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Reconquista(後編) ◆HlLdWe.oBM




明日香にとって先程の光景は理解しがたいものばかりだった。
突然光と突風と共に瓦礫が飛んで来て死ぬかと思ったら、フェレットのユーノが人間に変身した。
そしてユーノが目の前に緑の盾を出して、それを何とか凌ぎきった。
ここまではまだ一応明日香にも何とか理解できる範疇だった。
フェレットのユーノが人間に変身して魔法の盾で自分達を守ってくれたのだろうと思っていた。
だが次に起こった事は明日香にとって最も衝撃な事だった。

ルーテシアがユーノを刺したのだ。

「なによ、いったい!?」

明日香は必死に走りながら誰もいない森の中に疑問を投げかけていた。
ルーテシアが持っていたウィルナイフは明日香が身に付けているガオーブレスに内蔵されていたものだ。
先程の騒動の隙に引き抜かれていたのだろうが、そんな事はもうどうでも良かった。
何より明日香には分からない事があった。

それはルーテシアがユーノを刺した動機だ。

病院への道中で何とか聞き出した内容によればユーノとルーテシアは自分達に会うまでずっと二人きりで、その間は特に言うべき事はなかったらしい。
実際明日香達と出会った時のルーテシアとユーノは一緒で、それは先程までも変わらない事だった。
しかも直前にユーノは自分達の命を救ってくれたばかりだ。
そんなルーテシアにとって同行者であり恩人であるユーノを刺す理由が全く明日香には理解できなかった。
もしかしてユーノが人間になれる事を隠していたからかとも一瞬思ったが、その程度では大した理由ではないとすぐに否定した。
結局はルーテシアが答えてくれない事には何も分からないが、ルーテシアが返してきた答えは単純だった。

――願いを叶えるためにこの地にいる全員を皆殺しにするからだ、と。

それで明日香にもルーテシアの行動の意味は一応理解できた。
最後まで生き残れば願いを叶えるとプレシアは先程の放送で宣言した。
だから魔が差してルーテシアがあんな行動を取る可能性は十分にある。
だがそれでも明日香には未だに分からない事があった。

それはルーテシアの眼だ。

(なんで、なんであんな事をしておいて、そんな目をしていられるのよ!)

ルーテシアの眼はユーノを刺したにもかかわらず大して変化がなかった。
寧ろ眼というよりは表情といった方が適切かもしれない。
人を殺すと決めた顔にしては今まで明日香が見てきた顔とどこも違わない。
それが逆に恐れを生んでいた。
ルーテシアが感情を露わにして殺そうとすれば、それはどこにでもいる殺人者の姿だ。
だが無表情で何の感傷も抱いていないように淡々と行動するルーテシアは普通とは違う恐怖があった。
いつのまにか頭の中で腹を刺されたユーノが。
首を吹き飛ばされたアリサが。

天上院明日香の姿と重なっていた。

(殺される! 私も、ユーノみたいに――殺される!?)

ルーテシアの凶行を見せつけられて明日香は徐々に冷静さを失っていた。

かつてエグリゴリのエージェントに対して某赤帽子の傭兵は人間の心理について次のように述べた。

『人間の冷静な判断力を失わせるには、恐怖と怒り……たった二つの感情を操作してやればいいのだよ!』

元グリーンベレーで都市における心理戦の専門家でもある彼の言う事はもっともだ。
人間とは許容範囲を超えた感情をコントロールする事を不得手とする傾向がある。
もちろん平時ではそのような事態に陥る事はほとんどないだろうが、ここでは違う。
通常なら殺し合いという異常事態の中で特別な経験を積んでいない者は混乱して当たり前だ。
平時と同様の精神でいる事など土台無理なのだ。
天上院明日香は普通の一般人とは違ってデュエリストとして死闘を潜り抜けてきた経験はある。
だがそんな経験はこの状況下では脆かった。
しかも明日香は直前まで殺し合いの場にも関わらず、そのような危険な目には一切遭わずにここまで来た。
それはつまり殺し合いという場において殺し合いとは無関係な安全な場所にいたという事だ。
それがいきなりこのような急転直下の事態に陥れば冷静な判断などできるはずなかった。

