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魔法少女リリカルなのはBR Stage03 紡がれる絆 ◆19OIuwPQTE




   /07「死闘」



黒い戦斧を振り上げ、迫り来る黒い短剣を弾く。
それだけでバルディッシュを持つ手が痺れ、取り落としそうになる。
それをどうにか堪え、続く二撃目をシールドで防ぐ。
そのまま一旦距離をとり、再び斬りかかる。


ハッキリ言って、僕は戦いには向いてない。
僕が得意とする魔法は、防御や結界などの支援魔法ばかり。逆に、攻撃魔法全
般には全く適正がなかった。
そんな僕が金居を相手にして、今なお接近戦を挑んでいる理由は一つだけ。

金居には遠距離攻撃が効かない。
それは射撃魔法であろうが、砲撃魔法であろうが変わりない。そのどちらもが
金居のバリアに弾かれてしまう。
おそらく、ゼロ距離からならバリアも発生しないだろう。だが、それでは接近
戦を行うのと変わりがない。

つまり僕の目論見は、前提から崩れていたのだ。
どんなになのはが強くても、金居に遠距離攻撃が効かない以上、“砲撃魔導師”
であるなのはの攻撃は、そのほとんどが無意味。必然的に接近戦をしなければ
ならなくなる。
そして今のなのはに、そんな危険を冒させる訳にはいかない。
倒すのなら、金居を先に倒すべきだったのだ。
だけど後悔している暇はない。

今僕に出来る事は一つ。
限界まで時間を稼ぎ、崩落によって出来るだろう空間の穴に、金居を叩き落と
す事だ。
そうすれば金居は、少なくともこの会場には戻ってこれなくなる。
問題は、それまで僕が生きていられるかだ。


現在僕の有利な点は一つ。相手に姿が見えないという事だけだ。
けど金居は、その見えない僕に容易に対応している。

おそらく地面を踏んだ時の足跡とか、バルディッシュを振るった時の風斬り音
とか、あるいは僕自身の気配だとか。
そういった些細な物から判断しているんだろう。

もしこれで僕の姿が見えていたのなら、きっと僕は既に死んでいる。
つまり一瞬でも油断すれば、その場で死ぬ。
けど、他に手段はない。


緊張で呼吸が乱れる。
疲労から足が縺れそうになる。
あまりの実力差に心が挫けそうになる。
その全てを堪えて、眼前の敵へと挑む。

その時だった。

「もう貴様の時間稼ぎにつき合う気は無い!」
「ッ! バルディッシュ!」
『Sonic Move.』

金居が地面を攻撃し、土煙が舞う。
すぐにその意図を察し、離脱する。
だが僅かに遅く、左腕に熱が奔る。

『大丈夫ですか?』
「大丈夫。深くはない。
 それよりも、問題は」

金居を中心に土煙が舞っている。
そこには、僕が移動した跡がはっきり残されていた。
これではステルスの意味がない。

「これで終りだ。無駄な抵抗は止めて、大人しく死ね」
「っ…………!」

そこに僕が攻め入れば、土煙がまた僕の軌跡を残すだろう。
そして僕の居場所を完全に把握できる金居は、容易に僕を殺せる。
かと言って逃げだせば、あいつはなのは達を殺しに行くだろう。
それだけはさせる訳にはいかない。
だから逃げる事は絶対に出来ない。

故にこれで詰み。
戦う事も、逃げる事も封じられた僕は、ただ死を待つしかない。

…………だからと言って、諦める事だけは出来ない!

「ッ! オォォォォオオオオオオッッッッ!!!!!」

せめて一矢報いようと、渾身の力を籠めてバルディッシュを振りかぶる。
ステルスに使っていた魔力さえ攻撃に回す。
金居はそれを当然の様に受け止める。

ブリッツアクションで四肢の動きを加速し、怒涛の連続攻撃を叩きこむ。
だがその全てを、金居は防ぎ続けている。

一度でも守勢に回ればそこで負ける。
息つく間も惜しんで攻め続ける。
その中に僅かな隙を見つけた。
残された体力も少ない。
その僅かな隙に、渾身の力でバルディッシュを叩きこむ。


だがそれを、金居は深くしゃがみ込んで躱した。


それが作られた隙であると理解する間もない。
金居はしゃがんだまま、まま背中が見える程に体を捻じり、黒い短剣を斬り上
げるように降り抜ぬく。
咄嗟に回避しながらシールドを張る。
だが――――

