Mystery Circle 作品置き場

なずな

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nightstalker

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Last update 2008年01月13日

遠い記憶~ワンダーランド 探して 著者:なずな


おわりとはじまりはいつもいっしょにやってくる。


幼稚園の入園式の日、大雨。
お気に入りの白いブラウスに泥がはねて 登園拒否になった。
小学校入学、友達が出来たと喜んでたら 父がいきなり転勤になった。
高揚した気分は しなしなといつもどこかに消えていく。


初デートにおしゃれして出かけたら、その日に別れを切り出された。
初めてのバイトに張り切って行ったら、手違いでしたと帰された。
入会手続きした英会話教室は行った初日に潰れてた。
「申し訳ございません」の張り紙を見ながら 払い込んだ授業料のことよりも
あたしは今までと、これからの人生を思い、肩を落とした。

 ─ いちいち傷ついてたらやってらんないもんね

あたしはそう呟いて、不敵に笑ったつもりだったけど
やっと見つけた新しいアルバイト先、老人ホームのドアのガラス、
唇の片端だけくにゅりと歪んだ 情けない顔が映っていた。


☆彡

「梅雨が終わったら、本格的な夏が始まります。」
七夕の笹飾りを「ふれあいルーム」に立てかけながら
職員の高田さんがお天気お姉さんの声色で言う。

「何かが終わったら、『終わったあとの時間』が必ず始まるものじゃない?
 一学期が終わったら夏休み。夏休みが終わったら二学期。」
「老人ホームのバイト辞めたらプータロー?」
「そういうこと。」

「プータロー」はちょっと古かったな・・
あたしはこうやって「終わったり始まったり」を繰り返し
ずんずん古くなって ひからびた人間になっていくのさ。



「恭子ちゃん、バイト最終日の記念に 短冊書いていきなさいよ。」
 ─ 何を書いたらいいのか 解らないよ
 ・・あたしは ぼそぼそと答える。
「なりたいものとか 行きたいところとか、ああ、好きな言葉でもいいわよ」
「短冊ってそんなのだっけ?」
「あはは、ちょっと違ったか。」

おじい様方に絶大なる人気を誇る、美人で気さくな高田さんは 
からり笑って、手馴れた手つきで笹を柱にくくりつけた。


 あたしは 何になりたいんだろう
 あたしは どこへ行きたいんだろう。
 あたしは 何が好きなんだろう。

短冊と筆ペンを渡されたけど やっぱり書くことは見つからなかった。

どうせ お星様はみんなの願い事聞くのに忙しくって
あたしなんかに構っちゃいられない。
短冊いくら書いたって あたしの願い事なんか 叶いっこない。


☆彡


「サッちゃん?ああやっぱり サチエさんだ。」

細かく震える声に振り向くと 背の高い老人が満面の笑みをたたえ立っていた。
「いやぁ 久しぶりだなぁ。こんなところで何してるの?」

訳が解らず 高田さんに目で助けを求めると
「山本さんの話し相手、頼んだわよ、’サッちゃん’」
耳元でささやかれ 背中をポンと押された。

「七夕にあなたと再会できるなんて なんて素晴らしいんだろう。」
山本老人はいきなりあたしの手を握り うっとり涙ぐむ。


お年寄りと交流する暇もないようにホーム内の掃除をし、
小動物の世話や雑用ばかり、黙々とやってきた。

「ふれあい動物園(実はウサギと鶏がいるだけ)」のウサギたちが
柵の下に穴掘って逃げるのを追いかけて捕まえるの、あたしは結構得意だった。
なのに数日前、ぼんやりしていて 全部逃がしてしまった。
それは役立たずのあたしを、クビにする都合のいい理由になったようだ。

