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絶望の暗雲 ◆HlLdWe.oBM




すっかり日も落ちて漆黒の夜の帳が下りるデスゲームの会場。
プレシアの手によって開かれたこの殺し合いも彼此20時間が経過しようとしていた。
ここまでの激戦で当初は60人いた参加者も既に生き残りは3分の1を切っている。

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」

そして今そんな過酷な環境の中で生き残った4人の参加者が紅蓮の炎に包まれたスーパーの前で対峙していた。
ここまでの激戦を潜り抜けて生き残ってきただけあって4人とも名うての兵である事に疑いはない。
時空管理局が誇るエース・オブ・エース、白のバリアジャケットに身を包んだ高町なのは。
天の道を往き総てを司る男、赤い装甲を持つ仮面ライダーカブトこと天道総司。
ソルジャー・クラス1st、黒の防具に白い片翼が映えるアンジール・ヒューレー。
無限大の未来を秘めた宇宙警備隊のルーキー、銀色と赤色という特異な姿のウルトラマンメビウスことヒビノ・ミライ。

なのはとカブト、アンジール、メビウス/魔導師と仮面ライダー、ソルジャー、ウルトラマン。

ケリュケイオンを起動させてカブトに治癒魔法を行使ながら同時に周囲の様子を窺っているなのは。
体力の回復を実感しつつ意図がつかめない突然の乱入者を警戒するカブト。
弾かれたバスターソードを拾いながら自身の身の振り方に悩むアンジール。
自身の意を伝えた上での相手の反応を確かめようとするメビウス。

そんな三竦みの一翼を担うなのははこの場に飛び込んでからずっとある事が気に掛かっていた。

(もしかして銀色の鬼は殺し合いを望んでいない……?)

なのはは当初問答無用にカブトを撃墜した銀色の鬼はアンジールの仲間かと思っていた。
以前仲間の弁慶や金居から「銀色の鬼は危険な存在だ」と聞かされていたのも、そのように判断する後押しになっていた。
だがその直後アンジールの攻撃を阻み、さらに戦いを止めろと言った行動を目の当たりにして銀色の鬼の真意が分からなくなった。
なのは達を欺く行動という可能性もあるが、このタイミングで仕掛ける意味がないのでその可能性は低い。

(それに、どういう意図か分からないのはもう一人いる)

なのはが一瞬銀色の鬼から視線を外して新たに視線を向ける先には雑居ビルがあった。
実のところなのはは天道とアンジールの戦いに横槍が入る事を危惧していた。
その理由は周辺をサーチした時にその雑居ビルに誰か潜んでいる事を知ったからだ。
当初可能性として考えられたのはアンジールの協力者か、様子見の参加者だった。
もしも後者ではなく前者なら天道は罠が仕掛けてあるかもしれない場所に誘い込まれた事になる。
今でさえ互角であるところに横槍を喰らえば敗北は必至。
だからこそ雑居ビルに潜む第三者に注意は払って、いざとなればカブトを守るために戦場に介入するつもりだった。

ところが乱入してきたのは雑居ビルに潜んでいた者ではなく、別の方角から飛び込んできた銀色の鬼。
雑居ビルに注意を払っていたなのはとっさには対処する事ができなかったが、すぐさまカブトへ駆け寄り迎え討とうとした。
だが銀色の鬼は戦闘を止めようとしていると知って、しばらく様子見しようとして今に至る。
とりあえず雑居ビルに潜む者に関してはここまで何も行動を起こさない事からアンジールの協力者の線は薄くなっていた。

(じゃあ、いったいあのビルに潜んでいるのは――)

だが悩むなのはを余所に今まさにこの均衡状態を破らんとする参加者が近付いていた。
それは雑居ビルに潜む者や銀色の鬼のような正体不明の者ではなく、なのはもよく知っている者であった。


