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夢と誇りを胸に全てを終わらせるため……! ◆HlLdWe.oBM




幾多の苦難を乗り越えてアンジールはとうとう主催者のすぐそばまで辿り着く事ができた。
ここまで多くの勝利と犠牲を噛みしめながら必死に進んで来た。
それも全てはプレシアを倒すため、そして愛する妹達のためにもアンジールは今最終決戦に赴いた。

「チクショオオオオ! くらえナイブズ! 憤怒貪欲嫉妬傲慢の解放突進雷翼!」
「さあ来いアンジイイイル! 実は俺は一回斬られただけで死ぬぞオオ!」

最初の相手はマーダー四天王の一人プラント自立種のミリオンズ・ナイブズ。
ナイブズはその金髪を風に靡かせつつ左手のエンジェル・アームを発動させた。
その光はまさに破滅の光。

――ザン!

「グアアアア! こ、この『あの方』と呼ばれる四天王のナイブズが……こんな小僧に……バ……バカなアアアアアア」

――ドドドドド……

「グアアアア」

だがアンジールはその更に上をいき、ナイブズの末期の叫びが虚しく響く結果となった。
エンジェル・アームが発動するまでの僅かな間隙を縫ってナイブズの懐に接近すると同時に勝負は終わっていた。
幾度もの戦いを共に潜り抜けてきたバスターソードに斬れないものなど無かった。

一方その頃、この様子を見ていた残りの四天王『神』エネル、『不死王』アーカード、『英雄』セフィロスは――

「ヤハハハ、ナイブズがやられたようだな……」
「フフフ……奴は四天王の中でも最弱……」
「人間ごときに負けるとはマーダーの面汚しよ……」

――談笑していた。
そして、3人とも一様に思っていた――次は自分が戦う番だと。

「くらええええ!」

――ズサ!

「グアアアアアアア」

だがアンジールの追撃は予想を遥かに上回る早さで残りの四天王に襲いかかっていた。
アンジールがエネル、アーカード、セフィロスとすれ違って行くごとに死体が一つ増えていった。

「やった……ついに四天王を倒したぞ……これでプレシアのいる時の庭園の扉が開かれる!!」

そしてその様子をプレシアは抜け目なく把握していた。

「よく来たわねソードマスターアンジール……待っていたわよ……」

――ギイイイイイイ……

そして四天王を倒したアンジールの前にあった鉄製の扉が独りでにゆっくりと開き始めた。
少しの時間をかけてその扉が開き切った時、アンジールは驚愕した。
なぜなら目の前の玉座には探し求めていた人物、デスゲームの主催者であるプレシア・テスタロッサが坐していたのだから。
そう、ここがプレシアの本拠地だったのだ。

「こ……ここが時の庭園だったのか……! 感じる……プレシアの魔力を……」
「アンジールよ……戦う前に一つ言っておく事がある。あなたは私を倒すのに『ジュエルシード』が必要だと思っているようだが……別になくても倒せる」
「な、なんだって!?」
「そして他の参加者達はどうでもよくなってきたので元の世界へ解放しておいた。あとは私を倒すだけね、クックック……」

明かされた驚天動地の事実にアンジールは束の間言葉を失った。
だがすぐにその目に不敵な笑みを浮かべている事にプレシアは気付かされた。
もうアンジールに後顧の憂いは存在しなかった。

――ゴゴゴゴ……

「フ……上等だ……俺も一つ言っておく事がある。この俺に約束を交わした元ストライカーの騎士がいるような気がしていたが別にそんな事はなかったぜ!」
「そうか」
「ウオオオいくぞオオオ!」
「さあ来なさいアンジール!」

アンジールはバスターソードを構え、一足飛びでプレシアとの距離を詰めた。
この剣に込めた皆の夢と誇りの重みを卑劣な魔導師プレシアに知らしめるために。
いままさに決着の時――

アンジールの夢と誇りが世界を救うと信じて……!


     ▼     ▼     ▼


いくつものビルが密集して立ち並ぶデスゲームの会場、その中心に位置するFのラインと5のラインが交差する区域。
鋼鉄の森のようなビル街の中に聳え立つ一つのビル、その地上5階程度の高さに位置する最上階。
閑散とした最上階に設けられた一室、その部屋の中に一人の人物がいた。
黒髪のオールバックに青い光を放つ瞳を併せ持った厳つい顔立ち、筋骨隆々とした体格をした戦士。
元ソルジャー・クラス1stアンジール・ヒューレー。

「……少し寝ていたのか」

実のところアンジールはほんの少し前までは重傷を負っていた。
それが短時間でここまで回復した理由はひとえに仙豆のおかげである。
高い回復効果のある仙豆を食する事でアンジールの疲労と負傷はたちまち完治したのだった。
ただし仙豆を手にした時には身体が限界まできていたので、そのまま気が緩んだのか眠りに就く結果となったが。
幸い眠っている間に襲われる事はなかったが、危ない状況だったと自分の行動を振り返りつつ立ち上がる。
夢の内容はほとんど覚えていないが、それでも最後にプレシアが出てきたような気がする。

「それにしても、プレシアか」

アンジールは朧気になりつつある夢を気にしながらふと思った――このままでいいのかと。

確かに残りの妹クアットロとチンクを守り抜くために他の参加者を皆殺しにする事、それはそれで一つの結論である。
だが目的を達成して首尾よくここから脱出できたとして、果たしてそれで終わりになるのだろうか。
突き詰めて考えてみればプレシアがいなくならない限り、またこのようなデスゲームに参加させられる可能性は0ではない。
つまりはプレシアが死なない限り真に妹達を守り抜いた事にならないのではないか。

ではプレシアのいる所へ辿り着くにはどうすればいいか。
おそらくそれを成し遂げるには自分や妹達、最大限譲歩してゼストとルーテシアを加えても難しいだろう。
相手はプレシア、最初に全員を拘束するだけのバインドをかける程の魔導師だ。
5人だけで立ち向かっても勝てる可能性は限りなく低い。

(だからと言って他の参加者の力を借りるのか……!?)

確かにそうすれば成功する可能率は上がるだろう。
だがそれは同時に裏切られて全滅という可能性も多分に含んでいる。
それでは本末転倒だ。

(……今は考えないでおこう)

アンジールはそこでこの問題について考える事を止めた。
今は先の分からない事で悩むよりも妹達を守り抜く事が先決だとしたからだ。
対策を考える事は探しながらでもできる、それに支給品を上手く使えば勝機はあるとも言える。
一人で考え込んで悲観的になるよりも今は早く行動するべきだ。

「ん? あれは……」

ここを出ようと思って一応念のため部屋を見渡していたアンジールの目にある物が映った。
それはアンジールが殺した八神はやてのデイパックだった。
セフィロスははやての死体を抱えて出て行ったが、その時に力が抜けたはやての手からデイパックが落ちた事には気付かなかった。
それほどまでに心を乱していたという表れだが、その事をアンジールが知るはずがない。
だが理由は不明でも目の前のデイパックを見過ごす気はなかった。
この中に入っている物を使えばチンクやクアットロを守る役に立つかもしれないという考えから中身を調べたが、結果は空振りだった。
そこに入っていたのは自分にも支給されていたもので特別なものは何一つなかった。

「だが投擲ぐらいに使えるか」

一応役に立つ物がなくてもデイパック自体は投げれば牽制程度には使える。
どういう訳かデイパックの容量は外見と釣り合っていない。
理由は考えても仕方ないので気にせずはやてのデイパックを自分のデイパックの中に収納した。
そしてもう一度部屋の中を確認して何もないと分かると、アンジールは急ぎ足で階段を降りていった。

「まずはチンク、次にクアットロと合流したいが……どこにいるんだ」

1階に降り立って支給された時計を見てみればデスゲーム開始から早8時間以上は経過している。
運良くここに至るまでにクアットロとは再会できたが、それでも襲われている最中だった。
そしてチンクとは未だに再開すら出来ていない。
放送で名前を呼ばれていない事から無事である事は分かったが、今どこでどんな事になっているのかは全く分からなかった。
せめて僅かな手掛かりでも見つけられないのか。
そうと思って一度周囲の様子を窺うために自動ドアの方に目を向けた時だった。

