魔法少女、これからも。(後編) ◆Vj6e1anjAc
次元の狭間の闇を、進む。
無限に広がる世界を繋ぐ、次元空間の大海原を、黄金の舟が進んでいく。
最期のスターライトブレイカーが放たれた直後、聖王のゆりかごのレプリカは、次元航行モードへの移行を完了した。
高町なのはの命の輝き――あの桜色のビッグバンが、ヴィヴィオが最後に見た光景となった。
生きざまを、最後まで見届けたのだ。
「っ……う、うぅっ……」
そしてだだっ広い玉座の間では、1人の少女がうずくまり、抑えた嗚咽を響かせていた。
これで本当に独りきりだ。
プレシアのデスゲームからの生還者は、本当に自分1人だけになってしまった。
想いを汲み取ったはずなのに。
それがなのはの心からの願いだと、納得した上で撤退したはずだったのに。
それでも涙が止まらない。
悲嘆と後悔と自責の涙が、次から次へと溢れ出す。
「強くなりたい」という願いは、母の末路を見たことで、半ば折れかかってしまっていた。
「どうして……どうして、こんなっ……!」
強くなると決めたはずだった。
この手の届く限りの命は、守りたいと願ったはずだった。
それは今でも変わらない。変えることなどあり得ない想いだ。
最愛の母が死を選んだのは、自分の力が足りなかったから。
ガジェット達に苦戦して、帰還する余力を失ったのは、これまでのなのはの戦いを、助けてやることができなかったから。
きっとキングとの戦いで、ブラスターモードを使っていなければ。
コーカサスアンデッドとの戦いの時点で、既に助太刀に加わっていたならば。
いいや、なのはだけではない。金居との戦いへの参加が早ければ、ユーノの消耗も抑えられたはずだ。
そうなればもっと余裕をもって、ガジェット達に対処することができただろう。
ブラスター3を解放したのがあの場だったなら、ナンバーズさえも撃退できただろう。
つまるところ、自分が不甲斐なかったから、なのは達は死を選ばざるを得なかったのだ。
弱いのだ、私は――ヴィヴィオは。
「こんなはずじゃ、なかったのに……っ!」
痛みと嘆きは連鎖する。
最愛の母を喪った苦痛は、新たな苦痛を呼び起こす。
この30時間の戦いの中で、あまりに多くの命が喪われてしまった。
燃え盛る地獄の業火に焼かれ、命を落としたというルルーシュとシャーリー。
目の前で死んでいったもう1人のフェイトと、死体を嬲ってしまったキャロ。
少し怖い顔をしていたけれど、一度は自分を救ってくれた、浅倉威という男。
怒りに狂った自分の手で、命を奪ってしまった相川始。
こなた、スバル、リイン……共に生き残るために頑張ってきた、かけがえのない仲間達。
その他大勢をも含めた、60人をも超える命。
それら全ての重圧が、ヴィヴィオの双肩へとのしかかってくる。
何故だ。
何故彼らは死ななければならなかった。
こんな殺し合いさえなければ、普通に生きられたはずだったのに。
この殺し合いから出られれば、暖かな日常へと帰れたはずなのに。
自分が弱い子供でなければ――そのうちの何人かは確実に、この手で救えたはずなのに。
こんなはずじゃ、なかったのに。
「……?」
その、時だ。
不意に、目の前が明るくなった。
がらんどうの玉座の間に、淡く青白い光がともったような気がした。
否、光っているのは部屋ではない。
光っているのは自分自身だ。
漆黒と純白の騎士甲冑が、いつの間にか、淡い光を放っていた。
「あっ」
ぽぅ、と光が指先から離れる。
追いかけるように伸ばした手から、全身の光が離れていく。
青く白く光る何かは、数メートルほど漂ったのち、自分の目の前に留まった。
いつからそこにあったのだろうか。
そこに静かに浮いていたのは、2つの青い宝石だった。
光は宝石のもとに集まって、少しずつ形を変えていく。
不定形の青い光が、少しずつ輪郭をなしていき、2つの個体へと変わっていく。
「なのは、ママと……フェイトママ……?」
光の中から現れたのは、高町なのはとフェイト・T・ハラオウン。
ちょうどもう1人のフェイトのような――自分の知る2人の母よりも、随分と年下の幼い姿だ。
本来の自分の姿よりも、いくつか歳は上だろうか。昔何かの折で見た、9歳くらいの頃の姿が近いかもしれない。
「貴方達は、一体……?」
それでも、自分の知る彼女らとは別人だ。
目の前の2人が纏う衣装は、9歳当時の彼女らのそれとは、微妙に異なったデザインとなっていた。
なのはのバリアジャケットは、先ほどまで自分の母が着ていた、エクシードフォームを思わせるものに。
フェイトのバリアジャケットも、大きな違いはないものの、より装飾が大人しいものに変わっていた。
