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破滅へのR/血染め の ヴィヴィオ ◆7pf62HiyTE




【1】 Cruel room



3度目の放送から約30分が過ぎた――
聖王が生まれ、育ち、死んでいったことから『聖王のゆりかご』と穏やかな名で呼ばれるその巨大なる船――
その中枢ともいうべき玉座の間は――



その名に反して、凄惨極める場所となっていた――



夥しい死臭――撒き散らされている大量の肉片と血――
そこには、紫の髪の少女、桃の髪の少女の成れの果てがあった――
その場所で彼女達は1度死を迎え――死後も尚、弔われる事すらなく――
尊厳と共に肉体を完膚無きまでに破壊し尽くされたのだ――


死を迎えた以上それは既に『人』ではなく『物』でしかない――
そこには既に『魂』や『心』は抜け落ちていると言っても良い――
しかし――数多の幽霊話でも語られる様に――
死後も『魂』と『心』はそこに残り続けるという説もある――



仮にの話だが――死後もその『魂』や『心』がそこに残っているのだとしたら――
彼女達は何を感じていたのだろうか――?





【2】 Insect Summoner's heart



忌々しい――
本当に忌々しい――
自分は何の為にここまで戦って来たのか――
自分は何の為に今までドクターに協力してきたのか――
自分は何の為に沢山の人を殺して来たのか――


勿論――自分が死んだ事でそれが全て無駄になった事は悔しい――
だが、自分が死んだ後の様子を見て――
あの竜召喚師が死んだ自分の身体をあの鎌で蹂躙し――
そこからレリックを取り出し■■■■■に埋め込み笑っていたのを見て――


正直、空しさを感じた――


竜召喚師が何故ああなったのか――
それは自分には無い物『それ』があり、そして『それ』を失ってしまったからだろう――
つまり――極論を言えば『それ』があったからこそあそこまで醜く堕ちてしまったという事だ――
そう、自分がずっと手に入れたいと望んでいた――
母が目覚めれば手に入れられると思っていた――


『心』があったから――


苛々する――自分は『こんなもの』の為に今まで多くの人を殺してきたというのか――
散々自分で求めておきながら今更こんな事を思うのもおかしな話だが――


あんな風になるのだったら自分は『心』なんていらない――


いや――もしかしたら――自分だったのかも知れない――
■■■■■にレリックを埋め込んで笑っていたのは――
そうだ、認めたくはないが彼女と自分は限りなく似ていた――腹立たしい位に――


もしかしたら――既に自分も『心』を持っていたのかも知れない――


もう、そんなのもどうだって良いか――
どちらにしろ自分は既に死人、その身体は蹂躙され見る影もない――
その一方で竜召喚師も殺された様だが――自分と違い何か満たされた顔をして幸せそうにしている――
本当に忌々しく腹立たしい――もし、自分が動けるならばその死に顔を破壊してやりたい――



嗚呼、そうか――これが『心』なのか――
本当にこんな醜いものならいらなかったのに――



でも――せめて母さんを目覚めさせて――



――何か色々飾り付けてみたかった――





【3】 Collapse of dragon summoner



あれ――私、どうしていたんだっけ――
胸に穴――嗚呼そうか、私死んじゃったんだっけ――
でも、■■ちゃんは私が殺した筈だし、■■■■■ちゃんに私を殺せる筈無いし――
ああそうか、あの子か――あのニセモノが――あれから何時間も経っていたのにまだ生きていたんだ――
でも、力尽きちゃったみたいだね――ふふん、ニセモノなのに無茶しちゃって――
■■■■■ちゃんがいない所を見ると私を殺した後で助けたんだね――
散々、■■■を生き返らせる為に皆殺しにするって言っておきながら助けるなんて矛盾した事やって――でも、ニセモノだから当然か――
でも、あの子と同じ部屋にいるなんて正直耐えられない――何処か救われた様な顔しているし――
許せない――エリオ君や■■■■さんを散々冒涜しておいて自分だけ救われているなんて――


動けるんだったら今すぐにでもその顔をコワシテヤリタイ――


でもいいかな、だって私の傍にはエリオ君がずっといてくれるもの――
そういえば、いつの間にかエリオ君がいなくなっているね――
『もう僕は、どこにも行ったりしないから。』って言ってくれたのに――
大丈夫だよ、きっとすぐに戻ってくるよね――


あ、放送――


随分沢山の人が死んじゃった――
でも、私には関係ないか、だって私にはエリオ君がいるんだもの――
そういえばまだ■■■さんは生きているんだよね―――
■■■さん―――私を見捨てた■■■さん達を生き返らせようって考えなかったのかな―――
どうせだったらエリオ君や私も一緒に生き返らせて欲しいかな――でも、どっちでも良いかな――
あーあ、早くエリオ君戻って来ないかなぁ――



『……』



あ、エリオ君、急にいなくなってどうしたの?



