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MISSING KING◆7pf62HiyTE




『貴方達が殺し合って、最後の1人になること以外に、このゲームに終わりなんてないのだから――。』

 その声と共に2度目の放送が終わった。D-5のとあるビルの中、1人の青年は何を思うのか―――
 彼は『金居』、人間の姿をしているものの彼は人間ではない。その正体はギラファクワガタムシの祖たるギラファアンデッド、アンデッドの中でも上級クラスとも言うべきカテゴリーKのアンデッドだ―――
 彼は元の世界へ帰還し二度とこの戦いに巻き込まれないようにする為に先程の放送を行った女性―――プレシア・テスタロッサの殺害を目論んでいる―――
 故に彼は集団に潜り込みつつ、参加者を減らしていきながらプレシアへの接触方法を模索していた―――

 その彼の手元では名簿と地図に放送で呼ばれた死亡者と禁止エリアに印が付けられていく、情報を纏めておく事は戦いにおいては基本的な事、それを怠るなど愚行以外の何者でもない。
 そしてパンに砂糖水を付けた物を食しながら考えていく―――
「あの女から見ても殺し合いは思ったよりも進んでいない様だな」
 その放送によると前の放送で語られた優勝者に与えられる御褒美によって殺し合いに乗った参加者が少ないと語られていた。そして、今度は何人か殺せば何かしらの御褒美を検討するという話が出たのだ。
 これについて思う事はあるものの、それについては今は置いておき、まずはこれが語られた背景を考えてみる。
 要するに放送で殺し合いに乗った人数がプレシアの想定よりも少なかったという事だ。考えてみればこれまでに金居が遭遇した面々で放送の御褒美に乗って殺し合いに乗ったと思われる人物は誰もいなかった。
 彼と行動を共にしていた高町なのは、シェルビー・M・ペンウッド、武蔵坊弁慶にその動きは見られなかった。
 また、先程ジョーカーとの戦闘で遭遇したギンガ・ナカジマ及びインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングの両名に関しても(ジョーカーを助けていた事が気になるがこれもひとまず置いておく)優勝を狙っているという様子は無かった。
 ちなみにジョーカーの真意は不明なので置いておくとして、金居自身にしても別に優勝での御褒美を狙っているわけではない為、これまた御褒美での影響は無いと言える。
 これから察するに最初の放送の時点での生き残り47人の中にいる殺し合いに反抗する連中(当然その総数は47より少ない)の中で御褒美での優勝狙いに切り替えた者は少ないと言えよう。
「1,2割と言ったところか」
 この数字を多いと見るか少ないと見るかは不明、だがプレシアの想定より少なかったと推測される。
 更に放送ではこんな事も語られていた。
『果敢に戦って死んだ者、仲間を庇って命を落とした者、些細なミスが命取りになった者、ほとんど事故のような形で死んだ者……』
 前者2つは戦いでの死亡が原因と見て良いが、後者2つはどういう事なのだろうか?
 『些細なミス』が戦いにおいてのものであればまだ良いが、本当にどうでも良い所での『些細なミス』だとしたら? そして事故のような形で死んだ者とはどういう事なのか?
「まさか不用意に禁止エリアに入る、もしくは建物からうっかり落ちて死んだ馬鹿な奴がいたとでもいうのか?」
 勿論、彼等の死に様などどうでも良い。重要なのは戦いとは全く別の所で死んだ者がいるという事である。これでは殺し合いが進んでいるとなど言えないだろう。
 故にプレシアは新たな御褒美の話を持ち出したのであろう。

 さてこの放送だけで考えてみた場合、疑問を感じないだろうか?
 最初の6時間で13人、次の6時間で9人、確かにペースは落ちているものの総数が減っている為、これではペースが落ちているとは言い難いはず、プレシア自身も順調と言っていた。
 にもかかわらず、更なる御褒美の話を持ち出し殺し合いを加速させようとする―――些か奇妙な話と言えないだろうか?
 しかし、金居にしてみればペースが落ちていると推測出来る。
 何しろ今回の死者9人の内3人の死亡には金居が大きく関わっている。つまり、金居の立ち回り次第で3人が死亡しなかった可能性があるという事だ。
 その3人を除けば残りは6人、そしてその中で些細なミスや事故で死んだ者を除けばその総数は2~4人といった所だろう。最初の放送での死者13人から比較して飛躍的に減少してしまったと言わざるを得ない。
 しかし、恐らくこの事実に気付いている可能性があるのはプレシアを除くとその戦いでの生き残りである自分とジョーカーぐらいだろう。
 彼等以外は恐らくペースが落ちているとはまず考えないはずだ。
「むしろ逆にプレシア自身がペースを上げに出ていると見るはずだ、つまり……」
 ならばどう考えるか? ペースが落ちていないのにペースを上げにいっていると考えるだろう。つまり、殺し合いを更に加速させて早期の決着を狙っていると推測出来る。
 しかし、これはあくまでも『順調に進んでいる』と考えている者の推測だ、『順調に進んでいるわけではない』と考えている金居はどう思っているのだろうか?
「今の所はまだわからんか……」
 金居はその結論についてを出さない事にした。何しろ殺し合いを望んでいるならば状況がどうあれ殺し合いの加速の為に何かしら策を講じる事は十分に考えられるからだ。
 次の放送でまた動きが見られる可能性はある為、それを待ってから判断すれば良いと考えた。

 次に気になったのは呼ばれた死者の中になのはとペンウッドがいなかった事だ。
 なのはの所持品の中には学校で見付けたカードデッキがある。これはそれと契約しているモンスターの力を借りて仮面ライダーと呼ばれるものに変身する事が出来るものだ。
 が、実はこれには重要な問題があって、モンスターに餌を食わせなければ所有者自身が喰われる様になるという制限があり、説明書にも『12時間に1人、契約モンスターに「生きた参加者」を喰わせないと所有者が襲われるようになる』等とあった。
 金居はなのはにカードデッキの入ったデイパックを渡す前に説明書の存在に気付きそれを抜き取り自分が確認した後密かに処分しておいた。
 つまり、金居以外はモンスターに餌を食べさせなければモンスターが所有者を襲うという事を知らないのである。
 そして、金居の見立てでは放送を迎える前にモンスターがなのは達を襲うはずであった。何しろこの殺し合いが始まってから放送で12時間、誰かを食べさせていなければタイムリミットを迎えるはずだ。
「あの戦いの前に誰かが何者かを餌にしたか……」
 考えられる可能性は4つ、1つは自分達が学校に行く前に前の持ち主が誰かを餌にしたケース、これならばタイムリミットは放送後になるはずだ。
「後は……」
 残りの3つは何れも誰も餌にしていないケース、放送前にタイムリミットを迎えるパターンである。
 まずはなのは達は誰かを犠牲にしたパターン、つまり前述の死者の内の誰かを餌にした可能性。
 次に「生きた参加者」以外を餌にして切り抜けたパターン、説明書には「生きた参加者」とあったが餌であるならば代替えが利く可能性はある。それで何とかしたパターンだ。
 そして最後は……モンスターそのものを撃破して切り抜けたパターン。
 恐らくはこれらの内の何れかだろう。
「……一応頭には入れておくか」
 真面目な話、これらの内のどのパターンでも金居にとってはどうでも良い。だが、もし仮に切り抜けたとしたらカードデッキの制限を知る可能性が出てくる。
 最悪の場合は自分がそれを知った上で暴走を仕組んだ事を看破される可能性がある。つまり、金居が説明書を抜き取ったという事実にだ。
 最初から説明書など無かった―――そう説明して切り抜ける事も出来なくはないが、12時間以内に人殺しを強要するものなど説明無しではあまりにも不親切すぎる為、乗り切れる可能性は低い。
 そして同時に一度疑心を抱かれれば上手く切り抜けられようとも疑いの目はずっと向けられる。動きにくくなる事に変わりはない。
 勿論、これは最悪のパターンだ。あの2人ならば未だ気付かない可能性はあるだろう。だが、どちらにしても用心しておいた方が良い。

 さて、問題はここからだ。まずは金居の目的を達成する為にどうするべきかだ。
 もう一度触れておくが金居の目的は殺し合いの打破でも優勝でもなく『プレシアの殺害』だ。
 生き残るだけならば優勝を狙っても良いのではないのか? 確かにそう考える者も多いが実はそうではない。
 考えてみて欲しい、プレシアは何の前触れもなく金居を含めた60人を連れてきたのだ。理由すらもわからずにだ。

 いや―――実の所連れて来られた理由に関してはある程度推測が付く、彼女はどうやら参加者の1人であるフェイト・T・ハラオウンの母親だと放送で語られた。
 そしてフェイトにはなのは他数多くの仲間が存在し、彼等の多くがこの殺し合いに連れて来られている。
 同時に弁慶及びペンウッドとその仲間達も彼等の世界においてはなのは達の関係者であった。
 金居自身は接点は無かったが、キングとジョーカー、及び天道総司が彼女達と何かしらの接点があった可能性がある。
 つまり、プレシアはフェイト及びなのはの関係者、そしてその関係者からこの殺し合いのメンバーを選んだという事である。真面目な話金居にしてみれば完全なとばっちりだ。

 ここで冷静に考えてみよう。プレシアの目的は不明だが仮にこの戦いが如何なる形であれ終わりを迎えた後、その後はどうするだろうか?
 勿論彼女の目的が不明な以上断定は出来ない。だが―――もしかしたら再びこの馬鹿な遊戯を催す可能性はあるかも知れない。
 そうなれば再び自分が巻き込まれる可能性は十分にあり得る。当然だが金居はこんな事に何度も付き合うつもりはない。
 当然、2度も巻き込まれるとは限らないかもしれない―――しかし、並行世界から前触れもなく連れ去る力を持った彼女に対して永久に睨まれた状態は決して変わりはしない。
 殺し合いから解放されたとしても、何事もなく過ごせるとは限らない。下手な動き1つで自身の命は脅かされる―――結局の所何も変わりはしないのだ。首輪の有無など関係ない。
 そう、例えば元の世界に戻って全てのアンデッドを封印する寸前で彼女の気まぐれで消される可能性だってあるのだ。
 勿論、これは可能性レベルの話でしかない。しかし格下の人間であるプレシアに睨まれ続ける状況をギラファクワガタムシのアンデッドである金居が許せるはずがないだろう?

 だからこそ金居はプレシアの殺害を考えた。プレシアからその技術を奪えば二度と巻き込まれる事もなく本来の戦いに専念出来るだろう。
 しかし、未だその明確な方法は見えてこない。下手に殺し合いへの反抗グループにいたとしてもそれを良しとしないプレシアに首輪を爆破されて終わりを迎える。
 故に金居はそのグループの中に潜みつつ、グループの力を削ぎながら殺し合いを進行させ続けプレシアとの接触方法を探っているのだ。
 状況次第では優勝したタイミングでの接触での抹殺も視野には入れている。
 だがこの方法すらも正直可能性が低いと見ている。故に別の手段も模索しているのだ。

 その最中、放送で語られた新たな御褒美の話、勿論この時点では検討する程度の話なので実行されるのは早くて3回目の放送以降だ。
 しかし、この話は非情に興味深い話であった。
 プレシアは例として他の参加者の居場所を教える、支給品をもう1つ貰えるというのを出した。
 では、一体どうやって御褒美を与えるというのだろうか?
 その瞬間、プレシアもしくはその手下が接触をしてくるのでは無かろうか? どういう方法で仕掛けてくるかは不明だが、これはチャンスと言えないだろうか?
 プレシアとの接触の機会―――狙ってみる価値は十分にあるだろう。
 とはいえ、現状では実行されるかは不明、その条件も不明(例えば放送後3人殺したらという話なら下手に狙えるものではない)、接触の形すら不明である以上現状では過度な期待は出来ない。

 それ以前に逆にある懸念がある。
 金居と同じ事を考える参加者がいないとは言い切れない。プレシアはそれを考えていないのか? 殺し合いを打破する連中ではなく、殺し合いに乗っている連中が自分に牙を剥く可能性を考えていないのか?
 いや、考えていないならばあまりにもお粗末すぎる。
 つまり、この接触に関してもプレシアは何かしらの策を講じている可能性があるという事だ。どちらにしても過度な期待は決して出来ないという事だ。

