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太陽(前編) ◆7pf62HiyTE




 2度目の放送が終わった―――
 新たな禁止エリア3つ、新たな死者の名前等がプレシア・テスタロッサによって伝えられた―――
 ゼスト・グランガイツは何を思うか―――

 禁止エリア―――現状気にする必要は無い。
 新たな死者―――ルーテシア及び協力者とその仲間が呼ばれていない以上、何の問題もない。『奴』に関しては呼ばれる筈が無い故考慮する必要はない。
 御褒美の検討―――どの様な餌を釣り下げられようとも従うつもりなど全く無い。
 そして―――

(プレシア……何を急いでいる……?)

 ゼストが感じたのはその事だった。
 現時点で死者は22人、半日でこのペースはそう遅いものではない。人数が減った以上今後はそのペースも落ちるであろうが、単純に考えても早ければ2日、遅くても3日で決着が着くと推測出来る。
 更に与えられている食料は1人につき3日分、考えるまでもなくこの殺し合いが少なくとも3日を想定したものなのは想像に難くない。
 また、放送毎に伝えられる禁止エリアの存在もある……エリアの総数は64、1回の放送毎に3つ指定されるならば21回目(6日目6時頃)の放送で63個のエリアが指定される。
 そして6日目正午の22回目の放送までに残るエリアは1つだけ。そして22回目の放送で最後の禁止エリアが指定されその1時間後には発動する筈だ。
 故にその瞬間には決着が着く……その時刻は6日目の13時、それがこの殺し合いの最終タイムリミットと言って良い。
 また、それでなくても刃向かえば首輪爆破及び24時間以内での死亡者が無ければ全員死亡というルールもある。反逆者の排除のみに絞った所で放っておいても時期に決着が着くだろうと言うのは誰にでもわかる話だ。
 だが、プレシアは放送毎に意図的に殺し合いを促進させる為の話を持ち出している。
 最初の放送での死者蘇生の実演を行ってまでの優勝商品の話、少し考えれば親しき者を生き返らせる為に殺し合いに乗せる為のものなのはわかる。
 そして今回の放送での数人の参加者を殺した上での御褒美の話だ、言うまでも無く此方も殺し合いを促進させるものと考えて良い。同時に反抗しても無駄だと念を押した上でだ。
 御褒美の話など最初の場所で説明を行えば済む話だ。それをせずに放送毎にそれを伝えているという事は……煽っているのだろう、殺し合いが促進する様に……
 だが、何故急ぐ必要がある? 前述の通りペース的には順調、難航した所で最悪6日目の昼には決着が着く。反抗されようとも首輪を爆破すれば何の問題もない。急ぐ必要は皆無だろう。
 少なくともわざわざ御褒美を釣り下げてまで行うメリットが大きいかどうかは微妙だ。
 更に言えば、瞬時に自分達をこの場に連れてきたという謎の力もある。誰がどう見てもプレシアの圧倒的優位には変わりが無いだろう。
(俺の知らない何かが起こっているのか……?)
 だがここまでの話はゼストの視点から見た推測でしかない。自身の知らない所で何かが起こっているというのは否定出来ない。しかし―――
(いや、プレシアに何があろうとも俺のすべき事は変わらん。今は―――)
 プレシアが何を企んでいようと自分の目的に変わりはない。それよりも今は現状への対処が優先だ。細かい事は後から考えれば良い話だ。

