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Last update 2007年11月23日

Mystery Circle  著者:真紅


「こいつはびっくりだ!」

俺は一冊の本を手にし、そう言った。
朝のホームルームが始まる前のちょっとした時間。
とあるネットの友人に薦められて購入した物だ。
この本を持つと必ずしも不幸が起こるという曰く付きの本であった。

その本の題名は「闇の徘徊者」という。しかし、あまりメジャーではない。
内容は"内藤"というネットの掲示板の管理人が起こす予告殺人を調べる青年を描いている。

だが、俺が驚いている理由は他にもある。
その本の文句になっている青年の設定が、まるで自分の事を記したのではないかというぐらい似ていたのだ。
同じ学生で17歳。A型でいて座。ここまでは良くある話。
しかし、似ているのはそれだけではなかったのだ。
小学校の時にイジメに遭っていた事。中学校で荒れた事。高校で普通に過ごしている事。
なので、俺は読む前から既にその青年に深い親近感を抱いていた。

そのために気持ちはもう一日で読み切る勢いにまで達している。

序章。
"内藤"が、この事件を起こす引き金となった様々な辛い過去が書かれていた。
俺はその"内藤"の過去をこれからの展開のためにも心深く刻んだ。

続いて第一章。
普通の生活に疲れた青年が、ネットで"内藤"の存在を知り、惹かれていく場面。
何を隠そう、まだ読み始めたばかりの俺も"内藤"に惹かれ始めていた。

そんな時だ。
「・・・おい!!」
俺の肩を誰かが強く叩いたのだ。俺は咄嗟にその手が伸びてきている方向を見た。
「おい!先生来てるぞ!起立しろ!!」
何の偶然だ。それは学級委員でもある俺のクラスの内藤の手であった。
しおりを本に挟む俺に早く、とせかす内藤に軽く頷きながら起立した。
そして内藤の一日の始まりを告げるともいえる号令が教室に響く。
そのハキハキとした号令で俺はまた着席する。そしてすぐにまた本を開いた。

第二章。
その"内藤"のやっている事を噂で聞いた青年が調べている内に、被害者が身近に出てしまうシーン。
"内藤"の予告殺人の方法は非常にユニークで、ある御題を出し、答えれないと殺害するという物だ。
その時、授業が始まっているはずの教室に怒号が響いた。

俺は本を読んでいるのがバレたのかと思い、必死でしおりを挟み机に投げ入れる。
しかしそれは徒労に終わる。
俺は落ちてこないカミナリに周りを見渡すと一人の生徒が黒板の前に立っていた。
内藤だ。内藤が先生を怒らせていたのだ。
またか。何なんだ、この偶然は。
どうやら内藤は隣の奴と喋っていたみたいで、その内容がくだらない。クイズをしていたらしい。
内藤が出したクイズに隣の奴が答えれないのを、内藤が茶化した所を怒られたのだろう。
俺は内藤に対してした訳ではないが、ため息を付きまた本を広げた。

第三章。
いよいよ"内藤"に青年が接近する。青年が必死に核心に迫っていくシーンだ。
ここからは"内藤"の御題を受け取った人物数人と行動を共にする。
しかし、罠にはまり暗闇の中、恐怖と不安に駆られながら逃げる。
その途中に入る描写などは俺の想像を超える物で、どんどん引き込まれていく。
暗闇の中1人消え、2人消え・・・そのリアルな状況に少しだけ寒気を覚えた。

ふと、気付くともう授業は残す所1時限となっていた。
教室が少し暗い事にも気付き、俺は外を見る。雨だ。
あの内藤も、今では疲れたのか机に倒れ込みながら寝ているようだ。
二度続いた偶然もこれまでかと俺は鼻で笑った。
だが、今まで神や仏を信じた事は無かったがこの時だけは違う。
まさかここまで偶然が重なるとは・・・呆れて物も言えない。

なんとカミナリが落ちたのだ!しかも学校の電気系統にダイレクト。
その瞬間に、太陽が見えないせいで点けていた蛍光灯が消えた。
思いもしない一気に広がった闇の世界にクラスの女子が一斉に叫ぶ。
クラスの中の何人かがこれを良い事にバカ騒ぎをしている。
そのまた何人かは職員室に様子を見に行った。
途端に頭によぎる。『1人消え、2人消え・・・』
先生は先生達と何かしら話し合っている。
残りは皆唖然としている。

ここまで重なった偶然に俺は吐き気を感じていた。
途端にこの本が怖くなった。
俺は机に広げっ放しになっていた本を乱暴にカバンに投げ入れる。
しかし、上手く入らず本が勝手に開く。
ページが一気にめくれあるページで止まった。第三章の最後だ。
その文を読んだ俺は恐怖にもう何も言えなかった。

暗がりではあったが、全員の愕然とした様子が分かった。




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