《私達はジュエルシード……古の人々の願いと共に、この世界に生まれた結晶体》
「ジュエル、シード……?」
ヴィヴィオに微笑みかける幼いなのはは、自分達のことをそう名乗った。
確かそれは、かつてなのは達が回収していたという、ロストロギアの名前だったはずだ。
もちろん、そんなものを持った覚えはない。
そのジュエルシードとやらが、このゆりかごに現れた理由は、皆目見当もつきそうにない。
《かつてプレシア・テスタロッサが、虚数空間の海へと落ちた時、
私達9つのジュエルシードもまた、道連れに次元の狭間へと沈んでいった》
《アルハザードの周囲を漂っていた私達は、貴方の放つジュエルシードの気配に引かれて、貴方のもとへやってきた。
そしてこの姿は、貴方の心の中にある、想いの形を具現化したもの》
《貴方とお話をするために、貴方の心の中から借りた、貴方の強い想いの形》
代わる代わる言葉を紡ぐ、なのはの幻とフェイトの幻。
そこに浮かんだ穏やかな笑顔は、思い出のそれと変わらないのに。
その口から放たれる懐かしい声色は、思い出のそれと違わないのに。
その事務的な口調には、人としての温もりを感じられず、どこか歪な印象を受ける。
本当に目の前に立っているのは、ただの幻に過ぎないのだと、否応なしに思い知らされる。
「……強くなんて、ないよ」
ゆらり、と金のサイドポニーを揺らし。
ルビーとエメラルドの光を地へ向けて。
目の前の幻が言い放った何気ない言葉に、ヴィヴィオは己が顔を俯かせて、呟く。
「私は強くなんてなかった……私のちっぽけな想いなんかじゃ、結局誰も、救えなかった」
罪を懺悔するかのように。
頭を垂れた聖王が、言った。
強くなりたいという誓いは、結局死の運命を打倒できなかった。
手が届くところにあったはずの命にさえ、手を伸ばすこともできなかった。
何も救えなかった自分が、そんなに強いはずがない。
何も守れなかった想いが、強いだなんて言えるはずもない。
《信じて》
それでも。
目の前の幻が口にしたのは、そんな言葉だった。
《魔法は胸の内に込められた力を、具現化させて解き放つ力……人の想いを形にした力》
《だからこそ、魔力の結晶である私達には、人の想いを叶える力が備わった》
《「死んでいったみんなのためにも、強くなって生き続けたい」……
……他の誰でもない、貴方の強い想いの力が、私達を呼び寄せた》
《たとえ今は弱くとも、その想いが貴方を突き動かすのなら、貴方はもっと強くなれる。
貴方の抱く強い想いを、魔法は決して裏切りはしない》
これはヴィヴィオはおろか、全ての参加者が知り得なかったことだが、
ジュエルシードによって張られたフィールドにいた参加者達は、
少なからず、ジュエルシードの性質を持った魔力を、その身に浴び続けていた。
それが2つのジュエルシードを、ヴィヴィオの下へと招いたのだが、彼らはそれだけでは足りなかったと言った。
ヴィヴィオの強い願いの力こそが、彼らをこの舟へ引き寄せたのだと。
ヴィヴィオの強い想いの力こそが、奇跡の力を呼び寄せたのだと。
『ヴィヴィオ』
不意に、少女の首元から声が響いた。
明滅する空色の宝石は、インテリジェントデバイス・マッハキャリバー。
この30時間の戦いで散ってしまった、スバル・ナカジマの相棒だったデバイスだ。
そういえば今この瞬間まで、半ば存在を忘れかけていた。
ここまでずっと自分を支えてきてくれた、大事な仲間の1人だったというのに。
『以前、私は相棒に、こんなことを言ったことがあります。
貴方が私に教えたもの……私の生まれた理由、貴方の憧れ……それを嘘にしないでほしい、と』
「あ……」
『一度起きてしまったことには、もう取り返しはつきません。
それでも貴方には未来があります。同じことを繰り返さないよう、努力するチャンスが残されています。
生きて責任を果たすこと……生きて帰って、強くなると約束したこと……
Ms.なのはに誓った貴方の想いを、嘘にしないでください』
そうだ。
マッハキャリバーの言うとおりだ。
殺し合いのフィールドを発つ前に、ユーノが言っていたことを思い出す。
この戦いを生き延びた自分達には、果たさなければならない責任があるのだと。
喪われてしまった多くの命に、報いなければならないのだと。
高町なのはの死を看取るまでが、自分に課せられた責務ではない。
まだやらねばならないことが残っていたのだ。くよくよしている暇はなかったのだ。
――だから私は、ヴィヴィオに“これから”を託せるの。
なのはママの遺言が、胸の奥深くで木霊する。
自分で進むと決めた道を、貫き通せるのだと信じているから、未来を託すことができるのだと。
