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せめて哀しみとともに ◆7pf62HiyTE




「なぁディエチ……お前はどうしてそんなに安らかな顔で死ねたんだ……?」

H-6の病院跡地、瓦礫の上で戦闘機人ナンバーズⅤチンクは今は亡き妹であるディエチの死に顔を思い出していた。その手には大剣・大百足……その柄の部分だけが握られている……。
チンクは病院に反応のあったレリックの確保、そして姉妹であるクアットロとディエチとの合流の為に病院に向かった。
しかし、そこで彼女を待っていたのは既に物言わぬ骸と化したディエチであった。そしてその後、巨大な光が発せられそれにより病院は崩壊しディエチの亡骸は瓦礫の奥へ深く沈んでいった。
この状況で掘り起こすのは困難、仮に掘り起こしたとしてもまともな状態ではないだろう、最早ディエチの死に顔を確かめる事はまず不可能という事だ……。

チンクは最後に見たディエチの顔をもう一度思い出していた。その顔は何かをやり遂げていたかの様な満足そうな顔をしていた。
だが、チンクにはそれがどうしても不思議に思えたのだ。

「もう少しという所だったんだぞ……それなのに……」

チンクはディエチ達と合流する為に、スカリエッティのアジトで確保したガジェットドローンⅠ型を利用した。
チンクが見つけたガジェットの内利用出来たのは3体、その内の2体には『朝までに病院へ集合。生きて会おう姉と妹よ by 5姉』と記すと共にチンクのISであるランブルデトネイターを仕掛けた。
そして、戦闘機人を見つければメッセージを見せる様に、生命体を見つければ体当たりしてランブルデトネイターによる自爆を仕掛ける様にし向けたのだ。
つまり、これを利用してクアットロとディエチに病院に向かわせる様にし向けさせ、同時に参加者を減らす事を目論んだのである。
なお、病院を集合場所にしたのはそこにレリックの反応があったからである。

しかし、今にして思えばそれは悪手だったとチンクは思っていた。

そもそも、チンクはクアットロとディエチ以外の参加者にはメッセージを見せるつもりは無い。
だが、ガジェットに対しては戦闘機人か生命体の条件設定しか行っていなかった。つまり、戦闘機人であれば誰であっても体当たりをし向けずメッセージを見せる可能性があるということだ。
そしてこの場には戦闘機人が他に2人いる。タイプ・ゼロと呼ばれるチンク達のプロトタイプであるスバル・ナカジマとギンガ・ナカジマだ。彼女達2名に対しても体当たりではなくメッセージを見せる可能性は高い。
ギンガについては自分達が確保した後のはずだから恐らく問題はないだろうが、問題となるのはスバルの方だ。
スバルがメッセージを確認した場合、チンク達の行動を妨害する為に病院に向かう可能性は高い。チンク自身スバルのIS振動破砕によって負傷させられていることもあり、無視して良い相手ではないといえる。

また、仮に戦闘機人では無かったとしてもメッセージ自体はガジェットに鉛筆で記したものでしか無い以上、その気になればメッセージを見られる可能性は十分に考えられる。
つまり、ガジェットを飛ばした事で無用に人を集めてしまうという事だ。

もう1つ問題はある。それは目的地を病院にしてしまったという事だ。
先程も触れたがチンクが病院を目的地にしたのはレリックの反応があったからだ。だが、そもそも病院というのはどういう所なのだろうか?
無論、医薬品が多数置かれている場所であり負傷者や病人の治療を行う場所である。チンク達戦闘機人にとっては無用の場所ではあるが、普通の人間にとっては重要な場所である。
となれば当然の事ながら病院を目的地にして参加者が数多く集まる事に不思議は全くない。
そして、殺し合いに乗った参加者も参加者を一網打尽にする為にそこを目指すのも不思議はない。当然、その場所は戦場になる可能性は高い。

つまり、病院という多くの参加者が集まる可能性の高い場所にクアットロとディエチを向かわせ、更に多くの参加者を引き込んでしまったという事だ。
真面目な話クアットロとディエチを守る為の行動としては悪手としか言いようがない。

とはいえ、ガジェットへのメッセージの仕込み方についてはある種仕方ないだろう。細かい条件設定するほどの技術力がチンクには無かったのだから。
だが、集合場所の方はもう少しやりようがあったかも知れない。例えばH-7にある橋にするという風に……ガジェットがあればレリックの位置は把握できるのでそれでも良かったはずだ。

