やわらかな温もりに瞳閉じ ◆C1.qFoQXNw
デパート内部3階家具売り場――他愛もない話をしながらフェイトとつかさは物資の物色をしていた。もっともつかさはポージングに夢中でもっぱらフェイトが物色をしていいたのだが。
ベッド、机、椅子、テーブル、毛布、畳etc…使えそうなものはあった。電気や照明、水道が生きていたのでもしや、と思ったが案の定商品も陳列されており、閉店後のデパートそのものであった。未確認だが食料の類もそのままかも知れない。
(まさか商品がそのままなんて…なら篭城も可能、か)
もっともただデパートで篭城するつもりは無い。ここに殺し合いを拒否する者たちの避難所を築き、狂ったゲームを終わらせるために、そして母プレシアと対面するために協力者を集める、そのためには…。
ベッド、机、椅子、テーブル、毛布、畳etc…使えそうなものはあった。電気や照明、水道が生きていたのでもしや、と思ったが案の定商品も陳列されており、閉店後のデパートそのものであった。未確認だが食料の類もそのままかも知れない。
(まさか商品がそのままなんて…なら篭城も可能、か)
もっともただデパートで篭城するつもりは無い。ここに殺し合いを拒否する者たちの避難所を築き、狂ったゲームを終わらせるために、そして母プレシアと対面するために協力者を集める、そのためには…。
「しすた~しすた~しすた~うぉ~ず♪」
背後で聞こえる鼻歌がフェイトに現実を見せつけた。ただの女子高生であるつかさは戦う術もっていない、だから自分が動く。その間ここで家具のバリケードの中で篭っていれば殺し合いにのった連中が襲ってきてもつかさが非常階段から逃げる時間は稼げるはず??
ドテッ!
「!?」
突然の音で振り返るとつかさが床でのた打ち回っているではないか。どうやらポージングに夢中で転んでしまったらしい。
「もうつかさったら…大丈夫、怪我ない?」
「うん、大丈夫だよ。あう、イタタ…」
「うん、大丈夫だよ。あう、イタタ…」
幸いつかさは膝を少々ぶつけたくらいだったが大事をとってフェイト一人でバリケード作りを行うことにした。
流石にベッドは運べなかったのでキャスター付のデスクや椅子で非常階段を囲い部屋を作り、内部階段など他の進入路に簾を砕いて撒くという簡易的なものだったがここでは精一杯である。
簾の破片を撒く頃にフェイトはつかさの変化に気づいた。あれだけ元気だったつかさは書類を握って座り込み沈黙したままなのだ。転ぶまではかしましくおしゃべりをしながらデパートの探索をしていたのに、だ。
流石にベッドは運べなかったのでキャスター付のデスクや椅子で非常階段を囲い部屋を作り、内部階段など他の進入路に簾を砕いて撒くという簡易的なものだったがここでは精一杯である。
簾の破片を撒く頃にフェイトはつかさの変化に気づいた。あれだけ元気だったつかさは書類を握って座り込み沈黙したままなのだ。転ぶまではかしましくおしゃべりをしながらデパートの探索をしていたのに、だ。
(傷、痛むのかな?)