     ▼     ▼     ▼


「さあ、みんなで協力してこのデスゲームから脱出しましょうか」

己の目的を軽く口に出して確認しながらクアットロは意気揚々と走っていた。
目の前に広がる光景は三者鼎立を形作る戦場。
普段なら遠くから眺めてちょっかいを出すところだが、今回のクアットロは果敢に飛び込んで行った。
なぜなら戦場と云っても悲観するほど最悪な状態ではないからだ。
その場にいる4人のうち高町なのはは無闇に戦いを求める性格ではなく、またアンジールも自分が説得すればひとまず矛を収めてくれるはず。
しかも先程の行動を見る限りでは正体不明の銀色の戦士は戦いを止めたいらしい。
ここまで御膳立てが整っているのなら、あとはクアットロが得意とする舌三寸で皆を説得して仲間に出来る可能性は高い。
ようやく運が向いてきたのか、お誂え向きの状況に思わず頬が緩んでしまう。

「アンジール様ー!」

まず声をかけたのは一番頼りになるアンジール。
この時既にクアットロは変装用に外しておいた眼鏡を再び付けて髪もいつものように両端で結んでいた。
ここに至って変装する理由はなく、特にこの場合は相手にすぐ自分が誰か分かってもらえる方がいい。
残念ながら服装はいつものスーツではなく学校の制服だが、それでも顔を見ればすぐに分かるはずだ。
もしかしたら高町なのは辺りは不審に思うかもしれないが、それくらい説明するのは造作もない。

「みなさ~ん!」

これで準備は整った。
あとはこれからの交渉次第――。


     ▼     ▼     ▼


「ダメだよ、そんなつまらない事したらさ」


     ▼     ▼     ▼


「――ッ!?」

それは突然の出来事だった。
4人がお互いを牽制して緊張状態に陥った戦場。
そこに乱入しようと走ってきたクアットロが――。


――爆発と共に宙へと吹き飛んだ。


その背後では赤と黒の爆炎が立ち上っている。
さらに爆炎に煽られて大量の埃も舞い上がっている。
明らかに砲撃、しかも直撃だった。
その場にいた者は皆一様に突然すぎる出来事に注意を呼びかける暇すらなかった。

だがやはり最初に行動を起こしたのはクアットロと最も縁が深い片翼の戦士だった。

「うおおおおおおおおおおおおおおお」

この時当事者の一人であるなのはもまた突然の事態に一瞬動きを止めてしまった。
だが急転直下の戦場はなのはに考える間さえ与えてはくれなかった。
突然アンジールが悲しみの叫びを上げると、クアットロを抱えて戦線から離脱したのだ。
その様子から二人の間に並々ならぬ関係があった事は明白だが、とりあえず尋常な雰囲気ではなかった。
まだきちんと話し合いも出来てない上に負傷した身でクアットロを抱えてどこまで移動できるかどうか。
さすがにこのまま一人にするのは不味いと考えて、引き留めようとしたが――。

「アンジールさ――」

――呼びかけようとしたなのはの声は無情に放たれた砲撃音でかき消されてしまった。

(くっ、これじゃあ……)

間断なく放たれる砲弾は着弾のたびに爆炎と爆煙を生み出し、なのは達を迂闊に動けない状態にさせるものだった。
砲撃が凄まじいといっても、なのはにとっては反射的に展開したシールドで防ぎきれる程度ではある。
だが爆発の影響で発生する炎と煙は想像以上に厄介で、一時的ではあるが視界は悪化してしまう。
そのおかげでなのはもカブトもアンジールの行方を完全に見失っていた。
それと同時にもう一人この場からいなくなっている人物に気付いた。

「おい、さっきの銀色の奴もいないぞ」
「たぶんアンジールさんを追いかけていったんでしょうね」
「お前もそう思うか。で、どうする?」
「あっちは任せましょう。私達は……」
「……この砲撃手をどうにかした方が良さそうだな」

