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ライダー大戦2010(後編) ◆gFOqjEuBs6




――絶望の底で、掴める光がある。

真っ暗闇の絶望の淵に立たされたかがみが掴んだのは、白夜の如き光だった。
かがみは先刻、バクラに辛辣な言葉を告げられた事で、周囲全てに見捨てられたと絶望に沈んだ。
されど、それは違う。とある世界には、絶望の淵に立たされた人間にのみ使いこなせるものがある。
それは、一度は絶望の底に沈んだ二人の兄弟が使っていたもの。
その名は、ホッパーゼクター。
緑と赤の、飛蝗の姿をしたゼクターだ。
ここで少し、時間は遡る。

(もう私は一人なんだ……頼れるものなんか、何にも無いんだ……)

感じるのは、心に突き刺さる孤独。
浅倉に蹴られた事による、腹部への鈍痛。
一人うずくまりながら、仮面ライダー達の戦いを虚ろな眼差しで見ている事しか出来なかった。
もう自分には戦う力も無い。バクラに応える自信も無い。
あのライダーバトルに、入って行ける訳が無い。

(どうせ、私なんか……)

瞳に溜まった涙が、ぽろりと落ちた。
アスファルトを、涙の水滴が濡らす。一度涙腺が崩壊すれば、後はなし崩しだ。
涙が次から次へと溢れ出て、アスファルトはみるみる黒さを増していった。
そんな時だった。不意に、音が聞こえた。
キュインキュインと、何かの鳴き声のような小さな声だ。
虚ろな瞳のまま振り返ると、そこに居たのは緑と赤の飛蝗。
身体の半分が緑で、身体の半分が赤と言う奇妙な外見をした、リバーシブルの飛蝗だった。
だが、それを見てもかがみの感情は動かない。
ただぼーっと、飛蝗を見詰めているだけしか出来なかった。
そうしていると、やがて飛蝗はぴょんぴょんと跳びはねるようになった。
どうやらかがみに何かを伝えようとしているようだが――

『――……サマ! オイ、宿主サマ!』
「バクラ……」

バクラが、必死に何かを叫んでいた。
完全に自分の世界に落ちていたかがみには、バクラの声も届いては居なかったのだ。
だけど、今更バクラに自分を見捨てないでくれなどと、都合が良すぎる。
どんな顔でバクラに応えればいいのか、解らないで居た。

『やっと気付きやがったか……腹を良く見てみな宿主サマ』
「え……?」

不意に、自分の腹部を見やった。
赤いセーターの上から、自分の腹部には銀色のベルトが巻かれていた。
それは先程まで自分が巻いていたVバックルとも、何度か変身したデルタドライバーとも違ったもの。
バックルの中央に、「ZECT」と描かれただけのシンプルなデザインだった。
周囲を跳びはねていた飛蝗が、唐突にバックルの上部を飛び跳ねて行った。
そうする事で、スイッチが押されたのだろう。
ぱかっと、バックルが開いた。

「これは……」
『そんな感じのベルトを今まで何度か見た事がある筈だぜ』

バクラの言葉に、思考を巡らせる。
一度目に使ったのは、音声認識のデルタフォンを腰に装着する事で変身が可能となるデルタドライバー。
二度目以降に使っていたのは、バックルの穴にデッキを装填する事で使えるようになるVバックル。
それらに共通するのは、ベルトに何らかの外部ツールを装填する事で使用可能となる事。
となれば、このバックルも何かを装填する事で、その機能を使う事が出来るのだろう。
ならば何を装填すればいいのか。どんなツールが当て嵌まるのか。
今現在思い当たるものは只一つ。

「この飛蝗……?」

飛蝗は、嬉しそうにキュインキュインと鳴いた。
それから、ぴょんと跳びはねかがみの右手に収まる。
この飛蝗自信も、自分をベルトに装填しろと言っているように感じた。
視線を腹部に落とす。バックルを見るも、バックルには装填用のスリットが二つ存在しているようだった。
片方は、右側から装填するスリット。片方は、左側から装填するスリット。
リバーシブルになっているのは、装填方向を変える事で違うライダーになれるという事だろうか。
かがみは試しに、赤い方を表に飛蝗を装填してみる事にした。

