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切なくていとおしいほど、想いは時空を越えて ◆9L.gxDzakI




 かつ、かつ、かつ。
 2人の足が足場を叩く音は、あの広大な平野の地面のそれとは異なっている。
 土にはない硬質なリズムを奏でるのは、立派に舗装されたアスファルト。近代文明都市の象徴。
 ルルーシュ・ランペルージとディエチの2名は、既に市街地への進入を果たしていた。
 彼らの目的地に向かう道のりにしては、ほんのすこし遠回り。あの小さな駅から西側に迂回するよりは、そのまま南下した方が近道だ。
 それでも2人がこのルートを選んだのには、それなりの理由があった。
 まず第一に、遮蔽物の有無。
 もしもあのだだっ広い平野で敵と遭遇した場合、自分達は攻撃から身を守る手段がないままに交戦しなければならなくなる。
 戦闘要員でないルルーシュにとっても、後衛型で回避行動には不慣れなディエチにとっても、それは不利な条件だ。
 一方こうして市街地を進んだ場合、周囲に溢れかえった建造物の数々が、自分達の盾になってくれる。
 それは相手にとっても同じことで、つまり普通なら長期戦を招くことになるということ。
 しかし、ルルーシュには普通でない頭があった。
 彼の知略と判断力をもってすれば、背後に回り込んでの奇襲などお手の物。その意思をディエチに伝える通信手段もある。
 そして第二の理由。
 それは足場にあった。
(足場の悪い砂利道は、体力を消耗するからな……)
 悲しいかな、ルルーシュの体力は人並み以下だった。
 目的地まではそこそこに遠い。ならば地図上の区分にして1マス分余計に悪路を進むよりは、少し回り道をしてでもアスファルトを通った方がいい。
 そして街中ならば、万一スタミナが切れた時の休息場所も確保できるだろう。
 何とも情けない話だが、生憎とルルーシュにとっては死活問題だった。
 かつ、かつ、かつ、と。
 魔王を名乗りし革命家と、その最大の友と同じ戦闘機人が、宵闇の中を進んでいく。
 先を行くのは夜目の利くディエチ。その後からルルーシュが、闇に溶け込む漆黒のマントをたなびかせて進む。
 1組の男女が、そうして目指す目的地は、
「確か、病院に行くんだよね」
 視線を前方に向けたまま、ディエチが背後のルルーシュへと確認した。
「その通りだ」
 間髪入れずに、ルルーシュの返事が返ってくる。
 そう。目的地は、街の南東に位置する病院だ。
 こうしたサバイバルゲームにおいて、薬品や医療器具の占有は非常に重要な意味を持っていた。
 たとえば、自分達が負傷しても治療ができるし、逆に相手は負傷しても治療を行えなくなる。
 長期戦になればなるほど、医療品のアドバンテージは大きくなっていくのだ。
「でも、やっぱり実感湧かないな……あたし達戦闘機人には、普通の薬は使えないし」
 栗毛の頭を左人差し指の先で掻きながら、ディエチがぽつりと呟いた。ちなみに右手は、巨大なカスールの銃身でふさがっている。
 彼女ら戦闘機人の機械の身体には、当然普通の人体のための薬品は効果が薄い。
 人間たるルルーシュならともかく、そんなサイボーグであるディエチには、どうしても魅力的には感じられないのだ。
「フッ……メリットはそれだけじゃないさ」
「?」
 微かに含み笑いを浮かべながら、ルルーシュが返答した。
 その意図を察せぬディエチは、怪訝そうな表情を浮かべて首を傾げる。
「病院にある科学薬品は、中には混ぜれば爆薬として使えるようなものもある」
 そしてその言葉を聞いた時、ようやく得心のいった顔色を浮かべていた。
 病院にはもちろん、様々な科学物質が置かれている。それらを上手く調合すれば、ニトロやTNTといった強力な爆薬を調達できるのだ。
 爆弾なら既にルルーシュも3つ持っていたが、それらは基本使い捨ての消耗品である。量が多いに越したことはない。
「そしてそれらを使い――病院を爆破する」
「爆破?」
「薬という餌に釣られた連中には、餌ごと塵芥となって消えてもらうということだ」
 そしてこれこそが、ルルーシュが最初の目的地を病院に定めた最後の理由。
 もしも少しは頭の回る人間ならば、自分達と同じように薬品を目当てにして、病院へと足を運ぶだろう。
 しかし、その判断こそがルルーシュの思う壺。
 そうして薬を求めてのこのこやって来た連中を、病院ごと一網打尽にする最大のチャンスなのだ。
 さらに病院を爆破すれば、中に残った、ルルーシュ達には持ちきれない医療品も根こそぎ破壊できる。
 第一目標たる物質の独占もまた、同時に達成できるのだ。
「……でもそれ、クアットロやチンク姉を巻き込んだりしない?」
 しかしディエチには、それだけが気がかりだった。
