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*■大まかな話の流れ■ 【神/サ/イ】 1994年8月15日、和/報/航/空/4/0/2/便が乗員乗客68名を乗せたまま消息を絶った 機体の残骸等は一切発見されず、2ヵ月後には捜索は打ち切られ「4/0/2/便は墜落し、乗員乗客は全員死亡」と確定された 慰霊碑が作られ、毎年慰霊祭が行われるようになる しかし、量子力学の権威、加/藤/教/授(以下、教授)は乗員乗客の生還を信じ 「4/0/2/便はマ/イ/ク/ロ/フ/゙/ラ/ッ/ク/ホ/ー/ルに飲み込まれタイムトラベルをし、10年後に戻ってくる」と宣言 教授の予告通り、4/0/2便は10年後に戻ってくる 遺族や関係者はパニックに陥るが、ひとまず「無事に戻って良かった」と喜び合った だが教授は「時間の捩れはもう一度起こり、4/0/2/便及び乗員乗客は3日後に再び元の時間軸に戻され 4/0/2/便は墜落し、乗員乗客は全員死亡する。」とも言う 乗員乗客68名と家族は、それぞれの3日間を過ごし、消息を絶ったのと同じ日8/15に元の時間軸へと戻っていった 【栄養本】 吉良は家族と船旅に出掛ける事になった。明日欄は吉良に旅の安全を願ってお守りを渡し見送る しかし吉良と家族の乗った船(ノ/ア/号)が消息を絶ってしまう 捜索が行われたが破片ひとつ見つからず、捜索は打ち切られる 大和家の親族達は、吉良親子は亡くなったものと考え墓を作った だが明日欄は吉良の死を信じる事が出来ずに探し続ける ノ/ア/号が消息を絶って一年後、突然吉良は明日欄の前に現れる 吉良曰く、ノ/ア/号は恐らく津波に飲まれ転覆した。パニックになって明日欄の名前を呼び続けたらここに来たということだった 明日欄は吉良がタイムトリップしたと判断し、意作と痔悪化の元に連れて行く 「ノ/ア/号は時間の捩れに巻き込まれてタイムトリップしたが、時間の捩れはもう一度起こり吉良はまた元の時間軸に戻される」 というのが、3人で話し合った結果だった 明日欄は吉良が元の時間軸に戻っても死なないよう、事前に津波を回避出来る方法を考え、それを吉良に託す 託された吉良は、明日欄の前から消え、消息を絶った丁度一年後の同じ日に元の時間軸へと帰って行く *■神/サ/イと栄養本の類似点■ ・消息を絶ったもの(ラレは4/0/2便、栄養は吉良)が戻って来た日付は、消息を絶った日の数日前 ・戻って来たものは、再び時間の捩れで元の時間に戻される ・戻るのは「10年後(栄養本では1年後)の消息を絶った日」で、現在に居る事が出来るのはわずかな日数 ・タイムトラベルの仕組みの説明に「量子力学」を使用 ・未来の出来事を変えるために「発信機」を作り、それを使う ---------------------------------------------------------------------------------------- 神サ/イは、元の時間軸に戻った後を変えようとする訳ではなく(希望を抱きつつも死ぬのは仕方ない」と捕らえている) その三日間を現在に居る自分の家族等とどう過ごすかという所に焦点をあてていて、ラストも4/0/2便は墜落したとされる描写もある 栄養本は、残された時間を、ノ/ア/号転覆から救うためにどう使ったらいいのか、とういのに焦点を当てている感じ 丸々パクるというより、大まかな話の流れと設定をパクって、そこに明日吉良要素を足して、ラストをラブエンドにした感じかな 神/サ/イ読んだ人が栄養本読んだら('A`)になるレベルだとは思う *■消息を絶った後の記述■ 【神/サ/イ】 (14P、6行目~) 1994年8月15日に乗員乗客68名を乗せて消息を絶った報/和/航/空/4/0/2/便の捜索は 7日間、延べ機530機の航空機と、海/上/自/衛/隊海/上/保/安/庁の艦船200隻 海岸線を捜索する警/察/消/防の人員12万名によってなされたが、結局ライフ・ジャケット1枚すら発見出来なかった。 かろうじて油の帯が発見された辺りを海底ソナー、深海潜水艇によってその後2ヶ月間、捜索が繰り広げられたが、 尾翼1枚の発見もならなかった。 