 現状対処すべき問題は2つ、
 1つはモンスター達の戦いによる商店街の崩壊、先程までと比べて煙は収まりつつある事から既に戦いが終わろうとしている可能性は高い。
 とはいえ、その戦いに巻き込まれたであろうC.C.が気がかりなのは言うまでもない。放送で呼ばれていない以上、生きているのは明白だがそれは『=無事』とは限らない。
 早々に戻った方が良い事に変わりはない。戻ったら戻ったで間違いなく彼女に愚痴や嫌みを言われるだろうが今回ばかりは戦いに駆けつけられなかった自身にも非がある為それも当然の話だ。
 それでなくても、あの場にはもしかしたら他にも参加者―――もしかしたらルーテシアや『奴』がいる可能性がある。どちらにしても戻るべきなのは言うまでもない。
 だが、ここでもう1つ問題、目の前にいる少年への対応だ。少年―――万丈目準と接触した時彼は何かに怯えておりまともに情報交換出来る状況ではなかった。
 しかしこのような場所に怯えている状態で1人放っておけるわけもない。その上彼は商店街で起こった戦いに関わっているモンスターについて何か知っていた。仮に戦いが収束せず、未だモンスターが健在の可能性もある以上、その情報を確保しておくべきだろう。
 だが、今に至るまでに詳しい事は殆ど聞けなかった。これまでに聞けた事は彼はそのモンスターの為に柊かがみを死なせてしまったらしいという事ぐらいである。その罪悪感が彼を苦しめているのは想像に難くない。
 そして詳しい事は何も聞けずこうして放送の時を迎えてしまったのである。
 万丈目の抱えている苦しみを理解出来ないわけではない。とはいえ今も殺し合いが進んでいる事を踏まえるならばこれ以上ここに留まるわけにもいかないの事実、これ以上ここで時間を無駄にするわけにはいかないだろう。
 それ以前に、放送でかがみの名は呼ばれなかった。少なくとも万丈目がかがみを殺したという事は無いはずである。モンスターの正体は未だ不明故、楽観は出来ないが罪悪感は軽くなっているだろう。

 故にゼストは話を切り出す。仮に態度が変わらなかったとしてもこれ以上は待てない、そう考えて―――
「万丈目、放送は聞いて―――」
 しかしそのタイミングで万丈目が口を開いた、
「カードデッキ―――」
 ここに来て万丈目は自身に起こった事を語り出したのだ。





 万丈目の話を纏めるとこういう事だ。彼自身に支給された2つの支給品が彼を追いつめてしまったのである。
 1つはカードデッキ。これを使う事でモンスターの力を使役出来る仮面ライダーと呼ばれる戦士に変身する事が出来るわけだが、これには大きな問題があった。
 それは最長で12時間以内に生きた参加者をモンスターの餌として食べさせなければならないという問題だ(ライダーへの変身を行う等モンスターの力を使えばその時間は短くなる)。
 仮にそれを行わなければ所有者自身を襲う……つまり自分自身が餌となるという事である。
 万丈目の話ではこの殺し合いが始まって1時間前後のタイミングで眼帯を付けた少女に襲われた際に一度変身し交戦したものの誰も食べさせてはいないという話だった。
 ちなみにその少女の特徴からゼストには彼女がチンクだという事がわかる為、ゼストは彼女の名前やその仲間を万丈目に説明した。
 さて、チンクを喰わせていない事はわかっており、その後もかがみと出会うまでは誰にも会わなかった為……12時間以内、先程の放送までにはタイムリミットを迎える。つまりそれまでには誰かを餌にしなければならないという事だ。
 これだけでも十分厄介だが、ここでもう1つ厄介な支給品が出てくる。それが盗賊の魂バクラが宿った千年リングの存在である。バクラはこの殺し合いを楽しもうとしているという話で極端な話殺し合いに乗っているといっても良いだろう。
 また、短時間ではあるものの所有者の身体を乗っ取る事も出来るという面倒な存在である。前述のチンクとの戦いの際にバクラは万丈目の身体を乗っ取ったという話だ。
 しかし、その能力は優秀であったことと、バクラ自身も死ぬつもり(魂だけ故この表現も妙だが)は無かった為、万丈目とバクラの目的は合わなくても共闘は一応出来ていたそうだ。
 が、刻々と迫るカードデッキのタイムリミットの中でバクラが動いたのだ。バクラは運良く出会ったかがみを利用して万丈目をモンスターの餌にしようとしていたという話だ。
 勿論、これは万丈目の推測に過ぎずバクラの本心は不明。しかし、迫るタイムリミットと乗っ取り能力、そして万丈目と目的が合わない事を踏まえればその可能性は高いと考えて良いだろう。
 それに気が付いた万丈目は自らの身を守る為に敢えてカードデッキをかがみに押しつける様な形でバクラから逃げたという事である。
 当然、その結果かがみがモンスターの餌となる可能性は高いだろう。


