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【初めてのデート】  ※エロは一切ありません、すいません。

あれは昨日の午後、清水の舞台から飛び降りる気持ちで言った一言から始まった。
「明日、デートでUSJいきませんか?」


 今思えばよくあんなこと言えたもんだな、人間やる気になれば何でも出来るって事か。何はともあれ今日はデート本番、待ち合わせ時間より2時間も早く起きてしまったことは置いといて、準備は万端、プランもバッチリのはず。不測の事態に備えて余裕をもって出かけようか。

待ち合わせ場所はターミナルの改札前広場、デートの待ち合わせ場所としてはド定番の場所だが初デートの俺たちにとっては最適の場所だ。

・・・ったはずなんだが、かれこれ約束の時間を30分も回っている。遅れる旨のメールも無い、段々と心配になってきた、寝坊しているんだろうか?約束の時間を伝え間違ったんだろうか?まさか・・・事故などではないだろうか?

とあれこれ要らない心配をし出した時、人ごみの中から笑顔と申し訳なさそうな顔を交互にしながらこちらに走ってくる姿を確認し、ホッとしたが少し怒った顔で彼女を迎えた。

「ごめーん!!寝坊しちゃったぁ。ごめんね、ごめんね、怒ってる?」
「・・・ええそりゃまあね。・・・」
「ごめんなさーい。」
「・・・・嘘ですよ、怒ってませんよ、でも事故とかじゃなかったからいいです。寝坊ならそう言ってください、心配したじゃないですか。」
「ホントごめんね。」
「いいですよ。じゃあそろそろ行きましょうか。」
「うん!」

向きを変え改札の方へ歩き出した、彼女が小走りで後を追いかけて来、俺の左腕に絡み付いてくる。

「!!」
「えへへ・・・デートだしね。」

彼女の笑顔が眩しい、思い切って誘ってよかった。最初のデートは彼女とUSJに行くと決めていた俺は浮かれ気分で改札を抜ける。やっぱりかわいいよなあメガネさん、俺にはもったいないくらいだよなぁ。



・・・・ん?メガネさん?あれ・・・確か・・・・今日のデートの相手は・・・
・・・!!!!!!!!!


慌てて俺は飛び起きる、目覚ましは?止めた形跡がある。時間を確認する。OTZ。時計の針は今まさに待ち合わせの時間を指している。
やってしまった。寝坊は俺のほうだ。慌ててメールを入れる。

『すいません、今起きました、ダッシュで向かいます』
まもなく返信
『何やってんのよ!すぐ来い!飛んで来い!!5分で来い!!!!!!』

まあ予想通りの反応だったがこれ以上怒らせても得策では無いので平身低頭にお詫びメールを入れつつ待ち合わせの場所へと急いだ。

「すいませーん遅くなりました。」
「ほんとに遅ーい!女の子待たせるなんで信じられなーい!!」
「ごめんなさい、あまりに夢見が良かったんで」
「なんの夢見てたのよ」
「メ・・・いやカ、カルメルさんとデートしてる夢だったんです。それで現実と夢との判断が出来なくって・・・えへへ、すいません。」

ヴィルの表情が少し和らいだ、
「もう、しょうがないわね。早く行くわよ。」
言うが早いかヴィルは改札へと向かった。
「わわ、待って下さいよ。」
あわてて後を追う。あれ、なんだか朝の夢のデジャヴュか?まあ役割は逆だが、それなら。俺は急いでヴィルのところまで行き腕を組む。
「っ!!!!」
「えへへ・・・デートですしね。w」
「もう・・・でも組み方が逆でしょ。私がこうするの。」

何とかヴィルのご機嫌も直ったようだ。ホッとしてユニバーサル行きの電車に乗る。
「・・でね・・・で・・・・なのよ。だから・・・でね」
電車に乗ってからずっと、起きぬけの俺の脳にはまったく聞き取れないスピードでヴィルは話続ける。
「それから・・・・、ん?オナミ?聞いてる?」

聞いているが理解は出来ていない。
「聞いてるんですが早口で・・・」
「もう、ちゃんと聞いててよ。」

そんなやり取りをしてる間に電車はユニバーサルシティへ滑り込む。
ネットで見るのと実際行くのとではこんなにも違うものなのだろうか、大規模な遊園地独特の雰囲気に、ここは現実世界なのかどうかも判断がつかなくなる。