しかし今となっては後の祭りでしかない。チンクが自らの失敗に気が付いたのは病院の惨状を見た時だ。それを見るまではその過ちには気づけなかったのだ。

「恐らく姉のメッセージを見て向かったのだろうがな……」

チンクはディエチの行動を推測する……ディエチはチンクからのメッセージを受け取った後、すぐさま病院に向かった。だが、そこで戦いに巻き込まれて命を落としたと……。

「すまない……お前の死は姉である私のせいだ……」

チンクは今一度ディエチに謝罪する。だが、やはりチンクの頭には引っかかる事があった。

考えても見て欲しい、後少しで合流出来たところで戦いに巻き込まれて命を落とす。普通に考えれば悔しさが残るはずだ。安らかな死に顔であるはずがない。
にも関わらずディエチの死に顔は穏やかなものであった。これは明らかに奇妙な事である。

「ディエチ……お前は最期に何を思ったんだ……」

チンクは何度もディエチの最期の姿を思い出す……そして、ある事を思い出した。

「そういえば……ディエチの耳に何か付いていたな……」

それはディエチの耳には何かのインカムが付けられていた事だ。インカムというものがどういう物かはチンクも知っている。離れた相手と通信する為の物である。
そのインカムをディエチが身に付けていた、その事実が意味する事は……。

「ディエチにはこの場で得た同志がいたということか……?」

インカムを身に付けていたという事はそれを使用していたという事である。つまり、誰か通信相手がいたという事を意味している。
思い出してみればディエチの遺体には他にも奇妙な点がいくつかあった。
髪を結んでいたはずのリボンが何故か右手に巻かれていたのもその1つだ。普段からディエチは髪を黄色いリボンで結んでいた。だが、チンクが見たディエチの遺体の髪は降り乱れていた。
これだけならば戦いの最中でリボンも切られたと考えられるが、それならば右手にリボンが巻かれていた事に説明が付かない。だが、戦いの前に何かしらの理由でリボンを取って右手に巻いたとするならば説明が付けられる。
しかし、ディエチが1人でそれを思いついて実践するだろうか?少なくともするとは思えなかった。チンクから見て、その理由が考えつかなかったからだ……もしかしたら何か意味があったかも知れないが。
つまり、外した方が良いとアドバイスした人物がいた可能性があるという事だ。

奇妙な点は他にもある。それはディエチが自身の固有武装であるイノーメンスキャノンを所持していた事だ。
チンクも自身の固有武装であるスティンガーや自身の防護服であるシェルコートは没収されており支給されていなかった。
なお、今現在チンクはシェルコートを身につけているが、それは元々ユーノ・スクライアに支給されていてルーテシア・アルピーノが身に付けているものを返してもらったものである。
閑話休題、つまり参加者に自身が本来使っていた道具が支給される可能性は低いという事だ。ディエチにイノーメンスキャノンが支給されている可能性も低いだろう。
勿論、ある程度時間が進めばディエチが運良くイノーメンスキャノンを入手する可能性は十分にあるが、殺し合いが始まってから6時間弱という段階では難しいだろう。
にもかかわらず、ディエチがイノーメンスキャノンを殺し合いが始まってから早い段階で所持していたという事は……
チンクがシェルコートを返してもらったのと同様に、ディエチも他の参加者からイノーメンスキャノンを返してもらった可能性が高いということだろう。
当然、わざわざディエチに本来の武器を返すという事はその相手はディエチにとって同志という可能性が高いことになる。

以上の事を踏まえ、ある1つの事実が浮き彫りになる。それは、ディエチには目的の為の同志がいたということである。その事にチンクは気が付いたのだ。
ちなみに、チンクから見てもそれは十分に考えられる話だった。
チンク自身も(利用するつもりだったとはいえ)天上院明日香という協力者を得ていたわけだし、遠距離からの砲撃が取り柄であるはずのディエチに銃器が支給されなければ戦闘機人とはいえ生き残るのは厳しい、
この場を切り抜ける為に他の参加者と共闘するのはなんら不思議ではない。

