二重人格は知ってるよね。目にしたことは無いにしても、聞きなれない単語じゃないだろうから。
性同一性障害はどうかな。これも近年耳にする機会が増えてる感じだし、おそらく知ってるよね。
仮に知らなくてもちょっと検索すれば簡単な説明くらいは出るだろうし、とりあえず知ってるものとして話進めようか。
まぁ、何の意味もなくこんなこと言い出すわけもなくて。読みながら頭に浮かんでること、大体当たってるよきっと。
今更回りくどくしても仕方ないんだけどね。その、何だろう、うん。戸籍上ボクは♂ってことになるらしいよ。ついでにボクとは別の人格が内在中。そんな今日この頃。
参っちゃうよね、ほんと。ずっと付き纏う、自分を自分として見てもらえない感覚。ボクを取り巻く世界にボクは存在しない。在るのはただ、ボクが演じる偽りの誰か。
全くもって、くだらない。そこまでして生を繋ぎとめてどうするの? っていう。
言い訳に過ぎないけど、此処に至るまでボクなりに試行錯誤はしたんだよ。だけど残念ながら実る気配は欠片も無し。
親に話してみたけど真摯に取り合ってくれる様子は見られなかったし。社会に出ようとしてもみたけど、否応なしに♂として扱われることに耐えられなかったし。逃げ込んだ電脳世界ですら、ボクはろくに生活できないことが分かったし。
外見はともかく、内面は年頃の少女なわけですよ。本当は色々とやりたいことだってあった。
平凡で構わない。普通に学校に通って、友達と泣いたり笑ったりして、誰かに恋することがあって。そんなことを思い描いてみたこともある。所詮、叶わない妄想でしかなかったけど。
コスプレしたいなー、なんて思ったこともあったけど夢のまた夢。ボクに出来ることなんて、絶望して諦観して無気力に自分の殻に閉じ篭もる程度が関の山。
と、そんな具合に現状にーとでひっきー。大丈夫、痛い娘だってことくらい分かってるから。
もっと早く言ってしまうべきだったのにね。失うのが怖くて、ボクは一人で仕舞いこんでた。
別に、騙すつもりはなかったんだ。でも、結果的に騙してたのと変わりないよね。ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。