「うわあ、すごいですね。」
「そうだねぇ、面白そうだね。」

てっきり、そんなのUSJだから当たり前でしょ、くらいの返答が返ってくるものとばかり思っていたので少し驚きながら

「ヴィルさんも、USJ初めてなんですか?」
「ヴィルさん?」ちょっとムッとした声。
「あ・・・カルメルさん。」
「もう一度」
「カルメルさん」
「もう一回、今度は呼び捨てで」
「カ、カルメル」
「もう一度」
「カルメル」
「そんなに何回も呼ばないでよ、照れるじゃない///」

いやいや呼べといったのはあなただろうに。

「そう、二人のときは名前で呼んでね。うん、USJは初めて、オナミちんと来れてよかった。」
「wwwwいや出来ればオナミちんはやめてください。」
「いやよ、オ・ナ・ミ・ち・ん」

照れくさいし恥ずかしい、端から見たら完全に付き合いたてのバカップルだなこりゃ。でもそんなバカップルぶりでさえ初めての俺は内心そんなに嫌じゃない。なんだか淡い幸福感が沸いてくる。

さてまずはスレでも評判だったターミネーターからかな、客いじりが秀逸とのことだったが。
「ターミネーターいこうか」
「うん、いいよ」
平日なので各施設ともそんなには混んでいない、まもなく噂の客いじりの部屋まで来た。

「あーらこんなところまで来て暇な人たちねw仕事や学校はないのかしら。」

部屋の上からお姉さん(というには少々無理があるか)が無遠慮な客いじりを始める、観客を怒らせないラインでうまく立ち回る。職人芸だなと感心した、しかしメインの3Dはどんなだったかいまひとつ覚えていない、まあそんなもんか。

「面白かったですね。」
「そうだねオナミちん。でもぐわあぁぁってきてびっくりしちゃったよ。」
「意外と怖がりですか?」
「意外は余計、今度怖いところ行ったらキャーって抱きついちゃおっか?」
「くぇdrftgyふじk」

「照れない照れない、あ、あそこポップコーン買おうよ」
「そうですねいい匂いしてますね。・・・すいませーんキャラメルで一つ・・・お待たせ」
「ありがと、うーんおいしそうな匂い・・・はい、あーん。」
「いや、はずかし・・」
「あーんしてあーん。」声が凄む
「あ、あーん」
「ハイどーぞ」甘い声に変わる、七色の声を持つ女、山ちゃん女バージョンだなこりゃ。

始終こんな調子で次々とアトラクションを体験していく、順番は住人ご推薦を参考に。

まず、ジョーズ、アドバイス通りジョーズが現われたらうわあ!とリアクションをした。当然カルメルに怒られる。

次いでジュラシックパーク、住人の『男は黙ってカッパ無し』を信じてカッパ無しで搭乗。びしょ濡れの憂き目を見る。もちろんヴィルもびしょ濡れ。

続いてウォーターワールド、これも指示通り最前列で大迫力を楽しもうとした。行った方はご想像の通り、結果は更にびしょ濡れに。まさかあんな濡らされ方をするとは。カルメルも目が点になってた。

「ちょっと濡らされ過ぎじゃない?これ。」
「まったくですね。」
「オナミちんのいう通りにしてるんですけど。」
「すいません」
「・・・・あはは、でもまあ楽しいからいいかっ。」

助かった、深く考えない性格のおかげで。
住人め覚えていろ、いつかひどい目にあわせてやる。
そんな決心をしつつ時計に目をやると午後2時、急にお腹が減ってきた。

「お腹空きません?お昼しましょうか?」
「そういえばそうね、何食べる?」

マップを広げレストランのある辺りを目指す。
さすがに2時ともなるとレストランも割合空いている、待つことも無くテーブルに案内され各々オーダーをする。
「私はサンドイッチとサラダのセットで」
「ハンバーグランチのセットで」

料理もすぐ運ばれて来て食べながらしばしの談笑。

「カルメルさんサンドイッチとサラダって、いつもそんなもの食べてましたっけ?」
「まったく女心が分かってないなぁ、デートなんだからガッツリとは食べらんないでしょ。」
「そんなもんですかねえ。」
「そういうものよ、こういうところ見てこいつ可愛いなって思ってよね。」

