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西日本って、本州の近畿以西を言うのであって九州は九州で西日本じゃないと思っているけど管理人だけなのか。だって、北海道を東日本とは言わないじゃん?
執務室のホワイトボードを見て軽く息を吐き出した。博多と書かれた文字の輪郭があちこち途切れている。もう何日も書き直していない証拠で、最後に顔を合わせたのはいつだったか思い出そうとしてやめた。小脇に抱えた書類とファイルを抱えなおして自分のデスクに置き時計を見る。携帯をチェックし省エネモードのディスプレイからメールを見て、イスに深く腰掛けた。
連絡もない。
確かに今年に入り、直通には一片の瑕疵もあってはならないと念を押したのは自分だ。新青森開業のドタバタを見ていたから、必要なら博多で寝泊りしろとも言ったかもしれない。それでも、何かしらもう少しあると思っていた自分が甘かったのか。
E5系はやぶさデビューと山陽九州直通は今年の高速鉄道のビッグニュースに違いない。試乗会や試験走行、駅のポスターやテレビCM、着々と進む準備を横目に、通常運行を心がける自分ですらどこか落ち着かない気持ちがある。
それを長く準備してきた東北や山陽を知っているから余計にそう思うのだと言い聞かせても、実際に作業がどこまで進んでいるのか、何かトラブルは起こっていないのか気になっても首を突っ込めない歯がゆさなのだと思いなおすことにしても、ここに来て認めざるを得なかった。
就業時間後、誰もいない執務室で一人、雑務を片付ける自分。ベストトレインだとか、最初に開業した新幹線だと言って卒なく接するけれど、所詮は体の良い方便に過ぎない。東西を結ぶ大動脈として確かに必要とされている、が、それが故に、己はどちらにも属せない。
取り残されてしまった気がして。
何十年と仕事を共にしてきた山陽ですら、この有様なのが、自分の現状を浮き彫りにしていた。仕事の同僚の絆なんて儚いものなんだなとは口には出せなかったが、代わりに溜息が漏れた。放って置いても切れることはないと思っていた驕りなのか、立場に胡坐をかいていた自分が悪いのか。
「脆いモノだ」
栄枯盛衰とはよくいったものだ。
輸送力が限界に来ている東海道と勢いのある九州を見て、山陽はどちらにつくのか決めたのだろう。面倒をみてやると言っていたのに、あれは嘘だったのか?いや、私は奴の軽い戯言を信じていたのか? まさか、奴は会った時から偽りの笑顔を浮かべていたではないか。そして、思わず噴出した。
ハハ、これでは、不倫された妻のような思考だ。
鞍替えされて私は嫉妬しているのか?九州に?
それとも山陽に腹を立てているのか?
注意しない東日本の連中に気がつかないと?
それはさすがに八つ当たりというものだ。自分の気持ちに思い当たってしまえば認めないわけにはいかなかった。過去がどうであれ、私はまた一人になってしまうのだから。
仲間が増えて楽しくやっている内に充てにすることを覚えてしまったからかもしれない。そうなればそうなったで、一人のペース、リズムをまた作るだけだと東海道は立ち上がってホワイトボードの前に再び立った。
山陽の隣に九州と手書きをして奴の欄を作った。どんなに拒んでも、直通はするのだし、コムトラックとシリウスは既につながってしまっている。私も少しずつ、心の整理を付けて準備をしないとな。東海道はおもむろに手を伸ばして山陽の欄に書かれた博多の予定を消した。黒のペンに持ち替えて、山陽と九州の間に博多と書き、二つの路線をカッコで繋げる。はっきりと目に見えるように書いて、深呼吸一つと共にようやく肩の力を抜いた。
分かっているんだ、けど、やっぱりもやもやするんだよね。東海地方って愛知県知事選でもさ、広域行政区につく名前がバラバラで、東と西を結ぶブリッジだってこと、イコール、東でも西でもないってことでさ。
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ネタの種] - &trackback() - 2011年02月06日 20:38:31
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