前からは、アンジールがリベリオンを振りかぶりながら、迫っていた。
「フンッ!」
「はあっ!」
クナイガンを頭上に掲げて、カブトは銀色の剣を防ぐ。
二つの得物が、掛け声と同時に激突し、火花を散らせた。
クナイガンとリベリオンの刃が擦れ合い、互いの力が拮抗する。
しかし、純粋な腕力ならばアンジールの方に、分があった。
故に、カブトは徐々に押されていく。
彼はふと、疑問を感じた。
コーカサスビートルアンデッドの姿が、見られない。
鍔迫り合いの中、彼は一瞬だけ横に視線を移す。
すると、見えた。
少し離れた位置から、コーカサスビートルアンデッドが真っ直ぐに腕を向けているのを。
何をするつもりなのか。
疑問を抱いた瞬間、掌から輝きが放たれる。
「「ッ!?」」
カブトとアンジールは、同時に背後へ飛んだ。
その直後、轟音と共にエネルギー弾が発射され、彼らのいた場所を飲み込んでいく。
そして凄まじい爆発が起こり、辺りの地面を容赦なく吹き飛ばした。
しかし、それだけでは終わらない。
音と共に発生した爆風は、カブトの身体を容赦なく飛ばした。
「くっ!」
だが、彼はすぐに受け身を取る。
そのお陰で、地面に激突する事態だけは、避けることが出来た。
ここから半径三メートル。
視界を遮る物は、全て跡形もなく吹き飛ばされていた。
「なるほどな」
体勢を整えながら、カブトはぽつりと呟く。
コーカサスビートルアンデッドは、まだこんな隠し球を持っていたとは。
先程の念力に加えて、今のエネルギー弾。
そしてアンジールと同じように、奴は自分の戦いを見切っている。
状況は、こちらが圧倒的に不利だ。
だがそんなことは関係ない。
おばあちゃんだって、言っていた。
仕事は納豆のように粘り強くするものだ…………と。
だから、今は必死に戦う。
その言葉を思い出しながら、カブトは敵に振り向いた。
「…………貴様、俺を巻き込むつもりだったのか」
アンジールは、コーカサスビートルアンデッドを睨み付ける。
彼もまた、エネルギー弾による衝撃波に、吹き飛ばされていた。
後退したことで、幸いにもダメージは負っていない。
「君だったら、すぐに避けられたでしょ?」
「何?」
「そんなことより、カブトを倒そうよ」
しかしコーカサスビートルアンデッドは、まるで悪びれもせずに答えた。
アンジールが避けるのを見て、彼は失望の感情を抱く。
この男は優勝するためなら、何でもするかと思っていた。
だが、実際はこのザマ。
カブトを止めている隙にエネルギー弾を放とうとしたが、避けるなんて。
(やれやれ、こいつはただの腰抜けだな)
コーカサスビートルアンデッドは、心中で溜息を吐く。
もうこの男は駄目だ、使えない。
初めは妹を殺した自分の駒になるという、シチュエーションに心を躍らせた。
しかし、実際の戦いになってはロクに使えない。
カブトを始末するための道具にしたが、それすらも満足に出来ないとは。
だが、今だけは特別に一緒に戦ってあげよう。
侮蔑の視線を一瞬だけアンジールに向けて、カブトに振り向いた。
「ゲームを続けようか、カブト」
言い放ちながら、コーカサスビートルアンデッドは足を進める。
その様子は、まさに王。
カテゴリーキングの名が示すように、威風堂々としていた。
異形の身体からは、圧倒的と呼べるほどの覇気を放っている。
「一つ教えてやろう」
それを真っ向から受けながらも、カブトは微動だにしない。
彼もまた、一直線に足を進めていた。
その様子は、まさに太陽。
仮面ライダーカブトに与えられた、太陽の神の称号を示すように、威風堂々としていた。
「例え如何なる王が相手だろうと……太陽の前には平伏すのみ」
「太陽だって? 笑わせないでよ」
カブト虫を彷彿とさせる赤い仮面ライダーと、カブト虫を彷彿とさせる金色のアンデッド。
昆虫の王と、昆虫の王。
互いに言葉を、そして敵意を乗せた視線を激突させる。
太陽を自称する、カブト。
王を自称する、コーカサスビートルアンデッド。
同時に武器を振るって、激突を再開した。
クナイガンとオーバーオールの刃が、闇夜で煌めく。
力に任せたコーカサスビートルアンデッドの斬撃を、カブトは一つ一つ受け流した。
接触面から、次々と甲高い音が響く。
数度の撃ち合いが終わった後、彼らは距離を取った。
しかし、カブトは息を整える暇が与えられない。
地面に足を付けた直後、流れるようにアンジールが突進してきたのだ。
「オオォォォォッ!」
咆吼と共に、リベリオンが左袈裟斬りで振るわれる。
再度跳躍して、カブトは斬撃を回避した。
その結果、刃先は空振りに終わる。
カウンターを放つために、カブトはクナイガンを振るった。
しかし、それは届かない。
「うっ!?」
突然、身体が宙に浮かぶのを感じる。
地面から両足が離れた瞬間、カブトは数メートル後ろに吹き飛ばされていった。
受け身を取ろうとするが、四肢が動かない。
この現象には、覚えがあった。
数時間前にも経験した、キングの念力。
無様にも、カブトは地面に叩きつけられてしまう。
そのまま転がってしまうが、何とか起きあがって体勢を立て直した。
刹那、彼は見てしまう。
コーカサスビートルアンデッドとアンジールが、こちらに掌を向けているのを。
それを目撃したカブトの行動は、早かった。
「――――プットオン!」
『PUT ON』
カブトゼクターの角を、反対側に倒す。
それは咄嗟の判断だった。
この離れた位置からのクロックアップは、途中で切れる危険性が高い。
故に、マスクドフォームに戻るための機能、プットオンを選ぶ。
電子音声と共に、伸びた角が元の位置に下がっていった。
その直後、キャストオフによって吹き飛んだ銀色の鎧が、カブトの身体を覆う。
「遅いよっ!」
「ファイガ!」
そして、それぞれの腕から、エネルギー弾と灼熱の炎が襲いかかった。
ファイガはカブトの全身を飲み込み、光線が爆音を鳴らす。
一発だけでなく、無慈悲に次々と放たれていった。
連射される二つの力によって、大地は抉られていく。
それによって、大量の粉塵が舞い上がった。
視界が遮られたのを見て、二人はようやく攻撃を止める。
この光景を見て、コーカサスビートルアンデッドは充実感を覚えた。
(ハハハッ! 太陽とか名乗っておきながら、やっぱり弱いな! さて、どんな無様な姿を見せてくれるかな?)
敵は咄嗟にマスクドフォームになった。
『MASUKARE-DO』に書かれた文章によると、あれは防御に特化した形態らしい。
だが、この攻撃の前では意味を成さないだろう。
『CAST OFF』
侮蔑の視線を向けていると、音声が聞こえた。
その途端、目の前から金属片が放出されて、一気に煙が晴れる。
コーカサスビートルアンデッドとアンジールの脇を、凄まじい勢いで通り過ぎた。
『CHANGE BEETLE』
そして再び、粉塵の中から姿を現す者がいる。
言うまでもなく、ただ一人。
ライダーフォームへと形態を変えた、カブトだった。
しかし、先程とは少しだけ違うところがある。
短剣一本で戦っていたはずなのに、反対側の手に見慣れぬ剣が握られていたのだ。
「――――いくぞ」
右手には、クナイガンを。
左手には、黄金の輝きを放つ巨大な剣を持っていた。
それはZECTが生み出した、全てのゼクターの頂点に立つ必殺の武器。
ハイパーゼクターと同じく、ワームとの戦いに勝利する鍵の一つ。
パーフェクトゼクターの名を持つ、究極の剣だった。
◆
時間は、ほんの少し遡る。
爆発の衝撃を受けて、カブトは地面に吹き飛ばされた。
身体が転がっていくが、瞬時に勢いを止める。
エネルギー弾と炎の直撃を受けたが、瞬時にマスクドフォームとなったため、ダメージは軽減された。
関節を軽く動かす。やはり、致命傷は負ってない。
周りを見渡しながら、カブトは考える。
煙幕が広がっているので、視界がはっきりしない。
キャストオフをする手があるが、それでは格好の的になるだけ。
かといって、このままでは煙の向こうから、奇襲を受けるだろう。
(…………ん?)
