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13人の超新星(2) ◆WslPJpzlnU




 前後2つの車輪は止まっている。しかし、ど、ど、という唸りが止まることはない。
 後輪を支える左右一対のフレーム、それに添うようにして設置された角張ったマフラーは振動し、大口の噴射口からとは言わず、その過程で幾つも穿たれた小穴からも排気ガスを吹かしている。マフラーの延長線上には搭乗者の足を置くステップが、後輪フレームから迫り出している。
 後輪のカバーはなく、荷物を仕舞い込むためのバケットがその代わりを果たしている。バケットとハンドルグリップの間には小さな背もたれがあり、搭乗者のためのスペースが設けられていた。
 こうした後ろ半分が無骨で鈍色のフレームを剥き出しているのに対し、前半分は赤い装甲で覆われていた。流線型でくびれた形状だ。さながらイルカを思わせる流麗な造形だったが、しかしヘッドライトを左右に分ける丁の字の突起がある限り、見る者が最初に連想するのはカブト虫で固定されるだろう。
 丁の字、とは表するものの、支柱から左右に伸びる横一線はV字に折れ曲がっている。その合間からは操縦席を守る黒い遮光硝子が設けられ、その直下にはフレームにサスペンションを食い込ませた前輪がある。
 他に類を見ない特徴的な機体だった。
 カブト虫を模したデザインのそれが、こうしてコーカサスカブトのアンデットの物になったのは、自分はキングだというのに、全くをもって成り行きと偶然の結果なのだから非常に驚くべきことだった。
 前後で2色で分かれるこの機体の中央に跨がるキングは、中間にあることが全く相応しく思えるような、3色目の色で全身を覆い隠していた。
 黒色、否、正確には“黒装束”という印象を受けるよう統一された、幾つかの色だった。
 実際のところ黒いのは手袋マントの外側、そして青い単眼を描くフルフェイス式の仮面だけだ。内側は血に塗れたような深紅、そこには紫色の下地に金色の線を引いた燕尾服が包み込まれている。ズボンの柄はそれにあつらえてあったが、裾と靴が一体化しているという奇抜なデザインだ。
 貴族を嘲ったような怪人の衣装、それがとある者達には英雄と尊ばれているのだとキングは知っている。
 ゼロ、そう呼ばれているのだと。
 尤もそんな事はどうでも良い。ゼロという存在が広く知られていないこの状況において、こうした格好は先制を奪うための驚かし、さもなければ正体の露見を隠すための張り子に過ぎないのだから。
 ただ張り子としてはそれなりに優秀だ。全身を包むタイプの衣服に柔軟なマント、極めつけの人面ですらない仮面は変声機能を搭載しているので、装束を剥がされるか、あるいはこちらから悟られるような事をしなれば、基本的に正体が露見することはないだろう。
 キングとしては、こうして強烈な夕陽に目をくらませずに済むのだから、それだけで十分だった。キングが跨がるカブトエクステンダーの更に下には、ぎらぎらと夕陽の恩恵をはねつける水面があるのだから、この働きは大きい。
 ちらつく流水にいちいち目を痛めていたら、折角の情景も台無しにされてしまおうというものだ。
「誰だか知らないけど、やるなぁ」
 フルフェイスの仮面ゆえに声がくぐもり、外以上に自分の耳が声を良く聞いた。
 とはいっても仮面の外にキングの声を聞くような相手はいない。
 右を見ても左を見ても、あるのは等間隔に隙間を作る欄干だけ、その向こうにあるのは眼下を流れていく川面だけだ。夕陽を受けて赤味が増し、流れと風に波とも呼べぬような細波ばかりがたち、小さな乱反射を頻発させて辺りを照らしている。鋪装された濠の縁には、波を再現する光の波紋が浮かんでいた。
 左右の斜線を仕切る白線にバイクを止めるという交通法を無視した暴挙も、当りに咎める人が居ないのだから気にしない。仮にいても、キングは気にしなかったが。
 浅い弧を描いた板状の道でキングは駐車している。見るべきものがそこにあるからだ。
 否、ない。無かった。
 見るべきものがあるのは橋ではなかったし、見るべきものは無いなのだ。
 橋から見えてしかるべきものが見えない、その情景をキングは見ているのだ。
(言葉遊び、言葉遊び~)
 ふふん、と仮面の内側で鼻を鳴らし、仮面越しの双眸にキングは夕陽を眺めている。キングの顔を包み込む仮面、ゼロマスクとまるで対比を描くような形で、真っ赤な単眼が茜色の空に灯っている。