「ジェェアァァァアアアアッッッッ!!!!!」
「――――ッ!!」

敵の渾身の一撃の前に、僕のシールドは容易く切裂かれた。
そのまま上下からの挟み込む様な一撃。
それを見て僕は、ここで死ぬんだと理解した。

「――――ごめん、なのは」

そう諦めの言葉を残す――――直前。

「セイクリッド、クラスター!」

僕と金居の周囲に、複数の小さな魔力弾が穿たれ、爆散した。
金居はその攻撃に驚き動きを止め、土煙が相手の姿を隠せそうなほどに舞い上
がる。
その隙にどうにか距離を取り、安全圏まで離脱する。


目の前に、今の攻撃を行った人物であろう、どこか見覚えのある少女が降り立
った。
この少女は一体誰なのかと考えて、そもそもこの会場には、残り四人の人物し
かあり得ない事に思い至る。

「君は……一体……?」
「大丈夫? ユーノさん」

そのどこか聞き覚えのある声を聞いて、少女の格好にも見覚えがある事に気づ
く。
なのはと同じ結い方の金色の髪。似通った形状のバリアジャケット。
そして、緑と赤のオッドアイ。

「まさか、ヴィヴィオ!?」
「うん。そうだよ、ユーノさん」

改めてその顔を確かめれば、確かに面影が色濃く残っている。
それに今更ながらに気付いた事だが、彼女はその手足にマッハキャリバーとケ
リュケイオンを装備している。
これで気づかない方がおかしい。

「でもその姿は、一体……」
「それは後で。今はあの人の相手をしなきゃ」
「――――ッ! そうだね、話はあいつを倒してからだ」

ヴィヴィオの視線の先では、晴れていく土煙の中に金居の姿が見えている。
あいつの表情は判らないが、その気配が険呑としている事は感じ取れる。

「ヴィヴィオ。君は前衛と後衛、どっち?」
「前衛だよ」
「それならバルディッシュを渡す。代わりにケリュケイオンを渡して。
 後方支援は僕の領分だ」
「うん、わかった。
 バルディッシュ、力を貸してくれる?」
『Of course.』

バルディッシュと交換したケリュケイオンを装着する。
ヴィヴィオも慣れたような手付きでバルディッシュを構える。
金居との距離は十メートルもない。

「気をつけて。あいつに遠距離攻撃は効かない。
 射撃にしろ、砲撃にしろ。撃つならゼロ距離からだ」
「わかった。行くよ、バルディッシュ!」
『Yes sir. Haken Form.』

先制はヴィヴィオ。
バルディッシュがその姿を光刃の大鎌へと変化させ、僕とは比べ物にならない
威力の力で、金居に向けて一撃する。
僕は攻撃対象にならないよう、再びステルスで姿を隠す。

対する金居は、ヴィヴィオの一撃を金色の短剣で防ぎ、もう一つの短剣でヴィヴィオへと攻撃する。
だがそれは、突如出現した虹色の障壁に阻まれた。

「今だ! ケリュケイオン!」
『Boost Up. Acceleration.』
「もう一つ!」
『Boost Up. Strike Power.』

その隙にヴィヴィオにブーストを掛ける。
それによりバルディッシュの光刃は、通常よりもさらに大きな刃となっていた。


大鎌による攻撃の特徴に、防御の難しさがある。
生半可な防ぎ方では、肝心の刃が回り込むように届いてしまうのだ。
ましてや、ブーストにより巨大化した今の光刃なら尚更だ。

金居とてそれは百も承知している。
大鎌を防ぐうえで最適な、面での防御手段を持たない金居は、ヴィヴィオの攻撃を全て回避するか、受け流している。


「ハアッ!」
「チィッ!」

ヴィヴィオが金居へと攻撃すれば、金居はそれを躱す。
その隙にもう一つの短剣で斬りかかれば、障壁に阻まれ距離を取られる。
攻撃の速さはヴィヴィオが。手数の多さは金居が強く。一撃の威力はほぼ同等。
双剣と大鎌がぶつかり合う度に、激しい衝撃が大気を揺るがす。

―――それはもはや、僕では届かない領域の戦いだった。



   /08「受け継がれるもの」



光刃の大鎌を振り抜く。
金居はそれをうまく躱し、隙だらけとなっている私の懐に斬りこんでくる。
だがそれは、私の体から発生する虹色の障壁――聖王の鎧によって防がれる。

