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グルメツアーで思いついたネタ。こんな感じでどうだろうかなー。
覗いてみたい猛者はその日のタイトルをクリックするとリンクで出ます。(この仕様なんとかならないかな)
この街の住人は誰でも天気予報士になれる。なぜなら、明け方は霧、日中は曇りで夜半にかけて小雨が降るだろうと言えば大抵外れない。青空が滅多に拝めないこの街には、それ故か、空を求めて今や世界一の摩天楼が聳え立っている。超高層ビルの高層は雲の向こうに隠れ、空はネオンを反射してうっすらと明るい夜。街を流れる璃江河岸に立つ一際高いビルのワンフロアに、突如として湿気を含んだ風が舞い込んだ。
「これはまた、豪勢な部屋だ」
闖入者の呟きには少しも臆する所が見当たらない。あたりを見回して、テーブルの置かれた茶器に目を留める。音もなく歩み寄り、軽く薄い茶碗に茶を注ぐ。芳しい匂いに、その手が伸びてまさに触れようとしたとき、部屋の住人が姿を現した。
「どうやって入った?」
濡れた髪もそのままに、腰から下を大きなバスタオルで足首まで包んだ男が立っていた。
街の市民達は超高層ビルに住むものをやっかんで天空の住人と呼ぶ。
その一人、キース・アニアンは黒髪に薄氷色の瞳を持ち、年の頃は20前半か、30手前。眉間に皺を寄せる容貌だけなら30過ぎとも見て取れた。しかめッ面のまま、テーブル脇で茶器に持つ侵入者を見る。
「白い髪、赤い瞳、・・・確か、巷を賑わしている暗殺者ブルーと同じ特徴だ。背も低い」
「最後は余分だよ」
少し笑ってブルーが茶器を口に運べば、キースがさらに皺を深くして言う。
「何をしに来た?」
「ターゲットを探して迷子になってね」
「なら帰り道は分かるだろう。ここはグランドテラの108階だ」
ことりと音を立てて小さな茶器が置かれる。
「茉莉花茶だね、僕も好きだ」
全く話を聞く気のない相手に住人が溜息を付いてテーブルに歩み寄ると、茶器を片付け始めた。そして時計を見て舌打ちする。
「おや、誰か来た?」
遠くエレベータの音でもかぎつけたのか暗殺者が面白そうに笑う。
「人が来る予定に・・・って、早くどこかへ・・・?!」
言い終わらない打ちに目の前の暗殺者が消える。かすかに揺れる花瓶の花びらに隣の部屋にも隠れたのかと推測した時、扉が開く音がした。
「これはまた、粋な格好だね、帥哥」
「ウォン老師」
痩身の男が、テーブルの横で立ち尽くすキースの肩を叩く。侵入者に気を取られて自分の格好を思い出した彼は、気まずいまま肩に置かれた手を外そうとするが、ウォンの手は背中を滑り降りていった。
どの辺りまでなら許されるんだろうかな。
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ネタの種] - &trackback() - 2008年01月26日 23:21:32
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