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Kな魔王/ミライノヒカリ ◆gFOqjEuBs6




 日も沈もうと言う夕暮れの市街地を、静寂が支配していた。
 ドーム型のバリアの内部で、涙を流す青年が一人。
 その外側から、欠伸をしながら退屈そうに眺める仮面が一人。

「ようやく死んだか」
「……!?」

 くつくつと、嘲笑うような気味の悪い声が聞こえた。
 ふらりと立ち上がり、振り返る。視界の先には、先程の仮面。
 罪の無い人間の命を奪った悪魔・ゼロが、目の前に居た。

「うう……うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 呻き声。
 愛憎と、怒りと、悲しみと。
 様々な感情が込められた呻き声を発するのは、ミライだ。
 烈火の如き怒りをその瞳に宿らせて、ミライはゼロを睨んだ。

「どうして……どうしてこの人を殺したんだ!」
「質問の意味が解らないな。ならば逆に質問しよう
 この殺し合いの場で、人を殺さない理由が何処にある?」

 悪びれる様子なく、仮面の下の声が笑った。
 その声は、酷くミライの精神を掻き乱した。
 こんなふざけた理由で、一人の人間の命が奪われた。
 こんな奴の為に、誰かの笑顔がまた、奪われてしまった。

「お前は……お前は、この人の名前を知っていたのか!」
「何を言い出すのかと思えば、訳の解らない事を。どうせ殺す相手の名前を知って何になる?」
「この人は! もう自分の名前も名乗れなくなってしまったんだぞ!」

 名前も知らない人間が殺されたからこそ。
 ミライは余計にやりきれない気持ちになった。
 せめて最期に、名前だけでも聞きたかった。
 あの人は、名前も伝えられないまま死んでしまったのだ。

「はっ、だから何だ。そういうのが一番ウザいんだよ」
「お前――ッ!!」

 激昂し、掴み掛った。
 黒のマントを掴み、眼前へと引き寄せた。
 今にも殴り掛らん勢いであった。

「殴ってみろ。殴れるものならな」

 ゼロの言葉に、ミライは我慢が出来なくなった。
 仮面の上からだろうが、構う事は無い。
 この性根の腐り切った男は、自分の手で殴らなければ気が済まない。
 されど、ミライの拳は突然現れた盾によって阻まれた。

「……何だ、これは!?」
「残念だったな。じゃあ次、こっちの番ね」

 言いながら、ゼロが大剣を振りかざした。
 それが振り下ろされる前に、両腕を前方に突き出す。
 メビウスブレスが、眼前に円形のバリアを形成した。
 大剣がバリアに阻まれて、ゼロは一歩後退する。

「ほう、面白い力を持っているじゃあないか」
「お前……人間じゃないのか!?」
「君に言われたくないなぁ。君だって、人間の姿をしてるだけの化け物だろう」
「……ッ!」

 言い返す事が出来なかった。
 どんなに人間の為に戦っても、どんなに人間に近付いても。
 ミライは人間では無い。ウルトラマンという名の、宇宙人だ。

「だけど……僕はそれでも!」

 ミライは、ウルトラマンだ。ウルトラマンメビウスだ。
 ウルトラマンメビウスは、他ならぬ宇宙人である。
 だけど、他の宇宙人とは決定的に違う。
 それは、人間を守りたいという心。
 人間として暮らしていたミライは、人一倍それが強かった。

「――メビウゥゥゥスッ!!」

 左の腕を、メビウスブレスを、眼前に掲げ。
 掲げたブレスに右手を翳し、高らかにその名を叫んだ。
 目の前の悪を討つ為、ミライは戦士の姿へと変わる。
 ∞の極光と共に、光の国のウルトラマンが現れた。


 メビウスが、力の限りの拳を放った。
 ストレートパンチの要領で打ち出された拳は、しかし盾によって阻まれる。
 それでも諦めずに、今度は左の拳を突き出した。
 やはり、拳は盾によって阻まれた。