『お前が……』



『お前』って……何を言っているの? あれ、その手に持っている鎌、何処かで見た気が――



ザシュ



え――



『ルルお兄さんや……』



ドドドドド



痛っ……エリオ君、何を――



『シャーリーお姉さん……浅倉お兄さん……』



ザザガッ



シャーリーって……確かいなかった筈だよ、シャーリーさんは……誰かと勘違いしてない――



『こなたお姉さん……』



ドドドドッ



エリオ君、さっきから何を言っているのかわからないよ――



『リインを……』



ズビュズビュズビュ



ちょっと待ってよ、エリオ君の口ぶりだとまるで私がみんなを――



『殺したんだ!!』



ドガドガドガドガァン



あれ……これが私……やめてよエリオ君……何でこんなに酷い事するの――
私、エリオ君の為にみんな殺そうと思ったけど殺したのは■■ちゃんと――



『お前が! お前が!! お前が!!!』



違うよ! 私じゃないよ! ちゃんと話を聞い……あ……口が……無くなっちゃった――





『お前が……■■■■■■を殺したんだ!!!』





ちょっと待ってよ……確かに殺した……けどあの子は■■■■さんじゃないよ……■■■■さんの姿を騙った只のニセモノだよ――



だって、あの子はエリオ君や■■■■さんを侮辱したんだよ、クローンだったら死んだって構わないって言っていたんだよ――あの子は■■■■さんじゃないよ――



ブチュブチュブチュブチュ



『お前が! お前が! みんなを殺したんだ!!
 ルルお兄さんを!
 シャーリーお姉さんを!
 こなたお姉さんを!
 リインを!
 浅倉お兄さんを!
 そして……■■■■■■を!!!』







ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!
ブチュブチュブチュブチュブチュブチュ!!!!!!
グチャグチャグチャグチャグチャグチャ!!!!!!
ビチャビチャビチャビチャビチャビチャ!!!!!!
ドシュドシュドシュドシュドシュドシュ!!!!!!







どうして――







どうしてこんなひどいことをするのえりおくん――







だってわたしえりおくんや■■■■さんのために――



ねぇ……おしえてよ……わたしなにかまちがったことしたの――
きがついたら……わたしなにもかもうしなっちゃった――
いのちもうでもあしもむねもくちもみみもかおも――



それになにより――えりおくんを――



どうしていなくなっちゃったの――えりおくん――
どこにもいったりしないっていっていたのに――



うそつき――



もうかんがえるちからもなくなってきちゃった――だって、あたまもなくなっちゃったんだもの――
あ、■■ちゃん――そっか、ずっとみていたんだね――ごめんねさっきはひどいことしちゃって――
こんなこといえるぎりじゃないけど――でもわたしもみんなうしなっちゃったんだ――
だからおねがい――なにかこたえてよ――
え、なに? なんなの?







――ざまぁみろ――







あ、あ、あ、あ、あはははははははははは―――







ぷつん








【4】 Mach eyewitness



使い手がいない限りその力を発揮出来ない『自分』に出来る事はそう多くは無い。
だが、何もしないなど言語道断、『相棒』やその仲間達の為にも出来る事はしなければならない。
今出来る事は情報の記録と分析、そしてやって来た者に自身が持つ情報を伝える事だ。
理想を言えば『相棒』が来てくれれば良いが多くは望まない。
せめてこの陰惨な殺し合いを止める事を望む者であれば良い――


