nora

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218 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:05:05 ID:HB5+ln3M 「ほんとうに、ありがとうございます」 「いえ、いいんですよ。お礼なんですから」  神に祈るように手を組むノーラに、ロレンスが軽く手を振る。  リュビンハイゲンの、商店が立ち並ぶ路地の一角を、ノーラとロレンスの二人は連れ立って歩いていた。  ノーラの背には、大きな背嚢が背負われている。その中には、ロレンスが多いに値切って買った荷物が入っていた。  いずれ町を出るノーラは、その準備に必要なものをロレンスと共に買いに来ていた。 「でも、本当に何から何までお世話になって……」 「気にしないでください。私のほうこそ、あなたがいなければ今頃破産して、真っ黒な日々を過ごしていましたからね」  もしノーラと出遭っていなかったらと思うと、ロレンスは背筋に冷たいものが走る。  リュビンハイゲンで背負った借金は、ノーラの協力無しでは返済することはできなかったはずだ。  裏切りにも遭い、怪我もしたが、借金を返済できなかった時のことを思えば天国と地獄の差ほどある。 「商館で預かった証書は無くさないようにしてくださいね。その証書があれば、ノーラさんが向かった先で、必要な分だけのお金を引き出せます」  金貨で報酬を受け取ったところで、ノーラはそれを持ったまま他の町へ行くだけの度胸は無かった。  どこかで奪われてしまえば、命を賭けてまで臨んだ仕事の結果が水泡に帰す。  ロレンスはまとまったお金を商会に預け、路銀や咄嗟の時に必要になる貨幣を両替してノーラに渡した。  そして、旅に必要な知識と、他の町へ行った際の注意事項、店を開く時に必要な知識をノーラに話した。 「組合に加盟したとしても、すぐに商売を始められるわけではありません。製品の質が、その組合が認める水準を満たしていないといけませんしね。 それと、その組合の聖人の加護を受けるという名目でまたいくらかお金が必要になったり、会合に出なければならなかったりと色々面倒なこともあります」  ロレンスの言葉に真剣に頷きながら、ノーラは焦るように少しだけ目を細め、唇を噛んだ。  その様子を見たロレンスが、話題を明るいほうへ持っていこうとする。 「とはいえ、組合に加盟することで、資金の調達が容易になったり、売りつけ先が回ってきたりと良いこともありますから、あまり不安にならなくても大丈夫ですよ」 「え、あ、はい。そうですね……」 219 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:05:42 ID:HB5+ln3M  重たい荷物を背負ってなお、ノーラの足取りはしっかりしたものだった。ロレンスはゆっくり歩いてノーラの歩調に合わせるつもりだったが、その必要もなかったらしい。  健脚は商人の宝だと、いつか誰かに言われた言葉を思い出す。  たとえ良い儲け話が思いついたとしても、その足で歩まなければ機会を得ることは出来ないというのだった。  証文さえあれば商売ができる大きな商人には、あまり縁の無い言葉なのかもしれないが。  リュビンハイゲンの空は、真っ青に晴れ渡り、行き交う人の数も多い。  二人は、広場の前に来て軽い昼食を食べることにした。油で揚げたウナギと、温いビールを前にして、ロレンスはさらに他の町へ行った時の注意事項を話し続けた。 「と、まぁ大体そんなところでしょうか。ああ、そうだ。もし上手く行ったなら是非連絡をください」  ロレンスは胸元のポケットから、連絡先になる商会の住所を書いた紙をノーラに渡した。  おずおずとそれを受け取ったノーラが、紙面を眺めてから、紙を畳んで背嚢の中へ仕舞う。  ノーラが紙面をまじまじと眺めているのを見て、もしかして字が読めないのではないかとロレンスは危惧したが、ノーラの言葉でその心配を払った。 「必ず連絡します。その、いつになるかはわかりませんけれど……。上手く行くかどうか不安で」 「いえ、上手く行かなくても連絡してください。いや、こんなことを言うべきじゃないんでしょうけど」  少し和ませようとロレンスが軽く笑う、それに釣られてノーラも微笑んだ。  昼過ぎの町に、強い日差しが降り注ぐ。冬を叩いた季節にしては、陽気な日だった。  これから先の行商でも、こんな良い天気が続けばいいのに、とロレンスはひとつ息を吐いた。  ビールを口に含み、それからノーラの顔を伺う。 220 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:06:12 ID:HB5+ln3M  ノーラの表情は、暗かった。