周囲を見渡すカブトは、思考を止めた。
吹き上がる爆煙の向こうで、一つの影を見つける。
一瞬、敵かと思い構えを取った。
しかし、影は動かない。
それは棒のように、この場に突き刺さっている。
何かと思い、カブトは一歩前に進んだ。
見えるところまで行った途端、仮面の下で目を見開く。
(これは、まさか……)
そこに顕在するのは、一本の巨大な剣だった。
刀身は黄金色に輝いて、握り手には四つのボタンが備え付けられている。
それぞれのスイッチには赤、黄、水色、紫の四色に彩られていた。
この武器を、カブトは知っている。
ワームを初めとした数多の脅威に対抗するため作られた、完全の名を持つゼクター。
「やはり、パーフェクトゼクターか…………」
敵に悟られないほどの小さな声で、カブトは呟く。
何故、これがここにあるのか。
ここに、彼の知らない事実が存在する。
先程合流したスバル・ナカジマの荷物の中に、パーフェクトゼクターが存在した。
しかしそれは、八神はやてが『妖艶なる紅旋風』を放ったことで、このC-9地点まで吹き飛ばされてしまう。
そして偶然にも、コーカサスビートルアンデッドとアンジールの攻撃によって、カブトもまたここまで辿り着いた。
彼はすぐにパーフェクトゼクターを手に取る。
まるで主の帰還を喜ぶかのように、刃は輝きを放った。
ハイパーフォームにはなれないため、本来の威力を発揮することは出来ない。
しかし、自身の中で力が沸き上がっていくような感覚がした。
これさえあれば、戦える。
カブトは、空いた方の手でゼクターホーンを反転させた。
「キャストオフ!」
『CAST OFF』
カブトゼクターから、力強い音声が発せられる。
その瞬間、堅牢な鎧と共に、辺りの煙が吹き飛んだ。
◆
C-9地点と、D-9地点の境目。
そこは既に、完全な荒れ地と成り果てていた。
カブトがパーフェクトゼクターを手に入れたことにより、戦況は更に変わる。
コーカサスビートルアンデッドとアンジールが、数と物量の差で有利に立っていたはずだった。
カブトの視線に、左右から同時に凶器が襲いかかるのを目にする。
彼はそれらに対抗するため、両腕を突き出した。
左から迫るオーバーオールを、パーフェクトゼクターで受け止める。
右から迫るリベリオンを、クナイガンで受け止める。
四つの武器が衝突し、火花が散った。
そのままカブトはバックステップを踏んで、距離を取る。
そして、構えを取った。
普段なら二刀流での戦いは行わないが、この場合は仕方がない。
(…………まるで、あいつみたいだな)
ふと、カブトは仮面の下で笑みを浮かべる。
今の構えが、長い間共に戦っていたあの男と、とても似ているのに気づいたため。
『戦いの神』と呼ばれる、クワガタ虫を模したマスクドライダーの資格者と。
とても考えが甘いが、見ていてとても面白いあの男と。
仮面ライダーガタック。
否、加賀美新とよく似ていたのだ。
「そんな武器を使うなんて、いけないなぁ」
無論、感慨に耽っている場合ではない。
コーカサスビートルアンデッドは、こちらに腕を向けている。
これが意味するのは、二つ。
エネルギー弾での攻撃か、念力を使ってパーフェクトゼクターを奪うこと。
可能性としては、後者が高い。
両足に力を込めて、カブトは跳躍した。
その途端、先程立っていた空間は予想通り、歪みが生じる。
「はあっ!」
舞い上がるカブトは、空中でクナイガンを投げた。
標的は、地上にいるコーカサスビートルアンデッド。
突き刺さろうとした瞬間、刃はソリッドシールドに阻まれる。
だが、それでいい。
目的は先程のように、敵の視界を隠すこと。
それを果たしたカブトは、身体を反転させる。
目前からは、アンジールが片翼を羽ばたかせながら、高速で迫っていた。
「「ダアッ!」」
互いに武器を振るい、激突させる。
スーパーでの戦いを再現しているようだったが、二つの違いがあった。
一つ、二人は相手の戦術を見切っていること。
二つ、所持する武器の違い。
それ故、彼らの条件は拮抗していた。
パーフェクトゼクターとリベリオンが、間髪入れずに次々と振るわれる。
一度激突する度に、火花が飛んだ。
一度激突する度に、微かな光が灯った。
一度激突する度に、金属同士が激突する音が響いた。
一度激突する度に、闇が震えた。
純粋な力ならば、アンジールに天秤が傾く。
しかし今のカブトは、パーフェクトゼクターを手に戦っていた。
その威力は、クナイガンを上回る。
アンジールまでには届かないが、その要素を足すことでカブトは戦っていた。
やがて、彼らの打ち合いは一時終わる。
きっかけは、アンジールが更に上空へ羽ばたいたことによって。
(距離を取る…………なるほどな)
カブトは、眼下に視線を移す。
案の定、その先ではコーカサスビートルアンデッドが、腕を向けていた。
直後、あのエネルギー弾が轟音と共に放たれる。
最初に使った念力は、ただの囮だった。
空中戦という、アンジールの本領を発揮できる状況まで追い込んで、先程のように光線を放つ。
しかしその攻撃を、ただ受けることなどしない。
「クロックアップ」
『CLOCK UP』
再び脇腹のスイッチを叩いて、クロックアップを行った。
瞬時にカブトは超高速の世界に突入して、落下する。
周りの光景が遅く見える中、パーフェクトゼクターのボタンに指を付けた。
『KABUTO POWER』
大剣から、音程の高い機械音声が発せられる。
それは、聞き慣れた音。
武器の力を発揮するための、合図だった。
音声が鳴った瞬間、パーフェクトゼクターの刀身にタキオン粒子が纏われる。
生まれた原子は稲妻の形となって、赤い輝きを放った。
そんな中、カブトは地面に着地する。
残された時間は、三秒も満たない。
彼は姿勢を低くしながら地面を蹴って、コーカサスビートルアンデッドの懐に潜り込んだ。
『CLOCK OVER』
全ての動きが、元通りになる知らせが告げられる。
コーカサスビートルアンデッドはそれに反応し、振り向いた。
視界に映るカブトは、パーフェクトゼクターの握り手に備えられた、引き金を引く。
『HYPER BLADE』
「はあああぁぁぁぁっ!」
「なっ……!?」
咆吼と電子音声が、重なった。
パーフェクトゼクターから、凄まじいほどの赤い風圧が放たれる。
カブトはコーカサスビートルアンデッドの胸板を、下から斜め上に薙ぎ払った。
咄嗟に発生したソリッドシールドすらも、易々と砕いて。
タキオン粒子によって生まれた刃、ハイパーブレイドの一撃は、コーカサスビートルアンデッドを呆気なく吹き飛ばした。
その反動は凄まじく、身体が痺れるのをカブトは感じる。
いつもなら、感じたことのない衝撃。
本来パーフェクトゼクターは、ハイパーフォームに変身することを前提で、作られた武器。