その隙にバルディッシュを振り抜き、僅かに距離を取らせる。
そこにもう一閃。今度は刃を引っ掛けるように旋回させる。
金居はそれを双剣で受ける。
だがそのまま堪えるのではなく、体と双剣を逸らして受け流す。

マッハキャリバーで急速後退。
反撃を受ける前に距離を取る。


金居の攻撃は、その大半が魔力の障壁――聖王の鎧によって防がれている。
だが、それに安心する事は出来ない。
ゆりかごに直結していない今、聖王の鎧の防御力は以前に比べて数段劣る。
ある程度力を籠められた攻撃ならば、その筋力と相まってバリアを抜いてくる
事もあるだろう。
だから、それを可能とする程の隙を与える訳にはいかない。
故に取りうる戦法はヒット&ウェイ。
ソニックムーブとマッハキャリバーによる一撃離脱―――ではない。

その姿から、金居とキングはおそらく同じ存在だろう。
つまり、なのはママから伝え聞いたその回復力も同じである可能性がある。
現に、私達が金居から逃げ出した時に、金居はユーノさんによる砲撃の直撃を
受けたはずなのに、大してダメージを受けた様子がなかった。

ならば金居を倒すには、その回復力を超えた一撃が必要と言う事。
つまりこの戦いは、先に必殺の一撃を決めた者が勝者となるのだ。


バルディッシュの柄を短く持ち、小さく半回転する様に刻む。
ブーストによって強化された魔力刃は、もはやそれだけで脅威だ。
その巨大な刃は、双剣を交差して受け止めた金居を僅かに後方へと弾く。

そこにバルディッシュを槍の如く突き出す。
金居は状態を逸らして躱し、そのままバク転で距離を取る。
金居の視線が私から外れた僅かな隙に、その背後へと高速移動する。
そのままバルディッシュを一際大きく振りかぶり、

『Haken Slash.』
「ッ――――!?」

力の限りバルディッシュを振り抜く。
強化された大鎌の光刃は、受け止めた所でその守りごと切り裂くだろう。
金居はそれを深くしゃがみ込むことで躱す。
私の体は慣性に従い、金居に背を向ける事となる。
それを好機と見た金居が双剣を振り上げ、力を籠める。
聖王の鎧を破るには十分な威力が籠められた双剣が、私へと襲いかかる。

直前、下方からの奇襲があった。
私に必殺の一撃を叩き込まんとした金居に、巨大な刃が襲いかかる。
慣性によって金居に背を向けた私は、魔力刃にマッハキャリバーで更なる遠心
力を与え、その回転方向を制御したのだ。

地面から刃が生えたと錯覚しそうな振り抜き。
金居は辛うじて半身になって避ける。
そこに左手を突き付ける。

「プラズマスマッシャー!」

ゼロ距離から砲撃を叩きこむ。
それにより金居は大きく撃ち飛ばされる。

「バルディッシュ!」
『Zamber Form.』

バルディッシュを大剣へと変化させる。
金居の強さはもう理解している。
故に、敵が体勢を立て直す前に、強大な一撃で打ち倒す。

「撃ち抜け、雷神!」
『Jet Zamber.』

長大化した魔力刃による一閃。
武器の延長と判定されたのか、遠距離攻撃を無効化するバリアは発生せず、その身体を魔力刃が切裂いた。

だが、金居はまだ倒れてはいない。
マッハキャリバーで金居へと接近する。
あれで倒せないのなら、直接その首か心臓を断ち切る。

流石にダメージがあったのか、金居は片膝を突いたまま動かない。
バルディッシュを金居に向けて振り下ろす。

「……俺を……」
「――――っ!」

ガキィン、と音を立てて防がれた。
バルディッシュは交叉された双剣によって受け止められている。

金居が立ち上がる。
双剣はバルディッシュを受け止めたままだ。
その両腕は、見て判る程に力が込められている。

「俺を、舐めるなァァアアアッッッ!!!!」
「なッ――――!!!」

そのあまりの斥力に、バルディッシュを持つ手が跳ね上げられる。
その瞬間バルディッシュが蹴り飛ばされ、さらに足払いを掛けられる。
私の体が崩れた体制のまま宙に浮いた。

「オォオオラァアアッッッッッッ!!!!!!!」
「ッ――――――ガハッ!!!」

顔を掴まれ、一回転。そのまま地面に叩き付けられた。
あまりの衝撃に呼吸が止まり、心臓が不整脈を起こす。
地面からのバウンドでありながら、かなりの高さまで跳ね上げられる。
そこへさらに金居の追撃が入る。