――HENSHIN――

鳴り響いた電子音声が示す言葉は、「変身」。
何と解りやすい電子音だろう、と。そんな印象を抱いた。
ベルトから、無数の六角形が形成されていき、気付けばかがみの身体は茶色の装甲に覆われていた。

――CHANGE PUNCH HOPPER――

最後に、頭部の二つの複眼と、Oシグナルが発光。
ベルトが、その仮面ライダーの名前を告げた。
全身色が抜け落ちたような茶色の装甲。頭部はそのまんまショウリョウバッタを模したような形状。
右腕に装備されているのは、飛蝗の脚の形をした黄金に輝くアンカージャッキ。
全身がメタリックに輝くこの飛蝗のライダーの名前は――

「パンチ……ホッパー……?」
『パンチホッパーか……そのまんまなネーミングだな』

仮面ライダーパンチホッパ―。
それがかがみが変身した、新たなライダーの名前。
仮面ライダー王蛇に変わる、新たな力の名前だ。

「でも、このライダー何の武器も無いわよ!?」
『そんな筈はねぇ……何かある筈だ、よく探しな』

自分の両手を見て、かがみが嘆いた。
探せと言われても、王蛇やデルタと違って何も持っていないのだから、探し様が無い。
妙に重い右腕のアンカージャッキを見ても、何も作動しない。
仕方なくベルトの周辺を探すことにした。

『腰を見てみな宿主サマ』
「腰……? これは……スイッチ?」

バクラの声に従い腰を見やる。
ベルトの左右には、何らかのスイッチらしきものが存在した。
その内スイッチを押す事が出来るのは右側のみ。
かがみは恐る恐る、右側のスラップスイッチを叩いた。

――CLOCK UP――

瞬間。周囲の全てが、かがみのいる時空から切り離された。
目の前で戦う仮面ライダーと、緑の化け物の動きが止まって見える。
大気も、振動も、全てが超スローモーション状態に陥った。

「なに、これ……?」
『こいつぁすげぇ。つまり今宿主サマは高速移動中って事か』
「高速……移動?」
『あぁ、見ての通りさ。目の前の奴らの動きも停まって見えるだろ』

なるほど。理解した。
かがみは今、この仮面ライダーの力で超高速移動状態にあるのだ。
クロックアップは、ZECTが開発したライダーシステムに標準装備された兵装。
これを使用すれば、限りなく光の速さに近い速度で動くワームにも対抗出来る。
本来はクロックアップ中の戦闘を想定して開発されたシステムだが、そんな事をかがみが知る筈が無い。
故に、高速移動が可能となった今、かがみが取るべき行動は一つ。

「今の内に、逃げるわよ」
『ま、それが賢い判断だろうな』

バクラも肯定してくれた。
元々がただの女子高生であるかがみと、本質的に戦闘狂である目の前の男達とでは力の差は歴然。
ましてや、目の前で蹂躙されているのは、つい先刻までの自分・仮面ライダー王蛇。
それも、自分なんかよりも遥かに強い男が戦って、あれだけ蹂躙されているのだ。
能力も把握していない自分に対抗できる等と思える訳が無かった。




――CLOCK OVER――

クロックアップの加速時間が終わりを告げる。
ホッパーを取り巻く周囲の情景全てが、元通りの時間の流れを取り戻した。
かがみの体感時間では少ししか時間が経過していないように感じる。
されど、実際には通常あり得ない距離を短期間で進んでいるのだ。
クロックアップ中、かがみが感じたのはほんの20秒程だ。
されど、現在かがみがいるエリアは、F-8。ガソリンスタンドを越えたあたりだ。
レストランからの距離は、軽く1.5km以上はあるだろう。それを体感時間20秒で移動したのだから、大したものだ。
そしてもう一つ重要なのは、実際の経過時間はほんの一瞬だという事。
かがみは20秒に感じた時間も、王蛇達が戦っていた“まともな時間”で数えれば、ほんの数秒なのだ。
これこそがクロックアップの真髄。高速移動の凄まじさ。

