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銀色クアットロ(後編) ◆7pf62HiyTE




 はやてに傷を負わせ道具を奪う事に成功したクアットロはスマートブレインで大いに喜んで―――





「もう二度とやりたくありませんわ……こんな分の悪すぎる賭けなんて……!!」





 ―――はいなかった。彼女はG-4のアパートの一室にて自分の作戦が上手くいった事に安堵していたのである。今回の事による疲労も決して少なくはない。
 さて、何故クアットロははやてに話した通りスマートブレインに向かわずに南下してアパートに来たのだろうか? クアットロ視点で振り返ってみようか―――





   ★   ★   ★   ★   ★





 クアットロははやての後方を走りながら考えていた。
 このままはやてと同行して利用し続けるべきか、それともこの場で彼女を斬り捨てるべきかを―――
 単独で生き残れる可能性が低い以上、数少ない手駒は有効利用しておきたい所だ。
 その一方で、今のはやてを見る限りこのまま同行し続けて大丈夫なのかという懸念もあった。
 甘さが無い分戦力としては頼れる反面、不用意に敵を作り続けているような感じがしたのだ。
 はやて視点から見れば味方であるはずのヴィータやセフィロスを敵に回してしまっており、キングからは危険人物の証拠を握られているのだ。
 味方同士が潰し合いする分には一向に構わないし望む所ではある―――が、自分に被害が及んでは正直困る、それならば止めて欲しいと考えている。
(どうしましょうかねぇ……)
 と、走りながらはやてを見ていると、ある違和感を覚える。
(あれ? 何か妙ですわね……)
 その違和感の正体にはこの時点では気が付いていなかった。さて、移動しながらはやてとクアットロは情報交換を進める。その際にセフィロスが襲いかかってきてシャマルがはやてを守る為に盾になった事を聞いたが、
(そこがわからないんですよね……どうしてあの男がはやてさんに襲いかかったのかが……)
 自分を危険視するのであればまだわかる。話し合いの後セフィロスが自分に襲いかかってくるのであれば自分的には良くないが理解出来ない事ではない。
 だが、はやての言葉から察するにセフィロスははやてに襲いかかって来たという事である。
(はやてさんは危険人物だからって思っていますけど、そんな筈無いんですけどね……)
 自分から見れば危険人物だが、アンジールによるとセフィロスは機動六課に味方していたらしい。だとしたら少なくても機動六課に刃を向ける可能性は低いはずだ。
 セフィロスが自分には思いっきり刃を向けていたのに対しはやて達には話し合いをしようとしていたことからもそれは明らかだろう。
 更に言えばだ、どうやらセフィロスはもう1人のはやてと出会ったらしい。
(でも、もう1人のはやてさんは既に死んでいる……セフィロスが殺したのかしら……いや、でもそれならこっちのはやてさんもすぐに殺すだろうし……
 それ以前に……どうも聞く限りセフィロスってはやてさんに執着していた様な気がするんですけ……)
 この瞬間、クアットロの脳裏にある考えが浮かぶ。
(……あれ? そういえば……)
 クアットロはセフィロスが何者かに残したメモの存在を思い出した。あれを信じるならばセフィロスはその時点では誰かと同行していた可能性が高い。
 しかし、出会った時にはセフィロスは単独で行動していた。これは何を意味しているのだろうか?
 セフィロスがメモを残した相手はもう1人のはやてでは無かったのだろうか?
(……もしかして、セフィロスとはやてさんって恋人同士だった……馬鹿馬鹿しいですわね)
 自分で言っていて馬鹿な考えだと思ったが、セフィロスがはやてと浅からぬ関係だというのはほぼ確実だろう。
 だがそうなると尚のことセフィロスがはやてに刃を向けた事が不可解だった。

(まぁ考えても仕方がありませんわね……あーあ、折角の手駒だったのに……)
 情報交換をしつつもクアットロはシャマルを失った事について正直悔しい想いをしていた。勿論、只の手駒程度にしか考えていなかったがそれでも貴重である事に変わりはない。
(大体、シャマル先生の有用性って十代君達と違って結構高いんですよ? そう簡単にこんな都合の良い手駒が手に入ると思っているんですか?
 でも正直面倒ですわね、ヴィータちゃんを味方にするとしても……ヴィータちゃん視点で見れば家族は全滅って事になるわけですから殺し合いに乗りかねま……)
 ヴィータは生き残っているはやてを偽物だと思っている。仮にシャマルの死を知ればヴィータの家族は全滅ということになり、家族の安全を気にすることなく彼女達を生き返らせる為に殺し合いに乗りかねない。
 と、ここまで考えてクアットロは先程感じた違和感の正体に気づき、
『追いつかれたら、シャマルの犠牲まで無駄になる!』
 そして、脳裏に移動を始めた時のはやての言葉が響く。
(異常ですわね……)
 シャマルを自分の目の前で殺されたにも関わらず、はやてが怒りながらも冷静に対処している事が明らかにおかしかったのだ。
(幾ら甘さが消えたからって、自分の家族が目の前でやられて冷静でいられるなんて明らかに変ですわよ)
 勿論、自分は姉妹達が目の前でやられても動じたりはしないが、少なくても普通の人間ならば自分の家族がその様な目に遭えば間違いなく動揺し冷静な判断力を失うはずだ。
 クアットロの知るはやてが家族に対しても非情となるのは明らかに不自然だ。
(シャマル先生達を家族と思っていなかったという事でしょうけど……)
 確かに異なる並行世界から連れて来られているならば別人扱いしても不思議ではない。しかし、普通に並行世界から連れて来られているならば大した差異等無く、『なんか不思議な話だね』程度の話で済むだろう。
 大体、外見上は全く同じ人間で殆ど同じ記憶を持っているのだ、別人と思う可能性の方が低いだろう。
(つまりはやてさんはシャマル先生を別人だと認識していたと……でもどうして?)
 ちなみにクアットロもシャマルもはやてが自分達とは違う並行世界から連れて来られた事は聞いていてもそれがどういう世界かは詳しくは知らない。
 はやては彼女達及びセフィロスにゴジラの事やそれを封印する為にシャマル達を犠牲にした事を説明していないのだ。
(自分の立場で考えてみますわね……もしこの地にいる聖王様が自分の世界の彼女じゃなかったら……)
 クアットロは当初、聖王の器ことヴィヴィオの確保を視野に入れていた。しかし、仮に彼女が自分の世界の彼女では無いならば彼女に固執する事に意味はないと考えている。
(仮に私と同じ事考えたとしても……肝心な所が抜けているのよね……何故に家族にすらそういう扱いをするのかが……待って……)
 クアットロの脳裏にルーテシア・アルピーノの姿が浮かんだ。彼女は自分の母メガーヌ・アルピーノを助ける為に自分達に協力しているのだ。
 クアットロ視点から見れば家族を助ける為に必死になるルーテシアの姿など正直滑稽な姿でしかないがその事は大した問題ではない。
 問題は家族を助ける為ならば人は幾らでも必死になれるという事だ。
 そう、はやてが家族を助ける為に必死にならないなど明らかに不自然なのだ。
(大体わかりましたわ……)
 この瞬間、クアットロの中で全ての歯車が噛み合った。
 恐らくはやては元の世界でシャマル達家族を失ったのだろう。
 それ故に彼女は甘さを捨てシビアな思考をする様になったのだろう。
 そんな彼女の目の前に並行世界のシャマル達が現れた。
 しかし、彼女にとってはそれは姿が同じだけの別人にしか見えなかったのだ。
 故に彼女にとってはシャマルすらも只の手駒でしか無かったのである。
(わかってしまえば何て事はありませんでしたわね……それにしてもシャマル先生には本当に同情しますわ……まさか自分の主によって捨て駒にされるなんてねぇ……)
 この仮説を信じるならばあの場で起こった事もある程度予想が付く。理由はどうあれ家族すらも手駒としか考えないはやてなど誰がどうみてもはやてだと思えるわけがない。
 つまり、セフィロスがはやてを偽物だと認識したのは当然の結果だとクアットロは結論付けた。

(さて……問題はこれからですわね……)
 この瞬間、クアットロははやてを斬り捨てる事に決めた。
 甘さがないのは有り難かったが正直家族まで平気で斬り捨てる様な人物など他の仲間と合流しても火種にしかなりはしない。
 それ以前に、家族すら手駒としか思わない人物が敵である自分を信用する事などまず有り得ない。このまま同行し続けた所でシャマル同様利用されるだけされてボロ雑巾の様に捨てられるのが関の山だ。
 勿論、この状況下で生き残る為に管理局の連中と手を組むのは仕方ないと思っていたし、その為ならば利用されるのも仕方がないとは思っていた。だが、だからといって命まで捨てるつもりは全く無い。
 正直な所、はやてが得た死者のボーナスは惜しいが、確実なものではないし同行し続けるリスクを考えれば捨てても問題はない。
(別れるだけならば簡単なんですけどね……)
 単純に別れるだけならばシルバーカーテンを使ってそのまま別方向に逃げれば済む話だ。しかし出来るならばはやての道具は手に入れておきたいと考えていた。
(使える武器はシルバーカーテンと包丁……出来るかしら……仮にはやてちゃんがシルバーカーテンを見破ったら終わり……いや、今ならば……)
 状況的に今は移動に集中しており更にはやては今はセフィロスに対する怒りのあまり自分への注意が甘くなっている。
 このタイミングでの奇襲が成功する可能性は高いと言える。
 だが果たしてそれが上手くいくだろうか?
 何時ものクアットロであれば平然と奇襲を仕掛けていただろう、しかし彼女自身この場に来てから他の参加者との接触に2度失敗している。1度目は神父、2度目はキャロに対してだ。
 だが、2度の失敗の原因は油断と慢心と見極めの甘さだ、全力を持って油断と慢心を捨てればきっと上手くいくはずだ。
 しかしあのはやての事だ、自分がこのタイミングで仕掛けてくる事を読んでいる可能性は十分にあり得る。
 シルバーカーテンを使った所で見破られる可能性は無いとは言えない、身体能力で勝っていても相手は部隊長、侮って良い相手ではない、もしかしたら自分の知らない必殺の切り札を抱えている可能性も十分にある。
 故に失敗した場合はすぐにでも逃げ出すつもりでいた、シルバーカーテンを駆使すれば逃げ切れる可能性は高いだろう。
 真面目な話、接近戦など得意分野ではない。正直な所、負ける可能性のある戦いなどやりたくはない。
(お願い……私の存在に気が付かないで……!)
 前方のはやてはひたすらに走っており後ろを見ていない。

(IS発動……)

 その瞬間、クアットロの姿が消えすぐ隣りに幻のクアットロの姿が現れた。本物の自分を消した上で幻の自分を出したのだ。傍目から見ればISが発動している様には見えない。
 そして、それから暫くの間はこのまま走りつつはやてと話を続けた。下手に会話が止まり疑われたらその時点で失敗に終わるからだ。
 勿論走りながらもクアットロはデイパックから唯一の武器である包丁を取り出しそれを構える。
 その最中、はやてが一瞬だけクアットロの方を向いた。
(気付いた……?)
 しかし特別気にする様子もなくそのまま走り続けクアットロははやてと話を進めていく。そして会話が途絶えた時、
(今ならいけるかしら……?)
 と、飛行能力を使いすぐさまはやての真横まで移動する。後方からではあまりダメージを与えられない事を考え多少のリスクは承知の上で比較的正面から仕掛けるつもりだ。
(……気付いている様子はない……いけますわね……!)
 前方に回り込みながら包丁を構えつつ移動を続け―――はやてが自分の間合いに入ってきた時に―――



 一息に包丁を振り下ろした。



 包丁は見事にはやての胸を切り裂いた。元々血に濡れており切れ味の鈍った包丁ではそう傷は深くはない。だが斬られた張本人は何が起こったのかがまだ理解できていないようだ。
(もう一撃!)
 そしてそのままクアットロは斬りつけた傷口に―――蹴りを入れた。
 その衝撃によってはやてはアスファルト上を転げ回る。そして、激痛と衝撃で理解が追いつかない隙を付き―――彼女のデイパックを奪い去ったのだ。
 そしてシルバーカーテンは解除しない(後方を走っている自分の幻は消した)でそのまま間合いを取り―――


「……これはいただきますわよ」


 このタイミングではやてに声をかけたのである。後は前述の通りの会話を行いそのまま立ち去ったのである。
 では、何故すぐに立ち去らずはやてと悠長に会話をしていたのだろうか?
 勿論、自分にしてやられたはやての顔を眺めて愉悦に浸りたいというのも無いではない。しかしそれが副産物でしかない。
 その目的ははやてを挑発すると同時にかく乱する為である。挑発を行う事ではやての冷静な判断力を失わせかく乱する事で自分の次の目的地を悟られない様にするという事だ。
 はやてを逆上させる方法は種明かしをすれば簡単な話だ。とはいえ推測程度の話を彼女自身が裏付けてくれたためついつい調子に乗って喋りすぎた様な気はするが。
 何にせよ良い具合にはやてが怒ってくれたのは好都合だった。最後にスマートブレインで待つと伝えてあの場から離れたのである。それでも最後は調子に乗りすぎたと今では少し反省している。
 その後はスマートブレインには向かわず南下しアパートでデイパックの中身の確認と簡単な休憩をすることにしたのである。
 スマートブレインに向かわなかったのは逃げる時にセフィロスに自分達の目的地がスマートブレインである事を知られた可能性があったからだ。今の段階で奴と遭遇するわけにはいかない。
 なお、はやてを殺さなかったのは彼女に語った通りセフィロスに対する囮にする為である。彼女が逃げ続ければそれだけ自分の逃げる時間が稼げるからだ。
 逃げ切られた場合は自分の危険性を伝えられるがよくよく考えてみれば自分の立場を考えればそれは元々、大きなデメリットにはなりえない。
 むしろはやてを殺すとなると流石に時間がかかる可能性が高い。その間にセフィロスに追いつかれれば全く意味がない。御褒美のチャンスを逃すのは惜しいが生き残るのであれば間違った選択とは言えないだろう。





   ★   ★   ★   ★   ★





「それにしても……ここも酷い有様ですわねえ」
 アパートの一室の壁には大きな穴が開けられていた。恐らく何か戦いがあったのだろう。
「……まぁそれほど酷くはないみたいですけど」
 と、クアットロははやてから奪ったデイパックの中身を確認する。その中身に関してはほぼ彼女語った通り、クアットロの妹ディードの武器であるツインブレイズが手に入ったので今後は包丁の代わりにそれを使えば良いと考えたぐらいで特別目新しい物は……
「切り札は無いと……取り越し苦労だったかし……あら?」
 と、1枚の封筒を取り出し中身を確かめる。
「え? もしかしてこれ……」
 そこには30以上の英数字の羅列があった。
「こんなこと一言も言っていませんでしたわよね……それにこの数字……もしかして電話番号とか何かのアドレスなのかしら?」
 勿論、ジェイル・スカリエッティの戦闘機人である彼女が実際に使った事は無いが電話やコンピュータ程度の一般常識知識はある。数字が電話番号を、英字が通信機のアドレスという事は少し考え推測出来た。
 しかも、その紙のある列の横に『図書館』と書かれていた事から、この地にある各施設の電話番号等を示した者なのだろう。
「……でも、他の場所がわからないんじゃ意味ありませんわよね? それに折角の情報端末も見つからないと意味無いだろうし……」
 ちなみにアパートの中にもパソコンはあったが攻撃の影響で破損している為利用は不可能である。仮に利用出来ても、クアットロは気付いていなかったが……
「まあ、それに関してはあそこに向かってからでいいですわ」
 クアットロは次の目的地をH-2及びI-1にある船着き場及び客船に定めていた。
 はやてを斬り捨てる時点で困ったのが今後の行動方針である。何しろこの時点でクアットロの味方と言える参加者はチンクとルーテシア、そしてアンジールだけになってしまった。
 しかもルーテシアに関しては優勝の御褒美を狙う可能性が高い為正直味方かどうかも微妙である。
 勿論殺し合いを止めようとしている管理局の連中ならば少なくとも自分を殺す事は無いが、これまで通り手駒に出来るかは正直微妙。接触については慎重にいきたい所だ。
「チンクちゃんとディエチちゃんが上手く私を守ってくれと頼み込んでくれれば良いですけど、そんな都合の良い話なんてありませんわよねぇ」
 それに市街地には数多くの危険人物がひしめいている。現状で市街地を彷徨くのは自殺行為以外の何者でもない。
 ならばいっそ暫くは隅の方にあり人の出入りが少ないであろう船着き場や客船に引き籠もっているのも1つの手段ではないだろうか?
「出来ればシャマル先生の首輪も手に入れたいですけど……」
 その一方で機会があれば翠屋で犠牲になったシャマルの首輪も確保したいと考えていた。とはいえそれに関しては状況次第で良いだろう。
 引き籠もった後はメモを利用し他の施設に連絡を取って情報収集を行うなり、施設を調べて武器を探すなりすればいいだろう。
 そんな中、クアットロはデルタギアのユーザーズガイドに目を通す。はやてからもある程度説明されていたが詳しい事は何も知らないので確認した次第だ。仮面ライダーの力を信じるならば大きな力となりうるのは明白だが―――
「使うのは避けた方が良さそうですわね……」
 その理由はデモンズスレートと呼ばれる危険なシステムの存在だ。システムに適合しなければ闘争本能のままに戦いを繰り返す可能性がある。そんな危険なシステムを使う気にはなれない。
 かといってその辺の一般人に渡して暴走に巻き込まれるのも避けたい所だ。
「普通の人間じゃなければ使えるのかしら……例えば、チンクちゃんとかタイプゼロだったら……」
 チンクもしくはタイプゼロことスバル・ナカジマであればデルタギアを制御出来るのではと考えた。仮に2人と運良く遭遇出来たら渡すのも1つの手だろう。
「私から渡されてタイプゼロが使うとは思えませんけど……」
 せめてデモンズスレートを避ける方法は無いのかとユーザーズガイドを眺めているとある事に気が付く。
「結局の所、デルタギアっていうのはこの3つセットの総称なのよね」
 デルタギアを構成しているのは携帯電話型(音声入力式で一般にあるのとは違うが)ツールのデルタフォン、デジタルビデオカメラ型ツールのデルタムーバー、そしてベルト型ツールのデルタドライバーだ。
 デルタムーバーを取り付けたデルタドライバーを装着しデルタフォンをデルタムーバーに接続する事でデルタに変身する事が出来る。そしてデルタムーバーとデルタフォンを接続したものを銃及びポインターとして使用し戦うわけだが、
「……変身しないでこれを使う事って出来ないかしら?」
 クアットロが気になったのは変身しないでデルタフォンとデルタムーバーを使えるかである。使えるならば携帯電話とデジタルビデオカメラを手に入れた事になり今後にとって有用と言える。
 余談だが、ユーザーズガイドを見るまではデルタフォンが携帯電話という事には気付かなかった為正直驚いていた。
 そして2つを接続したものが銃として使えるならば遠距離攻撃可能な武器を手に入れた事になる。
 更に言えば変身をしていないわけなのでデモンズスレートの影響を受ける事もない。
「……まぁ、これに関しては後で確かめればいいですわね」
 勿論この場で都合良く携帯電話等を利用出来るわけが無いだろうし単独の銃として利用出来るかもわからない。今は移動を優先しその後でゆっくりと確かめれば良いだろう。

 休憩もそこそこにクアットロは再び移動を始めた。セフィロスが方向を変えてやって来たりや他の危険人物と遭遇したりする可能性はあった為、周囲への警戒は怠らず何時でもシルバーカーテンを展開する用意はしておく。
 その中で考えるのはどうやって生き残って脱出するかだ。今後はそれを最優先に考えていった方がよい。
 優勝を狙えるならばそれでも良かったが単独で行うのはまず不可能。やはり今後も他のグループに入って行動した方が良い。
 グループに入ったならばそのグループと一時的に協力して脱出を目指しても良いし、タイミングを見計らって裏切っても構わない。とはいえ前述の通りそうそう都合の良い話があるとは思えない為当面は人との接触は避け単独行動を取るつもりだ。
 その間に脱出の糸口や首輪の解除方法を見付けるという事だ。時間はあまり無い為、当面はそれに集中する。
 ある程度時間が経ち状況が変わった所で動けば良いと考えていた。
 さて、優勝するにせよ脱出するにせよ問題となるのはセフィロスやキャロ等といった殺し合いに乗った参加者だ、交渉が通じない以上排除するしかない。
 そういえばセフィロスの刀とキャロの持っていた鎌はどことなく似ていたのを今更ながら思い出したが、
「……って、どうでもいいですわよね、どっちにしても鬼に金棒とか何とかに刃物という感じで厄介な事に変わりはないわけですし」
 何にせよ、クアットロの戦闘力ではどんなに武装強化しても返り討ちに遭うのがオチだ。互いに潰しあってくれれば良いだろうがそうそう都合の良い話は無いだろうし、最終的には1人は生き残る為それを倒す必要が出てくる。

 が、実の所クアットロには1つだけ秘策があった。
「アンジール様だったらセフィロスにも対抗出来るはず……」
 アンジールはセフィロスの事を宿敵と言っていた。その口ぶりから彼の実力はセフィロス並、クアットロの知る限りセフィロスに対抗出来る唯一の参加者と言えよう。
 そしてセフィロスの実力はクアットロの見立て参加者中最強、故にアンジールがセフィロスを仕留められれば他の参加者など恐れるに足りない。
 都合がよい事にアンジールは自分を妹だと思い込んでいる。彼が自分に牙を剥く可能性は限りなく低い。
「アンジール様と合流したい所ですわね……」
 とはいえアンジールと上手く合流出来るとは思えないし、彼とてすぐに死亡するかも知れない。当面は他の参加者とのパイプが必要になってくるだろう。
 となるとシャマル達と接触した時の様に善良な自分を演じる必要がある。シャマルや遊城十代に対しては上手くいったがはやてには通用しなかった。もっと完璧に演技するべきだったと思っている。
 ちなみにフェイトに関する嘘についてはもう気にする必要は無いだろう。知る人物は既に死亡しているか自分の本性を知ったからだ。
 その一方でキャロに対して本性を見せたのは失敗だったと今では反省している。もっとも、仮に演技した所で同じ結果だっただろうが……


「……今更な話ですけどドゥーエ姉様って結構大変な事してたんですのね……」
 そんな中脳裏に浮かぶのは2番目の姉であり自分への教育も担当したドゥーエの事だ。
 その能力は変身能力で長い間諜報活動を行っているそうだ。
 具体的な事についてはスカリエッティとウーノ以外は把握していない為クアットロもその内容を知らない。とはいえクアットロ自身その事にはあまり興味はなかった。
 だが、今回シャマル達の目の前でやっている事はまさしくドゥーエの行っている事と同じと言える。それがどれだけ大変な事かをクアットロは身をもって知ったのだ。
 勿論、ドゥーエの場合は彼女のISであるライアーズ・マスクで外見は幾らでも誤魔化せる。しかし敵には等しく残酷というその本心まで隠すのは並大抵の事ではない。
 それを何年間もの長い間続けるのはどれだけ大変なのだろうか? そんな事をふと考えてしまい、
「今度戻ってきた時、少し労った方が良いかしらねぇ……」
 らしくないとは思いつつもほんの少しだけ元の世界で今も諜報活動しているであろう姉の事を考えたクアットロであった。



【1日目 日中】
【現在地 G-4】
【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(中)、左腕負傷(簡単な処置済み)、脇腹に裂傷(掠り傷程度)、眼鏡無し、髪を下ろしている、キャロへの恐怖と屈辱
【装備】私立風芽丘学園の制服@魔法少女リリカルなのは、ウォルターの手袋@NANOSING、ツインブレイズ@魔法少女リリカルなのはStrikerS

【道具】支給品一式×4、クアットロの眼鏡、大量の小麦粉、セフィロスのメモ
    血塗れの包丁@L change the world after story、スモーカー大佐のジャケット@小話メドレー、主要施設電話番号&アドレスメモ@オリジナル、
    医務室で手に入れた薬品(消毒薬、鎮痛剤、解熱剤、包帯等)デルタギア一式@魔法少女リリカルなのは マスカレード、
    デルタギアケース@魔法少女リリカルなのは マスカレード、カリムの教会服とパンティー@リリカルニコラス
【思考】
 基本:この場から脱出する。
 1.船着き場及び客船に向かい当面はそこに引き篭もり情報収集を行う
 2.アンジール及びチンクとの合流、特にアンジールはセフィロス対策の為どうしても合流したい。
 3.他の参加者との接触は現状避けるが、味方に出来そうな連中と遭遇した場合は出来るだけ本性を隠し信頼を固めた上で利用し尽くす。
 4.デルタギアの各ツールを携帯電話、デジカメ、銃として利用出来るかを確かめたい、変身ツールとしてチンクかタイプゼロに使わせても大丈夫だろうか?
 5.首輪や聖王の器の確保、シャマルの首輪を確保したいが……(後回しでも良い)
【備考】
※参加者は別々の世界・時間から連れて来られている可能性に至りました。
※アンジールからアンジール及び彼が知り得る全ての情報を入手しました(ただし役に立ちそうもない情報は気に留めていません)。
※アンジールの前では『アンジールの世界のクアットロ』のように振る舞う(本質的に変わりなし)。
※基本的に改心した振りをする(時と場合によれば本性で対応する気ですが極力避けるつもりです)。
※デュエルゾンビの話は信じていますが、可能性の1つ程度にしか考えていません。
※この殺し合いがデス・デュエルと似たもので、殺し合いの中で起こる戦いを通じ、首輪を介して何かを蒐集していると考えています。
※デュエルモンスターズのカードとデュエルディスクがあればモンスターが召喚出来ると考えています。
※地上本部地下、アパートにあるパソコンに気づいていません。
※制限を大体把握しました。制限を発生させている装置は首輪か舞台内の何処かにあると考えています。
※主催者の中にスカリエッティや邪悪な精霊(=ユベル)もいると考えており、他にも誰かいる可能性があると考えています。
※優勝者への御褒美についての話は嘘、もしくは可能性は非常に低いと考えています。
※キャロは味方に引き込めないと思っています。
※シャマル、はやて(StS)と情報交換しました。
※キングのデイパックの中身は全てはやて(StS)のデイパックに移してあり、キングのデイパックははやて(StS)のデイパックに入っています。
※この殺し合いにはタイムリミットが存在し恐らく48時間程度だと考えています(もっと短い可能性も考えている)。





 仮にこの殺し合いが舞台であるならば参加者は役者と言えるだろう―――
 もっとも―――それがどのような役なのかは誰も知り得ない話ではあるが―――
 だが、今も舞台は止まることなく役者達は各々の役を演じ続けている―――



 その終幕は―――遙か遠い―――



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八神はやて(StS) Next:バトルはやて
クアットロ Next:進展!?






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