自らの進む道を選択し、それを最後までやり通す意志。それこそがジュエルシードの言う、想いだ。
誰よりも強く優しいママに、太鼓判を押してもらった――信じられると言われた、想いだ。
「……分かったよ」
俯いていた顔を、上げる。
聖者の印と謳われたオッドアイで、確たる意志と共に、前を見据えた。
身を屈ませた後悔の震えは、今はもうその背中にはなく。
涙に滲んだ赤と緑は、色鮮やかな光を放つ。
「なのはママがそう望んだのなら……私は生きてみようと思う。
それが、強く生きるって約束した……ひとりで立てるって宣言した、私の責任なんだから」
この30時間の戦いで、ヴィヴィオは多くの死を背負った。
肉体年齢6歳という、あまりにも幼いその背中に、あまりにも重いものを背負い込まされた。
それでも、彼女は生きることを望んだ。
過去に悲嘆する道ではなく、未来へと続く道を選んだ。
彼女も怖かったはずなのに、それでも自分を励ましてくれたシャーリーのように。
スバルやシャーリーを守り抜かんと、懸命に戦ったルルーシュのように。
戦う力を持たずとも、弱いなりに自分を支えようとしていたこなたのように。
そして何より、あの高町なのはのように。
強き想いを力へと変え、母の望む生き方を、その力で為さんと決意したのだ。
ならば、祝福すべきだろう。
ヴィヴィオが選択した道が、結局はなのはが指し示した道だったとしてもだ。
この歳で完全に自立しろというのは、それこそ酷な話だろう。それはこの先少しずつ、ゆっくりと成長しながら果たせばいい。
それでもヴィヴィオは今日この日、責任を背負うということを知った。
こうして幼かったヴィヴィオは、ほんの少しだけ、大人になった。
《願いを聞かせて、高町ヴィヴィオ》
《貴方の望む想いの形を……本当の気持ちを、私達に教えて》
目の前の幻影が語りかける。
願いを叶えるジュエルシードが、叶えるべき願いを問いかける。
「ゆりかごの針路を、ミッドチルダに……私を元の世界へ連れて行って」
確たる口調で、宣言した。
かつてプレシア・テスタロッサは、21個のジュエルシードに、娘の命を願ったという。
されどヴィヴィオが選ぶのは、死した母の蘇生ではない。
命よりも大事な願いを、なのはは自分に託したのだ。
ならば彼女から託された願いは、喪われた彼女の命以上に、優先させるべき願いだ。
《その願いを、叶えよう》
願いを聞き届けた幻のなのはは、無機質な声と共に、にこやかに微笑む。
自分が聖王化していたのもあって、身体の大きさが完全に逆転していたのが難点だったが。
それでもそこにあった笑みは、これまで愛してやまなかった、最愛の母の笑みそのものだった。
《貴方の望む道筋は、私達の力で切り拓いてあげる》
《どれだけ時間がかかろうとも、どれだけの壁に阻まれようとも、私達が必ず送り届ける》
ぽぅ――と。
その一言を言い終えると同時に、2人の幻に陰りが生じた。
青白い光から生まれた幻が、少しずつその輪郭をぼかしていく。
幻影の不透明度が落ちていき、少しずつ虚空へと溶け込んでいく。
さらさらと四肢の端から零れるのは、蛍のごとき青い光。
ジュエルシードの煌めきが、ゆっくりと霧散していって、聖王のゆりかごを包んでいく。
《あとは貴方次第だよ――高町ヴィヴィオ》
それが最後の一言だった。
その一言を言い終えると同時に、2人の幻は姿を消した。
玉座の間に静寂が訪れる。
だだっ広い空間の中で、人影がまた1人きりになる。
胸の内へと訪れるのは、ほんの少しばかりの寂寞。
「……帰ろう、マッハキャリバー」
それでも、少女の瞳に涙はなく。
晴れやかな笑みさえも浮かべて、真っすぐに前を見つめている。
ジュエルシードの幻の、最後の言葉を聞いた時、母に背を押されたような気がした。
まるでなのはママ自身に、エールをもらったような気がして、それだけで満たされたような気がした。
「私達の故郷へ……なのはママと暮らした場所へ!」
その言葉を合図としたかのように、ゆりかごの床が微かに揺れた。
2つのジュエルシードの放つ、青白いオーロラに覆われて。
黄金に煌めく聖王のゆりかごは、未来に向かって出港した。
(私は、もっと強くなる)
強くなって、生き続ける。
この命が続く限り、この身が朽ち果てぬ限り。
死んでしまった人々に報いるために。
ママとの約束を果たすために。
私を守り続けてくれた、世界一大好きなママの生涯が、無駄ではなかったことを証明するために。
未来へ続くこの道を、私は胸を張って歩き続ける。
そう。
私の行く道は終わらない。
私の道は、これからも――。
無限に広がる世界を繋ぐ、次元空間の大海原を、黄金の舟が進んでいく。
