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日々の未来(5) ◆gFOqjEuBs6




 メビウスの遥か前方の雑居ビルに、馬鹿でかい穴が開いていた。
 それは今し方自分が開けた穴。コーカサスを吹っ飛ばした穴だ。
 穴の奥を凝視すれば、コーカサスアンデッドがもう一度立ち上がり、走り出していた。
 奴の考えは解る。先程まで圧倒的に有利であった自分が、こうも一方的にやられる事が納得出来ない。
 だからそんな事実を覆さんと、何度でも立ち上がり、メビウスを倒す為にその拳を振るう。

「そんな筈がない! メビウスなんかに、この僕が!!」
「このメビウスには、ミライと、俺達の想いが込められている!」
「そうだ……! 最早お前如きに負けるような力じゃない!」

 アンジールに続いて、天道が声高らかに宣言した。
 それに同調する様に、黄金の光の中、一同が一歩を踏み出す。
 この光の中で、自分達の想いは一つとなった。“守りたい”と願う心が、一つの光になれたのだ。
 守りたい者もない、自分の為だけにたった一人で戦い続けるキングなぞに、絶対に負けはしない。
 両腕を大振りに、駆け抜けるコーカサスアンデッドに、メビウスが構え直した。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉあぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」

 我武者羅な動きだった。
 重厚たる黄金の装甲で繰り出される、右のハイキック。
 それをメビウスに叩きつけようと振り上げる。
 奴の狙いはたった一つ。メビウスの頭部を打ち抜くつもりだ。
 だが、狙いが見えているのであれば、防ぐ事など容易い事。
 両腕の甲を突き出し、ガードの姿勢を取った。
 黄金の脚に、作った両腕の甲を自らぶつけに行く。
 コーカサスのキックがメビウスの腕に命中した瞬間に、弾ける黄金の光。
 一瞬で決着はついた。微動だにしないメビウスと、体勢を崩し、脚を下ろしてしまうコーカサス。

「ハァッ!」

 今度はメビウスが、その拳を真っ直ぐに突き出した。
 爆炎と眩き光を奔らせたメビウスのストレートパンチが、コーカサスの胸部を強打。
 胸部装甲がめきめきと音を立てて砕け、緑色の血液が噴き出す。
 されど、拳が命中した場所から湧き上がった炎と光で、そんな血液はすぐに蒸発。

「なんで……なんで!」
「おばあちゃんが言ってた。大切なのは、最後まで諦めずに立ち向かう事――」

 メビウスが、左足を軸に右脚を振り上げた。
 振り上げた右の脚に、黄金の輝きと、灼熱の炎と――眩き稲妻が宿った。
 仮面ライダーカブトの影をその身に重ねて、振り抜かれるキック。
 一撃必倒の威力を秘めた蹴りが、コーカサスの左肩に叩き落された。
 稲妻と、灼熱と、黄金の輝き。それらがないまぜになった光が、コーカサスを叩き伏せた。
 それでも、流石はカテゴリーキング。黙って倒されるつもりは無いらしい。
 その手に再び破壊剣を具現化させ、それを振り上げる。

「……っらぁ!!」
「夢と誇りをこの胸に……例え僅かな希望でも、勝利を信じて戦う事――」

 メビウスの右腕に装着されたナイトブレスから、光輝く金の剣が生成された。
 そして振り抜かれるは、歴戦の戦士によってのみ繰り出される太刀筋。
 ソルジャークラス1st・アンジールの影をその身に重ねて、光の剣が瞬いた。
 金の光となったメビュームナイトブレードが、刹那の内に破壊剣を切断。
 一切の歪みを許さない切り口から、金の光が溢れ出す。
 ∞の光を撒き散らしながら、消滅してゆく黒金の剣。
 自棄になったコーカサスが、その左腕にエネルギーを集約。
 それを突き出し、至近距離でメビウスに光弾を発射する。

「クソッ……!」
「信じる心……その不屈の心の強さが、不可能を可能にする――」

 両腕を掲げたメビウスが、その腕を胸の前でぶつけ合わせた。
 次いで、カラータイマーから放たれる光は、周囲の全てを飲み込む。
 天をも揺るがす高町なのはの威厳を、その身に宿らせて、放たれる光線。
 カラータイマーから放たれた光の波が、コーカサスの身を包み込んだ。
 メビウスの光が黄金の表面装甲を焼き尽くし、コーカサスの身体をよろめかせる。