 だが、光明が見えないわけではない。プレシアが今回の御褒美の話を持ち出したのは殺し合いの進度が悪かったからだ。
 首輪を爆破という直接的な手段ではなく、御褒美の提案という間接的な手段で殺し合いを促した。参加者と接触するというリスクを背負ってでもだ。
 だとすれば―――このまま殺し合いが長期化した場合、プレシアは殺し合いを促進させる為に次の手を打ってくるのでは無かろうか?
 特定の殺し合いに乗った参加者に意図的に力を与える、障害となる参加者を排除する為の刺客を送り込む、参加者の内の誰かを自分の側に引き込む―――考えられる手段は幾らかある。
 接触の回数が増えればチャンスも増える。その隙を突ける事が出来ればあるいは―――
(生かさず殺さずということか)
 当面の方針は定まった。金居は殺し合いの長期化を狙い、プレシアの介入をし向ける事にした。この手段がどれだけ有効かはわからないが試してみる価値はあるだろう。
 だが加減は難しいだろう。殺し合いが促進してしまえばプレシアの介入は無くなるし、かといって過度に進行が止まれば首輪を爆破されてそれで終わりだ。
 と言っても実際の所、すべき事が変わるわけではない。現状の金居の行動方針は実の所その目的を達する手段に合致している。能動的に他者と戦うわけでもなく、殺し合いに反抗するグループの妨害も暗にしているわけなのだから。
(だが、俺の策が読まれるわけにはいかない……)
 そして一番重要なのはこの事は決して口にしない事だ。プレシアは自分達を監視している以上、此方の言動は逐一把握している筈だ。故に一番重要なプレシアの抹殺に関する事だけは決して口にはしない。


 一方、金居は改めて自分の知る人物がこの殺し合いでどう動くのかを考える。
 天道……なのは達に語った通りこの殺し合いを打破する為に動く、考えるまでもない。
 キング……なのは達に語った通り面白ければ何でも良いと考える奴は間違いなく危険人物(具体的には予想仕切れないが)、これもほぼ間違いないだろう。
 ジョーカー……問題は奴だ。

 なのは達には死神及び勝ち残れば全ての生命が滅ぶと説明しているが、これはあくまでも金居の世界におけるジョーカーの立ち位置でしかない。
 しかし、この場で自分達の常識が適応されるとは言い難い。仮にこの場で奴が優勝したとしても世界が滅びるとは言い切れない。元の世界に戻ればアンデッドが多数居るわけなのだから。
 つまり、実の所なのは達に話した事は実は的を射てはいないのだ。とはいえ、金居としてはジョーカーを封印するつもりであるので奴を危険人物として話す事については全く問題はないわけだが(実際、それ程間違ってもいない)。
 だが、奴が本当に殺し合いに乗っているかどうかは正直わからない。と言うより真面目な話、殺し合いに乗っていない可能性はあった。
 金居は前にジョーカーに会いにハカランダに行った時にその場に何人か少女達がいた。そしてキングにあった時のその内の1人の少女の画像を見せられたのだ。
 キングによるとプロジェクトFがどうとかと言っており、同時に面白い鍵になると語っていた。
「そういえば……」
 今更ながらの話だが、ハカランダで見かけた1人の少女となのはの面影が重なったのを思い出した。勿論これだけでは似ているだけの別人としか思えない。何しろ見かけた少女となのはとでは10歳ぐらい歳が離れているわけだから。
 だが、参加者が異なる並行世界から連れて来られている事実から、異なる時間軸から連れて来られている可能性は十分にある。何しろ、なのはと弁慶の話では微妙に時間にズレを感じる事が出来るからだ。
 弁慶の話ではランク試験後の時間経過がそれほど長くない(その後初戦闘後連れて来られたという話)のに対し、なのはの話ではランク試験が様々な事件があった事が語られているからだ。
「となれば、あそこで見かけたのは……」
 その少女が約10歳のなのはの可能性はある。思い返せば見せしめで殺された少女(アリサ・バニングス)を幼くした少女もハカランダにいた様な気もする。
 さて、あの場にいたのがなのはとその友人達だと仮定する。もしジョーカーが名簿を見て彼女達の名前を見付けたらどう考える? 彼女達を守る為に戦う可能性、つまりジョーカーが殺し合いに乗っていない可能性があるという事だ。
 何しろあの男は表向きには相川始という人間として暮らしている。有り得ないとは言い切れない。
 勿論、これは仮定のレベルでしかない。だがあの戦いを思い出せば可能性は無いとは言えない。
 あの戦いではジョーカーを助ける様な形でにギンガとインテグラルが介入してきた。3者の間に何があったかは不明だが、ジョーカーとギンガ達は手を組んでいる可能性があるという事だ。
 当然、2人は殺し合いに乗っていないはずなのでジョーカーは殺し合いに乗っていないという可能性が強まる。
 ちなみにジョーカーから見て自分とキングは危険人物扱いされている可能性が高いので、ジョーカー及び彼女達が自分との戦いになった事については全く疑問はない。
「ジョーカーがどう考えていようが問題はないか」
 ここまで考えたものの、実際これ自体はどちらでも問題はないと金居は結論付ける事にした。
 殺し合いに乗っているならばそれなりに順調に殺し合いを促進させるだろうし、
 殺し合いに乗っていないのならば殺し合いに乗った者を止める為の対抗勢力と成りうる、
 どちらにしても自分やキングが奴の危険性を伝えているはずなので、最終的には奴が窮地に追い込まれる可能性が高い為、立場的にジョーカーの不利には変わりがない。当然、最終的には封印するつもりだ。