最期のスターライトブレイカーが放たれた直後、聖王のゆりかごのレプリカは、次元航行モードへの移行を完了した。
高町なのはの命の輝き――あの桜色のビッグバンが、ヴィヴィオが最後に見た光景となった。
生きざまを、最後まで見届けたのだ。
「っ……う、うぅっ……」
そしてだだっ広い玉座の間では、1人の少女がうずくまり、抑えた嗚咽を響かせていた。
これで本当に独りきりだ。
プレシアのデスゲームからの生還者は、本当に自分1人だけになってしまった。
想いを汲み取ったはずなのに。
それがなのはの心からの願いだと、納得した上で撤退したはずだったのに。
それでも涙が止まらない。
悲嘆と後悔と自責の涙が、次から次へと溢れ出す。
「強くなりたい」という願いは、母の末路を見たことで、半ば折れかかってしまっていた。
「どうして……どうして、こんなっ……!」
強くなると決めたはずだった。
この手の届く限りの命は、守りたいと願ったはずだった。
それは今でも変わらない。変えることなどあり得ない想いだ。
最愛の母が死を選んだのは、自分の力が足りなかったから。
ガジェット達に苦戦して、帰還する余力を失ったのは、これまでのなのはの戦いを、助けてやることができなかったから。
きっとキングとの戦いで、ブラスターモードを使っていなければ。
コーカサスアンデッドとの戦いの時点で、既に助太刀に加わっていたならば。
いいや、なのはだけではない。金居との戦いへの参加が早ければ、ユーノの消耗も抑えられたはずだ。
そうなればもっと余裕をもって、ガジェット達に対処することができただろう。
ブラスター3を解放したのがあの場だったなら、ナンバーズさえも撃退できただろう。
つまるところ、自分が不甲斐なかったから、なのは達は死を選ばざるを得なかったのだ。
弱いのだ、私は――ヴィヴィオは。
「こんなはずじゃ、なかったのに……っ!」
痛みと嘆きは連鎖する。
最愛の母を喪った苦痛は、新たな苦痛を呼び起こす。
この30時間の戦いの中で、あまりに多くの命が喪われてしまった。
燃え盛る地獄の業火に焼かれ、命を落としたというルルーシュとシャーリー。
目の前で死んでいったもう1人のフェイトと、死体を嬲ってしまったキャロ。
少し怖い顔をしていたけれど、一度は自分を救ってくれた、浅倉威という男。
怒りに狂った自分の手で、命を奪ってしまった相川始。
こなた、スバル、リイン……共に生き残るために頑張ってきた、かけがえのない仲間達。
その他大勢をも含めた、60人をも超える命。
それら全ての重圧が、ヴィヴィオの双肩へとのしかかってくる。
何故だ。
何故彼らは死ななければならなかった。
こんな殺し合いさえなければ、普通に生きられたはずだったのに。
この殺し合いから出られれば、暖かな日常へと帰れたはずなのに。
自分が弱い子供でなければ――そのうちの何人かは確実に、この手で救えたはずなのに。
こんなはずじゃ、なかったのに。
「……?」
その、時だ。
不意に、目の前が明るくなった。
がらんどうの玉座の間に、淡く青白い光がともったような気がした。
否、光っているのは部屋ではない。
光っているのは自分自身だ。
漆黒と純白の騎士甲冑が、いつの間にか、淡い光を放っていた。
「あっ」
ぽぅ、と光が指先から離れる。
追いかけるように伸ばした手から、全身の光が離れていく。
青く白く光る何かは、数メートルほど漂ったのち、自分の目の前に留まった。
いつからそこにあったのだろうか。
そこに静かに浮いていたのは、2つの青い宝石だった。
光は宝石のもとに集まって、少しずつ形を変えていく。
不定形の青い光が、少しずつ輪郭をなしていき、2つの個体へと変わっていく。
「なのは、ママと……フェイトママ……?」
光の中から現れたのは、高町なのはとフェイト・T・ハラオウン。
ちょうどもう1人のフェイトのような――自分の知る2人の母よりも、随分と年下の幼い姿だ。
本来の自分の姿よりも、いくつか歳は上だろうか。昔何かの折で見た、9歳くらいの頃の姿が近いかもしれない。
「貴方達は、一体……?」
それでも、自分の知る彼女らとは別人だ。
目の前の2人が纏う衣装は、9歳当時の彼女らのそれとは、微妙に異なったデザインとなっていた。
なのはのバリアジャケットは、先ほどまで自分の母が着ていた、エクシードフォームを思わせるものに。
フェイトのバリアジャケットも、大きな違いはないものの、より装飾が大人しいものに変わっていた。
《私達はジュエルシード……古の人々の願いと共に、この世界に生まれた結晶体》
「ジュエル、シード……?」
ヴィヴィオに微笑みかける幼いなのはは、自分達のことをそう名乗った。