先程の一件で銀色の鬼が実は殺し合いを望んでいない事は二人とも感じ取っていた。
伝聞の情報と直に見聞した情報では後者の方が信じられる。
それに伝聞情報の一端を要注意人物である金居が一助していた事も判断材料であった。
二人は自分達の判断を信じてこの場に残って砲撃手を倒す事を選ぶのであった。

「ん? 砲撃が止んだ……」

それはつまり反撃の時が訪れた事を意味していた。


     ▼     ▼     ▼


(このままでは、終われませんわ……)

一寸先は闇。
数秒前までは意気揚々としていたクアットロは現在死に瀕していた。
至近距離で榴弾の爆発を諸に浴びた身体には目を背ける余地もないほど酷い火傷を負っていた。
艶やかだった栗色の髪の半分はざんばらに振り乱れて、もう半分は焼け爛れた顔に張り付いている。
最も爆発の威力を受けた部分には榴弾の破片が無数に突き刺さって、そこから吹き出す血は血まみれの身体をさらに赤く染めていた。
それも背後からRPG-7の砲撃を直撃したのだから当然の結果だった。

だがそこは戦闘機人。

もしクアットロが生身の身体なら直撃の時点で確実に五体は千切れて一瞬で死んでいた。
半分機械の身体だからこそ即死だけは避けられたのだ。
さらにとっさにデイパックを盾にした事も命を長らえた一因となっていた。
そのおかげでデイパックは木っ端微塵になってしまって、中身も大半が使用不能になってしまったが。
しかし即死こそ避けたとはいえ実際のところクアットロに助かる見込みはなかった。
戦闘機人ゆえに即死を免れたが、逆に戦闘機人ゆえに通常の回復手段は効果が薄いのだ。
唯一スカリエッティのアジトに行けばなんとかなるかもしれないが、どう計算しても時間的に着くまで生きている可能性は皆無だ。
一気に移動できる地上本部の転移魔法陣を使っても間に合いそうにない。

(なんで、私が、こんな目に……)

何が不味かったのだろうか。
アンジールと離れずに一緒に行動するべきだったか?
シャマルと十代から目を離すべきではなかったか?
もう少し違う形のアプローチをキャロに仕掛けるべきだったか?
はやてを切り捨てずに利用し続けるべきだったか?

ほんの少しでも『皆で協力してプレシアを倒す』などという虫の良い甘い考えを抱いてしまったのがいけなかったのか?

(ははっ、いまさら悔いても仕方ないですね……そう、今はそれよりも……)

もう首を動かすのも儘ならぬほど血まみれの頭を上げ、ぼんやりと霞む目を向けるとアンジールの姿が見えた。
先程から断続的に上下に揺れている自分の身体からもアンジールに抱えられている事は明白だ。
しかも背と膝下に手を入れているので、どうやら俗に云う「お姫様だっこ」という姿になっているらしい。
こんな状態でなければ何か特別な感情を抱いたのかもしれないが、今はただ虚しいだけだ。
いくら常人を遥かに凌ぐアンジールの脚力でも間に合う事は不可能だ。
なまじ頭が良いばかりにクアットロは自分が生き残る可能性が皆無である事に思い至っていた。
本当ならこのような不条理な状況に文句の一つも言いたいところだが、あいにくそんな余力も残っていない。

(いいですわ……それなら、それで私にも考えがあります……)

だからクアットロは残り少ない命を糧にして静かに考えていた――どうすれば残りの参加者により大きな絶望を与えられるかと。


     ▼     ▼     ▼


「よし! 追い付けた!」

もう残り少ない変身時間を知らせるカラータイマーに焦りを感じ始めていたメビウスの目の前にはアンジールが立っていた。
あの騒動の中、メビウスは爆煙の切れ間から偶然にも戦場から離脱するアンジールの姿を見つける事が出来た。
そしてなのは達の方に目を遣って、一瞬迷った後に追いかける事にした。
確かに『銀色の鬼』と呼んできた別世界のなのはも気になるが、それ以上にアンジールが気に掛かった。
それは目の前で大切な人を失いかねないアンジールの姿にどこか不思議な共感を覚えたからかもしれない。
なによりあのような精神的に危うそうな状態で一人にする方が危険だと思ったからだ。
そのアンジールを見失う前に追いつけた事は辛い出来事が続いていたメビウスを安堵させるものだった。