「流石に管理局の連中という事はないだろうがな」

とはいえ、幾ら何でも自分達と敵対している管理局の人間と組むという可能性は無いと考えていた。

では、ディエチの協力者は一体何者でどうなったのだろうか?チンクはその事について考える。もしかしたらそれがディエチの安らかな死に顔に関係していたかも知れないからだ。
しかし、ディエチの状況からだけではその人物像がつかめない。そこでチンクは少し視点を変える事にした。それは病院で一体何が起こったかということだ。

チンクは考えながら瓦礫の近くを歩く。そしてあるものを見つけた。それは右腕である、鋭利な刃物で切断されたらしい右腕が落ちていた。
幸か不幸か病院の崩壊に巻き込まれる事無く、右腕は瓦礫の近くにあったのだ。チンクはそれを手に取り拾いデイパックに入れる。
少々悪趣味だというのは自覚しているが数少ない手がかりだ、ひとまず持っていても問題は無いと考えたのだ。

では、右腕は一体誰のものだったのだろうか?そして病院では何が起こったのだろうか?

順を追って整理しよう、まず病院では何人が死んだだろうか?チンクがここまでに確認したのは5名、

全身がボロボロで右腕を失っていた男性、
首と胴が切断されて首輪を失っていた女性、
全身を切り刻まれたものの安らかな死に顔だったディエチ、
同じ様に首と動が切断されてやはり首輪を失っていた高町なのはのクローン、
そして頭部以外は見るも無惨なバラバラとなっていたフェイト・T・ハラオウン、

これだけでも相当な数であるが、チンクが確認してはいないものの他にも死者がいる可能性がある。
いや、チンクから見てもう1人病院で死者がいるのは確実だろう。

それはチンクがなのはのクローンと遭遇した時に一緒にいた少女であるカレン・シュタットフェルトである。
彼女はチンクのランブルデトネイターによって左手を失うほどの重傷を負った。
クローンとは言えなのはが彼女を放置する事などまずあり得ないだろう、なのはは彼女の治療をする為に病院へ向かったのは確実だ。
だが、不幸にもそこで戦いに巻き込まれカレンもなのはも命を落とした……チンクはそう考えたのだ。

つまり、病院での死者は少なくても6名という事になる。これを踏まえて病院で何が起こったのかを考えていく。

まず確認しておきたいのはフェイトが死んだタイミングは他の5人とは違うという事だ。
何故なら、最初の放送時にはフェイトの名前は呼ばれてはいない。つまり、チンクが病院に到着した後でフェイトが死亡したという事だ。
チンクが到着した後は目立った戦闘の様子は察知出来なかった……ある1点を除いては。
それは、病院を崩壊させ瓦礫と化した光である。恐らくフェイトはその光に巻き込まれたのだろう。

さて、ここからが問題である。
ここで女性となのはの死体について考えてみよう。この両者の死体には共通点がある。
それは共に首が鋭利な刃物で切断されていて首輪が無くなっている他は殆ど外傷が無かった事である。
つまり、鋭利な刃物による一撃で仕留められたという事である。両者共に完全な不意打ちで斬られたと見るべきだろう。
完全な奇襲であるならば幾らなのは(この場にいたのはクローンだが実力自体は相当なもののでそれについては考えない)でも殺される事に不思議はない。
そして、同じ様な手口であった事から考えて、2人を仕留めた人物は同一人物の可能性が高い。首輪の方は首輪解除の事を考えその人物が確保したのだろう。

ところで、なのはがカレンを連れていた可能性が高いはずだったが、カレンの遺体は見つかっていない。これはどういう事だろうか?
恐らくは2人は別の場所で殺されたという事だろうが、果たしてそんな事が起こりえるだろうか?

考えられる可能性は2つ、1つは2人が一緒にいる所を奇襲によりまずなのはが仕留められ、カレンは逃げたが逃げ切れず殺された可能性。
もう1つはなのはが一時的にカレンと別行動を取り、それぞれ別の場所で殺された可能性。なのは1人で医薬品を探す為に安全な場所にカレンを一旦置いたという事は考えられるので可能性はあるだろう。
残念ながらカレンの遺体が見つからなかった為、これ以上の事はわからない。誰が殺したのかすらも……。

さて、チンクが先程手に入れた右腕について考えてみる。鋭利な刃物で切断されたという共通点から恐らくなのは達を殺した人物と同じ人物による可能性が高い。
その人物に対しては完全な奇襲を仕掛ける事が出来なかったのだろう。
では右腕を斬り落とされた人物は誰なのか?女性となのは、ディエチは共に右腕があった為除外される。フェイトに関しては位置関係からその可能性が低い。
右腕を失っていた男性については体格が違う事から除外される。つまり、ここまでに見つけた5人のものではない可能性が高いという事だ。