このゼクターに内蔵されている一撃の威力は高いが、反動も凄まじい。
通常の形態で技を使っては、こちらに衝撃が来ても当然だった。
加えて、手応えがいつもより感じられない。
(だが、キングにダメージを与えた…………上出来だ)
それでも、コーカサスビートルアンデッドに傷を負わせた。
クロックアップの疲労や、パーフェクトゼクターの反動など、耐えればいいだけ。
天の道を往く自分なら、この程度は何て事無い。
先程投げたクナイガンを、カブトは拾う。
その直後、空に飛んでいたアンジールもまた、地面に降りた。
片翼から羽根が舞い落ちる中、無言でリベリオンを構える。
カブトもまた、何も言わずに二刀流の構えを取った。
二人は睨み合い、冷たい空気が広がる。
「あ~あ…………痛いなぁ」
そんな中、緊張感を壊すような声が聞こえた。
カブトとアンジールは、そちらに振り向く。
二人の視線の先から、異形の怪人が黄金色の身体を輝かせながら、ゆっくりと迫っていた。
「やってくれるじゃないか、カブト。でも、礼を言うよ」
コーカサスビートルアンデッドは、気怠そうに肩を回す。
現れたアンデッドを見て、カブトは違和感を感じた。
あるはずの物が、身体にない。
「なんだかよく分からないけど、君のおかげで力を取り戻せたよ! ありがとう!」
そう、コーカサスビートルアンデッドの首にあるはずの首輪が、無かったのだ。
絶対に外せないはずの物が、何故。
カブトの中で、疑問が広がっていく。
◆
これは、幾つもの出来事が重なった結果、起こったことだった。
まず一つ目。
コーカサスビートルアンデッドはウルトラマンメビウスと戦った際に、二人のウルトラマンが力を合わせて放った技を受けた。
メビュームナイトブレードの名を持つ、闇を切り払う剣を。
それを受けたコーカサスビートルアンデッドは、莫大なダメージを負った。
この時はアンデッドの再生能力と、治療の神 ディアン・ケトのカードを使って、命を繋ぐ。
次に二つ目。
これは参加者の知らない出来事だった。
第四回放送の際に主催側で内乱が起きて、プレシア・テスタロッサは死亡。
新たにゲームマスターとなったジェイル・スカリエッティが、参加者とのバランスを取るために、全ての首輪に備えられた爆薬を解除した。
その結果、首輪の爆発による死亡は、起こらなくなる。
そして最後に三つ目。
パーフェクトゼクターを手に入れたカブトによって、必殺の攻撃を受けた。
下から上に掬い上げるように放たれた、ハイパーブレイド。
その刃先が、コーカサスビートルアンデッドの力を縛る首輪に、偶然にも命中したのだ。
本来なら、首輪はこれだけでは壊れない程の耐久力を持っている。
しかし、メビウスとの戦いで敗北した際に、大きく劣化していたのだ。
アンデッドの再生力とディアン・ケトで、コーカサスビートルアンデッドの傷は治った。
だが、治癒されるのは身体のみ。
能力を縛る首輪は、その対象ではなかったのだ。
メビュームナイトブレードによる爆発と、ハイパーブレイドの一撃。
それら二つと、主催者が行った爆破解除が奇跡的に合わさって、首輪から解放された事になる。
その結果、コーカサスビートルアンデッドは本来の力を、ある程度のみ取り戻した。
恐らく、この真相に気づくのは、誰一人としていない。
◆
「ふふふふふふ、力が漲っていくなぁ…………!」
コーカサスビートルアンデッドはわざと両腕を広げながら、嘲るように喋る。
その態度からは絶対的有利に立ったという、余裕が感じられた。
首輪が破壊されて、何故無事でいられるのかは、彼自身分からない。
だが、真相などどうでもよかった。
忌々しい首輪が無くなったと言うことは、もう死ぬことはない。
元から心配もしていなかったが。
自分の身体が軽くなったような感覚を、コーカサスビートルアンデッドは覚えている。
そのまま、カブトとアンジールの方に振り向いた。
「せっかくだから、君にプレゼントをあげるよ」
軽く呟きながら、コーカサスビートルアンデッドは腕を向ける。
そしていつものように、二人を目がけて勢いよく衝撃波を放った。
カブトとアンジールはすぐに後ろに飛んで、回避行動を取る。
直後、彼らのいた大地にエネルギーの塊が激突し、大爆発を起こした。
その威力は先程までとは比較にならず、大地を激しく揺らしていく。
そしてエネルギーの余波で飛ばされそうになりながらも、カブトとアンジールは地面に着地した。
そんな中でも、コーカサスビートルアンデッドは笑い声を漏らしている。
「わかったでしょ、君じゃ僕には勝てないって。さあ、どうするのかな?」
たった今放った衝撃波の威力を見て、確信していた。
やはり自分こそが、最強の存在であると。
そして、脆弱な人間をもっと苦しめてやりたい。
コーカサスビートルアンデッドの脳裏に、いつもの光景が浮かぶ。
苦しむ人間の姿を見つけて、それを携帯のカメラに収めてホームページにアップロードすること。
もしも目の前にいるカブトを敗北へ追い込み、その姿にタイトルを付けるなら何がいいか。
そんなことを考えながら、コーカサスビートルアンデッドはエネルギー弾を放ち続ける。
「くっ!」
標的となったカブトは、左右に飛んで回避した。
彼は必死になって避けるが、その先に繋ぐ余裕がない。
何度目になるかわからない爆発の直後、周囲が再び煙で覆われる。
それでもコーカサスビートルアンデッドは、笑い声を上げながらエネルギー弾を発射した。
今度は、プットオンもクロックアップもさせない。
ペースがこちらに乗ったと確信した故の行動。
その最中、爆音と共に広がっていく粉塵の中から、一つの影が跳び上がってきた。
「はああぁぁぁぁぁっ!」
「ちっ!」
パーフェクトゼクターを構えながら、カブトは姿を現す。
叫びと共に大剣を、重力の落下速度と重ねながら、敵に目がけて振り下ろした。
コーカサスビートルアンデッドは、オールオーバーを構えて迎え撃つ。
そして、二つの刃は激突した。
カブトの与えた一撃によって、コーカサスビートルアンデッドが立つ地面は、ほんの少しだけ沈む。
だが、そこから先に進むことは出来なかった。
純粋な腕力だけで言えば、コーカサスビートルアンデッドに分がある。
カテゴリーキングの称号があるように、それはアンジールと匹敵するほどだった。
それを察したカブトは、上空からの攻撃を選ぶ。
この結果、ようやくコーカサスビートルアンデッドにまで力が届いたのだ。
地面に足が付いたカブトは、背後へ飛ぶ。
彼の首には、あの銀色の首輪が巻かれていなかった。
コーカサスビートルアンデッドの攻撃で煙が吹き荒れる中、彼はもしやと思い外すことを選ぶ。
結果、爆発は起こらなかった。
(どういう事だ、爆発が起こらないとは…………何かの罠か?)