「あの、すいま――」

だがすぐにメビウスは気付いた。
道路の真ん中で立ち止まっているアンジールの目の前には砲撃を受けた女性が横たわっている事に。
それが何を意味するのかは火を見るよりも明らかだった。
つまり必死の行動も実を結ぶ事はなく、ここへ来るまでに女性は息絶えてしまったと。

「そ、そんな……」

これで3度目だ。
1度目は赤コートの怪人と対峙した時に身を張って時間を稼いでくれたクロノ。
2度目はほんの少し前ゼロによって殺された壮年の戦士。
どちらもミライの目の前で死んでいった参加者――メビウスの力が、ミライの力が、後一歩及ばないばかりに。
実際どの状況でもミライのせいで二人が命を落としたとは言えない。
いつでもミライはウルトラマンとして、デスゲームを打倒する者として、精一杯やってきた。
しかし自分のせいではなかったとしても、心優しきミライは後悔してもしきれなかった。
既に先程までメビウスが抱いていた安堵は後悔へと変貌していた。

「くそっ……!」

小さな嘆きを口にしたきりメビウスはアンジールの背後に立ったまま黙っているしかできなかった。
こういう時は下手に言葉をかけるよりは黙っていた方がいい。
そう思った故でもあったが、それ以上に少し前にも同じ経験をした身としてかける言葉が見つからなかった。
静寂の暗闇の中でカラータイマーが点滅する光と音が一層虚しく感じられる。
やはりこういう時気の利いた事が上手くできない自分はまだまだだなと居たたまれなくなる。
傷心のアンジールの背中を目の前にしてメビウスは自分の不甲斐なさに打ちひしがれていた。

だから――。

「約束しよう、クアットロ」

――その言葉と共にアンジールが振るった刃に驚かされた。

「!?」

急な下段からの斬撃に対してメビウスは反射的にメビウスディフェンサークルを展開した。
先端が欠けた大剣と光の盾がしのぎを削って拮抗状態になったかのように見えた。
しかし今のメビウスにとってその判断は誤りだった。
あまりの急展開にメビウスは失念していたのだ――変身時間の残りがもうない事に。

『ピコン、ピコン、ピ――』

刹那の拮抗を齎した∞のバリアはカラータイマーの沈黙と共にあっさり砕かれ、メビウスの変身が解けたミライに刃が襲いかかる。
バリアを張るために突き出していた右腕がメビウスブレスごとバスターソードで無残に斬られていく様子がひどくスローに見えた。

(なのはちゃん、ごめん……)

奇しくもバスターソードの描く斬撃はセフィロスの正宗が斬り付けた傷口と同じ場所をなぞっていた。
そして二度と奇跡は起きなかった。


     ▼     ▼     ▼


「アンジール、様……」
「クアットロ喋るな! 今すぐ俺達のアジトに――」
「もう、無理ですわ……この傷ではアジトまで、は……」
「そんな事はない! 俺の力なら――」
「アンジール様も、分かっているのでしょう」
「…………ッ」
「大丈夫です。私、寂しくはありませんから」
「そ、それは」
「アンジール様が生き返らせてくれる。私は、そう信じています」
「!?」
「私だけじゃありません。きっとディエチちゃんも、チンクちゃんも、そう信じているはずです」
「それは……」
「だからお別れは少しの間だけです。私達のためにも、アンジール様は……このデスゲームで最期の一人になってください……」
「……クアットロ」
「……またお会いできる時を楽しみにしています」