「成る程、そういう事か……だが彼女の名前は……いや……」
 しかし現実にはかがみの名前は呼ばれていない。つまりかがみはモンスターの餌とならなかったという事である。
 だが、それが良い結果とは限らない。かがみが餌にならなかったとするならば、かがみもしくはバクラは誰か他の参加者を餌にしたという事である。
 つまり、どちらにしても万丈目が誰かを殺したという事実には変わりが無いという事だ。しかし、
「ああ……それは俺もわかっている……」
「……そうか」
 万丈目の表情には先程までに見られた怯えは見られなかった。その理由は気になるが、この場は話を進める事にした。
 ちなみに、ゼストの視点から見て万丈目の行為はある意味ではやむを得なかったと言えるし、見たところ万丈目自身も自分のした事を理解していた様だった為、少なくともこの場で万丈目に対してこれ以上その事を追求するつもりはなかった。
「確認するが、君に支給されたカードデッキのモンスターは赤いドラゴンだったか?」
 2人が確認したモンスターは赤と白のドラゴン、ゼストの記憶では白いドラゴンはキャロ・ル・ルシエの使役するフリードリヒの可能性が高い。故に赤いドラゴンがカードデッキのモンスターという事になるが……
「いや、俺に支給されたのはカメレオン……緑色のやつだった」
 しかし万丈目に支給されたカードデッキは緑色のカメレオンバイオグリーザだった為、それを否定した。
 何はともあれ、商店街で何が起こったのかは大体把握出来た。
 恐らく参加者の内の誰かに支給されたカードデッキの限界時間が訪れてしまいモンスターが暴れ出した、もしくはカードデッキを支給された参加者が理由はどうあれ他の参加者を襲撃したかのどちらかだろう。
 そして何者かがフリードリヒを召喚、もしくは白いドラゴンのカードデッキで応戦した……それが商店街で起こった戦闘だろう。
 万丈目の言う緑色のカメレオン……バイオグリーザは確認できなかったがその戦いに関わっていないとは言い切れないだろう。
(C.C.はそれに巻き込まれたか……もしくは奴もそれに関わっているか……それは不明だがな……)
 ゼストはC.C.の支給品の全てを把握していなかった。それ故にC.C.の支給品が商店街の戦いにどれだけ関わっているかを読み切れなかった。
 結論から言えば商店街の戦いにはC.C.自身の2つの支給品が関わっている。
 1つは万丈目の話したカードデッキ……もっともその契約モンスターは赤いドラゴンでは無いわけだが。もう1つはまさしくゼストの推測通りのフリードリヒ……もっとも竜魂召喚を行ったのは別の参加者であるが。
 とはいえ……前述の通りこれら2つの支給品の事はゼストは知らないわけではあるが。
(仮にあの魔女の支給品があの戦いに関わっているならば文句の1つでも言ってやらんとな……)

 商店街での事態を大体把握した以上はすぐにでも戻りたい所だ。だが、万丈目とはもう少し情報を交換しておきたい所だ。
「……時間が惜しいが聞きたい事がある」
 そう言いゼストは名簿を取り出した。





 それから10数分後、ゼストは商店街へと向かっていた。ブリッツキャリバーの機動力があればそう時間はかからないだろう。
 色々話し合った結果、万丈目とは一旦別行動をとる事になった。
 1人残しておく事が危険な行為というのはわかってはいるが、未だ戦闘が続いている可能性のある商店街に連れて行く事も同じぐらい危険だという事も明白である。
 真面目な話、戦いになった場合万丈目を守りきれるとは限らないという側面もある。いや、並の相手ならばまだ良いが『奴』が関わっているならばそうは言っていられない。
 仮に戦闘が終わっていたとしても人が集まるであろう市街地は戦闘が起こる可能性が大きい、身を守る武器の無い万丈目を連れて行かないという選択肢は悪手とは言い切れないだろう。少なくとももう少し仲間もしくは武装が揃うまでは。
 本音を言えば、何も持たせないで置いていった事が悔やまれてならない。今にして思えば自身に支給されたスティンガーをブリッツキャリバーと交換とはいえC.C.に10本全て渡したのは失敗だったかもしれない。
 とはいえ今更それを言っても仕方が無いだろう。ひとまず今は商店街に戻る事を優先するべきだ。
 万丈目は家屋で少し休んだ後軍事基地に向かうと言っていた。軍事基地であるならば何か武器を手に入れられる可能性がある。万丈目はそこに向かい武器を手に入れるという話である。
 また、軍事基地はこのマップの隅ともいうべきA-1にある。隅である以上当然人通りは少ないのはいうまでもない。万丈目の話ではマップの端と端は繋がっているという話だがそれでも問題は無い。
 A-1と隣接しているエリアの内B-1は既に禁止エリア、A-9も15時には禁止エリアとなる、更に言えばI-1は一面が海……つまり、普通に考えれば行き来が可能なのはA-2からという事になり普通に考えればまず近寄りにくいエリアという事だ。
 本音を言えば、万丈目を置き去りにしたくは無かったし、出会った当初の万丈目ならばまず置いていくという選択肢は無かった。だが、別れる直前の万丈目を見た所若干の不安は残るもののひとまず置いていっても良さそうな様子ではあった。
 故にゼストは単身商店街へと足を進めているのである。