確かそれは、かつてなのは達が回収していたという、ロストロギアの名前だったはずだ。
もちろん、そんなものを持った覚えはない。
そのジュエルシードとやらが、このゆりかごに現れた理由は、皆目見当もつきそうにない。
《かつてプレシア・テスタロッサが、虚数空間の海へと落ちた時、
私達9つのジュエルシードもまた、道連れに次元の狭間へと沈んでいった》
《アルハザードの周囲を漂っていた私達は、貴方の放つジュエルシードの気配に引かれて、貴方のもとへやってきた。
そしてこの姿は、貴方の心の中にある、想いの形を具現化したもの》
《貴方とお話をするために、貴方の心の中から借りた、貴方の強い想いの形》
代わる代わる言葉を紡ぐ、なのはの幻とフェイトの幻。
そこに浮かんだ穏やかな笑顔は、思い出のそれと変わらないのに。
その口から放たれる懐かしい声色は、思い出のそれと違わないのに。
その事務的な口調には、人としての温もりを感じられず、どこか歪な印象を受ける。
本当に目の前に立っているのは、ただの幻に過ぎないのだと、否応なしに思い知らされる。
「……強くなんて、ないよ」
ゆらり、と金のサイドポニーを揺らし。
ルビーとエメラルドの光を地へ向けて。
目の前の幻が言い放った何気ない言葉に、ヴィヴィオは己が顔を俯かせて、呟く。
「私は強くなんてなかった……私のちっぽけな想いなんかじゃ、結局誰も、救えなかった」
罪を懺悔するかのように。
頭を垂れた聖王が、言った。
強くなりたいという誓いは、結局死の運命を打倒できなかった。
手が届くところにあったはずの命にさえ、手を伸ばすこともできなかった。
何も救えなかった自分が、そんなに強いはずがない。
何も守れなかった想いが、強いだなんて言えるはずもない。
《信じて》
それでも。
目の前の幻が口にしたのは、そんな言葉だった。
《魔法は胸の内に込められた力を、具現化させて解き放つ力……人の想いを形にした力》
《だからこそ、魔力の結晶である私達には、人の想いを叶える力が備わった》
《「死んでいったみんなのためにも、強くなって生き続けたい」……
……他の誰でもない、貴方の強い想いの力が、私達を呼び寄せた》
《たとえ今は弱くとも、その想いが貴方を突き動かすのなら、貴方はもっと強くなれる。
貴方の抱く強い想いを、魔法は決して裏切りはしない》
これはヴィヴィオはおろか、全ての参加者が知り得なかったことだが、
ジュエルシードによって張られたフィールドにいた参加者達は、
少なからず、ジュエルシードの性質を持った魔力を、その身に浴び続けていた。
それが2つのジュエルシードを、ヴィヴィオの下へと招いたのだが、彼らはそれだけでは足りなかったと言った。
ヴィヴィオの強い願いの力こそが、彼らをこの舟へ引き寄せたのだと。
ヴィヴィオの強い想いの力こそが、奇跡の力を呼び寄せたのだと。
『ヴィヴィオ』
不意に、少女の首元から声が響いた。
明滅する空色の宝石は、インテリジェントデバイス・マッハキャリバー。
この30時間の戦いで散ってしまった、スバル・ナカジマの相棒だったデバイスだ。
そういえば今この瞬間まで、半ば存在を忘れかけていた。
ここまでずっと自分を支えてきてくれた、大事な仲間の1人だったというのに。
『以前、私は相棒に、こんなことを言ったことがあります。
貴方が私に教えたもの……私の生まれた理由、貴方の憧れ……それを嘘にしないでほしい、と』
「あ……」
『一度起きてしまったことには、もう取り返しはつきません。
それでも貴方には未来があります。同じことを繰り返さないよう、努力するチャンスが残されています。
生きて責任を果たすこと……生きて帰って、強くなると約束したこと……
Ms.なのはに誓った貴方の想いを、嘘にしないでください』
そうだ。
マッハキャリバーの言うとおりだ。
殺し合いのフィールドを発つ前に、ユーノが言っていたことを思い出す。
この戦いを生き延びた自分達には、果たさなければならない責任があるのだと。
喪われてしまった多くの命に、報いなければならないのだと。
高町なのはの死を看取るまでが、自分に課せられた責務ではない。
まだやらねばならないことが残っていたのだ。くよくよしている暇はなかったのだ。
――だから私は、ヴィヴィオに“これから”を託せるの。
なのはママの遺言が、胸の奥深くで木霊する。
自分で進むと決めた道を、貫き通せるのだと信じているから、未来を託すことができるのだと。
自らの進む道を選択し、それを最後までやり通す意志。それこそがジュエルシードの言う、想いだ。
誰よりも強く優しいママに、太鼓判を押してもらった――信じられると言われた、想いだ。
