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Last update 2007年11月23日

口喧嘩?/無倫理  著者:一茶


短ver
 ――――――――――――――――――――――――――

『人間って、たった一匹だけにしちゃうと死んじゃうんだって!』

「でもな、それを分かっていろうが、いなかろうが
最後は誰よりも自分が生き延びることを選ぶのさ。」



長ver
 ――――――――――――――――――――――――――

―人間って、たった一匹だけにしちゃうと死んじゃうんだって。

時折、頭の中に響いてくる彼女の言葉。
『呪縛』とも、言えるのだろうか。


 五月蠅いほどの雨音の中、叫び声がこだまする。
 それは苦痛か、死を見てか。
 気付けば声は消えうせる。


 荒廃した街中を、一人の男が歩いていた。
一つの"仕事"をやり終えた彼は、今日もねぐらへと足が向かう。
人間性のほとんどを不要と切り捨てた彼に残っているのは本能といくらかの惰性。
彼は仕事屋である。
どんな奇麗な"仕事"であろうとも、どんな汚濁された"仕事"であろうとも全てを忠実に引き受ける。
尤も、こんなご時世の中では全てが汚濁された"仕事"なのだが…。

「……ふぅ」
今日も、いくつかの"仕事"をこなしてきた。
『ご苦労さん』
と、内なる俺が俺を迎える。
『今日は、散々だったな』
「あぁ」
『これで、あれだけじゃ割に合わないぞ』
「分かってる」
『たぶん、そろそろ今の雇い主は潮時だな』
「……」
『まぁ、お前の腕ならばどこだって雇ってくれるだろう』
「なら、いいがな」
『まぁいい、まずは飯だ』
「分かってる」
端から見れば、ただの独り言。
だが、端から見るような輩はいない。
裏から回ってくる期限切れの宇宙食を食べる。
それがこの時代において最善の食事だった。


 食事を終え、ぼろぼろのベッドで横になっていた。
いつもの習性でそのまま眠りにつく。
そんな時だった。
人の気配がした。
正しく言えば、空気が動く気配がした。
俺は真っ先にベッドから飛び降りた。
と、同時に"仕事"道具の一つをその気配の方向へと向けた。
薄暗い中で動くモノがあった。


「怨みか……」
いつもと同じ火の粉。
「俺はどれだけ背負うんだろうな」
目の前には肉の塊。
『じゃぁ、やめるか?』
「うんや、それはない。これしかないんだからな」
獣では……ない。
『これ、どうする?』
「ああ、いつもどおりにだ」

   ― 人間って、たった一匹だけにしちゃうと死んじゃうんだって。

「またか……」
これの度に響く言葉。
「仕方ないだろ?

最後は誰よりも自分が生き延びることを選ぶのさ」




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