 まるで地上の焦土を嘲るように。
(思わぬ収穫だよねぇ)
 橋の下を流れる川水の行く先、巨大な長方形が乱立する地域に、しかしそれはない。枝葉を失った竹林か、さもなければ巨大な霜柱のようですらあった界隈は、いまや瓦礫を積み重ねる砂漠の様相だ。
 キングの目は、その崩れ往く様を見ていた。
 我ながら迂闊なことに驚いてしまって、あやうく走行中のカブトエクステンダーを転倒させるところだった。
 これまで出会った中でも生え抜きの参加者、浅倉威を求めて二輪を走らせたのは随分前の事だ。番う車輪が駆けるのに裏打ちされた排気音を市街地に響かせ、当時はまだ残っていたビル密集地へとキングは向かっていた。
 そしてようやく橋を渡ろうかというところで轟音が響き、何かと横目にすれば、ビルが紅茶に沈んだ角砂糖のように崩れ落ちたのだ。
 幾度も断続的に倒壊するビルの群が面白くて、キングはカブトエクステンダーを橋の上で駐車した。そして携帯電話に搭載される撮影機能で、肉眼で、その情景を矯めつ眇めつ観察し、今に至る。
(浅倉の奴、何かベルトでも取り戻したのかなぁ)
 キングがこれまであった参加者というのもそう多くはないが、その知り得る中であっても、浅倉威はああした大破壊を生み出す人間であるように思えた。
 だとすれば都合が良い。
(浅倉威に戦闘力を足してやる手間が省けるもんね)
 キングは天道総司という、浅倉威とは相反するような人間を知っている。
 仮面ライダーだったというあの青年と浅倉威はすでに面識があるらしいが、そんな事実も、ただ単に都合が良いだけの符合だ。浅倉威もまた仮面ライダーらしかったし、かつてのライダーが潰し合う様を見られるのは愉悦だった。
(でも、それだけじゃねぇ)
 かつて、では駄目だった。今、仮面ライダーでなければ派手さに欠ける。それに1対1で参加者が潰し合う程度では、あの女の意表をつくことは出来ない。
 プレシア・テスタロッサ、自分達を殺し合わせるあの女の計画を引っ掻き回してやるためには、もっと趣向を凝らさなければならないだろう。
 どーしたもんかねぇ、とキングはカブトエクステンダーの計器類を机代わりに、頬杖をついた。といっても掌は頬の代わりに仮面をつき、これじゃ頬杖って言わねぇよ、と笑った。
「ま、あの市街地を破壊したのが浅倉と決まった訳じゃないしね」
 自分も今出しうるアンデットとしての力を全壊し、それに拮抗しうる誰かと戦ったならば、ああした戦禍は起こせるだろう。それを根拠に、強い戦闘力を持った奴はまだ何人かいるんだろうさ、とキングは類推する。それに浅倉が力を得ていたとしたなら、それと戦う誰かがいた筈だ。
(浅倉を見つける前に、そういう奴等を何人か見つけられたら良いなぁ)
 キングはそう思う。
 そいつら全員を戦わせれば、少なくとも自分が愉悦を得る程度のお遊びを見れるだろうから。
「……そんな感じでやってみようかな」
 とりあえずに思いついた計略を当座の目的として定め、キングは猫を模していた背筋を正した。仮面を支えていた腕を解き、片割とともにカブトエクステンダーのグリップを握る。
 グリップは黒いゴムで滑り止めがなされ、計器類を埋め込んだ基部から左右へ伸びている。当然のことに右手は右の、左手は左のグリップを握り込み、しかし右手が握るグリップは可動式だった。ゴムの付着が緩いのではない。グリップを捻り込むことによって、カブトエクステンダーは指令を理解するのだ。
 キングはアクセルを意味する捻りを小刻みに行う。それはエンジンや機体を少し暖めたいから、という理由がある訳でもなく、ただ単にそうした方が格好良く見えるからだ。
 グリップの捻りに呼応してマフラーが排気を吹かす。
 ど、ど、という唸り声がカブトエクステンダーの後部から放たれ、今や虫食い状に砕けた市街地に轟く。
「さて、と」
 じゃあ行きますかねぇ、そう思い、キングは強くグリップを捻った。
 走れ、キングの意思を代弁する指令はエンジンに走り、エンジンは燃料の続くままにそれを果たそうとする。
 格別に大きな排気音が鳴った。不細工なファンファーレのようでもあるそれに後押しされ、カブトエクステンダーは、弧を描いた頂点から向こう岸に続く下がり調子を行こうとする。
 渡り終えるには1秒と満たない、距離ともいえないような間だ。そこで転倒するようなことは、仮に搭乗者が自分でなかったとしてもありえないだろう、キングはそう思っていた。