     ▼     ▼     ▼


その瞬間が来るまでアンジールは自分の処遇を決めかねていた。
もちろんアンジールが悩む原因は天道だ。
決着は付かなかったとはいえあのままなら負けていたのは間違いなく自分だ。
しかも天道には自分と同じく妹がいるらしい。
その天道の言葉だからこそ少なからず共感できるものがあったのは事実だ。
だが一方で本当にそれでいいのだろうかという疑念も渦巻いている。
孤高を貫くか、手を取り合って協力するか。
アンジールはデスゲームに於いて重大な岐路に立っていた。

だが岐路を決するきっかけは呆気なく訪れた。

突如戦場に届いた新たな乱入者の声。
その声の主をアンジールは知っていた――いや知っているどころではない。
聞き間違えるはずがない。
それはまさしくアンジールが守らんとする者、もう唯一人となってしまった大事な妹の声だった。

だがその妹は突然の砲撃で瀕死の状態に陥ってしまった。

あの瞬間の紅い炎と赤い血を周囲に撒き散らせながら宙に吹き飛ばされるクアットロの姿が何度もフラッシュバックする。
近くにいたにもかかわらずアンジールは何もできなかった。
その直前まで天道の言葉に従うか悩んでいたせいで反応が遅れたからだ。
だから最初何が起こったのか理解できずにただ見ているしかできなかった。
そしてクアットロが地面に叩きつけられて、ようやく事態を理解した。

それからほとんど反射的にクアットロを抱えて走り出していた。
スカリエッティのアジトへ行けばまだ生きる望みはあると思ったからだ。
だが心の底ではアンジールも分かっていた。
いくらソルジャーの脚力を以てしてもクアットロはアジトに着くまでに死んでしまう。
それは逃れようのない事実だった。
だがそうだとしてもアンジールは立ち止まる気はなかった。
もう自分が知らないところで妹が死んでいくのは耐えられない。

だがそんなアンジールの行動も虚しくクアットロは最期の言葉を残して死んでいった。

クアットロの最期の表情は今まで見た事もないような笑みが浮かんでいた。
だからアンジールは決意した。
なんとしてもこのデスゲームの最期の一人になると。
それこそ自分が守れなかった妹達に出来る唯一の贖罪。

「ミライの旦那ぁぁぁ」

少し思いに耽っていると、突然それを中断させる声がした。
ふと見ると、今しがた斬り捨てた参加者のデイパックから持ち主を呼ぶ声が上がっていた。
どうやら醜い絵柄のカードからその声は発せられているようだった。

「なんで、ミライの旦那を殺したんだ」「そうだ、なんでだよ」「この鬼、悪魔」

しかし本来なら愛嬌あるその声は決意を新たにした今のアンジールにとって耳障りでしかなかった。
だから何の感情も宿さず右手を前に付きだすとアンジールはただ一言言い放った。

「ファイガ」


     ▼     ▼     ▼


全ての元凶は数時間前に遡る事になる。

「えー、なんだよ。俺が狙っていた奴ほとんど死んでいるじゃんか」

どこにでもあるような灰色のコンクリート製の雑居ビルの2階の主は3回目の放送が終わるや否や早速不満の声を上げていた。
声の主は最強のアンデッドを自負するキング。
コーカサスオオカブトムシの祖であるカテゴリーKは未だ放送前のメビウスとの戦闘の傷を癒している最中であった。
1万年ぶりの敗北を味わったせいかキングを着飾る赤ジャケットと色とりどりのアクセサリーもどこかくすんで見える。
だが不満の声が上がったのは敗北による不愉快に加えて先の放送が原因だ。
実はこの放送でキングが目を付けていた参加者が大量に死んでしまっていた。

浅倉にはもっと暴れてもらって是非とも非道な仮面ライダーとして天道と対決してもらいたかった。
ミラーワールドで新たな殺し合いを開いたまでの首尾は良かったが、どうやらその戦いで死んだらしい。
自分で開いた殺し合いで自分が死んでは洒落にもならない。