可能性があるのは死体の見つからなかったカレンのものという事になるが……これも残念ながら断定する事は出来ない。他の人物の可能性だってあるだろう。

続いて右腕を失った男性について考えてみる。既にボロボロだった事から考え、激しい戦いの末に敗れ去ったと考えるべきだろう。なお、殺した人物については全く不明。
なのは達を仕留めた人物かもしれないし全く別の人物の可能性もある。

さて、ここでいよいよディエチの話になる。ディエチの身体には全身に渡って斬り傷が刻まれていた。
恐らくは奇襲によるものではなく、実際に戦闘をした上での負傷だろう。つまり、殺し合いに乗った参加者と交戦し敗れ去ったと……。
そしてその相手の使った武器から考えてその人物は鋭利な刃物を持っている……つまり、なのは達と殺した相手の可能性が高いという事だ。

「ディエチ……もしやお前はそいつを仕留めたのか……いや……」

チンクはディエチの穏やかな死に顔からディエチを殺した相手と相打ちになった可能性を考えたがすぐさまその可能性を否定した。
何故なら、ディエチの近くにその人物の遺体が無かったからだ。相打ちとなったなら、近くにその人物の遺体がなければおかしい。
つまり、ディエチはその相手に敗北したという事だ。では、何故敗北したにも拘わらず穏やかな顔をしていたのだろうか?

ここで、改めてディエチの同行者について考えてみる。その人物はこの状況においてどうなっただろうか?いや、そもそもディエチ達はこの病院に到着してから何が起こっただろうか?
メッセージを元に病院に来たディエチ達はそこでなのは達を殺した参加者に遭遇した可能性が非常に高い。そしてその相手と交戦したが敗れ去って殺されたといった所だろう。

「同志もディエチと共に殺されたのか?」

問題は同行者がどうなったのか?ディエチ共々殺された可能性は十分にあり得るしそれで納得してもよかった。だが、どうしてもディエチの死に顔が引っかかるのだ。

「何故だ……ディエチ……姉達に会えなかったというのに何故そんなに……姉達に会いたくなかったのか……?」

チンクは考える、ディエチの目的も恐らくは自分と同じく姉妹と合流して共に脱出する事だったはずだ、ならばその目的が達成出来なければ無念だけが残るはずだ、安らかな顔など出来る筈がない。
特にもうすぐ姉達と合流出来たのであれば尚のことだ。

「いや……ディエチは既に目的を達成していたとしたら……」

ここでチンクは考え方を変えてみる。もし、姉妹の集合場所であった病院に殺し合いに乗った参加者がいたならばどうなるのか?無論、チンクやクアットロも危険な目に遭うに決まっている。
それをディエチがわかっていたとしたらどうするのだろうか?当然、チンク達を脅かす危険を回避しようとするはずだ。
つまり、その参加者をディエチ自身の手で仕留めるというものだ。だが、少なくともディエチが仕留めたという事はない。となれば、ディエチは何を達成したのだろうか?

「もしや……同志に全てを託したというのか?姉達を助ける為に……」

ディエチの目的……それは同行者にチンクやクアットロを託したという事……チンクはそう考えた。
つまり、同行者の命を守る為にディエチは命を投げ出したという事だ……同行者がチンク達を守ってくれると信じて……。
そして、同行者の安全が確保出来たと確信したディエチは死んでしまうにも拘わらず穏やかで満ち足りた顔をしていたのだと……。
なお、同行者が病院に向かっていたチンクと遭遇しなかったのは単純に行き違いになっただけだとチンクは考えていた。

では、その同行者はどういう人物なのだろうか?少なくともディエチが自分の命を投げ出す程の人物である以上、高い能力を持った人物なのは確かだ。そうでなければディエチの死が無駄になってしまう。
となると、どの様に高い能力を持っていたのだろうか?

