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Last update 2008年03月15日

Inspirationdetective noa~真実~  著者:フトン



猫ならごろごろ喉を鳴らしているだろう。
優しく髪を撫でられ、愛しむように抱きしめられれば・・・・
いや、猫でなくても、こいつの容姿や私以外の人気を考えれば、大抵の女の子なら今頃・・・
メロメロで・・・溶けてしまっているだろ。
でも・・でも!
私は恐怖心いっぱいで、こいつを見上げた。
「な・・に・・?」
深い眠りから覚めた私にはこの恐怖がイマイチ理解できず、ただ何か恐ろしい事が起きるように感じるばかりで・・
「お!起きたか?最高だろ?この、俺様に膝枕されて。」
ニヤリと笑ったこの男は・・・紛れもなく私の天敵『加住 憐』で・・・
私は必死でこの状態になったわけを、記憶を辿って探そうとする・・・
まだ意識のはっきりしない頭は、途切れ途切れの記憶を繋ごうと、ぐるぐる回り始めた・・
確かそう、事の起こりは放課後が始まる前のことだった・・・

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「乃亜ちゃ~~~ん。」
背後から猫なで声で呼ばれ、背筋が凍りつく。
呼ばれたことを気づかないふりで私は黙々と、机の上のノートに打ち込んだ。
「乃亜ちゃん。」
あま~~~いその声は、普通の人が聞いたらとろけてしまうかも知れないが、私にはねえ??
こいつに拘わって良い事はない!!とにかく無視!!そう決めた私の心を、見透かしたように、次ぎの言葉が降ってきた。
「乃亜~~。いい度胸だなぁ~~。この俺様の呼びかけを無視するとは。」
無視する道具を取り上げられ私は渋々と顔を上げる。
「憐!悪いけど、私は明日のテストのことでいっぱいいっぱいなの!!あんたの
悪ふざけに付き合っていられナ・・・・んぎゃ!!」
私は話し終わる前に、ドシンと言う音と共に椅子から転げ落ちた。
したたかにお尻を打ちつけ思わず涙目になる。
「そんな理由でこの俺様を無視するとはいい度胸だねぇ。」
憐はそう言うと俯きながらお尻をさする私の顎を“クイツ”と指先で持ち上げる。
瞬間教室に、女の子の悲鳴が上がり・・・
私に冷たい視線と激しいい罵りが響いた。
“なに!あの女!!”
“憐様に~~”
 ・・・・・・・・・・
私の所為か?
私は無視してただろ?こいつの事無視してたでしょうがぁぁぁぁぁぁ!!
そんな心の叫びとは裏腹に、またしてもクラスメイトに敵を作る羽目になった私は渋々、憐に従った。
そうでもしないとこの悪魔は、私をこの教室でもっと不利な立場に送り込みかねないのだから・・・
ああ・・・神様!私を助けてください!!
その願いは虚しくも空気となって消えていった・・・