 流々とした川面は、自らをまたぐ橋を恨めしく思うかのように、その姿を歪めて映している。



     ●

「そんなに腹が減ったんなら……」

     ●

 未だ動力の灯らない“聖王のゆりかご”の内部は暗い。
 船艦であるそれに窓硝子というものは殆どなく、そもそもあまりに巨大であるために深部ともなれば外界に通じる場所がないのだ。後付けなのか非常電源があるのか、通路と床が接する隅に蛍光灯のような光源があり、しかしそれも頭を垂れるように眼下を照らす程度で、足下の安全を見定める程度にしか役立たない。
 だが暗がりで視覚がはっきりしないことは、密閉空間の内部という閉塞感を紛らわしてくれるので、不幸中の幸いと言えないこともない。
 と、“聖王のゆりかご”の名もない通路に音が響いた。
 足音だ。鉄製の通路を鉄管楽器のように反響させ、足音は幾重にも重複した和音となって響いていく。だが、あるいは当然のことに、それを音楽に仕立てようという気は足音の主にはないようだったが。
 やがて薄暗い通路に、光源とは異なる光が浮かび上がる。
 金色だ。か細い黄金の群は頭髪、それも右の側頭部で結わえられたサイドポニーの型を成している。歩くたびに揺れる大きな一房は、まさしく馬の尾っぽと呼ぶに相応しい。
 だがそこで、金色は自ら発光しているのが解った。暗闇に我が身を主張する髪は、床の非常灯を最大限活かしたとしても有り得ない光量だったし、何よりそれは単純な光の色合いではなかった。
 プリズムによって解かれた光のそれ、絶えず7色に変動する虹色だった。淡い虹色が金髪にまとわりついている。
 そして現代社会において、虹色の光を従えられる人間は1人しかいない。
 ヴィヴィオだ。
 しかしその姿は、本来あるべき彼女の幼い形ではない。成人、少なくとも子を成すには十分な成熟度を見せる麗人の姿となっている。彼女がこの先健やかに育つのならばこうなっただろう、そういう結果を具現化したような姿が、虹の向こうに浮き上がる。
 緑と赤というオッドアイは相変わらず、しかしその手足は幼女に比べてあまりに長い。肌は色白であったが幼さ特有の青白さはなく、成熟によって血行が良くなった上での、美麗としての色白だった。
 胸には、それこそ幼かったヴィヴィオの頭ほどはある乳房を吊り下げ、反して腰だけは幼いままであるかのように細く、くびれている。カモシカのようにしなやかな足を支える尻は歩くたびに擦れ合い蠱惑的だ。
 身に纏うものも、そうした肉体美を主張しているかのようだ。
 淡い青紫色のラインを引いたボディスーツ、胸下と両足首には同じ青紫色の装甲が付与され、それらの上にはボディスーツよりも黒いジャケットを羽織っている。大きな胸に丈が足りないのか開衿されたジャケットは長袖、その先から装甲で固めた掌がある。
 そうした姿は、彼女の養母である高町なのはのバリアジャケットを思わせた。
 しかしここまでくると、余りに出来過ぎた容姿に思えてしまう。男を扇情し、女を魅了し、そして老若男女を崇拝させるその美貌は洗脳の域に踏み入っている。まさしく、偶像崇拝の化身のようだった。
 そう、偶像。
 まるでヴィヴィオが胸に抱く、憧れと夢で自らを糊塗しているかのように。
 しかし、その表情は苦悶に満ちていた。
 顰められた眉、絞られた瞼、中毒のように震える瞳は狂気を宿し、目元は窪んでいるかのようだ。白い歯も歯茎が見えるほどに剥き出していては魅力が半減する。ぬらぬらと照る唾液に塗れた口内を晒し、熟れた唇から垂れる唾液は、情事に漏らした欲情と取り繕うにはあまりにも穢らわしい。
 姿勢は猫背、だらりと垂れた背筋からは両腕が垂れ下がり、枯れて剥がれつつある蔦のようだ。こうなっては熟れた乳房も、どうにか枝に残ったもののそれが惨めを喧伝することになってしまった腐りかけの梨のようだった。
 よくよく聞いてみれば、足音も聞こえの良いものではない。爪先を擦り付けるようにした歩き方は、床に接するたびに角材を鑢がけするような雑音をたてる。時には引き摺るような音さえした。
 浮浪者か、中毒者か、はたまた幽鬼なのか。
 見ず知らずの者からすれば、美貌を台無しにする、或は美貌ゆえに全てを失いうらぶれた女であるかのように見えただろう。

……うぅ

 と、唸る声がした。
 まさかヴィヴィオの喉が作った音なのだろうか。しかしそうは思いたくない。これほど麗しい外見をした女性が、かくも醜く、憎悪と怨恨を孕んだ低音を、その白く麗しい細首から響くなどとは。

