らっきーえむぶれむ星戦の系譜 ◆7pf62HiyTE
殺し合いが始まってから12時間、プレシア・テスタロッサによる2回目の放送が流れた。
その放送が終了してから約15分……デュエルアカデミアから急ぐ様に走る足音が立つ。
足音の正体は泉こなたと早乙女レイ、2人の少女によるものだ。約2時間前、ルルーシュ・ランペルージがスバル・ナカジマ、こなた、レイ、そしてこなたに付かせているリインフォースⅡにアカデミア内部の調査を向かわせていた。
スバルは早々に自身の割り当て範囲の調査を終え入口にいるルルーシュの所に戻っていたが後の3名は今まで戻ってはいなかった。
その3名も各々の範囲の調査を終え戻ってきているが、急ぐ様子を見る限り只事ではない様子だ。
「ねぇ、リイン……本当に大丈夫?」
「大丈夫です! はやてちゃんやヴィータ達が馬鹿な事しようとしていても絶対にリインが止めますから! それよりも今は……」
こなたがリインを気遣いつつ下へと急ぐ……と、
「あ、こなた……」
「レイ……その……」
同じように下に降りようとしていたレイと鉢合わせになった。だが、こなたとレイの表情は固い……2人はレイの心配をする一方、ある危険性を危惧している。
さて、この3人がルルーシュ達と別れてからこの瞬間に至るまでの間に何が起こっていたのだろうか? そして彼女達は今何を思っているのだろうか? それを紐解いていく為、ひとまず時間を戻してみよう―――
その放送が終了してから約15分……デュエルアカデミアから急ぐ様に走る足音が立つ。
足音の正体は泉こなたと早乙女レイ、2人の少女によるものだ。約2時間前、ルルーシュ・ランペルージがスバル・ナカジマ、こなた、レイ、そしてこなたに付かせているリインフォースⅡにアカデミア内部の調査を向かわせていた。
スバルは早々に自身の割り当て範囲の調査を終え入口にいるルルーシュの所に戻っていたが後の3名は今まで戻ってはいなかった。
その3名も各々の範囲の調査を終え戻ってきているが、急ぐ様子を見る限り只事ではない様子だ。
「ねぇ、リイン……本当に大丈夫?」
「大丈夫です! はやてちゃんやヴィータ達が馬鹿な事しようとしていても絶対にリインが止めますから! それよりも今は……」
こなたがリインを気遣いつつ下へと急ぐ……と、
「あ、こなた……」
「レイ……その……」
同じように下に降りようとしていたレイと鉢合わせになった。だが、こなたとレイの表情は固い……2人はレイの心配をする一方、ある危険性を危惧している。
さて、この3人がルルーシュ達と別れてからこの瞬間に至るまでの間に何が起こっていたのだろうか? そして彼女達は今何を思っているのだろうか? それを紐解いていく為、ひとまず時間を戻してみよう―――
★ ★ ★ ★ ★
「うーん……」
こなたは地図を眺めながら難しい表情をしていた。
「こーなーたー!」
そんなこなたにリインが怒った様な表情で口を出す。
「あっゴメンゴメン」
「地図を眺めている暇があったら早く調べてくださいですよー!」
こなた達はアカデミアの中層部を調べていたはずだった。しかしこなたは調べる手を止めて地図を見ていたのでリインが怒ったのである。その調子であった為、内部調査の方はまだ終わってはいなかった。
「でも、ちょっと気になる事があってさ」
しかしこなたとしても調査をサボるつもりで地図を見ていたわけではない。
「どうかしたんですか?」
「うん、調べ終わった後の事を考えていたんだけどさ……」
「それ以前に今は調べる事が優先だと思うですけど……」
そう口にするリインを余所にこなたは語る。アカデミア内部の調査を終えた後、こなた達は首輪を外す為に首輪の確保と首輪の解析の出来る施設に向かう事になっていた。
首輪の確保についてはルルーシュの同行者であったディエチが死んだであろう病院に向かえば確保出来る可能性が高いのでそちらに向かえば問題は無いだろう。
仮に手に入れる事が出来なくても現状を考え(喜ばしい事とは言えないが)道中で死体を見付けられる可能性が高いので恐らくそちらの方は問題はない。
実際、こなたとリインは気付いていないがこの前後でスバルがチンクを保護しており、チンクが所持している2つの首輪をルルーシュとスバルが確認しているので首輪の確保についてはクリアしたと言えよう。
だが、問題はこの後だ。首輪の解析を行う為には設備の整った施設に向かう必要がある。
先程の話し合いで上がった施設は機動六課隊舎と地上本部。これら2つの施設に向かえば首輪の解析が行える可能性は高いだろう。
更に、六課隊舎と地上本部は管理局の施設、高町なのはやフェイト・T・ハラオウン、八神はやて達もそちらに向かう可能性が高い。つまり、彼女達との合流が出来る可能性もあるという事だ。
そして、仮にこなたの友人である柊かがみや柊つかさもなのは達に保護されているならば彼女達とも再会出来る可能性がある。
この状況下において六課隊舎と地上本部に向かうというのは有効な手段と言えよう。
「それの何処が問題なんですか?」
「うん……もしかしたら何だけど、ボク達がそこに向かう頃には既に壊されているんじゃないかって思ってさ」
こなたの感じた危惧はこれらの施設が戦いに巻き込まれ崩壊して使用不能になっているのではないかという事だ。
「幾ら何でも隊舎や本部がそう簡単に破壊されるとは思わないですけど」
「ボクもそう思うけど、病院の事もあるからさ……」
こなたはスバルと共に病院に向かった時の事を語る。スバル達は医薬品や毛布、食料を確保する為に最初の目的地を病院に定めそこへ向かっていた。
が、実際に2人が病院に到着する事はなかった。その途中で病院方向から右腕を失う程の重傷を負ったルルーシュを保護したからだ。 保護した時点でルルーシュは気絶した為詳しい事は聞けなかったが、それだけでも病院には殺し合いに乗った参加者がいるのは明白、ルルーシュの治療及びこなたを守る為、スバルは病院に向かう事を止めてすぐ近くの施設であるアカデミアに向かったのだ。
そして、後に聞いたルルーシュの話を踏まえて纏めるとこの時点で病院にいたもしくは向かっていた参加者は少なくても6人(スバル、こなた、ルルーシュ、ディエチ、ルルーシュ達が確認した参加者2人)いた事になる。
ちなみにルルーシュ達は把握していないもののこの前後病院及び近辺には更に2人の参加者がいたし他にも既に1人の女性の死体があった。そして、他にも病院方向を目的地に定めていた参加者はいた。
更に重要なのはこの状況になったのはこの殺し合いが始まってから約4~5時間しか経過していない段階での話だ。それだけの僅かな時間で多くの参加者が集結し惨劇が起こっているという事だ。
何故、その僅かな時間で参加者が病院に集結し、人の命を助けるはずの施設は人の命を奪い合う惨劇の舞台と化したのだろうか?
理由は単純、例外はあるものの皆が皆考える事は同じだったからだ。そう、皆病院で医薬品の確保及び怪我人の治療を行おうと考えるからだ。故に誰もが病院を目的地に定めそこに参加者が集結する。
さて、そうなると殺し合いに乗った参加者はどうするだろうか? 当然、参加者の集結する病院に向かい彼等を一網打尽にしようとするはずだ。おまけに病院には怪我人もいる。殺すのに最も都合が良い状況と言えよう。
そもそも、こなた達は知らないが実はルルーシュはそれを見越した上で参加者を一網打尽にする為に病院の爆破を目論んでいた。だが、それは病院にいたある参加者によって実行には至らなかったわけではあるが……
しかしそれはある意味ルルーシュにとっては不幸中の幸いといえよう。ルルーシュはまさか守るべき対象であったスバルが病院に向かうとは考えていなかった。そう、下手をすればスバルを殺してしまう可能性があったのだ。
それが現実のものとならなかったのは運が良かったと言えなくもない(代償は大きい為本当に運が良かったと言えるかどうかは微妙だが)。
閑話休題、結局の所病院の様に人が数多く集まる施設であれば、同じ様に殺し合いに乗った参加者も訪れる可能性が高いという事だ。規模にもよるが戦いにより施設が使用不能になるほどのダメージを受ける可能性はある。
「うーん……確かにそう言われると……」
こなたの話を聞き、リインも不安を感じる。先程リインはそう簡単に破壊されないと語ったが、
よくよく考えてみればJS事件の際にジェイル・スカリエッティの戦闘機人達が地上本部及び六課隊舎を襲撃し施設に大きな被害を与えていた事実がある。絶対に大丈夫という保証など何処にもない。
「だからさ、丁度良い施設が他にないかなって思ってさ。リインは何かそういう施設に心当たりとか無い?」
そう口にするこなたに対しリインは
「使えそうな施設ですか……」
リインは地図を少し眺め、
「基地や工場……後はスカリエッティのアジトやゆりかごぐらいだと思いますよー」
リインが示したのはA-1の軍事基地、B-8の工場、C-9のスカリエッティのアジト、そしてI-5にある聖王のゆりかごだ。
「ゆりかご?」
そう聞き返すこなたに対しリインはゆりかごについて簡単に説明する。聖王のゆりかごは古代ベルカの聖王が所持していた超大型空中戦艦である。
その規模を考えれば、解析を行える設備がある可能性はある。とはいえリイン自身も詳しい構造を把握していない為(なにしろJS事件でゆりかごは撃沈されているからだ)、確証は無いわけだが。
「……どれも端っこにあるね」
「でも、人が訪れそうにないんだったら逆に今も無事だと思うですよ」
問題はこれらの場所が市街地より離れた場所にあるという事だ。とはいえ、離れた場所つまり人が訪れて無さそうな場所という事は今もって無事である可能性はあるということだ。
「でもさ、狙って施設を潰す人っていそうだと思わない?」
だが、殺し合いを望む参加者から見れば首輪解除されては困る。その為、それを妨害する為に施設を破壊しようとする可能性は十分にある。
「……そんな事言ったらキリがないですよ」
「そうだね……」
と、こなたは地図を眺め、
「……例えばさ……秘密の施設とか隠された建物とかって無いのかな?」
「秘密? 隠された?」
「うん、ボク達もそうだけど、みんな施設を目指しているよね。でも、逆に何もない場所に何か隠された重要な施設があるんじゃないかって考えたんだけど」
「確かに……地図に載っていない施設はありそうな気がするですよ。でも、どうしてそう考えたんですか?」
「だってさ……この手の事で隠し要素なんてお約束じゃん。秘密基地や秘密の店とかさ?」
そう笑顔で答えたこなたに対し、
「……馬鹿な事言ってないで早く調べるですよ!」
と怒るリインであった。とはいえ、
「……でも、お約束とかはともかく、こなたの言う通りかもしれないですから後でスバルやルルーシュにも話しておくですよー」
と、こなたの推測自体は肯定していた。
「でも、ゆりかごとかはともかく隠し施設を探している余裕は多分無いと思うですよ」
「大丈夫、ボクもそこまで期待してないからさ」
というわけで施設調査を再開する2人であった。
こなたは地図を眺めながら難しい表情をしていた。
「こーなーたー!」
そんなこなたにリインが怒った様な表情で口を出す。
「あっゴメンゴメン」
「地図を眺めている暇があったら早く調べてくださいですよー!」
こなた達はアカデミアの中層部を調べていたはずだった。しかしこなたは調べる手を止めて地図を見ていたのでリインが怒ったのである。その調子であった為、内部調査の方はまだ終わってはいなかった。
「でも、ちょっと気になる事があってさ」
しかしこなたとしても調査をサボるつもりで地図を見ていたわけではない。
「どうかしたんですか?」
「うん、調べ終わった後の事を考えていたんだけどさ……」
「それ以前に今は調べる事が優先だと思うですけど……」
そう口にするリインを余所にこなたは語る。アカデミア内部の調査を終えた後、こなた達は首輪を外す為に首輪の確保と首輪の解析の出来る施設に向かう事になっていた。
首輪の確保についてはルルーシュの同行者であったディエチが死んだであろう病院に向かえば確保出来る可能性が高いのでそちらに向かえば問題は無いだろう。
仮に手に入れる事が出来なくても現状を考え(喜ばしい事とは言えないが)道中で死体を見付けられる可能性が高いので恐らくそちらの方は問題はない。
実際、こなたとリインは気付いていないがこの前後でスバルがチンクを保護しており、チンクが所持している2つの首輪をルルーシュとスバルが確認しているので首輪の確保についてはクリアしたと言えよう。
だが、問題はこの後だ。首輪の解析を行う為には設備の整った施設に向かう必要がある。
先程の話し合いで上がった施設は機動六課隊舎と地上本部。これら2つの施設に向かえば首輪の解析が行える可能性は高いだろう。
更に、六課隊舎と地上本部は管理局の施設、高町なのはやフェイト・T・ハラオウン、八神はやて達もそちらに向かう可能性が高い。つまり、彼女達との合流が出来る可能性もあるという事だ。
そして、仮にこなたの友人である柊かがみや柊つかさもなのは達に保護されているならば彼女達とも再会出来る可能性がある。
この状況下において六課隊舎と地上本部に向かうというのは有効な手段と言えよう。
「それの何処が問題なんですか?」
「うん……もしかしたら何だけど、ボク達がそこに向かう頃には既に壊されているんじゃないかって思ってさ」
こなたの感じた危惧はこれらの施設が戦いに巻き込まれ崩壊して使用不能になっているのではないかという事だ。
「幾ら何でも隊舎や本部がそう簡単に破壊されるとは思わないですけど」
「ボクもそう思うけど、病院の事もあるからさ……」
こなたはスバルと共に病院に向かった時の事を語る。スバル達は医薬品や毛布、食料を確保する為に最初の目的地を病院に定めそこへ向かっていた。
が、実際に2人が病院に到着する事はなかった。その途中で病院方向から右腕を失う程の重傷を負ったルルーシュを保護したからだ。 保護した時点でルルーシュは気絶した為詳しい事は聞けなかったが、それだけでも病院には殺し合いに乗った参加者がいるのは明白、ルルーシュの治療及びこなたを守る為、スバルは病院に向かう事を止めてすぐ近くの施設であるアカデミアに向かったのだ。
そして、後に聞いたルルーシュの話を踏まえて纏めるとこの時点で病院にいたもしくは向かっていた参加者は少なくても6人(スバル、こなた、ルルーシュ、ディエチ、ルルーシュ達が確認した参加者2人)いた事になる。
ちなみにルルーシュ達は把握していないもののこの前後病院及び近辺には更に2人の参加者がいたし他にも既に1人の女性の死体があった。そして、他にも病院方向を目的地に定めていた参加者はいた。
更に重要なのはこの状況になったのはこの殺し合いが始まってから約4~5時間しか経過していない段階での話だ。それだけの僅かな時間で多くの参加者が集結し惨劇が起こっているという事だ。
何故、その僅かな時間で参加者が病院に集結し、人の命を助けるはずの施設は人の命を奪い合う惨劇の舞台と化したのだろうか?
