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這い寄るもの ◆9L.gxDzakI




「チッ……」
 舌打ちが響く。
 整った顔立ちが歪められる。
 巨大なトレーラーの運転席につき、ハンドルを握るのはアレックス。
 かつてのキース・シルバーというコードネームには、おおよそ似つかわしくない金の眉が、今は忌々しげにひそめられている。
 そもそも彼はこの車両で、機動六課の隊舎を目指していた。
 瀕死の重傷を負った協力者――Lの治療を行うため、手近な医療施設を求めたのである。
 そして今、目当ての場所へと、ようやくたどり着くことができた。
「何だというんだ、この有り様は……」
 その、はずだった。
 しかし、目の前に広がる光景の何としたこと。
 そこにあるはずの隊舎はなく。
 そこにあるのはただの焼け野。
 もはや火の海すらもなかった。
 たどり着いた先にあったはずの古巣は、見渡す限りの焼け跡と化していたのだ。
 コンクリの隊舎は漆黒に煤け、青々とした芝生はその痕跡すらなく。
 ぷすぷすと不快な煙の臭気が、絶え間なく鼻腔をえぐらんとする。
 誰がやったかなど知らない。
 だが何をやったかは分かる。
 この機動六課隊舎は、自分が到着する前に、何者かによる焼き討ちに遭ったのだ。
 道中で黒煙が上がっているのを遠目に見た時点で、もしやと思ってはいたが、やはりこういうことだったのか。
 これでは機材が使えないだろうし、そもそもそれ以前に、薬の類は確実に全滅しているだろう。
 姑息な奴め。
 自然とそんな感想が沸き上がる。
 戦場で勝利を収める上で、医療品の供給を断つことは、極めて重要な戦略だ。
 器具や薬品などがなければ、たとえいかなる一流医師でも、負傷者を治療することはできない。
 容易に傷を負った者の戦線復帰を許さず、じわじわと敵戦力を削いでいく。
 故に医療品とは生命線と同義。
 それを奪うということは、やりようによっては、兵糧攻めと同等の痛手を与えることができるということ。
 そしてその方針は、もちろんこの手のサバイバルゲームにおいても有効だ。
 適切な治療を施せば生きられる命も、その材料がないだけで、あっという間に死へと直行する。
 たった今しかめっ面を浮かべている、アレックスの反応こそが、それを十二分に物語っていた。
 さて、どうするか。
 どうするもこうするもない。他の医療施設に向かって、今度こそLを治療するべきだ。
 助手席で眠るこの男は、まだ喪うわけにはいかない。
 あの異様な雰囲気を纏った自称探偵は、自分よりも遥かに頭が切れる。
 知識とはそれそのものが武器であり資産だ。
 優れた戦術家を有した5の戦力が、10の蛮勇を倒すことは、ままある。
 Lの知略が役に立つ時が、今後も確実に訪れるはずだ。故に、まだ死なせるわけにはいかなかった。
 欲を言うなら、別れたザフィーラへ移動するという旨を伝えたかったが、生憎と手元には適切な連絡手段となるものがない。
 ないものねだりをしても仕方ない。奴も馬鹿ではないのだから、恐らく察してくれるだろう。
 そう判断し、改めてアクセルを踏み直す。
 ぶるん、と。
 エンジン音と共に、マフラーから吐き出される排気煙。
 ハンドルを操る。ぐるんと回転させる。
 かつて黒の騎士団と呼ばれる組織の前線基地だった、巨大なトレーラーが反転。
 次なる目的地を目指すべく、アレックスの操る車が走り出した。


 さて、改めて移動を再開した以上は、迅速に目的地を定める必要がある。
 車は人間の足より速い。
 もたもたしていては、目指そうとした場所を既に通り過ぎていた、なんて冗談みたいな展開があってもおかしくない。
 脇に置いたデイパックの口を開き、アレックスの手が地図を抜き出す。
 先ほど六課隊舎に着いたときに、既にLは安静なソファへと移動させておいた。
 今虫の息を立てる彼に代わって、助手席に置いてあるものが、そのデイパックだ。
 慣れた手つきで地図を開き、視線を走らせる。
 軍人上がりならこれくらいはできて当然だ。それどころか、家族連れのサラリーマンだってやる。
(病院は危険だな……)
 真っ先に、その場所を最終手段として保留扱いとした。
 治療を行うというのなら、やはり最も手っ取り早いのは病院だ。
 だがそれは敵も理解している。自分達のような人間を待ち伏せすべく、立てこもっている人間がいてもおかしくない。
 となるとここはやはり、極力他の施設を使うしかない。
 残る候補を可能性を脳内でリストアップ。
 ホテル・アグスタ、地上本部、軍事基地、デパート、学校、デュエルアカデミア、HELLSING本部、そしてスカリエッティのアジト。
 充実度合いはともかくとして、一見してその手の設備がありそうだと思われるのは、そんなところだ。
 このうち、ホテルとデパートを最初に除外。一応挙げてはみたが、やはりこの手の施設の医務室などたかが知れている。
 HELLSING本部というのは、名前からしてどこぞの軍隊か何かの基地だろうか。
 それなら軍事基地や地上本部同様、それなりの設備もあるだろう。軍人とは重傷の絶えない損な仕事だ。
 デュエルアカデミアとは、すなわちアカデミー――大学のことだろう。
 高校や中学の可能性もあるが、大学ならば医学部の大学病院があるはず。見立てとしては悪くない。
 意外にも使える可能性が高いのが、犯罪者ジェイル・スカリエッティのアジトだ。
 昨今のガジェット事件の容疑者である彼は、生命科学の専門家である。
 生命体を弄る――すなわち、治療するための設備があってもおかしくはないだろう。
 現在地からの距離や、設備のレベルを考えると、真っ先に目指すべきは地上本部。次点でデュエル・アカデミアか。
(……、ん?)
 と。
 その時だ。
 一瞬、妙な感覚が彼を襲った。
 何だ、この違和感は。何かがおかしい。何かの異常に後一歩で気づきそうな気がする。
 そして、遂にひらめいた。
(医療品のある施設が、街の東側に集中している?)
 疑問を抱いた点は、そこだ。
 市街地を4-5間のラインで東西に割ると、ある異常性が浮上してくる。
 東側にある施設は、地上本部、デパート、デュエルアカデミア、HELLSING本部の4つ。
 西側にある施設は、機動六課、学校の2つ。
 更に街の外まで考えれば、東側にはスカリエッティのアジトとホテルがあり、西側には軍事基地がある。
 統計すれば、一見して医療設備があるとギリギリ推測できる施設が、東に6つもあるのに対し、西には半分の3つしかない。
 これは一体どういうことか。
 無性に気にかかり、解を探る。
 物資の調達という作業において、最優先すべきは食糧であり、それに続くのが医薬品だ。
 そして食糧は最悪民家などでも見つかるものであるのに対し、役立つ医薬品は病院などの、しかるべき場所にしかないことが多い。
 つまりこれら9つの施設は、この殺し合いを生き抜く上で、必然的に注目の的となる。
 この偏りに意図があるとするならば、参加者の意識を東側に向けようとしているといったところか。
 となると。
 それはつまり、逆に。
(西側に見られたくないものがあるということか……?)
 確証は持てない。
 そもそも殺し合いのフィールドに、主催者の不利益になるようなものを配置する理由がない。
 だが、100パーセントありえないと断じるのは早すぎる。
 ここはさっさとLを治療し、彼の意見を聞いてみるべきか。
 エンジンを更に加速させる。
 這い寄る死から逃れるように。
 陽光の降り注ぐアスファルトを、1台のトレーラーが走っていた。