自分で言っちゃ台無しだろ、まあここはフォローでも入れておこう。

「そんなこと気にしなくてもいつものカルメルで十分可愛いですよ。」
「え?・・やっ・・ありがと・・・///」
クリティカルヒットだったようだ。命がつながった。

さて食事もそろそろ終わろうかという頃、バレないように隔離していたアイツがヴィルの目に留まる。

「オナミちん、ニンジン残しちゃダメじゃない、ちゃんと食べなさい。」
「いや、これは、その」うまい言い訳も浮かばない。
「食べるまで待ってるからね。」
「え・・・無理です。どうしても、許してください。」全面降伏状態。
「どうしても?・・・じゃ、あたしが食べたげる。あーん。」

ちょ、ちょっと待て、こんな公衆の面前でそれをやれというのか?しばらくもたもたしているとヴィルが一旦目を開けキッとこちらを一瞥し再びあーんのポーズをとる。やるしかないようだ。

「じゃあ、はいあーん」
「あーん。うんおいしい。でも偏食はだめよ。」

昼食も無事終え残りのアトラクションを回っていく、バックトゥザフューチャー、バックドラフト、スパイダーマンと回り終えた頃には辺りも暗くなっていた。

「もうほぼ回りましたね、楽しかった?」
「うん、とっても。オナミちんありがとね」
「暗くなってきたしそろそろ帰りましょうか?」
「うん、そうだね・・・でも、あとちょっと待って。」
「別にいいですけど何かありましたっけ?」
「うん、まあね、こっち」

ヴィルは俺の手を引き移動を開始する。しばらく歩いてパーク中央の湖までやってきた。
何かイベントでもあるのだろう、そこはかなりの人だかりになっていた。
俺たちは壁際の隙間に何とかポジションをとった。

「ここ?」
「うん、そう。もうちょっと待っててね。」

何が起こるかすぐに分かった。遠くから軽快な音楽と幾千もの電飾に彩られた数々のフロートが見える。夜のパレードだ。

「きれい・・・」
「ホントですね。」

しばらく放心状態でパレードを見る。不意に頭上に爆音と眩い光が炸裂した。
『ドーン!!』『パパパパーン』
花火が上がる。ヴィルがおもむろにこちらに振り向く。

「みんな花火に夢中だね」
俺の首に手を回す、俺もヴィルの腰へ手を回す。
やさしいキス、公衆の面前だったが恥ずかしさはもう無かった、目の前のカルメルしか見えていなかった。
次々と花火が二人の頭上でいつまでも花開いていた。
『ヒューーー・・・ドーン』
『ドーン』





『ドシーン!』


物凄い衝撃が俺を襲った。何がどうなったのか?何が起こったのか?しばらく分からなかった。目の前は見慣れた天井。・・・・・・・自分の部屋だ。

「あれ?・・あれ?・・なに?・・・」思わず声が出た。何が起きたか本当に分からなかった。
しばらくキョロキョロしていたが段々と頭がはっきりしてきた。

「さっきのも・・・・夢だったのか?」
何てことだ2重に夢を見ていたのか俺は、しかもよりによってメガネとヴィルの・・・・
欲求不満なんだろうか?それとも一度に複数の女の子と付き合いたいのだろうか?どちらにしても褒められたものではない。少し自己嫌悪に陥りながら時計を見る、午前10時・・・・・・
・・・!!!!今度は本当に待ち合わせに遅刻だ。
急いで身支度を整え家を出る。
駅に向かう道すがら遅刻する旨のメールを送る。

『すいません!今家を出ました!』
『お寝坊さんか?ええよ~ゆっくりおいでや~』
『あと30分ほどで着きますんで』
『ええよええよ無理せんでも。時間つぶしとくさかい着いたらメールしてや~』

まったく、せっかく出来た彼女の夢を見るならともかく、あんな夢を見るなんて。遅刻の理由も言えないしどうしたものかな。
でも、まあ今日のイメージトレーニングは万全だ、そこで今日の遅刻の挽回をしよう。

なかなかやって来ないターミナル行きの電車を少し苛立ちながら待つホームの上でそんなことを考えていた。



~fin~




智代は俺の嫁


リクエストの中であったニヤニヤするようなデートを題材に書きました。エロがなく、期待していた方々には申し訳ありませんでした。
また感想、希望、批判などありましたら是非。
  

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