 病院の規模は未だ判然としていないが、仮に中に自分の姉妹がいて、それに気付かずに爆破してしまったらどうするのだ、と。
「お前は俺の話を聞く前、病院に意味を見出していたか?」
「あ……」
 しかしその疑念も、ルルーシュの言葉によって即座に氷解する。
 考えてもみればその通りだ。そもそも薬が使えない戦闘機人には、病院を訪れる意味がない。
 治療が必要ならば、ドクターのラボにあるであろう生体ポッドを使えばよいのだから。
 加えて、仮にクアットロがルルーシュと同じ思惑の元に病院へ来るかと問われても、ディエチは首を縦には振れなかった。
 弱者をいたぶり、愚者をたぶらかすことを好む彼女ならば、そんな直接的な手段は選ばない。
 むしろ参加者達の心理を巧みに操り、同士討ちを狙うことを優先するだろう。
「スバルの方も、そこまで頭が回るとは思えない」
 加えてナンバーズだけでなく、自分の身内への考慮も万全だった。
 ディエチは自身の背後を進む少年の頭脳に、ただただ驚嘆する他なかった。
 これまで頭のいい奴といえばクアットロしか思いつかなかったが、この男もまた、あるいはそれ以上の策士なのではないか。
 悪魔のごとき非情な判断力と、王者のごとき磐石のタクティクス。
 誰よりも優れた、誰よりも高き頭脳には、まさしく“魔王”の呼び名が相応しい。
 加えて何やら催眠術のような、超常の力をもその左目に宿している。
 半ば強制された展開だったが、こいつと組んだのは間違いではなかった。
 今ならばそうはっきりと、ディエチは胸を張って言えるだろう。
「……あ、そうだ」
 と、そこで何かを思い出したディエチは、ここにきてようやくルルーシュの方へと振り返った。
 黄色いリボンでまとめた長髪が翻り、さながら獣の尾のごとく夜風に揺れる。
「そろそろ教えてくれない? アンタとタイプゼロの関係を」
 一番の謎はそこだった。
 何故ただの少年にしか見えないこの男が、これほどの知識を有しているのか。その紫の瞳に潜む、真紅の光は一体何なのか。
 ルルーシュへの疑問は他にもある。だが、それらは差して気になることではない。
 最大の謎は、何故彼とスバルが知り合いなのかということだ。
 ディエチの脳内の相関図からは、その項目だけがすっぱりと抜け落ちていた。
 爆発物などの質量兵器に精通している辺り、ルルーシュは管理外世界の人間である可能性が高い。
 そんな人間と、管理世界の中心たるミッドチルダ人のスバルとの間には、本来接点などは存在しないように思えた。
 問いかけられたルルーシュは、しばし顎に手を添えて沈黙する。
 言葉を選んでいるのだろう。恐らく嘘などではなく、純粋に、説明のための語彙を探っている。
「……アイツは管理局とやらの任務の都合で、俺のクラスに転入してきた」
 ややあって、ルルーシュが口を開いた。
 任務、とは一体どういうことなのだろう。亡き姉ドゥーエの報告では、スバルは管理外世界には一度しか出ていない。
 それも日帰りの任務だ。ルルーシュが言うような学校通いなど、到底できるはずもないだろう。
 まさかコイツは、本当に嘘をついているのではないか。そんな思考までが脳裏に浮かぶ。
「いつも鬱陶しいくらいに元気で、明るい奴でな……俺もよく振り回された。
 それでも、スバルと言葉を交わしたり、笑い合ったりした時間は、とても充実したものだった」
 しかしその言葉を聞いた時、ディエチからその疑惑は消えていた。
 本物なのだ。
 ルルーシュが転校生のスバルと一緒に過ごしたという思い出は。
 これまでの不気味なまでに落ち着き払った態度とは、一線を画した彼の語調。
 遠く記憶の果てに過ぎ去った日々を追想するかのような、そんなどこか楽しげな響きが。
 誰にそんな声音が作れよう。偽りの仮面には似つかわしくない暖かさを。
 スバルがいつどうしてルルーシュの世界に来たのかは分からない。しかし、来ていたのは事実として信じられる。
 それがディエチの出した結論。
 そして次の瞬間、
「――愛していたのかもしれない」
 ぼん、と。
 そんな音が聞こえてくるような勢いで。頭から湯気でも噴き出したかのような勢いで。
 少女はその顔を真っ赤にさせていた。
 今、ルルーシュは一体何と言ったのだ。
 愛していた? スバルを?
 無論それが、自分や姉妹達が父たるドクターへと抱く情愛とは違うことくらいは、何となくは分かっている。
 家族愛ではない。要するに、つまりはアレだ。男女の間に芽生えるという、アレだ。
 更に詳しく、それこそ何一つ包み隠さず言うのならば、それはすなわち俗にいう、「惚れた腫れた」という話のことであって、ああつまり……
「冗談だ」
 苦笑混じりのルルーシュの言葉も、ディエチの耳には届かなかった。
 未だ人間をよく知らぬディエチにとっては、色恋沙汰の話は少々刺激が強すぎた。