運/輸/省は消息を絶った日から2ヵ月後の10月15日、4/0/2便の墜落と、乗員乗客全員の死亡を確定、 すべての捜索活動の打ち切りを発表した。 事故からおよそ1年後、運/輸/省の航空機事故調査委員会は、急速に発達した積乱雲を避けきれず、 ダウンバーストに巻き込まれて海面に叩き付けられたものと結論を下した。 遺族がそれで納得したわけではなかったが、世間的には、次第に関心も薄れ、 人々の記憶から忘れ去られて行った。 【栄養】 (11P,上段13行目~) だが現実は明日欄の望むようにはいかなかった。 ノア号は見つからなかった。 ……その船の欠片さえも見つからず、明日欄の愛した少年と共に、忽然と姿を消したのだった。 1日が過ぎ、1週間が過ぎ、そして1ヶ月経っても、船は見つからなかった。 マスコミは騒ぎ、捜索隊は焦り、そして月日と共に忽然と消えたノア号は忘れ去られていった。 ――そして、1年が経った。 (26P、上段1行目) ノア号の捜索は打ち切られた。当然だ、海に出ても、潜っても、何も見つからないのだ。 忽然と姿を消したノア号には、様々な説がつけられた。 宇宙人誘拐説、ブラックホール説、難破して粉々になった、船の破片は深海のクレバスに沈んだ、 ……科学的な解釈から非科学的な解釈まで、多種多様だった。 ------------------------------------------------------------------------------------ 共通点は ・忽然と消え ・一切手掛かり無し ・欠片(ライフ・ジャケット1枚、尾翼1枚)すら発見出来ず ・捜索隊による捜索 ・海底捜索 ・人々に忘れ去られる 船、飛行機が消えたので、当たり前といえば当たり前の展開 事故も風化して忘れ去られるのも当たり前の展開ですが 小さな共通点として上げておきます。 栄養の方では「捜索がいつ打ち切られた」といった記述は一切ありません。 26P、上段1行目は、ノア号が消えてから1年経った記述になっていて その1年後に吉良が明日欄の元に現れます これは私的見解ですが、 もし栄養がこの本を参考にしていると考えた場合 「10年では間が開きすぎるし、パクバレの足がつく恐れがある」 「ラレで捜索が打ち切られたのが1年後、事故が風化していく描写もある」 「1年後くらいに吉良が現れるのが丁度いい」 と考えた恐れがあり ただ、今は栄養に対して非常に懐疑的になっていて、頭が凝り固まってる 自覚があるので「疑いすぎだ」と思われた場合はスルーして下さい *■「時間の捩れ」「タイムトラベル」の記述■ 【神/サ/イ】 (34P、7行目~) 「時間は貴重です。特に皆さんの時間は。簡単に言えば、4/0/2便の身の上に起こったことはタイムトラベルです。 タイムトラベルを引き起こした原因は、地球を横切った、マイクロ・ブラックホールでしょう。恐らく、直径1ミリあるかどうかの。 それが時間軸の捩れを引き起こし、皆さんは吸い込まれ、10年後の未来に吐き出された。 そして皆さん、これからが肝心なことです。この現象はもう一度起きます。 起きるというより、すでに起きたという方が良い。それは10年前に起こったことです。 もう一度、時間が捲られ、皆さんは10年前に引き戻されるでしょう。」 「競/馬年/鑑でも持って帰ったらえらいことになる」 「そうです。けれど、私の考える所、皆さんの時間は、引き戻された時点で終わりです。 つまり、皆さんに残された時間は、15日の夕方まで。つまり明日から3日間ということになります」 全員の顔色が変わった。 「それは死ぬという意味なの?」 「物理学的には、時間の終了に過ぎないが、生物学的考察をするなら、死ということになる」 (35P、5行目~) 「(略)だが、うかうかしている間に時間は過ぎ、3日経ったら、あんたたちふいにわれわれの時間軸から引き離されて消える。 永遠にね。この3日間に何を為すべきか、大急ぎで計画を立てた方が良いぞ」 (69P、5行目~) 「まさか。今でも夢を見ているんじゃないかと思うよ。東/大の先生と話をしてくれ。もし、彼の言うとおりなら、君らは3日後、 乗客もろともまた消える。