……うううううううぅ

 しかし残念なことに、その唸りはヴィヴィオの喉から響いていた。
 正に千年の恋も冷める唸り。一度聞けば全人類は諦観に涙を流し、海は溢れ世界全土が水没するだろう。

……ママぁ……

 背筋の凍る思いだった。
 唸るだけならばまだ良かったのだ。しかしこの声色で人語を話した時、かくもおぞましい印象を受けるとは思いも寄らないことだった。
 麗しい、赤く膨らんだ唇は唾液に濡れて声を作っている。

……ママぁ……マぁマぁ……

 それは子宮に閉じ込められる恐怖に、思わず母親の腹を裂いて現れてしまった悪鬼のような声だった。そして這い出した悪鬼は泣くのだ。自ら殺した母親の亡骸を、生まれてきてしまった赤子を睨むその形相を抱きしめて。
 今やヴィヴィオは、そこから更に亡骸を取り上げられて悶える悪鬼の胎児だった。
 生まれたての鳥のように細く惨めな胴と不細工に大きな頭、薄過ぎる瞼にぎょろりと大きな瞳を透かし、全身を羊水と母の血に濡らして、金切り声をあげて胎児は涙を流すのだ。
 ママを返せ。
 僕の殺したママを返して。

……フェイトぉ……ママぁ……

……なのはぁ……マぁマぁ~……

 ふとヴィヴィオの瞳から一筋の涙が流れた。
 虹色の光を映した涙は頬を伝い、顎にいたって零れ落ちる。
 たったそれだけが、今ヴィヴィオに対して、心の底から綺麗だと思えるものだった。