理由は単純、例外はあるものの皆が皆考える事は同じだったからだ。そう、皆病院で医薬品の確保及び怪我人の治療を行おうと考えるからだ。故に誰もが病院を目的地に定めそこに参加者が集結する。
さて、そうなると殺し合いに乗った参加者はどうするだろうか? 当然、参加者の集結する病院に向かい彼等を一網打尽にしようとするはずだ。おまけに病院には怪我人もいる。殺すのに最も都合が良い状況と言えよう。
そもそも、こなた達は知らないが実はルルーシュはそれを見越した上で参加者を一網打尽にする為に病院の爆破を目論んでいた。だが、それは病院にいたある参加者によって実行には至らなかったわけではあるが……
しかしそれはある意味ルルーシュにとっては不幸中の幸いといえよう。ルルーシュはまさか守るべき対象であったスバルが病院に向かうとは考えていなかった。そう、下手をすればスバルを殺してしまう可能性があったのだ。
それが現実のものとならなかったのは運が良かったと言えなくもない(代償は大きい為本当に運が良かったと言えるかどうかは微妙だが)。
閑話休題、結局の所病院の様に人が数多く集まる施設であれば、同じ様に殺し合いに乗った参加者も訪れる可能性が高いという事だ。規模にもよるが戦いにより施設が使用不能になるほどのダメージを受ける可能性はある。
「うーん……確かにそう言われると……」
こなたの話を聞き、リインも不安を感じる。先程リインはそう簡単に破壊されないと語ったが、
よくよく考えてみればJS事件の際にジェイル・スカリエッティの戦闘機人達が地上本部及び六課隊舎を襲撃し施設に大きな被害を与えていた事実がある。絶対に大丈夫という保証など何処にもない。
「だからさ、丁度良い施設が他にないかなって思ってさ。リインは何かそういう施設に心当たりとか無い?」
そう口にするこなたに対しリインは
「使えそうな施設ですか……」
リインは地図を少し眺め、
「基地や工場……後はスカリエッティのアジトやゆりかごぐらいだと思いますよー」
リインが示したのはA-1の軍事基地、B-8の工場、C-9のスカリエッティのアジト、そしてI-5にある聖王のゆりかごだ。
「ゆりかご?」
そう聞き返すこなたに対しリインはゆりかごについて簡単に説明する。聖王のゆりかごは古代ベルカの聖王が所持していた超大型空中戦艦である。
その規模を考えれば、解析を行える設備がある可能性はある。とはいえリイン自身も詳しい構造を把握していない為(なにしろJS事件でゆりかごは撃沈されているからだ)、確証は無いわけだが。
「……どれも端っこにあるね」
「でも、人が訪れそうにないんだったら逆に今も無事だと思うですよ」
問題はこれらの場所が市街地より離れた場所にあるという事だ。とはいえ、離れた場所つまり人が訪れて無さそうな場所という事は今もって無事である可能性はあるということだ。
「でもさ、狙って施設を潰す人っていそうだと思わない?」
だが、殺し合いを望む参加者から見れば首輪解除されては困る。その為、それを妨害する為に施設を破壊しようとする可能性は十分にある。
「……そんな事言ったらキリがないですよ」
「そうだね……」
と、こなたは地図を眺め、
「……例えばさ……秘密の施設とか隠された建物とかって無いのかな?」
「秘密? 隠された?」
「うん、ボク達もそうだけど、みんな施設を目指しているよね。でも、逆に何もない場所に何か隠された重要な施設があるんじゃないかって考えたんだけど」
「確かに……地図に載っていない施設はありそうな気がするですよ。でも、どうしてそう考えたんですか?」
「だってさ……この手の事で隠し要素なんてお約束じゃん。秘密基地や秘密の店とかさ?」
そう笑顔で答えたこなたに対し、
「……馬鹿な事言ってないで早く調べるですよ!」
と怒るリインであった。とはいえ、
「……でも、お約束とかはともかく、こなたの言う通りかもしれないですから後でスバルやルルーシュにも話しておくですよー」
と、こなたの推測自体は肯定していた。
「でも、ゆりかごとかはともかく隠し施設を探している余裕は多分無いと思うですよ」
「大丈夫、ボクもそこまで期待してないからさ」
というわけで施設調査を再開する2人であった。
ちなみに、こなたがこういう事を考えていたのにはちゃんと理由がある。それはこなたもスバルやルルーシュ達の力になりたいと考えていたからだ。
だが、真面目な話こなたが武器を持った所でスバルの様に戦えるわけがないし、考えた所でルルーシュの様に具体的な方針や作戦を考え実行に移せるわけもなく、カードの扱いについても完全にレイの方に分がある。
こなたにあるのはせいぜいアニメやゲーム等で得た知識だけだ。しかもそれすらもプレシア・テスタロッサによって細工されている。
そう、この場においては無力にして足手まといな人間でしかない。そんな彼女がこの殺し合いを平穏無事に生き残れる事などまずあり得ない。
しかし現実には今現在こなたは肉体的にも精神的にもダメージは少ない。何故彼女はここまで無事に過ごせたのだろうか?
その理由は恐らく『幸運』であった事だろう。
これはこの場に来てからのこなたの動向を見ていけば理解出来るだろう。この場でこなたは最初に赤いコートの男アーカードに襲われたがすぐ近くにいたスバルによって助けられ何とかその場を切り抜ける事が出来た。
この状況における『幸運』は2つ、早々にスバルと合流出来た事と襲撃した相手がアーカードだった事だ。スバルとの合流については言うまでもないが、何故襲撃したのがアーカードだった事が『幸運』だったのだろうか?
ここでアーカードに襲われた時の事を振り返ってみよう。この際にこなたは支給品であったナイフを投げてアーカードの頭部に刺してしまった。普通の人間であれば致命傷であるがアーカードは吸血鬼、その程度のダメージなど即座に完治した。
一見するとこれは『不運』に見えるが逆に考えてみよう、『アーカードを仕留められなかった』ではなく『アーカードを殺さずにすんだ』と……
そう、アーカードの再生能力故にこなたは人を殺さずに済んだのだ。幾ら相手が殺し合いに乗っていたとしても殺してしまえばこなたの心に大きな罪悪感を抱かせるのは明白、一歩間違えれば心が壊れる可能性だってあった。
それを避けられたのは『幸運』と言えよう。
更に言えば支給品に関しても適度に使える物が多く殺人を強要するような質の悪い物はなかった。これも『幸運』と言える。
その後、こなた達は病院に向かったわけだが前述の通りそのまま病院に向かえば危険人物と遭遇する危険性があった。だが、これについても病院から逃げてきたルルーシュと合流したお陰でその危険を避ける事が出来た。
しかもだ、その後も病院では参加者同士の戦いが起こり最終的には倒壊してしまっている。
いや、そもそも倒壊の決め手となったのはヴァッシュ・ザ・スタンピードによるエンジェルアームだが放たれたその攻撃はH-6の病院から離れたG-5上空で炸裂した。
さて、この攻撃の方向がアカデミアに向けられていたらどうなっていただろうか? それによりアカデミアの崩壊は確実。当然、内部にいるこなた達の命は無いだろう。実際にそうならなかったのは『幸運』以外の何者でもない。
また、つい1~2時間前アカデミアの隣のエリアG-6の大通りがある戦いによって壊滅した。それ以外にも数多くの施設やエリアが激しい戦いにより壊滅している。しかし、未だアカデミアは何事もなく健在だ。これも『幸運』と言えるだろう。
そして、落ち着いて情報交換をする事が出来たお陰で参加者が違う並行世界から連れて来られている……必ずしも知り合いが自分を知っているとは限らないという事実を知る事が出来たということだ、これもまた『幸運』と言えよう。
つまり、こなたは多くの『幸運』に恵まれ今もって精神的にも肉体的にもダメージは少ないのだ。
しかし、そんな『幸運』が何時までも続くだろうか? そんな都合の良い話などあるわけがない。今現在も周囲には殺し合いに乗った参加者が数多くいる。次の瞬間にはその矛先が自分に向けられるかも知れない。
いや、既にそんな『幸運』などとっくに終わっているのかも知れない。何故なら友人であるかがみやつかさは自身の都合で最終的に優勝を目指す様になってしまっている。
彼女達は恐らく自分の願いを叶える為には容赦なく最後の1人となろうとするだろう。それはこなたにとっては不幸としか言いようがない。
何にせよ、これから先『幸運』だけでは生き残れない。しかしだ、前述の通り武器を持って戦った所でまともにやりあえるわけもないし、スバルからも何も知らない普通の子が戦わなくてもいいと言われていた。それが正しいのは明白だ。
だが、スバルやルルーシュが戦いによって傷つくもしくは傷ついていく姿を只黙って見ていられるこなたではない。何か出来る事をやろうとするのは当然と言えよう。
こなたにあるのはゲームやアニメ等の知識、前述の通り若干操作されてはいるが、そこで得た経験までは消されてはいない。故にRPGやネトゲでの経験を生かして地図を見て考え、地図にない施設を探したらどうだろうと考えたのである。
勿論、自身の考えなど既にルルーシュ達も考えている可能性はある。だが、そんな事などこなたにだってわかっており過度な期待などしていない。それでも、黙って見ているよりはずっと良いとこなたは考えていた。
だが、真面目な話こなたが武器を持った所でスバルの様に戦えるわけがないし、考えた所でルルーシュの様に具体的な方針や作戦を考え実行に移せるわけもなく、カードの扱いについても完全にレイの方に分がある。
こなたにあるのはせいぜいアニメやゲーム等で得た知識だけだ。しかもそれすらもプレシア・テスタロッサによって細工されている。
そう、この場においては無力にして足手まといな人間でしかない。そんな彼女がこの殺し合いを平穏無事に生き残れる事などまずあり得ない。
しかし現実には今現在こなたは肉体的にも精神的にもダメージは少ない。何故彼女はここまで無事に過ごせたのだろうか?
その理由は恐らく『幸運』であった事だろう。
これはこの場に来てからのこなたの動向を見ていけば理解出来るだろう。この場でこなたは最初に赤いコートの男アーカードに襲われたがすぐ近くにいたスバルによって助けられ何とかその場を切り抜ける事が出来た。
この状況における『幸運』は2つ、早々にスバルと合流出来た事と襲撃した相手がアーカードだった事だ。スバルとの合流については言うまでもないが、何故襲撃したのがアーカードだった事が『幸運』だったのだろうか?