キャロもあそこまで追い詰めて覚醒させてから全く会えなかった。
出来る事なら天道と再会させたかったが、それももう叶わず。

ルーテシアとフェイトも伝え聞いた話や『CROSS-NANOHA』の内容から想像するに、キャロと同様に心を抉ればさぞかし面白いものになったかもしれない。
結局その二人には一度も会う事もないままどこかで死んでしまった。

そしてルルーシュとシャーリー。
せっかくゼロの格好を手に入れたのだから是非とも二人に会って反応を楽しみたかった。
特にシャーリーはどんな顔をするのか想像するだけでワクワクしていたほどだ。
だがそれも二人の死亡によって無駄になってしまった。
しかもこれで生き残っている参加者の中でゼロの事を直接知っている者は誰もいなくなってしまった。

なんともキングにとっては不愉快な事ばかりであった。

メビウスとの戦闘のダメージはアンデッドの回復力と手持ちの『治療の神 ディアン・ケト』を連続使用する事でほぼ回復した。
もうすでに普通に動く分には問題ないが、完全回復まではもう少しかかりそうだ。
もし今戦う事になれば雑魚相手なら支障はないが、メビウスやジョーカー相手だと少し厳しいかもしれない。
だが先程までと違って今のキングにはこれと言って急ぐ理由はなかった。
とりあえず反応が気になる参加者のほとんどが死亡した事で新たな獲物が欲しいところだ。

雑居ビルの近くをかなりの速度でアンジールが走り去っていったのはそんな時だった。

(へぇ、しばらく見ないうちに派手に戦っているじゃん)

大通りを一心不乱に北進するアンジールを追跡する事数十分。
追いついた先で繰り広げられていたのは仮面ライダーとソルジャーの戦いだった。
その様子をキングは近くの雑居ビルに潜んで観察していた――どうすればより面白くなるかを考えながら。
だがキングが介入する前に突然乱入してきた人物によって戦いは中断してしまった。
その人物はキングもよく知る人物。
放送前に一戦交えてキングに苦汁を嘗めさせたウルトラマンメビウスことヒビノ・ミライだった。

そのせいでこの場は膠着状態になってしまったが、その均衡は思わぬ形で崩れる事になった。

(ん、誰か来た?)

常人を遥かに上回るアンデッドの聴覚が捕らえたのはクアットロの足音だった。
クアットロに関しては『CROSS-NANOHA』で既に把握していたのですぐに分かった。
特徴的な敵方として、またある意味自分と似た者だったというのがすぐ分かった一因だ。
そのクアットロがどうして急いで戦場に向かっているのか、その理由はすぐに分かった。

『それから、あの銀色の……どうやらアレも殺し合いには乗って居ないように見えますけど……』
『――上手くいけば、この場の全員を仲間に出来る……?』

その言葉だけならまだ4人を騙して上手く取り入ろうとしているのかと思った。
だが次の一言でキングの行動は決まった。

『さあ、みんなで協力してこのデスゲームから脱出しましょうか』

そしてキングはクアットロを砲撃した。
理由は簡単。
あのままクアットロに説得の機会を与えればせっかくの火種が台無しになってしまうからだ。
そうなる前に自ら手を出して火種を作る方が面白くなりそうだった。
結果は上々。
クアットロはRPG-7の直撃を受けて死亡、アンジールはそのクアットロを抱えて離脱。
それを追いかけてメビウスも離脱。
ついでに殺害ボーナスも手に入った。
予想外に場が一転したのでキングとしては満足だった。

