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シャーリーと爆砕牙 ◆Qpd0JbP8YI




シャーリーはそのか細い腕で何とか天道を温泉にある一室の布団の上に寝かせることに成功した。
そして軽く額に浮き出た汗を拭いながら、彼女はそっと彼の持っていた刀に目を向けてみた。
それを見ると、どうしても思い出してしまう河口湖での事件。
そこではイレブンのテロリストが同じもの所持し、自分たちにそれを突きつけてきた。
彼女の中に自然とその時の恐怖が湧き起こってきた。
この人は殺し合いに乗った人なのだろうか。
殺しあえと言われ、無理矢理変な所に連れてこられ、
そして簡単に人を殺すようなテロリストが持っていた武器が目の前にある。
その二つによって当然の疑問がシャーリーの頭に浮かんだ。

「ううん、違うよねっ!」

だけどシャーリーは頭を振りながら、その考えを追い払った。
確かに河口湖の事件では日本解放を目指すイレブンのテロリストによってブリタニアの人は殺された。
また同じくイレブンのテロリスト、黒の騎士団によって自分の父は無残にも殺されてしまった。
ブリタニアの国籍を持つ物、父親の子供である自分は当然、イレブンを憎むべきなのだろう。
でも、シャーリーは知っていた。
イレブンにはスザクのような人間がいることを。
猫であるアーサーには嫌われてはいるみたいだったけれど、彼は誰かのために優しくなれた。
屋根から落ちそうになったルルーシュを助け、自分とルルーシュのことも応援していてくれた。
そんな彼は例えイレブンでもあっても、自分にとって大切な人であり、自分の友人と言える人だ。
そして目の前にいるこの人だって、
スザクと同じように自分の友達になれるかもしれない人なのだ。
それならば、放っておけはしない。

「よし!」

彼女は掛け声一つ、両手の握り拳を胸の前に掲げ、気合を入れた。
そして改めて怪我の容態を確認しようとして、彼女は途端に途方に暮れてしまった。
仰向けに寝る彼の身体全体には思わず目を逸らしてしまいたくなるような傷があり、
腹部にはより事態の凄惨さを増すかのように血が絶えず流れ出ていた。
その今まで見た事がないむごたらしい有様は、
彼女の中に湧き出た気力を挫けさせるのに十分なものだった。

「え、えーと、こんな時、どうするんだっけ?」



とはいえ、そのまま何もせずにというわけにはいかない。
動揺しながらもシャーリーは必死に自分の知識から、彼を助けるための手段を模索した。
そして思い出したのは、部活で習った救命措置。

「そ、そうだ。確かこんな時は気道を確保して…………」

そう言いながら彼女は急いで彼のアゴを上に向け、人口呼吸の準備に取り掛かった。

《ルル、ごめんね》

何故か心の思い浮かんだ同級生に謝りながら
彼女は自らの唇を天道のに重ねようとした……。





「……って、違ーう! これは人口呼吸! 意味ないから!」





しかし、唇が触れ合う寸前でシャーリーはハッと我に返り、
その意味のない処置に思い切り突っ込みをいれた。

「ななな何をやっているの、私!? これじゃあ、私、馬鹿みたいじゃない!」

おおよそ傷の具合とは相容れない行動に自分の愚かしさを痛感してしまい、
そんな気持ちがより一層彼女の中の現状に対する焦燥を加えていった。

「そ、そうだ。どこかに医務室があるかも」

と、天啓のように訪れた案。
大勢の人を迎え入れるような施設なら、
体調を崩した人の為にも簡単な医薬品が揃った医務室があるはず。
今になって思いついた案に彼女は必死に縋り付き、
狂ったように温泉施設内を走り回った。
そしてようやくの果てに見つけたのは、医務室ではなく小さな救急箱。
しかもその中身は風邪薬、消毒薬、湿布、包帯があるだけの極めて簡素なものだった。
シャーリーはその事実に落胆を感じずにはいられなかったが、
これでもないよりはマシかと急いで天道の元に戻っていった。