 愛していたのかもしれない。
 彼流の冗談のつもりだったその言葉を発した時、ルルーシュの胸を何かが揺さぶった。
 ディエチにはそのまま冗談と返したが、果たしてそれは本当に、その一言で片付けてよいものだったのだろうか。
 思えばこの場所に来てから、自分はスバルのことばかり考え続けている。
 あのボーイッシュな青い髪が。あの透き通った緑の瞳が。あの弾けるような明るい笑顔が。
 ルルーシュの頭の中で、かつて共に歩いたスバルの姿が、何度も何度もループを続けている。
 否。それも多かれ少なかれ、今に始まったことではないだろう。
 彼にとって、何より大切な人間は妹のナナリーだ。この世界の中で、たった1人肉親と呼べる存在だ。それは分かる。
 だが、元の世界にいた時から、自分の中でのスバルの存在もまた、日に日に大きくなっていったのもまた事実。
 ならばこれこそが愛なのか。かつて幼き頃の自分が、現在の自分の手で殺めてしまった人に対して抱いていた淡い想いと、まるきり同じとでもいうのか。
 今はまだ分からない。それを論じる必要性も感じられない。
 だが、これだけははっきりと言えることだ。
 この戦いの世界の中で。
 狂気と殺戮に満ちた箱庭の中に、ばらばらに引き裂かれて放置されて。
 だから、今。

(会いたいよ……スバル――)


【1日目 黎明】
【現在地 E-6】

【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反目のスバル】
【状況】健康
【装備】洞爺湖@なの魂、ブリタニア軍特派のインカム@コードギアス 反目のスバル
【道具】支給品一式、小タル爆弾×3@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、インテグラのライター@NANOSING
【思考】
 基本:守りたい者を生き残らせるべく、他の参加者を殺す
 1.スバル……俺は……
 2.スバル、シャーリー、カレン、C.C.を保護したい
 3.可能なら、ディエチの身内(クアットロ、チンク)とも合流する
 4.ゲーム終了時にはプレシアに報復する
 5.まずは病院を目指し、医療品を独占する。その後、やってきた参加者もろとも病院を爆破する。
【備考】
 ・ギアスに何らかの制限がかかっている可能性に気付きました。また、ギアスのオンオフは可能になっています。
 ・スバルがStS本編から来ていることに気付いていません。
 ・シャーリーが父の死を聞いた直後から来ていることに気付いていません。
 ・救出する人間の優先順位を、スバル>シャーリー>C.C.>カレンと無意識にランク付けしています。
 ・ブリタニア軍特派のインカムはディエチからもらった物です。
 ・ナイブズと殺生丸の戦闘の光を見逃しました。