「ふぁ~ぁ……無駄だって、諦めろよ」

 仮面の下で欠伸をしていた。
 今度は、助走を付けて右脚を突き出す。
 だが、それもゼロへと通る事は無く。

「僕は諦めない! どんな状況でも、絶対に!」

 右の拳を突き出せば、盾が現れる。
 ならばとばかりに左で殴れば、やはり盾が現れる。
 蹴りであろうと、光弾であろうと、それは変わらなかった。
 何度繰り返してみても、メビウスの攻撃はゼロに届きはしない。

「君みたいな奴らってさ、本当に馬鹿だよね。無駄だっつってんのにさ」

 ゼロは、つまらなさそうに両腕を広げてのたまった。
 自分の攻撃は、そもそも届いてすらいない。
 ゼロの正体は恐らく、侵略宇宙人か何かだろう。
 だが、未だにその姿すら現さない。
 完全にメビウスは、舐められていた。
 だが、このまま終わるメビウスでは無い。

(こんな戦いを、僕は前にもした事がある……!)

 メビウスにあって、ゼロに無い物。
 それは、圧倒的な経験の差だ。戦闘におけるスキルの差。
 思い出すのは、どんな攻撃でも防ぎ切ると自負した敵との戦い。
 鉄壁の防御を備えたリフレクト星人との戦い。

 ――その顔は何だ。その目は何だ。その涙は何だ。その涙で、この星を救えるのか!――

 思いだすのは、偉大なる兄の言葉。
 修行の末に編み出した、どんな鉄壁をも打ち貫く技。

「デュアァッ!」

 助走を付けて、飛び上がる。
 天高く飛び上がったメビウスは、その右脚を突き出した。
 兄の面影を、ウルトラマンレオの面影を、自分の身体に重ねて。
 重力に引かれるままに、ゼロへと急降下する。

「ほう、攻撃が利かない私に、飛び蹴りで挑もうと?
 確かに仮面ライダーならそうするだろう。だが」

 メビウスのキックが、空中に現れた盾に阻まれた。
 右脚が盾に乗ったまま、一瞬の静寂が周囲を包む。
 そして。

「シュアァァッ!!」
「なっ……!?」

 凄まじい速度での、回転。
 右脚はドリルの如き破壊力を生み出し、盾を削る。
 超高速での回転は摩擦熱を生み出し、炎が盾を蝕んで行く。
 やがて、完全に盾が破壊された。炎のスピンキックが、盾を貫いたのだ。
 メビウスの回転は未だ勢い止まらず、ゼロの仮面へと迫る。
 しかし、ゼロも只やられるだけではない。

「調子に乗らないで欲しいなぁ!」
「デュア!?」

 振り抜かれた大剣が、メビウスを弾き飛ばした。
 見れば、その姿は既にゼロの物ではなくなっていた。
 純金に近い色をした、硬質的な装甲。カブトムシを連想させる頭部。
 巨大な剣と盾を装備したその姿は、まさしくカブトムシの怪人というに相応しかった。

「それがお前の正体か!」
「そうだよ。この姿を見たからには、生きて帰れると思わないで欲しいね」

 最早、先程までの威厳に満ちた喋り方は欠片も感じられなかった。
 まるで怒った子供の様な声色。エメラルド色の瞳からは、確かな殺気が感じられた。
 コーカサスオオカブトムシの祖たる不死生物、コーカサスビートルアンデッドだ。
 だが、相手が何であろうとメビウスにとっては関係の無い事だ。
 倒すべき敵を目の前にして、メビウスは躊躇をしない。

「デュアッ!」

 駆け出し、勢い良く右脚を振り上げた。
 しかしそれは、コーカサスが掲げた剣を蹴るだけだった。
 矢継ぎ早に拳を振り上げ、コーカサスへと挑むが、それも通りはしない。
 赤の拳がコーカサスを打つ前に、その間へと割り込んだのは左腕の盾。
 先程具現化した盾の本体だ。

「僕の盾を一回壊した程度で、いい気にならないで欲しいね」

 左腕の盾で、メビウスの身体を押し出した。
 一瞬後じさったメビウスに、破壊剣による一撃が舞い込む。
 そしてそれは、二度三度と繰り返されて、メビウスの身体を切り裂いた。

「デュワァァッ――!」
「君、ウルトラマンメビウスって奴だろう! どんな奴かと思えば、思ってた程じゃないね!」
「なに……ぃ!?」

 後退し、胸を押さえながら何とか構えを作る。
 しかし、そんな隙を与えてくれる敵では無かった。
 構えた瞬間に、金色の重厚な脚がメビウスの胸を強打したのだ。

「誰も守れないまま死ねよ、メビウス」
「僕は……ッ!!」

 起き上がり、左腕を振りかざした。
 同時に、メビウスブレスから、光り輝く剣が現れた。
 それを振り上げ、コーカサスへと挑むが。

「知ってるよ、メビュームブレードって奴でしょ。それで僕が倒せるかなぁ」
「デュアッ!」

 メビウスが、黄金の剣を振るった。
 同時にコーカサスが、黒金の破壊剣を振り上げた。
 二つの剣は衝突し、剣と剣による勝負は一瞬で決した。

「はっ、ほらね」

 嘲笑。
 破壊剣は、容易くメビュームブレードをへし折ったのだ。
 メビュームブレードの切先は回転しながら落下し、地面に突き刺さった。
 それに驚く隙すらも与えられずに、メビウスを襲ったのは破壊剣による一刀両断。

「ジュァァァッ!?」

 その場に叩き伏せられた。
 同時に、胸のカラータイマーが青から赤へと変わった。
 ぴこんぴこん、とウルトラマンの活動限界を示すブザー音が鳴り響いた。

「知ってるよメビウス。君、たった3分しか戦えないんだろ」
「く……ッ!」
「3分で僕を倒そうだなんて、随分とナメられたものだね」

 立ち上がって、拳を振るった。
 やはりそれはコーカサスの盾によって阻まれてしまう。
 再び破壊剣を振り上げるが、何度も食らってたまるかと、飛び上がった。
 そのままバク転の要領で後退、コーカサスとの距離を取った。

「それでも……例えどんなに絶望的な状況でも、絶対に諦め無い!」
「あぁ、初代ウルトラマンの言葉だっけ……そんな事も言ってたね」
「――!? 何故それを……!?」
「これから死ぬ君が知る必要は無いよ!」

 気付けば、眼前には既に金の体躯が迫っていた。
 振り上げられた破壊剣が、メビウスの視界に映り込んだ。
 最早自分に、この一撃を防ぐだけの力は残されては居ない。
 咄嗟に両腕をクロスさせ、眼前で構えた。反射的な行動だ。

 ――そうだ、何があっても諦めない……それがウルトラマンだ!――

 幻聴だろうか、聞き覚えのある声が聞こえた。
 メビウスにとっての、大切な仲間の一人――ウルトラマンヒカリの声。
 しかし、こんな場所にヒカリが居る訳が無い。
 そう思うも、現実はメビウスの予想をいい意味で裏切ってくれた。

 ――力を貸すぞ、メビウス!――

 また聞こえる、声。
 クロスしたメビウスの腕の周りに、光が集まった。
 それは極細の閃光となり、メビウスブレスの周囲を飛び交った。
 直角、鋭角、鈍角。鋭角的な軌道を描きながら、閃光が駆け巡る。
 やがて、閃光はメビウスの左腕に集約されて行き。

「何だ……これ!?」

 本能的に危険を感じたのか、コーカサスが後じさった。
 メビウスブレスに連結された状態で現れたのは、青のブレス。
 それはウルトラマンヒカリの力が秘められた、ナイトブレスであった。

(ヒカリ……何故君がここに……?)

 疑問符を浮かべながらも、立ち上がった。
 メビウスの身体、その胸部に、黄金のラインが走る。
 ラインがVの字に煌めいた時、既にメビウスのパワーアップは完了して居た。

「へぇ、そんな姿にもなれるんだ。流石にそこまでは知らなかったよ、メビウス」

 コーカサスが、余裕ぶって告げた。
 だが、コーカサスは一つのミスを犯している。
 最早メビウスは、只のメビウスでは無いのだ。
 今のメビウスの名は、ウルトラマンメビウスブレイブ。
 勇気の名を冠した、二人のウルトラマンの力を合わせた姿。

「シュワッ!」

 両腕を掲げ、戦闘体勢の構えを作る。
 カラータイマーは未だに点滅しているが、最早問題は無い。
 最早コーカサスビートルアンデッドは、メビウスの敵では無かった。
 何故なら、今のメビウスの身体は一人分の力では無いから。
 正義の心も、勇気も、力も。その全てが、二人分のポテンシャルを引き出す。
 今ならば、負ける気がしない。少なくとも、目の前の敵を打ち倒すだけの力はある。

(一緒に行こう、ヒカリ!)

