Last update 2007年10月07日
タイトルなし 著者:松永 夏馬
現実はいつだって味気ない。
いつからこうなっちまったんだろうね。
ガキの頃はそれでも良かった。オヤジはクソなわりに金持ってたからな、周りにいるアホな庶民とは違う、選ばれた人間なんだと思ったねオレは。学校行くにも毎日ベンツで送り迎えだぜ? 同級生どもの羨望の眼差しが心地よかった。あの頃は最高だった。
ガキの頃はそれでも良かった。オヤジはクソなわりに金持ってたからな、周りにいるアホな庶民とは違う、選ばれた人間なんだと思ったねオレは。学校行くにも毎日ベンツで送り迎えだぜ? 同級生どもの羨望の眼差しが心地よかった。あの頃は最高だった。
現実はいつだって味気ない。
世の中金がすべて。金がありゃなんだって出来たね、違うか? 金の無い馬鹿な人間は「金で買えないものがある」とか言いながらも金に踊らされているんだ。まったくもってくだらねぇ。
オレは都会に出てからもクソオヤジに金を送らせた。そのへんの馬鹿な大学生よりもよっぽどいい暮らししてたさ。金がありゃなんだって出きるんだ。女だって尻尾振ってついてくる。ああ、面白いようにな。
オレは都会に出てからもクソオヤジに金を送らせた。そのへんの馬鹿な大学生よりもよっぽどいい暮らししてたさ。金がありゃなんだって出きるんだ。女だって尻尾振ってついてくる。ああ、面白いようにな。
現実はいつだって味気ない。
ああ、まったくだね。
ゲームの世界じゃいつだってオレが一番だった。オレは支配者であり御主人様であり王子様でもあった。好きな時に好きなように馬鹿な女どもをはべらせて、自分の思うがままに世界はあったんだ。 でも現実はどうだ? 向こうから勝手に寄り添ってきた馬鹿な女どもは、オレに何も与えてはくれない。ちっともオレの命令を聞かない。
ゲームの世界じゃいつだってオレが一番だった。オレは支配者であり御主人様であり王子様でもあった。好きな時に好きなように馬鹿な女どもをはべらせて、自分の思うがままに世界はあったんだ。 でも現実はどうだ? 向こうから勝手に寄り添ってきた馬鹿な女どもは、オレに何も与えてはくれない。ちっともオレの命令を聞かない。
なんでだよ?
何が違うんだよ?
ゲームの世界で出来たことが、なんで出来ないんだよ?
なんでお前らはやらないんだよ?
黙ってオレの言う通りやりゃいいんだよ!
何が違うんだよ?
ゲームの世界で出来たことが、なんで出来ないんだよ?
なんでお前らはやらないんだよ?
黙ってオレの言う通りやりゃいいんだよ!
なんだよ?
なんなんだよ?
そうやってオレを蔑んだ目で見んなよ!
オレの心を踏みにじるな!
オレの言うことを聞けよ!
なんなんだよ?
そうやってオレを蔑んだ目で見んなよ!
オレの心を踏みにじるな!
オレの言うことを聞けよ!
オレは何も悪くない。オレの言うことに従わなかった連中がみんな悪いんだ。・・・殺意? そんな馬鹿女が一人二人いなくなったところでなんの問題がある。
え? ・・・また裁判かよ?
いいよ、またクソオヤジに金でも積ませりゃ。
あ? ・・・ああ、わかったよ。言えばいいんだろ言えば。言えば刑が軽くなるんだろ? わかってるよ。適当に頭おかしい振りでもしてりゃ、勝手に他人が『過去』がどうとか『心の傷』とかでっちあげてくれるんだ、わかってるよ。神の言葉が聞こえた、とか言っておきゃいいんだろ。はいはい。
え? ・・・また裁判かよ?
いいよ、またクソオヤジに金でも積ませりゃ。
あ? ・・・ああ、わかったよ。言えばいいんだろ言えば。言えば刑が軽くなるんだろ? わかってるよ。適当に頭おかしい振りでもしてりゃ、勝手に他人が『過去』がどうとか『心の傷』とかでっちあげてくれるんだ、わかってるよ。神の言葉が聞こえた、とか言っておきゃいいんだろ。はいはい。
「アレはオレじゃなかった」