 むしろ組んでいた場合、別のある問題がある。
 金居がインテグラルを殺したのは危険人物であるアーカードを止められる彼女を排除する事で殺し合いを促進させる為だ。
 だが、彼女が自分の死の可能性を想定していたとしたら? 最悪の場合を想定して何かの策を打った可能性がある。それがどのようなものかはわからない。だが、仮にその策が実れば……アーカードが殺し合いを止める切り札と成りうる可能性がある。
 そして、もしその策が実行されるとすれば……その鍵を握っているのはジョーカーだ。ジョーカーが彼女と組んでいる場合アーカードの事を託された恐れがある。
「杞憂であればいいが……」
 ところで、金居の知り合いは自分の事をどう語るだろうか? ジョーカーについては前述の通りとして、天道とキングはどうするだろうか?
 天道については問題はないだろう、少なくても天道は自分の事を知らないはず。故に警戒される可能性は無い。
 キングに関しては……一応協力関係を結んではいたがが信用は全く出来ない。奴は面白ければ自分を陥れる事ぐらい平然と行う。とはいえ、自分もキングを危険人物と説明している為、ある意味お互い様と言える話ではあるが。

 その最中、金居は自分の身体の調子を確かめる。ダメージは回復済みですぐにでも行動出来る状態ではあるが、
「むやみやたらに変身は出来ないか……」
 金居は先程の戦闘の際、何時もより身体の調子が悪いのを感じていた。恐らく何かしらの制限がかけられているのだろう。
 考えてもみればそれも当然、制限が無ければ自分達アンデッドが圧倒的に有利だからだ。
 むしろそれ以上に気になったのは連続して変身(というより元のギラファアンデッドの姿に戻る)が出来ないという事だ。
 実際に先程からここに至るまで何度か変身を試みたもののそれは出来なかった。そして今もまた試したもののやはり変身が出来なかった。
 変身が出来ない状態で襲われれば危険なのは言うまでもない。他の制限はともかくこの制限だけは早めに確認しておきたい。
「同じ条件ならばジョーカーが有利になるからな」
 恐らくこれは自分達アンデッドや仮面ライダー、及びそれに準ずる者に課せられた制限だろう。という事は当然、変身回数が多ければそれだけ有利になるのは言うまでもない。
 ジョーカーこと始は通常での戦闘ではマンティスアンデッドの姿を借りたカリスに変身している。しかし彼には本来の姿であるジョーカーに変身(元に戻るという方が正確)する事が出来る。
 それ以前に始としての姿自体がヒューマンアンデッドの姿を借りたものでしかない。つまり……ジョーカーはアンデッドを封印したラウズカードの数だけ変身回数を有している事になる。
 勿論並のアンデッドではカリスには遠く及ばないが客観的に見てもヒューマンアンデッドよりも強いのは明白だし、上級アンデッドに変身したなら十分に脅威となりえる。
 ここまで言えばそれがどれだけ厄介かは容易に理解出来るだろう。
「……やはり最大の障害はジョーカーか」