3度目の放送が流れる――当然その内容を一字一句聞き逃さずに記録する――
その中から僅かでもヒントを見つけるのだ――
『相棒』やその仲間達の為にも――


まず重要なのは今回の死者だ。伝えられた人数は19人、これまでの13人、9人と比較しても明らかに人数が多すぎる。
確かに『自分』の周囲では6人の死者がいた。

赤い制服を着て背中を撃たれた少女、
何かの店を焼き払った際に見つけた2つの首輪、
前述の3人を殺し先程まで『自分』を使っていた少女、
その彼女を仕留めた精神を病んだ『相棒の仲間』、
その『相棒の仲間』に右腕を斬られた何故か幼くなっていた『相棒』の尊敬する人の友人、

知らない所でも多くの戦いが起こっていた事を踏まえても前回の9人よりも増加する可能性は確かにあった。
しかし、人数が減った状況を踏まえるならばやはり多すぎる。
前の放送で話していた御褒美を期待して先走った者が数多くいたのか?
度重なる戦いにより精神を病んだ者が数多くいたのか?

何にせよ、残り人数は19人――既に3分の1を切った。
これまでに呼ばれた死者の中には『自分』がこの地で遭遇した者も数多い――

炎の魔人で多くの参加者を屠った『自分』を使っていた少女、
一時期行動を共にしていた戦闘機人であるチンク
少女の凶行により逃げ去った天上院明日香、
ユーノ・スクライアを保護したブレンヒルト・シルト、
少女に炎の魔人が宿った結晶を渡したキース・レッド、

『自分』が出会った人物で今も生きているのはユーノと■■■■■ぐらいなものだろう。
そう考えると自分の無力さを悔しく感じる――

それでも、『相棒』が今も生きている事については安堵出来た。
『相棒』ならば絶対に大丈夫だと確信していても、無事という事実で安心しないわけがない。
願わくばこれからも無事であれと――


だが、喜べる話だけではない。重要な事は他にもある。
その1つは禁止エリア、今回指定されたのはI-7、H-6、E-5の3つ。
地上本部のあるE-5が潰される事も気になるがそれよりも重要なのはI-7とH-6が指定された事だ。
地図データを確認した所、ゆりかごのあるI-5は南端にあり、西側が海、北側には川がある。
つまり、川越をしない限りこの場所から他の場所へ移動するには東方面へ向かう事になり、同時にここに向かう為には東側を通らなければならない筈だ。
だが、H-6とI-7が指定された以上、実質東側は分断されたと言って良いだろう。つまり、21時を過ぎれば東方面の通り抜けは困難になると言って良い。
これによりゆりかごへの移動ルートや手段が非常に限られる事になる。北方面の川を越えなければ行き来は不可能という事だ。
川を越える為には飛行魔法等と言った川越の手段が必要、
とはいえ『相棒』は空中を移動する手段を所持している為、実際の所それ自体は別段気にしなくて良い。
だが、『相棒』が必ずしも此処に来られるとは限らず、またそういう手段を持たない者も多くいるのは否定できない――懸念材料ではある。
しかし、他に気になる事がある。既にH-4も封鎖されている事を考えればゆりかごに向かう道筋はG-5からH-5を経由しI-5に向かうルートに限定される。
また、拠点とも言うべき地上本部は封鎖され、同時にゆりかごへのルートを限定させる指定になっている事から考え、参加者の意識をゆりかごに向けさせる狙いも推測出来る。
恐らく『相棒』もここに来る事を視野に入れているだろう――
だが、ゆりかごを狙う者の中には殺し合いに乗った参加者もいるのは明白――
もし複数の参加者がゆりかごの確保を目論んでいるならば――その道中での戦いは避けられない。
『相棒』やその仲間達の実力を否定するわけではないが、身を案じずにはいられない――