今日、ノーラの買い物に付き合っている時からずっとそうだった。  おそらく、違う町へ行った時のことを思って不安になっているのだと、ロレンスは色々と話したりしたのだが、不安が晴れる気配は無いらしい。 「お店を持ったら、私にも是非商品を扱わせてください」 「ロレンスさん、値切りませんか?」 「……まぁ、多少はそういう方向へ持っていくかもしれませんが」 「ふふ、安く買い叩かれないように気をつけないとダメですね」  口元に手を添えてノーラが微笑む。少しは前向きになってくれただろうかと、ロレンスは安心した。 「あの、ほんとうにありがとうございます。お世話になりっぱなしで、私は」 「気にしないでください。お互い様ですよ」  それはロレンスの本心だった。ノーラが商売に成功してくれれば、そこからまた利益を取れるだろうという算段はある。  もちろん、ノーラが他の町に行って成功するのかどうかはまだわからない。 221 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:06:43 ID:HB5+ln3M  昼食を終えて再び町を歩き出す。向かう先は、ノーラが住む家だった。  小さな石造りの小屋に、大きな木の扉がついている。その扉の向こうには、藁束を敷き詰めた部屋があり、部屋の端に羊が飲むためか水桶が置いてあった。  馬を繋ぐ厩舎にも同じようなものがあったが、羊にも使うものだとは知らなかった。  ノーラは羊のいない部屋を少しだけ寂しそうに眺め、藁束の中で眠っていたエネクに気を遣うように隣の部屋へとロレンスを促した。 「ロレンスさんに渡したいものがあるんです」  そう言ってノーラは、自宅にロレンスを呼び寄せたのだった。  何を渡したいのかは尋ねても答えてもらえない。何をくれるのかは、ロレンスにはわからなかった。  ノーラは再びその顔に翳りを宿し、不安げに親指の爪を噛んでいた。  おかげで、ロクに話も弾まない。このところ、一緒に祝宴をしたり、ホロのお見舞いに来てくれたり、羊乳の目利きをしてくれたりと、随分仲は良くなったというのに、ここに来てこの態度だった。  明日にはもう会えなくなるだろうという時にこれでは、少しだけ気が滅入る。  何か悪いことをしたというわけでもないだろうし。  隣の部屋は、ノーラがこの町にいる時に寝泊りしている部屋のようだった。  簡素な木組みのベッドに、羊毛で作られたと思しき毛布が数枚かけてある。  机と箪笥があり、普段使うものはその引き出しの中に仕舞ってあるのだろう。狭い部屋の中央にはテーブルと、座ればすぐに軋みをあげそうな椅子が一脚だけ置いてあった。 222 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:07:12 ID:HB5+ln3M 「そ、それでですね、あの、えっと……」 「どうしました?」 「是非、お礼がしたいんです」 「お礼?」  ノーラは、ロレンスを部屋へ促した後、そっと後ろ手に扉を閉めた。  扉を背にして、少し上目にロレンスに数回視線を送る。 「どうしました?」  そう声をかけると、突然ノーラがロレンスの前で膝をつく。  急に倒れこむようにノーラの体が沈んだのを見て、ロレンスが慌てて手を差し伸べようとした。  だが、その手がノーラに触れることはなかった。 「え、ちょっと?」  ノーラの手が、ロレンスの股間に伸びていた。その白い手が、ロレンスの股間を撫でる。 「あ、あの……。お礼がしたいんです」 「お礼ってちょっと、それはまずい」  ロレンスは飛びのこうとすると、背後にあった机にぶつかり、思わず倒れそうになる。  ノーラはなおもロレンスの股間に手を添えたままだった。そして、上目にロレンスに視線を送る。  躊躇うような、恐々とした視線。何度もその視線が泳ぎ、小さな口から困惑の混じった呟きがふつふつと漏れる。  するとノーラが、真剣な表情で訴えた。 「あの、私の体で、気持ちよくなって欲しいんです」  そんなことを突然言われても困る。 「落ち着いてください。どうしたんですか?」  おろおろしながら、ロレンスがノーラの手を振り払う。  振り払われた途端に、ノーラの表情が曇った。その様は、迷える子羊のようで、思わず手を差し伸べたくなる。 223 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:07:42 ID:HB5+ln3M   「つまり、その、私を、好きにしてください……」  最後は消え入りそうな声で、ノーラが呟く。そんなことを言われても、ロレンスはすぐさま目の前の少女を押し倒すようなことはできなかった。  普段あまり良いものを食べていないのか、歩き詰めだからなのか、ノーラの体は細かった。  