 考えをまとめた金居は移動の準備を始める。当面の目的地は当初の予定通りB-8の工場だ、表向きには首輪を持っていって首輪解除の手掛かりを探すという事になっている。
 勿論、既に金居1人になった以上それに従う必要は無いわけだが、なのは達へのアリバイ工作もある為当面は従っておくべきだろう。
 さて、ここで金居は首輪解除の可能性を今一度考えてみる。勿論、それ自体はまず不可能だと既に結論付けている。
 しかし何事にも絶対という物はない。元々の自分達の戦いにしても根本的な異変がある以上何かのイレギュラーが起こる可能性がある。
 そう、万に一つ首輪爆破に失敗する可能性が無いとは言い切れないのだ。首輪の誤作動が起こらないとは言い切れない。勿論、そんなギャンブルなどするつもりはない為、金居がその賭けをするつもりはない。
 しかし、たった1つでも首輪爆破に失敗すればその時点で殺し合いは成立しなくなる。何しろ首輪が外れれば禁止エリアに逃げていればそれで生存は確定だからだ。
 プレシアがその可能性を見逃すだろうか? いや、見逃さないと考えて良い。では、そんな根本的なルール違反が起こればどうするか? 恐らくプレシア自身が直接手を下しに出るだろう。
 それは運良く首輪解除に成功出来た時にも同じ事が言える。つまりその後にはプレシアとの戦いが控えているという事だ。
 が、プレシアの力を踏まえるならばそれが困難な事であり勝率は限りなく低い事は容易にわかる。
 となるとどちらにしても金居の策……プレシアに近付く機会を得て彼女を抹殺する。これが現状で一番可能性のある手段だろう。
 勿論、他の手段を模索しないわけではないが現状はこのままいくつもりである。





 と、金居はデイパックの中身の再確認を済ませる。機会があればUSBメモリの中身も確かめておきたい所だと考えながら……
「……ん?」
 金居はある種の違和感を覚えた。
「待てよ……」





 ここで金居達は別行動を取る事になった時の事を思い出して欲しい。
 なのはとペンウッドは商店街や施設を回りそれから工場に向かい、金居と弁慶は首輪を持って直接工場へ向かうというものだ。
 金居の覚えた違和感にお気が付きだろうか?





 そう、金居と弁慶の2人組の目的を考えるならばあるべきはずのものがここにはないのだ。





「首輪が無いぞ……」





 金居の言う通り、彼の手元には首輪が無かった。弁慶のデイパックにも自分自身のデイパックにもだ。
 同じ事を書くが彼等の予定では『首輪を持って』工場に向かう手はずになっていたはずだ。
 ではその首輪は一体何処から手に入れるつもりだったのか? 学校にあった赤い恐竜の死体からだ。
 何故首輪の回収をし忘れるという事態になってしまったのだろうか?
 金居は首輪を解除する意思は無くなってはいたが集団の目的が首輪解除である以上、首輪の回収自体はやっておいた方が良いはずだ。
 誤解の無い様に言っておくが、金居は首輪の確保をしない様にし向けたりはしていない。首輪の解除の意思がなくなっていたが故に金居本人自身が首輪の確保の事を失念していただけである。
「だが奴等は揃いも揃ってそれを忘れていたというのか!?」
 しかしだ、自分以外の3人は首輪の解除を目指していたはずだ。なのに3人が揃いも揃って赤い恐竜から首輪を確保する事を忘れていたというのか? あまりにもお粗末な話だ。
 とは言え、元凶があるとすればそれはやはり金居だろう。別行動を取る前、金居は積極的に3人と接触し不和の種をばらまいていた。それ故に3人が各々考えすぎてしまい目下の目的である首輪の確保を失念してしまったのだろう。
 勿論首輪の解除の妨害は金居の目的に沿ってはいる。だが、この場で首輪の回収忘れはしてはならない失敗だったと言えよう。
 同行者だった弁慶がいない為失敗が露呈する事はないが、弁慶の死自体が想定外の出来事である為それは問題ではない。この事はどう見ても失敗だろう。
 が、失敗した事を悔やむつもりはない。問題はこれからどうするかだ、
「別に首輪が無くても構わないが……」
 前述の通り金居は現状首輪の解除を狙うつもりは無い為、首輪が必要では無くなっている。しかし、
「いや、やはり首輪はあった方が良いか」
 首輪を持っておいて損はないと金居は結論付けた。
 何しろ首輪の解除方法を模索しているというアリバイ作りの為には首輪はあった方が良いし、首輪解除を目論むグループとの交渉材料として首輪を所持しておいた方がよい。
 また、手元に首輪を抱えておけばその首輪は他の者には利用されない。つまり、暗に首輪解除の妨害を行う事が出来るという事だ。
 そして、今の段階では首輪解除は不可能と見ているが、今後状況がどう変わるかは読み切れない。念のため首輪を所持しておいた方が良いだろう。