プレシア・テスタロッサは殺し合いを強制させる手段として、一人の少女を犠牲にしたはず。
だが何も起こらない。
もしや、これ自体が何かの罠で、首輪を外した参加者にペナルティを用意してるのか。
(いや、考えるのは後だ。まずはこいつらを倒すことが先決だ)
目の前には、コーカサスビートルアンデッドとアンジールがいる。
まずは、この二人との戦いに集中するべき。
特にアンジールも、自分達を見て異変が起こらないと気づいて、首輪を掴む。
そして力ずくで外し、残骸を投げ捨てた。
案の定、その首が飛ぶことはない。
こうしてここにいる三人は、自らに課せられた制限から解放させた。
彼らは同時に、地面を蹴って走り出す。
そのまま武器を掲げた。
◆
三つ巴の戦いを物陰から眺める金居は、舌打ちをする。
その理由は、コーカサスビートルアンデッドの首輪が突然破壊されたため。
あれは自分の記憶が正しければ、爆発する仕組みになっているはずだ。
しかし、カブトの攻撃を受けても何も起こらない。
ここは禁止エリアになっている訳でもないのに、何故。
疑問が広がっていく中、カブトとアンジールも首輪を外す。
それでも爆発することはなかった。
「チッ、何がどうなっている…………?」
苛立ちながら呟く。
物事が自分の都合の良いように動いていると思ったら、むしろ逆だった。
だが、これは逆にチャンスかもしれない。
金居は自分を縛り付ける、首輪に手を掛ける。
そのままアンデッドの力で、勢いよく引きちぎった。
数秒の時間が経過するが、やはり何も起こらない。
「何だと……」
何故爆発しないのか。
これが意味することは、参加者の解放。
何かの罠を、プレシアは仕掛けているのか。
もしや主催者は、自分達をこの世界もろとも捨てようとしている。
だから、首輪を爆発させる必要が無くなったのか。
金居は考えるが、答えが見つからない。
そんな彼の前では、未だに戦いが続いていた。
【2日目 黎明】
【現在地 D-9 荒れ地】
【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】疲労(中)、全身にダメージ(中)、カブトに変身中、首輪が爆発しなかった事による疑問
【装備】ライダーベルト(カブト)&カブトゼクター@魔法少女リリカルなのは マスカレード、パーフェクトゼクター@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】なし
【思考】
基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。
1.アンジールとキングを倒す。
2.なんとかして皆と合流して全員をまとめる。
【備考】
※放送の異変から主催側に何かが起こりプレシアが退場した可能性を考えています。
※首輪を外したので、制限からある程度解放されました。
※ハイパーフォームになれないので、通常形態でパーフェクトゼクターの必殺技を使うと反動が来ます。
【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】健康、コーカサスビートルアンデッドに変身中
【装備】ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔法と魔法少女たち、キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式、おにぎり×10、ハンドグレネード×4@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ラウズカード(ハートの1、3~10)、ボーナス支給品(未確認)、ギルモンとアグモンと天道とクロノとアンジールのデイパック(道具①②③④⑤)
【道具①】支給品一式、RPG-7+各種弾頭(照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、トランシーバー×2@オリジナル
【道具②】支給品一式、菓子セット@L change the world after story
【道具③】支給品一式、『SEAL―封印―』『CONTRACT―契約―』@仮面ライダーリリカル龍騎、爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸
【道具④】支給品一式、いにしえの秘薬(空)@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER
【道具⑤】支給品一式、
【思考】
基本:この戦いを全て無茶苦茶にする。
1.アンジールと共に、カブトを叩き潰す。
2.先程の紅い旋風が何か調べる。
3.他の参加者にもゲームを持ちかけてみたり、騙して手駒にするのもいいかも?
4.『魔人ゼロ』を演じてみる(そろそろ飽きてきた)。
【備考】
※キングの携帯電話には『相川始がカリスに変身する瞬間の動画』『八神はやて(StS)がギルモンを刺殺する瞬間の画像』『高町なのはと天道総司の偽装死体の画像』『C.C.とシェルビー・M・ペンウッドが死ぬ瞬間の画像』が記録されています。
※全参加者の性格と大まかな戦闘スタイルを把握しています。特に天道総司を念入りに調べています。
※十分だけ放送の時間が遅れた事に気付き、疑問を抱いています。
※首輪が外れたので、制限からある程度解放されました。
【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
【状態】疲労(中)、深い悲しみと罪悪感、脇腹・右腕・左腕に中程度の切り傷、全身に小程度の切り傷、願いを遂行せんとする強い使命感、キングへの疑念、主催陣(キング含む)に対する怒り
【装備】リベリオン@Devil never Strikers、チンクの眼帯
【道具】なし
【思考】
基本:最後の一人になって亡き妹達の願い(妹達の復活)を叶える。
1.天道との決着を付ける。
2.参加者の殲滅。
3.ヴァッシュの事が微かに気掛かり(殺す事には変わりない)。
4.キングが主催者側の人間でなかった事が断定出来た場合は殺す。
5.主催者達を許すつもりはない。
【備考】
※ナンバーズが違う世界から来ているとは思っていません。もし態度に不審な点があればプレシアによる記憶操作だと思っています。
※オットーが放送を読み上げた事から主催者側にナンバーズの命が握られている可能性を考えています。
※首輪を外したので、制限からある程度解放されました。
【金居@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状況】健康、ゼロ(キング)への警戒、首輪が爆発しなかった事による疑問、現状への危機感。
【装備】バベルのハンマー@仮面ライダークウガA’s ~おかえり~
【道具】支給品一式、トランプ@なの魂、砂糖1kg×5、イカリクラッシャー@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、首輪(アグモン、アーカード)、正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、デザートイーグル(4/7)@オリジナル、Lとザフィーラとエネルのデイパック(道具①②③)
【道具①】支給品一式、首輪探知機(電源が切れたため使用不能)@オリジナル、ガムテープ@オリジナル、ラウズカード(ハートのJ、Q、K、クラブのK)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、レリック(刻印ナンバーⅥ、幻術魔法で花に偽装中)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪(シグナム)、首輪の考察に関するメモ
【道具②】支給品一式、ランダム支給品(ザフィーラ:1~3)、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、かいふくのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
【道具③】支給品一式、顔写真一覧表@オリジナル、ジェネシスの剣@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、クレイモア地雷×3@リリカル・パニック
【思考】
基本:プレシアの殺害。
1.何故、首輪が爆発しなかった?
