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そんな運命 ◆7pf62HiyTE




-Side Tsukasa Hiiragi-

プレシアがこの殺し合いを始めてから6時間以上が経過した。これまでの死者は既に13名……いや、既にそれよりも何名かが増加している。
それはそれだけ激しい殺し合いが行われている事を意味している。この場において殺し合いに乗った者、そしてこれから殺し合いに乗る者は数多い、この後も彼らによって死者が出ることは確実だろう。
そう、彼らの思惑が何であれ全ては主催者であるプレシアの予定通りに進んでいるのだ。

だが、参加者の中には殺し合いを良しとしない者も数多くいる。
彼らは同じ目的を持った仲間を集めたり、傷ついた者や弱者を保護し少しずつ集団を作り出し、様々な施設や支給品を駆使してプレシアへの対抗策を見いだそうとしている。
勿論、大切な者の死や人知れず優勝を狙う者達等によって心乱され堕ちた者や堕ちかけた者も幾人かいる。それでも彼らは仲間と助け合い、道具や施設を駆使して生き残りこの殺し合いから脱出しようとするだろう。

さて、今現在の状況でもっとも過酷な状況に置かれていると言えるのは誰だろうか?

その人物は柊つかさと言う事が出来るであろう……

つかさは元々姉であるかがみや友達であるこなた達と変わったこと等まず起こらない平凡な日常を過ごしていた。
その変わった事もつい最近転校してきたなのはやフェイトと新たに友達になった程度のもので平凡な日常の延長程度のものだ。
つまり、つかさにとっては魔法少女や変身ヒーローというのは全く無縁の非日常な者であり、彼女には特殊な力など何もないのだ。

そんな彼女は今、H-5にあるデパートでフェイトが戻ってくるのを待っていた。
フェイトといっても、つかさの友達であるフェイトではない。フェイトの話ではつかさの知るフェイトはプレシアが作り出したもう1人のフェイトという事である。
真実はどうあれその事を説明してくれたフェイトがつかさの知るフェイトではない事は間違いない。
それでもつかさにとってはそのフェイトも友達であった……彼女はフェイトの身を案じ、その帰りを待っていた。

さて、先程も述べたとおり彼女は過酷な状況に置かれている。

フェイトはデパートをプレシアに対抗する者達の避難所にする事を考えそこにバリケートを構築しつかさをそこに置き、フェイトは首輪解除の手がかり確保やかがみ達捜索の為H-3にある機動六課隊舎に向かった。
フェイトの予定としては正午にはデパートに戻ってくるつもりだったのだ。
だが、プレシアがフェイトの行動を知った上かどうかは不明だが11時にはデパートと機動六課隊舎の間にあるH-4が禁止エリアになる事が決まった。
これにより、フェイトが機動六課隊舎からデパートへ正午まで戻るには11時前にH-4を抜けるか遠回りするしかなくなるわけだが問題はそれだけではない。
地図を見ればわかることだがデパートの東のH-6、南のI-5には丁度川が横切っており空の飛べない者は通る事が困難だ。そう、11時にH-4が禁止エリアとなればデパートの周囲3方向が封鎖されてしまうといえるのだ。
だが、問題はこれだけではない。すぐ北のG-5にあるDevil May Cryではアーカードが闘争を求めて参加者達に呼びかけ彼らを待ち構えている。
その周囲にはアーカードの宿敵アンデルセンや先程殺し合いに乗りアーカードを優先的に殺そうと考えるセフィロス、そのセフィロスを追うアンジールがいる。
つまり、北の方に向かえば彼らの襲撃もしくは彼らの戦いに巻き込まれる可能性が非常に高いのだ。更に言えば彼らがそのまま南にあるデパートに行き着きつかさを襲撃する可能性もある。
前述のようにつかさには何の力もなく頼みの支給品も電話帳と『青眼の白龍』のカードだけである。
『青眼の白龍』自体は強力な力を持つがつかさはその効果を知らないし、仮に知っていたとしてもその力につかさが耐えられるかどうかはわからない。耐えられたとしてもたった1枚で彼ら全員に対抗できるとは思えない。
故に誰かが襲撃してきた時点でつかさが生き残るのは厳しいと言えるだろう。