「――それが、ウルトラマンだ!」

 体勢を崩し、崩れ落ちようとするコーカサス。
 その胸部に、メビウスが振り抜いた両の拳を叩きつける。
 両腕から爆炎を放出しながらのダブルストレートパンチだ。
 全員の想いを乗せたヒビノミライの放つ一撃が、コーカサスの胸部で爆ぜた。
 当然、装甲を焼き尽くされたコーカサスに、その一撃を受け切れる訳が無かった。
 爆発と共にコーカサスの身体は吹っ飛び、無様にアスファルトを転がった。

「畜生……畜生ぉぉぉぉ……!」

 よろめくキングと、微動だにしないメビウス。
 銀の視線と、緑の視線。二人の視線が交差する。
 無限にも思える刹那の後で、先に動いたのは、メビウスであった。

「皆さん、僕に力を貸して下さい!」

 共に闘う仲間への問いかけ。
 されど、その問いに対する答えは、最早説明するまでもない。
 彼らは今、メビウスの光と一つになった。力も、心も、願いも、一つになったのだ。

「ハッ!」

 その拳を、胸の前で打ち合わせた。
 赤のブレスと、青のブレスが、稲妻を放出する。
 赤の稲妻と青の稲妻が、両の腕を駆け巡る。
 どんな困難にぶつかろうと、諦めずに立ち向かった心の光。
 それが∞の軌跡を描きながら、今まさに新たな奇跡を起こさんと光輝く。
 メビウスの輪を思わせる∞の光が、左腕に赤の炎を増幅させ――次いで、左腕を掲げた。
 青の輝きが、鋭角的な直線を幾重にも輝かせる。右腕に宿るは、眩いばかりの心の輝き。
 そして――

「シュワッ!」

 両の腕を、十字にクロスさせる。
 それは極限まで高められた究極の輝き。
 二つの光と、人間達の心の輝き。それらを限界まで増幅し、撃ち放った。
 放たれた光は、ゴールドの輝きと、ブルーメタリックの輝き。
 二色の極光は空気中で一つに交わり、夜の闇を吹き払って、邪悪へと迫る。

「なっ……うぉぉぉぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!?」

 キングの絶叫。断末魔の叫び。
 メビウスの黄金の輝きの前には、邪悪な黄金などくすんで見える。
 コーカサスアンデッドの持つ黄金の装甲が、焼き尽くされていく。
 メビウスの放った光を真っ向から受け止めて、只で済む訳がないのだ。
 しかし、不死のアンデッドたる存在を、そう簡単に倒せはしない。
 装甲を焼き尽くされ、その身体を焼かれようとも、キングは一歩も引き下がりはしないのだ。
 だけど、所詮それだけの事だ。今のメビウスを止める理由には成り得ない。

「私達はここまで、勝利を信じて共に闘って来た――!」

 突然殺し合いに巻き込まれて、突然人の死を見せつけられた。
 目の前で大切な友達を殺されて……目的を同じくする仲間も殺された。
 掛け替えの無い者を――仲間も、友達も、悪しき毒牙にかけられてしまった。
 何度も挫けそうになったし、何度も諦めかけた。何度も何度も、涙を流した。
 だけど、その度に励ましてくれたのは、ここに居る仲間達だった。
 そうだ。自分はもう、一人ではないのだ。どんな状況に立たされようと、その想いは共にあるのだ。
 散った者も、残った者も……皆、想いは同じ。ただ生き抜く為に、ここまで戦い抜いて来たのだ。

「ああ……残った参加者達の未来は今、俺達に託されているんだ!
 どんな困難にも、負けずに戦って来れた俺たちなら、絶対に守り抜ける――!」

 守りたい。ただ、守り抜きたい。
 その想いが強すぎるが故に、一度は闇に落ちた。
 全ての参加者を殺してでも、守るべき者を守ろうとした。
 しかしそれは、誰よりも愛深き故の――誰よりも優しい心を持ったが故の過ち。
 守ろうとした者は、もう居ない。されど、守ろうとした心は今でも共にある。
 最も愛する者が、最期に他の参加者を守って欲しいと願ったのであれば、迷う必要も無くなるというもの。
 ただ自分の正義に従うままに――全ての命を守り抜く為に、ここで悪を討ち滅ぼす。

「そうだ……俺達に叶えられない夢など無い! 辿りつけない未来も無い――!」

 戦う目的はただ一つ。
 アメンボから人間まで、総ての命を守り抜く事。
 共に過ごした時間はほんの僅かだが、そんな事は関係ない。
 例えこの身が朽ち果てようと、守るべき者の為、命を賭けて戦う。
 共に死線を潜り抜け、想いを重ねた自分達に、辿りつけない未来などあり得ない。
 ここに居る全員で、共に新たな未来を迎える為……今持てる、全力の力を出し尽くす。