だからあの場から逃げた。
それは人間の本能に従った結果だった。
そこに冷静な判断も一人だけ逃げるという罪悪感もない。
明日香の中にあったのはルーテシアという恐怖から一刻も早く逃れたいという欲求だけだった。
それはまるで恐怖という化け物に矜持を奪われたかのようだった。

どれくらい逃げただろうか。
瓦礫が散らばる市街地を抜け、土埃が舞う平野を抜け、閑散とした林を抜け、鬱蒼と茂る森を抜け――
I-7の南端からA-7の北端にループした事にも気づかぬまま走り続けて――

「はぁ……あぁ……はぁ……ぅ……うぁ……」

――ようやく明日香の足が止まった。
どれくらい走り続けたのか分からなかった。
辛うじて分かった事は近くにルーテシアはいないという事だけだ。
前方に湯気が立ち上る建物が見えるが、今はどうでも良かった。
同時に今まで張り詰めていた緊張が解けて身体の力が一気に抜けた。
その影響で手からデイパックを取り落として、ようやくデイパックが3つある事に気付いた。
手数が増えればそれだけ取れる選択肢は多くなり有利になるというデュエルで言う手札的感覚で取って来たのだ。
それは無意識の内に働いた思考の結果だった。

「ん、これって……」

ふと落ちたデイパックに目を遣ると中から青い宝石が零れている事に気付いた。
明日香はそれが何なのか知っていた。
それは放送の前に皆の支給品を確認し合っていた時にユーノが説明してくれたものだった。

「ジュエルシード、でもこれを使えば……」

ロストロギア指定を受けた次元干渉型エネルギー結晶体であるジュエルシード。
持ち主の願いを叶えるが危険な代物で間違っても使ってはいけないらしい。
明日香はそれを拾い、次いでデイパックの中から取り出した夜天の書と交互に眺め始めた。
その眼には暗い影が宿っていた。
夜天の書もジュエルシードと共にユーノから説明を受けた代物であった。

「このジュエルシードの力で夜天の書を使えば、私もなのはさん達みたいに魔法を使う事が……」

明日香はふとなのは達が魔法を使っている様子を思い出していた。
あの力が自分にもあれば皆を助けられる、ルーテシアのような危険な人物にも正面から立ち向かえる。
今のままの何の力もない状態ではそのうち仲間諸共殺されるしか想像できなかった。

だから、明日香はジュエルシードを――


【1日目 朝】
【現在地 B-7 温泉付近】
【天上院明日香@リリカル遊戯王GX】
【状態】健康、疲労(大)、チンクへの疑念、ルーテシアへの恐怖心
【装備】ガオーブレス(ウィルナイフ無し)@フェレットゾンダー出現!
【道具】支給品一式×3、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、夜天の書@魔法少女リリカルなのはStrikerS、バリアのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、トバルカインのトランプ@NANOSING、ゾナハカプセル@なのは×錬金
【思考】
 基本:殺し合いには乗らない。仲間達と合流してプレシアを打倒する。
 1.ジュエルシードを――
 2.ルーテシアから離れる。
 3.ゾナハ……って何?
【備考】
※転移魔法が制限されている可能性に気付きました。
※万丈目にバクラが取り憑いている事を知りません。
※チンクの「万丈目に襲われた」という情報は、嘘か誤りだと思っています。
※トバルカインのトランプが武器として使える事に気付いていません。
※ユーノの本当の姿はフェレットであり、ルーテシアに殺されたと思っています。
※I-7からA-7にループした事に気付いていません。
※明日香がジュエルシードをどうするかは後続の書き手にお任せします。