こんなところでアルバイトしていながら あたしはお年寄りと接するのが
すこぶる苦手だった。



サチエさんが誰なのかも解らないし とりあえず話題を変えよう・・
キラキラした目であたしを見つめる御老体から目を逸らした。

「再び ワンダーランドに行けますように。」
線こそ力強さはないものの 達筆で「山本」と記名した短冊が笹に揺れていた。

「ワンダーランド?」
地方のさびれかけた遊園地の看板を とっさに想像した。
錆付いたメリーゴーランド。居眠りしてる切符切の係員。

山本老人を振り返ると、先ほどの目の輝きは消え、ぼんやり遠くを見ている。
なんだか一気に歳をとったように見えた。


「最近疲れているのかなぁ・・何だか よく思い出せんのです。
 ただ、あなたと一緒に 語り合った・・
 ・・いやいや・・一緒に行った、心躍るきらめく世界・・
 うーむ 違う、手に汗握る冒険だったろうか・・

 サッちゃんに会えたら きっと語り合えると思ったのだが・・。」

語れるわけないじゃん・・。頼むから本当のサチエさんに言ってくれ。


☆彡

「とても孤独な方なのよ。」
山本老人を部屋に送り届けた後、ちょっと散歩しようか、と
高田さんに誘われた。

「ねぇ、バイト辞めて、明日から『退屈な時間』を始めるくらいなら
 私の頼みごと聞いてくれない?」
「高田さん、難しいこと言うんじゃないでしょうね、あたしにできるような事?」

高田さんは さっき山本老人がしたのと同じように私の手を取って
「’サチエさん’にしか できないことよ。」
悪戯っぽく笑った。


高田さんの頼みは こんな風だった。
時々 山本さんに会って、話相手になって欲しい。
「ワンダーランド」に関わる何かを、思い出したがっているのなら手伝ってあげること。

「職員が、特別誰かとばかり関わってるわけにはいかないでしょ。
 幸いあなたはどなたにも覚えられてないみたいだし、明日からフリーだし。」

高田さんは辛辣なことをにっこり笑って言う。



 ─ あたしは「サチエさん」に どこか似てるんですか?

あたしが聞くと、高田さんは笑って
「誰も サチエさん本人を知らないのよ。詳しい事もね。
 1代目の「サチエさん」はNさんのお孫さん、それからTさんでしょ、ちなみに私は3代目。」
歳もタイプも全然違うけど、美人揃いだ・・。
「何かの拍子に’サチエさん変換スイッチ’が入るのよね。きっと。」

どうやら スイッチはもう人を選んでないみたいだ、
あたしは窓に映った自分の顔を、しげしげ眺める。



☆彡

山本さんは たいてい眠っている。
寝顔は穏やかだ。、少し笑っているように見える時もある。

あたしのことは「サッちゃん」だと思う時と、ただの若いボランティアだと思う時がある。

たとえ「サッちゃん」だと思ったとしても 
「懐かしいなぁ、サチエさんじゃないですか、こんなところで何しているの?」
お決まりの再会の感激シーンから始まるので 話は一向に進まなかった。
無理矢理 話題を「ワンダーランド」に向けると 
途端に 頼りなげな声になり 思い出せない・・とぶつぶつ独り言を言った後

「ところで あなたは どなたでしたっけ?」
「もう 疲れたので 休みます。お引取りください。」

深々と礼をすると 堅い表情になってしまうのだった。


☆彡

「ともかく、山本さんの若いころの大切な思い出だと思うの・・。
 ’サチエさん’、そして’ワンダーランド’・・」
ホームに行くといつも、高田さんは仕事の合間に缶コーヒーをおごってくれた。

「『再び』『行きたい』ですものね。短冊書いた時はどんな風だったんですか?」

「何か書いて下さいね、って短冊を預けたの。
 次の朝、書いて置いてあったんだけど・・。
 何だかね、自分で書いたことさえ忘れてたみたい。」

進展を見せないあたしの話を一通り聞いた後、
高田さんは空き缶を 静かにゴミ箱に入れると
少し考えた後 あたしに向き直り、笑って言った。

「そうよね、他人がいつまでも余計な詮索するものじゃないし・・。
 ありがとう 恭子ちゃん、ごめんね、手間取らせたわね。
 明日からは自分のやりたい仕事しっかり探して ちゃんと見つけてね。」