その細い肩が震えている。 「ちょっと待ってくださいノーラさん。そんなお礼だなんて!」 「わ、私に出来ることなんてこれくらいしかありませんから、だから、ロレンスさんの好きなようにしてください。決して、逆らったりしませんから」  ノーラが体を寄せる。目前に、光輝くような金髪が迫っていた。ふわっとした体温が、ロレンスの鼻腔をくすぐる。  好きにして、などと言われて、ロレンスも嬉しくないわけではなかった。今までこんなセリフを言われたことはなかったし、ここまで女に迫られたこともない。 「いや、だから、その……」  しどろもどろになって、ロレンスが視線を泳がせる。 「ロレンスさんは、私に明日をくれました。それが私にとって、どれほど嬉しいことだったか、わかりませんか?」  視線をあげて、ノーラが潤んだ瞳でロレンスを見つめる。その視線を外すことができなくて、ロレンスは一度唾を飲み込んだ。  密着した体から、染み込むように熱が伝わってくる。 「エネクは、病気に冒されていて、もう長くないんです……」  その言葉に、ロレンスの目が細くなる。  エネクの調子が悪いようには思えなかったが、常に傍にいるノーラが言うのだったらそうなのだろう。  ノーラが優秀な羊飼いでいられるのは、エネクの力によるところが大きかった。羊飼いは、良い牧羊犬を持ってこそ成り立つ部分がある。  そして、エネク自体はホロも認めるほど頭の良い犬だ。エネクの代わりなど、そう見つかるものではない。  では、エネクを失ったらノーラはどうなるのか?  薄給で羊を預かり、そして危険な地域に追いやられていたノーラ。  今までやってこれたのは、優秀な牧羊犬のエネクの力も大きい。  エネク無しでは到底羊を守りきることなどできない。  これから先、羊飼いとして生きていくことはできないだろう。 224 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:08:12 ID:HB5+ln3M 「私は、言いましたよね。どちらにしても、羊飼いを辞めるつもりだったと」 「ええ……」  羊飼いの仕事が無くなれば、元々貧民救済院にいたというノーラに、まっとうな仕事が見つかるとは思えない。 「少しでもお金を稼いで、先のことをなんとかしようとしていた時に、ロレンスさんが声をかけてくれたんです」  その後のことは、ロレンスもよく知っている。金の密輸の手伝いをし、それによって大きな収入を得ることが出来た。  浪費しなければ、十年以上も暮らしていけるだけの金額だった。 「もう、先が無いと思っていた私を、あなたは助けてくれたんです」  ノーラがさらに体を寄せて、ロレンスの胸元に顔を埋めた。 「い、いやでも、お互いさまですよ」  無言のまま、ノーラがロレンスの背に手を回す。抱きつかれていることに気づいたロレンスの心臓が、大量の血液を全身に巡らせる。  こんなに近い場所に、抱き締めれば折れそうな、細い体の少女がいる。 「ロレンスさん、私はまだ言葉を続けなきゃいけないんですか? 男の人に、私の体を求めてくださいだなんて、もっと言わなきゃいけないんですか?  そんな恥ずかしい思いをしなきゃいけないほど、私には魅力がありませんか?」  小さな呟きに、ロレンスの頭がぐらぐらと揺れる。喉が渇き、ありもしない唾を飲み込んだ。  好きにしていい、というその言葉の通りに自分の劣情をこの無垢な娘にぶつけてもいいのかどうか、ロレンスは悩んだ。    ノーラの体がわずかに沈み、ロレンスの股間に顔を近づけた。そして、ベルトを不慣れな手つきで外す。  その行為を、ロレンスは咎めることは出来なかった。こうしたいというのは、ノーラの望みだという。それに応えることの何が悪いというのか。  ズボンをずり下げて、ノーラがロレンスのペニスを外気に晒した。  目を丸くして、ロレンスの股間に視線を送る。  目の前で、細く儚げな少女が傅いて自分の股間を見つめている。その事実に、ロレンスのペニスに血液が集まり始めた。 「あ……」  硬度と体積を増すロレンス自身に、ノーラが声を漏らす。逡巡した後、おずおずと手で触れた。  ノーラの指は細かった。白磁のようで、細長く冷たい。熱を帯びたペニスに、ノーラの指が絡められる。 「あ、あの、上手くできるかどうかわかりませんけど……」  不安げに揺れる瞳を頭上のロレンスへ向ける。両手で、優しくペニスを包みこみ、膝をついて、ノーラは薄い唇から言葉を紡いだ。 225 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:08:42 ID:HB5+ln3M  ロレンスは、ノーラの食事風景を思い出していた。その小さな口に、ゆっくりと食べ物を運んでいる様子。  