     ▼     ▼     ▼


人を癒すはずの病院の姿は既にそこにはなかった。
二度のエンジェル・アームの発動によって完膚なきまでに崩壊したそこにあるのは、少し前までは病院だった瓦礫の山だ。
既に病院を崩壊させた張本人であるヴァッシュは絶望の中で幽鬼のように当てもなく去って行った。
だからここにはもう生きている者など一人もいないはずだ。
しかし、そんな瓦礫の山が突如として蠢き始めた。
瓦礫の山の麓に散乱する大小様々な形の瓦礫で出来た小さな山々。
そのうちの一つが鳴動している。
微かだった振動は徐々に大きくなっていき、やがてその瓦礫の小山は崩れ去った。
その中から出てきたのは灰色のコートに身を包み右目に眼帯を付けた銀髪の少女チンクだった。

「く、は! 危ない所だった、ハードシェルが間に合って助かった」

あの時、間一髪で身に迫る危険を察知して病院の窓から飛び出した時、エンジェル・アームは放たれた。
運が良かった事にチンクが飛び出した窓は南側でエンジェル・アームが放たれた北西とは逆に位置する場所だった。
そのために直接エンジェル・アームの光に巻き込まれずに済んだ。
だが被害を回避するためにランブルデトネイターでラオウの兜と残っていた工具全てを消費してしまった。
最初に兜の大爆発で距離を作り、続けて工具の小爆発で瓦礫を破砕して、あとはシェルコートを使用してのハードシェルで耐えきった。
もともと施設の大爆発にも耐える程の高硬度を誇るものだが、ここでは制限のために耐えきる自信はなかった。
だが現実にチンクは耐えきり、こうして再び地面の上に立つ事ができる。

「これは、なんという有様だ」

病院があった場所には成れの果てである瓦礫の山ができていた。
もちろん病院内にあった死体はどれも無事な状態で残っているとは思えない。
ディエチも例外ではなく、それらの死体はもう弔う事は永久に出来ない状態になってしまった。

「……ディエチ」

チンクは在りし日のディエチの姿を思い返していた。
だが思い返せば思い返す程に懐旧の想いは募るばかりであった。
そして同時に自分の不甲斐なさも痛感するのだった。
自分がガジェットを使って不用心にあのようなメッセージを出したせいでディエチは死んでしまったと悔恨の念が絶えない。
出来る事ならプレシアが放送で言っていた褒美でディエチを生き返らせて、もう一度会いたいと思う。
クアットロやルーテシアが死んでも生き返らせればいいとさえ思える。
だが、それが正しいのかチンクには判断が付かなかった。

「なぜだろうな、ディエチ。姉は、お前がそんな事を望まないような気がしてならない」

なぜそう思うのかチンク自身にも分からない。
ただあの死に顔を見ているとなんとなくディエチは満足して死んでいったような気がしてくるのだ。
だからあのまま静かに眠らせてやった方がディエチのためにもいいのではと思える。

「姉はどうすればいいんだろうな」

そんな答えが返ってくるはずもない問い掛けを風の中にする。
幼い身体に比べて長めの銀髪を風の流れるままに任せながらチンクは静かに考えに耽っていた。
あの病院が目の前にある瓦礫の山に化したのかと感慨深げに眺めていると、瓦礫の中に何か埋もれているのを見つけた。
興味を抱いて近づいて見ると、それはボロボロになって所々罅が入った紫と黒を基調とした大剣・大百足だった。
そして近くにはその持ち主だと思われる人物、正確にはその人物の首があった。
金髪の髪の下にある顔はチンクにとって見覚えのある顔だった。

「……フェイト・T・ハラオウン。貴様も死んだのか」

これで見知った死体を見るのは三度目という事もあってか、もう特に思う事はない。
そしてしばらくしてチンクは何を思ったのか大百足を拾い上げると、その場に刺した。
まるでフェイトの墓標のように見えるが、チンクはそんなつもりで刺したのではなかった。
チンクは刺した大百足に背を向けると、ゆっくりと歩き出した。
一歩、一歩、一歩、一歩、少しずつ大百足との距離は広がっていった。
そして一度立ち止まって振り返ると、その場で回れ右の要領で大百足の方に顔を向けた。