【ディエチ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状況】健康、赤面、混乱
【装備】カスール@NANOSING、ブリタニア軍特派のインカム@コードギアス 反目のスバル
【道具】支給品一式
【思考】
 基本:ナンバーズの仲間と共に生きて帰る
 1.クアットロ、チンクと合流したい
 2.可能なら、ルルーシュの身内(スバル、シャーリー、カレン、C.C.)も保護する
 3.向かってくる敵は基本的には殺す
 4.まずは病院を目指し、医療品を独占する。その後、やってきた参加者もろとも病院を爆破する。
 5.えっと……ルルーシュが、タイプゼロのことを好きで……それは要するに……その……ええ……?
【備考】
 ・ゆりかご攻防戦直後からの参戦です。未だ更生プログラムの話は持ちかけられていません。
 ・チンクがJS事件の最中から来ていることに気付いていません。
 ・ナイブズと殺生丸の戦闘の光を見逃しました。


 ブリタニアの少年ルルーシュには、この時、予期せぬ2つの誤算があった。
 1つは、駅のすぐ南に瞬いた光を見逃したこと。
 まさにこの瞬間、彼らのいた駅の隣のエリアにて、巨大な命の煌めきが炸裂したのだ。
 誇り高き大妖怪の放つ、百雷のごとき光輝を抱いた蒼き龍。邪悪なるプラントの放つ、豪雨のごとき無数の憎悪の刃。
 人の理など当に外れた者同士の激突を、本の少し回り道しただけのことで、ルルーシュが知ることはなくなったのだ。
 嵐にすらも匹敵した、エリアの全てをことごとく薙ぎ払い、蹂躙する戦いに巻き込まれなかったことは、彼らにとっては僥幸であっただろう。
 いわばこれはプラスの誤算。
 しかし――それとは別に、もう1つの誤算が、北に。


「おー、街が見えてきたねぇ」
 夜の平野を歩きながら、小柄な少女が呟いた。
 手に提げるのは炎の魔剣。剣呑なる騎士の刃は、見た目には小学生ほどにも見える少女にはアンバランス。
 泉こなたが、その視界の彼方に、灰色のコンクリート・ジャングルの存在を認めていた。
「ひとまずは、これで安心かな」
 そしてこなたの先を行き、安堵の声を漏らす者が、1人。
 ボーイッシュな青い髪。エメラルドのごとく澄んだ瞳。ぴんと跳ねた一筋の毛先。
 髪の長さを除くならば、全体的なパーツはこなたにひどく似通っている。
 身に纏うのはバリアジャケット。レヴァンティンからもたらされた、魔導師が戦うための防護服。
 さながらルルーシュを守るディエチのように。
 時空管理局所属陸士スバル・ナカジマが、こなたの一歩前に立って歩いていた。
 ひとまず街に入れば、様々な物資を確保することができる。非力なこなたが生き残るには、それらはまさしく必需品だろう。
 戦闘機人のスバルとは違い、彼女は普通の女の子だ。空腹にも睡魔にも、スバルよりも遥かに弱い。
 食糧や寝床など、確保すべきものはたくさんあった。
「で、まずはこれからどこに行くの?」
「んーっとねぇ……」
 背後のこなたに問いかけられ、スバルはデイパックに手を入れながら振り返った。
 取り出した地図を見せ、人差し指でその視線を促す。
「まず、ここに行こうと思ってる」
 病院だった。
 スバルの指先は、奇しくもルルーシュの目的地を的確に捉えていた。
「病院なら、けがしちゃった時のための薬もあるし、布団も置いてあるからね」
 それらはどちらもスバルには不要なものだったが、こなたにとっては必要不可欠なものだった。
 スバルの方は生半可なことでは傷つくこともないし、何より戦闘機人の身体には、普通の薬は意味がない。
 しかし一般人のこなたは別だ。ひとたび戦闘になれば、すぐに怪我をしてしまってもおかしくないだろう。
 加えて、病院のベッドにあるであろうシーツ。就寝の際、寒くて眠れないようでは話にならない。そのための配慮だ。
 そして病院の規模にもよるが、もしも大きな病院ならば、食糧の確保できる売店もある。そうでなくても、近くにはレストランがある。
 そこまで頭は回らないと踏んでいたルルーシュだったが、単純なスバルの判断力でも、それくらいなら考えることはできた。
 これが彼の2つ目の誤算。
「あ、そだ。これ、返しとこっか?」
 と、不意にこなたが、右手に握ったレヴァンティンを突き出してきた。
 先のアーカードとの戦いで、ばたばたしたうちにこなたの手に渡ったアームドデバイスだ。
「ううん。それはこなたが持ってて」
 しかしスバルは首を横に振ると、再びデイパックへと手を入れる。
「あたしはこれを使うから」
 黒光りする銃身が、そこにはあった。
 肩にかけるためのベルトが垂れ下がっている。ごつごつとした異様な風体の本体。恐怖を煽り立てる重厚さ。
 連射式の突撃銃。いわゆるアサルトライフルというやつ。
 管理局員にとっては、本来忌むべきはずの質量兵器だ。
「うわぉ」
 不気味な迫力を醸し出す銃身に、こなたは気圧されたように声を漏らす。
 フィクションの世界では、既に何度も見た者だ。蛇のコードネームを冠する兵士を操り、実際に使ったことさえもある。
 しかし、それはあくまでテレビゲームの話だ。こんなに間近で人殺しの道具を見たことは、さすがにない。
「あれ? でもちょっと待って」
 ふと、こなたが怪訝そうに首をひねった。
「ねぇスバル、それってあたしが持った方がいいんじゃないかな? 身軽なスバルには、剣の方が使いやすそうだし」
 的を得た提案ではあっただろう。
 こなたも運動は得意だったが、それはあくまで一般人の領域だ。戦場においてはのろまでしかなく、むしろ身体能力はスバルの方が高い。
 ならば、動けるスバルを前衛に置き、こなたは後方で固定砲台の役割を果たした方が、理にかなっているのではないか。
 ロールプレイングゲームの世界においても常識として扱われているような、基礎中の基礎たる用兵論だ。
 そしてこなたには知る由もないが、その剣は魔導師を補助するデバイスである。
 魔法を使うスバルにとっては絶大な威力を持った武器だが、魔法の使えぬこなたに持たせては宝の持ち腐れというもの。
 この組み合わせは、ぱっと見た限りでは完全なるミスキャストだ。
「そんなの駄目だよっ!」
 しかし、スバルはそれを全力で否定する。
 両手でこなたの両肩をがっしりと掴むと、思いっきり真剣な表情を浮かべ、互いの緑の瞳を真っ向から見つめ合わさせた。
「いい? こなたは戦わなくてもいいの。……ううん、むしろ戦っちゃいけないんだよ。
 何も知らない普通の子が、状況に流されて、無理やり戦わされるなんてことは……絶対にあっちゃいけない」
 懇願するような真摯な声が、宵闇の中に響き渡った。
 本当ならこなたは、戦わなくてもいい存在だった。そのまま平和に一生を送れるはずだった。
 そんな子が、本人の意志とは無関係に武器を取らされるなどということは、スバルには堪えられなかったのだ。
 かつてスバルが魔導師を目指した時。そして恐らく、あのなのはが魔導師の立場を受け入れた時も。
 そこには確かに、確固たる戦う意志が存在していた。
 しかし、こなたの場合はそれとは違う。彼女はただ巻き込まれただけなのだ。
「だから、これはあたしが使う。それにレヴァンティンなら、盾代わりにはなるだろうから、それはこなたが持ってて」
 言いながら両手を離すと、肩にかけたアサルトライフルのグリップを右手で掴んだ。
 確かに銃ならともかく、剣なら万一の時の防御手段としては使えるだろう。炎の魔剣の強度は折り紙つきだ。
 非力なこなたの盾として、スバルはレヴァンティンを託したのだ。
「あ……うん……」
 こなたが頷くのを確認すると、スバルは身を翻して街へと向かう。そしてこなたもまた、慌ててそれに続いた。
(それにしても……まさか、質量兵器を使うことになるなんて……)
 内心で呟くスバルの表情は冴えない。
 毅然として振る舞ってみせた彼女だったが、その胸中は不安でいっぱいだった。
 手の中にあるのは質量兵器。非殺傷設定などありはしない、人を殺すためだけに作られた凶器。
 おまけにこのアサルトライフルは、銃器の中でも殺傷能力が高い部類に入る連射式だ。
 下手に扱いでもすれば、即座に相手に致命傷を負わせてしまう。そして銃など触れたことのない自分が、果たして上手く扱えるかどうか。
 脳裏に焼きついて離れないのは、最悪の未来予想図だ。
 すなわち――この手で人を殺してしまう可能性。
(……絶対に死なせない)
 内心で宣言した。
 本当は怖くてたまらなかった。銃身を握る手ががたがたと震えそうになるのを、必死に抑え込んでいるだけだ。
 しかしたとえそれが、不安を隠すための空元気あろうとも。そうでもしなければ、そのまま押し潰されてしまいそうだから。
 もしもこの銃で戦うことになろうとも、決して誰も死なせたくはない、と。
 そして、ふと、デイパックの中にあったもう1つの支給品を思い出した。
 みたび鞄の中へと手を突っ込み、先ほど感じた手触りを探る。
 程なくして見つけたそれは、小さな指環だった。
 決して豪華ではないけれども、綺麗に光り輝くエメラルドの指環。スバルの瞳と同じ色の宝石。
(なんなんだろ、これ……)
 それがハズレであることはすぐに分かる。生き残るためには何の価値もないことは理解できる。
 それでもスバルは、不思議とそれから目を離すことはできなかった。
 きらきらと輝くそのリングを、何故かじっと見つめていた。
 そうさせるだけの何かが、この指環にはあるような気がした。
 スバルの指にもぴったり一致するサイズ。スバルの瞳と同じ透き通るような緑色。
 見たこともないはずなのに。触れたこともないはずなのに。
 不思議とそれを見ているだけで、何かが伝わってくるような気がした。
 身体がぽかぽかと暖まり、穏やかな気持ちになるような気がした。
 そう。
 たとえるならば。