ホロのように齧り付くのではなく、おずおずといった様子で食べ物を唇の奥へと運ぶ仕草。  その唇が、ロレンスのペニスの先端に口付けられた。  柔らかくて、食べ物を詰め込むことでさえ苦労するような、その小さな唇に、ロレンスのペニスが押し当てられている。  思わずロレンスが声を漏らす。妖精ノーラが自分のペニスに口付けをしていることが、あまりに非現実的な光景に感じられた。  まるで商売女のように男の前で跪き、男のペニスに口をつけている。  清純なノーラが、自分のモノに唇を合わせていることに、ロレンスの血が熱くなる。  唇を開いたノーラが、ペニスを口腔に送り込む。吸い付くように、ロレンスのモノを口に含んだ。  口内の熱で、自分のモノが溶けていったのではないかと錯覚さえした。儚げで、報われない仕事に追われていたノーラ。  そのノーラが自分のモノを口に含み、そして舌を這わせてきた。唇でロレンスのペニスを刺激する。  両手でロレンスのモノを掴み、ゆっくりと喉の奥へと押し込んでいく。苦しげな呻き声がノーラの喉で鳴った。  そしてノーラは首を振りながらロレンスのモノを唇で扱く。ロレンスの背中で、快感が爆ぜた。  舌の腹で、ロレンスのペニスの裏筋を舐めとりながら、唇で何度も扱いていく。 「う、……ああ」  ロレンスの声が漏れたのをきっかけに、ノーラが口を離す。 「あの、気持ちよくなかったですか?」  今度はロレンスのものを手で扱きながら、ノーラが尋ねる。  優しく、ほとんど力のこもっていないような握り方で、ロレンスのペニスをさすっていた。 「いえ、気持ちよすぎて……」 「よかった」  そう言って、ノーラが可憐に微笑む。その緩やかに引かれた口角と、淡い唇。そこに、自分のペニスが今の今まで突き刺さっていた。  ロレンスの心臓が何度も縮む。  すぐに、ノーラはロレンスのペニスを舐め始めた。両手で優しく包み、唇から小さく舌を出して這わせていく。  先端を何度も舌先でつつき、それから裏からつぅっと下がって根元まで舌を降ろす。睾丸の付け根にキスをして、その皺を伸ばすかのように舌で舐めた。  商売女だって、ここまで丁寧にはやらない。金を積めばどうなのかは知らないが、ロレンスはここまでしてもらったことはなかった。  そんな行為を商売女でもないノーラがしている。目を閉じて、一心不乱にロレンスの股間を舐めまわしていた。  こんなことをする理由が、自分へのお礼だという。ここまでして貰う義理など無いように思えたが、止めてくれなどということは言えなかった。  襲い来る快感に、ロレンスが天井を仰ぐ。手持ち無沙汰だった右手を、ノーラの頭の上に乗せた。  手を頭に置かれてもノーラは嫌がることもなく、むしろ動きを激しくしていく。再び口内にロレンスのモノを咥え込み、動きを早めながら唇で扱いた。 226 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:09:12 ID:HB5+ln3M 「うっ……」  刺激を受けて、ロレンスの睾丸が縮みはじめる。限界が近いことがわかった。  女の相手をするのは本当に久しぶりだった。よほど金に余裕が無い限り、娼館へ足を運ぶことはない。  もはや何年という単位で、ロレンスは女と性行為に及んでいなかった。  血が頭に昇って視界がくらくらする。ロレンスは自分のモノを咥えこむノーラを見下ろした。  一生懸命に、喉の奥までロレンスのモノを押し込み、舌を這わせている。  出会った時は儚げで美しい少女だと思っていた。  しかし、足元に跪いてロレンスのペニスを咥え込んだノーラは、確かな存在感に満ちていた。  頬を赤らめ、瞳を潤ませている。白い肌に浮かぶ朱色は顔を覆い、細い指先はロレンスのペニスに絡み付いて離れない。  ノーラが肩を上げながら、腰をくねらせている。太ももを擦り合わせ、暖かな息を喉の奥から吐き出して胸を収縮させていた。 「ノ、ノーラさん、もう……」  限界だった。  ノーラの頭に手を置いて、離れるようにと促したつもりだった。  だが、ノーラは、一瞬だけロレンスを見上げて目元に笑みを浮かべる。  ノーラが自覚して笑みを浮かべたのか、ロレンスには判別がつかなかった。  妖精の見せた微笑が、ロレンスの心臓を穿ち、動悸を激しくさせた。 「いっぱい、出してください」  そう言ったノーラが、ロレンスのペニスを口の中に深く咥え込んだ。腰が溶けていくかのような感覚に襲われて、ロレンスがわずかによろめく。  ノーラはロレンスを逃がさぬようにぎゅっとペニスを強く握り、さらに深く喉にロレンスのペニスを押し付けた。  舌が絡みつく。軟口蓋の柔らかさが、先端の敏感な場所を包んだ。  強く吸い付かれて、ロレンスは目を強く閉じた。 