「距離はギリギリだな」

チンクはデイパックからナイフを一つ取り出すと、いつものように構えた。
新品同様のナイフとは対照的に大百足は少しの衝撃で壊れそうな程にボロボロだった。

「もしナイフを投げて剣が壊れれば殺し合いに乗ろう。壊れなければ殺し合いには乗らない。ディエチ、お前が選べ」

チンクはそのナイフに、亡きディエチに、己の道筋を決めさせるつもりだった。
剣が壊れるか否かは……ディエチに決めてもらいたかった。
そんな事は非科学的だと分かっていてもこうするのが一番気持ちの面ですっきりすると思ったのだ。

「では、いくぞ!」

裂帛の気合と共にナイフはチンクの手を離れて大百足へと吸い寄せられるように飛んでいった。
そして勢いを落とさぬままナイフは――


【1日目 朝】
【現在地 H-6 病院跡地】
【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、疲労(中)、ディエチの死に対する悔恨
【装備】バニースーツ@魔法少女リリカルなのはStrikers-砂塵の鎖-、シェルコート@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式、料理セット@オリジナル、翠屋のシュークリーム@魔法少女リリカルなのはA's、被験者服@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
 基本:姉妹と一緒に元の世界に帰る。
 1.剣が壊れたら殺し合いになる、壊れなければ殺し合いに乗らない。
 2.姉妹と合流した後に、レリックを持っている人間を追う。
 3.姉妹に危険が及ぶ存在の排除、及び聖王の器と“聖王のゆりかご”の確保。
 4.クアットロと合流し、制限の確認、出来れば首輪の解除。
 5.Fの遺産とタイプ・ゼロの捕獲。
 6.天上院を手駒とする。
【備考】
※制限に気付きました。
※高町なのは(A’s)がクローンであり、この会場にフェイトと八神はやてのクローンがいると認識しました。
※ベルデに変身した万丈目(バクラ)を危険と認識しました。
※大剣・大百足は後一撃加われば壊れるかギリギリの状態です。


     ▼     ▼     ▼


ルーテシアが今まで無関心だったデスゲームに乗るきっかけとなったのは明日香の話だった。
病院へ向かう途中で明日香はこちらの関心を引こうと今までどこにいたかを話していた。
その中にスカリエッティのアジトが出てきたので、一つ質問をしてみた。

――生体ポッドの中に何かあったか、と。

明日香はその質問に「何もなかった」という答えを返してきた。
その瞬間、ルーテシアの気持ちは決まった。
最初ルーテシアはアジトが自分の知っているアジトだと思っていた。
だが明日香の話に出てきたアジトにはあるはずのものがなかった。
生体ポッドの中で眠っているはずのメガーヌ・アルピーノ、ルーテシアの母親だ。
それがいないという事はつまり――

(――プレシアの言っている事は正しかった?)

ルーテシアはここへ転送される前の事を思い出していた。

皆が転送された部屋に何故か一人取り残された自分。
壇上から降りて来て自分に近づいてくるプレシア。
普通に話せる所まで近づいてきたプレシアはある事実を話し始めた。
曰く、ここへ集められた人々や建物はそれぞれ別々の世界から集めたので本物はルーテシアのいた世界で元気でいると。
それからプレシアは殺し合いを円滑に進めるために皆を殺して回ってほしいと言ってきた。
ここにいるのは全て別の世界の人なので殺しても元の世界に戻れば問題ないとも付け加えていた。
それを聞いても別に何も思わなかった。
たぶん急な展開に頭が追い付いていなかったのだろう。
そのうち反応が乏しい事に気付いたプレシアが唐突に不思議な事を言った。

――私は死んだ人でも生き返らせる事が出来るのよ、と。

そしてこちらの首にある首輪を指差すと、なぜか首輪が甲高い電子音を鳴らし始めた。
その音が耳障りになって鬱陶しいと思っていると、

――ボン

首輪が爆発した。
自分の首が宙を舞って視界が回る様子はなぜか鮮明に映った。
そしてルーテシア・アルピーノは死んだ。

だがすぐにルーテシア・アルピーノは生き返った。
それは目の前にいたプレシアの力のおかげだと当の本人は言っていた。
そしてプレシアが続けて言った言葉は強く心に深く刻まれた。