さて、前の放送で話に出ていた御褒美の話に関しても今回の放送で明確な内容を示された。
内容を纏めると『放送後、参加者を1人殺す度に新たな支給品が1つ入手出来る』というものだ。
つまり、放送までの死者に関してのボーナスは一切無い事を示している。
そもそも、話に出た時点では『検討する』程度のものでしかなかった以上、明確に示されるまでの成果が適応されなくてもおかしくは無く至極当然の話ではある。
何にせよ、先走ってボーナス狙いでここまでで人を殺した参加者の行動はある意味無駄に終わった事になる。
正直な所『自分』としてはそれが有難い。『相棒』を含めた殺し合いを止めようとしている者達は絶対に人を殺したりはしないからだ。
あったとしても誤殺による死者が1人か2人いるかいないかだろう。
対し、殺し合いに乗った者に関しては当然複数殺した者もいる。
何しろ死亡して無駄になったとはいえ『自分』を使っていた召喚師が放送間に3人殺しているのだ。
同様に複数殺した者が他にいても不思議ではない。
その分のボーナスが確保されてしまえば不利になるのは明白。故にボーナスが適応されない事が有り難かったのだ。
だが、重要なのは今後だ。
残りが19人である事を考えるならばボーナスで得る事の出来る支給品は最大で17個という事になる。
最後の1人を殺した時点でデスゲームが終わる為、残り2人になった時点でボーナスの役割は終えるからだ。
だが、当然の事ながら『相棒』達にとっては意味など無い。
機会が絶対に無いとは言わないが『相棒』達は他の参加者の死を絶対に止める筈だからだ。
例え、凶悪な参加者によって死にかけにされた参加者が『アイツにボーナスを与えたくないから先にアナタが私を殺して』と言ったとしても『相棒』達はその言葉には従わないだろう。
例え、絶対に改心のしようの無い参加者を殺せる機会があっても『相棒』達はその人物を殺したりはしないだろう。
無機質かつ客観的に言えば自分達を不利にする愚行ではある。だが、それを非難する気はない。
『相棒』達にとってはそれは当たり前の事であり、それが『自分』の信じる『相棒』だからだ。
とはいえ、殺し合いに乗った参加者が放送を聞き、ボーナス確保を目指すのは明白。当然ボーナスを確保されれば『相棒』達が不利になるのは言うまでもない。
不安を感じずにはいられない――


そして――ある意味もっとも重要なのが放送担当者だ。
今回の放送担当者はこれまで取り仕切っていたプレシア・テスタロッサではなかった。
だが、他の者が担当する事自体は不思議ではない。デスゲームが始まってから18時間、流石に彼女1人で全てを掌握するには限界があるからだ。
放送にもある通り、彼女は今は少し休んでいるのだろう。
しかしだ、その代わりの放送担当者が問題なのだ――放送担当者はジェイル・スカリエッティの戦闘機人ナンバーズの1人オットーだった。
これが意味する事が重要なのだ。オットー1人だけがプレシアに協力しているとは考えられない――
恐らくはスカリエッティとその仲間達もプレシアに協力していると考えて良いだろう。
プレシアがいかに優秀だとしても戦闘機人等の機械方面の研究に関してはスカリエッティの方が優れているのは明白、
また、スカリエッティはプレシアが求めていたアルハザードの遺児、協力者として十分予測出来る存在ではある。
故に、スカリエッティ達がデスゲームに関わっている事はむしろ当然の帰結と言えるのだ。
もしかすると、真の黒幕はスカリエッティという可能性もあるだろう――
だが、スカリエッティとその仲間達は死亡したドゥーエを除き、JS事件で管理局に捕まった筈――
いや、この前提は既に根本から間違っているだろう。これまでの話から参加者が異なる時間軸、及び平行世界から連れて来られている可能性が非常に高い。
つまり『自分』の世界のスカリエッティとその仲間達とは限らないという事だ。JS事件を起こす前の彼等という可能性だってあるだろう。
では、参加者の中にクアットロ、チンク、ディエチといった3人のナンバーズを参加させたのはどのような意図があったのだろうか?
普通に考えれば、殺し合いを促進させる為だ。だが、正直な所この3人にその役割が与えられていたとは思えない。
チンクの様子を見る限り彼女は背後にスカリエッティと妹達が関わっている事を知らない様だった。
彼女は純粋にディエチやクアットロを守ろうとしていた。少なくても殺し合いを促進させる役割を与えられている様には見えなかった。
恐らくディエチに関しても同様と考えて良いだろう。真面目な話そういう役割を与えるならば武器が無くても戦えそうなノーヴェ等の方が適役だろう――
また、クアットロが参加している事も明らかに不自然だ。
クアットロの能力と性格を考えれば彼女本人が死の危険が大きい参加者としてデスゲームに参加する可能性は限りなく低い。
裏方に周り他の参加者を操ったり扇動したりしている方が自然なのだ。
真面目な話、クアットロを参加させるぐらいなら戦闘力の高いトーレやセッテを参加させる方が自然と言える。
故に、クアットロもスカリエッティ達が背後にいる事を知らされていないと言えよう――もっとも、彼女ならばそれに気付く可能性は高いだろうが――