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

悪魔もとい、憐に連れられて来た場所は、この学校の一番古い校舎にある図書館だった。
普段人もまばらなこの場所に何があるのかと・・・考えるまでもない。
こいつが私を連れてくると言う事は、霊的な事件と言う事。
様は自分で対処できない事には、奴隷・・・じゃない!私を利用しようと言う魂胆。
相変わらず自己中まっしぐらな奴だ。
「この間ここに来たら、面白い本を見つけてナ。」
そう言ってニヤリと笑った、こやつに私は、嫌な予感を拭えない。
「何よ!また変な事に巻き込もうとしてんじゃないでしょうね?」いかにも不振気に見やる私に構いもせず、ずかずかと奥の本棚に入ってく。
「ちょっと!返事ぐらい・・・」
そこまで言って私は言葉を濁した。
あの・・・彼女の気配を感じて・・・・
「・・・憐?」
急に不安がこみ上げ、慌てて憐の後を追う。
もともと人気のないこの図書館に、より奥ばったその場所は、憐以外誰もいず、
異様な空気が漂っていた。
私らしくもなく思わず憐の制服の袖を掴む。
その様子に憐も何かを感じ取ったのか、より楽しそうにニヤニヤと笑った。
こう云う時、本当にこいつが恐い・・・・
異様なこの感じを楽しんでしまうこいつって・・・やっぱり悪魔か?
そんな事を考えた所為か気持ちが少しずつ落ち着いてくる。
「お!あった。この本この本。」
鼻歌でも歌いだしそうなほど、楽しげに憐はそう言うと、一冊の古ぼけた本を棚から取り出した。
いかにも時代物のその本は、紙も色焼けしていて角など折れ曲がり、節々に穴など開いていて・・・怪しさ満点だった。
「この本が何よ・・」
正直何となく分かっていた・・・
あの姫様に関係する事だって・・・
見たくない気がするのに・・・手が伸びる。
「お前も知りたい事がたくさん書いてある、素敵な本だぞ!!」
憐のその声は確実に楽しんでいるそれで・・・と言うことは私には紛れもなく、嫌な事が書かれてあるということ・・・
憐から本を受け取ると、おそるおそる本を開く。
厚手の和紙で出来た表紙は、すでに劣化して何時でも壊れそうなのに、何故か重くはかなさより強靭さを感じさせた。
本を開いたがいいもの・・・
読めない・・・
達筆すぎてまったく読めない!!しかも!昔の言葉らしくまったく私の頭では理解できない・・・
頼りたくないけど・・・ちらりと憐を見ると・・
私が読めないことを予測していたとでも言いたげに、ものすっごくふてぶてしい笑顔で、憐がこっちを見ていた。
分かってて何も言わずに私に本を渡したのだと気づき・・・またしても憐のおもちゃにされたことに・・・
むかつく・・・
こみ上げてくる怒りを必死に堪え、すっご~~く不本意ながら憐に・・・
「読めない。訳して・・」
とそっけなく言った。
「は?乃亜それが人に物を頼む態度かね?」
やっぱり・・・
「憐様、訳してください。だろ?」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・むか!!
思わず握りこぶしに力が入る・・・
「れ・・憐・・・」
そこまで言って、ストレートパンチが飛んだ!
死んでもそんな事言えるか!!
私は、本を胸に抱えて図書館を飛び出した!

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

とりあえず憐以外で頼りになる相手・・・
私はそう思い真っ直ぐ生徒会室に急いだ。
以前、とある事件を解決して以来生徒会長は、私に優しい。
そのお陰で、ある程度付き合いがあり唯一頼れそうな気がした。
生徒会室の扉をノックすると、優しい声で「どうぞ」と言われ私は、生徒会室へと入っていった。
生徒会室では副会長が、せっせとお茶の準備をしていた。
「あら?乃亜ちゃん。どうしたの?」
一度は恐ろしい事件の犯人になった、この人はそのこと以来本当に私に優しい。
「あの・・・この本訳せますか?」
とにかく本の内容が知りたくて挨拶も適当に、本題に入った。
副会長は私から本を受け取ると・・・
ゆっくりページを捲った。
「う~~ん。そうね。これならすぐに訳せそうよ。ちょっと待ってね。」
そう言って、生徒会室の大きな両手開きの棚から、何枚かの白紙を出すと机に向かって黙々と書き始めた。
 ・・・・
どのくらいここに居るだろうか、いつの間にかやってきた会長と話が弾み気が付けば、淹れてもらった紅茶が冷め、辺りは薄暗く綺麗な夕日が教室を包んでいた。
「出来たわ。」
そう言って副会長が何枚かの用紙を私にあの本と一緒に渡した。
綺麗な字できちんと読みやすく書いてあるのを見て、この人の、人の良さが伺える。
「ありがとうございます!!」
「時間がないから、軽い感じの訳だけど、多分大丈夫だと思うよ。・・・でも、このお話・・とっても切ないのね。何だか居た堪れない感じよ。」
そう言われ私は、何だか恐くなった。
本当は知らないほうがイイのかも知れないと・・・

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

生徒会室を出て、教室に鞄を取りに戻ると当たり前のように憐が私を待っていた。
「おっせ~~~!!」
ものっすっごくご機嫌斜めの憐を軽くあしらう。
「で、読んだか?」
「まだ・・」
「早く読め!!」
半ば強引に机に座らされ、私は仕方なく副会長が訳してくれた用紙を読み始める。
本当は読みたくないのだけど・・・
そこには・・・・・
あの姫様の辛く切ない生い立ちが事細かく書かれていた。
産まれてすぐに母親を亡くし、その為忌まわしい姫として、民に嫌われ継母の執拗な嫌がらせに耐え生きていた彼女・・
彼女が見目麗しい姫君になると、その執拗なまでの嫌がらせは激しくなりとうとう、彼女の父王までもが彼女を悪魔のように謡い始めて行く。その全ては継母による陰謀なのに・・
一人山奥の離れに住まわされ・・
そんな彼女にもやっと救いの手が差し伸べられた。
一人の侍が彼女の護衛として送られ・・二人は自然と恋に落ちた。
しかし幸せは長くは続かなかった。
二人の中を知った継母が、子供が生まれることを恐れ二人を無理矢理引き離すべく侍を激しいい戦火の戦場へと追いやったのだ。
無理矢理引き離され泣き崩れるばかりの姫に、継母が侍には許婚が居て姫との仲は遊びだったと継げる。
暫くして生きる気力さえ乏しくなった姫に、侍が戦場で亡くなったと知らせが届く。
微かなとともし火さえも打ち消され、姫は全てを失った。
生の気力もなくなった姫は自害の道を選び・・・
その離れは封鎖された。
姫の死後、姫にお子が宿っていた事、継母の陰謀という事が分かった父王も、苦しみの末若くして病気になり短い命を終えたと・・・
 ・・・・・
言葉が出ない・・・・
読み終わった私の瞳から大粒の涙が零れ落ちた・・・
あの姫様の・・・過去・・
姫は知っていたのだろうか・・・子供のこと・・・
顔を上げて憐に話しかけようとしたときだった!!
激しい耳鳴りが私を襲った!
「ぐぅ!!」
激痛の伴った耳鳴りは次第に強くなり、私はひれ伏すように頭を抱えて机に突っ伏した!!
「乃亜?」
憐の呼ぶ声がどこか遠く・・・記憶が・・意識が・・薄れていった・・・

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

さらさらと暖かい風の音に目を覚ます。
草と花の香りが鼻につき何だか気持ちがいい。
「乃亜・・」
優しい声に顔を上げるが体が上手く動かない。
ふと視線の先に憐の姿を見つける。
「れ・・ん・・」
声を絞り出したが上手く言葉に出来ない。
野原の真ん中でただ立ち尽くしている私・・・
動く事も話す事も出来ない。
草花が風に揺れ青々とした景色が辺りを埋め尽くしている。
視線の先の憐は誰か、恐ろしいほど美しい女性と何か話している。
「姫は!姫は何処だ!!」
侍姿の憐がその女性を激しく揺さぶり問い詰めているのに、女性は動じる事もなく不適な笑みを浮かべるばかり。
ふと女性の視線が私に向けられた!
冷たく恐ろしい視線・・
体が動かない私はその視線に晒され・・・小刻みな震えが襲ってきた。
“こわい!!”
えもいわれぬ恐ろしさがこみ上げる・・・
女性の背後から真っ黒な煙のような蛇のような恐ろしいものが私に向かってゆっくりと地べたを這う様にやってくる!!
逃げたいのに動かないからだ・・
もうだめだ!!
そう思った瞬間私の意識はまた遠のいていった・・・

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

憐の叫び声が私を揺さぶった。
「おい!乃亜!!」
目を開けるとそこはもうすっかり暗くなったいつもの教室だった。
 ・・・・夢?・・・
あんな生なまし夢があるのか?
頬を伝う涙が激しい震えが・・・とても私に夢だったとは思わせてはくれなかった。
「憐・・私・・」
言葉を必死で紡ぎだした。
「何があった?」
憐がそう言って私に手を差し伸べた時だった。
ゆっくりと誰かが近付きて着た。
「・・ひめ・・」
私の言葉に憐も振り返る。
瞬間!憐の顔が青ざめた。

憐にも見える?
『鬼が動き出しました・・もう・・止められない・・』
姫はそう言うと涙を流し・・消えていた。
「今・・のが・・・」
憐の言葉に私は静かに頷いた。
憐にも見えたという事は・・・何かが動き出したという事・・・
それは激しく恐ろしいもの・・・
あの夢は現実・・・
二人きりになった教室は・・静かでとても重たい空気が取り囲んでいた。
何かが・・動き出した・・・

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

いつもの様に私は憐と並んで歩いていた。
でも、そこにいつものような軽い言葉の掛け合いはまったくなかった。
ただ無言で・・家路を歩くだけ・・
あの公園に着くまでは・・
公園を横切ろうとした時、突然憐が誰かに呼び止められた。
呼び止めた相手を見た瞬間!私は凍りついた・・
 ・・・・あの女性!!・・
夢で見たあの女性がそこに居た。
夢の時とは違い着物ではなく、どこかの学校の制服を着てはいたけど・・あの恐ろしいほど美しい顔立ちは見間違えるわけもなく・・
「憐~~!やっと帰ってきたぁ~~。」
夢の時とはまったく違った、猫が甘えているかのようなその声にこわばっていた緊張が少しほぐれる。
「あ?琴葉?お前なんでココに?」
憐は驚いたように彼女を見つめ、彼女はニコニコと憐の腕を絡めとった。
「え~~!憐てば冷たい~~。憐に会いにわざわざきたのに~~。」
べったりと憐に張り付く姿に何故か、ちくちくと胸が痛む。
何・・・この痛み・・・
「あ・・あの・・憐?」
置いてけぼり状態の私はおずおずと憐に話しかけた。
話しかけた私に物凄い視線が突き刺さる。
視線の主は、もちろん琴葉さん・・・
こわい・・・
「憐。この女誰?」
物凄く嫌そうに不機嫌そうにそう言われ、何だか落ち込む。正直こんな反応には慣れているはずなのに・・・この子は違う・・
「こいつは、俺の幼馴染。下僕の一人だ!」
自慢げにそう言われ・・・
思わずストレートパンチ!!
つーか当たり前。
体勢を立て直し・・・
「花城 乃亜です。宜しくね。」
なるべく普通に落ち着いた様子を作って自己紹介をする。
「ふ~~ん。」
琴葉はまるきり関心ないようにそれだけ返事をすると、私から視線を外し憐を見つめた。
「憐。遊びいこ~~。」
憐の腕に自分の腕を絡ませ・・擦り寄るように寄り添う琴葉が・・・
嫌な感じで・・・私は目をそらした。
「悪いな。琴葉今日は、付き合えない。どうしてもなら、家で待ってろ。」
憐の反応にその場が静まり返る。
「憐?なにそれ~~!!」
物凄い勢いで憐の事を突き飛ばすと、それよりもっと凄い勢いで私体当たりして、琴葉は去っていった。
琴葉に体当たりされた私は、バランスを崩して地面に転がる。
 ・・・・・
「憐なにいまの??」
イマイチ状況が見えない私は、ただこの場に座り込んで呆然と憐を見上げた。
「あいつは俺の従兄弟で、昔から俺に懐いてんだ。まぁ、俺の美貌なら仕方ないがな。」
勝手に一人で意味のわからないことを言っている憐にため息をつく。
それに・・・・
あの子は確かに夢の中で見た女性だった。
この事を憐に話すべきか・・・私は指を噛んだ。
あの時感じた恐怖心は並みのものじゃなかった。
それを今、琴葉にも感じる。
全てはあの姫様が知っていること・・・
私は決心をして立ち上がった。
「憐!行くわよ!」
「はぁ?」
事態を飲み込めない憐が間抜けづらで私を見た。そんな憐をずるずると引っ張ってまた学校へと足を進めた。
確かめるために・・・すべてを・・・

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

学校へ着くと教室に駆け込んだ。
全ての事件はいつもここから始まる。
何かここにある。
私は精神を集中させ・・・・深呼吸をした。
床に座り何やら始めた私に、まだ何が起きているのかも分からない憐は黙って隣に立っていた。
もう誰も居ない教室で・・・
静かに時が過ぎた・・・
どれだけ時間が過ぎたのだろう・・
突然机や椅子がガタガタと音をたてて動き出した。
「きた・・・」
私が静かにそう呟くと・・
憐は驚いた様に辺りを見渡した。
『ワタクシヲヨンダノカ?』
動いていた机や椅子が一気に教室の端の方により、まるで姫様をと通すように道が出来た。
そこを静かにしゃなりしゃなりとあの姫様が歩いてくる。
「そうよ。貴方なら知ってるでしょ!何が起きているか!」
私は立ち上がり姫様をにらみつける。
いつもならココで憐が『何々?』と聞いてくるのに今日は、何も言わなかった。
少し不振に思い憐を横目で見る。
「憐!!」
憐が崩れ落ちるように床に座り込んだ。
頭を抱え痛みに堪えるように奇声をあげる。
「憐!!憐!!」
慌てて、憐を抱き起こそうとした・・・
瞬間!真っ赤な閃光が憐の体から解き放たれ私を、突き飛ばした。
何処からか・・憐の声とも私の声とも姫様の声ともまったく違う声が響いてきて・・・
憐のうめき声とシンクロした!!
私は姫様の方を見た。
姫様は何か恐ろしいものを見るようにガタガタと振るえ脅えるように床にへたり込んでいた。
「何・・・何が起きたの・・・」
恐ろしい声は段々大きくなりこっちに近付いてくる・・・
恐怖と何が起きているのか分からないこの状態に・・・私は愕然と二人を見るばかり・・・
『あの者とあったのか?お前達は・・・もうそこまで・・・』
姫様はそう言うと頭を抱え込んだ。
あの者・・・・・
 ・・・・琴葉・・・・
確信に満ちたものが私の中で沸き起こる。
声が近くなるにつれ、憐の体から夢で見た・・・
あの黒い物体が這い出てきた・・・!!!!!!
私は咄嗟に憐の体に飛びついた。
私を跳ね除けようとするあの閃光を必死で耐え憐の体を抱きしめた。
物凄い勢いで閃光が走り、あの黒い物体が私に襲い掛かる・・・
でも・・・・
守りたい!!
憐を守りたい!!
ありったけの力を振り絞り、憐の体を抱きしめた!!
黒い物体が奇怪な音を出し形を変えていく・・・
まるで刃物のような鋭い形になるとそれは高々と天に昇った。
「!!!!!!」
登りきったものは落ちるのみ・・・
黒い刃物は一気に私目掛け振り下ろされた!!
もうだめだ・・・
でも・・・憐を守らなきゃ・・
憐を抱きしめる手に力を込める。
姫様の叫び声が響いたその時だった!!
何かが私の中に入ってきた!!
そしてそれは辺りをを真っ白に光照らした!!
スパーク音のようなものが教室に響き、一瞬で元の世界が顔を見せた。
私の意識も吸い込まれるように・・・暗闇へと引き込まれていった・・・