「ジェアァァァアアアアアアッッッッッ―――――!!!!!」
「ッッッ―――――!!!!」

振り上げられた双剣。
そこに膨大な量のエネルギーが集束し、二色の光に輝きだす。
そこから想定される威力に背筋が凍りつく。

「ラウンドシールド!」
『Enchant. Defence Gain.』

反撃も回避も間にあわない。
全魔力を防御に集中させ、少しでもダメージを減らそうと試みる。
そこへさらに、ユーノさんとケリュケイオンによる防御支援も加えられる。
だが―――

「ハアァァァァァ――――――ッッッッッ!!!!!」
「ッガァァアアアッッッ――――――!!!!!」

極限まで高められたその一撃は、それの守りを全て粉砕した。


勢い良く地面に叩きつけられる。
体は何十メートルも転がり、一つの大きな瓦礫に激突した。
その衝撃で瓦礫は崩れ、私の体はそこでようやく止まってくれた。

瓦礫で体を支え、ふらつく頭を手で押さえながら立ち上がる。
その時だった。

パシャリと、水溜りでも踏んだかのような音がした。
周囲からは、どこか鉄のような臭いがする。
それを不思議に思い、足元を見れば、

そこには夥しい量の血溜まりがあった。

僅かに混乱していた頭が漂白され、一気に冷静さを取り戻す。
まるで冷水を頭から被ったかの様に青ざめる。
それ程までに、この光景は衝撃的だった。


この血溜まりは自分の物ではない。
防御が功を奏したのか、私には大出血をするような傷はない。
それに、これがただ一人の人物からの出血だとすれば、
これは既に致死量を超えている。

私は思わず周囲を見渡してしまい、一目で “ソレ”を見つけてしまった。


“ソレ”は両足を潰され、首を切断された、私の知ってる誰かの死体だった。


ホントは、何となく予想していた。
あれほど激しく戦っても、いっこうに姿を現さない二人。
最初に金居から逃げた時の、ユーノさんの言葉。
きっと二人はもう、死んだのだと分かってた。

…………出来れば、知らないままでいたかった。
それが現実逃避だという事も。いつかは絶対に知る事になるのも理解している。
けど、だからと言って、せめてこんな風に死んだなんて知りたくなかった。

心の底から、怒りが沸々と湧き上がるのがわかる。
あいつを許せないという感情が強くなる。
けど―――

『ヴィヴィオ』
「……大丈夫。ちゃんと、頑張れるから」

怒りも悲しみも、憎しみも受け入れる。
どれも大切な私の感情の一つだから。
けど二度と、それに飲まれたりはしない。

なのはママに、強くなるって約束したから。
だから負けない。他の誰かに負けるのはいい。
けど、自分にだけは負けられない―――!

私の戦う理由は、怒りや憎しみじゃなくて、大切な人たちを守るため。
こんな、悲しみしか生まない争いを終わらせるために、戦うんだ。
だからこんな所で、立ち止まってなんかいられない。


スバルの亡骸から、リボルバーナックルとデイバックを受け取る。
彼女がそれらを装備したままだったのは、瓦礫に潰され隠れていたからだろう。
それが、私がぶつかった際に瓦礫が砕け、露出したのだ。

デイバックからもう一つのリボルバーナックルを取り出し、装備する。
サイズは私に最適化されたが、色彩は白系統のまま。
多分、マッハキャリバーがそうしたのだろう。

リボルバーナックルが装備された両拳を打ち鳴らす。
両手首のナックルスピナーが唸りを上げる。
瓦礫に潰されたせいで多少傷が入ってはいたが、使用に問題はないようだ。

「―――行こう、マッハキャリバー。
 こんな事を、全部終わらせる為に」
『ええ、行きましょう』

ガチャリと、両手のリボルバーナックルが音を鳴らす。
その音はまるで、反撃を告げる狼煙の様だ。



金居はユーノさんの支援だろう、緑光の鎖に囚われている。
ウィングロードで金居の頭上まで跳び上がる。
スバルのリボルバーナックルのスピナーが高速回転する。

「リボルバー、キャノン!」
「また不意打ちか!」

その渾身の一撃を金居に向けて叩き込む。
それに気付いた金居は渾身の力で鎖を引き千切り、大きく飛び退いて躱す。
交わされた一撃が地面を砕き、大量の粉塵を巻き上げる。