 心中で告げ、左腕を翳した。
 ナイトブレスが合体されたメビウスブレスから、眩い光を放つ剣が現れた。
 それは先程のメビュームブレードよりも眩く、神々しく輝いていた。

「またメビュームブレードかい? それじゃ僕は倒せないよ」
「違うッ!」

 言うが早いか、駆け出した。
 輝きを放つ剣は――メビュームナイトブレードは、その光度を決して鈍らせはしない。
 既に日は落ち、周囲を支配するは暗闇。
 されど、そんな事も忘れてしまう程の輝き。

「デュアァッ!!」

 振りかざす。
 刹那。光の剣は、その刀身を伸ばした。
 メビウスの身長よりも高く、周囲の建物よりも高く。
 何メートルにも何十メートルにも及ぶ長剣は、まるで光の塔の様で。
 メビウスの周囲には既に、夜の闇など欠片も無かった。
 巨大な剣と化した光が、闇を払ったのだ。

「な……何だよコレ! 僕は知らないよ、こんな武器!」

 メビウスが、剣を振り下ろした。
 標的は、遠く離れた怪人、コーカサス。
 咄嗟に破壊剣を振り上げて、コーカサスが構えた。
 同時に、先程まで自分の攻撃を防いでいた盾が、空中に現れる。
 しかし、それだけだ。

「ハァァァァッ!」

 掛け声と共に、一閃。
 盾も、破壊剣も、一瞬の後には真っ二つに切り裂かれていた。
 やがて切り裂かれた場所から、「∞」に輝く光が漏れ出し、すぐに消滅。
 メビュームナイトブレードに対しての警戒が、甘すぎた。それがコーカサスの敗因だ。
 二人の光が合わさったこの攻撃を、あんなちっぽけな武器で防ぎ切れる訳が無いのだから。
 そのままの勢いで、振り抜いたメビュームナイトブレードがコーカサスに迫る。

「な……――」

 コーカサスの、情けない声が聞こえた。
 遠く離れたコーカサスの身体を、二つに分割する金の閃光が走った。
 闇を切り裂く光の剣が、コーカサスの身体を真っ二つに切り裂いたのだ。
 しかし、この必殺技はこの程度で終わりはしない。
 身を翻して、今度は光の剣を振り上げた。

「シュァァァッ!!」

 光の剣は再びコーカサスの身体を切り裂いた。
 一度目の斬撃で、コーカサスの身体を斜めに切り裂き。
 二度目の斬撃で、コーカサスの身体に「∞」の字が出来上がった。
 メビウスは、∞字の形に剣を振るったのだ。

「……フンッ!」

 コーカサスに背を向け、光の刃を収縮。
 そのまま下方へと振り払い、刃の具現を解いた。
 メビュームナイトブレード・ブレードオーバーロード。
 全てを切り裂くヒカリの刃と、メビウスの力が合わさった必殺技だ。
 メビウスの背後で炸裂した、巨大な爆発音。
 爆発による炎と熱風、爆音とをバックに、メビウスは変身を解除した。




 薄れ行く意識の中で、ゼストは思った。
 この青年ならば、きっとこのふざけたゲームを打破してくれる、と。
 この男は、見ず知らずの自分の為に涙を流してくれた。
 それは偽りの正義を振り翳すゼロとは根本から違う、本当の優しさ。
 この殺し合いの場で、最後の最後に本当の人の優しさに触れる事が出来た。

(それだけで、俺は――)

 自分の信じた正義は、決して無駄では無かった。
 少し心配だが、後はこの青年に託して、逝こう。
 せめて最期に、高町なのはの事を伝えておけなかったのは残念だが。
 と言っても、何を言おうとしたのかは自分自身でも余り覚えては居ない。
 高町なのはに気をつけろ、か。
 高町なのはが悪鬼かどうか確かめろ、か。
 思えばどちらも伝えるべき事なのだろうが、最早その力は残っては居ない。

 薄く目を開けば、周囲の闇は既に消え去っていた。
 遥か天へと延びる光が、自分を眩く照らし出していたのだ。
 いよいよ自分にも、天からの迎えが来たか、と思う。
 一度死んで、死にきれなかったこの身体に、ようやく最期の時が来たのだ。

(すまんな……レジアス)

 もう、レジアスの思いを受け継ぐ事は出来ない。
 だが、それでもゼストは最期まで自分の正義を貫いた。
 そう思えば、心なしか友への後ろめたさも張れる気がした。

 ――構わんよ……誰もお前を責めはしないさ――

 微かに聞こえた、友の声。
 それが幻聴なのか、あの世からの迎えなのかは解らない。
 だが、その言葉を聞いただけで、もう思い残す事は無かった。
 死にゆくゼストの表情は、満足げな微笑みであった。
 何処か温かく、眩い光に照らされながら。

「レジアス……ようやく俺も、お前の元へ――」



【ゼスト・グランガイツ@魔法少女リリカルなのは 闇の王女 死亡】
【残り:21人】





「はぁ……はぁ……死ぬかと思った!!」

 身体を引きずる様に動かして、黒のマントが街を徘徊して居た。
 建物の物陰に隠れながら、息せき切らす男の名はキング。
 先程、殺害数稼ぎのつもりで、男を一人殺した。
 だが、ただ殺すのはつまらない。
 折角だから、ゼロに成り切ったつもりで頑張ってみた。
 はてさて、そこへ駆けつけたのは正義のヒーロー、ウルトラマンメビウスであった。
 殺しの瞬間を目撃された以上、生かして置くつもりは無い。
 その考えの元で、メビウスと戦った。
 戦いは、終始自分のペースで進んでいる筈であった。
 それなのに、結果はキングの負けに終わってしまった。
 理由は、ナイトブレスというイレギュラーの存在。
 『MEBIUSU』で、存在だけが語られた未知の形態への強化変身。
 一万年ぶりに体験する、敗北という感覚は、心底キングを不快にさせた。

「クソッ……ちくしょう! 何だよアイツ! 面白くないな!!」

 コンクリートの壁を、力任せに殴りつけた。
 キングは先程の戦闘で、間違い無く身体を真っ二つに切り裂かれた。
 真っ二つどころか、「∞」字に切り裂かれた様な気さえする。
 結果、アンデッドの封印可能を示すバックルは解放状態となり、自分は爆発した。

「それにしても、良かったよ……相手が仮面ライダーじゃなくてさ」

 薄ら笑みを浮かべて、呟いた。
 もしも相手が仮面ライダーだったなら、間違い無く自分は封印されていただろう。
 バックルが解放されたアンデッドなど、ブランクのカードを投げるだけで封印出来るのだ。
 相手が不死のアンデッドだと知らなかったメビウスが相手だったからこそ、助かった様なものだ。
 しばらく時間が経って、バックルが元の状態に戻るまで戦闘は避けたい。
 もしもブランクのカードを持った参加者に出くわしてしまえば、自分はここで脱落してしまうからだ。
 実際の所、キングは知らないだけで、この会場内ではバックルが解放した状態で
 過度の攻撃を受け続ければ、アンデッドは封印=死亡扱いとなってしまうのだが。
 だが、今のキングには強力な回復手段がある。
 リリカル遊戯王GXの世界に登場する、デュエルモンスターズのカード――「治療の神 ディアン・ケト」だ。
 どうやらこのカードはデュエルディスクさえあれば何度でも使えるらしく、今のキングにとってはこれ以上無い僥倖であった。
 このカードを使えば、アンデッドとしての不死性も相俟って、回復までにそう時間は掛らないだろう。
 6時間ごとの定時放送も、もうすぐ始まる頃合いだろう。
 それまで一先ずは休憩場所を探して、身体を休めよう。
 キングは、視線の先の小さな雑居ビルへと歩を進めた。