「……分かったよ」
俯いていた顔を、上げる。
聖者の印と謳われたオッドアイで、確たる意志と共に、前を見据えた。
身を屈ませた後悔の震えは、今はもうその背中にはなく。
涙に滲んだ赤と緑は、色鮮やかな光を放つ。
「なのはママがそう望んだのなら……私は生きてみようと思う。
それが、強く生きるって約束した……ひとりで立てるって宣言した、私の責任なんだから」
この30時間の戦いで、ヴィヴィオは多くの死を背負った。
肉体年齢6歳という、あまりにも幼いその背中に、あまりにも重いものを背負い込まされた。
それでも、彼女は生きることを望んだ。
過去に悲嘆する道ではなく、未来へと続く道を選んだ。
彼女も怖かったはずなのに、それでも自分を励ましてくれたシャーリーのように。
スバルやシャーリーを守り抜かんと、懸命に戦ったルルーシュのように。
戦う力を持たずとも、弱いなりに自分を支えようとしていたこなたのように。
そして何より、あの高町なのはのように。
強き想いを力へと変え、母の望む生き方を、その力で為さんと決意したのだ。
ならば、祝福すべきだろう。
ヴィヴィオが選択した道が、結局はなのはが指し示した道だったとしてもだ。
この歳で完全に自立しろというのは、それこそ酷な話だろう。それはこの先少しずつ、ゆっくりと成長しながら果たせばいい。
それでもヴィヴィオは今日この日、責任を背負うということを知った。
こうして幼かったヴィヴィオは、ほんの少しだけ、大人になった。
《願いを聞かせて、高町ヴィヴィオ》
《貴方の望む想いの形を……本当の気持ちを、私達に教えて》
目の前の幻影が語りかける。
願いを叶えるジュエルシードが、叶えるべき願いを問いかける。
「ゆりかごの針路を、ミッドチルダに……私を元の世界へ連れて行って」
確たる口調で、宣言した。
かつてプレシア・テスタロッサは、21個のジュエルシードに、娘の命を願ったという。
されどヴィヴィオが選ぶのは、死した母の蘇生ではない。
命よりも大事な願いを、なのはは自分に託したのだ。
ならば彼女から託された願いは、喪われた彼女の命以上に、優先させるべき願いだ。
《その願いを、叶えよう》
願いを聞き届けた幻のなのはは、無機質な声と共に、にこやかに微笑む。
自分が聖王化していたのもあって、身体の大きさが完全に逆転していたのが難点だったが。
それでもそこにあった笑みは、これまで愛してやまなかった、最愛の母の笑みそのものだった。
《貴方の望む道筋は、私達の力で切り拓いてあげる》
《どれだけ時間がかかろうとも、どれだけの壁に阻まれようとも、私達が必ず送り届ける》
ぽぅ――と。
その一言を言い終えると同時に、2人の幻に陰りが生じた。
青白い光から生まれた幻が、少しずつその輪郭をぼかしていく。
幻影の不透明度が落ちていき、少しずつ虚空へと溶け込んでいく。
さらさらと四肢の端から零れるのは、蛍のごとき青い光。
ジュエルシードの煌めきが、ゆっくりと霧散していって、聖王のゆりかごを包んでいく。
《あとは貴方次第だよ――高町ヴィヴィオ》
それが最後の一言だった。
その一言を言い終えると同時に、2人の幻は姿を消した。
玉座の間に静寂が訪れる。
だだっ広い空間の中で、人影がまた1人きりになる。
胸の内へと訪れるのは、ほんの少しばかりの寂寞。
「……帰ろう、マッハキャリバー」
それでも、少女の瞳に涙はなく。
晴れやかな笑みさえも浮かべて、真っすぐに前を見つめている。
ジュエルシードの幻の、最後の言葉を聞いた時、母に背を押されたような気がした。
まるでなのはママ自身に、エールをもらったような気がして、それだけで満たされたような気がした。
「私達の故郷へ……なのはママと暮らした場所へ!」
その言葉を合図としたかのように、ゆりかごの床が微かに揺れた。
2つのジュエルシードの放つ、青白いオーロラに覆われて。
黄金に煌めく聖王のゆりかごは、未来に向かって出港した。
(私は、もっと強くなる)
強くなって、生き続ける。
この命が続く限り、この身が朽ち果てぬ限り。
死んでしまった人々に報いるために。
ママとの約束を果たすために。
私を守り続けてくれた、世界一大好きなママの生涯が、無駄ではなかったことを証明するために。
未来へ続くこの道を、私は胸を張って歩き続ける。
そう。
私の行く道は終わらない。
私の道は、これからも――。
◆
リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル・最終戦績報告
1日目・深夜
- エリオ・モンディアル :柊かがみのミラーモンスターにより死亡