救急箱を使った治療はすぐに終わった。
まず更衣室から取ってきたタオルで濡れた身体と血を拭き取り、
その後、出来る限りの傷を消毒し、出来る限りの腫れに湿布を貼り、包帯をする。
しかし全身に及ぶ傷を小さな救急箱では
十分に手当てすることなどは出来るはずもなかった。
そもそも腹部の出血は内臓器官を傷つけている可能性が非常に高く
その場合には外科的治療を施さない限り、止血も治すことも出来ない。
また治療する際にも失血を補うための大量の輸血が必要となってくる。
そのどちらもシャーリーには出来なかったし、
そのための設備を当然、温泉になどあるはずもなかった。

そこで遅まきながらシャーリーの頭に病院という考えが思い浮かんだ。
妙な場所に連れてこられはしたが、もしかしたらちゃんとした医療施設があるかもしれない。
シャーリーは急いで地図を眺めてみたが、すぐに自然と彼女の口から溜息が漏れてしまった。
病院があるにはあったが、遠すぎるのだ。
とても人一人を背負って歩いていける距離ではない。
受付に置いてあった電話で救急車を呼ぼうとしてみたが、
残念ながら、緊急通報用電話番号では繋がらなかった。
念の為に自分の家、学校の生徒会室にかけてみたが、結果は変わらなかった。



ペタリ、と膝をつく。
このままで男の人が死んでしまうかもしれない。
言い知れぬ絶望感と無力感がシャーリーを襲う。
このまま自分は何も出来ず彼を死なせしまうのだろうか。
そして何も出来ない自分はスバルを、カレンを死なせ、
大切なルルーシュをも失い、死んでいってしまうのだろか。
心に重くのしかかった暗い闇は
シャーリーの暗澹たる未来が思い描き、彼女の力を失わせていった。
だけど、それによって彼女の力の全てが失われたわけではない。
ここに転送された時、彼女はルルーシュのために、みんなのために頑張ると決めたのだ。
残る力で彼女は突きつけられる現実に抗うかのように首を左右に振った。
まだ目の前の男性は死んでいない。まだ助かる見込みはあるのだ。

自分は無力ではない。きっと出来る。

無事にこの男の人を助け、その後はスバルを、カレンを、
そしてルルーシュを助けて、元の世界に帰るのだ。

シャーリーはその言葉を証明するため
最後の頼みとばかりに支給されたバッグを漁り出した。
だけど出てくるのは、期待に反してどれも変なものばかり。
自分のにはとてもじゃないが治療に使えそうなものはなかった。
それではこの男の人のはどうか。
他人の物を勝手に見るということに幾らか罪悪感を覚えたが
緊急事態と割り切って、シャーリーは思い切って天道のバッグを中身を開けてみた。
そしてその瞬間、シャーリーの中にあった全ての思考は吹き飛ばされた。



「これって…………」



出てきたのは漆黒に塗られた仮面。
あまり一般には見ぬものではなかったが、彼女にはそれに見覚えがあった。
テレビで、ネットで、そして河口湖で彼女は実際に見たことがある。
それは正義と日本解放の旗を掲げる黒の騎士団の象徴。
そしてそれを統べるゼロがいつも身に着けている仮面。



「じゃあ、この人がゼロ……?」



思い出すのは大好きだった父。
いつも自分のことを気にかけ、自分の為にチケットを手配してくれた優しい父。
それを無残にも殺した張本人が目の前にいる。



「……お父さんの仇…………」



彼女は既に殺し合いのことなどは失念していた。
彼女の頭の中を占めるのは目の前にいるゼロのことだけ。
彼女の手は震えながらも爆砕牙の方に伸びていき、
その刀をゆっくりと鞘から抜いていった。






【1日目 黎明】
【現在地 B-7 温泉(海鳴温泉)】
【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】
【状態】健康
【装備】浴衣、 爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3 (一見して治療に使えそうなものはありません)
【思考】
 基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。
 1.お父さんの仇を……
 2.ルルやスバルやカレンを探す。
【備考】
 ・天道のことをゼロだと思っています



【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】重傷(全身、特に右脇腹)、疲労困憊、気絶中
【装備】なし
【道具】支給品一式、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ランダム支給品0~1
【思考】
 基本:元の世界への帰還。
 1.気絶中。
 2.……ひより。
【備考】
 ・参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。
 ・なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。
 ・身体がいつものように動かない事を知りました。
 ・朝までにちゃんとした治療をしないと死ぬ可能性が高いと思われます




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