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D&D 援助
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匿名ユーザー
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Level 15
闇の森と言っても、普通の森だ。
ステラは保護者付きなのに気を良くして、あっちへふらふら、こっちへフラフラとよく道草をした。その様子を呆れながらルナマリアが構う。
金髪のエルフ、レイと言うらしいが、彼はそんなことに頓着せずどんどん森を突き進むから、シンはただ一人、離されないようにステラとルナマリアに発破をかけた。
ステラは保護者付きなのに気を良くして、あっちへふらふら、こっちへフラフラとよく道草をした。その様子を呆れながらルナマリアが構う。
金髪のエルフ、レイと言うらしいが、彼はそんなことに頓着せずどんどん森を突き進むから、シンはただ一人、離されないようにステラとルナマリアに発破をかけた。
深くなる森の木々の間から薄明かりが漏れる。
不意にレイが足を止めて、あたりを見回している。
「どうかしたのか?」
「着いたぞ」
不意にレイが足を止めて、あたりを見回している。
「どうかしたのか?」
「着いたぞ」
えと。木の他に何もありませんが?
無言でレイに訴えると、彼は無表情のまま、枝にぶら下がっていた木槌で木の幹をカンカンカーンと3回打ち鳴らした。数秒の間隔を置いて。
ザ―――
ガサガサ。ゴゾゴゾ。
ガサガサ。ゴゾゴゾ。
あたりを取り囲んでいた木が風もないのに揺れて、一角に道ができていた。歩きやすいように木が埋められた道は、さらに森の奥へと続いている。目を凝らせば、そう、確かに集落らしきものが見える。
一行は好奇心と少しの不安を胸にノームの村に足を踏み入れた。
薄暗い森の中なのに、木々の枝枝にはランプが灯り、町の夜の居酒屋のようだ。
シン達を珍しそうに眺めては、近寄ってきて陽気に話し掛けていく。
一行は好奇心と少しの不安を胸にノームの村に足を踏み入れた。
薄暗い森の中なのに、木々の枝枝にはランプが灯り、町の夜の居酒屋のようだ。
シン達を珍しそうに眺めては、近寄ってきて陽気に話し掛けていく。
「どっから来たんだ!?」
「うちはいいものが揃っているよ!」
「安くしとくよ? このブロンズメイルなんてどうだ?」
「うちはいいものが揃っているよ!」
「安くしとくよ? このブロンズメイルなんてどうだ?」
手先の器用な彼らは様々なものを作る。きっと大陸中のありとあらゆるものを作ることができるだろう。売り込みに来る彼らを掻き分けて、ノーム達の工房や店を見て回る。
「ヴィーノのメイルより、俺の剣のほうがずっと強い!」
「なんだと、ヨウラン! お前の剣なんてアスランのフライパンに負けたじゃないかっ!」
シンと同じくらいの歳のノームの少年達だ。
「お、お前のメイルだって、アスランのフォークに負けただろっ!」
売り込みに来たはずが、なんだか口ゲンカに発展しそうな勢いだ。
「ヴィーノのメイルより、俺の剣のほうがずっと強い!」
「なんだと、ヨウラン! お前の剣なんてアスランのフライパンに負けたじゃないかっ!」
シンと同じくらいの歳のノームの少年達だ。
「お、お前のメイルだって、アスランのフォークに負けただろっ!」
売り込みに来たはずが、なんだか口ゲンカに発展しそうな勢いだ。
「俺たち、この先の闇の森のダンジョンに行く予定なんだけど・・・何かいいものある?」
シンは二人の間に割って入って、まあまあと声を掛けた。
シンは二人の間に割って入って、まあまあと声を掛けた。
「闇の森のダンジョン?!」
複雑そうに二人してシンを覗き込む。
如何にも何かありますと行った顔で、ルナマリアを顔を合わせる。
複雑そうに二人してシンを覗き込む。
如何にも何かありますと行った顔で、ルナマリアを顔を合わせる。
「俺は別に気にしないが、ステラという連れがいないぞ?」
「は?」
今更のようにレイが指摘するのを、シンは恨めしそうに聞き返してステラを探す。途中ではぐれたのか、持ち前の好奇心でノームの珍しい小道具に没頭しているのか。
目に見える範囲に、ステラがどこにも見つからなかった。
店の軒先にも、ノーム達のおしゃべりにも混じっていない。
「は?」
今更のようにレイが指摘するのを、シンは恨めしそうに聞き返してステラを探す。途中ではぐれたのか、持ち前の好奇心でノームの珍しい小道具に没頭しているのか。
目に見える範囲に、ステラがどこにも見つからなかった。
店の軒先にも、ノーム達のおしゃべりにも混じっていない。
「なんだよ、ルナマリア、ちゃんと見ててくれよ!」
「何よ、アタシのせいなの?!」
「何よ、アタシのせいなの?!」
言い争いつつ、シンがルナとノームの村を手分けして探そうとした時。
「シン―――。これ、見て!」
ステラが鍋をかぶって現れた。
「シン―――。これ、見て!」
ステラが鍋をかぶって現れた。
パコッ。
シンは慌てて駆け寄って、ステラの頭に乗るけったいな形の鍋を叩いた。鍋と言うかチューリップハットというか、二つの持ち手がついていなければ鍋とは分からないだろう。
シンは、ステラからその鍋を取り上げて、蓋はどうするのだろうと考える。
シンは慌てて駆け寄って、ステラの頭に乗るけったいな形の鍋を叩いた。鍋と言うかチューリップハットというか、二つの持ち手がついていなければ鍋とは分からないだろう。
