星になった勇者

星になった勇者


【序文】

本項では勇者新党の初代党首 獅子王凱の最後の活躍を解説する。
なお、本項の題材となったのは第365話『暗酷都市 -the Hell under Heaven-』から第373話『神話都市-Brave Mythology For The Planet's Future-』までの8話に渡って展開された木星帝国の地上拠点ミッドガルを舞台とする一連のエピソードである。
記述は勇者新党及び木星帝国中心ではあるものの、本項は現時点で最新の長編エピソードである「ミッドガル」編のまとめを兼ねる事をここに付す。



【勇者王の死】

勇者新党の初代党首 獅子王凱。
その最期の刻は第369話『Braves Last Stand』にて訪れた。
兼ねてより凱は木星帝国の拠点ミッドガル(旧オーストラリア・シティ)にて行われていたプラネットエネルギー採掘の実態を調査すべく新党員をオーストラリアに派遣していたが、ミッドガルの木帝軍によって撃退され砂漠に追い詰められてしまう。
窮地に陥った党員を救出するため凱は自らディビジョン艦「アマテラス」に乗艦し、援助を申し出た大十字九朗率いる騎士団の援護を受けてオーストラリアに降下する。党員の救出活動が完了した後、凱は決着をつけるべくデモンベインと共にミッドガル内部に突入し、プラネットエナジー採掘場内にて木帝総帥パプテマス・シロッコと一対一で激突する事となる。
記録の現存しない黒歴史全13話において行われたという両雄の決戦の再現とも言えるこの対決を制したのは、かつて勇者達の力の前に敗北したシロッコであった。
ジェネシックガオガイガーはジ・Oの隠し腕で組み伏された上にビームソードでコクピットを貫かれ、凱は遺体の欠片すら残らない壮絶な最期を遂げた。辛うじて消滅する肉体からGストーンに意識を移す事には成功したものの、その意識が保てるのもジェネシックの機能が完全に停止するまでの僅かな時間のみであった。薄れ行く意識の中でその場に駆けつけたセブンチェンジャーとアリカ・ユメミヤに新党員への遺言と後継者の証Gクリスタルを託し、凱はこの世を去ったかと思われた。

【試される勇気】

党首・凱の戦死を受け、悲嘆に暮れる者やニューリーダーを目指し野望を燃やす者など党内の反応は様々であったが、プラネットエナジーを巡り急変する戦局は彼らに感傷に浸る時間を与えなかった。凱の戦死から間もない第373話『神話都市-Brave Mythology For The Planet's Future-』において、新党と連邦、議長軍の三軍合同でのミッドガル攻撃作戦が実施される事となったのである。
新党名誉顧問マイトガインの指揮の下でミッドガル中枢の魔晄炉を目指す勇者達であったが、木帝軍守備隊と、木帝と同盟するグランショッカーの鉄壁の防御の前に次々と斃れてしまう。そしてジャック・Oらと共に最深部に辿り着いたマイトガインまでもがアイアンマン(マシーン大元帥)の一撃の前に敗北し、勇気を挫かれてしまった。更にミッドガル駐留軍を統括するザビーネ・シャル(彼は参謀副長を辞し、自ら望んで中央情報総局に転じたばかりであった)が独断で魔晄炉を起動。度重なるプラネットエネルギー採掘により衰弱し切っていた地球の生命は風前の灯であった。
もはや魔晄炉の破壊は不可能と誰もが絶望したその時、セブンチェンジャーが隠し持っていたGクリスタルから死んだはずの凱の声が勇者達の脳裏に響き渡った。ジェネシックの機能停止と共に消滅したと思われていた凱だったが、彼の魂は仲間達に託したGクリスタルの中に確かに存在していたのである。

【星になった勇者】

Gクリスタルに宿った凱の魂は、満身創痍となったマイトガインに告げる。
「魔晄炉の炉心部に自らが宿るGクリスタルを投げ込み、死を迎えつつある地球を救え」と。
これは生物の感情に反応して無限大のエネルギーを生み出すGクリスタルならば、地球上の全生命の生存を望む意志に応えて地球を蘇らせるに足るエネルギーを賄う事が出来ると見込んでの提案であった。だが、それは同時に凱がGクリスタルと地球とを結ぶ媒介として、物質的な肉体を失いながらも死を迎える訳でもなく、一種の精神生命体となって地球と同化する事を意味していた。
自分がGクリスタルを魔晄炉に投げ込んだが最後、もはや凱が二度と自分達の前に現れる事はないと知ったマイトガインは実行を躊躇し、凱の言葉を耳にしても尚頑なに拒否を貫いた。
死に行く地球を前に躊躇い続けるマイトガインを決心させたのは、Gクリスタルを奪取し、凱の命と引き換えにしても地球を救わんとする一人の男であった。ミッドガルと魔晄炉を所有する木星帝国に身を置きながら、魔晄炉破壊の為最深部に向かっていた大河新次郎その人である。
そして新次郎と共に、連邦軍部隊を指揮するブラッドレイ大総統も、木帝の同盟勢力でありながら事態を憂慮したGSのマッハアキレスもまた…
凱の決意と新次郎の覚悟。そして地球を破滅から救うべく集った戦士たちの想いを目の当たりにしたマイトガインは新次郎を振り切り、握り締めたGクリスタルを魔晄炉の中心深く─地球の核目掛けて投げ入れた。
一瞬Gクリスタルの向こう側から覗いた凱の顔は、満足げな微笑を湛えていたという。

【再生、そして…】

凱の犠牲、そしてマイトガインの決意によって死に瀕していた地球は再生の道を歩み始めた。同時にアイアンマンや単身動物帝国から参戦したストレイト・クーガーらの活躍で魔晄炉及び採掘施設の活動は停止し、主犯格のザビーネも、らんどの旗艦リーブラから帰還した一橋ゆりえ(不在中、シロッコによって五虎将に任命されていた)らによって逮捕され本国へ送還された。
こうしてプラネットエナジー採掘によって引き起こされた地球滅亡の危機は去ったのである。
この戦いで勇者新党が支払った犠牲はあまりにも大きかった。マイトガインは採掘場の廃墟の上に力なく崩れ落ち、涙を流す事が出来ない自らの鋼鉄の身体を呪った。党員達はそれぞれの決意を固め、新党は新たなるスタートを切る事となる。


【跋文】

こうして370スレ余りに及ぶ勇者王の長い戦いは幕を閉じた。
だが、我々は信じている。何時の日か勇者王が再び我々の前に帰ってくることを。
この地上に勇気ある限り、彼もまた不滅なのだから。