問題は北だけではない。フェイトが向かったはずの機動六課隊舎ではつい先ほど殺し合いに乗った者がいる。その者がこちらに向かってくる可能性は多分にある。
確かに11時になればH-4は禁止エリアになるがそれまでには何時間か時間がある。その時までに抜ければ何の問題もない。
救援の可能性……それも厳しいだろう…周囲に殺し合いに乗っていなくてつかさを助けられる力を持つ参加者は『誰も』いない。

そして不幸な事はつかさ自身はこれらの状況の殆どを把握していないことだろう。
聞こえる騒音から近くで激しい戦いが起こっていることはわかるだろうがせいぜいその程度の事しかわからない。周囲の参加者の動向や生死なんて把握できるわけがない。
さらにつかさは放送で言っていた禁止エリアを忘れてしまっている。つまり、すぐ西のH-4が11時に封鎖される事も全く知らず、これによりフェイトの行動に影響が出るかも知れないと想像する事すら出来ないのだ。

以上の事からつかさは自分が考えている以上に過酷な状況に置かれているということになるのである。

勿論、つかさ自身はこの状況はいっさい知らずただバリケートの中で震えていた。先ほどまで聞こえていた戦いの音は今は止んでいる。恐らく戦いは終わったのだろう。
だが、つかさの心は晴れない。静かな分むしろ余計に不安が広がってしまう……。

「フェイトちゃん……無事でいて……」

つかさはフェイトがあの戦いに巻き込まれて犠牲になったのではないかという最悪の事態が頭をよぎった……つかさはフェイトが向かった方角も戦いが起こった方角も把握できていない。
つまり、フェイトが向かった方向で戦いが起こったという可能性もあるのだ。
フェイトが犠牲になれば自分を助けてくれる人はいなくなるが、心優しいつかさはその事は考えずただ友達であるフェイトの身を案じた……フェイトが無事である様にと願った。
だが、どういうわけか不安は消えない。いくらその考えをしないように考えてもついつい考えてしまうのだ。不安の余りつかさの目からは涙が零れていた。

「フェイトちゃん……お姉ちゃん……こなちゃん……」

つかさはなんとか不安をかき消すため楽しかった日々の事を考える。なのは達が転校してきた時の事を考えると再び不安がよぎる為、彼女達が転校してくる前……つかさ達が2年生の時の出来事を思い出していった。


かがみやこなたと監禁事件について話していた時のこと、

『女の子に自分のことご主人様とか呼ばせたりさ』
『ふーん』
『それってさ、モラル云々より単にギャルゲーやエロゲーのやり過ぎってことじゃない。よくあるシチュだしさ』
『そりゃまんまアンタの事でしょーが! …ってちょっと待て何でアダルトゲームの内容知ってるんだ?高校2年生』
『ふっ』


自分とかがみの誕生日の時のこと、みゆきからはペアのイヤリングをもらいこなたからは……

『『団長』腕章、付けてみて』
『何でこんなのつけなきゃいけないのよ!?』
『かがみならピッタシ似合うと思ったんじゃがなぁ』
『アンタのが似合いそうだ』
『あの……じゃあこれは……』
『とぅはぁ!?』
『それ高かったよー。大事に着てねー』
『姉妹揃ってコスプレさせるな!』
『うちの制服とあんま変わんないじゃん……』


血液型占いで色々話していた時のこと、

『性格的なイメージでいくとつかさがA型かがみがB型に見えるな』
『私達は2人ともB型よ。ていうか双子なんだから』
『あそうか、こりゃ失念』
『アンタほどマイペースじゃないけどな』
『占いと言えば動物とかお寿司なんていうのもありましたよね』


「あの後、こなちゃんがネットで寿司占いのページを開いてくれたんだっけ……確かゆきちゃんがいくらで私とお姉ちゃんがかっぱ巻き……こなちゃんは……がり……」

その時にかがみが笑っていて『がりを馬鹿にするな!』とこなたが言った事を思い出した時にはつかさの顔に笑みが零れていた。と、ここまで思い出して、

「あ、そうだ……」

つかさはバリケートから抜け出しある場所に向かった。そのある場所とはデパートといった大きな店には必ずあるサービスカウンタである。
デパートの中は電気、照明、水道が生きており、商品もその殆どが閉店後そのままになっていた。そしてサービスカウンタもそのままになっている。

「あった」

つかさが見つけたのはサービスカウンタにあるパソコン。そう、つかさが考えたのはパソコンのインターネットを使っての外部との連絡である。何とか連絡を取ることが出来れば助けを求めることも出来る……。
と、そう考えてパソコンを弄っては見たもののすぐさまつかさは落胆した。

そう、確かにパソコンは生きていて使えた。だが、ブラウザソフトを使って外部のサイトへアクセスすることは不可能だったのだ。
プレシアが外部との連絡を許すわけはないので当然の話ではあるが、つかさはその考えに至らず淡い期待を持ち実際に使ってからそれに気づいた為、落胆の色は濃かった。

「こなちゃんやお姉ちゃんやゆきちゃんだったらなんとかしてくれると思うんだけど……」

現代社会においてインターネットは一般的であり、つかさもある程度は使えるが所詮は一般高校生程度の知識でしかない。
この場にいるのが柊家の中で一番パソコンに詳しいかがみや、ネットゲームもプレイするこなた等であれば、このパソコンでも色々調べてくれるだろうが彼女達はこの場におらず、つかさではどうする事も出来ない。

「フェイトちゃんが帰ってきた時にいなかったら心配するから戻ろう……」

と、戻ろうとパソコンから視線をそらそうとしたが画面のあるアイコンが目に入った。

「……あれ?これって……」

つかさはそのアイコンをクリックした。そのアイコンはメールの受信を示すアイコンである。そして、メールソフトが立ち上がる。

「あっ……」

画面にはメールが映し出されていた。

「受信したのは……ついさっき?」

受信時刻を確認すると6時半過ぎ……つかさがサービスカウンタに来る直前である。つまり、何者かが6時半過ぎに何処からかこのパソコンのアドレスへメールを送信したということである。

「やっぱりこのパソコンを使えば助けが呼べるんだ……あ、でも何処へ連絡すればいいかわからないよぉ……」

そう、メールを出そうにもつかさはアドレスが全く分からない。出せるのはこのパソコンのアドレスと、先ほどのメールのアドレスだけである。

「でもこのメールを出した人と連絡とれるよね……」

とはいえメールの受信時間から考えてすぐにでも返信すればその相手と連絡を取ることは可能だろう。つかさはその相手に返信しよう考えるが、ひとまずメールの文面を確認する。差出人は『月村すずかの友人』となっていた。

「誰なんだろう……この人……?」

つかさはその人物が誰かわからなかった。もしつかさがなのは達ともう少し親しければなのは達の友人であるすずか達の事も知っていただろう。
そうなれば、メールの差出人がすずかの友達であるなのは、フェイト、はやてだという事がわかっただろうが、なのは達との付き合いが浅い為につかさは彼女の存在を知らなかった。
つかさにとっては正体不明の人物からのメールではあったものの自分を助けてくれるかも知れないと考え彼女はその内容を疑わずメールの中身を見ることにした。

メールに書かれている内容は大まかに4つ、『各施設仕掛け調査』、『地上本部の罠』、『キングへの警戒』、『放送内容の反覆』である。その内容を見て、

「放送って言われてもそんなのもう覚えていないよぉ……」

放送では禁止エリアや死者の名前、そして他にも重要な事があったはずだがなのはの死を聞かされ色々不安に襲われ、フェイトの身を案じていた為その内容は殆ど覚えていない。
覚えているのはせいぜいなのはを含む死者数名の名前程度である。故に放送内容から何か考えろと言われてもそれは無理な話であった。続いて、

「キングに気を付けろって……」

つかさは名簿を確認しキングの名前を確認する。

「携帯を持った少年って話だけどそれってむしろ王子様……プリンスなんじゃ……どういうことなんだろう……」

何故キングという名前なのかは疑問に感じたものの警戒しなければならない相手という話なので心に留めておく。
ここまでの内容は現状のつかさにとってはあまり重要ではないが、残る内容はつかさにとっては重要な意味を持っている。

「施設に仕掛けがあるって本当なのかな……?」

それは施設の仕掛けを調べてという内容である。具体的に地上本部には仲間を散り散りにさせる罠があると書かれていた事からも施設に何かしらの仕掛けがある可能性は高いだろう。
つかさは知らない話だが、事実として地上本部以外にもスカリエッティのアジトには使い方によっては状況をひっくり返しかねないガジェットドローンやゾハナカプセルがあった。
つまり、施設を調べて仕掛けや新たな道具を見つけることでこの状況を変えることが出来るかもしれないということのだ。
既にフェイトがある程度デパートは調べたもののその全てを調べているわけではない。これからデパートを調べることで何かが見つかる可能性はあると言える。

「でもどうしよう……フェイトちゃんが帰ってきた時に私があそこにいなかったらきっと心配するだろうし……」

つかさはデパートを調べるかどうか迷っていた。広いデパートを1人で調べるには時間がかかる。その間にフェイトが戻ってきてバリケートの中に自分がいなければ心配させてしまうことは確実だ。
だが、使える支給品の無いつかさにとって仕掛けの話は朗報である。何か見つけることが出来ればフェイトやかがみ達を助けることができるはずなのだ。
それ故にこの後どうするかつかさは迷う……メールの差出人は施設の仕掛けを調べて欲しいと言っている……メールを返信するなら調べるかどうかを決めてからの方が良いだろうと思っていた。
つかさは知らない話だが状況は今も変化し続けている。早めに決断し行動しなければ手遅れになる可能性は高いだろう。

「あーもうどうしたらいいんだろう……」

そんな中、つかさは再びフェイトの身を案じる。

「フェイトちゃん……大丈夫なのかな……」

それは先ほどの戦いでの安否だけではない。なのはが死んだことを聞かされショックを受けていないかどうかである。放送で呼ばれたなのはがつかさの友人のなのはかも知れないし、フェイトの知り合いのなのはかも知れないのだ。
どちらかがわからないということはどちらかであるかも知れないということ……放送を聞かされてショックを受けその後どうなるかなどつかさには想像できるわけがない。

「なのはさんが死んだって聞いて……」

【1日目 朝】
【現在地 H-5 デパートサービスカウンタ】
【柊つかさ@なの☆すた】
【状態】不安、 ひざ小僧ヒリヒリ
【装備】シーナのバリアジャケット@SHINING WIND CROSS LYRICAL
【道具】支給品一式、電話帳@オリジナル、
    青眼の白龍@リリカル遊戯王GX番外編 「最強! 華麗! 究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)」
【思考】
 基本:殺し合いを避ける
 1:施設を調べるかどうかを決めメールを返信する。
 2:フェイトちゃんが帰ってくるまでデパートにいる(早く帰ってきて!)。
 3:家族や友達に会いたい。
 【備考】
  ※遊城十代が殺し合いに乗っていると思っています。
  ※禁止エリアの位置を忘れました。ご褒美の話も忘れています。死者の名前数名分しか覚えていません(なのはが呼ばれた事は覚えている)。
  ※電話帳はあまり役に立たない物だと思っています。また、遊戯王カードが武器として使えることに気付いていません。
  ※キングを警戒する事にしました。
  ※メールの差出人と内容を信用しています。


-Side Fate Testarossa-

H-3にある機動六課隊舎は炎に包まれていた。その近くのビルの屋上にフェイトはいた。
但し彼女はつかさと別れ機動六課隊舎へ向かったフェイト・T・ハラオウンではない。更に言えばかがみのクラスに転校してきたフェイト・T・ハラオウンでもない。
彼女は彼女達とはその容姿が違う……いや、正確に言えば10年ほど幼かった。そう、彼女は闇の書事件が終わった後でリンディ・ハラオウンからの養子の受け入れたフェイト・T・ハラオウン……
いや、最早彼女はフェイト・T・ハラオウンではないだろう……彼女自身が『ハラオウン』の姓を返したのだ。
彼女は主催者プレシアの人形としてジュエルシードを探していた頃の彼女、フェイト・テスタロッサに戻ったのだ……少なくても彼女はそう思っている。

何故、彼女は『ハラオウン』の性を返しあの時のフェイトに戻ろうとしたのだろうか?
それは全て先程の放送が原因である。放送では13人もの死者が呼ばれた。いや、人数など問題ではない。呼ばれた者が問題なのだ。
リンディの息子でフェイトの義兄となったクロノ・ハラオウン、闇の書事件では敵対した者の今では好敵手となったシグナム……

そしてPT事件での何度かの激突を経てようやく友達となれた高町なのは……

彼女達……特になのはの死がフェイトを絶望に叩き落としたのだ。それだけであるならば、同行者であった新庄・運切が支えてあげれば多少時間がかかってもまだ立ち直る事が出来たかも知れない。

だが、放送で伝えられたある内容が彼女を変えてしまったのだ。それは優勝者には願いを叶えるという悪魔の言葉である……死者を蘇らせることも可能だと……。
口だけならばきっとフェイトは信じなかっただろう……プレシアの娘アリシアのクローンとして作り出されたが失敗に終わった存在であるフェイトならば……。
しかし、放送では御丁寧に最初に殺されたアリサの蘇生実演が行われそれが可能である事が示された。なのは達の死で冷静な判断力を失ったフェイトはプレシアが完全な死者蘇生ができると考えたのだ。

故に彼女は殺し合いで最後の1人となり、死んでしまったなのは達やこれから自分が殺す人達を生き返らせる事に決めたのだ。
手始めに新庄を乗せたヘリに攻撃を仕掛け爆破させ彼(彼女)を殺し、参加者を集める為機動六課隊舎を燃やしたのだ。もう、後戻りは出来ない。
幾ら生き返らせるとはいえ殺人が決して許されない事などわかっている。だからこそフェイトはリンディの娘になる資格は無いと考え、『ハラオウン』の性を返したのだ。

フェイトはしばし炎に包まれる隊舎を見ていた。10年後の彼女であるならば大事な場所ではあったはずだがここにいる彼女にとっては施設の1つ程度の場所でしかない。故に燃え尽きたとしても殆ど何の感慨も湧かないだろう。

さて、フェイトはこれからどうするかを地図を見ながら考える。
機動六課隊舎を燃やしたのはこれを見た参加者を集めるという目的も一応はあったがそれについては過度な期待はしていないし、そもそも激情に身を任せての行動に近かったので先の事までを深く考えていたわけではない。
つまり、やって来る参加者にどう対処するか等の今後の行動については殆ど考えていなかったのである。

「移動しようかな……」

フェイトは機動六課隊舎から離れる事に決めた。先程述べたとおりこの場に参加者が集まる事についてはそこまで期待していない。ここで待った所で徒労に終わる可能性は高い。
それにやって来る参加者が殺し合いに乗っていてなおかつ強大な力を持っている可能性は十分にあり得る。なにしろ実力者であるなのははクロノ、シグナムが早々に殺されるのだ、いて当然と考えて良いだろう。
そんな連中を相手にして自分が戦えるだろうか?まず不可能だろう。
確かにフェイトの手元にはオーバーフラッグというデバイスがある。しかしオーバーフラッグはライフル型のデバイスだ。一応魔力刃を展開できるものの自分の戦い方に合っているとは言い難いとフェイトは思っていた。
故に現状で強大な力を持つ参加者に立ち向かうなどまず不可能、当面は避けた方が良いのは確実だ。当面は彼らを放置して互いを潰し合わせたり他の参加者を減らしてもらえばいいだろう。
だが、最後の1人になるつもりであれば何時かは彼らと戦わなければならない時が来る。その為に戦力を整える必要がある。
差し当たっての目的は自分の戦い方に合ったデバイスの確保だろう、理想は自身のデバイスであるバルディッシュ、もしくはシグナムのデバイスレヴァンティンが良いだろう。
他にも確保しておきたい道具はある。元々は自身の支給品……今は遊城十代という少年を守る為に殺し合いに乗った早乙女レイが持っているであろうカード……
そのカードが何なのかはフェイトは知らない。だが、レイはそのカードを使った事でモンスターを召喚した。つまり、あのカードにはその力があるという事だ。
あの時召喚したカードは確か『風化戦士』……後の2枚は絵柄から見て召喚する類の物ではないだろうが何かしらの力があると考えて間違いはない。ならば同じ様なカードも確保しておいた方が良いだろうとフェイトは考えた。

そしてフェイトは地図を見つめ何処へ向かうかを考える……。

「デパートに行こうかな」

フェイトはH-5にあるデパートを目的地に定めた。アパートがそのままになっていた事からもデパートもそのままになっている可能性は非常に高い。
デパートには資材が揃っているということである。殺し合いを止めようとする参加者が一時的な拠点にしようとしてもおかしくはない。そこを襲撃して支給品等の道具を手に入れようとフェイトは考えたのだ。

デパートを選んだのにはもう1つ理由がある。それは禁止エリアの存在だ。機動六課隊舎とデパートの間にあるH-4は11時に禁止エリアとなる。
プレシアが何故自分のいる場所の近くを禁止エリアにしたのか気になる所だがそれについてはひとまず考えない。
さて、デパートの東と南は川が通り参加者の行く手を遮っている。ここで11時にH-4が禁止エリアとなれば北以外の道が寸断される事となる。
つまり、逃げられたとしても逃げた方向はすぐにわかり追撃は可能だということだ。逆に他の参加者が襲うとしてもまず北からの可能性が高いので対策も立てられる。
逆に自分が殺し合いに乗った強い相手やヴィータ達と戦う事となり追いつめられたとしても飛行魔法が使える自分であれば川越えは可能なので逃げる事は可能だろう。

更に言えば11時になれば禁止エリアになるが今の時刻は7時前、11時前にH-4を抜ける事については何の問題もない。
一方で他の参加者がわざわざ禁止エリアになりそうな場所に足を踏み入れる様な真似はまずしないだろうから途中で襲われる可能性は低い。
故に時間をかけてH-4を抜け態勢を整えて11時を過ぎてからデパートを襲撃すれば良いだろう。フェイトはそう考えていた。

以上の事を考えデパートへと足を進め……

……様としたものの、不思議と足は動かなかった。
どうして足が動かないのだろうか?まだ迷っているのだろうか?本当はまだ『ハラオウン』に戻りたいと思っているのか?
そんな事が許されるはずがない。既に自分は1人殺している……もう戻る事も立ち止まる事も許されない。そう、最後の1人となってなのはやシグナムやクロノを生き返らせる……そう決めたのだ。

と、フェイトは何かを思い出しデイパックを開ける。今現在フェイトの持っているデイパックは新庄が持っていたもの。その中には新庄に支給された最後の支給品がある。
フェイトはその中に入っている蝶の形をしたマスクを顔に着けて思わず口にする……

「パピ……ヨン……」

最後の支給品……それはタイツとマスクがセットになった物で備え付けてあった説明書には『パピヨンマスク&スーツ』と書かれていた。説明書には『蝶人パピヨンが身に着けている蝶サイコーなマスクとスーツ』と書かれていた。
正直な所プレシアが何処から手に入れたのか、何故これを手に入れたのか、何故これを支給したのかと色々理解に苦しむがそれについてもやはり考えない。
オーバーフラッグのお陰でバリアジャケットを展開できる以上スーツ(どう見てもタイツだが)は必要ない。
もっとも、9歳のフェイトに合うサイズではないからそもそも身につけられないが……いや、仮に成長しても身につけたくは無いなとは思っているが。
だが、マスクの方は今の自分にとって都合が良いだろう。それを身に付ける事で今までの自分を捨て去る事が出来、気持ちを切り替えこれから人殺しを行う事が出来るのだから。

「蝶サイコー……」

本当にそんな気持ちになっているわけではない。それでもマスクをつけることで気持ちは切り替わった。
フェイトはデパートへ向かう為歩き始めた。そこにはもう1人の自分を待つ少女がいて、少女がレイの持っているカードの種類の中でも最強の力を持っているカードを持っている事などフェイトには知る由も無かった。

【1日目 朝】
【現在地 H-3 機動六課隊舎を見下ろせるビルの屋上】
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
【状態】健康、魔力消費(小)、左腕に軽い切傷(治療済み、包帯代わりにシーツが巻かれている)、強い歪んだ決意
【装備】オーバーフラッグ@魔法妖怪リリカル殺生丸、パピヨンマスク@なのは×錬金
【道具】支給品一式、医療品(消毒液、包帯など)、パピヨンスーツ@なのは×錬金
【思考】
 基本:皆で一緒に帰る。
 1:11時までにH-4を抜け11時を過ぎたらデパートに向かう。
 2:皆を殺して最後の一人になる。そして皆を生き返らせる。
【備考】
※もう一人のフェイトを、自分と同じアリシアのクローン体だと思っています(激しい感情によって忘却中)。
※なのはとはやても一人はクローンなのではと思っています(激しい感情によって忘却中)。
※新庄は死んだと思っています。
※激しい感情から小さな矛盾は考えないようにしています。追及されるとどうなるか不明。

【パピヨンマスク&スーツ@なのは×錬金】
 蝶人パピヨンが身に着けている蝶サイコーなマスクとスーツ(タイツ)がセットになった物
 身につけた所で蝶サイコーな気分になれるかは定かではない


-Side Fate T Harlaown-

H-6……そこには病院があった。だがこの殺し合いが始まってから6時間強に渡る数々の激闘によって今はもう残骸しか残っていない。
そこには何人もの参加者の死体が転がっている。神崎優衣、高町なのは、ディエチ……そして、つい数十分前にもう1人……
その死体の身体は数十もの肉片となっており最早原型を留めていなかった……
だが、不思議な事に頭部には一切傷がなかった。

その死体はフェイト・T・ハラオウンのものだった。つかさを保護したフェイトの……

彼女は放送を聞いた後悲しみにくれた……だが、彼女はもう1人の自分と違い殺し合いに乗る事は無かった。彼女はこの殺し合いの厳しさを実感しつかさを守る為に一度デパートに戻ったのだ。
飛行魔法を使う事ですぐにデパートの屋上に戻る事が出来、そしてすぐさまつかさの元へ向かおうとした。だが、その時に東の方で戦闘が行われている音が聞こえてきたのだ。
彼女はつかさを守る事を優先するか戦闘を止めるか考えた。思案の末、彼女は戦闘を止める為に東……病院へ向かった。
たどり着いた時には戦闘は終わっていた。フェイトはそこである男性を見つけ呼びかけた……その男性が戦闘に関わっている事は明白だったが男性には外傷はなく、フェイトは詳しい事を聞こうとしたが……

『どうしたんで――』
『逃げろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』

その男性の右腕から放たれた光によって……フェイトの命は終わりを告げた。

つかさを助ける事も、もう1人の自分の凶行を止める事も、殺し合いを行うプレシアを止める事も最早出来やしない。
彼女は何処で間違えてしまったのだろうか?
放送後すぐにデパートへ戻ろうとした事か?つかさの元に戻るよりも戦闘を止める事を優先した事か?相手の男性に接触した事だろうか?
いや、きっとどの行動も間違ってはいない。本来であればそれらの行動は全て正しい事だっただろう。
ただ……ほんのちょっと……1分程度……タイミングが悪かっただけなのだ……何処かの行動でほんの1分時間がずれればきっと悲劇は起こらなかっただろう。

だが、今となっては後の祭りでしかない。

彼女の死はつかさを1人にする結果を生み、もう1人の自分の凶行を止められなくなり、つかさを更なる危機に追い込む結果を生んだ。
さらに自分を結果的に殺した男性……ヴァッシュ・ザ・スタンピードの心に深い傷を残したのだ。

それはきっと彼女の名が示す通り運命だったのかも知れない。だが、彼女が死んでもつかさ、もう1人のフェイト、ヴァッシュやその他多くの参加者の物語は終わらない。

運命の輪は廻り続ける……。



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