【1日目 夕方】
【現在地 D-2 雑居ビル】
【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、バックル解放状態、不快感
【装備】ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔法と魔法少女たち、キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式、おにぎり×10、ハンドグレネード×4@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ギルモンとアグモンとC.C.のデイパック(道具①②③)
【道具①】支給品一式、RPG-7+各種弾頭(榴弾5/照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、トランシーバー×2@オリジナル
【道具②】支給品一式、菓子セット@L change the world after story
【道具③】支給品一式、スティンガー×5@魔法少女リリカルなのはStrikerS、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GX
【思考】
 基本:この戦いを全て無茶苦茶にする。
 0.「敗北」に対する極度の不快感と、つまらなさ。
 1.プレシアに注文するボーナスを何にするか考える。
 2.浅倉と手を組んでこの戦いを滅茶苦茶にする。
 3.浅倉と天道の戦いを見られるようにする。
 4.『魔人ゼロ』を演じてみる(飽きたらやめる)。
 5.はやての挑戦に乗ってやる。
 6.浅倉とキャロに期待。
 7.シャーリーに会ったらゼロがルルーシュだと教える。
 8.ヴィヴィオをネタになのはと遊ぶ。
【備考】
※キングの携帯電話には以下の画像が記録されています。
 相川始がカリスに変身する瞬間の動画。
 八神はやて(StS)がギルモンを刺殺する瞬間の画像。
 高町なのはと天道総司の偽装死体の画像。
 C.C.とシェルビー・M・ペンウッドが死ぬ瞬間の画像。
※全参加者の性格と大まかな戦闘スタイルを把握しています。特に天道総司を念入りに調べています。
※ゼロの正体がルルーシュだと知っています。
※八神はやて(StS)はゲームの相手プレイヤーだと考えています。
※PT事件のあらましを知りました(フェイトの出自は伏せられたので知りません)。
※バックル解放状態で過度のダメージを受ける、もしくはブランクのカードと接触すれば封印されます
※バックルが元通りになるまでどれくらいの時間が掛るのかは、後続の書き手さんに任せます。




 街中の花壇には、三人分の墓が作られていた。
 その前に佇み、黙祷を捧げる男の名は、ヒビノ・ミライ。
 さっき殺された男の人と、ペンウッドという男の人、それから、C.C.という名の女の人。
 大きめの花壇に穴を掘って、三人の遺体を埋めたのだ。
 それから、その上に幾つかの石を積み上げた。

「そうか……ヒカリは、ペンウッドさんの仲間だったのか」

 ヒカリと一つに成る事で、事のあらましは理解出来た。
 ウルトラマンヒカリは、ペンウッドという男に、ウルトラマンとしての力を貸していた。
 しかし、ペンウッドもC.C.も、二人ともあの男の人を殺した仮面の男に殺されてしまった。
 持ち主を失ったナイトブレスは、ずっとペンウッドの遺体に装着されていたのだと。
 そして、ヒカリは偶然にもその傍で戦ったメビウスに、力を貸す事にした。
 ペンウッドと共に戦えなくなってしまった事、みすみす死なせてしまった事。
 その両方をヒカリは悔やんでいるようだった。
 それはミライも同じで、人が死んで行くのは何よりも嫌な事だ。
 ミライが知ってるだけで、同じ男に三人もの人間が殺されてしまったのだ。
 自分はウルトラマンなのに、三人もの命を守る事が出来なかったのだ。
 その事実は、後悔と共に、ミライの決意を改めさせた。

「僕は……絶対に最後まで諦めません。貴方達の分まで、戦い抜いて見せます」

 墓に向かって、宣誓した。
 死なせてしまった三人はきっと、ゲームからの脱出を望んでいた筈だ。
 だからこそ、ミライは誓う。
 絶対に、三人の死を無駄にはしない、と。
 誓いを胸に、右手に輝く紫色の宝石を、ぎゅっと握り締めた。

「これも、なのはちゃんに渡さないとな」

 さっき死んでしまった男の人は、最後に「高町」と言った。
 それが何を伝えようとしていたのかは知らないが、きっと高町なのはの事を指していたのだろう。
 自分は、この男の最期をなのはに伝えなければならない。
 だからせめて、何か“形見”になる物が何か無いかと、埋葬する前に遺体を探ったのだ。
 結局見つかったのは首から下げて居たこの宝石だけで、それ以外は何も持っては居なかった。
 だからミライは、あの人の最期を伝えると同時に、この宝石をなのはに託すと決めた。
 きっとこれは、最期まで名前を呼んでいたなのはに渡すべき物なのだろう。
 そうすれば、あの人の無念だって少しは晴れるというもの。

「そろそろ、行かなくちゃ」

 三人の墓に話し掛ける様に、ミライは言った。
 もうこれ以上、誰にもあんな悲しい死に方をして欲しく無い。 
 だから自分は、こんな所で立ち止まっている訳には行かない。
 これ以上、自分の目の前で誰も殺させない。
 今度こそ、絶対に皆を守り抜いてみせる。
 それは絶対に揺らぐ事の無い決意だった。


【現在地 D-2】
【ヒビノ・ミライ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
【状態】疲労(大)、一時間変身不可(メビウス)
【装備】メビウスブレス@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは、ナイトブレス@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは
【道具】支給品一式、『コンファインベント』@仮面ライダーリリカル龍騎、ブリッツキャリバー@魔法妖怪リリカル殺生丸
    『おジャマイエロー』&『おジャマブラック』&『おジャマグリーン』@リリカル遊戯王GX
【思考】
 基本:仲間と力を合わせて殺し合いを止める。
 0.これ以上誰も殺させたくない。誰にも悲しい涙を流させたくない。
 1.銀髪の男(=セフィロス)からはやてを守る。
 2.一刻も早く他の参加者と合流して、殺し合いを止める策を考える。
 3.助けを求める全ての参加者を助ける。
 4.なのは、フェイト、ユーノ、はやて、キャロ、万丈目と合流したい。
 5.ヴィータが心配。
 6.カードデッキを見付けた場合はそのモンスターを撃破する。
 7.変身制限などもう少し正確な制限を把握したい(が、これを優先するつもりはない)。
 8.ゼロ(キング)、アグモンを襲った大男(弁慶)、赤いコートの男(アーカード)、紫髪の少女(かがみ)を乗っ取った敵(バクラ)やその他の未知の敵たちを警戒。
 9.自分の為に他の人間の命を奪う者達に対する怒り。
 10.ブリッツキャリバーを高町なのはに渡し、ゼストの最期を伝える。
【備考】
※メビウスブレスは没収不可だったので、その分、ランダム支給品から引かれています。
※制限に気が付きました。また再変身可能までの時間については最低1時間以上、長くても約2時間置けば再変身可能という所まで把握しました。
※デジタルワールドについて説明を受けましたが、説明したのがアグモンなので完璧には理解していません。
※おジャマイエローから彼の世界の概要や彼の知り合いについて聞きました。但し、レイと明日香の事を話したかどうかは不明です(2人が参加している事をおジャマイエローが把握していない為)。
※参加者は異なる並行世界及び異なる時間軸から連れて来られた可能性がある事に気付きました。またなのは達が10年後の姿(sts)になっている可能性に気付きました。
※スーパーにかがみが来ていたことに気付きました。
 また、少なくとももう1人立ち寄っており、その人間が殺し合いに乗っている可能性は低いと思っています。
※第2回放送を聞き逃しました、おジャマイエローから禁止エリアとブレンヒルト、弁慶、万丈目、十代の生死は聞きましたがそれ以外は把握していません。またおジャマイエローもそれ以上の事は把握していません。
 おジャマブラック、おジャマグリーンが放送内容をどれくらい把握しているかは不明です。
※ナイトブレスを手に入れた事で、メビウスブレイブへの強化変身が可能になりました。


【全体の備考】
※D-2の花壇に作られた墓に、ゼスト、C.C.、ペンウッド三人分の遺体が埋葬されています。



Back:Kな魔王/ダークナイト 時系列順で読む Next:進展!?
投下順で読む Next:進展!?
キング Next:絶望の暗雲
ヒビノ・ミライ Next:Aの残光/強襲ソルジャー
ゼスト・グランガイツ GAME OVER






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