ここでアーカードに襲われた時の事を振り返ってみよう。この際にこなたは支給品であったナイフを投げてアーカードの頭部に刺してしまった。普通の人間であれば致命傷であるがアーカードは吸血鬼、その程度のダメージなど即座に完治した。
一見するとこれは『不運』に見えるが逆に考えてみよう、『アーカードを仕留められなかった』ではなく『アーカードを殺さずにすんだ』と……
そう、アーカードの再生能力故にこなたは人を殺さずに済んだのだ。幾ら相手が殺し合いに乗っていたとしても殺してしまえばこなたの心に大きな罪悪感を抱かせるのは明白、一歩間違えれば心が壊れる可能性だってあった。
それを避けられたのは『幸運』と言えよう。
更に言えば支給品に関しても適度に使える物が多く殺人を強要するような質の悪い物はなかった。これも『幸運』と言える。
その後、こなた達は病院に向かったわけだが前述の通りそのまま病院に向かえば危険人物と遭遇する危険性があった。だが、これについても病院から逃げてきたルルーシュと合流したお陰でその危険を避ける事が出来た。
しかもだ、その後も病院では参加者同士の戦いが起こり最終的には倒壊してしまっている。
いや、そもそも倒壊の決め手となったのはヴァッシュ・ザ・スタンピードによるエンジェルアームだが放たれたその攻撃はH-6の病院から離れたG-5上空で炸裂した。
さて、この攻撃の方向がアカデミアに向けられていたらどうなっていただろうか? それによりアカデミアの崩壊は確実。当然、内部にいるこなた達の命は無いだろう。実際にそうならなかったのは『幸運』以外の何者でもない。
また、つい1~2時間前アカデミアの隣のエリアG-6の大通りがある戦いによって壊滅した。それ以外にも数多くの施設やエリアが激しい戦いにより壊滅している。しかし、未だアカデミアは何事もなく健在だ。これも『幸運』と言えるだろう。
そして、落ち着いて情報交換をする事が出来たお陰で参加者が違う並行世界から連れて来られている……必ずしも知り合いが自分を知っているとは限らないという事実を知る事が出来たということだ、これもまた『幸運』と言えよう。
つまり、こなたは多くの『幸運』に恵まれ今もって精神的にも肉体的にもダメージは少ないのだ。
しかし、そんな『幸運』が何時までも続くだろうか? そんな都合の良い話などあるわけがない。今現在も周囲には殺し合いに乗った参加者が数多くいる。次の瞬間にはその矛先が自分に向けられるかも知れない。
いや、既にそんな『幸運』などとっくに終わっているのかも知れない。何故なら友人であるかがみやつかさは自身の都合で最終的に優勝を目指す様になってしまっている。
彼女達は恐らく自分の願いを叶える為には容赦なく最後の1人となろうとするだろう。それはこなたにとっては不幸としか言いようがない。
何にせよ、これから先『幸運』だけでは生き残れない。しかしだ、前述の通り武器を持って戦った所でまともにやりあえるわけもないし、スバルからも何も知らない普通の子が戦わなくてもいいと言われていた。それが正しいのは明白だ。
だが、スバルやルルーシュが戦いによって傷つくもしくは傷ついていく姿を只黙って見ていられるこなたではない。何か出来る事をやろうとするのは当然と言えよう。
こなたにあるのはゲームやアニメ等の知識、前述の通り若干操作されてはいるが、そこで得た経験までは消されてはいない。故にRPGやネトゲでの経験を生かして地図を見て考え、地図にない施設を探したらどうだろうと考えたのである。
勿論、自身の考えなど既にルルーシュ達も考えている可能性はある。だが、そんな事などこなたにだってわかっており過度な期待などしていない。それでも、黙って見ているよりはずっと良いとこなたは考えていた。
さて、施設調査も大詰めに入る頃、
「そういえばリイン、ちょっと聞いていいかな?」
「何ですかー?」
「死んだ人を生き返らせる事って出来るのかな?」
こなたがリインに死者を生き返らせる事が可能なのか聞いてきた。
「ちょ……何を言っているですか?」
「あ、いきなりこれだけ言われちゃ何がなんだかわからないか……あのね……」
こなたは最初の放送時プレシアが優勝者には何でも願いを叶えると言いだし、最初に殺されたアリサ・バニングスを実際に蘇生した(がすぐさま再び殺したが)上で死者を生き返らせる事も出来ると言っていた事を話した。
「アニメやゲームじゃあるまいしそんな事は不可能……だよね……?」
とはいえ、正直な所この辺の話は自信が無いのが本音だ。無論これはアニメやゲームの様にポンポン人を生き返らせる事が出来るだろうと考えているわけではない。
実際に幾つかのマンガやゲームでは死んだ人を生き返らせる方法があり、実行されたというパターンが幾つかある。
こなたはこの場所が様々なアニメやマンガ等に出てくる世界の人物や物が集まっていると考え、その方法も存在するかもしれないとは思っていた。
なお、誤解の無い様に書いておくが、だからといってこなたは殺し合いに乗るつもりは全く無いし、プレシアの言葉が真実だとは思ってはいない。
真面目な話、生き返らせる方法が世界に平和を取り戻したり、何かの球を集めたりするものだったら、実行に移す事を少しは考えるかもしれない。
しかし、60人で殺し合いを行い最後の1人になればというのはどう考えたっておかしい。少なくともこなたの知る限りそんな方法で人を生き返らせる事がまかり通ったマンガやアニメなど見た事がない。
いや、仮にあったとしてもその末路は何れもロクなものではなかったはずだ。どちらにしてもその言葉に従った所でその願いが叶う事はないだろう。
大体……昨今のアニメやマンガを見た所で生き返らせればいいという様な命を軽視するものなど殆ど無い(例外はあるが)。むしろ、命を大事に扱っている物の方が多いと言えよう。
本題に戻そう、ここで重要なのはプレシアが本当に死者蘇生を行う事が可能かどうかである。リインは少し考え、ゆっくりと口を開いた。
「多分それは不可能だと思いますよー」
「あ、やっぱり」
「だって本当に生き返らせる事が出来るんだったらこんな殺し合いだってやっていないはずですよー」
生き返らせる事が出来るなら殺し合いをやっていない? その事がこなたは気になった。何故生き返らせる事が出来るなら殺し合いをやらないのか?
「それはどういう意味……?」
「うーん……」
リインは少し考える仕草を見せたが、ゆっくりとこなたに語り始めた。それはプレシアが10年以上前に起こしなのはが魔法に関わる切欠となったPT事件の概要についてを……
「つまり、あのおばさんは娘のアリシアちゃんを生き返らせる為にそのPT事件を起こしたって事?」
「はいです。はやてちゃん達がなのはちゃんと出会う前の事ですけど大体そんな話ですよー」
「でも、それと生き返らせる事が不可能なのがどういう関係が……」
「PT事件から考えれば、プレシアの目的はアリシアちゃんの復活だと思うですけど……」
PT事件を踏まえて考えればプレシアがこの殺し合いを開いた目的はアリシア・テスタロッサの復活。それはPT事件を知る物が少し考えれば導き出される推測である。今回その話を初めて聞いたこなたもそれについては異論は無い。
「仮に既に復活させる事が出来るんだったら、こんな殺し合いなんてしないですぐにでもアリシアちゃんを生き返らせれば済む話ですよー」