 涙の弾ける鉄の床はヴィヴィオの姿を映す。だがその様に目を背けたのか、多くは暗がりに隠れていた。



     ●

「……どっか適当に……見つけた奴を喰ってりゃいいだろぉが」

     ●

「……ん」
 誰かに呼ばれたような気がして、高町なのはは目を開けた。
 上下を瞼の影に隠した視界は狭く横長で、くわえて長期間暗闇に浸っていたのでぼやけている。どうやら半ば眠っていたらしい。確かな視界が戻るまでに僅かながら時間を要し、その間の気怠さは寝起き特有だ。しかも体育座りのような姿勢でいたために、体のあちらこちらに痛みがある。
(ちがう)
 ぼんやりとだが、しかし確かに解る。体の節々で鈍く痛むのは、風邪をひいて発熱した時の感覚に似ていた。
 最後に風邪をひいたのは何時頃だっただろうか、となのはは思う。
 ユーノとの邂逅から始まる出会いの中で、傷付くことはあっても病を患うことは無かったように思う。それはきっと、目の前の出来事や仕事に夢中で病にかかる暇もなかったからなのだろう。
「………………」
 ようやく戻った視覚で辺りを見回す。
 そこは無骨で簡素な小部屋だ。タイル状の床から直角に生えるうらぶれた壁、それを床とで挟む天井は、相対する床と同じタイル状のものでしかない。等間隔で取り付けられた蛍光灯も曇り、埃が積もってる。
 壁の一角は大型の窓によって費やされ、その手前にはPCを置いた鉄製の作業机が構え、左右にはプラスチックのラックや、所々がへこんだアルミ製の本棚が配置されている。本棚の中には、頭から不揃いのプリントや付箋を生やすファイルケースが所狭しと詰め込まれていた。
 飾り気も何もない事務室のようだった。
 と、なのはにとっての左手側で物音がする。大窓と向かい合う先で鳴ったのは、扉の閉まる音。
「起こしたか」
 曇り硝子を埋め込んだ扉を背後にして、1人の青年が立っていた。
 癖っ毛なのか渦巻いた黒髪に静観な顔立ち、鋭い眉と目つきは鷹を思わせる。体型はしなやかな長身だ。おそらくは絞ったのであろう細くも確かな輪郭は、真新しいシャツとジーンズに隠していたが、教導官として多くの人間達を指導してきたなのはに見抜けぬ事ではない。
 と、シャツの上に羽織る上着の袖から覗く手が、紙コップを持っているのが目に入った。対する右手は2リットル級の大型ペットボトルの首を掴んでいる。親指と人差し指の間からは、白いプラスチックのキャップが覗いていた。
 なのはは、ううん、と青年の問いに首を振り、
「……天道さん、それは?」
「ああ」
 青年、天道総司は右手に持つ紙コップを揺らした。すると、その中で何かが波打つのが薄らと透けて見える。
「欲しいだろう?」
「……ありがとうございます」
 無骨な親切に笑みと感謝を返したが、天道はそれを心地よく受け取ってくれただろうか。
 発熱に腫れぼったく引き攣る頬が表情と声を歪め、なのは自身にはそれらが不出来なものであるように思えた。天道の表情から探れれば良かったのだが、鼻が詰まった時のように思考はぼんやりとしていたし、天道は表情を余り出さない質だったので、悟ることはできなかった。
 かくいう間にも天道は近寄り、壁際の床に座り込んだなのはに視線を合わせた。
 安っぽいスニーカーを覗かせながら天道は座り込み、一升瓶のようにペットボトルを脇において、こちらへと紙コップを差し出す。
「飲めるか」
「それぐらいは」
 受け取り、笑んでみるものの、やはりそれはふやけ緩んだものであるように思えた。
 まずは紙コップを左手で受け取り、胸元に持ってきたところで右手も合わせ、最後に膝を立てて太ももも紙コップの保持に費やす。覗けるようになった紙コップの内側は薄らと白濁した液体、スポーツ飲料の類らしかった。吸水率を考慮したのだろう、と思い、実用的で天道らしい考えだ、とも思った。
 そしてなのはは左右から挟み込む紙コップを持ち上げ、解放した下唇に縁を添え、口内へと飲料を注いだ。
(喉、乾いてたのかな)
 自覚以上の速度で喉と舌は飲料を嚥下していく。1秒もすれば、小さな紙コップの中身など空っぽになってしまっていた。
 なのはは紙コップを下ろし、ほ、息をついた。何時の間にか額が汗ばんでいるのに気付き、給水の効果が出たのかな、と冗談混じりに思う。
 その横で、天道はペットボトルを持ち上げる。
「まだ飲むか?」
「うん、お願いしても、いいかな」
「天の道を往く男に酌を頼むとは良い度胸だ」
 彼なりのジョークだったのだ、となのはは思うことにした。
 それが一体どれぐらい続いただろうか。少なくとも大容量のペットボトルが半分を切るぐらいになって、ようやくなのはは喉の潤いを自覚した。その時、紙コップの中身は最新の継ぎ足しで満ちていた。
 飲まないのか、そういう視線を天道が向けてくるが、ある程度の満ち足りに思考の余裕が出て来たなのはは、これ以上の給水を行う気にはなれなかった。
 天道を見返し、そして視線は彼の脇腹へと突き刺さる。しかしそこには、突き刺さって天道を痛ませる傷口は残っていない。残っていれば、真新しいシャツを赤黒く固めてしまうからだ。
「ーー礼を言う」
 なのはの視線の意味に気付いたのだろう、天道はペットボトルを下ろし、あぐらに曲げた両膝に掌をついて頭を下げた。
 何度目になるだろうか、なのはは不出来な笑みを浮かべる。
「気にしないで下さい」
「それはしない」
 出来ない、とは言わないのが天道の変わったところだった。どんな事も出来る、その上で、あえてやらないのだ、そういうアピールを言外にしているのだろう。
「お前は俺を万全とする為に我が身を犠牲にした。その結果として倒れた女性を捨てる俺ではない」
「……何かその言い方、私が死んだみたいなんですけど」
 思わず半眼になってしまうが、ここまで率直に感謝されて嬉しくない筈はない。
 ここにきて自分の行動がやっと報われたような気がして、胸の奥が少し軽くなる。こころなしか熱も引いたような気さえした。
 このスーパーマーケットに流れ着いてから随分な時間が過ぎた。
 その多くは天道の傷と疲労の補いに費やされていたが、完治以降の時間はなのはの休養に用いられた。魔法に制限がかけられていたのは把握していたが、よもや発熱に至るまでの疲労を強いられるとは思っても見なかった。
 そしてその事が、なのはの胸中に影を落とす。
「結局」
 漏れ出すように呟いた。
「結局、ゼロの言う通りになっちゃいましたね」
「………………」
 天道はそれに答えない。沈黙が事務室に注がれ、犬かきをするようになのはの視線は泳いだ。
 そして事務机の上に置かれる旧式のPCに2つの瞳が定まり、スリープ状態に画面を暗くしたその手前、キーボードの上にメモが乗っていることを思い起こす。
 曰く、天道以外の仲間は彼によって連れ去られ、なのはが再会を望むなら天道の傷を癒してこの場に留まれ、という文面。それを記した人物の名として、文末にはゼロという名が刻まれていた。
 天道の傷を癒すため、そして発熱した自分が体力を取り戻すために時間は浪費され、結局仲間を探しに行くことも、ゼロが何者であるかと考えることも出来なかった。
 少なくとも敵対者であるゼロの言う通りになってしまったことが、その結果如何せんではなく、ただ漠然とした不安として心の陰りになる。
「問題はない」
 と、天道は断言した。
 唐突な発言になのはは急な動きで天道を見直し、彼の慄然とした表情を見る。
「お婆ちゃんは言っていた。……天井を支えるには柱を立てよ、一本の柱は千本の小枝が立つより頑丈だ」
「……その心は?」
「有能な人間が1人いれば、たとえ弱者が千人いても護る事が出来るということだ」
 高町、とここで天道はこちらを見据えて、
「お前は崩れかけていた1本の柱を修復したのだ。ならば、後は心配する必要がない。思い悩む必要はない」
 一息。
「ーー後は俺に任せろ」
「…………」
 言われて、任せたくなってしまうのは、自分が弱っているからだろうか。
(今までそんな風に言ってくれる人は……まあ、いたけど)
 でも、
(良いなぁ)
 タイミングが良いなぁ、と思う。
 今、こんな状況で言われてしまったら、“発熱した自分は何も出来ないのだから任せざるを得ない”という理性的判断と、“弱った自分を護るとこうも断言した貴方に頼りたい”という情緒的判断が重なり、感情にブレーキがかけられなくなってしまう。
 ずるいなぁ、と思い、本当にずるい、と繰り返す。
 だから、天道に答えるのだ。
「御願い、します」
 そう頼んだ自分の顔は、やはり締まりのない笑みだったのだろう。



 なのはが思うほどその笑みは悪くない、その事は、景色を僅かに映す紙コップの中身が証明していた。



     ●

「……………………………………」

     ●

 単なる瓦礫の積み重ねに過ぎなかったそれは、アーカードを迎え入れることで玉座となる。屋内をそうした張本人、セフィロスとの戦いでこの状況を生み出したアーカードの存在感が、単なる積み重ねをあつらえたものであるかのように感じさせるのだ。
 かつてはここも清潔感の漂うオフィスだったのだろうに、哀れにも粉塵と硝子の破片にまみれ、瓦礫の断面からは鉄骨や窓のフレーム、ポスターの切れ端などを張り付かせ、今や惨めな様だ。自らの身で外壁に穿たれた大穴からは夕陽が差し込み、霞のような粉塵を目立たせる。
「………………」
 それだけの存在感を放出しているにも関わらず、そのいたるところに重傷を刻んでいた。
 真っ赤な衣服は泥と埃にまみれ、あちらこちらで解れと破けを起こしている。そこから覗く肉体もまた、内容液を漏らし破れていた。皮膚は削げ、血管は漏洩し、肉はその繊維を解れさせて毛羽立ち、純白の骨格すらも晒されている。血液に混じって流れる脂質やリンパ液は公害の源を思わせる。
 これらの傷を刻んだのはそれなのだろう、左胸には一振りの日本刀が突き刺さっていた。
 しかし刻み付けられた数々の傷も、常軌を逸した速度で埋まろうとしていた。
 映像を巻き戻しているように、といえば過言だが、しかし肉眼で理解するには少し遅いだけで、その通りのことがアーカードの肉体では起きている。
 再生というには余りに実直、空いた穴を塞ぐような手軽さで、捲れ上がった皮や肉が肉体の内層に覆いかぶさり、断面と密着することによって癒着を始めている。肉と肉の融合はむず痒く、少しだけ熱く感じる。
 こうした感覚は今までに味わったことがない。
 プレシア・テスタロッサが押し付けてきた再生力の制限、それによって再生が間延びしたことで感じるようになったのだと、アーカードは思っていた。
「む」
 と、不意にアーカードが唇を尖らせる。
 ごろ、と眼球が瞼の内側で回り、本来白一色であるはずのそこに這う毛細血管が覗ける。その中央にある金色の瞳は左右で一対、それらは揃ってある一点を見つめていた。
 自らの右肩だ。
 アーカードの胴体を左右で挟み込むようにして積もる瓦礫、そこに腕が乗せられているために、右から突き出した瓦礫は手摺か何かのように見える。その指先には爪がなく、腐敗した苺のような、本来爪に隠れている部位を露出させている。
 腕はどうにか形を取り持っていたが、肘からは尺骨が突き出し、貫いた筋肉は彼岸花のように捲れている。二の腕に皮はなく、赤地に白い筋を引いた筋肉が剥き出しとなり、血流の度に小さく鼓動する。所々は削げて血を零し、最も深い陥没では白亜の骨が見えた。
 アーカードの双眸が見定めているのは、ほんの僅かに、しかし不自然に膨らむ肩の一部分だった。
(……混じったようだな)
 思った直後、アーカードは左腕をもたげた。
 右腕とは違ってほぼ完治しつつある左腕の肘を曲げ、しかし五指は伸びきって揃えられている。それらの先端には黒ずんだ爪があり、鋭い先端は刃物のように光ってすらいた。
 その先端を右肩の膨らみに向け、アーカードは何躊躇うような仕草も見せず、鎌を振り抜くようにして左腕を右肩へ走らせる。ぶぷ、と泥沼に勢い良く蹴りを埋め込んだような音がして、五つの爪は肩の肉を切り開き、五指が侵入する先駆けとなった。
 筋肉が指を締め付けて密着しているために、血は流れない。それでも神経は激烈な勢いで脳に助けを買うている筈なのに、アーカードの表情は動かず、他人事のように左腕が右肩を抉る様を見ていた。
 そして、不意に五指の動きが止まった。
 薄皮一枚下を寄生虫が這っているかのように、露骨に浮かび上がった五指は握り拳を作るかのように窄まり、より一層大きな膨らみを右肩に作っている。それは、何かを掴んでいるような形だった。
 事実、治りつつあった右肩の肉と皮を内側から引裂いた左の手は、人体ならぬものを抱き込んでいた。
 石ころだ。
 掌に収まってしまう程度の小さな瓦礫は、血やら油やらに塗れて汚泥の塊のようだ。
「何時潜り込んだんだかな」
 それだけ言って、アーカードは石ころを放り投げた。
 飛んでいく最中にまとわりついた血や肉片を飛び散らせ、少し離れたところで瓦礫にぶつかる音がした。
 それを目で追うこともせず、再びアーカードは感情のない瞳で茫洋とした表情となる。視界の端では、左肩によって傷口を広げた右肩は、波打つようにして結び合い、癒着して傷を塞ぎつつあるのが解った。
 人間の治癒速度ではない。
 吸血鬼、しかもその頂点としての再生力であった。
 瞼は開いているのに、アーカードの目からは何かを見るという集中力が欠落していた。茫洋とした視線は周囲の焦土を映さず、空を赤く染める夕陽を見ず、さりとて何かを見ている訳でもない。漂白されてしまった表情のように、何かを思うこともなく視界を開いているだけだった。
 ただ、聴くともなし戦闘の音が耳朶を叩き続けている。
 待ち望むもの、戦闘だ。
「………………」
 いまだ癒え切らない両腕をもたげて、アーカードは左胸に突き刺さる柄を掴んだ。
 づ、と鈍い音がして、刃が吸血鬼の肉体から抜かれていく。それまで左胸に埋め込まれていた刀身は血にぬめっており、その全容を現すと、切先は断続的に赤い水滴を零して床に斑点を打った。
 ああ、とアーカードは思う。
 龍を従えた少年を、人間の身で自分に拮抗したアンデルセンを、この焦土を創るに至った戦場の伴侶、セフィロスを。
 その誰も彼もが強かったが、しかしアーカードの心が満たされる決着はつかなかった。
 だからこそ、周囲で起こる戦いを狂おしく思う。
「今度こそ私を、ーー殺すか、殺されるかをしてれるのだろうか」