シンは、ステラからその鍋を取り上げて、蓋はどうするのだろうと考える。
「ああ、アスラン!」
「こいつら闇の森の光る瞳探しに行く気だってさっ」
ノームの二人が、まるでさっきまでのケンカが嘘のように一緒に駆け寄る。
「こいつら闇の森の光る瞳探しに行く気だってさっ」
ノームの二人が、まるでさっきまでのケンカが嘘のように一緒に駆け寄る。
「えっ、そうなの?」
手に、波波の形をした蓋をもった青年がノームの二人の少年に答えた。
一瞬、ひんやりとした冷気が空気に混じり、目が合う。
一瞬、ひんやりとした冷気が空気に混じり、目が合う。
シンはいつもの勘が働かなくて、少し焦る。
ノームってみんなこうなのかな。人懐こくて、陽気で、あっさり警戒心をすり抜けてしまう。あろうことか彼の容姿を見つめたまま立ち尽くしていた。
しかし、相手はステラを見て、シンの手にある鍋を見つけて歩み寄って来る。おもむろに鍋の蓋らしきものを差し出す。
ノームってみんなこうなのかな。人懐こくて、陽気で、あっさり警戒心をすり抜けてしまう。あろうことか彼の容姿を見つめたまま立ち尽くしていた。
しかし、相手はステラを見て、シンの手にある鍋を見つけて歩み寄って来る。おもむろに鍋の蓋らしきものを差し出す。
ほんの好奇心だ。
それが本当に蓋かどうか、ちゃんときさるのかどうかって。
シンはそれを受け取って、ぴったりと収まる鍋と蓋に胸のうちで感動する。
スゴイと言おうとして、彼を見上げると、差し出された手のひらが目に入った。
それが本当に蓋かどうか、ちゃんときさるのかどうかって。
シンはそれを受け取って、ぴったりと収まる鍋と蓋に胸のうちで感動する。
スゴイと言おうとして、彼を見上げると、差し出された手のひらが目に入った。
「70ゴールドだよ」
「はい?」
「だから、その鍋のお代」
にっこり笑ってその人は(いや、ノームかもしれないけど)言った。
「はい?」
「だから、その鍋のお代」
にっこり笑ってその人は(いや、ノームかもしれないけど)言った。
Level 16
決して広くない一室に、シン達4人と、ノームの3人がいた。大きな木製のカウンターに肘をついて、とりあえず一杯。勿論、ノンアルコールである。
カウンターの向こうには、シンから70ゴールド巻き上げたアスランがいた。
ここはアスランの店で、ヨウランとヴィーノはここに入り浸る少年。
シンとステラ、ルナマリア、レイは否応無しでここで装備を整えることになった。
ここはアスランの店で、ヨウランとヴィーノはここに入り浸る少年。
シンとステラ、ルナマリア、レイは否応無しでここで装備を整えることになった。
「本当に行くのか?」
注文したアイテムをカウンターの上に、ドン、ドンと置いて店の主人が問う。
ヨウランやヴィーノの話では彼の店にあるものは、みなどれも一級品だから間違いはないと言っていた。彼を手伝って、品物選びをしている。
ヨウランやヴィーノの話では彼の店にあるものは、みなどれも一級品だから間違いはないと言っていた。彼を手伝って、品物選びをしている。
どんぐり。くるみ。ココの実。
おいおい、そんなもん頼んじゃないぞ。
「光る瞳かあ。たまに探しに来るけど手に入れたって話は聞かないしな」
「そうそう。よく偽物が出回るしなー」
「そういう時は、ちゃんとアスランが偽物だって見抜くんだぜっ!」
「そうそう。よく偽物が出回るしなー」
「そういう時は、ちゃんとアスランが偽物だって見抜くんだぜっ!」
つまりは、偽物を用意してダンジョンを攻略したと喧伝したいくらい、難易度の高いダンジョンだという事。
「でも、ドラゴンの瞳が必要なんです!」
勢い勇んで答えたのはルナマリアだった。
勢い勇んで答えたのはルナマリアだった。
そうだった。
元々これは彼女が持ってきた話だった。成り行きで地図は俺たちのものになって、杖やドラゴンの瞳を探すことになってしまったけれど。
あ。70ゴールド。余計な出費だ。
まっ、鍋は買わずに済んだからいいけど、その代わりここで買うことになっちまったし。
元々これは彼女が持ってきた話だった。成り行きで地図は俺たちのものになって、杖やドラゴンの瞳を探すことになってしまったけれど。
あ。70ゴールド。余計な出費だ。
まっ、鍋は買わずに済んだからいいけど、その代わりここで買うことになっちまったし。
「今更、止めろとは言わないけれど。無理だと思ったらすぐに引き換えせよ。今まで何人もの勇者が挑んで、最下層まで辿り着けなかったダンジョンだ」
シンはアスランの軽い説教口調を聞き流す。
「ドラゴンねえ・・・もし遭遇したらこのスペルを使え。サービスしとくから」
キュッとひもを縛って、俺たちが頼んだアイテムとスペルカードを差し出してくれた。
4人分の背負い袋はヨウランとヴィーノからのサービスらしい。
シンはアスランの軽い説教口調を聞き流す。
「ドラゴンねえ・・・もし遭遇したらこのスペルを使え。サービスしとくから」
キュッとひもを縛って、俺たちが頼んだアイテムとスペルカードを差し出してくれた。
4人分の背負い袋はヨウランとヴィーノからのサービスらしい。
「君も行くんだろ?」
「俺の仕事は道案内です」
「どこまで?」
「俺の仕事は道案内です」
「どこまで?」
レイが渡された背負い袋を手に、複雑そうに立っていた。
森を出る時、アスランと二人の少年・ヨウランとヴィーノも見送ってくれた。
森を出る時、アスランと二人の少年・ヨウランとヴィーノも見送ってくれた。
つ・づ・く