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オタクと吸血鬼とレバ剣と ◆UOleKa/vQo




「どっきりとかだったら、そろそろ出てきてほしいんだけどなー」

小学生と間違えそうなほどに小柄な少女、泉こなたは墓地でデイパックを探りながらポツリと呟いた。
いつものようにかがみやなのは達と帰っていたはずだが、気づいたらコスプレしたおばさんによる語りが始まっていた。
そこまでなら「おお? 何かのイベントに応募してたっけー?」等と笑いながら楽しめただろう。

「……夢、とかじゃないよね」

自分にはめられている首輪にそっと手を触れ、これの爆発によって頭部を失った金髪の少女を思い出す。
あれよりもよほどエグイシーンをゲームやアニメなんかで見慣れている、
だが、あの大量の血が出す匂いは始めてだ、思いだすだけで吐き気がする。
どんなスプラッタ物のイベントだろうと、あんな匂いまで再現することは彼女の経験からいってまずありえない。

「ただのイベントには興味がありません……なんてレベルじゃないよ」

愕然としながら、少しでも気を紛らわせようと某所で有名なセリフをアレンジして呟いてみる……あまり効果はなかった。
こういう時はまず情報の確認だよね、と名簿を見て……動きを止める。

「かがみん、つかさ……」

あの時の会話からなのはとフェイトが居ることは気づいていた。
何故か二人とも二つ名前が書かれているが、大手の雑誌でさえこの手のミスプリントはよくあるためそれは置いておく。
だが、まさかこの二人までいるとは、姉妹で殺し合えという気なのか、あのおばさんは。

「それに、スバルとティアナってゆーちゃんのクラスに転校してきたって子だよね……確かなのはさんの後輩とか」

突然殺し合いの場に送られた平凡な少女、
彼女は震えながらも知り合いを、親友を殺していく。
だが彼女は生きようとしているだけなのだ、そのことは果たして罪なのか?

……冗談じゃない、こんなの三流のシナリオライターだって書きやしない。

「何とかみんなで逃げる方法……あいたっ」

バッグを探る手に何か痛みを感じ、それを慎重に取りだす。

「ナイフ……これ、いわゆる投げナイフって奴だよね?」

直接斬るのではなく、投擲して相手を傷つける武器……無論ネットでの知識だが。
もしもこれが自分に向けられたら——途端に恐ろしくなり、他に何か身を守れそうな物はないかとバッグの探索を再開する。


「カード……? 私も知らないカードゲームとは、珍しい……」

一枚のカードを取り出して呟く。
バスターブレイダーという名前と、モンスターデザインや数値が書かれたそれは間違いなくカードゲームの物だろう。
しかし、ここまで凝った造りをしているのに自分が知らないカードゲームがあるとは……

「あれ?」

一瞬、このカードで戦う人たちの姿が頭に浮かぶ。
本当に自分はこれを知らないのか? それを疑問に思った瞬間、背後から聞こえてきた足跡に慌てて振り向く。
次の瞬間、こなたの目に写されたのは大柄な赤いコートを着た男の姿。

「どうだヒューマン、心躍るいい夜だと思わないか」
「へ?」

突然声をかけられ、思わず間の抜けた声をあげてしまう。
心躍るどころか沈みまくっている、というか殺し合えなどと言われて幸せに感じる人などいるものか。

「さ、最悪の夜だよ、いきなり殺し合えって、訳わかんないし……」
「何を悩む、殺し合う、闘争だ! かかってこいヒューマン! それがこのパーティーのルールだ! HURRY!」
「ひっ!?」

叫びながら尚も近づいてくる男の異常さにようやく気づき、慌てて逃げ出す。
それを見て男——アーカードは酷く失望したかのような表情で軽く跳躍しこなたの目の前に降り立つ。

「うわわっ!?」
「失望したぞ人間、逃げ出すだけの狗の餌か?」
「あ、ああ……」

人間離れしたその動きにこなたは怯え、固まってしまう。
震えるだけのこなたに、アーカードはつまらなそうに片手を振り上げる。

「とっとと死ね、負け犬」
「う、うわぁぁぁぁ!」

その言葉がによって恐怖が突き抜け、こなたは咄嗟に投げナイフを放ってしまう。
本来投げナイフを相手にうまく命中させるにはそれなりの訓練が必要だ、漫画やアニメのように真っ直ぐは飛ばずに回転して刺さるのだから。
だが、運良く——あるいは悪くだろうか——こなたの放ったナイフはアーカードの頭部へと突き刺さった。