「さて、どうしようかな」

この場に残っているのは高町なのはと天道総司。
二人にとって今のキングが扮しているゼロは完全に敵だ。
しかもゼロの衣装を解いても放送でペンウッドとC.C.の名前が呼ばれた以上二人ともキングを味方とは思っていないだろう。
それにRPG-7も殺傷力のある榴弾は全弾使い切って残っているのは照明弾とスモーク弾だ。
それならそれでアンデッドの姿に戻って戦うのも一興だが、それでは芸がない気もする。

「なにか面白い物ないか……ん、あれって……」

銀色のトランクケース。
それは砲撃の影響で誰かのデイパックから零れたのかキングの足元に転がっていた。
さっそく中身を確認してみると、キングは思わず目を輝かせた。
そこに入っていた物は銀色に輝くベルトだった。

「やった、良い物見っけ!」

その笑顔はまさしく面白い玩具を見つけた子供のような純真な笑みだった。


【1日目 夜中】
【現在地 D-2 スーパー前】

【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】健康、少し満足
【装備】ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔法と魔法少女たち、キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード、デルタギア一式@魔法少女リリカルなのは マスカレード、デルタギアケース@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式、おにぎり×10、ハンドグレネード×4@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ボーナス支給品(未確認)、ギルモンとアグモンとC.C.のデイパック(道具①②③)
【道具①】支給品一式、RPG-7+各種弾頭(照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、トランシーバー×2@オリジナル
【道具②】支給品一式、菓子セット@L change the world after story
【道具③】支給品一式、スティンガー×5@魔法少女リリカルなのはStrikerS、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GX
【思考】
 基本:この戦いを全て無茶苦茶にする。
 1.デルタのベルトで遊ぶのも面白そうだね。
 2.『魔人ゼロ』を演じてみる(飽きたらやめる)。
 3.はやての挑戦に乗ってやる。
 4.ヴィヴィオをネタになのはと遊ぶ。
【備考】
※キングの携帯電話には『相川始がカリスに変身する瞬間の動画』『八神はやて(StS)がギルモンを刺殺する瞬間の画像』『高町なのはと天道総司の偽装死体の画像』『C.C.とシェルビー・M・ペンウッドが死ぬ瞬間の画像』が記録されています。
※全参加者の性格と大まかな戦闘スタイルを把握しています。特に天道総司を念入りに調べています。
※八神はやて(StS)はゲームの相手プレイヤーだと考えています。
※PT事件のあらましを知りました(フェイトの出自は伏せられたので知りません)。

【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】健康、疲労(小)、変身中(カブト)
【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、カブトゼクター@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式、『SEAL―封印―』『CONTRACT―契約―』@仮面ライダーリリカル龍騎、爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸
【思考】
 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。
 1.砲撃手を倒す。
 2.一応あとで赤と銀の戦士(メビウス)の思惑を確かめる。
 3.高町と共にゆりかごに向かい、ヴィヴィオを救出、何としても親子二人を再会させる。
 4.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。
 5.エネルを捜して、他の参加者に危害を加える前に止める。
 6.キングは信用できない。
【備考】
※首輪に名前が書かれていると知りました。
※天道自身は“集団の仲間になった”のではなく、“集団を自分の仲間にした”感覚です。
※PT事件とJS事件のあらましを知りました(フェイトの出自は伏せられたので知りません)。
※なのはとヴィヴィオの間の出来事をだいたい把握しました。
※アンジールは根は殺し合いをするような奴ではないと判断しています。
※ゼロの正体はキングだと思っています。

【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、バリアジャケット展開中
【装備】とがめの着物@小話メドレー、すずかのヘアバンド@魔法少女リリカルなのは、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式、弁慶のデイパック(支給品一式、いにしえの秘薬(空)@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER)
【思考】
 基本:誰も犠牲にせず極力多数の仲間と脱出する。絶対にヴィヴィオを救出する。
 1.砲撃手を倒す。
 2.出来れば銀色の鬼(メビウス)と片翼の男(アンジール)と話をしたいが……。
 3.天道と共にゆりかごに向かい、ヴィヴィオを探し出して救出する。
 4.極力全ての戦えない人を保護して仲間を集める。
【備考】
※金居とキングを警戒しています。紫髪の少女(柊かがみ)を気にかけています。
※フェイトとはやて(StS)に僅かな疑念を持っています。きちんとお話して確認したいと考えています。
※ゼロの正体はキングだと思っています。