そう、復活させる事が出来るのならば今すぐにでもアリシアを復活させればそれで事は済む。少なくともプレシアが殺し合いを行う理由は無い。
ちなみに管理局及びなのは達に対する復讐という理由が仮にあったとしてもそれはついでというのがリインの見解だ。
その理由はPT事件には関わっていないはやて達やスバル達、更にいえばディエチ達が連れて来られている一方、PT事件関係者のリンディ・ハラオウンやエイミィ・ハラオウン(PT事件当時エイミィ・リミエッタ)が連れて来られていないからだ。
つまり、PT事件関係者の復讐にしては連れてきた人々が不自然すぎるという事だ。
どちらにしても断言こそ出来ないものの現状では目的はアリシアの復活と考えるのが自然と言えよう。となれば現状では前述の通り復活は不可能であり、放送での復活劇は嘘ということになるだろう。
「特撮みたく良くできた人形とかでも使ったのかな?」
(並行世界のアリサちゃんを利用したと考えた方が自然だと思うですけど……)
何はともあれ、復活劇は嘘という事で話は纏まりこなたは調査を再開しようとする……しかし、リインの方はどことなく表情が重い。それを見て、
「あれ、どうしたの?」
「いや、確かに復活は嘘だと説明したですけど……」
「もしかして……それを信じちゃう人がいるの?」
「はいです……」
ここでプレシアの言葉に従う人物……それは死んだ人を生き返らせる為に殺し合いに乗る人物の事だ。
「そんなヤンデレには会いたくないな……それって誰?」
こなたは恐る恐るリインに聞く……
「……ヴィータやシャマル、ザフィーラがそれ聞いてはやてちゃんが死んだら間違いなく乗るですよ。多分シグナムも生きていたら……」
「え!? それってリインの……」
こなたとリインは調査の最中でも互いの家族について等を話していた。その為、リインにとってはやて達は仲間というよりも家族だという事をこなたは知っている。
「で、でもだよ、まだはやてちゃんは呼ばれていないんだからまだ……」
「むしろ……はやてちゃんの方が乗ってしまう気がするですよ……」
その言葉を聞いてこなたは言葉を失った。
八神はやてを知る人物が普通に考えれば……はやてが殺し合いに乗る事など絶対にあり得ないという結論を出すだろう。
それはヴィータ達もそう考えるだろうし、なのは達も同じだろう。そしてとある片翼の天使も同じ結論を導き出すはずだ。真面目な話その見解自体は全く間違っていない。
だが、何にでも例外は存在する。状況が微妙に異なる並行世界が存在するならばはやての人格が多少変わった並行世界が存在してもおかしくはない。
そう、とある世界のはやてはゴジラを封印する為に家族であるヴィータ達を失っていた。
それ故に彼女の精神は不安定となると共に家族を取り戻す為に躍起となっていた。その為、本来は友人であるはずのなのはやフェイトとも何度と無く衝突を起こしていた。
そして、リインは丁度その世界からこの場所に連れて来られていた。故に、仮にこの場に自身の世界のはやてがいるならばプレシアの言葉に乗る可能性があると考えていたのである。
こなたもリインも最悪の事態が起こっているとは信じたくはない。だが、現実が全く理解出来ない程愚か者ではない。2人の間重いい空気が流れる……
「だ、大丈夫ですよ! 仮にはやてちゃんやヴィータ達が殺し合いに乗っていてもリインが絶対に説得するですから!」
「う、うん……」
不安そうな表情を浮かべるこなたを見て、何とか強がって見せたリインだった。
「そういえばリイン、ちょっと聞いていいかな?」
「何ですかー?」
「死んだ人を生き返らせる事って出来るのかな?」
こなたがリインに死者を生き返らせる事が可能なのか聞いてきた。
「ちょ……何を言っているですか?」
「あ、いきなりこれだけ言われちゃ何がなんだかわからないか……あのね……」
こなたは最初の放送時プレシアが優勝者には何でも願いを叶えると言いだし、最初に殺されたアリサ・バニングスを実際に蘇生した(がすぐさま再び殺したが)上で死者を生き返らせる事も出来ると言っていた事を話した。
「アニメやゲームじゃあるまいしそんな事は不可能……だよね……?」
とはいえ、正直な所この辺の話は自信が無いのが本音だ。無論これはアニメやゲームの様にポンポン人を生き返らせる事が出来るだろうと考えているわけではない。
実際に幾つかのマンガやゲームでは死んだ人を生き返らせる方法があり、実行されたというパターンが幾つかある。
こなたはこの場所が様々なアニメやマンガ等に出てくる世界の人物や物が集まっていると考え、その方法も存在するかもしれないとは思っていた。
なお、誤解の無い様に書いておくが、だからといってこなたは殺し合いに乗るつもりは全く無いし、プレシアの言葉が真実だとは思ってはいない。
真面目な話、生き返らせる方法が世界に平和を取り戻したり、何かの球を集めたりするものだったら、実行に移す事を少しは考えるかもしれない。
しかし、60人で殺し合いを行い最後の1人になればというのはどう考えたっておかしい。少なくともこなたの知る限りそんな方法で人を生き返らせる事がまかり通ったマンガやアニメなど見た事がない。
いや、仮にあったとしてもその末路は何れもロクなものではなかったはずだ。どちらにしてもその言葉に従った所でその願いが叶う事はないだろう。
大体……昨今のアニメやマンガを見た所で生き返らせればいいという様な命を軽視するものなど殆ど無い(例外はあるが)。むしろ、命を大事に扱っている物の方が多いと言えよう。
本題に戻そう、ここで重要なのはプレシアが本当に死者蘇生を行う事が可能かどうかである。リインは少し考え、ゆっくりと口を開いた。
「多分それは不可能だと思いますよー」
「あ、やっぱり」
「だって本当に生き返らせる事が出来るんだったらこんな殺し合いだってやっていないはずですよー」
生き返らせる事が出来るなら殺し合いをやっていない? その事がこなたは気になった。何故生き返らせる事が出来るなら殺し合いをやらないのか?
「それはどういう意味……?」
「うーん……」
リインは少し考える仕草を見せたが、ゆっくりとこなたに語り始めた。それはプレシアが10年以上前に起こしなのはが魔法に関わる切欠となったPT事件の概要についてを……
「つまり、あのおばさんは娘のアリシアちゃんを生き返らせる為にそのPT事件を起こしたって事?」
「はいです。はやてちゃん達がなのはちゃんと出会う前の事ですけど大体そんな話ですよー」
「でも、それと生き返らせる事が不可能なのがどういう関係が……」
「PT事件から考えれば、プレシアの目的はアリシアちゃんの復活だと思うですけど……」
PT事件を踏まえて考えればプレシアがこの殺し合いを開いた目的はアリシア・テスタロッサの復活。それはPT事件を知る物が少し考えれば導き出される推測である。今回その話を初めて聞いたこなたもそれについては異論は無い。
「仮に既に復活させる事が出来るんだったら、こんな殺し合いなんてしないですぐにでもアリシアちゃんを生き返らせれば済む話ですよー」
そう、復活させる事が出来るのならば今すぐにでもアリシアを復活させればそれで事は済む。少なくともプレシアが殺し合いを行う理由は無い。
ちなみに管理局及びなのは達に対する復讐という理由が仮にあったとしてもそれはついでというのがリインの見解だ。
その理由はPT事件には関わっていないはやて達やスバル達、更にいえばディエチ達が連れて来られている一方、PT事件関係者のリンディ・ハラオウンやエイミィ・ハラオウン(PT事件当時エイミィ・リミエッタ)が連れて来られていないからだ。
つまり、PT事件関係者の復讐にしては連れてきた人々が不自然すぎるという事だ。
どちらにしても断言こそ出来ないものの現状では目的はアリシアの復活と考えるのが自然と言えよう。となれば現状では前述の通り復活は不可能であり、放送での復活劇は嘘ということになるだろう。
「特撮みたく良くできた人形とかでも使ったのかな?」
(並行世界のアリサちゃんを利用したと考えた方が自然だと思うですけど……)
何はともあれ、復活劇は嘘という事で話は纏まりこなたは調査を再開しようとする……しかし、リインの方はどことなく表情が重い。それを見て、
「あれ、どうしたの?」
「いや、確かに復活は嘘だと説明したですけど……」
「もしかして……それを信じちゃう人がいるの?」
「はいです……」
ここでプレシアの言葉に従う人物……それは死んだ人を生き返らせる為に殺し合いに乗る人物の事だ。
「そんなヤンデレには会いたくないな……それって誰?」
こなたは恐る恐るリインに聞く……
「……ヴィータやシャマル、ザフィーラがそれ聞いてはやてちゃんが死んだら間違いなく乗るですよ。多分シグナムも生きていたら……」
「え!? それってリインの……」
こなたとリインは調査の最中でも互いの家族について等を話していた。その為、リインにとってはやて達は仲間というよりも家族だという事をこなたは知っている。
「で、でもだよ、まだはやてちゃんは呼ばれていないんだからまだ……」
「むしろ……はやてちゃんの方が乗ってしまう気がするですよ……」
その言葉を聞いてこなたは言葉を失った。
八神はやてを知る人物が普通に考えれば……はやてが殺し合いに乗る事など絶対にあり得ないという結論を出すだろう。
それはヴィータ達もそう考えるだろうし、なのは達も同じだろう。そしてとある片翼の天使も同じ結論を導き出すはずだ。真面目な話その見解自体は全く間違っていない。
だが、何にでも例外は存在する。状況が微妙に異なる並行世界が存在するならばはやての人格が多少変わった並行世界が存在してもおかしくはない。
そう、とある世界のはやてはゴジラを封印する為に家族であるヴィータ達を失っていた。
それ故に彼女の精神は不安定となると共に家族を取り戻す為に躍起となっていた。その為、本来は友人であるはずのなのはやフェイトとも何度と無く衝突を起こしていた。
そして、リインは丁度その世界からこの場所に連れて来られていた。故に、仮にこの場に自身の世界のはやてがいるならばプレシアの言葉に乗る可能性があると考えていたのである。
こなたもリインも最悪の事態が起こっているとは信じたくはない。だが、現実が全く理解出来ない程愚か者ではない。2人の間重いい空気が流れる……
「だ、大丈夫ですよ! 仮にはやてちゃんやヴィータ達が殺し合いに乗っていてもリインが絶対に説得するですから!」
「う、うん……」
不安そうな表情を浮かべるこなたを見て、何とか強がって見せたリインだった。
―――そして、難航はしたものの漸く内部調査を終え、後は下で待つルルーシュの所に戻るだけである。恐らくレイやスバルも戻っている事だろう。そう考え下へ降りようとしたその時、
『6時間ぶりね。
みんな、ちゃんと聞いているかしら。』
みんな、ちゃんと聞いているかしら。』
2回目の放送が流れた―――
―――放送によって知らされた死者は9人、前回の放送に比べ人数こそ少ないが総数が減っている以上あまり問題にはなり得ない。既に全体の3分の1以上の死者が出てしまっている。
ここで重要なのは呼ばれた名前だ。その中にはレイの仲間である遊城十代、スバルの姉であるギンガ・ナカジマ、はやての友人であるフェイト、そして……
「そんな……はやてちゃん……ザフィーラ……」
リインの家族であるはやてとザフィーラが死んだ事が明かされたのだ……故にリインは泣いていたのだ。
真面目な話、はやてとザフィーラががリインのいた世界とは別の彼女達という可能性はある(ザフィーラについては間違いなく別世界の彼だろうが)。
しかしだ、別世界の彼女達だとしてもリインにとって大事な人達である事に何ら変わりはない。彼女達の死を悲しむのは当然と言えば当然だろう。勿論、フェイト達の死についても悲しんでる。
「……」
一方のこなたは前の放送の時と同様比較的落ち着いていた。かがみとつかさの名前が呼ばれなかったから少なくても2人は無事だという事がわかっているからだ。
フェイトに関しても交流が深くはない為、死を知らされてもショックではあったものの号泣する事はなかった。
だがしかしだ、死者が出て悲しくないわけではない。悲しいに決まっている。それ故に家族の死に泣いているリインを見てどう話したらいいのかなどわからなかった。
ただ……1つだけ確実な事がある。それは仮に自分がここで死んだら間違いなく父親の泉そうじろうは悲しむという事だ。もしかしたら自殺してしまうかも知れない。
そうじろうを悲しませない為にも、必ず生きて帰らないといけない……勿論、かがみ達とも一緒に……こなたはそう思っていた。
その最中、こなたは名簿と地図を広げ放送での言葉をよく思い出し考える。この様子だとリインやスバル、レイは放送で聞き逃している部分があるかも知れない。
だったら『ボク』がやるしかない。こなたはちゃんと放送を聞いていたのだ。
とりあえず気になったのは誰かを殺したら御褒美がもらえるという話だが、そんな言葉に乗るつもりはないのでそれについては深くは考えない。
むしろ……こなたにとってはその時にプレシアが口にしたある言葉が引っかかったのだ。
『貴方達の好きなビデオゲームでも、敵を倒せば経験値と資金という見返りがある……そういうボーナスも悪くないわね。』
プレシアは現実に起こっているこの殺し合いをゲーム扱いしているのだ。純粋にビデオゲームが好きなこなたにしてみればそれは憤りを感じるものだったのだ。
こなたのいた世界でも殺人事件や監禁事件といった凶悪な事件がよく起こっている。問題なのはその度にゲームの影響が議論として持ち上がっている。
実際、過去にかがみ達とその事について話した時、モラル以前にゲームのやり過ぎだとこなたは口にしていた(ちなみにその際かがみからアンタの事だろとツッコまれたが)。
それでもだ、ゲーム等と現実を一緒にする事など決してあってはならない。ゲームで人を殺せると言って、現実で人を殺すなどという話は決して許される話ではない。
「ゲームと現実を一緒にしないで欲しいよ……」
他にも許せない事がある。リインの話によればプレシアは娘であるアリシアを生き返らせようとしていた。娘を生き返らせようとした事に関してはこなただって理解は出来る。
真面目な話をすれば、こなた自身も仮に家族を失い、生き返らせる手段があるならばそれに賭ける可能性があるのはわかっている。
だからこそ許せないのだ。プレシアは理解しているのだろうか? これまでに死んでいった人達にも家族や友人がいることを。それは今も泣いているリインを見れば一目瞭然だ。
本当にアリシアの事を想っているのであれば、こんな事などまず実行しないはずだ。自分と同じ悲しみを他の人にも味わわせるのだから。
とはいえ、いくら憤りを感じてもこなたの力ではどうする事も出来ないのが現実だ。ひとまずは調査や放送で得た事をルルーシュ達に伝えるといった出来る事をやるしか無いだろう。
そんな中、気になる事があった。あの放送でプレシアはフェイトが自分の娘だと言う事を語っていた。
実の所、リインがPT事件の説明をする時プレシアとフェイトの関係についてはボカして説明した為、その事をこなたは初めて知ったのである。
当然の事だがプレシアとフェイトが親子であるという事については驚いている。だが、名前の『T』やプレシアの口ぶりから恐らくは本当だというのは間違いない。
だが正直な所プレシアの言う様な親子関係だったとは思えなかった。それならばリインがPT事件の説明をした時に詳しく話してくれるからだ。少なくても何か事情があるんじゃないかとこなたは考えていた。
何にせよそれについては後でリインから確認を取ればいいと考えていた。
それよりもこなたにはある懸念があった。死者の中にギンガや十代の名前があったという事は……スバルやレイが彼女達を生き返らせる為に殺し合いに乗る可能性がある事を……そんな事は無いと思いたいが絶対に大丈夫とは思えない……そして、
「かがみんにつかさ……大丈夫かな……」
自分の友人達は無事なのか? 生きているのはわかっているがルルーシュの様に腕を失っている可能性や精神的に追いつめられている可能性は否定出来ない。
そしてこれまでに呼ばれた死者の死に何かしら関わっている可能性はある……例えば、庇われた対象がつかさであったり、事故に近い形の死にかがみが関わっていたり……。
考えれば考える程、雰囲気は重くなる……その状況の中で、
「ボクは……何が出来るだろう……」
こなたは只、窓から外の景色を見ていた……そこには変わらぬ景色が―――
「あれ……何だろう……?」
ここで重要なのは呼ばれた名前だ。その中にはレイの仲間である遊城十代、スバルの姉であるギンガ・ナカジマ、はやての友人であるフェイト、そして……
「そんな……はやてちゃん……ザフィーラ……」
リインの家族であるはやてとザフィーラが死んだ事が明かされたのだ……故にリインは泣いていたのだ。
真面目な話、はやてとザフィーラががリインのいた世界とは別の彼女達という可能性はある(ザフィーラについては間違いなく別世界の彼だろうが)。
しかしだ、別世界の彼女達だとしてもリインにとって大事な人達である事に何ら変わりはない。彼女達の死を悲しむのは当然と言えば当然だろう。勿論、フェイト達の死についても悲しんでる。
「……」
一方のこなたは前の放送の時と同様比較的落ち着いていた。かがみとつかさの名前が呼ばれなかったから少なくても2人は無事だという事がわかっているからだ。
フェイトに関しても交流が深くはない為、死を知らされてもショックではあったものの号泣する事はなかった。
だがしかしだ、死者が出て悲しくないわけではない。悲しいに決まっている。それ故に家族の死に泣いているリインを見てどう話したらいいのかなどわからなかった。
ただ……1つだけ確実な事がある。それは仮に自分がここで死んだら間違いなく父親の泉そうじろうは悲しむという事だ。もしかしたら自殺してしまうかも知れない。
そうじろうを悲しませない為にも、必ず生きて帰らないといけない……勿論、かがみ達とも一緒に……こなたはそう思っていた。
その最中、こなたは名簿と地図を広げ放送での言葉をよく思い出し考える。この様子だとリインやスバル、レイは放送で聞き逃している部分があるかも知れない。
だったら『ボク』がやるしかない。こなたはちゃんと放送を聞いていたのだ。
とりあえず気になったのは誰かを殺したら御褒美がもらえるという話だが、そんな言葉に乗るつもりはないのでそれについては深くは考えない。
むしろ……こなたにとってはその時にプレシアが口にしたある言葉が引っかかったのだ。
『貴方達の好きなビデオゲームでも、敵を倒せば経験値と資金という見返りがある……そういうボーナスも悪くないわね。』
プレシアは現実に起こっているこの殺し合いをゲーム扱いしているのだ。純粋にビデオゲームが好きなこなたにしてみればそれは憤りを感じるものだったのだ。
こなたのいた世界でも殺人事件や監禁事件といった凶悪な事件がよく起こっている。問題なのはその度にゲームの影響が議論として持ち上がっている。
実際、過去にかがみ達とその事について話した時、モラル以前にゲームのやり過ぎだとこなたは口にしていた(ちなみにその際かがみからアンタの事だろとツッコまれたが)。
それでもだ、ゲーム等と現実を一緒にする事など決してあってはならない。ゲームで人を殺せると言って、現実で人を殺すなどという話は決して許される話ではない。
「ゲームと現実を一緒にしないで欲しいよ……」
他にも許せない事がある。リインの話によればプレシアは娘であるアリシアを生き返らせようとしていた。娘を生き返らせようとした事に関してはこなただって理解は出来る。
真面目な話をすれば、こなた自身も仮に家族を失い、生き返らせる手段があるならばそれに賭ける可能性があるのはわかっている。
だからこそ許せないのだ。プレシアは理解しているのだろうか? これまでに死んでいった人達にも家族や友人がいることを。それは今も泣いているリインを見れば一目瞭然だ。
本当にアリシアの事を想っているのであれば、こんな事などまず実行しないはずだ。自分と同じ悲しみを他の人にも味わわせるのだから。
とはいえ、いくら憤りを感じてもこなたの力ではどうする事も出来ないのが現実だ。ひとまずは調査や放送で得た事をルルーシュ達に伝えるといった出来る事をやるしか無いだろう。
そんな中、気になる事があった。あの放送でプレシアはフェイトが自分の娘だと言う事を語っていた。
実の所、リインがPT事件の説明をする時プレシアとフェイトの関係についてはボカして説明した為、その事をこなたは初めて知ったのである。
当然の事だがプレシアとフェイトが親子であるという事については驚いている。だが、名前の『T』やプレシアの口ぶりから恐らくは本当だというのは間違いない。
だが正直な所プレシアの言う様な親子関係だったとは思えなかった。それならばリインがPT事件の説明をした時に詳しく話してくれるからだ。少なくても何か事情があるんじゃないかとこなたは考えていた。
何にせよそれについては後でリインから確認を取ればいいと考えていた。
それよりもこなたにはある懸念があった。死者の中にギンガや十代の名前があったという事は……スバルやレイが彼女達を生き返らせる為に殺し合いに乗る可能性がある事を……そんな事は無いと思いたいが絶対に大丈夫とは思えない……そして、
「かがみんにつかさ……大丈夫かな……」
自分の友人達は無事なのか? 生きているのはわかっているがルルーシュの様に腕を失っている可能性や精神的に追いつめられている可能性は否定出来ない。
そしてこれまでに呼ばれた死者の死に何かしら関わっている可能性はある……例えば、庇われた対象がつかさであったり、事故に近い形の死にかがみが関わっていたり……。
考えれば考える程、雰囲気は重くなる……その状況の中で、
「ボクは……何が出来るだろう……」
こなたは只、窓から外の景色を見ていた……そこには変わらぬ景色が―――
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