「あ、う、嘘……」



殺されるところだった、反撃しなければどうしようもなかった。
だけど、殺すつもりなんてなかった、腕とかに当れば怯むと思っただけだ。
まさか、こんなにあっさりと致命傷を与えられるなんて——

「やるじゃないか、ヒューマン」
「——っ!?」
「そうだ、そうでなくてはな! どうした、これで終わりなどと言うなよ! 次の武器を出せ! なければこの刃を拾いもう一度突き立てろ!! HURRY! HURRY! HURRY!」

アーカードは眉間に深く刺さったナイフをあっさりと抜いてその場に捨てる。
その傷跡はどんどんと塞がっていき、傷がついていたことさえわからないレベルまで元通りになってしまった。

「こ、このぉぉぉぉぉぉ!!!」

余りの光景にパニック状態に陥ったこなたは実力差も考えず殴りかかる。
それをアーカードは満足気に見ながら反撃のため拳を構え……

「飛竜、一閃!!」

二人の間を蛇腹状の剣が飛来し、両者の動きを止める。
その剣は飛んできた方向へと舞い戻っていき、持ち主の手元で普通の剣の形状へと変化した。

「二人とも止まって! 時空管理局所属、スバル・ナカジマです!」
「え……スバルって……」
「ほう……?」

青色の短髪の少女、スバルの呼びかけに二人は同時に疑問の声をあげる。
その反応に多少きょとんとしながら、スバルは呼びかけを続けていく。

「えっと……こんな殺し合い、する必要ありません! 一緒に逃げだす方法を探しましょう!」
「断る」
「なっ……」
「判っているはずだ、止めてみたければ向かって来い! 貴様は狗の餌とは違うはずだろう!」

アーカードの言葉にスバルは困惑する。
戦いを止めない、それはまだいいとしよう。
いや、良くはないが想定の範囲内だ。
しかし、今の言葉はまるで自分を知っているかのようだった、しかしこんな男とは知り合った覚えはない。
不可解な点が多いが——今やるべきことは一つ。

「なら、力づくでも止めてみせる……レヴァンティン、お願い!」


『Ja!』
「そうだ、来い! HURRY! HURRY! HURRY!」
「君、離れてて!」

スバルに言われてこなたは思い出したかのように駆け出してアーカードから離れる。
もはやそちらには興味を無くし、アーカードはスバルが振り下ろすレヴァンティンを左腕で受け止める。
非殺傷設定にしてあるとはいえ、戦闘機人の力で打ち込まれた剣撃には例え吸血鬼といえども耐えきれない、嫌な音を立てながら腕の骨が砕けた。
まさか素手で受け止めてくるとは思わず、スバルは一瞬動きを止めてしまう。
その隙だらけの腹部に右の手刀で貫こうと突き出し、咄嗟に張られたプロテクションを砕くに留まる。

「なんて、無茶苦茶な……え!?」
「どうした? 忘れたのか? 私を止めたければここを狙え、聞いているはずだぞ?」

自らの心臓のあたりを『左手』で指すアーカードにスバルは驚愕の表情を浮かべる。
少しずつではあるが、先ほどと同じように傷を負った直後からその部分が再生していく、「この」スバルにとっては未知の存在であった。

「だ、ダメだよ! こいつ頭にナイフが刺さってもすぐに治っちゃうんだよ!」
「う、嘘、そこまで!?」

少し離れた墓の影からこなたが叫び、スバルはその異常な回復力に驚きを通り越してどこか感心してしまう。
だが、そうなるとまずい、本人が言う通り心臓を破壊すれば流石に回復しないだろうが……殺す以外に止める方法がないということだ。

「一つ聞かせてほしい」
「え?」
「お前は本当にスバル・ナカジマなのか?」

思わぬ問いかけにきょとんとする。
アーカードからしてみれば「この」スバルは最初から奇妙だった。
時空管理局所属、これは間違っているわけではないからいい。
自分に対して型通りの警告しかしてこなかったこと、自分が吸血鬼だと知らないようだということ、どれを取っても不自然なのだ。
彼女は自分を「知っている」はずなのだから。