227 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:09:42 ID:HB5+ln3M 「くっ、うう」  腰の奥から、すべてが放たれる。びくびくと跳ね回るペニスは、ノーラの舌に押さえつけられ、その喉に精液を放った。  律動が止まらない。何度も何度も、脈動した。そのたびに、ノーラの口内に白濁液を注ぎ込む。  呆然と口を開いたままだったロレンスが、慌ててノーラの口からペニスを引き抜いた。ノーラはペニスを掴んだまま、離そうとしない。  口の中から引き抜いても、睾丸の奥で生まれた精液は底を突くことを知らず、ノーラの顔面にもその白い液体を注いでいた。  ノーラは顔面にかけられた精液に、指先を伸ばす。 「はぁ……あ、あふい」  鼻梁に、頬骨の上に、ロレンスの精液が付着していた。それを指先で、掬う。  確かな熱に覆われて、ノーラは瞳をとろんと伏せた。  そして、口内に放たれた大量の精液に、自らの唾液を混ぜ合わせる。顔面にかけられた精液を指先に集め、それを唇の中へと指しこんだ。  ロレンスは、浅い呼吸を繰り返し、視界が真っ白に染まった中でノーラを見下ろしていた。  娼婦のように男の股間に顔を埋めて跪く妖精。ノーラが身悶えていたせいで、その服はわずかに乱れ、細い首筋から鎖骨が覗いていた。  すべてを、吐き出したと思った。だが、それでもまだ足りない。ロレンスは、満足よりも次の行為に対しての欲望がむくむくと溢れていくのを感じていた。 「……全部、飲むんだ」  自分で言った言葉が、ロレンスには信じられなかった。精液を飲むなど、娼婦でさえしない。  そんなことをする女が、市井にいるはずがない。ましてや、目の前にいるのは敬虔な神の僕であり、儚く微笑む妖精だった。  それを、自分が犯した。その口の中に、己の中でもっとも汚い欲望を吐き出した。  ノーラの唇が、わずかに横に引かれた。目をわずかに細めて、ロレンスを上目に見上げる。  それから、指先を小さく唇に当てて、俯く。目を閉じて、わずかに躊躇うように舌を唇の間から小さく見せた。  顎を小さく上げる。ノーラが、精液を飲み込んだ。細い首に浮かぶ軟骨が、上下した。一度で飲みきれず、ノーラは何度も喉を震わせる。  飲み込んでいる。目の前の少女が、自分の精液を飲み込んでいる。  ロレンスは、顔面の血液が沸騰しているのではないかとさえ思った。  こくこくと、ノーラは口内に残っていた精液を、自らの唾液と混ぜ合わせて、飲み込んだ。 「ぜんぶ、飲みました……」  そう言って、犬がやるように舌を大きく出してロレンスに見せる。そこに、ロレンスの精液は無かった。 「あ、ああ……。見えてる」 「……ロレンスさん、私のお礼は、まだ、終わりじゃ、ないんです」  ノーラが微笑む。その意味をロレンスが理解するのと同時に、ノーラの細い肩に手を置いていた。 228 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:10:12 ID:HB5+ln3M  壁に両手をつかせて、ノーラにその尻を突き出させていた。本当に細い腰だった。  肉付きがよくないせいもあって、子どものように薄い尻だった。そこからさらに細い足が伸びている。  スカートをたくしあげて、腰の上に置いた。下着を足首まで一気にずり下げる。 「あっ……」 「綺麗だ」  ノーラの下半身が、外気に晒される。誰にもそこを見せたことが無いのだろう。  股間に引かれた割れ目はぴっちりと閉じていて、本当に子どものそれのようだった。  しかし、その腹側には柔らかな陰毛が若草のように生え揃っている。髪の色と同じ金色の陰毛に、ロレンスは手を伸ばした。  ノーラの体が小さく震えた。怯えるように目を閉じて、壁についた手に力を込める。  さわさわとした陰毛の感触に、ロレンスは満足した。それから、割れ目に指を滑らせて行く。 「あぅ……」  ノーラの喉から、声が生まれる。その声は、ロレンスの鼓膜を甘く叩いた。  指先で、その閉じた股間の唇をそっと開く。すると、とろりと粘ついた液体が流れ出してきた。  それを指で掬って、割れ目の周りに塗ってみる。その行為に反応して、ノーラが声を漏らした。  はしたない声が出るのを防ごうと、ノーラは唇を閉じるが、音は鼻に抜けて余計に甘くなる。 229 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:10:42 ID:HB5+ln3M  ロレンスは下半身にそそり立つペニスの先端を、ノーラの股間に当てた。 「これが、中に入るんです。わかりますか?」 「……はい、ロレンスさんの、したいように、してください」 「ええ、もちろんそうさせてもらいます。