Last update 2007年10月07日
タイトルなし 著者:Clown
そして夢が象徴的な種類のものでないことを祈った。
僕は、清らなる「原初の世界」を望みながら、夢の終焉の到来を待った。
僕は、清らなる「原初の世界」を望みながら、夢の終焉の到来を待った。
恐れていた「虚無(モノ)」は、そこにはなかった。
瞼を開き、最初に見えたものは、いつも通りの光景。
窓から溢れる光、そこから覗く空、道行く人達の雑踏。
あぁ、間抜けに過ぎるほど、いつも通りの朝だ。そう思い、ベッドから起きあがって、初めて気付いた。
瞼を開き、最初に見えたものは、いつも通りの光景。
窓から溢れる光、そこから覗く空、道行く人達の雑踏。
あぁ、間抜けに過ぎるほど、いつも通りの朝だ。そう思い、ベッドから起きあがって、初めて気付いた。
──雑踏が聞こえる?
部屋の窓は、道路に面してはいるが、そこは人通りの少ない通りだったはずだ。
雑踏が聞こえる事など、あり得ない。
胸騒ぎがした。
おそるおそる、窓の外を覗いて見る。
そして、僕は己の浅薄を呪った。
雑踏が聞こえる事など、あり得ない。
胸騒ぎがした。
おそるおそる、窓の外を覗いて見る。
そして、僕は己の浅薄を呪った。
──窓の外に蠢くアレは、なんだ?
両目を手の甲で擦り、もう一度凝視してみても、そこにある光景は変わらない。
何か、形容しがたい「何か」が、のたりのたりと練り歩く光景。
いや、それは「歩く」という表現をすら拒絶してしまいたいほどに、現実的な光景を逸している。
黒いヘドロのような物体が、己の体から垂れ下がる足のようなモノを引きずり、色んな色のペンキ缶をひっくり返したような跡をひきながら、綺麗に二列に並んで「行進」する光景など。
そんな物が現実的であるというなら、今いる自分こそが「非現実」だ。
知らず握った手が、じっとりと汗ばんだ。
恐れていた「虚無(モノ)」は、そこにはなかった。
瞼を開き、最初に見えたものは、いつも通りの光景だった。
だが、窓の外の外界は、それらを綺麗に否定していく。
目の前でひび割れていく大地が、落下する空が、成長する建造物が、まるで自分を嘲笑うかのように 全てを打ち砕いていく。
何か、形容しがたい「何か」が、のたりのたりと練り歩く光景。
いや、それは「歩く」という表現をすら拒絶してしまいたいほどに、現実的な光景を逸している。
黒いヘドロのような物体が、己の体から垂れ下がる足のようなモノを引きずり、色んな色のペンキ缶をひっくり返したような跡をひきながら、綺麗に二列に並んで「行進」する光景など。
そんな物が現実的であるというなら、今いる自分こそが「非現実」だ。
知らず握った手が、じっとりと汗ばんだ。
恐れていた「虚無(モノ)」は、そこにはなかった。
瞼を開き、最初に見えたものは、いつも通りの光景だった。
だが、窓の外の外界は、それらを綺麗に否定していく。
目の前でひび割れていく大地が、落下する空が、成長する建造物が、まるで自分を嘲笑うかのように 全てを打ち砕いていく。
──創り替えられていく、世界。
この部屋だけが、唯一の聖域であるかのように、窓の外の全てが崩壊と創造を繰り返していく。
ヘドロの群れはいつの間にか消えていなくなり、有機的な存在の一切がこの世から消え去ってしまっていた。
伸び上がる人工物はジャングルのように絡み合い、ぶつかり合い、競合しあって空を突き破る。
最早大地はいくつもの群島に分かれ、その下に広がるマグマを露出させていた。
湧き上がる紅は広がり、細かく砕かれた島を飲み込んでいく。
足場を無くした建造物は沈み込み倒れ、周囲の犠牲となるべき建造物を薙ぎ倒して負の連鎖を広げる。
ヘドロの群れはいつの間にか消えていなくなり、有機的な存在の一切がこの世から消え去ってしまっていた。
伸び上がる人工物はジャングルのように絡み合い、ぶつかり合い、競合しあって空を突き破る。
最早大地はいくつもの群島に分かれ、その下に広がるマグマを露出させていた。
湧き上がる紅は広がり、細かく砕かれた島を飲み込んでいく。
足場を無くした建造物は沈み込み倒れ、周囲の犠牲となるべき建造物を薙ぎ倒して負の連鎖を広げる。
窓の外で繰り広げられる、混沌(カオス)。
創造される、新世界(ネオス)。
創造される、新世界(ネオス)。
そして、新世界が旧世界を、唯一の聖域であるこの部屋を飲み込んだ時。
不意に、「その事」に気付いた。
あぁ、そうか。
これこそが。
この「混沌」こそが、恐れていた「虚無」こそが、僕が望んで已まなかった「原初の世界」であるのだと。
不意に、「その事」に気付いた。
あぁ、そうか。
これこそが。
この「混沌」こそが、恐れていた「虚無」こそが、僕が望んで已まなかった「原初の世界」であるのだと。
マグマに飲み込まれるほんの一瞬の間に。
僕はあたりを見まわしてから思わずため息をついた。
僕はあたりを見まわしてから思わずため息をついた。