気の早い蝉がベンチのそばの木の上で鳴き始めた。
自慢げに 高らかに。

聞いてなよ、生きるってのは こういうものさ。



☆彡


山本さんは あたしを「サッちゃん」と呼んだ。
涙ぐんだ目であたしを見て、「懐かしい」を繰り返した。
そういう時の彼は 現在の山本さんではなく
若くて元気な「タケオちゃん」であるらしい。

「右手と左手のようになれないかなぁ。」
「タケオちゃん」は頬を赤く染め ある日あたしの手を取って言った。
だけど、その後すぐ ゴホゴホと咳込む。乾いた老人の咳。
おそるおそる 背中をさする。
骨ばって、細い背中。
壊れ物のような いのちの容れ物。

どんなたくさんの時間を この身体は通り過ぎてきたのだろう。
あたしは 山本さんの銀色の髪や、筋ばった手を見つめて 遠い時間に思いを馳せた。


並んでつなぐ手と手。
バトン渡す手と手。
おにぎり握る両手。
タケオちゃんにとって 右手と左手の関係って何だったのかな。


☆彡

山本さんの七夕の願いを叶えたい。
せめて サチエさんを見つけ出したい。
あたしの中で「サッちゃん」が どんどん大きな存在になっていく。

’タケオちゃん’の話した言葉の中に、何かキーワードはなかったか・・
あたしは 必死で考えた。
どうしてもっと真剣にメモを取ったり、役に立ちそうな質問をしたりしなかったのか。
自分の いい加減さが情けなかった。
高田さんは、もう終わっていいよ、と笑ったけれど、あたしは決めたのだ。
今度は自分で動くこと。
動くことを始めること。


☆彡

高田さんに無理して聞きだし山本さんの緊急連絡先。
電話に出たのは唯一の遠い親戚という若い人で、
山本さんの事なんか、ほとんど何も知らなかった。
「いまさら オトシヨリの元恋人?なんか、探されてもねぇ・・」
迷惑そうな声で言い 早々に電話は切られてしまった。


住んでいた屋敷は処分した後で、別の家が建っていた。
古く見えても 戦後に建った住宅地だということで 代々住んでいる人も少ないらしい。
近所の人も 山本さんの若い頃のことまでは知らなかった。
「戦前の話でしょ・・さすがに 解らないわねぇ。」

「サッちゃん」も「ワンダーランド」もそんな遠い過去の話なのだ。
あたしは改めて、流れた時間のこと、止まった時間のことを考える。
長い長い長い ため息が出る。


☆彡

「あそこにお住まいだった山本さんでしたら 知ってますよ。
 家を出るから蔵書を全部引き取ってくれって 頼まれてね。
 お身体も心もとないから ホームに入られるとか仰ってましたっけ。」
期待もしないで入った古本屋。奥から出てきた主人が言った。

「難しい本が多かったなぁ。トラック何回も往復してねぇ、
 経済論とか経営学とか 古い、売れなそうな本ばかりでしたけど。」

有能な探偵だったら ここで 何を聞くのだろう・・
せっかく見つけた手がかりを あたしは持て余していた。

「あ、でも 一冊だけ 意外なのがあったっけ。」
「何でしょうか?」
「本棚の奥に隠すようにね、外国語の、あれは絵本だったっけなぁ・・」

 ─ ああ、これこれ・・

「Alice's Adventures in Wonderland」

物持ちのいい店主が店の奥から時間をかけて探し出したのは
すっかりほこりをかぶって ページの黄色くなった「不思議の国」の物語だった。

☆彡

店主がおしゃべり好きで 記憶力がいい人だったので助かった。
事情を話すと本を譲ってくれ、その上、山本さんが故郷だと言って懐かしんでいた土地を教えてくれた。
「その棚の画集をね、ずいぶん長い間眺めてらしたなぁ。」
見せてくれたその絵には 黄金色の稲穂が揺れる 田園風景が広がっていた。