作業を終えフェイトは自分もつかさの隣に座る。
「まだ痛む?」
「ううん、ただちょっと考え事してて…これって本当に夢なのかな、って…だって夢なら痛いはずないのに…鼻血を噴いたときも、転んだときも痛かった…ねえフェイトちゃん、これって夢だよね?」
「ううん、ただちょっと考え事してて…これって本当に夢なのかな、って…だって夢なら痛いはずないのに…鼻血を噴いたときも、転んだときも痛かった…ねえフェイトちゃん、これって夢だよね?」
現在進行形で起こっている事象の拒絶――冷静にならなければならないこの場においてつかさは現実逃避に陥いりかかってる。
このまま夢で押し通すこともできるがそれでは状況を悪化させかねない。現実に返すべき、とフェイトは判断する。
このまま夢で押し通すこともできるがそれでは状況を悪化させかねない。現実に返すべき、とフェイトは判断する。
「現実だよこれは…紛れもない」
「じゃあこれは何!?」
「じゃあこれは何!?」
突然フェイトの視界を覆った書類は何かの名簿だった。その名簿にはいくつかマーキングがされており、特に見覚えのある名前には驚愕を禁じえなかった。
「何で…なのはの名前が…ふたつも?」
「なのはさんだけじゃないよ! この八神って人も! そしてフェイトちゃん、あなたも!」
「なのはさんだけじゃないよ! この八神って人も! そしてフェイトちゃん、あなたも!」
なのはの他にマーキングがしてある名前はもう一人の親友八神はやて、そして自分の名前フェイト・T・ハラオウン――
脳内にクエスチョンが乱舞する中、襟元をつかさに掴まれた。
脳内にクエスチョンが乱舞する中、襟元をつかさに掴まれた。
「夢じゃないならどうして同じ名前の人が3組もいるの? しかも滅多にない名前! どうしてなのはさんやあなたが二人もいるの!? あなたは本当にフェイトちゃんなの!? そもそも魔法ってどういうこと!? ねえ答えてよ、答えてよ…」
フェイトの襟元を掴んだまま泣き崩れるつかさに先程までの元気な面影もなく、ただ恐怖と不安に押し潰されようとしている一人の少女がいるだけであった。
「お姉ちゃん…こなちゃん…ゆきちゃん…ヒ、ヒック」
フェイトは全てを理解した。
現実を夢だと思いたかったのも、突如激怒したのも不安の裏返しなのだと――
自分が彼女に対しできるのはただ抱きしめるだけ。人のぬくもりは万人が追い求める物なのだから。
踊って、怒って、泣いて、そしてぬくもりを感じて――
つかさが落ち着かせながらフェイトは思考する。二人のなのはとはやて、そして自分。
虚数空間に消えたはずのプレシアとこの奇妙な世界、これらから導き出される推測は――ひとつの仮説にたどり着く。
どの位時間が経過しただろうか、空が白む頃にはつかさは泣き止んでいた。
現実を夢だと思いたかったのも、突如激怒したのも不安の裏返しなのだと――
自分が彼女に対しできるのはただ抱きしめるだけ。人のぬくもりは万人が追い求める物なのだから。
踊って、怒って、泣いて、そしてぬくもりを感じて――
つかさが落ち着かせながらフェイトは思考する。二人のなのはとはやて、そして自分。
虚数空間に消えたはずのプレシアとこの奇妙な世界、これらから導き出される推測は――ひとつの仮説にたどり着く。
どの位時間が経過しただろうか、空が白む頃にはつかさは泣き止んでいた。
「ねえつかさ、お話聞いてくれるかな?」
「え?」
「昔ね、あの部屋にいた魔導師――プレシアにはアリシアって娘がいたの。でもその子は5歳くらいの時事故で亡くなった…」
「え?」
「昔ね、あの部屋にいた魔導師――プレシアにはアリシアって娘がいたの。でもその子は5歳くらいの時事故で亡くなった…」
思い出したくない過去、でも理解してもらうためには触れざるを得ない忌まわしい記憶。
「でもプレシア――母さんはそれを認めたくなかったの。あらゆる手段をもって彼女を復活させようとしたけど、復活したのはアリシアの記憶を持つだけのお人形。だからその子は捨てられた、壊れた玩具みたいに――それが私」
信じられない、という表情を浮かべるつかさ。さらにフェイトは続ける。
「つかさの同級生のフェイト・T・ハラオウンは多分、そうやって造られたもう一人の私…母さんは諦めてないのね、アリシアを。それどころかなのはとはやてのクローンまで造って…」
自分がハラオウン姓になったのはプレシアが虚数空間に消えた後だからつかさの知っているもう一人のフェイトが名乗っているのは不自然である。
とすればプレシアは何かしらの目的で誘っていたのだろう。それは報復か、それとも…?
