※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

Amazing Grace(The Chains are Gone)(前編) ◆Qpd0JbP8YI




哄笑と共にプレシアの放送が終わる。
場所はF-3ににある黒の騎士団のトレーラー内。
そこには顔を険しくするザフィーラと、それとは反対にほんの僅かに頬を緩めるLがいた。

「何がおかしいんだ、L!? 13人! これだけの人数が死んだのだぞ!」

Lの表情に気がついたザフィーラは知り合いを失った動揺のせいか、自分の気持ちを抑えることなく怒鳴りつけた。
それに対してLは悪びれもせずに淡々と謝罪と哀悼の言葉でもって応えた。

「……ええ、それについてはとても残念な事です。貴重な戦力……いえ、命が徒に奪われました。
その中になのはさんやシグナムさんがいたことには、取り分け胸が痛みます」
「……だったら、何故そのような顔をすることが出来る!?」
「このような下らない殺し合いで死者が出ることには、さっきも言ったように本当に遺憾に思います。
ですが、プレシアの言葉には、僅かながら希望を見出すことが出来ました」
「希望? 希望だと!? L、貴様はプレシアの望みを叶えるという馬鹿げた言葉を信じるというのか!?」
「ああ……いえ、別にその事ついてではありません」
「だったら、貴様の言う希望とは何だ!?」

ザフィーラは問う。
Lの言う希望が人の死を忘れて、笑っていられるほどのものなのか
この殺し合いという暗闇の中で先を見渡せる光明となり得るものなのかを。
しかし返ってきたLの答えは極めて簡便で、それでいてザフィーラの心を逆撫でするようなものだった。


「それは秘密です」


コーヒーのカップに角砂糖を入れながら、事も無げにLは言う。
そしてその瞬間、ザフィーラの丸太のような腕が豪然とLの胸倉を掴み、その身を高く吊り上げた。

「貴様はふざけているのか!? こんな状況でよくそんな真似が出来るな!?」

ザフィーラの耐え切れない怒りを現すかのように彼の歯は固く食い縛られ、
Lの首を折ってしまうのではないかというほど彼の手は力強く握られていた。
だけど、その威嚇するようザフィーラの姿勢、声にLは動じもせず、ただ自分の首輪をトントンと軽く叩いた。
しばらくしてそれが何を意味するかを悟ったザフィーラは荒ぶった呼吸をゆっくりと落ち着け、Lから手を離していった。

「……すまなかったな、L」
「いえ、私も少し不謹慎でした。申し訳ありません」
「それで、お前の考えていることは教えてもらえるのか?」
「すいません。今の段階ではお教えすることは出来ません」
「どうしてもか?」
「どうしてもです」
「そうか……では、お前の希望が叶う確率はどれくらいだ? そのくらいなら構わないだろう?」
「……5%ほどです」
「低いというべきか……こんな状況では頼もしいというべきか……」
「現状では何とも言えませんね。ですが、前より頼もしい数字になったかもしれません」
「そうか……そうだな……そう考えるとしよう」

ザフィーラの納得した声を聞き届け、Lは先程の放送で浮かんだ考えを再び纏め始めた。
まず彼が疑問に思ったことは、何故今になってあのような発言をしたのかということだった。
プレシアの発言、行為は示威行動、反乱の抑制、殺し合いの促進を思わせるが、
首輪が万全なら、そのどれもが意味のないものだ。
どれほど参加者が殺し合いを忌避していても、いずれは首輪により、
相手を殺すという選択をしなければならなくなる。
殺し合いが遅々として進まないことに苛立つというのなら、
最初からこんな無駄に広い場所でやらずに、人が出会いやすいもっと小さな所に転送すればいいことだ。
この場所でやらなければならないとしても、態々人をバラけさせて転送する必要はない。
一つのエリアに皆を移し、アリサを殺したように恐怖を煽れば、
遠からず殺し合いの幕は開き、血は絶えず流れ続けることになるだろう。
要するに目的が何であれ、プレシアの行動には無駄が多すぎるのだ。
最初の会場で全てを説明すれば良い事を、態々この段階で言う必然性はない。
プレシアの単なる言い忘れということも考えられるが、
このゲームとやらは、集めた人員、会場の大きさからいって一朝一夕で成り立つものではない。
時間をかけた入念な準備が必要となってくる。
そしてそんな準備の果てに殺し合いの動機付けをするための大切なことを最初から言い忘れる確率はあまりに低い。