 立てられた曇りのない刀身は、きらめきの向こうにアーカードの姿を映している。



     ●

「……そうか」

     ●

 誰かのものかもしれないし、誰のものではないかもしれないその家から出た時、柊つかさの視界に入ってきたのは、夕陽が溶け込んだ視界いっぱいの海辺だった。
 緩い傾斜に道を開けてくれた家屋の先、もはや金色に輝く海がつかさの感情を刺激する。
「わぁ」
 感嘆の言葉に手を合わせ、大きく開いた瞳は海にも負けず劣らず輝いた。
 青い平原は金色と白色に煌めき、遠く微かに聞こえる細波の音は聴覚からもつかさの中へ入っていく。
 夕陽という巨大な円が水平線に降り立ち、溶けて滲んだように辺りの水面は真っ白に光っている。
 その光に周囲の家屋は陰り、半ば黄色いほどに明々と照らされる一面との対比で、どこか感傷的な印象を受けた。遠くにうっすらと煙を上げる施設や、港にとまる船舶なども風景に合っている。
 空も夕陽に照らされて真っ赤に染まり、しかしその域から外れつつある天上は藍色となりつつあった。
「わわ」
 今度は感嘆とは違う、慌てとしての声だった。
 中世を思わせる鎧でか細い体を守り、走り出せば背中のデイバックと帯剣が揺れる。肩の根元から脇へと伸びるデイバックのベルトを掴み、なるべく揺れないようにして、つかさは夕陽を横目に走る。
 緩いながらも下り坂だ。
 若干の制動をかけながら、つかさは跳ねるようにして、家屋と家屋の合間を行く。
「急がなきゃ、夜に、なっちゃうっ」
 跳ねながらの運動に喋りが乱れ、途切れ途切れになってしまう。
 だがそんな事を気にしていたら真夜中の街を歩くことになる。それはとても怖い事だとつかさは思った。
 だから視界の先、夕陽が沈んだ側から回り込んできた最も近い浜辺に急ぐのだ。そこにある施設までいけば、とりあえずの安全は確保出来ると、そう考えているから。
「……大っきいなぁ」
 近づくに連れて目的地の巨大さが目につく。
 藍色と金色で塗装された四角錐状の施設は船のようにも見える。船底を砂浜に食い込ませる様は、まるで難破船か、漁を待つ漁業船のようだ。
 だがそういった船の事情に精通しないつかさとしては、
(何か、こなちゃんがいつも言ってるお台場のアレみたい)
 という思いしかなかった。ここで固有名詞が出てこないのもまた、つかさがつかさたる由縁だ。
 もしこの場に、自分と同じ顔をしたあの少女がいたならば、語彙が貧困だ、と声を荒げるだろうな、とつかさは思った。
 自分と同じ顔、同じ対格なのに、まるで違う性格と能力を持った、双子の姉。
(お姉ちゃん)
 柊かがみ、そういう名前だった。
 長い髪を左右で結わえツインテールにした彼女は、いつもそれを振るって動き回る。のんびり屋の自分や、マイペースな泉こなたの腕を引っ張り、頻繁に脱線する自分達を牽引してくれるしっかり者だ。
 それでいてどこか間が抜けているというか、頑張り過ぎて空回りする事もあって、だからとっても可愛い。
 つかさはそんな姉の事が大好きだった。
「お姉ちゃん」
 今頃は何をしているだろうか。
 どうやら自分と同じくこの殺し合いに巻き込まれてしまったようだが、プレシアというあのおばさんの放送を聞く限り、まだ生きていてくれているようだ。その事が、体躯よりもか細いつかさの心を支えてくれる。