とすればプレシアは何かしらの目的で誘っていたのだろう。それは報復か、それとも…?
「私は母さんを、殺し合いを止めたい。だからつかさ、私を信じて。もう一人の『フェイト』と『なのは』みたいに友達として」
「…んね」
「つかさ?」
「ごめんね…フェイトちゃんは私なんかよりずっと辛いのに…お母さんと戦わなきゃいけないのに…あんな酷いこといって…本当に、ごめんなさい…!」
「いいのよ、気にしないで。」
「…んね」
「つかさ?」
「ごめんね…フェイトちゃんは私なんかよりずっと辛いのに…お母さんと戦わなきゃいけないのに…あんな酷いこといって…本当に、ごめんなさい…!」
「いいのよ、気にしないで。」
そういってフェイトはもう一度つかさを抱きしめた。
朝日が差し出された右手を照らす。そしてもう一方の右手が答え握手を交わした。
それはかつて稜桜高校で行われたであろう光景、友達の印。
朝日が差し出された右手を照らす。そしてもう一方の右手が答え握手を交わした。
それはかつて稜桜高校で行われたであろう光景、友達の印。
「それじゃ行ってくるね。大丈夫、すぐ戻るから」
当初の予定通りフェイトは機動六課隊舎に向かう。つかさの安全も考えて遅くても正午までには一度戻るつもりだ。
首輪解除の手がかりだけでなく、柊かがみと泉こなたの捜索も同時に行い、可能ならデパートに連れてくる。
目的地へは飛んでいこうと思っていたが中止した。やはり魔法の発動に違和感があるのだ。ミッドチルダでは複数の高ランク魔導師が所属する部隊にリミッターがかけられる場合があるというがそれに似ている。
首輪解除の手がかりだけでなく、柊かがみと泉こなたの捜索も同時に行い、可能ならデパートに連れてくる。
目的地へは飛んでいこうと思っていたが中止した。やはり魔法の発動に違和感があるのだ。ミッドチルダでは複数の高ランク魔導師が所属する部隊にリミッターがかけられる場合があるというがそれに似ている。
「やっぱり首輪が原因だね。これさえ外せれば…」
魔力制限さえ無ければプレシアと十分に“お話し”ができる。そしてもう一度母子として――
「できないよ母さん…あなたがアリサを殺したこと、私は許せない。例え世界が」
朽ち果てても、と続くはずだった言葉は放送によって遮られた。
許せない対象、母プレシアの声が響き渡る
許せない対象、母プレシアの声が響き渡る
「大丈夫かなフェイトちゃん…」
携帯食料を齧りながらフェイトの身を案じるつかさ。
窓の外ではもう太陽が顔を出す頃だ。あの女??プレシアのいうことが確かならそろそろ死んだ人間と禁止エリアの発表があるはず。
どうやって発表するのかとスピーカーかテレビの類を確認しようとした刹那、
窓の外ではもう太陽が顔を出す頃だ。あの女??プレシアのいうことが確かならそろそろ死んだ人間と禁止エリアの発表があるはず。
どうやって発表するのかとスピーカーかテレビの類を確認しようとした刹那、
ドォン!
東の方から耳をつん裂く爆発音、続いて散発的に聞こえる乾いた銃声。
デパートの東には確か病院があったはずだがそこで戦闘が――
デパートの東には確か病院があったはずだがそこで戦闘が――
ドォォォン!!