「どういう意味……? 私を知ってるの?」
「記憶喪失、いや、それは違うか……ふむ、少しわかりかけてきた」

不可解なアーカードの言動にスバルは首を捻るばかりだが、もしかしたらこのまま戦闘を回避できるかもしれないと淡い期待を抱く。

「まぁ、そんなことはどうでもいいな」
「どうしても、止まってくれないの?」
「言ったはずだぞヒューマン、私を止めたくば心の臓を貫けとな!」


戦闘態勢を一向に解こうとしないアーカードに、スバルは一つの決断を下す。

「レヴァンティン、非殺傷モード解除」
『Ja』

人外の相手、更にプロテクションを素手で叩き割るほどの身体能力の相手に手加減などしては敗北を待つだけだ。

——両足を潰して、その間に逃走……これしかない。

いい気がしないのは確かだが、この男ならばきっと問題なく回復するのだろう。
自分に言い聞かせるように考え、真正面から斬りかかっていく。
最初の一撃といい、正直すぎる攻撃に少し呆れながらアーカードは自らを狙う剣を逆に蹴り上げる。
レヴァンティンごと右手が跳ね上げられるが、その勢いを利用し左の拳を放つ、
それを受け止めようとした瞬間、スバルの瞳が金色へと変貌する。

「IS、発動!」
「ぐっ……!」

拳を受け止めたアーカードの右手が軋み、思わず呻く。
スバルのIS、振動破砕は相手を超振動によって内部から破壊する攻撃だ、いかに吸血鬼といえど、完全に防ぐことなどできはしない。
流石のアーカードも体勢を崩し、好機と見てその足へレヴァンティンを振るい——止められる。

「実に素晴らしい、だが、まだ足りんな」
「う、くっ、このぉ!」

スバルは必死に力を込めるが、アーカードの左手に掴まれたレヴァンティンはびくともしない。
そのまま片腕でレヴァンティンごとスバルを投げ飛ばし、近くの墓石を破壊する。

「ぐ……つ、強すぎる……!」
「どうした、それで終わりか!? 『この』スバル・ナカジマは武器を失った程度で戦えなくなる臆病者だったか!?
 立ち上がれ! 先ほどの拳を放ってみろ! HURRY! HURRY! HURRY!」

レヴァンティンはスバルから離れた位置に飛ばされてしまっている、振動破砕では両足を潰すのは難しい。
破砕エネルギーをある程度操作できる振動拳が使えれば別なのだろうが——あれはスバル本来のデバイス、マッハキャリバーがなければ扱えない。
アーカードを止める術が見つからず、拳を構えながらも一歩後ろへと退いてしまう。
それが気に食わなかったか、アーカードは大きく一歩踏み込みスバル目がけて疾走しようとする。

「た、たぁぁぁぁ!!」
「む!?」


背後からの叫びに振り返る。
こなたがレヴァンティンを構え、自分へと斬りかかって来ていた、
素人の剣とはいえかわせる距離、体勢ではない、咄嗟に両腕を交差させレヴァンティンを受ける。
殺傷設定のままのそれはわずかに肌を斬り裂くが、こなたの力と技術ではそれが限界だ。
——このままであれば。

「レヴァンティン、カートリッジロード!」

スバルがこなたの持つレヴァンティンへと指示を出し、それに応えて薬莢を二つ吐き出す。
カートリッジの魔力を操る技術などこなたには存在しない、だからその魔力は純粋にレヴァンティンの強化へのみ回される。
結果——

「がっ……!」

レヴァンティンがアーカードの両腕を切断し、更にその体をも浅く斬り裂く。
間近で血が吹き出し、慌ててこなたは湧いてきた吐き気を堪えながら後ろへさがる。

「く、くく……HAHAHAHAHA!! 素晴らしい、素晴らしいぞヒューマン!」
「れ、レバ剣の扱いには定評があるからね! ……ネトゲーでだけど」
「さあ私を貫け! 四肢を切断しろ! 喰らわれたくなければ私を滅びすがいい!!」