 さて、移動しながらもゼストは万丈目から聞かされた話を今一度思い返していた―――





 ゼストは自身の知る参加者とC.C.の共犯者らしいルルーシュ・ランペルージの名前を伝え知っているかどうかの確認をした。その返答は……
「ああ……そのルルーシュって奴の事は知らないが、なのは達の事なら一応知っている……」
「何、それは本当か!?」
 見付けた……漸くあの復讐鬼の手掛かりを……ゼストの声が自然と熱くなる……それでも高町なのはは仮にもかつては管理局のエース・オブ・エース、悪鬼に堕ちた彼女を知っているとは限らない。それでも、期待を持って詳しい事を聞こうとするが……
 だが、次の瞬間冷水をかけられたかの様に頭を冷やされる結果となる。
「俺の知っている彼女達とは限らないがな」
 その瞬間、ゼストの思考が停止する。何を言っているんだと正直思う。しかし、すぐさま冷静さを取り戻し、
「どういう意味だ?」
 そう問うゼストに対し万丈目はデイパックから1冊のノートを出した。それは自身にも支給されているノートだ。情報を纏めるのに使う為に参加者全員に支給されたものだろう。
 万丈目が取り出したノートにも『万丈目サンダー』と書かれていたのが気にならんでもないが、今はそんな事はどうでも良い。万丈目はノートのあるページを開きゼストに見せる。
「……これはどういう事だ?」
 そこには万丈目、そしてバクラの知り合いの名前が書かれていたがそれが問題だったのだ。
 万丈目の知り合いの中にはなのはだけではなく、スバル・ナカジマ、エリオ・モンディアル、キャロの名前があり、バクラの知り合いの中にもキャロの名前があったのだ。
 その上で万丈目は自身の事情を説明する……万丈目、天上院明日香、早乙女レイ達は自分達の学校であるデュエルアカデミア毎見知らぬ異世界に飛ばされたが、『管理局機動六課の高町なのは達』が助けに来たという話だった。
「ちょっと待て、高町なのはやスバル・ナカジマ達が管理局にいたというのか?」
「あ、ああ……少なくとも俺の知るなのは達は……」
 信じられないというのがゼストの本音だった。なのはだけではなくスバル、エリオ、キャロも管理局側にいるというのか? 自分の知る限りスバル達はスカリエッティ側にいたはずであり少なくとも管理局とは敵対しているはずだ。
 またなのはにしても今更管理局に従うとは到底思えない。これは一体どういう事なのか?
「ゼストさん……そのノートの下の方にも書いてあるが……」
 そう言われゼストは下の方を確認する。そこには並行世界の可能性が記されていた。未だどういうことか理解しきれないゼストに対し、
「確認したいんだが……あんたの世界のキャロは管理局ではなくマフィアに入っていたのか?」
 そう問いかける万丈目であった。





