Mystery Circle 作品置き場

Nomad

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nightstalker

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Last update 2007年10月08日

ダメ男の法則 著者:Nomad


あとは五つの年の差のみ。
そうは言うものの、簡単に言ってのけたアイツ自体が言った後に落ち込んでいる。
「だからよぅ、オレもうどうしていいのか分んないんだ...」
それはそうだろう、俺だってもう知ったこっちゃ無いのだ。
「OK、分った。もう分ったから最初に俺が言ったこと復唱してみろこのバカヤロウ」
「ぅ愛に障害ぃは付き物ぉぉおおおお、うぉおおおおおおん...」
よく出来ました、ハイ鼻ちーん。

俺の名前は大井 望(おおい のぞみ)、H工学大学4年生23歳。
今現在俺の目の前で意気消沈している男は俺の小学校来の親友、臼井 幸(うすい こう)。
行き成りだが三ヶ月前、名の通り幸の薄い人生を歩んできたコイツにも...犯罪色がかった春がやってきた。

「なぁ望、彼女できた」
「よかったじゃねぇか!どんな娘?可愛いのか?」
「ボンキュッボンで、顔も良くて、性格良くて...でも...歳が...」
「へぇ、お前にもやっと彼女が...って、歳?歳くらい気にならんだろ、そんなにいい娘ならよ。いくつ位なんだよ」
言うなりヤツは大声で泣き出した、まさかっ
「な、泣いて仕舞う程の熟女なのか!?」
「んな訳あるかよコンチクショウ!!!」
チッ
軽く舌打一発
ドムッ
合わせて重いパンチも一発、今のは効いたぜブラザー
「っ...何が問題なんだよ、歳くってねぇんならその方がいいだろぅがよ」
そしてまた幸の顔がクシャリと歪む
「ご...」
「ご...?」
「5歳下ってまだ犯罪じゃないよな...?好き同士なんだし、なっ!?」
「...あー...恵まれた犯罪者ってところか...な...」
「うわぁあああああああっコンチクショォォォオオウ!!!」
「泣くなよっおい!泣くなコラこのバカヤロウ!!」
予想外だ、まさか犯罪ギリギリのラインを取ってつかれるなどと、予想もしてないのだから。
...泣き止みそうに無い、慰めの言葉など思い浮かばない。
基より少々ガサツな出来の俺には、「綺麗な言葉」のレトルトパックですらストックされていない。
「あ、そ、そうだよ!ホラ幸っアレだよアレ!!あ...愛に障害は付き物だろが!!!」
咄嗟に思いつきの台詞を口にした、後はもう...如何にでもなれば良い。
「愛に...ぐすっ、障害...?ずび...じゃあ、何とかなる...?」
「それはー...お前、自分でなんとか成るようにするんだよ、分るな?」
「うぅ...オレら、ちゃんと愛し合ってるし、親御さんの了承もちゃんと得てるし...あとはっ...」

そして、最初の情緒不安定な「ダメ男幸」に至る。
よくもまぁこんな男が...と言っちゃあ失礼だろうか?
いや、ここは親友の好だ、許せダメ男。

「あのなァ幸、男は冷静さを欠いちまったら単なる格好悪いやつになっちまうんだぞ...?」
「グス、ほんとか...ぁ?」
「あぁ、いつでも冷静に対処できるのが「イイ男の法則」だ。」
今思いついたんだけどな、「イイ男の法則」。まぁ俺も嫌気が差してきたこの場を切り替えるには...
「どうしよ...オレ...ズビッもう、無理...吊る...」
「ハァッ!?おまっ...ちょ、何言ってんだコラっ...」
「止めんな望ィー!!オレもう死ぬ!犯罪に走る前に彼女の為に吊る!!」
そう叫ぶと、ヤツは手元のケーブルを力任せに引っこ抜いた。
バッツン!!
豪快な音と共に部屋の電気は消えてしまった、外は既に真っ暗で光が差してこない。
これは、かなり、まずい。
切り替わりが激しすぎだ...!!
「死んでやるーー!!!」
「ちょっ...マジ待てって、もっとよく考えてみろよ、何かあるって絶対!!」
止めようと足掻くも、暗すぎてどうしようもない、電気...そうだ、懐中電灯!!

何処にしまったっけ...

「あの世で会おうな、望...遥香ちゃん...」
「ハルカって誰だよ!あ、彼女か!?ってか待てコラァ!!!」
やばいぞ、準備万端かよ...っと、やっと見つけた、床に転がしといた懐中電灯!
整理整頓って大事だな...なんて、こんなときに一体何を。
ギッ...
「えっ...ちょっと待てよオイ幸!!」
ドッ
「ゲホッ!いってぇ...腰打った...」
良かった、不発だ。
きっとケーブルが切れたのだろう...いざというとき、セール品だと安心...なわけあるかっ

しかし、思いつき「イイ男の法則」は一分で俺を「ダメ男」に変えてしまった。
結局のところ、俺には最後まで、懐中電灯なんかつける余裕も無かったのだ。





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