さっきまで、あなたが口に含んで舐めまわしていたものですよ」 「ああっ」  ノーラの太ももを撫でながら、ロレンスはゆっくりとノーラの耳元に唇を近づけた。 「ほら、あんなに熱心に舐めてくださったから、こんなに硬くなってるんですよ」  さっきの行為を思い出して、ノーラは頬を染めた。ロレンスの唇から逃れるように、首を傾げる。 「本当に美味しそうに舐めていただきました。舌でぺろぺろと、唇でぱっくりと」 「いやっ、言わないで」 「これが、欲しいんですよね」  ペニスで、ノーラの股間を何度か叩いた。そして、手でそっと膣の前に当てがう。 「どうですか? これを、入れて欲しいのでは?」 「あっ、それは……、ロレンスさんが好きなように……」  娼婦のようにロレンスのモノを咥え込んでいたノーラだったが、言葉に出して責めると生娘のように恥ずかしがった。  その差が、ロレンスにはたまらない。純粋な妖精ノーラと、妖艶な魔女のようなノーラ。 「是非とも、あなたの願いを聞かせてください」 「……ロ、ロレンスさんが、好きなようにして、くれたら」 「そうではないのです。あなたの希望を聞きたいんですよ。入れて欲しいんですか?」  耳元で囁く。金色の髪から、牧草の乾いた匂いが漂う。背けた顔を覗き込むと、目を閉じ、眉を寄せて耐えているのが見えた。  ロレンスはノーラの腿を撫で、そして服の上から胸を優しく揉んだ。それだけでも、ノーラの体が震える。 「おや、随分とあなたのここから恥ずかしい液体が流れてきますね」 「ああっ、だめです、それは」  ペニスの先端に、膣から溢れ出た液体をまぶせる。  今の行為が、予定調和の上にあるような気がした。ノーラがこうやって恥ずかしがっているのも、自分を喜ばせるためではないのか。  けれど、ロレンスにとってはどちらでも良かった。妖精を辱めて、娼婦に落とし込む。快楽の虜にさせて、自らの奴隷のように扱う。  そんな行為を思い描くだけで、頭が砕けてしまいそうだった。 230 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:11:17 ID:HB5+ln3M 「ほら、正直に仰ってください」 「……入れて、ください。ロレンスさんの、その硬いそれを」 「ええ、喜んで。ノーラさんが、このはしたなく濡れた場所は、私のこれを所望ということですから」 「そ、そんな、私は」  羞恥に声をあげたノーラを無視して、ロレンスはその細い腰に両手をかけた。  そして、ゆっくりとペニスをノーラの細い穴に差し込んでいく。強烈な抵抗感だった。  処女だというのが、入れた瞬間に理解できる。だが、止める気にはならない。  ロレンス自身にさえ痛みが訪れるような狭さに、ノーラは目を閉じて耐えていた。 「入りました……。動きますよ」  苦痛に呻いているノーラを、犯してやりたかった。  見下ろせば、ノーラが突き出した尻。そしてきゅっと閉じた菊門。  その下に、自分のモノが深く突き刺さっている。白い肌に、幾条もの青い血管が浮き上がっていた。    ゆっくりと腰を動かしていく。引き抜いて、深く差し込む。  その繰り返しを続けた。 「ああっ、あぅ」  ノーラは両手を壁についたまま、首をもたげた。ぼんやりと目を開けて、唇の端から唾液をこぼす。  唾液はノーラの細い顎を伝って床へ落ちる。うっすらと浮かび上がった汗が、ノーラの肌を覆っていた。  ロレンスは、腰を突き入れながら、自分の理性が壊れていくような感覚に襲われていた。  快感が腰を伝う度に、尾骨をハンマーで叩かれたかのような衝撃が頭へと駆け登る。快楽の槌に打たれて、ロレンスはさらに速度を上げた。  ぶつかり合う腰から音が生まれ、腰を打ちつけるたびにノーラの尻肉に波が立つ。もっと強く、強く打ち付けたいと思った。 231 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:11:42 ID:HB5+ln3M  腰の動きが増す度に、ロレンスは呼吸が苦しくなって浅い息を繰り返す。  喉を限界まで開いて空気を取り込もうとするが、間に合わない。視界が狭くなる。  理性の綱が焼け落ちた。今は、目の前の少女を犯すことしか頭になかった。    次第に、ノーラの口から溢れ出ている声が音量を増していることに気づいた。  その声は快楽を告げる喘ぎだった。妖精の喘ぎ声は高く澄み、ロレンスの耳の一番奥を震わせる。  ノーラの腰が、動いている。自分の動きにあわせて、ノーラは腰を振っていた。  これが処女の所業なのかと、ロレンスは上手く働かない理性で考える。自分は今、魔女か何かに囚われてしまっているのではないかと、錯覚する。  だが、今更この行為を止めることなどできるわけがなかった。  腰を打ちつけるたびに、ノーラが喘ぐ。