「でも……これ、結構、疲れる、わね……」

ぜえぜえと、肩で息をしながら呟いた。
同時に、バックルに装着されたホッパーゼクターが自動的にバックルから離れた。
それに連動するように、変身は解除される。パンチホッパーの装甲は、小さな粒子に分解され消えて行った。

『でもやったじゃねぇか。これで何とか新たな武器は手に入れたんだ。まだ戦えるぜ』
「そうね……カードデッキからも解放されたし、結果オーライかもね」

疲れた表情で、ふふっと笑った。
これでかがみは、カードデッキの苦しみからようやく解放されたのだ。
ホッパーのライダーシステムにも何らかのデメリットがあるのかも知れないが、カードデッキ程では無いだろう。
あれ程までに使用者を精神的に追い詰める支給品は他には無い。あるのかも知れないが無いと思いたい。
どちらにせよ、このライダーシステムについても調べなければならない。
休憩も兼ねて、もう一度ホテルに戻って休むのも有りかも知れない。
この位置からならば、ホテルもそう遠くない筈だ。

「それにしても、何でこのベルトは私に巻かれてたのかしら」

疑問を浮かべるが、バクラは答えない。
流石のバクラにもこればかりは解らずに居た。
初めて見たベルトなのだ。情報が少なすぎる。
実際の所、このベルトがかがみの腰に勝手に巻かれていた理由は至って簡単なものだ。
ZECT製のライダーシステムには、総じてジョウント移動という機能が搭載されている。
ゼクターが何処からともなく現れるのは、ジョウント移動で時空を寸断して現れるからだ。
同じように、ベルトや各ゼクター対応機も、ジョウントによって何処からともなく現れる事が出来る。
天道総司や加賀美新。矢車想や影山瞬が、いつの間にかベルトを装着していた真相はこれにある。
今回、同じ戦場に変身資格を満たすかがみが居た為に、ライダーベルトはかがみの元へとジョウント移動した。
それも全ては、かがみを主人と見極めたホッパーゼクターの判断によるものだ。
それをかがみが知る日が来るのかどうかは解らないが。
ベルトの真相についてはそれでいい。
今最も問題となっている事が、別にある。
それはバクラの懸念。

『(今回は何とか助かったが……こんな偶然が何度も続くと思うなよ)』

かがみの背後で、バクラが思考する。
今回だって、本来ならば死んでいてもおかしくない状況だったのだ。
奇跡的にこのベルトが手に入ったお陰で戦線から離脱する事が出来たが、もしそうでなければ。
もしもあの緑の怪人か仮面ライダーに、最初からかがみを殺す心構えが出来ていたら。
間違い無くかがみは死んでいた。そもそも、屋上から落下した時点で本来ならば死んでいた。
先程はつい苛立ちが頂点に達し、かがみに辛辣な言葉を吐いてしまったが、正直な話このまま見捨ててしまおうかとも考えた。
幸か不幸か、周囲にバクラが寄生できる人間が居なかった為にそれは諦めたのだが。
また、モンスターが居なくなった為に急ぐ必要が無くなったという利点もある。
だが、バクラも考えなければならない。
この会場には、もうそれ程多くの参加者は残っては居ない。
全体数の半分の切った今、バクラが上手く使える参加者の数等たかが知れているのだ。
決断しなければならない。このままかがみと共に行くか、かがみを見捨てるかを。

かくして、かがみは再び振り出しへと戻った。
デルタによる後遺症も消え、カードデッキによる縛りもなくなり、バクラも暫くは憑依出来ない。
故に、かがみを強制的に縛るものは何も無くなった事になる。
今後のかがみがどういった行動に出たとしても、それはかがみ自身の意思だ。
どんな窮地に立たされて応戦したとしても、応戦したのはかがみ自身だからだ。
共に行くのは、一人の魂と一匹の飛蝗。
たった二人の仲間と共に、かがみが向かうはホテルアグスタ。
そこに待ち受けているものは果たして――