 万丈目から聞かされた並行世界の可能性、彼自身も信じられない話だったがバクラの知るキャロと自分の知るキャロの状況が違う事から判明したその仮説はゼストに大きな衝撃を与えていた。当然信じられる話ではない。
 しかし、冷静に考えてみればその可能性は限りなく大きく、またそう考える事でこれまでに覚えた違和感の大半に説明を付ける事が出来る。
 まず、C.C.の知るスバルが何故か学生となっていた事、ゼストの知るスバルはスカリエッティの戦闘員の筈で平和な学校に通っているとは思えない。
 次に最初の放送でヴィータの名前が呼ばれなかった事、ゼストはこの場所に来る直前ヴィータに致命傷を与えていた為、予めプレシアが治療した、もしくはすぐに治療出来る用意があったという都合の良い話が無い限りはまず生き残れない筈だ。
 だが、並行世界の仮説が正しい場合、別の可能性が見えてくる。
 C.C.の知るスバルはスカリエッティ側の戦闘員になっていない、もしくは本当に普通の学生だったという可能性、そしてこの場にいるヴィータはゼストの世界とは別の致命傷を負わされていないヴィータだったという可能性だ。
 ゼスト視点だけから見れば信じられない話だ。しかしC.C.、万丈目、そしてバクラの知る彼女達の状況がここまで違うとなると流石にその可能性を無視する事は出来なくなってくる。
 そしてこの仮説ならば2つあった高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやての事についてもクローンではなく異なる並行世界から連れてきたという可能性が出てくる。
 また、アリサ・バニングスの復活劇についてもクローンではなくこれまた並行世界の彼女を利用した可能性が出てくる。
 とはいえ、これらの事はまだ可能性に過ぎない。商店街に戻って落ち着いた所でC.C.から詳しく確認しそこから判断すれば良いだろう。
 最悪C.C.から確認を取る事が出来ないとしてもブリッツキャリバーから確認すれば良い話だ。
 ブリッツキャリバーのスペックがゼストに報告されていたものとは違いファイナルリミッターが解除されA.C.S.が使用可能になっていた事実がある。
 ゼスト自身その時はなのはと遭遇した時には命を削ってでも使う程度の認識しか持たなかったがもしかするとブリッツキャリバーに関しても自身の世界の物では無い可能性がある。
 勿論A.C.S.程度ならば単純に隠してあったという可能性もある、しかし(確認した時には気にも留めなかったが)スペックノートにはバリアジャケットに対毒仕様のプログラムが組み込まれてるとあったのを思い出した。
 対毒仕様という事は毒を扱う相手への対策という事だ。だが、持ち主のギンガ・ナカジマが必要とする程の相手が思い当たらなかった。
 不必要な装備を追加する必要など無い。だとすると、ブリッツキャリバーがゼストのいた世界とは別の世界の物で、その世界においてギンガはA.C.Sを使わなければならない強者、それも毒を使う様な相手との対応を迫られていたという可能性がある。
 つまりだ、ブリッツキャリバーから確認を行えばその世界の大まかな状況を把握する事が出来るという事である。
 プレシアが何故参加者を異なる並行世界から連れて来るという面倒な事をしたのかは不明、しかし正直それが如何様なものであれゼストの目的は変わることはない。プレシアの抹殺、それだけは確定事項である。
 だが、他の目的についてはどうだろうか? そう、ゼストの捜し人が異なる並行世界の人物の可能性があるという事だ。仮にの話だが、なのはとルーテシア・アルピーノが自分とは別の世界から連れて来られた場合はどうだろうか?
 いや、ルーテシアの方は恐らくどの世界の彼女であっても問題は無いだろう。どの世界にしろゼストの愛したメガーヌ・アルピーノの娘である事に違いは無いはず、故に彼女を保護するという事には変わりはない。

 問題はなのはだ。仮に彼女が自分の知る世界の彼女では無かったとしたら?
 万丈目の話ではその世界の彼女は管理局に属しており復讐鬼に身を落としたという様子は無かった。恐らくその世界の彼女はスカリエッティによって人造魔導師の処置を受けていなかったという事だろう。それならば管理局にいる事にも説明がつく。
 では、仮になのはが自身の世界の彼女では無いとしたらゼストはどうすべきなのだろうか?
 少なくても、狂気に堕ち無益な犠牲と争乱を起こし続けていない彼女ならば抹殺する理由はない。だが、こればかりは実際に彼女に会って確かめて見なければわからない。
 しかしだ……果たして実際に彼女と遭遇した時にはどう行動するだろうか? 冷静に判断を下す事が出来るのだろうか? それはゼスト自身にもわからなかった―――

 とはいえその事については今は考えるべきではない。落ち着いた時に改めて考えれば良い話だ。今はそれよりも商店街に戻る事が優先である。
 仮に戦闘が終わっていたとしても今後の事を踏まえるならば殺し合いを促進させるカードデッキは早々にモンスター共々破壊しておくべきだ。
 また、仮にかがみと遭遇したならばバクラの宿っている千年リングも引き離し処分した方が良い。
 さて、放送時ゼストはプレシアが殺し合いの早期決着を望んでいると考えたが、万丈目の話を聞きその可能性はより強まったと感じていた。
 殺し合いを楽しむ者の魂の宿ったリングに、12時間以内に誰かを食べさせなければならないカードデッキ、何れも殺し合いを促進させる為のものだ。
 ならばプレシアの思惑を打ち破る為にゼストもまた急がなければならないだろう。故にゼストは商店街に向けて走り続けていた。