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

誰かがこっちに歩いてくる・・
辺りは真っ暗で私は足音だけを頼りに耳を澄ました。
『お前は本当に邪魔な子だね~~。』
その足音の主はそう言うと、物凄い力で私を突き落とした。
突き落とされて気づいた。ココはとても高いとこで・・・私は・・・・
また暗闇が襲ってきて・・・意識が遠のく・・
次の瞬間一気に景色が変った。
あの夢で見た青々とした野原に。
そこに私は立っていた。
そしてあの夢と同じ光景を見る。
今度は黒いものは襲ってこなかった。
憐によく似た侍と琴葉によく似た女性は何かを話している・・・
話が終わって侍が女性に背を向けた瞬間!!
鮮血がみどりの絨毯を真っ赤に染めた・・・
あまりの衝撃に私は崩れ落ちた。
 ・・・・殺した・・・・
真っ赤な絨毯はドンドン広がり私の足元までも染めていった・・・
それは私を染め・・・・また意識が・・・
次に気づくと・・・
そこは何も無くただ真っ白な空間だった・・・
ただ、目の前に姫様が立っていた。
「やっと、会えましたね。」
優しく微笑み姫様は私の頬に触れた。
懐かしくて・・・暖かい感触が私に浸透した。
「あなたは・・私の何なのですか?」
「わたくしは貴方の母親です。この世に生をなすことをさせてあげられなかったけど」
その言葉に息を呑む。
「私の・・・母親?」
「前世の話です。わたくしは殺されたのです。あの・・恐ろしい怪物に・・。そして憐様も・・・全ての始まりはそこからでした。」
姫様は静かに事の起こりを話し始めた。
「わたくしの母は父の後妻として入り欲にまみれたその心で全てを自分のものにしようとしました。民も、父の愛も、そして家柄さえも・・・でも、わたくしに子供が出来たことを知った父はわたくしへの愛を取り戻したのです。でも、それはあの者の心に火を灯しただけでした。あの者は邪魔になったわたくしと貴方を殺してこの世のものとは思えない恐ろしい者と手を組み鬼になったのです。その力は失われること無く・・転生を繰り返した。そしてその度に人の生き血で力を蓄えていったのです。それはとても恐ろしい力を・・」
「琴葉・・・」
「そうです。彼女は・・・・鬼です。地獄の炎でさえその力には・・及ばなかった。鬼は私の愛したあの方を・・本当は欲しかったのです。父よりあの方の愛が欲しかった。でも、決してそれは手にすることが出来なかった。愛は時に心を壊してしまう・・・全ては私のせい・・・ごめんなさい・・」
姫様はそう言って大粒の涙を流した。
「もう、鬼は全てを知っています。これから貴方にはとてつもない不可思議なことばかり起きるでしょう。そして憐様にも・・」
姫様はそう言うと懐から小さな石を取り出した。真っ白な綺麗な丸い石。
「これは、お守りです。いつも肌身離さず持っていなさい。」
「姫様?・・」
「時間です・・貴方なら大丈夫。貴方にはそれが備わっている・・」
言葉と意識はゆっくりとゆっくりと・・・薄れていった・・・
暖かい光と共に・・・・・

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

目を開けるとそこは教室だった。
そして物凄く恐ろしい状態で・・・・
私は恐怖心いっぱいで、こいつを見上げた。
「な・・に・・?」
深い眠りから覚めた私にはこの恐怖がイマイチ理解できず、ただ何か恐ろしい事が起きるように感じるばかりで・・
「お!起きたか?最高だろ?この、俺様に膝枕されて。」
恐怖の原因を睨み付ける。
朝の光が辺りを包んでいるのに・・・
この教室は物凄く冷たい・・・
それもそのはず。
私は憐に膝枕されすでに登校してきたクラスメイト達がそれを取り囲み・・・・
物凄い非難が私に向けられているのだから・・・
私は慌てて飛び起きる!
飛び起きた私に物凄い眩暈が襲ってきてまたフラフラと倒れこむ・・
それを抱えるように憐が支えると・・・
当たり前のように悲鳴が沸き起こる。
さっきまでの暖かい時間とは裏腹な現実の世界・・・
「いいから!!離せ~~!!」
憐を突き飛ばし教室を飛び出した。
何なのだ!
そんな私に憐が追いつき声をかける。
「俺から逃げようたってそうはいかないぞ」
がっしりと腕を捕まれ窓に押し付けられる。
朝の登校時間あたりまえのように行き交う生徒達・・・
そして悲鳴・・・・
「何があったのか話すまで逃がさないからな。」
にやりと笑った憐の顔が悪魔に見える・・・
助けなきゃ良かった・・・・
こいつがいる限り・・・・
この世は地獄です。




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