【チーム:スターズチーム】
【共通思考】
 基本:出来る限り全ての命を保護した上で、殺し合いから脱出する。
 1.まずは現状確認。
 2.協力して首輪を解除、脱出の手がかりを探す。
 3.出来る限り戦えない全ての参加者を保護。
 4.工場に向かい首輪を解析する。
【備考】
※それぞれが違う世界から呼ばれたという事に気付きました。
※チーム内で、ある程度の共通見解が生まれました。
 友好的:なのは、(もう一人のなのは)、(フェイト)、(もう一人のフェイト)、(もう一人のはやて)、ユーノ、(クロノ)、(シグナム)、ヴィータ、(シャマル)、(ザフィーラ)、スバル、(ティアナ)、(エリオ)、(キャロ)、(ギンガ)、ヴィヴィオ、(ペンウッド)、天道、(弁慶)、(ゼスト)、(インテグラル)、(C.C.)、(ルルーシュ)、(カレン)、(シャーリー)
 敵対的:アーカード、(アンデルセン)、(浅倉)、相川始、エネル、キング
 要注意:クアットロ、はやて、銀色の鬼?、金居、(矢車)、アンジール
 それ以外:(チンク)・(ディエチ)・(ルーテシア)、紫髪の女子高校生、(ギルモン・アグモン)


     ▼     ▼     ▼


赤く立ち上る炎を背に受けて天使の姿をした悪魔は歩き出す。
炎の原料となるのはファイガによって燃やされたカードと、その持ち主のなれの果てである死体と荷物。

「悪魔か、それでもいいだろう」

亡き妹達の願いを叶えるなら天使でも悪魔でもなんだっていい。

「悪魔なら、悪魔らしいやり方で叶えるだけだ」

もうこの手に誇りも夢もない。
その象徴だったバスターソードは最期の一撃で砕けてしまった。
今まで戦闘でそこまでダメージがあったのだろうか。
だが逆に踏ん切りがついた。
もう今の自分にはあの剣は似合わない。
今の自分にはこの『反逆』という名を冠する剣の方が似合っている。
そうだ、先程までの悩んでいた自身に反逆するには実に相応しい。

幽鬼のように歩き出した今のアンジールには夢も誇りもない。
今のアンジールにあるのは亡き妹の願いという名の呪縛だけだった。


【1日目 夜中】
【現在地 D-2 東部】
【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
【状態】疲労(大)、深い悲しみと罪悪感、脇腹・右腕・左腕に中程度の切り傷、全身に小程度の切り傷、願いを遂行せんとする強い使命感
【装備】リベリオン@Devil never Strikers、チンクの眼帯
【道具】支給品一式×2、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
 基本:最後の一人になって亡き妹達の願い(妹達の復活)を叶える。
 1.参加者の殲滅。
【備考】
※ナンバーズが違う世界から来ているとは思っていません。もし態度に不審な点があればプレシアによる記憶操作だと思っています。
※『月村すずかの友人』のメールを確認しました。一応内容は読んだ程度です。
※オットーが放送を読み上げた事に付いてはひとまず保留。


【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS  死亡確認】
【ヒビノ・ミライ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは  死亡確認】

【全体備考】
※クアットロの荷物は砲撃で木っ端微塵になりました(それなりに強度のある物なら残っているかもしれません)。
※D-2東部の路上でミライの死体と荷物が全て燃え尽きました。なお近くに折れたバスターソードが放置しています。

【リベリオン@Devil never Strikers】
アンジールのデイパックに転送されたボーナス支給品。
「反逆」の名を冠した大剣。


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