その表情は、さきほどの苦悶ではなく、快楽に憑かれた恍惚だった。  ノーラの表情に笑みが灯る。蝋燭の炎のように淡いものだったが、それは確かな悦びの証だった。  腰を掴んでいた両手で、ロレンスはノーラのスカートを掴んだ。御者が馬の手綱を引くように、強く引っ張る。  その勢いで、深くペニスをノーラの一番奥へと突き入れた。  普段からよく歩いているノーラだからか、その体はよく締まっていた。無駄な贅肉が無く、細い体だった。  しかし、その体の中、膣は熱くロレンスのペニスに絡みつく。体温のすべてが、柔らかさのすべてが膣に凝縮されているのではないかとさえ思えた。  ロレンスは自らの腰が溶けていくような気がした。溶けてどうなるのかはわからない。  今まで抱いたどんな女よりも、自分を興奮させてくれる。何よりも気持ちがいい。 232 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:12:12 ID:HB5+ln3M 「はあっ、ノーラさん、もうっ」  耐えられないと思った。辛いなら、途中で腰の動きを止めて、しばらく回復を待てばよかった。  だがそれは出来なかった。動きを止めることなど、ロレンスの頭の中には浮かばなかった。  自分でも驚くほど早い限界の訪れに、尻の筋肉を硬くさせてもう少し耐えようと思った。  この熱く火照った体を、まだ味わっていたい。けれど、最高の酒を前に、どうして手を止めることができるだろう。  どんな熱い酒よりもボロボロに酔わせてくれるこの体。どれだけ味わえば満たされるのか底が知れない。  果てることが快楽であるはずなのに、今はそれが快楽の終焉のように思えて、達したくないと思ってしまう。 「はぅっ、わ、私の、中にっ、一番奥に」  ノーラの声はソプラノの極みに達し、ロレンスを快感の果てへ誘う。 「くそっ、出すぞっ」  掴んだスカートを強く引っ張る。動物の交尾のような姿勢で、動物を御する手綱を握るかのようにノーラの体を支配していた。  一番奥に、出してやる。  ロレンスの膝が、がくがくと笑い声を上げる。激しい動きに、体がついていかない。  もっと強く打ち付けたいのに、それが叶わなかった。  ノーラの尻が震える。膣から溢れた液体が、二人の腿を塗らす。加速する。頭の先から爪先までが、快感に打ち震える。  ロレンスが、ノーラの体を叩き折るかのようにその腰へ最後の一突きを放つ。 「うああっ」  口からこぼれた声と同じくして、ロレンスのペニスから精液が放たれた。精液はノーラの膣の最も奥で吐き出され、子宮への入り口を叩いた。 「ああっ、あ、熱いのが、中で」  びくびくと、体が震える。ペニスはノーラの膣の中で震えて刺激し、清純なノーラに快楽を送り込んだ。 233 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:12:42 ID:HB5+ln3M  藁敷きのベッドの上で、ロレンスは天井を仰いでいた。  仰向けに転がって、大の字に寝転がる。腕や足がベッドからはみ出ていたが、それも気にならない。  情事の後に訪れた気だるさに、ロレンスは目を細めた。今は、指先ひとつ動かすことさえ億劫に感じられる。  全裸のロレンスの胸の上には、全裸のノーラがその体を乗せていた。ノーラは穏やかに微笑みながら、ロレンスの腹を撫でている。  二度出しただけでは飽き足らず、あれからまたノーラの細い体を正面からも犯した。  何をしても、ノーラは喜んでロレンスの求めに応じ、ロレンスの求め以上に快楽をもたらした。  ノーラは太ももでロレンスのペニスをゆっくりとさすりながら、ロレンスの胸にキスを浴びせる。  すでにロレンスのペニスは萎えていて、硬さを取り戻す気配は無い。だが、ノーラは手でそっと撫でて、ロレンスを刺激している。 「さすがに、もう……」  ようやく冷静になってきたロレンスは、情けなさを感じながらもそう告げた。 「……そうですか、すみません。そういう加減、わからなくて」  わからなくて当然だろうとロレンスは思った。ノーラは、処女だった。  ノーラの口ぶりからも、ノーラの股間から流れた血液もそれを証明している。  だが、行った事は娼婦も驚くような淫靡なもので、とても処女が持ち合わせているものではなかった。 「本当に、気持ちよすぎて」 「喜んで貰えて、よかったです」  可憐に微笑むノーラを直視できずに、ロレンスは視線を彷徨わせて自分の頬を掻いた。 「ロレンスさんさえよければ……、私はいつでも」  ノーラがロレンスの腹部を撫でながら、うっとりと目を細めて囁いた。 「いえいえ、もう十分なお礼は頂きましたよ。これ以上貰ったら、神罰が降ります」 「そう、ですか……」  ロレンスの腹部を撫でる手を止めて、ノーラがぽつりと呟いた。  