【1日目 午後】
【現在地 F-8】
【柊かがみ@なの☆すた】
【状態】疲労(大)、肋骨数本骨折、万丈目と浅倉に対する強い憎悪、バリアジャケット、
    1時間10分憑依不可(バクラ)、一時間変身不可(パンチホッパー)
【装備】ゼクトバックル(ホッパー)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、ホテルの従業員の制服、
    千年リング@キャロが千年リングを見つけたそうです、ストラーダ(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式、Ex-st(残弾なし)@なのは×終わクロ、柊かがみの制服(ボロボロ)
    スーパーの制服、ナンバーズスーツ(クアットロ)
【思考】
 基本:死にたくない。なにがなんでも生き残りたい。
 0.バクラ以外は誰も信じない(こなたやつかさも)、バクラがいれば他に何もいらない。
 1.一旦ホテルに戻って態勢を立て直す。
 2.その後で映画館に向かう。
 3.ライダーシステムの事を調べる。
【備考】
※一部の参加者やそれに関する知識が消されています。ただし何かのきっかけで思い出すかもしれません。
※「自分は間違っていない」という強い自己暗示のよって怪我の痛みや身体の疲労をある程度感じていません。
※周りのせいで自分が辛い目に遭っていると思っています。
※Lは自分の命が第一で相手を縛りあげて監禁する危険な人物だと認識しています。
※万丈目の知り合いについて聞いたが、どれぐらい頭に入っているかは不明です。
※変身時間の制限にある程度気付きました(1時間~1時間30分程時間を空ける必要がある事まで把握)。
※エリアの端と端が繋がっている事に気が付きました。
※こなたとつかさの事は信用しないつもりですが、この手で殺す自信はありません(でもいざという時は……)。
※バリアジャケットのデザインは、【●坂凛@某有名アダルトゲーム】の服装です。
※ホッパーゼクターの資格条件「絶望」を満たし、ホッパーゼクターに有資格者として認められました。
※ZECT製のライダーシステムは、同じエリア内の半径50m以内に有資格者が居た場合、その資格者の元へジョウント移動します。
※千年リングを装備した事でバクラの人格が目覚めました。以下【バクラ@キャロが千年リングを見つけたそうです】の簡易状態表。
【思考】
 基本:このデスゲームを思いっきり楽しんだ上で相棒の世界へ帰還する。
 1.当面はかがみをサポート及び誘導して優勝に導くつもりだが……
 2.場合によっては新しい宿主を捜す事も視野に入れる。そろそろ見極め時か。
 3.万丈目に対して……?(恨んではいない)
 4.こなたに興味。
 5.可能ならばキャロを探したいが、自分の世界のキャロと同一人物かどうかは若干の疑問。仮にかがみが自分の世界のキャロと出会った時殺しそうになったら時間を稼いで憑依してどうにかする。
 6.メビウス(ヒビノ・ミライ)は万丈目と同じくこのデスゲームにおいては邪魔な存在。
 7.パラサイトマインドは使用できるのか? もしも出来るのならば……。
【備考】
※千年リングの制限について大まかに気付きましたが、再憑依に必要な正確な時間は分かっていません(少なくとも2時間以上必要である事は把握)。
※キャロが自分の知るキャロと別人である可能性に気が付きました(もしも自分の知らないキャロなら殺す事に躊躇いはありません)。
※かがみのいる世界が参加者に関係するものが大量に存在する世界だと考えています。
※かがみの悪い事を全て周りのせいにする考え方を気に入っていません(別に訂正する気はないようです)。

【全体の備考】
※トカレフTT-33(8/8)@魔法少女リリカルなのはFINAL WARSはF-6に放置されています。
※マシンガンブレード(残弾0)@仮面ライダーカブトはF-6に放置されています。
※ブローニングM2重機関銃@幻想殺しは全弾撃ち尽くしました。
※ZECT製のライダーシステムは、同じ50m以内に有資格者が居た場合はその資格者の元へジョウント移動します。



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