何か救える術があるかもしれない」 「彼は無いと言っていた」 「一縷の望みという奴さ。われわれは経営学や航空力学はお手の物だが、量子力学となると手に負えない。 だが、それが科学である限り、手はあるんだ」 【栄養】 (19P、上段16行目~) 「そして、幻でないのなら、幽霊でないのなら、お前はタイムトリップをしただけなのかもしれない。 あの船の惨事の最中から、1年後の今へ」 「……タイムトリップ……?」 (21P、上段19行目~) 「吉良は実態も持っているし、俺以外の人間にも見える。触れるし、体温も持っている。幻とは思えない。 だからお前達に聞きたいんだ……タイムトリップなどという現象が本当に有り得ると、思うか?」 「わからんな。ここいいる吉良が幽霊でも何でもなく、間違いなく吉良だと言うなら、 そう考えるのが自然じゃないか?」 「ん~、俺もそう思う。たださ……」 「ただ……?」 痔悪化の言葉に、吉良が不安げな目を向けた。 「ただ、タイムトリップ……、時間の捩れが生じたんなら、もう一度時間の捩れは起こるんじゃない? 早かれ、遅かれ」 「時間の、捩れ……」 それがどういうものかわからない。痔悪化も推測で言っているだけだ。 だが吉良の瞳が戸惑うように揺れているのを見て、明日欄は吉良の肩を抱く腕に力を込めた。 「……吉良の意識が途切れたのはいつだ?」 意作が聞いた。吉良が考え込む。 「確か、出向して3日目だから、……7月30日、かな」 「あと1週間で1年か。……同じ日に時間の捩れが起こる可能性は……あるんじゃないか?」 「……ああ、そうかもな」 「そうすると、……吉良は、消えるのか?」 言葉にしただけで背筋がぞくりと震えた。 せっかくこの腕の中に帰ってきたのに。やはり今ここにいる吉良はこの世界の人間ではなくて、 本来あるべき場所に戻されると言うのか……? 明日欄の言葉に、意作と痔悪化は無言で首を横に振った。当然だ、彼らにわかる訳がない。 「……どうしたら、いいんだ」 喉から、掠れた声を絞り出した。 「どうしたら、いいんだ。吉良を救いたい。もう、帰したくない。……どうしたらいい。どうしたら、いい……」 「俺らも、わかんないさ……」 憔悴した明日欄の言葉に、痔悪化がぽつりと答えた。 しばらく誰も何も喋らなかった。教室の時計の音だけがこちこちと響いた。 (31P、上段8行目~) 「今日、痔悪化が言ってたけど……でも、よく考えたらさ、僕が帰ったとしても、それは不可能だよ。 僕の記憶にある限り、もう船は逆さになってたんだ。だから僕が戻ったとしても、逆さになった後だよ」 「……」 吉良の言葉に沈黙した。 そうだ、1週間後、吉良の意識が途切れた地点に戻ると仮定すれば、船は既に転覆した後だ。 船はひっくり返ったまま浮いていられるように出来ていない。 ……逆さになった先にあるのは、……死だ。 (28P、上段15行目) ふと、ある考えが明日欄の脳裏を掠めた。 「なあ、吉良……」 「ん……?」 もしそれが奇跡を起こしたのだとしたら、吉良が帰るのも防げないだろうか。出来れば、一生このまま……。 だがその考えに、吉良は頭を振った。 「それは、無理……かも」 「何故だ?……お前は今、ここにいるじゃないか」 「うん。……でも、すごく不安定なんだ、僕」 「不安定……?} 「何か、ふわふわしてる。現実味がない感じがする」 ------------------------------------------------------------------------------------------- 共通点は ・タイムトリップはもう一度起きる ・「時間の捩れ」という言葉を使用 ・引き戻されるのは「戻って来たのと同じ日付」(10年後、1年後の違いはあり) ・戻った先に待っているのは「死」 (栄養は、後に、船転覆直前に戻ることになっている。船が津波を避けられれば吉良は助かるので 正確には死ぬ訳ではないが、避けられなければ死が待っている設定) ・「救えるかもしれない」→「無理だろう」の流れ *■発信機に関する記述■ 【神/サ/イ】 (142P、15行目~) 「実は昨夜から掛かっていました。叔父さんならきっと、エンジニアとしての可能性にチャレンジするだろうと思ってね。 データはすでに準備しました。後は、メモリ回路を工夫するだけです。 毎秒三回、その発信を繰り返すようプログラムします。(以下、話題が変わるため略)」 【栄養本】 P39、下段14行目~ 「ここに仕込もうか。」 「えっ、発信機を?」 「ああ、俺が作る。」 「明日欄、が…?」 (略) 「俺がマイクロユニット得意なの、知ってるだろ。モールス信号でSOSと座標が発信されるようにするんだ。 吉良は時間になったら……、そうだな、船が転覆する二、三時間前でいいだろう。 その時になったら発信のボタンを押すだけでいい。 船は遭難者の信号を受け取ったと勘違いし、進路を変え、遭難者を助けに行く。(以下略)」 (64P、上段4行目~) 彼の造った発信機は確かに吉良と共に過去を超えた。吉良は緊張しながらも、明日欄に教えられた通りにボタンを押した。 一回押す。そして、一分経ってから、もう一度押す。それを五、六回繰り返した。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------ 神/サ/イサイドは、4/0/2便を救うためではなく この10年間で起こった悲しい事故や事件、天災をデータにまとめ 10年前に戻った4/0/2便から発信 事件、事故等を前もって防ぐため 栄養サイドは、SOSと座標を組み込んだ救難信号を発信して ノ/ア/号を救助に向かわせ、津波を回避させるため 目的は違うけど「発信機」を作って「一定の間隔で繰り返し発信」する辺りが同じ 決定打にはならないけど、小さな共通点の一つ。 ちなみに神/サ/イで「過去に戻るとき、現在の時間軸のものは素粒子レベルに分解されて消える。過去に持って行く事は出来ない」 とされているが、発信機は無事に時を越えた記述あり 栄養本も、発信機が無事に時を越えるのか不安に思う記述があったが、発信機は時を越える事が出来ている この辺りの記述も必要であれば、探して本文抜き出ししますので言って下さい。 ただ、これに関しての神の方での記述に、実際起こった事故や事件に関するものが含まれていました なので、抜き出すのは控えました。 *■タイム・パラドックス、量子力学に関しての記述■ 【神/サ/イ】 (107P、7行目~) 「(略)それに、私の理論が正しければ、これはすでに過去に起こったことだ。取り返せるわけでもない。 解は二つしかない。君たちがこのまま、この時間軸に留まるか、あるいはまた10年前に戻って、そこで瞬時に死ぬかだ。 もし10年前に戻って、そこで生き続けられるとしたら、タイム・パラドックスが時空を破壊する。 乗客の誰かが競/馬年/鑑を抱いて帰ったら、面倒になるからな」 「引き返した瞬間、われわれの意識はどこにあると思いますか?」 「良い質問だと思うが、敢えて言えば、ゼロ・ポイントだ。君が10年後、私とこうして会話した記憶は、そのゼロ・ポイントにおいては 存在しないだろう。手に持った競/馬年/鑑も消え失せる。考えても見てくれ。誰かチタン合金のケースに競/馬年/鑑が収められた CD-ROMを持ってYSに乗り組んだとしたら。タイム・パラドックスが起こる条件はただひとつ。 平行宇宙(パラレル・ワールド)で別の実体が生き続けることだが、少なくともそれは、私や君の時間軸じゃない。無視して構わない。 パラレル・ワールドにおいては、墜落を免れた4/0/2便もいるだろうし、別のパラレル・ワールドには、墜落はしたものの、 乗客の何人かは助かったケースもあっただろう。 だが、私が生きているこの時間軸、そこには君のお父上もいるわけだが、そこでは、君らは死んだんだ。生存者はいなかった。 ただ単に、10年後、ほんの一瞬、彼岸の挨拶に現れただけ。それが不思議と言えば不思議な話だが、 少なくとも私は科学でそれを説明出来る。科学で説明出来る以上、それが仮説を逸脱することはまず無い」 残念だが、同意する他は無かった。量子理論で、それが起こりうることだとは証明できる。 そして同時にそれは、彼らの生存があり得ないことも証明していた。生き残れるシナリオはあるかもしれないが、 少なくとも、それを加藤の理論の中では、立証出来なかった。 【栄養】 (33P、下段7行目~) 「シ/ュ/レ/テ/゙/ィ/ン/ガーの猫、だな」 明日欄の話を聞くなり、痔悪化はいきなり断定した。 その思考実験は明日欄も知っていた。吉良は不思議そうに首を傾げている。 「波/動関/数を提唱した人物か?」 意作の言葉に痔悪化が頷いた。 「そうだ。……簡単な思考実験だよ。いいか、吉良」 ぱちくりと目を見開いた吉良がどうやら一番この思考実験を知らない様子だった。 (以下、関係ない記述のため略) 痔悪化は紙に大きく立方体の絵を描いて吉良に差し出した。 「ここにブラックボックスがある。この箱の中に、猫が一匹と……ここではわかりやすく 毒入りの餌が置いてあるとしよう。猫が一匹と、毒入りの餌な。OK?」 吉良がうんうんと頷いた。 「猫が餌を食べるか食べないかは、猫次第だ。だが、外からこの箱を見てみな。 ブラックボックスだから、猫が餌を食べたか食べないかは、外からはわからない。 つまり、蓋を開けるまで、猫が死んでいるか生きているかはわからないんだ」 「うん。……そうだね」 吉良が考えながら呟いた。痔悪化もその答えに満足そうに頷いた。 「つまりだ。蓋を開ける前は、猫が生きている状態と死んでいる状態が重なり合っている」 吉良が考え込んだまま沈黙した。意作が顎に手をあてながらふむふむと呟いた。 「つまり……、平行に存在していると言うことか?」 「そういうこと」 「なら、この重なり合いの状態はいつ解かれるんだ?」 「観測された時だ。つまり、蓋を開けられた時。この時初めて、猫の状態がどちらか一つに収束される」 (35P、下段1行目~) 「論文の概要はこうだ。ノア号は見つかっていないのではなく、素粒子レベルで消え失せた。 未来はまだ決まっていないから、未来を決めるために誰かが必ず帰ってくる。 そして事故の日になると、必ず事故当日に戻る。これにより未来は決まり、世界は収束すると言うんだ。 ……俺は量子力学はよくわからんが、コ/ヘ/゚/ン/ハ/ー/ケ/゙/ン/解/釈ににおける波/動関/数収束と言うんだそうだ。 ……わかるか?」 ------------------------------------------------------------------------------------ 神/サ/イも栄養も書いてる事は概ね同じだと思います。 どちらも同じ量子力学からの引用だと思うので、同じになるのは当たり前といえば当たり前かもしれません 一応書き出ししてみましたが、内容よりも「トリックに量子力学を引用している」ことの方が重要だと思う *■大学を追われた教授の存在■ 【神サイ】 (16P、9行目~) 加/藤/久/彦は、長年東/大で量子力学を教えていたが、4/0/2/便遭難に纏わるある事件がきっかけで大学を追われた。 今は、名も無い私学で基礎物理学を教えていた。 (23P、21行目~) 「加/藤/教授が、あのトンデモな説を披露した時、私は関係者として腸が煮えくりかえる思いだった。 遺族の感情に塩をすり込むような行為だと思ったからだ(以下略)」 (36P、1行目~) 「……現実を受け入れ、大学に、息子の私物を取りに行った時です。その時は礼儀的な挨拶を交わしただけだった。 年が代わった、一月のある日、先生が私の家を訪ねて来て下さった。息子は生きていると言う。 最初は、『生きているような気がする』とただの比喩にも聞こえたが、どうもそうじゃない。 量子効果がどうのこうのと訳のわからないことを仰る。 てっきり、頭がおかしくなったものと思って、丁重にお引き取り頂いた。 一年後、一周忌を前にして、ある週刊誌記事が載りました。先生の事を誹謗する記事で、 4/0/2/便は墜落していないと言って東/大に居座るトンデモ教授というタイトルだった。 先生はその記事が元で東大を追われたが、信念は変わらなかった(以下略)」 【栄養】 (35P、上段7行目~) 「……妙な、論文を見つけた」 意作はそう言って論文をばさりと机に置いた。手に取って眺めた瞬間に、ある一文が目に飛び込んできた。 ――彼は必ず、帰ってくる。 