――最後の一人になれば母親を復活させてあげる、と。

それは青天の霹靂のような言葉だった。
思わず理由を、なぜ自分にそんな事を言うのか尋ねてみた。
プレシアは少し悲しそうな表情を顔に浮かべて呟いた。

――似ているのよ。母親を失ったルーテシアが自分と似ている、と。

そして、その言葉を最後に私はついに会場へと転送された。

「プレシアの言っていた事は本当だった、だからあの言葉も正しい」

先程出会ったキース・レッドという男はなぜか自分を知っていた。
おそらくプレシアが言っていた別世界の自分と知り合いなのだろう。
ルーテシアはそう判断した。
あの時は無闇に相手を刺激しないように最低限の受け答えのみだったから確信はないが、あの話振りだとそうとしか考えられない。
それなら名簿に名前が二つ載っている機動六課の3人にも説明がつく。
つまり別々の世界から連れて来られているのだ。
だからゼストやナンバーズも自分の知る彼らとは違う事になる。

「だから、大丈夫」

皆殺しを目指す事にしたが、今の状態でキース・レッドに敵うと思えず、あの場は手を出さずに状況を静観する事にした。
そして状況は思わぬ方向に転がったが、それはルーテシアにとって悪くないものだった。
だから別れる時にキース・レッドとブレンヒルトに自分が転送される直前の出来事を教えておいた。
いろいろ上手い具合に生かして支給品を貰ったのでそのお返しのつもりだった。
それを聞いた二人はひどく驚いていた。
特にキース・レッドは何やら深刻そうな表情を浮かべたが、すぐに不敵な笑みを浮かべていた。

最初はプレシアの言う事が半信半疑だったのでレリックを手に入れようとしたが、もうそれに拘る事はない。
自分だけでできそうなら迷わず殺しに行くが、自分の力で敵わない相手に向かって行こうとは思わない。
自分では敵わない相手は他の人に任せればいい。
そうやってここにいる全員を殺して本当の皆のいる世界へ帰る。
それがルーテシアの新しい目的になった。
もちろんプレシアが約束を守るなら最後の一人になって母の目を覚ます事ができる。
そうすれば自分にも「心」が生まれる。

「待っていてね、母さん」

母への誓いを胸にルーテシアは先の取り決め通り北へ向かって行った。
元々スカリエッティのアジトを目指していた事もあり、一度自分の目で確かめたいと思った事が理由だった。
キース・レッドから渡された物はイフリートというモンスターの召喚マテリアだった。
元々は既に死んだ高町なのはに支給されたものだったが、もちろんキース・レッドもルーテシアもそんな事は知らない。
この道具は召喚士である自分に適しているように思われる。
差し当たっての問題は上手く扱えるかどうかだが、それはこれから考えたらいい。
一応ナイフと銃も持っているので心配はそれほどない。

「……それとキャロ・ル・ルシエ」

キャロ・ル・ルシエとエリオ・モンディアル。
自分と同じ召喚士とそのパートナー。
この二人はルーテシアの中ではある意味特別な存在になっている。
自分と同じ召喚士でありながら仲間や家族に恵まれているキャロと、その隣にいるエリオ。

(負けない、ガリューや白天王がいなくても負けない!)

それは幼い時には誰もが持つ対抗心と言われるものだが、ルーテシアにはそこまで理解できていない。
だからその対抗心が某戦闘機人のせいで暗い嫉妬に変貌しつつある事にも気づいていない。
エリオ亡き今その負の感情はキャロに向いていた。