「信じるんだ……僕達の力を! 僕達の未来を!」

 僕達の未来。無限に広がる、日々の未来。
 それを守り抜く為に……これからも守り続ける為に。
 未来を信じる心の光が、更なる力を与えてくれる。今ならば、どんな敵にも負ける気がしない。
 信じる心が、放出され続ける5人の魂の光を増幅させていくのが、自分達にも分かる。
 勝てる。一つになった今の自分たちなら、最強のアンデッドだろうが関係ない。
 メビウスの腕から放出される極光が、更に極大に膨れ上がり、コーカサスを襲う。
 スペシウムの熱線に晒され続けたコーカサスの身体には、やがて限界が訪れ――

 ――ドゴォォォッォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

 耳を劈く轟音。
 身を焦がす熱風。
 全てを吹き飛ばす衝撃波。
 それらが一度に押し寄せてきて、メビウスの周囲を更地へと変えてゆく。
 爆発がアスファルトを粉々に砕いて捲れ上がらせ、周囲のビルを吹き飛ばす。
 されど、メビウスは微動だにしない。今更その程度の衝撃で吹き飛ばされるメビウスではないのだ。
 だが、逆にコーカサスはどうか。これだけの爆発エネルギーを直接浴びて、無事で居られるだろうか。

「勝った……」

 一つになったメビウスの中で、誰かが呟いた。
 考えるまでも無い。これだけの大爆発を巻き起こして、無事で居られる訳がないのだ。
 それも爆心地に居たとあれば、尚更助かる可能性は低いと言える。
 もしもこれでまだ生きていたとするならば、正真正銘の化け物――

「いや……まだだ」

 ぽつりと、誰かが呟いた。

「え……まだって、どういう……」
「奴はアンデッドだ。カードに封印するまで、死ぬ事は無い」

 しかし悲しいかな、それが事実。
 アンデッドの王たるキングの恐ろしさは、その怪力だけではない。
 その不死性も、またキングを化け物たらしめる由縁であるのだ。
 やがて、爆心地の視界を覆っていた爆煙が、少しずつ晴れて行った。
 周囲で轟々と燃えあがる火炎。吹き付ける熱風が、嫌に気持ち悪いと感じた。

「は……はは……まさか、ここまでやるなんて……思わなかったよ」
「キング……!」

 最初に口を開いたのは、キングであった。
 黄金の鎧を身に纏ったその姿に、最早先程までの威厳は無い。
 変身状態を保って居る事すらままならないらしく、半分近くは変身が解けていた。
 風に煽られる赤いジャケットが見えたかと思えば、すぐに黄金の外骨格に代わる。
 黄金の外骨格が見えたかと思えば、それは赤のジャケットへと変わる。
 カブトムシの顔と、若い少年の顔。その二つを交互に顕現させながら、キングが嘯いた。

「でも残念だったね! 僕はアンデッド! 絶対に死ぬ事は無いんだ!
 今のお前らに、僕を倒す手段は無いって事! はは……はははははは!!」

 無邪気な笑顔に、最早余裕は感じられない。
 口元からは溢れ出す大量の緑。痣だらけになった顔は見るに堪えない。
 だが、それでも。その不気味な瞳は、未だに諦めてはいなかった。
 ギラギラと、邪悪な光を宿らせて、不敵に笑い続ける。
 これが、絶対に死ぬ事は無い化け物の余裕。

「そんな……! ここまで戦って来たのに……!」
「もう、奴を倒す方法は無いのか……!」

 何度打ちのめされても、挫けずに立ち上がった。
 絶対に守り抜く。その想いを一つに重ね戦い抜いてきた。
 そしてようやく、強敵を討ち倒すだけの力を手に入れた。
 だけど、それだけでは駄目だ。負けは無いが、勝利も無い。
 否……ここで奴を取り逃がせば、もっと大勢の人間が苦しむ。
 その点で言えば、ここで逃げられる事は、負けに等しい。
 不死生物を倒すには、覚悟だけでは足りないのだ。

「皆さん……ここは、僕が行きます。皆さんは、先にここから――」
「お前一人で、何処に行くつもりだ」

 メビウスの光の中で、二人が向き合った。
 揺るがない決意に満ちた表情のミライ。
 それを責めるような瞳で睨み付ける天道。
 緊迫した空気の中、先に口を開いたのはミライであった。