「……これは……」 「量子力学を研究している、ある大学教授の論文だ。図書室でノア号関連の論文を探していてな、見つけた。 ……あまりの異説に、学会からは身を追われたんだそうだ。……ここを見てくれ」 意作が指差したところを、三人で覗き込んだ。 ――船の人間は、一年後の事故日前に必ず帰ってくる―― ------------------------------------------------------------------------------------------ 以前落とした検証の「おおまかな流れ」の部分で >しかし、量子力学の権威、加/藤/教/授(以下、教授)は乗員乗客の生還を信じ >「4/0/2/便はマ/イ/ク/ロ/フ/゙/ラ/ッ/ク/ホ/ー/ルに飲み込まれタイムトラベルをし、10年後に戻ってくる」と宣言 >教授の予告通り、4/0/2便は10年後に戻ってくる と書きましたが、この教授はこの説を唱えたことで大学を追われています 栄養本でも、同じような説を唱えた大学教授が学会を追われているという共通点 *■写真■ 【神サイ】 (315P、1行目~) 「ああ、僕もそう思うよ。きっとあの子は、またいつか帰って来てくれる」 黒/木は、恐る恐るウインドブレーカーのポケットに手を入れ、一枚のサービスサイズの写真を取り出した。 「写っていたよ!…・・」と妻に見せた。 「嘘!?それ、あの子が持っていたんじゃないの?」 「うん。黛さんに頼んで、真っ先にコピーして貰った」 「写真がどうかしましたか?」と橘がそれを覗き込んだ。 上半身裸の子が、丁度Tシャツを着ようとして、背後を振り向きながらシャツから首を出したところだった。 笑っていた。亮/君が三歳頃の写真だろうと思った。 「息子のお気に入りの写真でしてね、ずっとヒーロー物のカードと一緒に持ち歩いていたんですよ。 焼き増ししたかったが、ネガが行方不明で、結局諦めた。だからこの写真を見るのは十年振りだったんです。 どうせ写真も消えるからと、その前にその前にコピーを取っておいて良かった」 【栄養】 (59P、上段6行目~) バスローブを羽織った彼が黒い物体を掲げた。髪を拭きながら近づくと、それはポラロイドのカメラだった。 (59P、下段16行目~) 「吉良を撮っておきたい。……ずっとお前のいない世界で、宝物にするために」 ------------------------------------------------------------------------------------------- 帰って来た4/0/2/便の中に5歳の男の子がおり 神サイラスト辺りで、その子が持って帰って来た写真をコピーして手元に残すという描写があり 栄養本でも、ラストにアイテムとして写真が出てくる 神サイは【写真のコピー】、栄養は【お互いに撮り合った写真】と違いはありますが 共通点として上げておきます *■発信機の記述(追記)■ 【神サイ】 (141P、16行目~) 「ええ。二年前から、野辺山の電波望遠鏡を手がけています。それまでは五年くらい、自/衛/隊の無線機を開発してました」 「じゃあ、話は早い。技術は問題ないし、俺が何を頼むかも解っているよな」 「不思議だと思いませんか?もし、叔父さんの考えてるような事が可能で、それを俺が作ったとしてですよ (実際に起こった震災や事件に関する記述のため割愛)は起こっている。叔父さんの企みは失敗したということじゃないんですか?」 「だって、まだ何もしていないじゃないか?明後日には、君が読む新聞のバックナンバーの記事は違っているかもしれないぞ。(以下略)」 「量子力学はちんぷんかんぷんですが、そんなにうまく行きますかね……」 「やってみる価値はある。方法は考えてあるんだろう?」 「ええ。トランシーバーをちょっと改造します。出力は5ワットもあれば十分でしょう。ただ、出力が小さいし、たぶん、発信できる時間も 一秒も無いはずです。だから、確実に聴いている連中に届ける必要がある。50キロバイト前後のデータを圧縮通信の要領で送信します。 送信時間は0コンマ三秒前後。