【1日目 朝】
【現在地 G-7】
【ルーテシア・アルピーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、疲労(小)、キャロへの嫉妬
【装備】マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ウィルナイフ@フェレットゾンダー出現!
【道具】支給品一式、召喚マテリア(イフリート)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、エボニー(10/10)@Devil never strikers、エボニー&アイズリー用の予備マガジン
【思考】
 基本:最後の一人になって元の世界へ帰る(プレシアに母を復活させてもらう)。
 1.どんな手を使っても最後の一人になる(自分では殺せない相手なら手は出さずに他の人に任せる)。
 2.北へ向かい、スカリエッティのアジトへ一度行って生体ポッドの様子を確かめる。
 3.一応キース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探してみる(半分どうでもいい)。
 4.一応18時に地上本部へ行ってみる?
 5.もしもレリック(刻印ナンバーⅪ)を見つけたら確保する。
【備考】
※ここにいる参加者は全員自分とは違う世界から来ていると思っています。
※プレシアの死者蘇生の力は本物だと確信しています。
※ユーノが人間であると知りました。


     ▼     ▼     ▼


「ふふふ、なかなか便利だな。だが、使用は控えておくか」

キース・レッドはサンライトハート改の推力で山吹色のアーチを宙に描きながら川を越える事に成功していた。
最初は役に立たないと思っていた金属板は意外にも攻撃・防御・移動・回復と便利な物である事を改めて感じていた。
だが過度の使用は禁物だ。
ARMSのように何か制限が掛かっているかもしれない。
それにあまり使い過ぎるとそれだけ誰かに目撃される可能性が出てくるので、そうなれば肝心な時に対処される可能性がある。
しかも本来はキース・レッドのものではないので、本来の持ち主と出会えば最悪返り討ちになる事もある。
そのような事態を避けるためにもサンライトハート改を使うのは控えたほうが賢明だ。
普段は待機状態で回復の促進に回して、ここぞという時つまり戦況を変える時にこそ使うべきだろう。
キース・レッドは待機状態に戻した核鉄を眺めながらそんな事を考えていた。

「気掛かりはルーテシアが言っていたプレシアとの会話だ。ここにいるシルバーが私の知っているシルバーではない、か」

もしそれが本当ならここにいる必要はない。
今すぐにでも参加者を皆殺しにしてプレシアの力で元の世界へ返してもらえばいい。
もしそれが嘘なら今のまま行動しておけばいい。
先の取り決め通り中央付近でキース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探しながら18時に地上本部へ行けばいい。
つまりはどちらにせよ、これからの行動に然して変更はない。

敢えて言うならこれから新しく出会う参加者への対応だ。
開口一番にキース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』について知っている事を聞き出すとして、その後どうするのか。
殺すか、捜索者にするか。
役に立つなら捜索者に仕立て上げ、役に立たないなら殺す。
キース・レッドはこれを基本にしようと考えていた。
もちろんその場で臨機応変に対応した結果、最も良さそうな手を講じるが。

「シルバーよ、今度こそ貴様の身に刻んでやる。我が最強のARMS、グリフォンをな」


【1日目 朝】
【現在地 H-6 川の畔(北側)】
【キース・レッド@ARMSクロス『シルバー』】
【状態】健康
【装備】対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル(3/6)@NANOSING、.454カスール カスタムオートマチック(6/6)@NANOSING、核鉄「サンライトハート改」(待機状態)@なのは×錬金
【道具】支給品一式×5、ジャッカルの予備弾(18発)@NANOSING、レリック(刻印ナンバーⅦ)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪×2(神崎優衣、高町なのは(A’s))、ヴァッシュのコート@リリカルTRIGUNA's、S2U@リリカルTRIGUNA's、ランダム支給品0~2(元カレン、『ベガルタ』『ガ・ボウ』ではない)
【思考】
 基本:キース・シルバー(アレックス)と戦い、自分の方が高みにある事を証明する。
 1.中央に向かいシルバー(アレックス)及び『ベガルタ』『ガ・ボウ』の捜索。
 2-1.出会った者にシルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』について知っている事を聞き出す。
 2-2.聞き出した後、役に立ちそうならシルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探すようにさせ、役に立たないなら殺す。
 3.1及び2を邪魔するものは容赦なく殲滅する。
 4.できるだけ早く首輪を外したい。
【備考】
※キース・シルバーとは「アレックス@ARMSクロス『シルバー』」の事だが、シルバーがアレックスという名前だとは知りません。
※神崎優衣の出身世界(仮面ライダーリリカル龍騎)について大まかな説明を聞きました。
※自身に掛けられた制限について把握しました。
※白刃の主をヴァッシュだと思っています。
※サンライトハート改は余程の事がない限り使う気はありません。
※ルーテシアの話の真偽についてはどうでもいいみたいです。