ーーーーーーもう、折れているのに?

「お姉ちゃん」
 一息、
「ーー助けに来てくれないかなぁ」
 つかさは呟いた。
 そう考えているのは、あの三角形の建物、地図の上では“聖王のゆりかご”へと向かう理由と重なる。
 あの中に立て篭れば当面の危機は回避出来るだろう、そこから更に、誰か自分達を護ってくれるが来てくれるも知れない、その事につかさは望みをかけて走っている。
 少なくとも、市街地の中で竦み隠れるよりかは、ああいう地図の端っこにあって、しかも隠れるところの多そうな施設の方が安全に思えた。
 その上でつかさは思う。
 かがみのことだから、きっと頑張ってるんだろうなぁ、と。
(お姉ちゃん、私と違うもんね)
 自分は鈍くて怯えて竦んで勉強も運動も出来ない、不出来な人間だが、その分かがみは有能な人間だった。
 まるで母親の中で良いところと悪いところが双子に別れたみたい、と思い、一時期はかがみを羨んだ事もある。
 そんな姉の事だから、ひょっとしたら何か大きな力を手に入れて、みんなを護る為に走っているのではないだろうか。
 どうやら殺し合いに参加させられた人間には、それぞれ凄い力を持った武器が与えられているみたいだし。

ーーーーーー○○○○○○○を殺したあの龍みたいに?


「助けて欲しいなぁ」
 かがみに助けて欲しい、つかさはそう思った。



 自分の良いところを全て持っていったというのなら。




 あんなに優秀な能力を持っているのだというのなら。





 その上更にスゴい力をたくさん与えられてるんなら。






 この殺し合いにあってみんなに感謝されているなら。







 わたしが欲しくても手に入らないものを持っているんなら。








 まず最初にわたしをたすけてよ。









ーーーーーー私が○○○を殺す前に助けてよ










 たすけなさいよ











ーーーーーーーーーープつんーーーーーーーーーー

「わあ」
 緩い傾斜に家屋が開けてくれた道の先、もはや金色に輝く海につかさは感嘆の言葉で手を合わせ、大きく開いた瞳は海にも負けず劣らず輝いた。
 もはや目前となった防波堤の先には浜辺があり、その先に光り輝く海原があり、そして目的地がある。
 “聖王のゆりかご”だ。
 金色と藍色の塗装がなされた巨大な建造物は、この位置からであってもその巨体が良く解る。底部で砂浜を貫いた様は船のようで、だとすれば難破船か待機中の漁業船といった風だ。もっとも、それにしては非常に大きいのだが。
「よぉし、もうひと頑張りだっ」
 両手に拳をつくり、ふんっ、と息を巻いたつかさは、防波堤に刻まれた階段を駆け登る。
 それを越え、浜辺を超えれば安全地帯である“聖王のゆりかご”に辿り着ける。
 そうすれば自分は誰かに危害を加えられる心配もなく、安全に助けが来るのを待っていられる。それだけを体躯よりか細い心の支えにして、つかさは防波堤から浜辺へと駆け下りていった。



 心を患うつかさは、忌避の思いで記憶を削る。それは海のように揺れ、だが太陽光を反射する煌めきはなかった。



     ●

「……そうだよなぁ」

     ●

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