2.プレシアの要件通りスカリエッティのアジトに集まった参加者を排除するor仲違いさせる(無理はしない方向で)。
3.基本的に集団内に潜んで参加者を利用or攪乱する。強力な参加者には集団をぶつけて消耗を図る(状況次第では自らも戦う)。
4.利用できるものは利用して、邪魔者は排除する。
【備考】
※放送の遅れから主催側で内乱、最悪プレシアが退場した可能性を考えています。
※首輪が爆発しなかったことから、主催側が自分達を切り捨てようとしている可能性を考えています。
※首輪を外したので、制限からある程度解放されました。
【全体備考】
※フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerSがC-9地点に向かっています。
※戦いの余波によって、D-9地点が荒れ地となりました。
※アンジールのデイバッグ(中身は支給品一式)がD-9地点に放置されています。
【首輪の解除について】
※解除しても、爆死が無くなっただけで全ての制限から解放されません
※どの程度まで解放させるかは、後続の書き手さんにお任せします
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|~|投下順で読む|Next:[[分かたれたインテルメッツォ]]|
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|~|アンジール・ヒューレー|Next:[[]]|
|~|キング|Next:[[]]|
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*解ける謎!!(後編) ◆LuuKRM2PEg
◆
激しさを増す戦いの影響で、辺りは次々と吹き飛んでいった。
仮面ライダーと、アンデッドと、ソルジャーの手によって。
周囲の大地は所々が砕かれ、所々に亀裂が走り、植物はメラメラと音を立てながら燃えていた。
もはや、森林という元の原形は一片たりとも、保っていない。
そんな中で、三人は戦いを繰り広げていた。
カブトは、クナイガンの引き金を引いて、イオンで出来た弾丸を放つ。
アンジールは、渾身の力を込めてリベリオンを振るって、それを弾いた。
コーカサスビートルアンデッドは、ソリッドシールドを形成させ、イオンビームを防ぐ。
遠距離からの攻撃は、通らずに終わった。
カブトはクナイガンの持ち方を、クナイモードに変える。
目前からは、アンジールがリベリオンを振りかぶりながら、迫っていた。
「フンッ!」
「はあっ!」
クナイガンを頭上に掲げて、カブトは銀色の剣を防ぐ。
二つの得物が、掛け声と同時に激突し、火花を散らせた。
クナイガンとリベリオンの刃が擦れ合い、互いの力が拮抗する。
しかし、純粋な腕力ならばアンジールの方に、分があった。
故に、カブトは徐々に押されていく。
彼はふと、疑問を感じた。
コーカサスビートルアンデッドの姿が、見られない。
鍔迫り合いの中、彼は一瞬だけ横に視線を移す。
すると、見えた。
少し離れた位置から、コーカサスビートルアンデッドが真っ直ぐに腕を向けているのを。
何をするつもりなのか。
疑問を抱いた瞬間、掌から輝きが放たれる。
「「ッ!?」」
カブトとアンジールは、同時に背後へ飛んだ。
その直後、轟音と共にエネルギー弾が発射され、彼らのいた場所を飲み込んでいく。
そして凄まじい爆発が起こり、辺りの地面を容赦なく吹き飛ばした。
しかし、それだけでは終わらない。
音と共に発生した爆風は、カブトの身体を容赦なく飛ばした。
「くっ!」
だが、彼はすぐに受け身を取る。
そのお陰で、地面に激突する事態だけは、避けることが出来た。
ここから半径三メートル。
視界を遮る物は、全て跡形もなく吹き飛ばされていた。
「なるほどな」
体勢を整えながら、カブトはぽつりと呟く。
コーカサスビートルアンデッドは、まだこんな隠し球を持っていたとは。
先程の念力に加えて、今のエネルギー弾。
そしてアンジールと同じように、奴は自分の戦いを見切っている。
状況は、こちらが圧倒的に不利だ。
だがそんなことは関係ない。
おばあちゃんだって、言っていた。
仕事は納豆のように粘り強くするものだ…………と。
だから、今は必死に戦う。
その言葉を思い出しながら、カブトは敵に振り向いた。
「…………貴様、俺を巻き込むつもりだったのか」
アンジールは、コーカサスビートルアンデッドを睨み付ける。
彼もまた、エネルギー弾による衝撃波に、吹き飛ばされていた。
後退したことで、幸いにもダメージは負っていない。
「君だったら、すぐに避けられたでしょ?」
「何?」
「そんなことより、カブトを倒そうよ」
しかしコーカサスビートルアンデッドは、まるで悪びれもせずに答えた。
アンジールが避けるのを見て、彼は失望の感情を抱く。
この男は優勝するためなら、何でもするかと思っていた。
だが、実際はこのザマ。
カブトを止めている隙にエネルギー弾を放とうとしたが、避けるなんて。
(やれやれ、こいつはただの腰抜けだな)
コーカサスビートルアンデッドは、心中で溜息を吐く。
もうこの男は駄目だ、使えない。
初めは妹を殺した自分の駒になるという、シチュエーションに心を躍らせた。
しかし、実際の戦いになってはロクに使えない。
カブトを始末するための道具にしたが、それすらも満足に出来ないとは。
だが、今だけは特別に一緒に戦ってあげよう。
侮蔑の視線を一瞬だけアンジールに向けて、カブトに振り向いた。
「ゲームを続けようか、カブト」
言い放ちながら、コーカサスビートルアンデッドは足を進める。
その様子は、まさに王。
カテゴリーキングの名が示すように、威風堂々としていた。
異形の身体からは、圧倒的と呼べるほどの覇気を放っている。
「一つ教えてやろう」
それを真っ向から受けながらも、カブトは微動だにしない。
彼もまた、一直線に足を進めていた。
その様子は、まさに太陽。
仮面ライダーカブトに与えられた、太陽の神の称号を示すように、威風堂々としていた。
「例え如何なる王が相手だろうと……太陽の前には平伏すのみ」
「太陽だって? 笑わせないでよ」
カブト虫を彷彿とさせる赤い仮面ライダーと、カブト虫を彷彿とさせる金色のアンデッド。
昆虫の王と、昆虫の王。
互いに言葉を、そして敵意を乗せた視線を激突させる。
太陽を自称する、カブト。
王を自称する、コーカサスビートルアンデッド。
同時に武器を振るって、激突を再開した。
クナイガンとオーバーオールの刃が、闇夜で煌めく。
力に任せたコーカサスビートルアンデッドの斬撃を、カブトは一つ一つ受け流した。
接触面から、次々と甲高い音が響く。
数度の撃ち合いが終わった後、彼らは距離を取った。
しかし、カブトは息を整える暇が与えられない。
地面に足を付けた直後、流れるようにアンジールが突進してきたのだ。
「オオォォォォッ!」
咆吼と共に、リベリオンが左袈裟斬りで振るわれる。
再度跳躍して、カブトは斬撃を回避した。
その結果、刃先は空振りに終わる。
カウンターを放つために、カブトはクナイガンを振るった。
しかし、それは届かない。
「うっ!?」
突然、身体が宙に浮かぶのを感じる。
地面から両足が離れた瞬間、カブトは数メートル後ろに吹き飛ばされていった。
受け身を取ろうとするが、四肢が動かない。
この現象には、覚えがあった。
数時間前にも経験した、キングの念力。
無様にも、カブトは地面に叩きつけられてしまう。
そのまま転がってしまうが、何とか起きあがって体勢を立て直した。
刹那、彼は見てしまう。
コーカサスビートルアンデッドとアンジールが、こちらに掌を向けているのを。
それを目撃したカブトの行動は、早かった。
「――――プットオン!」
『PUT ON』
カブトゼクターの角を、反対側に倒す。
それは咄嗟の判断だった。
この離れた位置からのクロックアップは、途中で切れる危険性が高い。
故に、マスクドフォームに戻るための機能、プットオンを選ぶ。
電子音声と共に、伸びた角が元の位置に下がっていった。
その直後、キャストオフによって吹き飛んだ銀色の鎧が、カブトの身体を覆う。
「遅いよっ!」
「ファイガ!」
そして、それぞれの腕から、エネルギー弾と灼熱の炎が襲いかかった。
ファイガはカブトの全身を飲み込み、光線が爆音を鳴らす。
一発だけでなく、無慈悲に次々と放たれていった。
連射される二つの力によって、大地は抉られていく。
それによって、大量の粉塵が舞い上がった。
視界が遮られたのを見て、二人はようやく攻撃を止める。
この光景を見て、コーカサスビートルアンデッドは充実感を覚えた。
(ハハハッ! 太陽とか名乗っておきながら、やっぱり弱いな! さて、どんな無様な姿を見せてくれるかな?)
敵は咄嗟にマスクドフォームになった。
『MASUKARE-DO』に書かれた文章によると、あれは防御に特化した形態らしい。
だが、この攻撃の前では意味を成さないだろう。
『CAST OFF』
侮蔑の視線を向けていると、音声が聞こえた。
その途端、目の前から金属片が放出されて、一気に煙が晴れる。
コーカサスビートルアンデッドとアンジールの脇を、凄まじい勢いで通り過ぎた。
『CHANGE BEETLE』
そして再び、粉塵の中から姿を現す者がいる。
言うまでもなく、ただ一人。
ライダーフォームへと形態を変えた、カブトだった。
しかし、先程とは少しだけ違うところがある。
短剣一本で戦っていたはずなのに、反対側の手に見慣れぬ剣が握られていたのだ。
「――――いくぞ」
右手には、クナイガンを。
左手には、黄金の輝きを放つ巨大な剣を持っていた。
それはZECTが生み出した、全てのゼクターの頂点に立つ必殺の武器。
ハイパーゼクターと同じく、ワームとの戦いに勝利する鍵の一つ。
パーフェクトゼクターの名を持つ、究極の剣だった。
◆
時間は、ほんの少し遡る。
爆発の衝撃を受けて、カブトは地面に吹き飛ばされた。
身体が転がっていくが、瞬時に勢いを止める。
エネルギー弾と炎の直撃を受けたが、瞬時にマスクドフォームとなったため、ダメージは軽減された。
関節を軽く動かす。やはり、致命傷は負ってない。
周りを見渡しながら、カブトは考える。
煙幕が広がっているので、視界がはっきりしない。
キャストオフをする手があるが、それでは格好の的になるだけ。
かといって、このままでは煙の向こうから、奇襲を受けるだろう。
(…………ん?)
周囲を見渡すカブトは、思考を止めた。
吹き上がる爆煙の向こうで、一つの影を見つける。
一瞬、敵かと思い構えを取った。
しかし、影は動かない。
それは棒のように、この場に突き刺さっている。
何かと思い、カブトは一歩前に進んだ。
見えるところまで行った途端、仮面の下で目を見開く。
(これは、まさか……)
そこに顕在するのは、一本の巨大な剣だった。
刀身は黄金色に輝いて、握り手には四つのボタンが備え付けられている。
それぞれのスイッチには赤、黄、水色、紫の四色に彩られていた。
この武器を、カブトは知っている。
ワームを初めとした数多の脅威に対抗するため作られた、完全の名を持つゼクター。
「やはり、パーフェクトゼクターか…………」
敵に悟られないほどの小さな声で、カブトは呟く。
何故、これがここにあるのか。
ここに、彼の知らない事実が存在する。
先程合流したスバル・ナカジマの荷物の中に、パーフェクトゼクターが存在した。
しかしそれは、八神はやてが『妖艶なる紅旋風』を放ったことで、このC-9地点まで吹き飛ばされてしまう。
そして偶然にも、コーカサスビートルアンデッドとアンジールの攻撃によって、カブトもまたここまで辿り着いた。
彼はすぐにパーフェクトゼクターを手に取る。
まるで主の帰還を喜ぶかのように、刃は輝きを放った。
ハイパーフォームにはなれないため、本来の威力を発揮することは出来ない。
しかし、自身の中で力が沸き上がっていくような感覚がした。
これさえあれば、戦える。
カブトは、空いた方の手でゼクターホーンを反転させた。
「キャストオフ!」
『CAST OFF』
カブトゼクターから、力強い音声が発せられる。
その瞬間、堅牢な鎧と共に、辺りの煙が吹き飛んだ。
◆
C-9地点と、D-9地点の境目。
そこは既に、完全な荒れ地と成り果てていた。
カブトがパーフェクトゼクターを手に入れたことにより、戦況は更に変わる。
コーカサスビートルアンデッドとアンジールが、数と物量の差で有利に立っていたはずだった。
カブトの視線に、左右から同時に凶器が襲いかかるのを目にする。
彼はそれらに対抗するため、両腕を突き出した。
左から迫るオーバーオールを、パーフェクトゼクターで受け止める。
右から迫るリベリオンを、クナイガンで受け止める。
四つの武器が衝突し、火花が散った。
そのままカブトはバックステップを踏んで、距離を取る。
そして、構えを取った。
普段なら二刀流での戦いは行わないが、この場合は仕方がない。
(…………まるで、あいつみたいだな)
ふと、カブトは仮面の下で笑みを浮かべる。
今の構えが、長い間共に戦っていたあの男と、とても似ているのに気づいたため。
『戦いの神』と呼ばれる、クワガタ虫を模したマスクドライダーの資格者と。
とても考えが甘いが、見ていてとても面白いあの男と。
仮面ライダーガタック。
否、加賀美新とよく似ていたのだ。
「そんな武器を使うなんて、いけないなぁ」
無論、感慨に耽っている場合ではない。
コーカサスビートルアンデッドは、こちらに腕を向けている。
これが意味するのは、二つ。
エネルギー弾での攻撃か、念力を使ってパーフェクトゼクターを奪うこと。
可能性としては、後者が高い。
両足に力を込めて、カブトは跳躍した。
その途端、先程立っていた空間は予想通り、歪みが生じる。
「はあっ!」
舞い上がるカブトは、空中でクナイガンを投げた。
標的は、地上にいるコーカサスビートルアンデッド。
突き刺さろうとした瞬間、刃はソリッドシールドに阻まれる。
だが、それでいい。
目的は先程のように、敵の視界を隠すこと。
それを果たしたカブトは、身体を反転させる。
目前からは、アンジールが片翼を羽ばたかせながら、高速で迫っていた。
「「ダアッ!」」
互いに武器を振るい、激突させる。
スーパーでの戦いを再現しているようだったが、二つの違いがあった。
一つ、二人は相手の戦術を見切っていること。
二つ、所持する武器の違い。
それ故、彼らの条件は拮抗していた。
パーフェクトゼクターとリベリオンが、間髪入れずに次々と振るわれる。
一度激突する度に、火花が飛んだ。
一度激突する度に、微かな光が灯った。
一度激突する度に、金属同士が激突する音が響いた。
一度激突する度に、闇が震えた。
純粋な力ならば、アンジールに天秤が傾く。
しかし今のカブトは、パーフェクトゼクターを手に戦っていた。
その威力は、クナイガンを上回る。
アンジールまでには届かないが、その要素を足すことでカブトは戦っていた。
やがて、彼らの打ち合いは一時終わる。
きっかけは、アンジールが更に上空へ羽ばたいたことによって。
(距離を取る…………なるほどな)
カブトは、眼下に視線を移す。
案の定、その先ではコーカサスビートルアンデッドが、腕を向けていた。
直後、あのエネルギー弾が轟音と共に放たれる。
最初に使った念力は、ただの囮だった。
空中戦という、アンジールの本領を発揮できる状況まで追い込んで、先程のように光線を放つ。
しかしその攻撃を、ただ受けることなどしない。
「クロックアップ」
『CLOCK UP』
再び脇腹のスイッチを叩いて、クロックアップを行った。
瞬時にカブトは超高速の世界に突入して、落下する。
周りの光景が遅く見える中、パーフェクトゼクターのボタンに指を付けた。
『KABUTO POWER』
大剣から、音程の高い機械音声が発せられる。
それは、聞き慣れた音。
武器の力を発揮するための、合図だった。
音声が鳴った瞬間、パーフェクトゼクターの刀身にタキオン粒子が纏われる。
生まれた原子は稲妻の形となって、赤い輝きを放った。
そんな中、カブトは地面に着地する。
残された時間は、三秒も満たない。
彼は姿勢を低くしながら地面を蹴って、コーカサスビートルアンデッドの懐に潜り込んだ。
『CLOCK OVER』
全ての動きが、元通りになる知らせが告げられる。
コーカサスビートルアンデッドはそれに反応し、振り向いた。
視界に映るカブトは、パーフェクトゼクターの握り手に備えられた、引き金を引く。
『HYPER BLADE』
「はあああぁぁぁぁっ!」
「なっ……!?」
咆吼と電子音声が、重なった。
パーフェクトゼクターから、凄まじいほどの赤い風圧が放たれる。
カブトはコーカサスビートルアンデッドの胸板を、下から斜め上に薙ぎ払った。
咄嗟に発生したソリッドシールドすらも、易々と砕いて。
タキオン粒子によって生まれた刃、ハイパーブレイドの一撃は、コーカサスビートルアンデッドを呆気なく吹き飛ばした。
その反動は凄まじく、身体が痺れるのをカブトは感じる。
いつもなら、感じたことのない衝撃。
本来パーフェクトゼクターは、ハイパーフォームに変身することを前提で、作られた武器。
このゼクターに内蔵されている一撃の威力は高いが、反動も凄まじい。
通常の形態で技を使っては、こちらに衝撃が来ても当然だった。
加えて、手応えがいつもより感じられない。
(だが、キングにダメージを与えた…………上出来だ)
それでも、コーカサスビートルアンデッドに傷を負わせた。
クロックアップの疲労や、パーフェクトゼクターの反動など、耐えればいいだけ。
天の道を往く自分なら、この程度は何て事無い。
先程投げたクナイガンを、カブトは拾う。
その直後、空に飛んでいたアンジールもまた、地面に降りた。
片翼から羽根が舞い落ちる中、無言でリベリオンを構える。
カブトもまた、何も言わずに二刀流の構えを取った。
二人は睨み合い、冷たい空気が広がる。
「あ~あ…………痛いなぁ」
そんな中、緊張感を壊すような声が聞こえた。
カブトとアンジールは、そちらに振り向く。
二人の視線の先から、異形の怪人が黄金色の身体を輝かせながら、ゆっくりと迫っていた。
「やってくれるじゃないか、カブト。でも、礼を言うよ」
コーカサスビートルアンデッドは、気怠そうに肩を回す。
現れたアンデッドを見て、カブトは違和感を感じた。
あるはずの物が、身体にない。
「なんだかよく分からないけど、君のおかげで力を取り戻せたよ! ありがとう!」
そう、コーカサスビートルアンデッドの首にあるはずの首輪が、無かったのだ。
絶対に外せないはずの物が、何故。
カブトの中で、疑問が広がっていく。
◆
これは、幾つもの出来事が重なった結果、起こったことだった。
まず一つ目。
コーカサスビートルアンデッドはウルトラマンメビウスと戦った際に、二人のウルトラマンが力を合わせて放った技を受けた。
メビュームナイトブレードの名を持つ、闇を切り払う剣を。
それを受けたコーカサスビートルアンデッドは、莫大なダメージを負った。
この時はアンデッドの再生能力と、治療の神 ディアン・ケトのカードを使って、命を繋ぐ。
次に二つ目。
これは参加者の知らない出来事だった。
第四回放送の際に主催側で内乱が起きて、プレシア・テスタロッサは死亡。
新たにゲームマスターとなったジェイル・スカリエッティが、参加者とのバランスを取るために、全ての首輪に備えられた爆薬を解除した。
その結果、首輪の爆発による死亡は、起こらなくなる。
そして最後に三つ目。
パーフェクトゼクターを手に入れたカブトによって、必殺の攻撃を受けた。
下から上に掬い上げるように放たれた、ハイパーブレイド。
その刃先が、コーカサスビートルアンデッドの力を縛る首輪に、偶然にも命中したのだ。
本来なら、首輪はこれだけでは壊れない程の耐久力を持っている。
しかし、メビウスとの戦いで敗北した際に、大きく劣化していたのだ。
アンデッドの再生力とディアン・ケトで、コーカサスビートルアンデッドの傷は治った。
だが、治癒されるのは身体のみ。
能力を縛る首輪は、その対象ではなかったのだ。
メビュームナイトブレードによる爆発と、ハイパーブレイドの一撃。
それら二つと、主催者が行った爆破解除が奇跡的に合わさって、首輪から解放された事になる。
その結果、コーカサスビートルアンデッドは本来の力を、ある程度のみ取り戻した。
恐らく、この真相に気づくのは、誰一人としていない。
◆
「ふふふふふふ、力が漲っていくなぁ…………!」
コーカサスビートルアンデッドはわざと両腕を広げながら、嘲るように喋る。
その態度からは絶対的有利に立ったという、余裕が感じられた。
首輪が破壊されて、何故無事でいられるのかは、彼自身分からない。
だが、真相などどうでもよかった。
忌々しい首輪が無くなったと言うことは、もう死ぬことはない。
元から心配もしていなかったが。
自分の身体が軽くなったような感覚を、コーカサスビートルアンデッドは覚えている。
そのまま、カブトとアンジールの方に振り向いた。
「せっかくだから、君にプレゼントをあげるよ」
軽く呟きながら、コーカサスビートルアンデッドは腕を向ける。
そしていつものように、二人を目がけて勢いよく衝撃波を放った。
カブトとアンジールはすぐに後ろに飛んで、回避行動を取る。
直後、彼らのいた大地にエネルギーの塊が激突し、大爆発を起こした。
その威力は先程までとは比較にならず、大地を激しく揺らしていく。
そしてエネルギーの余波で飛ばされそうになりながらも、カブトとアンジールは地面に着地した。
そんな中でも、コーカサスビートルアンデッドは笑い声を漏らしている。
「わかったでしょ、君じゃ僕には勝てないって。さあ、どうするのかな?」
たった今放った衝撃波の威力を見て、確信していた。
やはり自分こそが、最強の存在であると。
そして、脆弱な人間をもっと苦しめてやりたい。
コーカサスビートルアンデッドの脳裏に、いつもの光景が浮かぶ。
苦しむ人間の姿を見つけて、それを携帯のカメラに収めてホームページにアップロードすること。
もしも目の前にいるカブトを敗北へ追い込み、その姿にタイトルを付けるなら何がいいか。
そんなことを考えながら、コーカサスビートルアンデッドはエネルギー弾を放ち続ける。
「くっ!」
標的となったカブトは、左右に飛んで回避した。
彼は必死になって避けるが、その先に繋ぐ余裕がない。
何度目になるかわからない爆発の直後、周囲が再び煙で覆われる。
それでもコーカサスビートルアンデッドは、笑い声を上げながらエネルギー弾を発射した。
今度は、プットオンもクロックアップもさせない。
ペースがこちらに乗ったと確信した故の行動。
その最中、爆音と共に広がっていく粉塵の中から、一つの影が跳び上がってきた。
「はああぁぁぁぁぁっ!」
「ちっ!」
パーフェクトゼクターを構えながら、カブトは姿を現す。
叫びと共に大剣を、重力の落下速度と重ねながら、敵に目がけて振り下ろした。
コーカサスビートルアンデッドは、オールオーバーを構えて迎え撃つ。
そして、二つの刃は激突した。
カブトの与えた一撃によって、コーカサスビートルアンデッドが立つ地面は、ほんの少しだけ沈む。
だが、そこから先に進むことは出来なかった。
純粋な腕力だけで言えば、コーカサスビートルアンデッドに分がある。
カテゴリーキングの称号があるように、それはアンジールと匹敵するほどだった。
それを察したカブトは、上空からの攻撃を選ぶ。
この結果、ようやくコーカサスビートルアンデッドにまで力が届いたのだ。
地面に足が付いたカブトは、背後へ飛ぶ。
彼の首には、あの銀色の首輪が巻かれていなかった。
コーカサスビートルアンデッドの攻撃で煙が吹き荒れる中、彼はもしやと思い外すことを選ぶ。
結果、爆発は起こらなかった。
(どういう事だ、爆発が起こらないとは…………何かの罠か?)