「てやぁぁあ―――!」
『Storm Tooth.』
「チィッ!」

それを煙幕に金居へと追撃し、ギンガのリボルバーナックルで打ち下ろす。
金居はそれを、双剣を交差して受け止めるが、その威力に防御を崩す。
そこへ再び、スバルのリボルバーナックルを打ち上げるように叩き込む。
胴体に直撃を受けた金居は大きく殴り飛ばされるが、空中で体勢を立て直し着
地する。

「貴様。その武器は……」
『そうです。あなたが殺した、スバル・ナカジマとギンガ・ナカジマの武具で
す』
「そうか。そう言えばあの女を殺したのは、この辺りだったな」

そのどうでもいいような言い方に、頭に血が上るのがわかる。
それはマッハキャリバーも同じなようだ。

『今なら解る気がします。これが、「怒る」という感情』
「マッハキャリバー……」

その言葉が、酷く尊く、そして悲しいモノの様に感じた。
けど、今は感傷に浸る暇は無い。
金居がスバルやギンガの敵だというのなら、なおの事ここで倒す必要がある。
マッハキャリバーに戦闘準備を告げ、カートリッジをロードする。

「最初から全開で行くよ、マッハキャリバー」
『All right.』
「フルドライブ!」
『Ignition.』
「ギア・エクセリオン!!」
『A.C.S. Standby.』

マッハキャリバーに魔力翼が発生する。
両腕を上げ、前方へと構える。
応じるように、金居も双剣を構える。

『金居。あなたに、最後に一つだけ言っておきます』
「ほう。何だ?」
『―――わたしは、あなたを決して許さない』

その言葉を合図に、金居へと向けて突撃する。
攻撃方法は単純な正面突破。
だが単純であるが故に強力な一撃は、金居の防御を容易く崩す。

続く一撃は回避されるが反撃はない、否、反撃を当てる隙など与えない。
A.C.Sによって強化されたマッハキャリバーの加速は、反撃された所で当たる
前にその射程から逃れる事が出来る。
今の私達に攻撃を当てるには拘束して動きを止めるか、同等かそれ以上の速度
で迫るか、防御か迎撃によるカウンターが条件となる。

だが金居には私達を拘束する術はなく、またそれ程の移動速度もない。
故に金居が取れる手段はカウンターの一つしかない。


「たあッ―――!」
「グウッ―――!」

ナックルダスターにより強化された一撃を、金居は双剣を交差して受け止める。
そこに残ったもう一つの拳を叩き込む。

「リボルバーキャノン―――ッ!?」
「セヤアッ!!」

瞬間、金居がわざと上体の力を抜き、私を加速させる。
A.C.Sによる加速と、リボルバーキャノンの撃ち抜きに合わせて前蹴りを打ち
込まれる。
聖王の鎧による自動防御が発動するが、金居の人外の筋力に私自身の加速も相
まって、その防御は容易く破られた。


その衝撃のよってお互いに弾き合う。
どうにか着地するも、大きくせき込む。

『大丈夫ですか?』
「……どうにか…ね」

インパクトの瞬間なら威力はこちらが上。
だが、金居は基礎能力で勝る。力比べになれば、こちらが不利だ。

「なら、プラズマアーム!」

両腕に稲妻を纏わせる。
それは両腕のリボルバーナックルと相まって、より強力な効力を得る事となる。
おそらく、単純な一撃の威力はこれで互角。

金居へと突撃し、雷撃を纏った拳を打ち抜く。
それに合わせるように、金居が双剣を振りかぶる。

一撃目。ぶつかり合った右拳と黒い短剣が、周囲に衝撃波を起こす。

二撃目。速度で勝る私の左拳が、筋力で勝る金居の金色の短剣に防がれる。

三撃目。お互いの上段蹴りが激突し、一時的に距離が出来る。

四撃目。私のリボルバーキャノンと、金居の双剣による一撃が激突する。

五撃目。ノックバックで距離の開いた金居に突撃し、追撃の一撃を入れる。

六撃目。プラズマアームの電気エネルギーを圧縮し、直接金居へと撃ち込む。

七撃目。先の一撃で体の浮いた金居に、再びリボルバーキャノンを叩き込む。

大きく金居が吹き飛ばされ、瓦礫の山へと突き刺さる。


乱れた息を急いで立て直す。
十秒に満たない攻防で、もう息が上がっている。
魔力の限界はまだ遠い。だが体力の限界が近づいている。

瓦礫の中から金居が姿を現す。
その姿に目に見えるダメージはない。
やはり金居を倒すには必殺の一撃を決める必要がある。
腰を深く落とし、必殺の一撃に神経を集中させる。
こちらの覚悟を見てとってか、金居が双剣に力を籠め始める。