では、この3人は一体なんなのだろうか? 簡単な事、この3人は主催者側にいるスカリエッティとその仲間達とは別の平行世界の彼女達なのだ。
残酷な話だが、世界が異なれば全く関係のない他人と考えてもおかしくはない。故に彼女達を平然と参加させているのだろう。
そういえば、チンクもディエチもゼストも『彼女』も死亡し、スカリエッティ側の人間は最早クアットロだけ――
当然、『相棒』達はクアットロを警戒している筈――
孤立無援の状況下でクアットロは本気で機動六課と敵対するつもりなのだろうか――
彼女程の知略があるならば自身の状況が非常に厳しい事に気付く筈だが――
いや――どちらにしても要注意人物である事に変わりは無いか――



そんな時、誰かが再びこの玉座の間に訪れた――『相棒』であれば良かったがそんな都合の良い話等無い――
訪れたのはつい先程、此処を去った少女――何か忘れ物を取りに来たのか――



だが、その少女が取った行動は『自分』の予測を絶するものだった――



その結果、安らかで幸せそうな『相棒の仲間』の死体は完膚無きまでに破壊し尽くされ――



ミンチよりも酷い肉片の残骸となった――
最早、『それ』が『相棒の仲間』だった証拠は桃色の頭髪しか無い――



只の機械でしかない『自分』も戦慄を覚えた――
『相棒』が『心』がある事を教えてくれなければ感じなかっただろうが――
何故、少女はこのような凶行に出たのか? 意味があるとは思えない――
いや、『自分』は知っている。これに似た場面を――

戦闘機人による地上本部襲撃の際に起こったある出来事だ。
『相棒』が自身の姉を傷付けられたのを見た際にその感情が爆発し怒りに身を任せて自身の力を姉を傷付けた者達に使った――
それと限りなく似ているのだ――

考えてもみれば当然の事だろう。
『ママ』の右腕を斬り落とし死に至らせたのは『相棒の仲間』だ。今持っている武器を持っていた人物が『相棒の仲間』だったから少し考えればその事に気付けるだろう。
今の少女ならばその事に気付けばこれぐらいの事はしかねない。
いや、少女の口にした言葉を踏まえればそれだけではない――
彼女が口にした名前の大半は先の放送で呼ばれた人物、その中にはあの店にいた2人もいたのは明白――
少女がこの場で出会った大切な人物が――
そして、少女自身が目覚めた状況を考えればその人物達を殺し自身を浚ったのも『相棒の仲間』だと結論付ける可能性はある。
実際の下手人の肉体は既に原型を留めていないのだから――
少し冷静に考えれば大切な人物の全てを『相棒の仲間』が殺したわけではない事、及びまだ生きている者がいる事に気付きそうではある――
だが、憎悪に支配された今の少女にそれを求める事は出来ない――
故に、全ての元凶が『ママ』を殺した『相棒の仲間』だと結論付けて憎悪をぶつけたのだろう――



残酷だが『相棒の仲間』に同情の余地はない。
友人だった少女、幼くなっていたが自分を保護してくれた女性の命を奪い、一歩間違えれば『相棒』や多くの罪無き一般人を死なせる所だったのだから――
例え、彼女自身の大切な人物を生き返らせる理由があっても同じ事だ――他者にとって大切な物を踏みにじっている事に違いは無いのだから――
正直、『相棒』にこの事実をどう伝えるべきか悩む所ではある――どんなに壊れたとしても『相棒』にとっては大切な仲間であり友人なのだから――



それよりも気になるのは少女だ――
『それ』を完膚無きまでに破壊し尽くした後、『あるもの』を持って再び玉座の間を去っていった――
彼女の怒りが収まってくれれば良かったがその様子は無い――
考えてもみれば一番重要な『もう1人』についての憎しみを『それ』にぶつけていなかった――
つまり――少女が憎しみをぶつけるべき対象は他にもいるというのか――それとも無差別に襲撃するというのか――
一度出て戻ってくるまで約2時間弱――その間に何があったのかはわからない――



