|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|

真弓明信&岡田彰布 阪神バトンタッチ対談


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。



<真弓明信&岡田彰布 阪神バトンタッチ対談(上)>

 阪神は27日、真弓明信氏(55=日刊スポーツ評論家)の新監督就任を発表した。新監督は大阪市内のホテルで会見したが、それに先立ち、岡田彰布前監督(50)とバトンタッチ対談を行い、久保田智之投手(27)を先発で使う考えを表明。岡田阪神の代名詞だったJFKは解体され、09年に向けて投手陣は再編成されることになる。なお、この対談は3日間に渡って、掲載します。

 阪神の監督交代劇といえば、常にドロドロとしたイメージがつきまとってきた。だが今回は違う。すがすがしいバトンタッチであった。歴史的V逸の責任を取りユニホームを脱いだ岡田氏から、受け継ぐ真弓新監督。2人には共通項がある。アキノブという名前だけではない。1985年、優勝を導いたV戦士。あの時代に生きたきずなは強い。

 岡田氏 新監督、おめでとうございます。

 真弓監督 岡田こそ5年間、ご苦労さま。

 固い握手を交わし、前監督と新監督が語り始めた。

 岡田氏 2004年は別にして05年からの4年間で、十分戦っていけるチームになったと思う。特に投手陣ですわ。ここがしっかりしているから、そこそこ勝てると思う。真弓さんも野球は投手力と、感じてると思うけど。

 真弓監督 もちろん岡田と同じ考えだ。とにかく守りの強い野球を引き継ぎたいし、そのスタッフを育ててくれたんだから。間違った野球はしてないし、それを受け継いでいくよ。

 岡田氏 オレの場合、打つ方に関してはそれほど期待はしてなかった。バッターやったからわかる。10回打って3安打すれば上出来の世界。失敗が7回もあるわけ。なかなか打てんもんよ。だけど投手は違う。計算できるわけでしょ。だから投手力のあるチームは強い。

 真弓監督 その投手スタッフだが、考えていることがあってね。久保田を先発に回そうと思っている。岡田が構築したJFKだが、その中で久保田を配置転換しようと考えているんよね。

 岡田氏 それは監督の考え。何も言うことはないけど、久保田もやっぱり先発したいと思っている。ブルペンで投げている時も必ずセットではなく、振りかぶって投げよる。あれは先発でやりたい、という意思表示なんよね。

 真弓監督 今年も感じたけど、どうも弱気になってしまっていると映る。リリーフして結果が残せず、精神面にそれが影響している。だから先発に回したら、久保田の持ち味がまた生かせるのではないか、と。

 岡田氏が築き上げたJFKは球界の革命的なシステムだった。それを真弓監督は引き継ぐものと思っていたが、そうじゃなかった。真弓監督が見せた色。そのスタートがJFKの解散、久保田の先発転向である。

 岡田氏 でもね真弓さん。久保田が先発に回っても、はたしてローテーションに入れるかどうか。それほど先発スタッフは強力ですからね。石川だって、ブルペンで見たら、なんやこの球って驚くくらい威力は感じないけど、いざ試合になれば勝てる投手になる。そこを見極めることですよね。

 ともに野手出身である。だから話は打撃に向くと思われるが、それは逆。野手出身監督だからこそ、投手力には敏感になる。

 真弓監督 投手力が勝負の決め手になるということを岡田が5年間で実証してきた。それを受け継いでいく。例えばアッチソンが十分にセットアッパーで使えることがわかり、逆にウィリアムスが相手に慣れられていることもわかった。そういうプラスとマイナスを判断していって、総合的にスタッフを決めていくよ。

 真弓監督が望んだ前監督との対談。岡田氏のトレトレピチピチの情報は新監督には重大な今後のヒントになる。話はヒートアップしてきた。(つづく=取材構成・内匠宏幸)




<真弓明信&岡田彰布 阪神バトンタッチ対談(中)>

 虎に足りないのは「精神力」だった。阪神真弓明信新監督(55)と、岡田彰布前監督(50)のバトンタッチ対談第2弾。テーマはV逸チームの要因に及んだ。前監督は新加入の新井を初めとした「精神力」が足りなかったとした上で、理想のオーダーにたどりつけなかったことを新監督に明かした。そして補強するならスペシャリスト。85年日本一戦士による継承の儀式は核心に迫っていった。

 真弓監督 オカは言っていたよね。優勝を逃がしたけど、あとわずか、「何か」があれば、優勝できていたって。その「何か」っていうのは?

 新監督と前監督が語り始めて30分が過ぎた。ここで真弓監督が、具体的なことを岡田氏に問いかけた。わずかな時間、岡田氏は考え、こう真弓監督に打ち明けた。

 岡田氏 真弓さん、それは「精神力」だと思います。技術を越える精神力。最後の最後、それが欠けていたわけです。

 真弓監督 具体的には?