目の前の道路上に青い物体がふわふわと浮いていた。
そして、その物体にアンジールは見覚えがあった。

「あれは、ガジェットドローン!?」

正面に黄色いセンサーを持つ青い楕円形のカプセルタイプの機械兵器――それは紛れもなくガジェットドローン。
狂気の科学者ジェイル・スカリエッティが『無限の欲望』の赴くままに開発した作品の一つ、そのⅠ型と呼ばれる機体だった。
そして数時間前にチンクがスカリエッティのアジトから伝言を運ぶ役割を与えて放った2機の内の1機であった。
チンクがガジェットに与えた命令は「1.市街地に向かい、通路状を周回する/2.戦闘機人を見つけた場合、接近して目前で一時停止、後に1に戻る/3.生命体を見つけた場合、接近して体当たりして自爆(ランブルデトネイター)する」であった。
アンジールは厳密にいえば戦闘機人ではないが、その身体に戦闘機人の技術が使われている。
ガジェットは戦闘機人の技術が確認できるアンジールを戦闘機人として認めたからこそ接近したのだ。

アンジールもスカリエッティ一味に身を置く者としてガジェットの存在は知っている。
なぜガジェットがここにいるという疑問を抱いていると、件のガジェットはゆっくりとビルの中へと入って来た。
ガジェットは自動ドアを通過してアンジールとの距離を徐々に縮めていき、そしてアンジールの目の前の空中で停止した。
そこでアンジールはそのガジェットに通常とは違う部分がある事に気付いた。
装甲の表面に何か文字が書き連ねているのだ。
そこに書かれていた文字は多少薄れていたが判別する事は可能だった。

――『朝までに病院へ集合。生きて会おう姉と妹よ by 5姉』

そこにはアンジールが探しているナンバーズの一人、5番目の妹チンクのメッセージが託されていた。

「これは――!? 今は……これならまだ朝の範疇か、間に合え!」

アンジールはその言葉の意味を理解すると同時にビルを飛び出していた。
探し求めていたチンクの手がかりが思わぬ場所で手に入ったからだ。
しかも文面通りなら朝の時点で病院にはチンクがいる事になり、今から行けばまだ会える可能性は高い。
近くに見える巨大なビルからアンジールは今いる場所が地上本部かスマートブレイン本社ビルの付近と予測は付けていた。
どちらであろうと病院との位置関係にさほど違いはない。
アンジールは行き先を決めると急いで南の方角へと向かった。
その際、一瞬悩んだがガジェットも一緒に連れていく事にした。
これを見てチンクのいる病院に危険人物が向かう事を恐れたからだ。

(それにしても「姉と妹」の文字はあって俺を指す「兄」の文字がなかったのは――そうか、チンクもクアットロと同様の状態か)

アンジールはチンクが自分の事に触れなかった理由をクアットロが説明してくれたプレシアによる記憶操作だと結論付けた。
だがアンジールはその事について心配はなかった。
クアットロの記憶を戻したという前例が自信となっているからだ。

アンジールは知らない。
クアットロの説明が嘘だという事も、チンクがアンジールとは別の世界から来た事も。
だがアンジールは信じていた。
自分の行動が妹達を救うと。


【1日目 午前】
【現在地 F-5】
【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
【状態】健康、セフィロスへの殺意
【装備】バスターソード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、アイボリー(6/10)@Devil never strikers
【道具】支給品一式×2、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ガジェットドローン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
 基本:妹達(クアットロ、チンク)を守る。
 1.妹達以外の全てを殺す(特にセフィロスは最優先)。
 2.チンクを保護するためにも、病院を目指す。
 3.ヴァッシュ、アンデルセンには必ず借りを返す。
 4.いざという時は協力するしかないのか……?
【備考】
 ※ナンバーズが違う世界から来ているとは思っていません。もし態度に不審な点があればプレシアによる記憶操作だと思っています。
 ※制限に気が付きました。
 ※ヴァッシュ達に騙されたと思っています。



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