さすがにすぐには再生を始めていない両腕はそのままに、体の傷など気にせず硬直したままのこなたへと蹴りを放つ。
その足がこなたの頭部を砕こうとした寸前、スバルのプロテクションがそれを阻む。

「一撃、必倒!」

プロテクションが再び砕かれながらも、その衝撃を堪えながら右手に魔力を集中させていく。
両腕を失い、さらに不安定な体勢で軸足しか残っていないアーカードにそれを防ぐ術はない。

「ディバイン……バスター!!」

スバルの十八番、魔力砲撃を近距離で叩きつける。
アーカードが吹き飛ぶのを最後まで見る前に、スバルはこなたの手を握って走り出す。

「わわっ!?」
「急いで、今のうちに逃げよう!」


二人が去ったすぐ後、アーカードはゆっくりと起き上がる。
こなたに斬られた両腕はようやくくっつきかけていたが、まだ完全に治っているとは言い難い。
——治癒が遅い。

「妙なことをするな……それともこの地下に川でも通っているのか?」

体も重く、プレシアが自らの能力を制限しているのだろうとアーカードは考える。
何故そんなことをするのかはわからないが、それはどうでもいい、思うのは残念だということ。
自らの両腕を斬り捨て、更に吹き飛ばしてみせたあの二人。
この会場にいる他の者も同じような実力者たちばかりなのだろうかと考えるだけで心が躍る。
それ故に、全力で戦えないことが惜しい、惜しすぎる。
自分だけならばまだいい、だが相手も同じように制限がかかっていたなら、それによって全力が見れないとしたらこれほど惜しいことはない。

「だが、いいだろう」

そう、自分がやることは変わりはしない。

「闘争だ! 私を滅ぼしてみろ! ヒューマン達よ!!」

【1日目 深夜】
【現在地 B-6】
【アーカード@NANOSING】
【状態】両腕不調、全身にダメージ中(回復中)
【装備】無し
【道具】支給品一式、ランダム支給品1〜3
【思考】
 基本 闘争を楽しむ
 1.スバル達を追撃するか思案
【備考】
 ※スバルがNANOSINGのスバルとは別人であると気が付きました。


「こ、ここまでくれば……」
「つ、疲れたぁ……」

森を抜け、スバルとこなたの二人はその場にへたり込む。
後ろを振り返るがあの男が追ってくる様子はないようだ。

「た、助かった……」
「うう、流石に頭がパニックだよ……ファンタジー世界へいきなり飛ばされる主人公の気持ちがわかる時が来るなんて……」

目の前で行われた現実ではありえないバトルに、こなたの精神は現実逃避を起こしかけている。
その様子を見て、スバルはこの『子供』が魔法とは無縁の世界の住人だということに気づく。

——こんな子にまで殺し合えだなんて……酷過ぎるよ。

「安心して」
「え?」
「さっきは逆に助けてもらっちゃったけど……絶対私が守ってみせるから!」
「わ……ありがとう……なんだか、スバルって本当にアニメのヒーローみたいだね」
「そ、そうかな?」

こなたの言葉に照れながら頬を掻く。
純粋な子供にこう言われるのは悪い気はしない。


——ただ、スバルは気づいていない。
自分が子供だと思っている少女、こなたは自分より年上だということを。

【1日目 深夜】
【現在地 C-7】
【泉こなた@なの☆すた】
【状態】疲労(中)、混乱
【装備】レヴァンティン
【道具】支給品一式、投げナイフ(9/10)@リリカル・パニック、バスターブレイダー@リリカル遊戯王GX、ランダム支給品0〜1
【思考】
 基本 かがみんやつかさ、なのは達に会いたい
 1.スバル……ゆーちゃんのクラスの子とは、違うよねぇ?
 2.アーカード(名前は知らない)を警戒
【備考】
 ※参加者に関するこなたのオタク知識が消されています。ただし何らかのきっかけで思い出すかもしれません。


【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(中)
【装備】バリアジャケット
【道具】支給品一式、ランダム支給品0〜2
【思考】
 基本 殺し合いを止める、できる限り相手を殺さない
 1.こなたを守る
 2.アーカード(名前は知らない)を警戒
 3.六課のメンバーと合流
 4.アリサさん……
 5.私のこと、何で知ってたんだろう?
【備考】
 ※こなたを小学生ぐらいの子だと思っています



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