だとしたら、プレシアの放送の裏には何が隠されているのだろうか。
Lの頭に真っ先に思い浮かんだのが、
この会場にいる参加者の誰かがプレシアの頚木から離れるための確実な一手を打ったことだった。
確かにそれなら焦ったように付け加えられた放送内容にも納得がいく。
この場合には先程浮かんだ示威行動やその他の意味も成り立ってくるからだ。
だけど、Lはすぐにこれを否定した。
まだここに送り込まれてから、然程時間は経過していない。
そんな中で首輪を手に入れ、それを解除するための解析を行うにしては時間が足りなさ過ぎる。
また死者が出たことからもゲームに乗った者がいるのも明らか。
そんな中では行動もより慎重に成らざるを得なくなり、迅速な行動など望むべくもないだろう。
故にLはその考えを切り捨てた。

では、それ以外に何があるか。
Lはもう一つの考えを思い浮かべ、僅かな笑みを漏らした。
それは首輪に何かしらの欠陥が潜んでおり、それが今になって急遽判明したという可能性。
この場合もプレシアの放送の意図にも納得がいく。
首輪でアリサを殺すことによって首輪が正常に作動していることを暗に知らせることが出来るし、
願いを叶える云々によって参加者の関心を首輪から背けることにも繋がる。
つまりプレシアの放送に意味が生じてくるのだ。
無論、これも確率は低いことに変わりはない。
首輪はこの殺し合いを成り立たせる根幹だ。
殺し合いが始まる前に必要以上のチェックが行われたことだろう。
だけど、プレシアの齎した放送にはそういった考えを浮かばせるのには十分なものだった。
故に彼は笑った。
正義を嘲笑う犯罪者の前に立ちはだかる不適な反逆者として、一人の探偵として。



*    *




「おはようございます」

ソファーの上で寝ていたアレックスが起きたの確認すると、Lは彼に向かって朝の挨拶を告げた。
アレックスはそれには応えず、自分の左手に目をやり、指を一本一本慎重に折り曲げながら、再生した手の具合を確認した。
そしてそれが終わると、ようやくアレックスは口を開いた。

「ここは……いや、お前たちは何者だ?」
「私はLという者です。こちらはザフィーラさんです。私たちはこの殺し合いに反対の立場を取っています。
早速ですが、あなたが倒れていたF-3で何があったか教えて頂けませんか?」

アレックスは再び口を閉じ、Lを睨み付けた。
状況からして、Lとザフィーラが介抱してくれたことは分かった。
それについては彼も有難いと思ったが、どうにも接し方が無用心すぎる。
アレックスの身体は拘束もされていないし、自分のバッグも手の届くところにある。
おまけに対峙する二人も武器は持っていない。
ザフィーラは油断なくアレックスを見つめてはいたが、
Lと名乗った者などはアレックスには目もくれずに角砂糖を齧りながら、時々手鏡で自分の顔や歯を確認している有様だ。
そんな彼らを目の前にしてアレックスは当然の疑問を放った。