 故に金居は再び学校への移動を始める。
 あの場には今現在赤い恐竜の他にギンガとインテグラル、そして弁慶の首輪付き死体があるはずだ。
 つまり運が良ければ4つ分の首輪を確保出来るという事だ。貴重な首輪、今後の為にも出来れば独占しておきたい所である。
 それに現在位置のD-5が学校のあるD-4に近いという事もある。あまりにも離れていればわざわざ戻ったりはしない。
 もっとも幾つかの不安材料はある。あの場にいた禍々しい気配の元凶やジョーカーと遭遇する可能性はあったし、既に首輪が彼等もしくは別の誰かによって確保されている可能性がある。
 だが、学校に戻った頃には1時間以上経過しているはずである。その頃には連中も学校から立ち去っている可能性もある。
 また、首輪が無くなっても別段問題はない。首輪があった方が良いとは思ったが解除を狙っていない以上絶対に必要というわけではないからだ。
「やれやれ、また学校に戻る事になるとはな……」
 そう毒づきながら学校へと足を進めていく。
「……待てよ、学校にパソコンぐらいあるはずだな」
 と、今更ながらに学校にUSBメモリの中身を調べられるパソコンが存在している可能性に思い当たった。
 実際学校にはパソコンがあるが、金居が学校にいた時はその事にずっと気が付かなかったし、知っていたなのはも金居が惑わせた為に話す機会を失い話す事が出来なかったのだ。
「全く、手痛い失敗だな……」
 そう呟きながらも今度学校に戻ったついでにUSBの中身も確かめておこう。後の事はそれから考えればいい、金居はそう思っていた。



 金居の犯したミスはもしかしたらミスとすら言えないささやかなミスかも知れない―――
 もしかしたら今後に関わる致命的なミスかも知れない―――
 今の金居の行動の何処かにも何かしらのミスはあるかも知れないし何のミスも無いかも知れない―――
 もしかしたら彼が起こした行動の中に既に致命的なミスはあったのかも知れない―――
 そして、それによって金居自身が消える要因になる可能性もあるかも知れない―――



 それを確かめる事は―――今は出来ない―――





【1日目 日中】
【現在地 D-5】
【金居@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式×2、トランプ@なの魂、いにしえの秘薬(残り7割)@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、砂糖1kg×8、
    カードデッキの複製(タイガ)@仮面ライダーリリカル龍騎、USBメモリ@オリジナル、S&W M500(5/5)@ゲッターロボ昴、コルト・ガバメント(6/7)@魔法少女リリカルなのは 闇の王女、ランダム支給品0~1
【思考】
 基本:プレシアの殺害。
 1.プレシアとの接触を試みる(その際に交渉して協力を申し出る。そして隙を作る)。御褒美の話については状況次第。
 2.基本的に集団内に潜んで参加者を利用or攪乱する、強力な参加者には集団をぶつけて消耗を図る(状況次第では自らも戦う)。
 3.利用できるものは全て利用する。邪魔をする者には容赦しない。
 4.学校に戻り死体から首輪を確保する。それが終わればUSBメモリの中身の確認を行う。
 5.工場に向かい、首輪を解除する手がかりを探す振りをする。
 6.もしもラウズカード(スペードの10)か、時間停止に対抗出来る何らかの手段を手に入れた場合は容赦なくキングを殺す。
【備考】
※このデスゲームにおいてアンデッドの死亡=カードへの封印だと思っています。
※最終的な目的はアンデッド同士の戦いでの優勝なので、ジョーカーもキングも封印したいと思っています。
※カードデッキ(龍騎)の説明書をだいたい暗記しました。
※殺し合いが適度に難航すればプレシアが介入してくると考えています。また、首輪を運良く解除出来てもその後にはプレシア達との戦いが待っていると考えています。
※参加者が異なる並行世界及び時間実から連れて来られている可能性に気が付きました。
※ジョーカーが殺し合いに乗っていないでインテグラルと組んでいた場合、アーカードを止める鍵になる可能性があると考えています。
※制限に気が付きました。また、変身時間の制限も元に戻った後50分は再変身出来ない所までは把握しました。なお、変身不能から丁度1時間経過した為変身が可能になりましたがまだその事には気付いていません。



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