何にせよ出てくる結末が予測出来た――



『相棒』が怒りにまかせてチンク達に自身の力を振るった時、チンクに重傷を負わせただけではなく『自分』と『相棒』自身がその力によって深く傷ついた――



それと同じ事が起こる――いや、既に起こり始めている――そう――




《このままでは――――――





 ヴィヴィオは――――





 破滅する――》





【5】 Bloodstained Vivio



身体が重い――
すぐにでも此処を出てママ達の敵を皆殺しにするつもりだったのに――
さっきの戦いの疲れが残っているのだろうか――
仕方がない、少し休もう――



なのはママ――■■■■ママ――
頭に浮かぶのはなのはママ――そして――



『俺の名前は貴様ではない。天の道を往き総てを司る男、天道総司』



そう――天の道を往き総てを司ると男と言った――



『いいかよく聞け。高町なのはは――』



あの男はなのはママの事を知っていた――天ど――
あれ――確かその名前何処かで聞いた覚えが――
何処だっただろうか――



『仮面ライダーのベルト。本来はこの天道のらしいんだけど、こいつはこんなんだろう?』



そうだ、あの時だ。確かキングと名乗る奴が連れていた奴だ――
そうか、アイツが天ど――



『その人は、ゼロは、たくさんの人を殺したテロリストなんですよ! それでも助けるというんですか!?』



待て――確かシャーリーお姉さんが言っていた――
アイツがゼロでたくさんの人を殺したって――
確かシャーリーお姉さんのパパもゼロに殺されたって――そうか、アイツがシャーリーお姉さんのパパも――
ちょっと待て――何か忘れている気がする――確か――



『そうだ――私がゼロだ』
『偶然巻き込まれたとはいえ、君のお父上――ジョセフ・フェネット氏の命を奪ったゼロだよ』



シャーリーお姉さんの大切な人――ルルお兄さんがゼロだって言っていた様な――
じゃあ、本当に悪いのはルルお兄さんで天道は悪い奴じゃないのか――

違う――それだけは絶対に違う――
だって、それを聞いたシャーリーお姉さん悲しんでいた――
ルルお兄さんが悪いゼロなんて事は無い筈だ――



『ルルお兄さんって良い人なの、それとも悪い人なの?』
『良い人か悪い人かはお姉さんには言えないけど……友達や仲間想いなのは確かだと思うよ。シャーリーって人を傷付けちゃったかも知れないけど……ルルーシュだって本当は苦しんでいたと思う……これじゃダメかな?』



そうだ――こなたお姉さんが言っていた――
ルルお兄さんも苦しんでいたって――
それに――



『私は、なのはを助けたくて……人を、殺しちゃった……
 許されないって、分かってても……独りで……いるのが……耐えられ、なかった……』



■■■■ママに似ていたんだ――
きっと、ルルお兄さんも本当に苦しんでいたんだ――
そんなルルお兄さんが悪いゼロだなんてあるわけがない――



アイツだ――



天道総司がゼロだ――なのはママやシャーリーお姉さんのパパを殺したんだ――許せない――
次に会った時は必ずなのはママの事を聞き出して――殺してやる――



そういえば――今更な話だがどうしてヴィヴィオはここにいるんだろう――
確かルルお兄さんを治してから――駄目だ、それから後の記憶が――
気が付いたら目の前に■■■■ママがいてヴィヴィオを助けて――
ちょっと待って――



ルルお兄さんは?
こなたお姉さんは?
リインは?

それにシャーリーお姉さんはルルお兄さんに会えたの?
浅倉お兄さんは今はどうしているの?

誰がヴィヴィオをここに連れてきたの?



それに――



どうして■■■■ママの腕から血が流れていたの――?







そう考えた瞬間――放送が始まった――





『浅倉威』





え――





『シャーリー・フェネット』





お姉さん――





『■■■■・■・■■■■■』





みんな――





『ルルーシュ・ランペルージ』





殺されたっていうの――?





『以上、19名となります。』





あ、あ、あ、あ――――





ああああああああああああああああああああ!!!!!