「お前たちは俺が殺し合いに乗っているとは思わんのか?」
「その可能性は低いと思います」
「何故だ?」
「あなたが着ている服です」
「……時空管理局の、機動六課の制服か? それだけで殺し合いに乗っていないと判断するのは早計ではないか?」
「それだけなら、そうでしょうね。二つ目の理由は、あなたが瓦礫に埋まっていた時にレーザーのようなものを上空に打ち放ったからです」
「それが……どうして今の考えに辿り着く?」
「はい、あれは明らかに他者に気づいてもらい、助けてもらうことを前提にした行為です。
もしあなたが殺し合いに乗った人なら、自分と同じように殺し合いに積極的な人間を自然と想起してしまい、
あたかも殺してくれと言っている様な自分の弱りきった姿を見せようとしないはずです。
勿論、普通の人間なら自分の命に危険が迫ったため、止む無くということも考えられますが、あなたの場合は違います。
あなたは失った腕を再生できるほどの異常な回復力があります。
おそらくあのまま瓦礫に埋まったままでも、いずれあなたの身体は今の様に元通りになり、無事にあの場を脱出したことでしょう。
そうしなかったのは、他人を助けようとする殺し合いに乗っていない人がこの場にいると考えたため。
そしてそう考えてしまったのは自身が殺し合いに乗っていないため。
違いますか?
……ああ、瓦礫を払うためにあのレーザーを打ったというのはないでしょう。
局所的な破壊しか望めないレーザーでは却って崩落の原因となります。
そんな馬鹿な真似は仮にも管理局に所属している人間がするはずがありません。
まあ、それでもあなた殺し合いに乗っていないと判断するのに早計であることに変わりありませんが」
「では、他にも理由があるのか?」
「はい、三つ目の理由は信頼です」
「信頼? 確か俺たちは初対面のはずだが」
「ええ、その通りです。私もどちらかというと、これには反対の立場だったのですが、ザフィーラさんがどうにも首を縦に振ってくれなくて。
これは一つ目の理由にも繋がることなのですが、八神さんが設立した六課のメンバーなら絶対に殺し合いに乗らないと言いまして。
ああ、あなたの胸の内ポケットに入っていたIDカードは勝手に確認させてもらいました。悪しからず。
あと付け加えるなら、無手の私たちに何もしてこないというのも、あなたが殺し合いに乗っていないと判断する一つの材料ですかね」

アレックスはLの言葉を聞き、少なくとも相手は何も考えていない馬鹿ではないということが分かった。
ならば、態々相手を諌めるという面倒な真似をする必要などはないだろう。
彼は心に感じた一抹の懸念を捨て、Lの言葉の中で気になったことについて口を開いた。

「……お前はたちは八神はやての知り合いか?」
「はい、そうです。尤も私はそれ程親しくはありませんが……こちらのザフィーラさんは八神さんのヴォルケンリーッターの一人です」
「ヴォルケンリッター? ……シグナムやヴィータたちの同類か?」
「ああ、そうだ。盾の守護獣、ザフィーラだ」

アレックスの疑問にザフィーラは重々しく応え、改めて自己紹介をした。

「しかし、お前の姿など見たことがないぞ」
「ああ……普段はこんな格好だからな」

アレックスの疑問も当然とばかりに軽く受け流し、
ザフィーラはその身を蒼き狼へと変えていった。
しかし、それでもアレックスの口からザフィーラの期待した答えは返ってこなかった。

「悪いが、その姿も見たことがない」
「……そうか。まあ、確かにあまりフォワード・メンバーの所へは行かなかったからな……」

心なしか悄然とした様子で項垂れるザフィーラを横目にアレックスは再び疑問を口にした。

「お前たちが俺を殺し合いに乗っていないと判断するのは構わないが、お前たちが乗っていないと、どう俺に証明する」
「無防備な貴様を襲わなかったというのでは足らないか?」

ザフィーラは顔を上げ、質問を返す。
倒れていた相手を態々介抱するような馬鹿な殺人者などいないだろうという思いを込めて。

「情報を聞き出した上で殺すということも考えられるだろう。それにシグナムと同じというのなら、尚更お前たちのことは信じられん」
「なっ? それはどういうことだ? 貴様はこの地でシグナムに会ったのか?」
「そのままの意味だ。シグナムは殺し合いに乗っていた。主の為と言ってな」
「……っ!」

アレックスの思いがけない言葉にザフィーラは言葉にならない声を出す。
確かに自分と同じ守護騎士がこの殺し合いに乗るという可能性はザフィーラも考えてはいたが、
やはりそれを耳にするとショックを隠せない。
彼は先程とは違った沈痛な表情で顔を沈ませていた。
ザフィーラが気持ちに整理をつけるのに時間がかかると思ったLは
彼の代わり最初のアレックスの疑問に答えた。

