再び確認してみるがやはり見当たらない。 「間違いかしら?」 少女はそう思ったが、あて先は確かに少女へのものだった。 一通の手紙が届いたのだが、おかしなことに差出人の名前がないのだ。 とりあえず、手紙を読んでみる事にした。 手紙はよく若い女の子がやり取りするような内容だった。 しかし、少女にこんな手紙が送られてくる覚えなどない。 「うーん・・・でも間違いなく、あたし宛よね。」 もう一度、手紙を読み直してみる。 すると、手紙の裏に奇妙なことが書いてあった。 <私はあなたを殺します。 ですが、あなたには生き残る道があります。 方法は問いませんので、この手紙を読んでから1週間以内に、この手紙のことを他人に伝えてください。 そうすれば、あなたの代わりに、あなたが話を伝えた人間を殺します。> 「何で大事なことを裏に書くのよっ!」 少女はおもわず突っ込みを入れる。 何にしても、殺すとは物騒な話である。 「この手紙のことを誰かに教えなきゃあたしが殺されて、 あたしが話せば話を聞いた人が殺されるっていうの!?」 少女は手紙を睨みつける。 イタズラだとしても、こんな悪質なことをされるなんて。 「バッカみたい。誰に殺されるのよ。」 翌日、少女は学校へ行った。 席に着くと、隣の席の女の子が話しかけてきた。 少女の友人である。 友人は楽しそうに話をしているが、少女は上の空で適当に相槌を打つだけである。 やはり、あんな手紙を読んでは、恐怖が襲ってくる。 手紙を信じるわけではないが、誰かに話して気が晴れるならそうするべきか。 だが、もしも自分が話してその人が殺されたりしたら・・・。 考え出したら、切りがない。 少女は眠れぬ日々が続いた。 手紙を読んでから1週間経った日の放課後、少女はある決断をした。 少女は友人に手紙を渡す。 「もしも、あたしが明日死んだら、この手紙を燃やして!絶対に読まずに燃やして!」 少女は涙を流しながら叫ぶ。 「死ぬとか冗談でも言わないでよ!」 友人は少女を抱きしめた。 この手紙の受取人の女の子は、私の友達なんです。 優しい子だったけど、死んじゃいました。 人間やるなって言われたらやりたくなるじゃないですか。 私は殺されたくないですから・・・。