受信する側のとっては、ほんの一瞬、ピークが現れるだけですが、潜水艦通信用の周波数を使うから、 自/衛/隊の通信傍受部隊は変わらずキャッチできる」 「たった50キロバイトに何を入れる?」 「50キロバイトもあれば、新聞一紙は入ります(以下略)」 「一晩で出来るかい?」 「実は昨夜から掛かっていました。叔父さんならきっと、エンジニアとしての可能性にチャレンジするだろうと思ってね。 データはすでに準備しました。後は、メモリ回路を工夫するだけです。 毎秒三回、その発信を繰り返すようプログラムします。(以下、話題が変わるため略)」 (273P、9行目~) 神/降/竜/蔵は、羽田に到着し、空港内の特別室で、甥っ子が例の通信機を完成させて持参するのを待っていた。 その神/降/清は、やっと携帯電話の中身を入れ替えた圧縮型無線機を完成させた。 結局、一個作るのが精一杯だった。 (300P、7行目~) 清は、祖父を抱きかかえるようにして立たせ、お菓子が入った紙袋を手渡した。 「甘納豆です。機内で食べて下さい」 そして、耳元で囁いた。 「下に、例の携帯がひとつ入っています。機内で扉がロックされたら、アンテナを延ばして電源を入れて下さい。 発信するたびに、送信状態を示す旗が3本立ちます」 「有り難う。うまくいくことを祈っててくれ」 「成功しますよ、必ず」 (318P、2行目~) 「(略)昨夜から、インターネットで、過去の新聞や事件を検索して見た。だが、何一つ歴史は変わっていなかった。 (略)メッセージはあの時代に届いたと確信していたが、何一つ歴史は変わっていない。失敗だったのだ。 自分が試みたことのあまりの重大さと、失敗したという結果に打ちのめされていた。 (略) 「あなたはやり遂げたんですよ。過去に情報を送ろうとし、それは見事に届いた」 「そんな馬鹿な!?じゃあどうして歴史は変わっていないんです?」 「誰も変えようとしなかったからですよ」 財/部はあっさりと言った。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------ 神サイサイドでは、実際に「通信機を使っている」描写はありませんが、時を越えて通信に成功している描写はあります しかし、どうして通信機だけ素粒子レベルまで分解して消えなかったのか一切説明が無かったので謎のまま 栄養本も、通信機と写真は時を越えていますが、こちらも一切説明はありません *■タイムスリップ、量子力学に関する記述■ 【神サイ】 ※「また10年前に戻されるなら、この10年間に起こった事故等を未然に防げるのでは?」的な質問に対し (54P、16行目~) 「それは、時間の法則というか、タイム・パラドックスとかいう理由で不可能だということです。残念ですが……」 (71P、19行目~) 「解っていることは、時間のずれが微妙に連続していたことだ。たぶん誤差の範囲内だろうが、少し気になっている。 君らにとっては、ほんのミリ・セカンドだったことが、われわれの世界では数十分連続した可能性がある。 いずれにせよ、君らがこの後もこの時代で暮らせることを保障するデータが出る可能性はゼロだよ」 (179P、4行目~) 「ちなみに、君は、今回起こった奇跡を説明できるかね?」 「はい、マイクロ・ブラックホールを利用することにより、タイムトラベルやワープを実現する手法は、従来から語られていました。 恐らくは、マイクロ・ブラックホールの通過により、不連続なワームホールが一瞬出現したのではと思います」 (略) 「たとえば、運悪く銃撃戦になって、彼を射殺したとする。難病患者に彼の臓器が移植されたらどうなる?それも消えるのか?」 「それは止めた方が良いでしょうね。綺麗に消えますから。たとえば、この時代に着替えたとします。 当然、みんなもう着替えていることでしょう。彼らが現代で着た服はその場に残ります。中身だけ消える。 切った爪や抜け落ちた髪の毛も一緒に消えます。でも裸のまま、十年前に戻るわけじゃありません。 こっちで脱いだ服を着て出現するでしょう」 「その着た服を焼却炉で焼いてしまったら?」 「問題ありません。元の時間軸に戻る過程で、分子レベルで再構成されるはずです」 「奴は人を殺せるのか?」 