「残念ながら、私たちにそれを証明する手段はありません。何も武器を持っていないからといって安心は出来ないでしょう。
あなたのような異質な腕を持ってがいることからして、自身の身体を武器とする人がいるという可能性を考えて当然です。
ですから、どうしても私たちのことが信じられないのなら、ここを出て行ってもらって構いません。
勿論、背後から襲うようなこともしませんので、安心してください」
「L! いいのか!?」
「ええ、信頼を得てない相手からの情報なぞに価値はありません。却って混乱を招くだけです」

無論、それは嘘だ。
そもそも嘘かどうかなどは受け手の能力次第で十分に見分けられる。
そしてその能力が自分にあるとLは自負していた。
では、何故Lはこんな風に敢えて突き放すような真似をしたか。
それはこちらが相手を大して必要としていないことを悟らせ、相手がこちらを必要としていることを痛感させるため。
そうすれば自然と相手は自分の立場の弱さを認めることになり、
これ以降Lは話の主導権を握りやすくなるし、何よりアレックスを自分の指揮下に置きやすくなる。

「……し、しかし……L!」

ザフィーラの声を無視してLは言葉を続ける。

「それで、アレックスさん。あなたはどうしますか?」

そんな事を訊ねながらも、Lは既に返ってくる答えを予見していた。
この殺し合いにしろ何にしろ、情報とは行動を決める要。
ならば、事の真偽は置いといても、情報は欲しいはず。
そして既に相手が関心を持つであろう言葉を先の会話の中で幾つか混ぜておいた。
問題はない。

「分かった」

アレックスは一瞬程の間、目を閉じて、それから答えを述べた。

「……一先ずはお前たちのことを信じよう」
「ありがとうございます」

予想通りの答えにLはにんまり笑みを浮かべた。



そしてアレックスはARMSの説明に始まり、自分がこの地に降りてからの事のあらましを話していった。
立体駐車場に転移されたこと、そこにあった車で機動六課隊舎を目指したこと、途中シグナムに会ったこと、
シグナムと戦闘に及んだこと、そこにセフィロスが介入してきたこと、そしてその三つ巴の中に更に一人の少女がやってきたこと。
しかし、そこまで話が進んだところで唐突にザフィーラが話を遮ってきた。

「待て、アレックス! そこにやって来た少女のことをもう一度説明してくれないか」
「……十歳前後の少女だ。茶髪のセミロング。言葉には少し訛りがあった。シグナムとも面識があるような素振りだったな」
「その少女はちゃんと歩けていたか? 車椅子を使っていなかったか?」
「いや、ちゃんと歩けていたが……それがどうかしたか?」
「いや……他に思い出せることはないか?」
「そうだな。そういえば、どことなく八神はやての面影があったな。そして声もよく似ていた。
実際俺もその声に気取られて、セフィロスという銀髪の男に手痛い遅れを取った。その代償が俺の左腕だ」
「アレックス、その少女を最後に見たのはいつだ? どこだ?」
「時間は……恐らくお前たちが俺を助ける少し前といったところだろう。ちょうど花びらの竜巻が生じた頃だ。
場所は俺が倒れていた場所から、そう遠くはないはずだ」
「L、既に気がついているかもしれないが、その少女は主、はやてかもしれん」

Lはそれには無言で通した。
ザフィーラはLのそんな様子に構わず自分の見解を述べていく。

「あれから、まだ数時間。あの大規模な魔法を行使したのが、主かは分からん。
しかし使用したのが主にしろ、攻撃を受けたのが主にしろ、その疲労と怪我の具合は計り知れん。
そして先の放送で主の名前が呼ばれなかったことからして、主が生きている可能性は高い。
恐らくはまだこの近くにいるはずだ」

Lも同じ考えに達していた。
しかし、それをLが口にしなかったのは、ザフィーラが自分を放り出して、この場を離れていってしまうのを危惧してのことだ。
倒れていた少女から戦闘に役立つであろうものは手に入れることが出来たが、やはり自分の身を守るためには強固な盾が欲しい所。
みすみす自分からそれを手放すような真似はしたくはない。
だけど、八神はやてが近くにいるかもしれないことに気がつき、
今のように感情が揺れ動いているザフィーラをこのままにしておくのでは、やはりマイナス要因の方が大きい。
ここはある程度、納得のいく行動を取らせ、精神に落ち着きをもたらした方が賢明だろう。
それにこれにより八神はやてとも合流出来ることになれば、願ったりだ。
八神はやては機動六課の面々に対して、取り分けヴォルケンリッターに対しては決して破れることのない盾となる。
また今後何をするにしても、彼女がいれば行動の選択肢の幅が広がることになる。

「……ええ、私もその可能性は極めて高いと思います」
「Lもそう思ってくれるなら、話は早い。悪いが、L、俺はしばらく別行動を取らせてもらうぞ」
「待て。一体何の話をしている? お前の主は八神はやてなのだろう? 八神はあんな子供ではないぞ」
「そういえば、まだアレックスさんにはお話していませんでしたね。私たちは平行世界、異なる時間軸からここに集められた可能性が高いのです」
「そんな戯言を信じろと言うのか?」
「まあ疑問に思うのは当然でしょう。それについても証明出来るものは持ち合わせていません。
ですが、そういったことを心には留めてもらえると助かります。いえ……留めておかなければなりません。
私がここに来たのは機動六課設立前、ザフィーラさんが来たのは機動六課解散後。
そしてザフィーラさんの知る機動六課にはアレックスさんは在籍していませんでした。
このことからして恐らく全ての参加者の間で何らかの情報の齟齬が発生していることが考えられます。
問題なのはその齟齬から相手が虚言を用いていると思い、不必要な戦闘に発展してしまう可能性が高いことなのです。
ですから、先程言ったことを心に留めて、早まった結論は避けてもらいたいのです」

Lの言葉を聞いてアレックスの頭の中に思い浮かんだのが、
機動六課の嘱託魔導師と名乗ったセフィロスと不可解な言動をしていた同僚のシグナムであった。
確かにLの言葉を信ずるなら、納得のいく部分は多い。
だがさりとて、その不確かな言葉を信じて、自分を不必要な危険に晒す必要はない。

「お前の言ったことは覚えておこう。だが……殺し合いに乗っているか、乗っていないかの最終的な判断は俺自身でやらせてもらう」
「ええ、それで結構です……ところでアレックスさん、一つ気になったのですが、ずっと管理局でお仕事を?」
「……いや……前は米軍の司令官をやっていた」

その答えに成るほど、とLは頷く。
ARMSというものからして軍関係とは予想してたが、司令官という立場は予想外だった。
精々ARMSとやら被検体の御機嫌を取るために中佐くらいの役職を与えられ、
その後は適当に前線に送り出され、ARMSのデータをその研究者、開発者に送るのが役目かと思っていた。
だがそれとは違う司令官などという立場は、いかにアレックスが単なる被検体を超えた優秀な存在であったかを知らせてくれる。

「L、それでは俺は行くぞ!」

Lとアレックスの間に痺れを切らしたかのようなザフィーラの声が入った。

「ええ。ですが、ザフィーラさん。くれぐれも忘れないで下さい」
「分かっている。時間には戻ってくるつもりだ。場所は船でいいのか?」
「いえ、ここから船までは時間がかかり過ぎます。かといって、私がずっとここにいるのも時間の無駄。ここは機動六課の隊舎に場所を変えましょう」
「では、10時にだな」
「ええ……それまでに何とかお願いします」
「ああ」
「待て!」

アレックスが呼び止め、それにザフィーラが怒号をもって応える。

「何だ!?」
「俺も行こう。お前が追おうとしている女の近くには、どうせセフィロスもいることだろう。奴には借りがある」

その言葉を聞いてザフィーラはLに視線を送る。
そしてその意味を悟ったLは即座に頷く。
八神はやてに関係することとなると、どうしても感情の面が目立ってしまうヴォルケンリッター、ザフィーラ。
抑えとなる人物が一人いた方が良いだろう。
そして戦術眼、戦略眼を必要とする司令官の立場にいた人間なら、その役目にも相応しい。
無論、その分Lの安全が減るが、ここで感情に走らせ、ザフィーラを失うのは痛い。
勿論、Lは自分に対しても保険をかける。

