※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

お昼ご飯の時間だよ ◆wsuikZ7zFc




スッ ズッズッ トン スッ ズッズッ トン

次々とプチトマトをスライスしていく音。

シャキシャキ トントン シャキシャキ トントン

軽快にキャベツやレタスを刻む音。

グツグツ グツグツ グツグツ グツグツ

じっくりとじゃがいもを茹でる音。

スッ スッ スッ スッ

きれいにパンの耳を切り分けていく音。

「うん、もうそろそろいいかな」

そして柊つかさの声が無味乾燥だった厨房に彩りを添えた。

 ◆

H-5に聳え立つデパート。
その入口に一人の男が到着した。
その名はアンジール・ヒューレー。
だがその到着は当初の予定より若干遅いものだった。
最初アンジールはそれこそ自らの身命を賭してデパートにいる参加者を葬るために移動していた。
全ては唯一生き残っている妹であるクアットロの脅威になり得る参加者を排除するため。

だが移動している間に熱くなった頭が冷えるにしたがって、その考えが最善ではないという事に気付かされた。
デパートにいる参加者を殺したところでクアットロに対する脅威が全て取り除かれたわけではない。
第一まだ最も危険なセフィロスがこの会場のどこかにいるのだ。
自らの身命を賭して――つまり相討ち覚悟ではアンジールの望みは叶わない。
もし万が一ここで自分が死ねばこれからクアットロを守る事などできない。
その考えに至った瞬間、アンジールは悩みつつも駆けるのを止めて歩む事にした。
未だに先の疲労や負傷は治りきっていない。
果たしてそのような状態で無事でいられるだろうか。
確かにクアットロに対する脅威を一刻も早く取り除く事は重要だ。
だが今ここで自分が倒れては本末転倒だ。
内心忸怩たる思いを抱えながらアンジールは体力の消費を抑えるためデパートには歩いていく事を選択したのだった。

そして当初の予定より遅れながらもアンジールはデパートに辿り着いた。
途中で他の参加者がいないか探りつつ向かったので尚更だった。
そこで何かしら発見があれば良かったのだが、あいにく目ぼしい発見は皆無だった。
敢えて挙げるならデイパックに入れたはずのガジェットが無くなっていた事と瓦礫と化していたG-5エリアを目にした事ぐらいだ。
別に疑問は抱かなかった。
ガジェットは気絶していた時にデイパックから飛び出てしまったのだろう。
G-5エリアの惨状もイフリートレベルの召喚獣を使えば出来ない事はない。
そしてセフィロスも本気で戦えば同じ結果になってもおかしくない。

(ともかく、まずはここに潜んでいる参加者を探し出すか)

まずは目に付いた隠れやすそうなサービスカウンター。
だが予想は外れてそこには誰もいなかった。
ただ備え付けのパソコンの画面上に興味を引くものが映し出されていた。

(これはメールか? だがこの内容は――)
『6時間ぶりね。みんな、ちゃんと聞いているかしら』

2回目の放送が始まったのはまさにそんな時だった。

 ◆

パンの耳を切って揃えた食パン。
切り揃えられたプチトマトやキャベツやレタス。
茹で上がったじゃがいも。
そして脇に控えるのは塩や胡椒やバターやマヨネーズといった調味料。
ただの木製の机も上に乗せられたいろいろな具材のおかげで随分と華やかになった。
これで準備は終了。

まずは切り揃えたパンにマヨネーズを薄く塗って。
スライスしたプチトマトやレタスやキャベツを乗せて。
その上にマヨネーズを薄く塗ったパンをもう1枚重ねて。
それからじゃがいもには塩と胡椒を振りかけてバターを添えて。

さあ、お昼ごはんの時間だよ。

 ◆

(無事でいてくれ、チンク!!)

結局アンジールはろくに調べないままデパートから飛び出した。
それは第二回放送でチンクの名前が呼ばれなかった事が全てを物語っている。
アンジールはイフリートの攻撃でチンクが死亡したと思っていたが、実際はそうではなかった。
炎に身を焼かれながらもチンクは生きていた。
その事が分かった瞬間、アンジールは走っていた。
確かにチンクがまだ生きている事は分かった。
だが五体満足とは思えない。
現に炭化した右腕は本物だった。
つまり今のチンクは右手、最悪さらにどこか負傷した状態でいる事になる。
そのような状態で危険人物に出会えばどうなるか――答えは簡単だ。

「チンク、今度こそ、守ってみせる――ッ!!」

だがアンジールは知らない。
その必死の行動が報われないという事を。


【1日目 日中】
【現在地 G-5】
【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
【状態】疲労小、セフィロスへの殺意、深い悲しみと罪悪感、焦り
【装備】バスターソード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、アイボリー(6/10)@Devil never strikers、チンクの眼帯
【道具】支給品一式×2、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
 基本:チンクとクアットロを守る。
 1.イフリートに襲われた場所に戻ってチンクを探し出して今度こそ守る。
 2.チンクとクアットロ以外の全てを殺す。特にセフィロスは最優先。
 3.ヴァッシュ、イフリートを召喚した奴には必ず借りを返す。
 4.いざという時は協力するしかないのか……?
【備考】
※ナンバーズが違う世界から来ているとは思っていません。もし態度に不審な点があればプレシアによる記憶操作だと思っています。
※ヴァッシュ達に騙されたと思っています。
※レイジングハートは参加者の言動に違和感を覚えています。
※グラーフアイゼンははやて(A's)の姿に違和感を覚えています。
※『月村すずかの友人』のメールを確認しました。一応内容は読んだ程度です。