ノーラは毛布で自分の肌を隠すように包み、服を着ているロレンスを眺めていた。  ベッドの端に腰掛けて、ロレンスの背中を見る。 「ああそうだ、ノーラさん」 「はい」 「羊乳の目利きをして頂いて、ありがとうございます。ホロも、色々と喜んでいましたし」 「いえ、たいしたことじゃありませんよ」  服を着終えたロレンスが振り向いてノーラを見ていた。ロレンスの表情には、仕事で使う時の微笑が宿っていた。  その顔を、ノーラは見ることができないでいる。  天井近くに空いた窓から、夕方の赤色が部屋を覗き込んでいた。横に差し込む深い赤色が、壁に四角い額縁を飾る。  冷たい空気が足元から忍び寄り、ノーラは毛布を抱き寄せるようにぎゅっと密着させた。 「本当に色々と大変でしたけど、この街に来てよかった。ノーラさんも、これからのお仕事頑張ってください」 「ええ……。きっと、店を持ちます。一人では寂しいと思うような、広い店を」 「ははは、私のような零細行商人や、孤独に生きる羊飼いではないんですから、人を雇えばいいんですよ」  ロレンスの言葉に、ノーラは唇を噛んだ。目を伏せて、床に散らばった藁を数えるように視線を落とす。 「そうですね、いつかは、そうなりたいです」 「ノーラさんなら大丈夫ですよ。一番よくないのは、臆病で何も決められないことです。けど、ノーラさんはリスクを承知の上、自分で決めて今を掴んだんですから、これからだって」  励ましの言葉に、ノーラは顔を曇らせる。自分の体を抱き締めるように、膝を閉じて腕を組んだ。  そして、何もかもが上手く行かなかったのだと、ノーラは自分の腕に爪を立てた。 234 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:13:12 ID:HB5+ln3M  麦の収穫期も終わり、空気がやがて訪れる冬の匂いをわずかに漂わせる。  リュビンハイゲンの外には、枯れ始めた草木の擦れる音がが錚々と響いていた。  肌を撫でる冷たい風に晒されながら、ノーラはリュビンハイゲンの城壁を臨んだ。長く住んだ場所だった。  これからは、違う街で生きていく。自分を長く引き止めたあの大きな街が、今では心なしか小さく見えた。  エネクを隣に従えて、ノーラはわずかに吹いた風にはためく髪を片手で押さえた。  別れの時だった。あの街で起こった最後の騒動も終わり、その騒動に絡んだ二人ともこれでお別れ。  恋人のように戯れて、からかい合う二人に、つい笑みがこぼれた。 「お幸せに」  ホロとロレンスに、そう告げた。二人は頬を染めて、わずかな間だけ黙った。  リュビンハイゲンに背を向けた。歩き出す。  やがて二人を乗せた馬車も轍を残して、ノーラとは別の場所へと向かった。    いつものように、足を前へ前へと進めていく。  歩くのには慣れていた。だから辛いはずはなかった。  けれど、ほんのわずかに歩いた後で、歩みが止まる。  振り返れば、まだリュビンハイゲンの大きな壁が遠くに見えた。  疲れたわけではなかった。けれど、歩き出せなかった。  草原の向こうに見えた城壁が、滲み出す。雨の向こう側のように、すべてが見えなくなっていった。 「あれ?」  呟いてから、ノーラは自分の頬に手を当てた。そこには、瞳から流れ出た涙が伝っていた。 「どうして……」  涙が次から次へと溢れて止まらない。両手で顔を覆う。  振り返り見た城壁に向かったまま、膝を道の途中についた。  肩が震える。意思を無視して、何度も何度も呼吸が乱れる。その度に嗚咽が溢れた。  喉が詰まり、ノーラは口を両手で覆った。それでも、自分から溢れる声を抑えることができない。  涙が道にぽたぽたと流れ落ちる。手を伝い、肘を濡らし、顎を伝い、落ちていった。  ノーラは口元を覆ったまま、自分を抱いた人を思った。  結局、何も言うことは出来なかった。  一緒にいてほしいと、告げることが出来なかった。  ロレンスに言われた言葉が耳に甦る。一番よくないのは、臆病で何も決められないことだと。  その言葉が、今は何よりも痛くてノーラは耳を塞いだ。 235 :ノーラ・アレントの憂鬱:2009/03/03(火) 00:13:51 ID:HB5+ln3M    ようやく涙が枯れ果てた頃になって、ノーラは立ち上がった。  旅の前途でこれほどまでに疲弊していては、この後の旅路が辛くなる。  ずっと隣で黙っていたエネクが、ノーラを励ますように吼えた。  エネクの頭をそっと撫でてから、リュビンハイゲンに背を向ける。  もう、振り返ることはないだろうと思った。 「さようなら」  呟いた声が冷たい風にさらわれた。 終わり

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