「非常に言いづらいのですがアレックスさんの荷物の中をこちらで確認させて頂きました」
「それがどうかしたか?」
「その中にこちらので使えそうなアイテムがあったので、
ザフィーラさんと一緒に行かれるというのなら、それを貸して頂けないでしょうか?」
「俺の荷物……あのカードのことか?」
「ええ、そうです」
「……いいだろう。もっておけ」

僅かの思考の後、アレックスはバッグの中からカードを放り投げる。
元々自分では使い道のなかった道具だ。
有用に使える人間が他にいるというのであれば、それをやるのは構わない。
ただでやるというのは些か気は引けたものの、一応は同じ目的を目指す仲間だ。
何かしらの形で信頼を見せるのも必要だろう。
それに何より隣にいるザフィーラがこれ以上悩んでいる時間を許してくれそうにない。

「よし、終わったな! それでは行くぞ、アレックス! 今は一分一秒も惜しい!」
「ああ」

そして矢のように飛び出していくザフィーラだったが
ドアの所で急に振り返り、最後にLに告げた。

「俺のバッグも置いていこう。好きに使え」
「……恩に着ます」

勢いよく閉められた扉を横目にLは再び砂糖を口にし、サバイブ“烈火”のカードを手にした。
そしてそれを一通り眺めると、王蛇のカードデッキにへとしっかりとしまった。


【1日目 朝】
【現在地 F-3】

【ザフィーラ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状況】健康、焦り、狼形態
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
 基本:プレシアの野望を阻止し、ゲームから帰還する。
   ゲームに乗った相手は、説得が不可能ならば容赦しない
 1.F-3周辺で八神はやてと思われる少女の捜索
 2.10時までに機動六課隊舎に行く
 3.機動六課の面々並びにヴィヴィオ、ユーノとの合流。
   特にはやてとヴォルケンリッター、フェイトは最優先とする
 4.首輪の入手
【備考】
 ※本編終了後からの参戦です
 ※参加者の中には、平行世界から呼び出された者がいる事に気付きました
 ※盗聴の可能性に気付きました。
  また、常時ではないにしろ、監視されている可能性もあると考えています
 ※クアットロは確実にゲームに乗っていると判断しています
 ※自分以外の守護騎士、チンク、ディエチ、ルーテシア、ゼストは、ゲームに乗っている可能性があると判断しています
 ※デルタギア、カードデッキ、ミラーモンスターについての情報は説明書を読んで知っています 
 ※アレックスからセフィロスがゲームに乗っているという話を聞きました



【アレックス@ARMSクロス『シルバー』】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】
 基本 この殺し合いを管理局の勝利という形で終わらせる
 1.F-3周辺でセフィロスと少女(八神はやて)の捜索
 2.10時までに機動六課隊舎へ向かう
 3.六課メンバーとの合流
 4.キース・レッドに彼が所属する組織のことを尋問
 5.キース・レッドの首輪の破壊
【備考】
 ※身体にかかった制限を把握しました
 ※セフィロスはゲームにのっていると思っています
 ※幼はやては管理局員だと思っています
 ※幼はやてはセフィロスに騙されて一緒にいると思っています
 ※キース・レッド、管理局員以外の生死にはあまり興味がありません
 ※参加者に配られた武器には、ARMS殺しに似たプログラムが組み込まれていると思っています
 ※殺し合いにキース・レッド、サイボーグのいた組織が関与していると思っています
 ※第一放送の内容はまだ知りません
 ※他の参加者が平行世界から集められたという可能性を考慮に入れました

Back:阿修羅姫 時系列順で読む Next:Amazing Grace(The Chains are Gone)(後編)
Back:阿修羅姫 投下順で読む
Back:光が紡ぐ物語
Back:光が紡ぐ物語 ザフィーラ
Back:光が紡ぐ物語 アレックス
Back:光が紡ぐ物語 柊かがみ






| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー