※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

Last update 2007年10月07日

プレリュード 著者:知


 私は貧乏だった。
 そう、私の家は貧乏だった。とは言っても、本当に貧乏だったのは私が小学生から中学校に上がるまでだったんだけどね。
 それ以降は一般家庭より貧しくはあったけど貧乏で困ることはなかった。地元の国立大学とはいえ私は大学に行くこともできた。

 父は私が小学校低学年の時に他界しそれからは母手一つで私と弟は育てられた。
 父が亡くなったので母が働くしかなかった。でも、問題があった。母は今まで働いたことがなかったのだ。アルバイトもやったことがなかったらしい。
 高校生の時はアルバイト禁止のお嬢様学校(母は別段お嬢様だったわけではない)に通っていたため、大学生の時は……何というか……その……既に母は結婚していて、私を産んでいたんだよね。高校3年生の時には私を身ごもっていたのだ。


 ここで母について少し書こうと思う。
 母の見た目はすごく儚い。すぐに壊れてしまいそうな印象を受ける。守ってあげたい、そんな気持ちにさせられる。
 でも、それはすぐに間違いだと気づくだろう。
 思い込んだら一直線、どんな障害があろうが突っ走るパワーを持ち、自分の考えはてこでも曲げない相当な頑固者なのだ。
 欠点として一つのことにしか真剣になれないというところがある。私が小学校の時貧乏だったのはそれが原因だった。
 仕事と育児の両立、それは母にとって困難な物だったのだろう。両方に同じだけの力を注ぐ器用さは母にはなかったのだ。
 私と弟に手がかからなくなり仕事の方に重点を置き出すと母の収入は多くなった。それは私が中学校に上がった時だった。
 それでも体育祭や文化祭等学校行事があるときは仕事を休んで来てくれていたし家事だって全てが私任せだったわけではなかった。
 今になって思うとこの時の母が一番輝いていたように思う。


 次は弟について……え?私について書かないのかって?……
 ……私は三十路間近の独身。一応、弁護士……弁護士になるのに必死で勉強していたからか結婚願望は薄いんだよね。
 ……支えてくれる彼は欲しいんだけどね。
 私についてはこれでお仕舞い。
 ……短い? 他に書くことなんてないからこれで終わり。終わり言ったら終わり。


 次は弟について。
 年は私より2つ下。独身で彼女は……いるのかいないのかはっきりしない。女友達は多いみたいなんだけど。
 弟は人懐っこいわりには本心を見せることが少ないからね。
 弟は小説家。デビューは1年前。既にコアなファンが結構いたりする。
推敲するときに原稿を読ませてもらうんだけど、コアなファンがいるのも頷ける。
 もし、弟でないなら私もコアなファンになっていただろうから。弟の小説は、弟ののほほんとした雰囲気と違うのだ。
弟の小説からはどことなく異様な空気を感じるのだ。本の帯の紹介文にこう書かれたことがある。私はそれを読んですごく納得した。


 『彼の読者は、彼の小説につきまとっていた一種異様の鬼気を記憶するであろう』





コメント

名前:
コメント:
| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
|ログイン|