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 コトンと音を立てて鈍く光る玉がポケットに落ちた。小さくガッツポーズをする少年と思わず手を合わせる少女が薄暗い部屋の隅にいた。低い天井からぶら下がった暗い光がタバコの煙の立ち込めた部屋に光のピラミッドを作っている。照らされたのは緑のテーブル。縁に6つの穴があり、少年が手にしているのは細長い棒、キューだった。
「なるほど・・・最近噂の赤目の小僧って、お前?」
「へえ、知ってるんだ」
「こんな外れのバーにまで来るとはね。ご苦労だな」
「まだ終わってない。あるんだろ? ここ銀狐にがいるって聞いたぜ」
 少年の言葉に眉を顰めた浅黒い肌の青年がため息をつく。キューを置いて、タバコに火をつけた。テーブルの上におかれたグラスには琥珀色のアルコールが入っていて、中の氷がカランと揺れる。
 銀狐。無類の強さを誇るハスラーとして、この界隈では有名な男だった。ショットの強さ、正確さ。繊細なキュー捌き、球の描く奇跡。彼のゲームを見た者はその芸術性に感嘆すると言う。
「どこで聞いたか知らねえが、勉強代は安くないぜ」
「へえ、俺が払うって決まってるんだ」
 にやりと笑った青年が、ついて来いと顎をしゃくった。入り口からは見えない中二階へと続く階段を上がって重たい扉を開ける。足を踏み入れた途端空気が変わるのを感じた。
 ヤニ臭い煙った空気は微塵もなく、肌に突き刺さる冷たさを感じた。自然と背筋が張るような、琴とした空間。
「なんだディアッカ」
「悪りぃ。お客さんだ」
 一階の半分ほどしかないフロアに一つのビリヤード台ときれいとは言えないテーブルとイス。キューを手にしたものはいなかった。
「へえ」
 イスに腰掛けた男が振り返って、声を上げる。
「お前、下で負けなしだったんだ。まだ高校生?」
「あんたが銀狐? いや、違うな。あんたは金髪だ・・・アンタだろ?」
「ちょっと・・・」
 少年がにらみつけた先にはカウンターに持たれて手にグラスを持った青年。連れの少女が口を挟むが、確かに見事な銀髪をしていた。この場の清涼過ぎる空気を作りだしているような雰囲気を漂わせていた。澄み過ぎて、誰も息ができないような。
「だったらなんだ」
「俺とゲームをしてくれよ」
 ひゅ~と誰かが口を鳴らした。「ミゲル」と銀髪の青年が嗜めた時、反対側の扉が開いた。
「もう始めてしまってます?」
「まだ見たいだな」
 入ってきたのは男が二人。この場にそぐわない穏やかな感じの青年が二人やってきて、珍しい少年少女の存在に気がついて口を閉じる。
「お前、名は?」
「シン」
「アスラン。遅れて来たんだ、相手をしてやれよ」
 皆がたった今入ってきた二人連れを見て、少年と少女がやや遅れて首を回した。突然話を振られたアスランと呼ばれた青年が少しだけ目を丸くしている。
「は? いきなり何だ?」
「銀狐とやりたいんだと」
「それは珍しい。ディアッカのお客さんですか」



ごめ。眠。今日はここまで。
明日もしっかり出勤ですよ。



カテゴリ: [ネタの種] - &trackback- 2006年12月28日 22:28:49

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