     ▼     ▼     ▼


市街地から少し離れた林の中に作られた畑。
今は一面雑草だらけの場所は本来なら季節によってさまざまな食物を提供してくれる場所だ。
そんな畑の隅に寂しく建っている小屋の中に魔女と魔導師がいた。
1st-Gの魔女ブレンヒルト・シルトとミッドチルダの魔導師ユーノ・スクライアだ。
だが、どうやら現在進行形で風向きが怪しい様子だ。

「やっぱりここへ向かう途中から意識があったのね。で、気絶した振りをして年頃の女性に背負われた気分はどうなの?
 ふふふ、さぞかしいい気分だったでしょう……いい度胸ね」
「あ、その事に関しては、その、ごめん。だから、笑顔で拳を振り上げるのは如何なものかと」
「……怪我していなかったら腹に一発ストレート入れていたところなのよ、あの娘に感謝するのね」
「今のって笑うところなのかな」

先の取り決めでルーテシアは北へ、キース・レッドは中央へ、ブレンヒルトは南へつまりこの付近で捜索をする事になった。
あの場を凌ぐための苦肉の策だったが、余計なタイムリミットが課せられたのは失敗だった。
本来ならその場だけの嘘方便で後は適当にやり過ごすつもりだったが、これでそうもいかなくなった。
それでもユーノを連れる事は出来たので一段落付いたとブレンヒルトは自分を納得させていた。

「それより傷の具合はどうなの。見たところ、すぐに動けそうにないみたいだったけど」
「うん、今はヒーリングを掛けているから刺された直後よりはマシだよ。でも、やっぱり動くにはもう少し時間が……」
「別に良いわ。その間に聞きたい事もあるから。あなたのいた世界や魔法の事、このデスゲームの事。分からない事が多すぎるのよ。」
「それは、僕に分かる範囲なら……」
「それでいいわ。よろしくね、スクライア」
「こちらこそ、よろしく、ブレンヒルト」

ブレンヒルト・シルトとユーノ・スクライア。
この二人の邂逅は果たしてデスゲームにどのような影響を及ぼすのだろうか。
今はまだ誰にも分からない。

「そうだ、しばらくフェレットの姿になるね」
「ん、フェレットが本当の姿なの?」
「いや断じて違うから! 人間の姿が本当の僕だから! フェレットの姿の方が怪我の治りが早いんだ」
「ふーん、そうなの」
「うん、じゃあ――」
「へぇ、凄いものね。あっという間にフェレットの姿に、あ、落ち――ッ!?」
「――ッイタ!! ベ、ベッドの位置を考えていなかったなあ。ブレンヒルト、悪いけど僕をベッドの上まで上げて……あ」

今の状態を説明するとこうなる。
板張りの床にはフェレット状態のユーノが落ちていて、そこからベッドに戻してくれと上を見ながらブレンヒルトに頼んでいる。
一方のブレンヒルトは賢石の消費を抑えるためにバリアジャケットを解いて、今は制服姿でベッドの近くに立っていた。
幸か不幸か視線を上げたユーノの目に飛び込んできたのは――

「ええ、いいわよ。
 今度は落ちないようにしっかり私が持つから安心して大丈夫よ……もしかしたら力加減を間違えちゃうかもしれないけど!
 下着を見られた怒りでどうにかなるとかないと思うから安心して!!」
「え、ちょ、ま、傷、傷が、あ、あ、あ、アッー!!!!!」


【1日目 朝】
【現在地 H-8 畑の隅にある小屋】

【ブレンヒルト・シルト@なのは×終わクロ】
【状態】健康、ユーノへのお仕置き中
【装備】1st-Gの賢石@なのは×終わクロ、バルディッシュ・アサルト(カートリッジ4/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式、双眼鏡@仮面ライダーリリカル龍騎、首輪(矢車)、ランダム支給品0〜1
【思考】
 基本:ここからの脱出。
 1.スクライア、乙女の恐ろしさを知りなさい!
 2.スクライアが動けるようになるのを待ちながら今後について話し合う。
 3.残り15人になったら車庫の中身を確認してみる(信用できる人以外に話す気はない)。
 4.キース・レッドとの約束は一応守るつもり。
 5.戦闘には極力関わらない。
 6.フェイトの生い立ちに若干の興味。
【備考】
※自分とバルディッシュに共通する知人に矛盾がある事を知りました(とりあえず保留、別世界の可能性を考慮)。
※キャロ、金髪の青年(ナイブズ、危険人物と認識)、銀髪の青年(殺生丸)の姿を遠くから確認しました。
※車庫を無理に開けようとすれば首輪が爆発すると思っています。中身は単体で状況を変え得る強力な兵器だと思っています。
※ルーテシアの話の真偽は保留。


【ユーノ・スクライア@L change the world after story】
【状態】魔力消費大、腹に刺し傷(ヒーリング中)、ブレンヒルトによるお仕置きタイム、フェレットに変身中
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
 基本:なのはの支えになる。ジュエルシードを回収する。
 1. アッー!!!!!
 2.怪我の治療をしながらブレンヒルトと今後について話し合う。
 3.なんでルーテシアは僕を刺したんだろう。
 4.Lや仲間との合流。
 5.首輪の解除。
【備考】
※JS事件に関連した事は何も知りません。
※プレシアの存在に少し疑問を持っています。
※ルーテシアがマフィアや極道の娘だと思っています。
※ルーテシアに刺されてから小屋に着く途中まで気絶していたのでルーテシアや明日香がどうなったのか知りません。


     ▼     ▼     ▼


「ようやく動き出したのね」

薄暗い部屋の中で一人プレシアは呟いた。
空間モニターが発する仄かな光に照らされた顔には微かに笑みが浮かんでいた。
そこにはプレシアとの一件を話すルーテシアの姿が映っていた。
あの時プレシアがルーテシアに言った事は嘘ではない。
ルーテシアの母を復活させるためにレリックを捜す様子が在りし日の自分と重なったのは事実だ。
だが、そんな事はほんの些細な事でしかない。

プレシアがルーテシアを一度殺した真の理由――それはルーテシアが使役している召喚虫に他ならなかった。

ルーテシアを殺す事で一度それらの召喚虫との繋がりを断ち切って、使役主をプレシアにする事が本来の目的だ。
もしも万が一首輪と制限が解除された時のための保険、不測の事態の際の戦力にするつもりだ。
他の召喚士にキャロという少女もいたが、ルーテシアの方が持ち数の面で勝っていた。
それが決め手となった。

「さて、これからどうなるのかしらね」

プレシアは嬉しそうに画面の向こうで繰り広げられるデスゲームを観察するのだった。
その手にはルーテシアを生き返らせた道具である時間を巻き戻すカード――『タイムベント』のカードが握られていた。


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全てを失った場所でもう一度掴むものは唯一つ。
守りたかったものはもう二度と離さない。
見失わずに、振り返らずに、必ず取り戻すから。


【全体備考】
※駅の付近(線路の先)に中身不明の車庫があります。『残り15人になるまでこの扉は決して開かない。もし無理に開けようとすればそれ相応の罰を与えようではないか』という注意書きを書いた立札が入口前に立っている。
※H-6病院から離れた場所に壊れたガジェットドローンⅠ型が転がっています。
※工具セットとラオウの兜はランブルデトネイターで消費されました。

【召喚マテリア(イフリート)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
炎の魔人であるイフリートという召喚獣を召喚する事が出来るマテリア。
敵全体に炎でダメージを与える「地獄の火炎」という技を使う。
片翼の天使本編では同じく召喚獣のタイタンとバハムートと三匹掛かりでセフィロスに襲いかかり、秒殺された。
詳しい制限は後続の書き手にお任せします。



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