更なる大爆発音につかさは考えるのを止めた。
毛布を被りテーブルの下に潜り込む。小中学校で散々やった避難訓練は確実に生きている。非常口の扉を半開きにするのも忘れない。
人間チョココロネと化し震えるつかさ。
彼女は忘れている。ディパックに確認していない支給品があることに。
彼女は知らない。爆発音の彼方に友達が待っていることに。
毛布を被りテーブルの下に潜り込む。小中学校で散々やった避難訓練は確実に生きている。非常口の扉を半開きにするのも忘れない。
人間チョココロネと化し震えるつかさ。
彼女は忘れている。ディパックに確認していない支給品があることに。
彼女は知らない。爆発音の彼方に友達が待っていることに。
「やっぱり私、お姉ちゃんがいないと駄目だよぅ…早く帰ってきてフェイトちゃん」
【1日目 早朝】
【現在地 H-4 路上】
【フェイト・T・ハラオウン(StS)@仮面ライダーカブト】
【状況】健康、若干の困惑
【装備】大剣・大百足@魔法少女リリカルなのはsts//音が聞こえる
【道具】支給品一式
【思考】
基本:誰も犠牲者を出す事なく、この殺し合いを止める。その上でプレシアと対話を行う。
1:機動六課隊舎に向かい首輪を外す。その後、なのは達と合流する。
2:正午までに一度デパートへ戻る。
3:もう少し扱いやすい武器が欲しい。欲を言うならバルディッシュ・アサルトが欲しい。
4:かがみとこなたを探す。可能ならデパートへ連れて行く。
5:もう一人の『フェイト』にどう接すればいい?
【備考】
※なのは達「八神班」が他の世界から来た人間である事を知りません。
※このゲームがアリシア蘇生のためであると推測しました。
※大剣・大百足は他の形態にはフォームチェンジしません。
※もう一人の『フェイト』はつかさの知るフェイトだと考えています。
※遊城十代が殺し合いに乗っていると思っています。
※もう一人のなのはとはやてもクローンではないかと考えています。
【現在地 H-4 路上】
【フェイト・T・ハラオウン(StS)@仮面ライダーカブト】
【状況】健康、若干の困惑
【装備】大剣・大百足@魔法少女リリカルなのはsts//音が聞こえる
【道具】支給品一式
【思考】
基本:誰も犠牲者を出す事なく、この殺し合いを止める。その上でプレシアと対話を行う。
1:機動六課隊舎に向かい首輪を外す。その後、なのは達と合流する。
2:正午までに一度デパートへ戻る。
3:もう少し扱いやすい武器が欲しい。欲を言うならバルディッシュ・アサルトが欲しい。
4:かがみとこなたを探す。可能ならデパートへ連れて行く。
5:もう一人の『フェイト』にどう接すればいい?
【備考】
※なのは達「八神班」が他の世界から来た人間である事を知りません。
※このゲームがアリシア蘇生のためであると推測しました。
※大剣・大百足は他の形態にはフォームチェンジしません。
※もう一人の『フェイト』はつかさの知るフェイトだと考えています。
※遊城十代が殺し合いに乗っていると思っています。
※もう一人のなのはとはやてもクローンではないかと考えています。
【現在地 H-5 デパート3階】
【柊つかさ@なの☆すた】
【状態】疲労(小) ひざ小僧ヒリヒリ
【装備】シーナのバリアジャケット@SHINING WIND CROSS LYRICAL
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:殺し合いを避ける
1:フェイトちゃんが帰ってくるまでデパートにいる(早く帰ってきて!)。
2:家族や友達に会いたい。
【備考】
※遊城十代が殺し合いに乗っていると思っています。
【柊つかさ@なの☆すた】
【状態】疲労(小) ひざ小僧ヒリヒリ
【装備】シーナのバリアジャケット@SHINING WIND CROSS LYRICAL
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:殺し合いを避ける
1:フェイトちゃんが帰ってくるまでデパートにいる(早く帰ってきて!)。
2:家族や友達に会いたい。
【備考】
※遊城十代が殺し合いに乗っていると思っています。
【その他】
※デパート3階は非常口を中心にバリケードが張られています。また、階段周りに簾の破片が巻かれており、踏めば音が出ます。
※デパート3階は非常口を中心にバリケードが張られています。また、階段周りに簾の破片が巻かれており、踏めば音が出ます。
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