即座に金居に向けて突撃する。
金居の全力での一撃は驚異的だ。
完全に力を溜めきる前に、必殺の一撃を叩き込む。

「おおおおオオオオオ――――!!!!!」
「ハァアアアアッッッ――――!!!!!」

それを認識した金居が、合わせるように双剣を振り抜く。
魔力を可能な限り聖王の鎧へと注ぎ込む。
金居の双剣はやはり聖王を切り裂き、その先の私を切り裂かんと迫り来る。
それを、ナックルバンカーで強化したギンガのリボルバーナックルで防御する。

リボルバーナックルに阻まれた双剣が妖光を放ち、全てを断ち切らんと軋みを
上げる。
双剣を受け止めたナックルスピナーが高速回転し、二つの刃を弾き飛ばさんと
火花を散らす。


それは十秒か、一分か、それ以上か。
筋力で劣る私が、金居に圧され始めた時だった。

ビシリと音を立て、リボルバーナックルと金居の双剣に亀裂が入る。
ギンガのリボルバーナックルが、金居の双剣と共に破砕する。
残るカートリッジを全てロードする。

「一撃……、必倒―――!!!」
「ッッッッ――――――!!!!!!」

そのまま武器破壊により体勢の崩れた金居に左拳を打ち込み、その先端に魔力
スフィアを形成して押し当てる。

「ディバイン―――!!!」

押し当てられたスフィアは膨張し、金居の体勢をさらに崩す。
そこに渾身の力で、スバルのリボルバーナックルを叩きこんだ。

「―――バスター―――ッッッ!!!!!」

撃ち出された閃光は金居を飲み込み、必殺の威力を以って吹き飛ばした。



「はぁ……はぁ……、っはあ……」

肩で大きく息をする。
どうにか敵は倒した。
だがマッハキャリバーはフルドライブを維持している。

金居はバスターの直撃を受けた。
ならばその生死はともかく、少なくとも戦う事は出来ないはずだ。
だが、聖王としての闘争本能が、まだ気を緩めることを良しとしないのだ。

そしてその直感が正しかった事を、私はすぐに知る事になる。


「ヴィヴィオ!」

ユーノさんが近づいてくる。
その手にはバルディッシュを持っている。
弾き飛ばされた時に回収してくれたのだろう。
その表情には金居を倒した事による安堵が浮かんでいる。
だがそれは、今この場においてはあまりにも致命的だった。

「ダメ! ユーノさん、逃げて!!」
「――――ッ!? しまった!!」

瓦礫の中から、金居が飛び出してくる。
その手には機械仕掛けの剣――パーフェクトゼクターが握られている。
金居はそれを大上段に構え、ユーノさんに向けて振り下ろす。

「ハアァァアアアッッッ!!!」
「このおッ―――!!」

マッハキャリバーがまだフルドライブであったことが幸いした。
辛うじて二人の間に割り込み、聖王の鎧とスバルのリボルバーナックルで防ぐ。

だが、パーフェクトゼクターによる攻撃は強力過ぎた。
聖王の鎧は容易に斬り裂かれ、攻撃を受け止めたスバルのリボルバーナックルに亀裂が奔る。
そしてそのままの勢いで、ユーノさん諸共に弾き飛ばされた。
すぐさま体勢を立て直し、ユーノさんを抱えて距離を取る。

「……やっぱり、無事たった」
「気付いていたのか」
「何となくだけどね」

相対する金居には目立った傷がない。
否。僅かに見える傷もあっという間に再生していく。
不死身、という言葉が脳裏を過ぎる。
それは奇しくも、確たる事実でもあった。

「ユーノさん、バルディッシュを」
「わかってる」
「もう少し頑張らないとね、バルディッシュ」
『Yes, sir. Riot Blade.』
「レヴァンティンも、手伝って」
『Jawohl.』

バルディッシュを受け取り、ライオットブレードへと変形させる。
更にデイバックからレヴァンティンを取り出し、左手に装備する。

「バルディッシュ」
『Thunder Arm.』
「ケリュケイオン」
『Boost Up Acceleration. Enchant Defence Gain.』

バルディッシュの詠唱により電撃が左手に集中発生し、握られたレヴァンティ
ンが帯電する。
そこにユーノさんの支援が行われ、移動と防御が強化される。

「行くよ、みんな!」

紫電を纏う双剣を構え、金居へと突撃する。
これが金居との、最後の戦いになるようにと願いながら。



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