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Last update 2007年10月08日

ユークリッド、まさかトワイライト 著者:七夜実


 それから線路の真ん中にしゃがんで、線路の端の夕日を見た。
 薄く張った雲を光らせながら、大きくなった太陽は、あまり眩しくなかった。
 今の太陽なら、望遠鏡で見たって平気かもしれない。
 あの日の太陽のほうが、もっと激しかったような気がする。

「こんなところにいた」
「・・・飯?」
「ううん、まだ」
「そう」
「気にならないの?」
「誰に聞いたの?」
「みんな知ってる」
「そう」

 ここから家まで結構な距離がある。
 慣れない道できつかったのだろう、すぐ横に、ぺたり、と座り込む。
 風の反対側にいるのは、いつものことだ。
 気にせずに空を眺め続けた。

【命題】
‘自分だけにしか通用しない言葉は存在するか’
[同等に]
{自分だけにしか通用しない世界は存在するか}

「ねぇ」
「ん?」
「戻らないの?」
「それはここからなの、みんながなの?」
「どっちも」
「・・・一言では言いたくないな」
「長くても聞くよ?」
「聞いてらんないと思うよ?」

 視線は交わさない。
 でも、この球体の上でならば、
 前を向き続ける限り、
 どこかで交わってくれるだろう。

[例えば]
〈自分だけの言葉があるとするならば〉
(自分以外の誰もソレを決めてはくれないはずで)
〔誰もそれを確かに使うことはできないだろう〕

「寒くない?」
「ちょっとだけ」
「太陽を見ていれば、なんか暖かくなったような気がしない?」
「それもちょっとかな」
「生命は暖まるために、球体に近づくんだ」
「みんなも?」
「だから水滴は何よりもシンエンに近い」
「水は冷たいよ」
「暖めてほしいんだよ」

 線路の先は、一点に収束して見える。
 僕らが生きる世界は、遠近法で支配されている。
 でも、それが学んだ者であることに、気づけた者がどれだけいるのか?
 よく見てみれば、一点ですら、なかったというのに。

《がしかしそうであることが私たちの独我性をどれほど傷つけるというのかそれを誰も知
ることが出来ないことが果たして何の証明になるというのか私という精
神は身体の奥の絶対に見えない所にまで沈み込み私でさえもみることができないのにそれ
が誰にでもあると考えてしまうのはそれらが誰もに等しくあるからだと
でもいうのだろうかただそう信じているからに相違なく信じる以上に価値のあるものなど
何処にありえようかお前の見ている世界はただそれだけで美しいのだと
何故考えようとしないのだだからお前》

「耳を覆ってあげる」
「不自然だね」
「目を塞いであげる」
「不可解だね」
「鼻を閉じてあげる」
「不愉快だね」
「口はどうしてくれようか」
「不都合だね」
「肌はどうすればいいのかな」
「不思議だね」

 あのとき、
 目と目がどこかで交わったあの日、
 空に太陽はあっただろうか、
 雲はなかったようだ。

 身カラダ体の全ては世界に開き、
 精ココロ神の全ては記憶に開き、
 一人だけでどうしようもなく
 一人なのにたじろきもせずに

 ふと、何も聞かなくなった耳を傾ける
 此処ではないココで
 言葉は何を紡いでいたか
 それからみんなはどうしたのか

 あぁ、思い出した
 青く光る太陽を見つめ、蒼に染まる夕空を見つめながら、
(キットソレハジブンダケニシカミエテイナイダロウ)
 さいごのことばを思い出していた。

 人は互いに傷つけることしかできない
 きっと、そうでもなければ、共にいてもいられない
 その触れる手を焼き、交わす目を抉り、立ちつくす場を踏みにじり、
 そして空のすべてを見た時に、人は空を殺してしまうのだ





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