 ─ もう すっかり変わってしまっててね・・風景も人も。
「帰れるところもないのです」山本さんはそう言って 寂しそうに笑ったそうだ。




本を譲って貰い、あたしが向かったのは 山本さんの故郷。
手がかりは「サチエさん」と「山本タケオさん」。そして「不思議の国のアリス」。

タケオちゃんの望む「右手と左手の関係」。

訪ねた土地は 小さな田んぼが所々に残る新興住宅地だった。


☆彡

何人かに声をかけ、何軒かを訪ねたら次第に度胸がついてきた。


「山本タケオさん」と「サチエさん」について少しでも知っているお年寄りはいないかと、
あたしは山本さんの故郷の村だったあたりを探し回った。
お年寄りたちは、記憶があやふやだったり 知らないと突っ撥ねたりする人もいたけれど
大抵が話を熱心に聞いてくれたし、一所懸命役に立とうとしてくれた。

けれど ほとんどがカラ振りで、
山本さんの同級生とか、名前だけでも聞いたことがあるって人にも 出会えない。
その代わりあたしは、その人たちの戦時中思い出話やら、亡くなった旦那様とのロマンスやら
それはたくさん聞かされ、アルバムを見、終いには夕食までご馳走になったのだった。

ジンセイ イロイロ・・
夕食を頂いた後、お年寄りが浪々と歌うカラオケの演歌や軍歌を聴いて
あたしは妙にしんみりしてしまったんだ。


☆彡

 ─ あたしは探偵にはなれないや・・

本だけをお土産に持って 山本さんを訪ねた。
眠っている山本さんを見て、何だか気になって
「体調、お悪いの?」高田さん尋ねると
「よく解ったわね、恭子ちゃん。」
高田さんは静かに微笑んで あたしの肩に手をかけた。

 ─沢山のお年寄りに会ってきた・・
あたしはここ数日の、成果とは言いがたい内容を、高田さんに語った。


『Alice's Adventures in Wonderland』

本を枕元にそっと置いて帰ろうとしたら 山本さんが目を覚ました。
「サッちゃん、ああ、サチエさんでしたか・・。」
それは かすれて消え入りそうな 小さな小さな声だった。
「本を持って来たんです。」

細かく震える細い指が 本の表紙をなぞる。
「懐かしいなぁ・・・。こんなところでまた会えるとは・・。」
山本さんは満足そうに微笑むと 
「読んでもらえますか?」
静かに目を閉じた。



どんなに下手くそな朗読だったか・・
あたしは もっと英語を勉強しておけばよかったと思い切り悔やんだ。
恥ずかしくて 投げ出したかったけど 必死で読んだ。

気がつくと 山本さんは幸せそうな顔をして 眠っており
少しでも喜んで貰えた気がして、あたしは心からほっとした。


☆彡

「幸枝は義母の名前ですけれど・・。」

嫁いで遠くに行ってしまってるかもしれない、
─ここを出鱈目に探すのも無理があるな・・
あきらめかけたその日、バス停で出会った婦人は続けて言った。
「10年前に他界しましたが・・」

 一瞬の光、そしてまた闇。

「山本さん・・ですか?私には、ちょっと・・・。
 義母は物静かで控えめな人でしたし あまり昔のこと、話す機会もなかったので・・。」

優しげで上品なその婦人は、首をかしげて考えていたが 
「あなたには申し訳ないけれど、解りません。そのサチエさんは 義母ではないかもしれませんよ。」

あたしのカンなんて当たったことない。だけど「幸枝さん」はきっとあたしの探していた人だ。
これは直感。


「『Alice's Adventures in Wonderland』・・えっと『不思議の国のアリス』、
 お好きだったとか 聞いておられませんか?
 英語とか、外国の童話や絵本に興味がおありだったとか・・」

婦人の表情が少し変わる。頬に手をあてて少し目を閉じた後
「亡くなった義母がお探しの方だったとしても
 山本さんにお役に立てることは 何もないと思うのですが・・」
婦人はそう言いながら お宅まで案内してくれた。
「どうぞ 奥へ・・」
通されたのは古い洋書や外国の絵本の並ぶ立派な書庫だった。

「全部義母が実家から持ってきたものだそうです。
 義母のお父様のコレクションで、思い出の品だと聞いてはおりました。」



可愛らしい笑い声と、楽しげな男の人の話し声が聞こえてきた。
書庫の窓から手入れの行き届いた中庭が見える。
その先の日当たりのいい縁側に、お年寄りが腰を下ろし
小さい子供を遊ばせているのが見えた。

「義父と、ひ孫です。」
会釈するあたしに 婦人は小さな声で付け足した。
「義父母はお見合い結婚と聞いています。でも とても仲良かったんですよ。」


書庫の本は語ることなく ただ静かに時を眺めている。
日の当たる縁側は柔らかな笑い声に満ちている。
ここまでたどり着いたって、あたしは山本さんにしてあげられる事は何もない。

だけど・・。

「あの・・何でもいいんです。思い出を聞かせていただけませんか?
 本について 他に仰ってたことはないでしょうか?
 本以外には何がお好きでした? どんな方でした?」

「・・思い出ですか・・そうねぇ・・・」

写真立ての中 ご主人と寄り添って笑う幸枝さんがいる。
とても綺麗な人だ。

「ピアノが好きな人でした。」
「ピアノ?」

「孫・・うちの子供たちが やっと右手でメロディが弾けるくらいになると
 よく左手代わりに伴奏をつけてくれました。あれは本当に楽しそうだったわ。」

右手と左手・・・。
その言葉を聞いてあたしは へたへたその婦人のまえでしゃがみこんでしまった。


☆彡


「思い出って大切過ぎたら、他の人には言えないこともあるのかもしれないよ。
 結婚した相手や、そうやって作った家族なんかにはね。」

高田さんはパソコンを見ながらつぶやいた。
画面には「不思議の国のアリス」。
異国で生まれたひとつの物語の 長い歴史が綴られていた。

 ─そうかもしれない・・そう思っていたい。
あたしも何だか これ以上あの家族に聞くことを躊躇われて
ご主人が帰るまで、と引き止めるのを辞退して帰ってきたのだ。




「あの・・山本さんて方は義母・・いえ、サチエさんと どういうご関係だったんでしょう。」
玄関先まで見送ってくれた優しい婦人は あたしに小声で聞いた。

「どういう・・って・・ええと。」
あたしにだって よく解らない。

「山本さんは・・、右手と左手の関係になりたいと、そう仰ってました。」

書庫の中、古い写真の中で微笑むサッちゃんに、
あたしはタケオちゃんの気持ちを少しだけ 伝えたのだった。



☆彡


山本さんはあれから体調が戻らず、秋風が吹き始める頃 亡くなった。
最期を看取ったのは 高田さんだった。

「不思議の国は、ずうっと、ここにあるんだね。」
かすれる声でそう言い残し 幸せそうな笑顔で逝ったのだという。


あたしは本を形見にもらい、ヘルパーの勉強を始めた。
もう一度頼み込んで ホームの雑用のアルバイトにも復帰した。

走るウサギを追いかけながら あたしは思う。
きっと サッちゃんとタケオちゃんは 今頃感激の再会を果たして
不思議の国を探検してる。

異国の本を二人で眺め、空想の世界で遊んだ幸せな時間が
タケオちゃんの大切な大切な思い出だったんだと思う。
そうそう、ピアノの連弾も・・ね。



そして あたしは相変わらずウサギを追いかける毎日だ。
この頃は お年寄りたちも窓から眺め、あたしの名前を呼んで応援してくれる。


物語に出てくるみたいな「ウサギの穴」は見つからないけれど
あたしの「不思議の国」の入り口は きっとここなんだろうな、
そんな風に思うんだ。




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