 ――まるで、大切な誰かからもらったもののような。


 第2の誤算がプラスに傾くか、マイナスに傾くか。それはまだ、誰一人として知る由もない。
 ともかくも、この時、2人の道筋は重なった。
 ルルーシュ・ランペルージとスバル・ナカジマの目指す先は、確かに重なっていたのだ。
 最も会いたかった人間が、同時に最も来てほしくなかった人間が。
 今まさに、ルルーシュの進む道の後を歩いている。
 その男が、自分とは異なる自分が、誰よりも深く激しく愛した人間であると、スバルは露も知らぬままに。
 巡り合わせたのは偶然か、はたまた運命か。
 あるいは少女の手の中にある、小さな指環が導いた、小さな奇跡なのかもしれない。


【1日目 黎明】
【現在地 C-5 市街地手前】

【泉こなた@なの☆すた】
【状態】疲労(小)
【装備】レヴァンティン
【道具】支給品一式、投げナイフ(9/10)@リリカル・パニック、バスターブレイダー@リリカル遊戯王GX、ランダム支給品0~1
【思考】
 基本 かがみんやつかさ、なのは達に会いたい
 1.アーカード(名前は知らない)を警戒
 2.まずは物資集め。最初は病院へと向かい、医療品とシーツを手に入れる
【備考】
 ・参加者に関するこなたのオタク知識が消されています。ただし何らかのきっかけで思い出すかもしれません。
 ・ナイブズと殺生丸の戦闘の光を見逃しました。

【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(小)、不安
【装備】レギオンのアサルトライフル(100/100)@アンリミテッド・エンドライン、バリアジャケット
【道具】支給品一式、スバルの指環@コードギアス 反目のスバル
【思考】
 基本 殺し合いを止める、できる限り相手を殺さない
 1.こなたを守る。こなたには絶対に戦闘をさせない
 2.まずは物資集め。最初は病院へと向かい、医療品とシーツを手に入れる
 3.この指環……一体なんなんだろう?
 4.アーカード(名前は知らない)を警戒
 5.六課のメンバーと合流
【備考】
 ・こなたを小学生ぐらいの子だと思っています。
 ・質量兵器を使うことに不安を抱いています。
 ・ナイブズと殺生丸の戦闘の光を見逃しました。

【スバルの指環@コードギアス 反目のスバル】
スバル・ナカジマに支給。
FINAL STAGEにて、18歳になったスバルが、ルルーシュから受け取った結婚指環。
スバルの目と同じ色のエメラルドがあしらわれている、スバルとルルーシュの強い“絆”の象徴。


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