格闘能力に秀でた人物?まずあり得ない、ならばその者が先頭に立って戦えばいい話だ、ディエチが代わりに戦闘に立って戦い命を散らす必要はない。
砲戦能力に長けた人物?これもあり得ない、イノーメンスキャノンを持ったディエチ以上に砲戦に長けた人物などこの状況では殆どあり得ないだろう。
となれば考えられる可能性は……

「ウーノ姉様かクアットロの様なタイプの人物だというのか……?」

チンクはその人物を指揮能力に長けたウーノや知略に長けたクアットロと同じタイプの人物だと考えた。そしてその人物は自身が直接戦う事自体は不得意だと判断した。

「ディエチ……そうなのか……ならば姉は……」



★   ★   ★



さて、チンクはつい先程大百足に向けてナイフを放った。大百足は先程の光によりボロボロとなっており今にも壊れそうな状態であった。
チンクは自身の今後を亡きディエチに決めてもらおうとしたのだ……ナイフによって大百足が壊れるかどうかで……
壊れた時は殺し合いに乗り(クアットロ達を殺しても優勝の褒美で生き返らせればいい)、壊れなかった時は殺し合いに乗らないと……

結論から言えば、ナイフは大百足に命中した。だが、大百足が壊れる事は無かった。

そしてチンクが大百足を再び手にしたが……その時に柄の部分で折れたのである。

「そうか……それがディエチの答えか……」

大百足は既に限界を超えていた。真面目な話一撃すら耐えられる筈はなかったのだ。
だが、当たり所が良かったのか、ディエチの想いが最後の一撃に耐えさせてくれたのか、もしかしたら心の何処かでは手加減をしてしまったのか、今となってはもうわからないが大百足は耐えきったのだ。

大百足は壊れなかった……つまり……

「わかった……姉はクアットロと共にこの殺し合いから脱出する……」

それが、チンクそしてディエチの出した答えである。



★   ★   ★



チンクの目的は決まった……クアットロと共に生きてこの殺し合いから脱出すると……。
その為にチンクはまずクアットロとの合流の為、今暫く病院で待つ事にしていたのだ。そしてその時間を利用してこれまでディエチの事を考えていたのである。

「クアットロ……もしやメッセージが届かなかったか……危険を察知してあえて従わなかったか……」

今現在もクアットロが来る気配はない。単純に到着が遅れている可能性もあるが、メッセージが届かない可能性や、病院に向かう事が危険だと判断して向かわない可能性も考えた。

「まあいい……もう少し待つか……」

ひとまずもう2~3時間は待とうとチンクは考えていた。

「それにしてもお嬢様達は遅いな……何をやっているんだ……?」

その最中、遅れて病院に向かっているはずのルーテシア、ユーノ、明日香の到着が遅れている事が気になった。

「先程の光に巻き込まれたか……もしくは3人の内の誰かが殺し合いに乗ったか……」

遅れている理由は、先程の光に巻き込まれた可能性と、誰かが殺し合いに乗った可能性を考えた。
先程の光に巻き込まれれば3人とも只では済まないのは間違いないし、それが無くても放送の後で3人の内の誰かが殺し合いに乗り残る2人を襲ったという可能性は十分に考えられた。

「お嬢様にユーノ……どちらが乗ってもおかしくはないな……」

ルーテシアはある目的があってスカリエッティに協力している……その目的を叶える為に殺し合いに乗る事は十分に考えられた。
ユーノとなのはの付き合いは長い……なのはの死を知ればユーノがなのはを生き返らせる為に殺し合いに乗る可能性はあり得る話だ。
明日香に関してはわからないが、彼女の仲間が死ねば生き返らせる為殺し合いに乗る可能性は考えられない話ではない。

「もう少し明日香と情報交換しておくべきだったかも知れんな……後の祭りだが……」

チンクと明日香の付き合い自体は(ほんの数時間ではあったが)それなりにあった。だが、そもそも利用するつもりだったという事もあり仲間についてなどの情報は全く聞いていなかったのだ。
これはやはり手痛いミスだと言えるだろう。明日香が全ての情報を明かさなかったとしても何かこの場に置いて役に立つ情報があったかもしれないのだ。
考えても見ればユーノともまともに情報交換していない(ルーテシアとの情報交換は行っていたとチンクは考えている)。
あまり大きな収穫は得られなかったかもしれないが何かのヒントは得られたかも知れないと少々口惜しい気も思う。

「まあいい、もう少し待てばその内やってくるかも知れないし、仮に立ち向かって来るとしても迎え撃てばいいだけだ……」

とはいえ、ルーテシアが殺し合いに乗った場合の対処については正直悩むチンクであった。

「合流した後は……ディエチの同志を探すか……」

クアットロ達との合流後の行動についても考えていた。
チンクの当初の予定ではレリックと聖王の器ヴィヴィオを確保した後に聖王のゆりかごを起動させ脱出を考えていた。
だが、明日香達に何かあった場合はガジェットも失う可能性もあり、レリック探しについて暗礁に乗り上げる可能性はある。更にヴィヴィオに至っては未だ手がかりを掴めない。
勿論、捜索そのものを諦めるつもりは全く無いが、正直な所手駒が少なすぎる。
戦闘面に関しても病院の惨状を考える限り、現状では心許ないのも確かだ。やはり、使える手駒が数名必要となるだろう。

最悪の場合は管理局の連中と組む事も視野に入れなければならないだろうとチンクは考えていた。

さて、その最中クアットロ以外で真っ先に合流しておきたい人物がいる。それは、ディエチがこの場で出会い共闘したと思われる参加者だ。
ディエチが命を懸けた理由がその参加者にチンクとクアットロを託したのだとすれば、その人物はチンクやクアットロにとって大きな力となる可能性は高い。
その人物と合流する事が出来れば脱出へ向けて大きな進歩になるだろう。

「手がかりは……インカムとこれか……」

だが、手がかりは少ない。まずその人物がインカムの類を持っている事、ディエチがインカムを付けていたという事はその人物も連絡を取る為にインカムの類を持っているはずだ。
次にその人物は体力的には一般人ではあるが知略に秀でているという事、とはいえこれについては実際に会わなければわからない。
そして……右腕を喪失している可能性が高いという事である。病院での戦闘に巻き込まれたのであればその際に負傷した可能性が高い、今現在チンクが持っている右腕はその人物のものの可能性はある。
とはいえ、全く違う人物のものという事も十分にあり得るわけだが……だが、実際に右腕を失った人物に遭遇したなら確認する価値はあるだろう。

さて、ディエチはその人物を信頼していたのは間違いない。だが、もしかしたらその人物から見た場合ディエチを只の手駒としてしか考えていないという可能性はある。
正直な話、チンクとしてはディエチが信じた人物を信じたいという気持ちはあるが、無条件に信用するのは危険なのは言うまでもない。
故に、仮にその人物に会えたとしてもまずはその人物に対する見極めを行わなければならない。信頼に足る人物ならディエチの願い通り共闘すれば良いが、仮にそうでなければ……

「ディエチの想いを踏みにじるならば……姉としてそいつを殺す……」

チンクはその人物を許さず、殺す事を考えていた。

とはいえ、まず優先すべきはクアットロ達の到着を待つ事だ。その後の事はクアットロ達と相談してからでも遅くはない。
さて、チンクの手にはフェイトの頭部の側から幾つか回収していた物がある。1つはフェイトのデイパックだ。フェイトの頭部より少し離れた所に落ちていたものだ。

「あれだけの攻撃に耐えうるとはな……随分と頑丈なものだな」

もう1つは首輪……これもフェイトの頭部の近くに落ちていたものを確保したものだ。
なお、回収した首輪は2つ……裏側を確認した所それぞれ「No.49-フェイト・T・ハラオウン」、「No.52-ミリオンズ・ナイブズ」とあったのでフェイトとミリオンズ・ナイブズの首輪だという事がわかる。
フェイトに関しては近くに頭部があるので首輪があることに疑問を挟む余地はない。
ナイブズに関しては何故首輪だけが残っていたのかが引っかかるが、先程の光に巻き込まれて首輪だけが上手く残ったとチンクはとりあえず解釈することにした。

「クアットロに渡せば解析してくれる筈だ……上手くいけば私達の首輪も外す事も出来るかも知れないな」

首輪の解除はチンク自身望む事だった事もありこの場で首輪を手に入れる事が出来たのは幸運だった。
そして、チンクはフェイトのデイパックの中身を確認する。とはいえ中身については地図や名簿といったものばかりで目新しいものは何もない。
しかし何かしらのヒントがあるかと考えフェイトの地図を名簿を確かめてみる。とはいえ、目新しい情報は何も無かった。

「まあ、過度な期待はしていなかったが……」

と、しまおうと折りたたもうとしたがその時に名簿の裏を見る。

「これは……?」

フェイトはこの場に来てから名簿を見て自身の知り合いについて確認を行っていた。
そして確認するだけではなく、実は名簿の裏に知り合い及び出会った人物をグループ分けしてまとめていたのだ。他の参加者に出会った時に迅速に説明を進める為に……
もっとも、不幸にもフェイトが情報交換を行えた人物は1名だけだったこともあり、それが利用される事は無かったが……