- ギルモン :八神はやて(StS)のツインブレイズにより死亡
- ティアナ・ランスター :シグナムのバスターソードにより死亡
- 神崎優衣 :キース・レッドのグリフォンにより死亡
1日目・黎明
- 殺生丸 :自身の蒼龍破により死亡
- シグナム :柊かがみのヘビープレッシャーにより死亡
- アグモン :アーカードの手により死亡
- クロノ・ハラオウン :アーカードのパニッシャーにより死亡
1日目・早朝
- 矢車想 :エネルの鉄矛により死亡
- カレン・シュタットフェルト :ミリオンズ・ナイブズのエンジェルアームにより死亡
- 高町なのは(A's) :ミリオンズ・ナイブズのエンジェルアームにより死亡
- ディエチ :ミリオンズ・ナイブズのエンジェルアームにより死亡
- ミリオンズ・ナイブズ :キース・レッドのジャッカルにより死亡
1日目・朝
- フェイト・T・ハラオウン(StS):ヴァッシュ・ザ・スタンピードのエンジェルアームにより死亡
- 八神はやて(A's) :アンジール・ヒューレーのアイボリーにより死亡
1日目・午前
- ザフィーラ :自身のミラーモンスターにより死亡
- アレクサンド・アンデルセン :ルーテシア・アルピーノのイフリートにより死亡
1日目・昼
- 遊城十代 :柊つかさの手により死亡
- 武蔵坊弁慶 :ギンガ・ナカジマのプラズマスマッシャーにより死亡
- インテグラル・ヘルシング :金居の朱羅により死亡
- ギンガ・ナカジマ :金居の朱羅により死亡
- ブレンヒルト・シルト :キース・レッドのグリフォンにより死亡
1日目・日中
- チンク :柊かがみのミラーモンスターにより死亡
- シャマル :セフィロスの憑神刀(マハ)により死亡
- C.C. :首輪爆発により死亡
- シェルビー・M・ペンウッド :首輪爆発により死亡
1日目・午後
- 早乙女レイ :ルーテシア・アルピーノのエボニーにより死亡
- ルルーシュ・ランペルージ :ルーテシア・アルピーノのイフリートにより死亡
- シャーリー・フェネット :ルーテシア・アルピーノのイフリートにより死亡
1日目・夕方
- セフィロス :八神はやて(StS)のコルト・ガバメントにより死亡
- ルーテシア・アルピーノ :キャロ・ル・ルシエの憑神鎌(スケィス)により死亡
- キャロ・ル・ルシエ :フェイト・T・ハラオウン(A's)のオーバーフラッグにより死亡
- フェイト・T・ハラオウン(A's) :キャロ・ル・ルシエの憑神鎌(スケィス)により死亡
- 万丈目準 :浅倉威のミラーモンスターにより死亡
- 柊つかさ :浅倉威のミラーモンスターにより死亡
- 浅倉威 :首輪爆発により死亡
- エル・ローライト :キース・レッドのグリフォンにより死亡
- 新庄・運切 :エネルのジェネシスの剣により死亡
- ゼスト・グランガイツ :キングのオールオーバーにより死亡
- キース・レッド :アレックスのブリューナグの槍により死亡
- 天上院明日香 :八神はやて(StS)の愛の紅雷により死亡
1日目・夜
- アレックス :金居のイカリクラッシャーにより死亡
- アーカード :ヴィータのゼストの槍により死亡
- ヴィータ :アーカードの手により死亡
1日目・夜中
- クアットロ :キングのRPG-7により死亡
- ヒビノ・ミライ :アンジール・ヒューレーのバスターソードにより死亡
1日目・真夜中
- エネル :金居のデザートイーグルにより死亡
- 相川始 :ヴィヴィオの魔力爆発により封印
2日目・深夜
- (死亡者なし)
2日目・黎明
- ヴァッシュ・ザ・スタンピード :八神はやて(StS)の鋼の軛により死亡
- 泉こなた :八神はやて(StS)の愛の紅雷により死亡
2日目早朝
- 八神はやて(StS) :柊かがみのルシファーズハンマーにより死亡
- 柊かがみ :スバル・ナカジマの手により死亡
- アンジール・ヒューレー :キングのオールオーバーにより死亡
- スバル・ナカジマ :金居のジェネシスの剣により死亡
- 天道総司 :キングのオールオーバーにより死亡
- キング :高町なのは(StS)のレイジングハート・エクセリオンにより封印
- 金居 :ヴィヴィオのラウズカード(ジョーカー)により封印
【ウーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【ドゥーエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【セッテ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【オットー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【ディード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【ドゥーエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【セッテ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【オットー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【ディード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
【ユーノ・スクライア@L change the world after story 死亡確認】
【ユーノ・スクライア@L change the world after story 死亡確認】
【残り:1人】
◆
天の光は全て星。
なべて世はこともなし。
第一管理世界・ミッドチルダの宇宙は、新暦78年を終えようとするこの瞬間にも、平穏無事であり続けていた。
見渡す限りに広がるものは、暗黒よりもなお黒き闇。
漆黒のカーテンに散りばめられるのは、幾億幾兆の星々の煌めき。
どこまでも高く、どこまでも深く。
どこまでも遠く、どこまでも広く。
文字通り無限の容積を持った、光と闇の大海原に、ぽつんと浮かぶ星が1つ。
サファイアのごとく煌めく青と。
エメラルドのごとく映える緑。
生命の色に満ちたその星こそが、ミッドチルダの本星だった。
この色鮮やかな星の中で、多くの命が息づいて。
出会い、群れ合い、親しみ、別れる、大勢の命が生きている星。
漆黒の宇宙空間の中で、一際美しく放たれる輝きは、そこに暮らす人々の、命の活力を表しているのかもしれない。
なべて世はこともなし。
第一管理世界・ミッドチルダの宇宙は、新暦78年を終えようとするこの瞬間にも、平穏無事であり続けていた。
見渡す限りに広がるものは、暗黒よりもなお黒き闇。
漆黒のカーテンに散りばめられるのは、幾億幾兆の星々の煌めき。
どこまでも高く、どこまでも深く。
どこまでも遠く、どこまでも広く。
文字通り無限の容積を持った、光と闇の大海原に、ぽつんと浮かぶ星が1つ。
サファイアのごとく煌めく青と。
エメラルドのごとく映える緑。
生命の色に満ちたその星こそが、ミッドチルダの本星だった。
この色鮮やかな星の中で、多くの命が息づいて。
出会い、群れ合い、親しみ、別れる、大勢の命が生きている星。
漆黒の宇宙空間の中で、一際美しく放たれる輝きは、そこに暮らす人々の、命の活力を表しているのかもしれない。
《――応答願います。時空管理局、応答願います》
そんな無明の宇宙の中に、1つの影が姿を現す。
無音無酸素の宇宙の中で、声を電波に乗せるのは、金色に煌めく大型戦艦。
スラスターも噴かせることなく、無重力空間を漂い続ける、豪華絢爛な舟があった。
眩い陽光が船体を照らす。
ミッドチルダの向こうから、顔を出した太陽の光が、宇宙を黄金色に染め上げる。
気の遠くなるほどの旅路の果てに、目的地へ辿り着いた舟は、
世界そのものに祝福されているかのように、誇らしげな光を放っていた。
無音無酸素の宇宙の中で、声を電波に乗せるのは、金色に煌めく大型戦艦。
スラスターも噴かせることなく、無重力空間を漂い続ける、豪華絢爛な舟があった。
眩い陽光が船体を照らす。
ミッドチルダの向こうから、顔を出した太陽の光が、宇宙を黄金色に染め上げる。
気の遠くなるほどの旅路の果てに、目的地へ辿り着いた舟は、
世界そのものに祝福されているかのように、誇らしげな光を放っていた。
《私の名前は高町ヴィヴィオ……高町なのはの娘です!》
新暦79年、1月1日0:00。
新たな年の幕開けと共に、数奇な運命に翻弄された少女が、生まれ故郷への帰還を果たしていた。
新たな年の幕開けと共に、数奇な運命に翻弄された少女が、生まれ故郷への帰還を果たしていた。
【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 生還】
【リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル――――――完】
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