「僕が最後の命の炎を燃やして、キングをこの世界から消滅させます」
「待て……何をしても死なない相手に、そんな事が出来るのか?」
「僕には、ウルトラマンキングから授かったナイトブレスと、皆から貰ったこの光がある。
 僕の持てる全てを奴にぶつければ、不可能な事なんてきっとありません」
「ミライ君、一人で行くつもりなの……?」

 アンジールとなのはが、次いでミライに質問する。
 全てを超越したウルトラマンキングの力。それと、限界をも超える心の光。
 それら全てを炎と燃やし、キングを存在ごと焼き尽くそうと言うのだ。
 そうすれば、確かに如何に不死生物であろうと、一たまりもないだろう。
 だが、それと引き換えにミライの命は――

「皆さんは、僕の生きた証です。どうか、全員でここから脱出して下さい」

 ――散る。
 ここで、キングと心中するつもりだ。
 撃破不可能である筈のキングを消滅させる代償として、自分の命を燃やし尽くすつもりなのだ。
 だが、それでも……ミライの想いを受け継いでくれる人間が、三人もいる。
 きっとこの三人は、最後まで諦めずに困難に立ち向かい、未来を切り拓くだろう。
 そうして、残った参加者を。無限に続く未来の可能性を、守って欲しい。
 だから、ミライはゆく。たった一人でも、もう一人ではないから。
 今のミライは、皆の想いと共にあるから。
 だからもう、何も怖くない。
 怖くはない――。

「悪いが、断る」
「天道、さん……」
「俺達はここまで、共に闘って来た。そして、不可能を可能にした」
「アンジールさん……」
「一人じゃ無理でも、私達全員が力を合わせれば、出来るかもしれないでしょう?」
「なのはちゃん……」

 天道が、アンジールが、なのはが。
 それぞれ全員が、ミライの瞳を強く見据える。
 その表情には、一切の憂いも陰りも感じられない。
 皆が皆、全員でここから生きて帰るつもりなのだ。

「でも……! ウルトラダイナマイトは、何万年と生きるウルトラ族でも寿命を縮めてしまう技なんです!
 そんな技を人間の皆さんが一緒に使ったら、本当に死んでしまいます!」
「ほう……それは恐ろしいな。だが、だからってなんだ?」
「えっ……だからって……!」

 そう。ウルトラダイナマイトとは、命の炎を燃やして、敵にぶつける最大の大技。
 これを編み出したウルトラマンタロウですら、あまりの反動に技自体を封印した程なのだ。
 ダイナマイトを使用したとあれば、タロウやメビウスですらも命を縮めてしまう。
 そのリスクを背負ってメビウスが習得したのが、メビュームダイナマイト。
 普段ならバーニングブレイブ時に使用する技なのだが、先程は仕様に失敗。
 だが、不死鳥の勇者となった今ならば、どんな相手だろうが焼き尽くせるだろう。
 そんな大技を、残りの命を燃やし尽くして使用するのだ。反動が無い訳がない。
 しかし、それでも彼らの表情は揺るがなかった。

「私達は、全員で生きて帰るって言ったんだよ、ミライ君」
「ああ。誰もここで死ぬなんて言ってない」

 なのはの言葉に、アンジールが続けた。
 言った筈だ。ここから、生きて全員で帰ると。
 その為にも、自ら命を散らそうとする仲間を放っておく訳には行かない。
 故に、なのはも、天道も、アンジールも、きっと一歩も引き下がらないだろう。

「分かりました……でも、危険になったら、すぐに皆さんを分離させます」

 ここに一同の想いは再び一つとなった。
 揺るがない決意。曲げられない信念。
 それらを胸に、覚悟完了。
 この場にいる全員で、生き残る為に。
 無限に続いていく、新たな未来を切り拓く為に。

「行こう、皆……!」

 メビウスが、その両腕を広げた。
 右に蒼の輝き。左に赤の輝き。黄金の光が二つの光を繋ぎ合わせる。
 全身に描かれた赤と青の約束の炎が、灼熱の炎となって燃え盛る。
 太陽フレアの如き爆発を巻き起こしながら、灼熱はメビウスの身体を覆った。
 やがてメビウスは炎の弾丸となり――次いで、その形を形成して行く。

「はは……今度は、何をする気だよ……!」

 極大の火球となったメビウスが、その形を変えて行く。
 周囲の全てを焼き尽くさんと、拡げられた一対の翼。
 燃え広がる爆炎。悪を焼き尽くす灼熱。奇跡を起こす勇気の炎。
 それは不死鳥の翼の如き、雄々しき炎。
 このエリアの全てを炎と変えて、燃え上る勇気の不死鳥が、雄々しき雄叫びを上げた。
 やがて炎は――一瞬の内に、キングを飲み込んだ。


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