 ◆

「ん~、あんまり凝れなかったけど美味しい~」

H-5に広がる市街地の南端に位置する民家。
その一室で柊つかさは一時の至福の時を過ごしていた。
なぜデパートにいたはずのつかさがここにいるのか。
全ては放送前後に起きた出来事のため。

不慮の事故で十代を殺して今度の方針を定めたつかさが次に取った行動はデパートから出る準備だった。
一応既にデパートの中は調べていたのでいくつか外に出る時に役立ちそうな物をデイパックに入れるだけで良かった。
だがそこで問題が発生した。
デパートに近づく怪しい男――アンジールの発見だった。
遠目で一目見てアンジールの異常な雰囲気を感じ取ったつかさはとりあえず隠れてその場を乗り切ろうと考えていた。
だが予想外な事にアンジールは放送を聞いた途端顔色を変えて慌ててデパートから立ち去って行った。
正直助かった。
その後つかさも急いでデパートから離れた。
いつアンジールの気が変わって戻ってくるか分からなかったからだ。
しかも結局フェイトは戻って来なかった。
デパートから離れる事にあまり未練はなかった。
結局メールは返信しないままだったが、結果的に余計な情報を危険な人物に与えなかったとも言えるから良しとしよう。
そしてつかさが次に選んだ目的地はI-5にある聖王のゆりかご。
選んだ基準は人が来ないかどうか。
まず端のような人があまり寄り付かない場所に殺し合いに乗った人が来る事はない。
殺し合いを望むなら人が多そうな中央に向かうはず。
つまり端のような場所に来る人は殺し合いに乗っていない可能性が高い。
だからつかさは近くで端にあって隠れられそうな場所として聖王のゆりかごを選んだのだ。
そしてその途上で腹の虫が鳴り今に至る。

デパートから逃げるように走ってきたため腹が減ったのだ。
そこで近くに誰もいない事を確認してから近くの民家で昼食を取る事にした。
メニューは簡単に作れるサンドイッチとじゃがバター、あとは余った具材でサラダ。
元々料理が趣味で調理師志望のつかさにとっては楽な作業だった。
本来なら具を挟んだ後に重しを乗せてパンと具を馴染ませるのがベストだが、今回は時間が惜しいので割愛。
それでも今のつかさにとってはこの上もない美味だった。
一口頬張るだけで口の中にパンと具材がマヨネーズという仲立ちで見事に一体化した味を広げていく。
まだ新鮮さが損なわれる前だったので野菜も瑞々しいままだ。
じゃがバターも単純に茹でたじゃがいもに塩と胡椒とバターで味を付けただけだが口一杯に独特の甘みで満たされる。
空腹だから余計に腹に入ってしまう。
そして最後のサンドイッチを口に入れる段になって昼食は終了した。

「ああ~、美味しかった……じゃあ、あ、ふあぁ……お腹一杯になったから眠くなっちゃった……」

たびかさなる緊張状態からの解放。
そして満腹状態。
これらがつかさの眠りを誘発する事は当然であった。
もちろん今のつかさにこの三大欲求の一つに抗えるはずもなく――。

スヤスヤ スヤスヤ スヤスヤ スヤスヤ

――あっというまに眠りの世界へと旅立ってしまった。


【1日目 日中】
【現在地 H-5 南端にある民家内】
【柊つかさ@なの☆すた】
【状態】健康、なんだかすっきり、満腹、睡眠中
【装備】パピヨンマスク@なのは×錬金、シーナのバリアジャケット@SHINING WIND CROSS LYRICAL
【道具】支給品一式×2、電話帳@オリジナル、バヨネット@NANOSING、んまい棒×4@なの魂、ヴァイスのバイク@魔法少女リリカルなのはStrikerS、リビングデッドの呼び声@リリカル遊戯王GX、木製バット、エアガン、パン×2、キャベツ半玉、十代のメモ、デパートで回収したもの
【思考】
 基本:プレシアに頼んで『みんな元通りにしてもらう』。
 0.生き残りが自分の周りにいる者だけになった時、リビングデッドの呼び声で青眼の白龍を復活させて優勝する。
 1.聖王のゆりかごで隠れつつ誰か自分を守ってくれそうな人を探す(ただし無理はしない方向で)。
 2.デパートであった出来事は信用できそうな人になら話してもいい。
 3.家族や友達に会いたい。
【備考】
※メールの差出人『月村すずかの友人』と内容を信用しています。キングを警戒する事にしました。
※放送で呼ばれたフェイトはフェイト(A's)だと思っています。
※十代のメモの主な内容は『月村すずかの友人』からのメールに関する考察です。詳しい内容はTeardrop本文参照。
※デパートで回収したものの詳細は後続の書き手にお任します。



Back:キングの狂宴/狙われた天道(後編) 時系列順で読む Next:白き覚醒
Back:楽斗 ――そして終わりなき斗いの歌 投下順で読む Next:Tの悲劇/書き換えられた記憶
Back:Teardrop 柊つかさ Next:Tの悲劇/書き換えられた記憶
Back:過去 から の 刺客(後編) アンジール・ヒューレー Next:ひとつ分の陽だまりに ふたつはちょっと入れない






| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー