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Last update 2008年03月15日

Full monn"満月"  著者:真紅



『あまりのひどい因果関係に、今度は耐えきれずにため息を漏らした。』

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「・・・ふぅ。」

馬鹿馬鹿しい。

何もかも。

生死が入り混じるこの世界で。
虚実が入り混じるこの世界で。
その世界のこの路地裏で。
男は台詞を繰り返し、俺に言う。

「何なんだ・・・お前は・・・。」
男の体は震えていた。

「やれやれ。」
俺はいかにもそう言ってるかのように肩を竦める。
何なんだお前は。
今まで何度も、何度も、何度も言われてきた。
そしてこいつまでもそれを口にする。
俺は何なんだろう。
もう何万回としてきた、この自問自答。
だが、もう一度しよう。
俺は、一体、誰で、一体、何なんだ。
それに嫌気が差し、ふと空を見る。
満月。
それは妖しく、哀しく、美しかった。
自身の中で沸き立つ血を感じながら、俺は口を歪ませる。
いつも果てない自問自答の最後に出す答。
教えてやる。
俺は笑い、言い放った。

「知らねぇよ。」

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二年前の満月の日、あるホテルで殺人事件が起こった。
犯人は未だ捕まっておらず、証拠も残っていない。
まだそれ「だけ」なら良い。
何故なら。
これは普通の殺人などでは無かったからだ。
猟奇的とも、怪奇的とも付かぬその手口。
現場を目にした玄人の刑事でさえ息を呑んだという。
被害者の遺体。
いや、果たして遺体と呼べるのか。
「肉塊」と称した方が正しいのだろう。
部屋は被害者の血で真っ赤になり。
家具は全てが壊され、壁にも無数の傷。
異常ともいえるこの光景は、見る者を圧倒し畏怖させた。

この事件に警察は、異例とも言える大捜査網を敷く。
が、犯人は嘲笑うかのように第二・第三と事件を起こして行く。
異質な事に第二・第三は全く違う手口で。
挑発。
もはやそれでしかない。
警察は形振り構わず夜中の外出を規制。
様々な道路を検問。
しかし犯人の手掛かりさえ掴めずにいた。
現場に残された長く、美しい「毛」を除いては------。

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男はナイフを取り出した。                          
  もう遅い。
「俺は・・・認められるんだ・・・!あの人にぃぃぃ!!」           
 体が変形を始めた。
「あの事件は・・・俺がやったんだぁぁぁぁ!!」               
  狂信者か。
突っ込んでくる。                              
   愚かな。
「お前は邪魔だ・・・」                           
   喜べ、第二号だ。
                       「死ね。」
男の首から赤い物が爆ぜた。
「え・・・?」
男の顔に困惑の色が宿る。
俺は変形し切って獣の物となった手を眺める。
「グボ・・・バ・・・。」
何かを男は言おうとするが、口から溢れる血で言えない様だ。
男の体が痙攣を始めた。
何か言いたげである。
彼の顔はこう物語っていた。

『何だ?さっきからこの人は何を言っているんだ?』




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