プレシア・テスタロッサは殺し合いを強制させる手段として、一人の少女を犠牲にしたはず。
だが何も起こらない。
もしや、これ自体が何かの罠で、首輪を外した参加者にペナルティを用意してるのか。
(いや、考えるのは後だ。まずはこいつらを倒すことが先決だ)
目の前には、コーカサスビートルアンデッドとアンジールがいる。
まずは、この二人との戦いに集中するべき。
特にアンジールも、自分達を見て異変が起こらないと気づいて、首輪を掴む。
そして力ずくで外し、残骸を投げ捨てた。
案の定、その首が飛ぶことはない。
こうしてここにいる三人は、自らに課せられた制限から解放させた。
彼らは同時に、地面を蹴って走り出す。
そのまま武器を掲げた。
◆
三つ巴の戦いを物陰から眺める金居は、舌打ちをする。
その理由は、コーカサスビートルアンデッドの首輪が突然破壊されたため。
あれは自分の記憶が正しければ、爆発する仕組みになっているはずだ。
しかし、カブトの攻撃を受けても何も起こらない。
ここは禁止エリアになっている訳でもないのに、何故。
疑問が広がっていく中、カブトとアンジールも首輪を外す。
それでも爆発することはなかった。
「チッ、何がどうなっている…………?」
苛立ちながら呟く。
物事が自分の都合の良いように動いていると思ったら、むしろ逆だった。
だが、これは逆にチャンスかもしれない。
金居は自分を縛り付ける、首輪に手を掛ける。
そのままアンデッドの力で、勢いよく引きちぎった。
数秒の時間が経過するが、やはり何も起こらない。
「何だと……」
何故爆発しないのか。
これが意味することは、参加者の解放。
何かの罠を、プレシアは仕掛けているのか。
もしや主催者は、自分達をこの世界もろとも捨てようとしている。
だから、首輪を爆発させる必要が無くなったのか。
金居は考えるが、答えが見つからない。
そんな彼の前では、未だに戦いが続いていた。
【2日目 黎明】
【現在地 D-9 荒れ地】
【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】疲労(中)、全身にダメージ(中)、カブトに変身中、首輪が爆発しなかった事による疑問
【装備】ライダーベルト(カブト)&カブトゼクター@魔法少女リリカルなのは マスカレード、パーフェクトゼクター@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】なし
【思考】
基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。
1.アンジールとキングを倒す。
2.なんとかして皆と合流して全員をまとめる。
【備考】
※放送の異変から主催側に何かが起こりプレシアが退場した可能性を考えています。
※首輪を外したので、制限からある程度解放されました。
※ハイパーフォームになれないので、通常形態でパーフェクトゼクターの必殺技を使うと反動が来ます。
【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】健康、コーカサスビートルアンデッドに変身中
【装備】ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔法と魔法少女たち、キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式、おにぎり×10、ハンドグレネード×4@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ラウズカード(ハートの1、3~10)、ボーナス支給品(未確認)、ギルモンとアグモンと天道とクロノとアンジールのデイパック(道具①②③④⑤)
【道具①】支給品一式、RPG-7+各種弾頭(照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、トランシーバー×2@オリジナル
【道具②】支給品一式、菓子セット@L change the world after story
【道具③】支給品一式、『SEAL―封印―』『CONTRACT―契約―』@仮面ライダーリリカル龍騎、爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸
【道具④】支給品一式、いにしえの秘薬(空)@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER
【道具⑤】支給品一式、
【思考】
基本:この戦いを全て無茶苦茶にする。
1.アンジールと共に、カブトを叩き潰す。
2.先程の紅い旋風が何か調べる。
3.他の参加者にもゲームを持ちかけてみたり、騙して手駒にするのもいいかも?
4.『魔人ゼロ』を演じてみる(そろそろ飽きてきた)。
【備考】
※キングの携帯電話には『相川始がカリスに変身する瞬間の動画』『八神はやて(StS)がギルモンを刺殺する瞬間の画像』『高町なのはと天道総司の偽装死体の画像』『C.C.とシェルビー・M・ペンウッドが死ぬ瞬間の画像』が記録されています。
※全参加者の性格と大まかな戦闘スタイルを把握しています。特に天道総司を念入りに調べています。
※十分だけ放送の時間が遅れた事に気付き、疑問を抱いています。
※首輪が外れたので、制限からある程度解放されました。
【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
【状態】疲労(中)、深い悲しみと罪悪感、脇腹・右腕・左腕に中程度の切り傷、全身に小程度の切り傷、願いを遂行せんとする強い使命感、キングへの疑念、主催陣(キング含む)に対する怒り
【装備】リベリオン@Devil never Strikers、チンクの眼帯
【道具】なし
【思考】
基本:最後の一人になって亡き妹達の願い(妹達の復活)を叶える。
1.天道との決着を付ける。
2.参加者の殲滅。
3.ヴァッシュの事が微かに気掛かり(殺す事には変わりない)。
4.キングが主催者側の人間でなかった事が断定出来た場合は殺す。
5.主催者達を許すつもりはない。
【備考】
※ナンバーズが違う世界から来ているとは思っていません。もし態度に不審な点があればプレシアによる記憶操作だと思っています。
※オットーが放送を読み上げた事から主催者側にナンバーズの命が握られている可能性を考えています。
※首輪を外したので、制限からある程度解放されました。
【金居@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状況】健康、ゼロ(キング)への警戒、首輪が爆発しなかった事による疑問、現状への危機感。
【装備】バベルのハンマー@仮面ライダークウガA’s ~おかえり~
【道具】支給品一式、トランプ@なの魂、砂糖1kg×5、イカリクラッシャー@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、首輪(アグモン、アーカード)、正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、デザートイーグル(4/7)@オリジナル、Lとザフィーラとエネルのデイパック(道具①②③)
【道具①】支給品一式、首輪探知機(電源が切れたため使用不能)@オリジナル、ガムテープ@オリジナル、ラウズカード(ハートのJ、Q、K、クラブのK)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、レリック(刻印ナンバーⅥ、幻術魔法で花に偽装中)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪(シグナム)、首輪の考察に関するメモ
【道具②】支給品一式、ランダム支給品(ザフィーラ:1~3)、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、かいふくのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
【道具③】支給品一式、顔写真一覧表@オリジナル、ジェネシスの剣@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、クレイモア地雷×3@リリカル・パニック
【思考】
基本:プレシアの殺害。
1.何故、首輪が爆発しなかった?
2.プレシアの要件通りスカリエッティのアジトに集まった参加者を排除するor仲違いさせる(無理はしない方向で)。
3.基本的に集団内に潜んで参加者を利用or攪乱する。強力な参加者には集団をぶつけて消耗を図る(状況次第では自らも戦う)。
4.利用できるものは利用して、邪魔者は排除する。
【備考】
※放送の遅れから主催側で内乱、最悪プレシアが退場した可能性を考えています。
※首輪が爆発しなかったことから、主催側が自分達を切り捨てようとしている可能性を考えています。
※首輪を外したので、制限からある程度解放されました。
【全体備考】
※フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerSがC-9地点に向かっています。
※戦いの余波によって、D-9地点が荒れ地となりました。
※アンジールのデイバッグ(中身は支給品一式)がD-9地点に放置されています。
【首輪の解除について】
※解除しても、爆死が無くなっただけで全ての制限から解放されません
※どの程度まで解放させるかは、後続の書き手さんにお任せします
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