許せない! 許せない! 許せない! 許せない!
許せない! 許せない! 許せない! 許せない!
許せない! 許せない! 許せない! 許せない!
許せない! 許せない! 許せない! 許せない!
許せない! 許せない! 許せない! 許せない!
許せない! 許せない! 許せない! 許せない!



ルルお兄さんもこなたお姉さんもリインもシャーリーお姉さんも浅倉お兄さんもみんな殺された!!



いったい誰がみんなを――



そうだ、確かヴィヴィオが目覚めた時他に2人いた!
片方は前にヴィヴィオを浚った人だ! だけどもう頭しか残っていなかった――!
だったらもう片方だ――■■■――そうだ! アイツがヴィヴィオを浚ってみんなを殺したんだ!
またヴィヴィオをこの姿に変える為に!! その為にジャマだったヴィヴィオの大事な人を殺したんだ!!
いや、それだけじゃない! ■■■■ママの腕を斬り落としたのだって!
今ヴィヴィオが持っている鎌をアイツが持っていたのがその証拠だ!!
アイツがヴィヴィオの大事なママを殺したんだ!!



そういえば足下を見ると血痕が残っている――きっとママだ――
ママはずっとアイツから逃げていたんだ――
それでもヴィヴィオを助ける為にアイツに向かっていったんだ――




放送はまだ続いていた――だけどもうそんなのはどうだって良い――
気が付いた時には走っていた――そしてあの場所へ――





その場所はあの時と比べ特に変わった様子はなかった――
そう、アイツは変わらず幸せそうな顔をしていた――





「……」





わかっている――既にコイツは死んでいる――
こんな事をしたって意味なんてないだろう――でも――





「お前が……」






コイツのもっていた鎌でアイツの腕や身体を斬り刻まずにはいられない――





「ルルお兄さんや……」





魔力弾で身体を壊さずにはいられない――





「シャーリーお姉さん……浅倉お兄さん……」





だって、みんな苦しんでいたんだ――





「こなたお姉さん……」





みんなあんなに優しかったのに――





「リインを……」





それをお前が――





「殺したんだ!!」





それなのにコイツは幸せそうな顔をしている――それが許せない――





「お前が! お前が!! お前が!!!」





そして何よりコイツが――コイツが――





「お前が……■■■■ママを殺したんだ!!!」





血や肉片が私に降りかかってくるけど構うもんか――
最後の欠片まで斬り刻んで潰してやる――
足下に肉片が飛んでくるけど構うもんか――
グチャグチャになるまで踏みつぶしてやる――
もう謝ったって許してなんてやるものか――
だってもう――





「お前が! お前が! みんなを殺したんだ!!
 ルルお兄さんを!
 シャーリーお姉さんを!
 こなたお姉さんを!
 リインを!
 浅倉お兄さんを!
 そして……■■■■ママを!!!」





みんな戻ってこないんだ――





「はぁ……はぁ……」





どれぐらいそうしていただろうか――気が付いたらソイツは見る影もないミンチになっていた――
気持ち悪い――当然だ――
私の身体はアイツの血肉に覆われている――
嫌な臭いだ――





「うっ……がっ……」





何かが込み上げてきた――思わず私は口に手を――





口の中に妙な味が広がる――





そして掌の上には血が――





そうか――これが痛みなんだ――苦しみなんだ――
誰かを傷付けたら自分が傷つく――
誰かを苦しめたら自分が苦しむ――
誰かを痛めつけたら自分が痛む――
そう、それは極々当たり前な事だ――



あぁ――なんだか身体の奥も何処か痛いし苦しい様な気がする――
けれどそれでも構わない――
なのはママや■■■■ママ達を苦しめた奴に復讐出来るならば――



ヴィヴィオはどれだけ傷ついても構わない――
最後にヴィヴィオ自身が死んだって構わない――



身体は重い――けれど足を止めるわけにはいかない――
一刻も早く天道総司を探し出してなのはママの事を聞き出さなければならないのだから――
確か禁止エリアはこの近くだが――クラールヴィントに確認すれば良い――
何にせよ移動するならすぐだ――



だけど――



これ以上■■■■ママを此処に置いては置けない――こんな気持ち悪い場所にママを置き去りに何て出来ないから――



「■■■■ママ……こんなに小さかったんだ……」



そして、小さいママを背負って――ヴィヴィオは血生臭い嫌な場所から去った――



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