さて、そのグループは3つ……協力者のグループ、保護対象のグループ、そして要注意人物のグループ……

協力者のグループに該当するのは高町なのは、シグナム、八神はやて、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、クロノ・ハラオウン、ユーノ・スクライア、矢車想
保護対象のグループに該当するのはエリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ、柊つかさ、柊かがみ、泉こなた

と、ここまで確認したチンクの頭に疑問符が浮かぶ。

「……これはフェイト・T・ハラオウンの仲間ということなのだろうが……何故タイプゼロが入っていないんだ?それにエリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエが協力者ではなく保護対象なのはどういう事だ?」

本来あるべき筈の名前が書かれていなかったり、協力者にすべき人物を保護対象にしていたりと幾つかの疑問があったのだ。

「このフェイトはクローンの方なのか?だが見た限りこのフェイトは本物だと思ったが……どういう事だ?」

疑問はあるもののひとまずそれについては深くは考えない事にした。チンクにとって重要にすべきはむしろその後に書かれた要注意人物のグループである。
フェイトが要注意人物としたという事は、管理局と敵対しているか殺し合いに乗っているという事だ。
後者の場合はチンクの側から見ても危険人物だが、前者であるならば同じ管理局の敵同士共闘出来る可能性はある。無論、接触してみなければわからない話だが。

だが、要注意人物のグループに書かれたのは1名しかいなかった。自分やクアットロの名前すら無かったことが正直気になったが、まだ名前が知られていなかったという事でとりあえず納得する事にした。
さて、そのグループに描かれている人物は……

「遊城十代か……果たして私達にとって味方なのかな……」

【1日目 朝】
【現在地 H-6 病院跡地】
【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、疲労(中)、ディエチの死に対する悔恨
【装備】バニースーツ@魔法少女リリカルなのはStrikers-砂塵の鎖-、シェルコート@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式×2、料理セット@オリジナル、翠屋のシュークリーム@魔法少女リリカルなのはA's、被験者服@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪×2(フェイト(StS)、ナイブズ)、
    大剣・大百足(柄だけ)@魔法少女リリカルなのはsts//音が聞こえる、ルルーシュの右腕
【思考】
 基本:姉妹と一緒に元の世界に帰る。
 1.クアットロの到着を待つ。
 2.クアットロと合流した後に、レリックを持っている人間を追う。
 3.姉妹に危険が及ぶ存在の排除、及び聖王の器と“聖王のゆりかご”の確保。
 4.ディエチと共闘した者(ルルーシュ)との接触、信頼に足る人物なら共闘、そうでないならば殺害する。
 5.クアットロと合流し、制限の確認、出来れば首輪の解除。
 6.十代に多少の興味。
 7.他に利用出来そうな手駒の確保、最悪の場合管理局と組むことも……。
 8.Fの遺産とタイプ・ゼロの捕獲。
 9.天上院を手駒とする。
【備考】
※制限に気付きました。
※高町なのは(A’s)がクローンであり、この会場にフェイトと八神はやてのクローンがいると認識しました。
※ベルデに変身した万丈目(バクラ)を危険と認識しました。
※大剣・大百足は柄の部分で折れ、刃の部分は病院跡地に放置されています。
※なのは(A’s)と優衣(名前は知らない)とディエチを殺した人物と右腕の持ち主(ルルーシュ)を斬った人物は皆同一人物の可能性が高いと考えています。
※ディエチと組んだ人物は知略に富んでいて、今現在右腕を失っている可能性が高いと考えています。
※フェイト(StS)の名簿の裏に知り合いと出会った人物が以下の3つにグループ分けされて書かれています。
 協力者……なのは、シグナム、はやて、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、クロノ、ユーノ、矢車
 保護対象……エリオ、キャロ、つかさ、かがみ、こなた
 要注意人物……十代
※フェイト(StS)の知り合いについて若干の違和感を覚えています。また、クローンか本物かも判断出来ていません。



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Back:Knight of the Rose(後編) 投下順で読む Next:メビウスの輪から抜け出せなくて(前編)
Back:Reconquista(後編) チンク Next:Burning Dark(前編)






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