 その中でゼストは万丈目の事を考えていた。只怯えていただけで殆ど何も話してくれなかった少年が何故急に全ての事を話してくれたのだろうか?
 いや、それ以前に彼の目は何処か戦う者の目をしていた様な気がする。勿論、時間が少なかった為多くは話せなかったが自暴自棄になっている様子もなかったし、殺し合いに乗っている様子もなかった。
 だからこそゼストは多少の不安は感じたものの彼と別行動を取る事が出来たのである。
 きっかけは恐らくは放送だ。だが、放送に万丈目を変える何があったのであろうか?
 彼がカードデッキを押しつけたかがみが生きていた―――否、仮にそうであってもその特性を考えれば誰かを死に追いやったた事に変わりはない。
 ならば―――放送で誰か仲間が死んだのか? その人物が死んだ事が結果として彼を立ち直らせたというのか? それならば確かに可能性はあるだろう。
 だがそうであるならば誰の事だ? 管理局の連中に関しては最初の放送の時にも既に何人か死んでいるしそこまで親しい人物では無い為その可能性は低い―――ならば―――
 ゼストは万丈目が見せたノートに書かれていた彼の知り合いの名前を思い出す。そしてある人物の名前に気が付いた。
 万丈目はその人物については名前すら出さなかった為、その人物がどのような人物なのかはゼストは知らない。だが、推測にしか過ぎないがその人物は万丈目にとって―――





 その事に気が付いた時、不意にゼストはある人物の事を思い返していた―――
 その人物は誰よりも世界の平和を願っていた―――
 その人物はそれ故に道を踏み外し自分や愛した女性、そして奴の人生を狂わせた―――
 その人物はそれでも地上の平和という現実を見ていた―――
 そして、最早会う事の叶わぬその人物はゼスト・グランガイツにとって―――





(レジアス―――)





 友であった―――





 懐古は一瞬で終わる―――今は目の前の現状に立ち向かわなくてはならない。故にゼストは商店街へと急ぐ―――





 ―――太陽が彼を照らしていた―――





【1日目 日中】
【現在地 C-2 大通り】
【ゼスト・グランガイツ@魔法少女リリカルなのは 闇の王女】
【状態】健康
【装備】ブリッツキャリバー@魔法妖怪リリカル殺生丸
【道具】支給品一式
【思考】
 基本:高町なのはの捜索・抹殺、プレシアの抹殺、ルーテシアの保護。
 1.商店街に戻ってC.C.と合流する。
 2.カードデッキ及び千年リングを見付けた場合は破壊・処分する。
 3.落ち着いたらC.C.及びブリッツキャリバーから彼等の世界について詳しく確認する。
 4.その後、軍事基地に向かい万丈目と合流する。
 5.行動を共にする仲間を増やす(市街地は危険そうなので武装が整うまでは基本的に避けたい)。
 6.なのはと戦う事になればギア・エクセリオンの発動も辞さない――己の命を削ってでも。だが、仮に彼女が自分の世界の彼女では無いとしたら―――?
【備考】
 ※なのはとルーテシアが自分とは違う世界から連れて来られている可能性に気付きました。
 ※C.C.との協力関係はギブアンドテイクという暗黙の了解の上に成り立っています。
 ※ギア・エクセリオンによる負担の程度は不明(ゼストは自分のデバイスのフルドライブ同様に命を削る可能性もあると推測)。
 ※プレシアにはスカリエッティと同等かそれ以上の技術があると思っていますが、プレシアを全く信用していません。
 ※幕間「修羅のように」(シグナムを倒した直後)からの参戦です。
 ※ヴィータとプレシアの間で何らかの約定があったかもしれないと考えています(並行世界の彼女の可能性を考えています)。
 ※スバルが『スバル・ナカジマ』の名前である事に疑問を抱きました(並行世界の彼女の可能性を考えています)。
 ※カードデッキの制限と千年リングについての情報を把握しました。
 ※参加者が異なる並行世界から連れて来られている可能性を知りました。
 ※プレシアは殺し合いの早期決着を望んでいると考えています。
 ※エリアの端と端が繋がっている事を知りました。



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