 岡田氏 端的な例が新井です。FAで入団してきて、金本の前を打たせた。3番新井、4番金本です。でもね、これは新井の精神面のことを考えた並びだったんです。広島で長くやってきて阪神に移ってきた。優勝争いの経験もない。重圧はすごかったはずですよ。だから金本の後ろを打つプレッシャーを考えて3番に据えた。本当なら新井は5番だった。

 真弓監督 確かに阪神の重圧はすごい。自分も移籍してきた時がそうだったからね。

 岡田氏 最初は3番新井、6番鳥谷でスタートし、それがうまく機能した。でも自分の中では五輪から戻ってきた時点で、3番鳥谷、5番新井でいくつもりでいた。勝負の時期に来れば、新井がキーになるから、ってコーチにもいつも伝えていたから。でも、結局、最後はああいう形(北京五輪には腰を骨折したまま出場し、チーム復帰後、治療に専念。終盤、強行出場も不振のままシーズン終了)になった。故障は関係ない。みんな抱えながらやっているんやからね。新井には入院したら休ませたるって言ってたんやけどね(笑い)。やっぱり重圧に勝つ精神力かな。

 真弓監督 新井を含めてまだ自分の中でははっきりと打順を決めているわけではないんだよね。すべての選手をまず見たいと思っているからね。もっとも4番金本は決まっているけど。いずれにしてもオカの経験、意見を参考にさせてもらうよ。

 岡田氏 そういう意味では鳥谷の成長は心強いと思いますよ。他球団が1番怖がっているのは、金本を除けば鳥谷ですから。だから最後は3番を打たそうと思っていたんです。

 真弓監督は打順に関しては、まだ言及していない。金本4番が決まり、その脇を固める並びをどう考えていくのかが今後のテーマとなる。

 真弓監督 やはり金本のあとを打つ5番は重要なポジションになるよね。そこはオカが言ったように、技術以外のところでの強さが影響してくるから。それを見て、判断していくよ。

 最初に前監督に久保田先発プランを明かした真弓構想。打線に関しては、そこまではまだ踏み込んではいない。情報収集に熱心な新監督は、さらに今のチームに補強を加えるなら、どの部分かと問う。すると前監督はこう即答した。

 岡田氏 スペシャルな選手です。守備、走塁…、それらの部分を任せられるスペシャルプレーヤーです。メンバーが固定されてきたから、今は枠の中にそういう選手を入れることができる。終盤、ここという場面で盗塁を成功させられるとか、肩がめちゃくちゃ強いとか…そういう選手がいると有利に戦えるんじゃないかな。

 真弓監督 例えば甲子園の外野の守りは重要だからね。それに甲子園の特性を考えれば、ホームランは多く期待できない。だったら走塁がカギを握る。そういう考え方でいくしかないやろね。

 予定の時間が過ぎても、2人の会話は止まらない。いよいよ話題は「監督論」に進んでいく。【取材・構成=内匠宏幸】



<真弓明信&岡田彰布 阪神バトンタッチ対談(下)>

 年齢は真弓監督が4歳上。だが岡田氏の5年に及ぶ監督経験則は、真弓監督にとって貴重な指針になる。

 真弓監督 若い選手を育て、どう起用していくか。これを大きなテーマとして考えているんだが。

 岡田氏 育てながら勝っていくというのは、実際に戦ってみて難しいということはわかった。ただ若手は使わないと伸びないというのも事実。ここの考え方がポイントじゃないですか。幸いチームには金本、下柳という手本がいる。特に精神面で学ぶところが多い。

 真弓監督 若い選手の考え方も理解しなければ、とは思うが、昔とは随分、考え方も変わっているよね。

 岡田氏 びっくりしたことがあってね。若い選手を起用して活躍したんですよ。たまたまというか、ね。すると次の年になって、もうそういう選手の応援歌ができているんよ。こういうことで勘違いしたらアカンし、勘違いさせたらダメなんですわ。

 1985年をピークに、ともに同じ時代を戦った2人。野球への取り組み方、姿勢という点では共通したものを持っている。

 真弓監督 自分はいま、どういう練習をすべきなのか、ということを考えて取り組んだよね。オカは体がとにかく強かったし、そこをベースに練習してたもんね。

 岡田氏 強かったのは体だけじゃなかったから。酒をむちゃくちゃ飲んだら、絶対に次の日は結果を出さなアカンと思って、やってましたね。

 真弓監督 酒といえば、やっぱり気持ちの切り替えとかで、難しかったんじゃないの。近鉄時代、梨田監督をずっと見てきたけど、監督ってこんなに仕事が多いのかって感じていた。切り替えが難しいやろなってね。

 岡田氏 真弓さんは酒、飲むんですか。

 真弓監督 飲むよ。まあ、あまり飲まないようにしないと、とは思ってるけど。

 岡田氏 自分の場合、疲れはしなかったけど、甲子園はいつも満員。常に勝たねばならぬという意識が強くてね。だから毎試合、目いっぱいにいってたし、負け試合が作れなかった。そこが特にしんどかったですね。

 真弓監督 監督として、まず見ることから始めようと思っている。コーチ時代もそうだったけど、観察することは大切なことだよな。

 岡田氏 先輩にこういうのも失礼だけど、監督は動かない方がいい。いい状態の時は勝手に勝つんですから。それより見ることです。特にコーチを見ること。どういうことをしている、どう教えている、というのを把握してたらいいんじゃないですか。監督が出て行くのは、ホンマ、最後の時。選手は監督についていくんです。

 真弓監督 ネット裏からとベンチからでは大きな違いがあるし、コーチといってもパ・リーグしか経験がない。野球の違いもある。まず見て知ることから始めるよ。オカにも今後、いろいろ教えてもらうけど、よろしくたのむな。

 岡田氏 とにかく監督、がんばってください。

 予定の時間を過ぎても、話は尽きない。新監督と前監督が就任会見の当日に、こんな形で語り合うことは、阪神の歴史上でも極めて珍しいことだろう。真弓監督にとってこれ以上ない前監督からの「就任祝」になった。(完)【取材・構成=内匠宏幸】