【1日目 昼】
【現在地 H-4 大通り】

【アレックス@ARMSクロス『シルバー』】
【状態】健康、疲労(中)、トレーラー運転中
【装備】黒の騎士団専用トレーラー@コードギアス 反目のスバル
【道具】支給品一式
【思考】
 基本:この殺し合いを管理局の勝利という形で終わらせる。
 1.地上本部へ向かいLを治療する。
 2.六課メンバーと合流する。
 3.キース・レッドに彼が所属する組織の事を尋問する。その後に首輪を破壊する。
 4.東側に医療設備が偏っているのが気になる。Lが起きたら意見を聞きたい。
 5.このまま行動していてキース・レッドに出会えるのだろうか。
【備考】
※身体にかかった制限を把握しました。
※セフィロスはデスゲームに乗っていると思っています。
※はやて@仮面ライダー龍騎は管理局員であり、セフィロスに騙されて一緒にいると思っています。
※キース・レッド、管理局員以外の生死にはあまり興味がありません。
※参加者に配られた武器にはARMS殺しに似たプログラムが組み込まれていると思っています。
※殺し合いにキース・レッドやサイボーグのいた組織が関与していると思っています。
※他の参加者が平行世界から集められたという可能性を考慮に入れました。
※ザフィーラから第1放送の内容とカードデッキに関する簡単な説明を聞きました。
※市街地東側に医療設備が偏っていることから、西側にプレシアにとって都合の悪いものがあるかもしれないと推測しています。
【黒の騎士団専用トレーラーの状態】
※内部のコンピューターのOSは地球及びミッドチルダのものと異なります。
※機械設備や通信機能は全てコンピューター制御です(ただし居住スペースはその限りではない)。ギアス世界のOSを知る者もしくはOS自体を書き換えない限り使用不可能です。
※ベノスネーカーとの接触でエンジン部に多大なダメージを負いました。このまま走らせるとエンジン部が爆発する可能性が非常に高いです。アレックスはこの事にはまだ気づいていません。

【L@L change the world after story】
【状態】全身打撲、全身裂傷、中程度の出血、右足粉砕、トレーラー(居住スペース内ソファ)乗車中、気絶中
【装備】なし
【道具】支給品一式×2、首輪探知機、ガムテープ@オリジナル、ラウズカード(ハートのJ、Q、K)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、レリック(刻印ナンバーⅥ、幻術魔法で花に偽装中)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪(シグナム)、首輪の考察に関するメモ、ランダム支給品(ザフィーラ:1~3)
【思考】
 基本:プレシアの野望を阻止し、デスゲームから帰還する。デスゲームに乗った相手は説得が不可能ならば容赦しない。
※以下気絶前の思考。
 1.機動六課隊舎でザフィーラ達を待ちながら、首輪の解析。
 2.メタルゲラスがかがみを連れてきたら、改めて拘束するなり、落ち着かせるなりして、尋問。
 3.10時までにザフィーラ達が来たら、ミラーモンスターを倒しにかかる。来なかったら、鏡のない部屋に引きこもる。
 4.以上のことが終わったら、船を調べに、その後は駅を調べにいく。
 5.通信で誰かと連絡がついたら、その人と情報交換、味方であるなら合流。
【備考】
※参加者の中には、平行世界から呼び出された者がいる事に気付きました。
※クアットロは確実にゲームに乗っていると判断しています。
※ザフィーラ以外の守護騎士、チンク、ディエチ、ルーテシア、ゼストはゲームに乗っている可能性があると判断しています。
※首輪に何かしらの欠陥があると思っています。
※アレックスからセフィロスが殺し合いに乗っているという話を聞きました。



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