「それは難しい所だと思います。これがSFドラマなら、犯人が元の時間軸に戻って時間空間の歪みが正常になった時点で、 撃たれた被害者は傷跡も無く蘇るはずですが、私はそうは思いません。たぶん彼は、この世で人を殺せます。 乗員乗客を含めれば、68名もの人間がこの時間軸に放り出されたんです。極端なことを言えば、 彼らがこの時代で一呼吸した途端に、この地球上の酸素の総量を減らし、二酸化炭素を増やしている。 バタフライ効果と言いますが、北京で蝶が羽ばたけば、ニューヨークで嵐になるかもしれない。 何の影響も及ぼさずに、元の時間軸に戻れると考えるのはナンセンスです。すでに影響を及ぼしています。 私は、コ/ミ/ケに行けそうにないし、警部らも、休暇か、本来別の事件の捜査に当たっていただろう事を思えば、すでに大きな影響を受けている。 本来新聞の一面を飾るはずだった事件や政治のスキャンダルが封印されたかも知れない。オリンピックの記事だって片隅に追いやられた。」 立て板に水を流すような調子で、彼女はすらすらと喋った。 「警部補、でも、われわれの記憶も一緒に綺麗に消え失せて、8月の12日の午後から、われわれの時間が再スタートする可能性もあるでしょう?」 小/林が面白そうな話だと乗ってきた。 「それはあり得ません。それが起こりうるのはまさにSFの世界でだけの話です。数百人の記憶を消すのは、何も未来の技術を用いる必要はありません。 メディアを総動員して、それは錯覚だった、集団催眠に掛かったんだと群集心理学の手法で対処すれば良いのですから。 でも地球規模で広がったニュースの記憶を物理学的に消すのは無理です。なぜなら、私たちの時間軸だけが、数日遡るなんてことは無理だからです。 タイム・パラドックスが起こって、天体現象に矛盾が生じる。その矛盾を解消するには、たとえば太陽や銀河の位置そのものを数時間戻す必要が生じます。 それをやり遂げるには、この宇宙が誕生して以来消費された全エネルギーの総量分くらいのエネルギーが要るでしょう。 だから、それはあり得ないことです。われわれの記憶に、この奇跡の出来事は残ります」 「それじゃ、何をやっても奴は逃げおおせるということじゃないか?」 でも死ぬんですよね?それに、この時代で彼を逮捕することは出来るでしょう。確か、事故発生時に、彼らは元の時間軸に帰るはずですが」 「なんで15日なんだ?365日の暦なんて、人間の都合だろう?物理の法則とは関係ない。なんで17日や20日じゃないんだ?」 「偶然です。実は、ある所で、加/藤/教/授が、ご自分の理論に関して語ったとされるテキスト・ファイルが密かに出回っていまして、 それを読んだことがありますが、教授はその中で、時間軸を計算したら、たまたま彼らにとってのリターン・ポイントは、 この年の同じ月のほぼ同じ時間になったという話でした。15日という数字自体にはたいした意味はありません」 (290P、5行目~) 「さて、本日の私のテーマは、量子理論が開く未来という、われわれ科学者を取り巻く大状況に関して、お話させて頂きます。 その前に、この3日間で、新たに教授とわたくしが突き止めた、この現象に関して、いくらか説明させて頂きます。 まず、われわれはたまたまマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールの通り道を横切ってしまったわけですが、その後の計算により2つのことが解りました。 まずマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールは、ひとつではありません。2つです。ある種の2連星と考えて差し支えないと思います。 それは、列島沿いに張り巡らされた重力歪み計その他、たとえば、月表面とのレーザー測距計等の瞬間的な歪みデータから導き出されました。 また、われわれは今回、たまたまその軌道とぶつかりましたが、このマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールは、非常に安定しています。寿命も長い。 つまり、質量の減少が無い。この辺りのことは全く謎です。 そして、この2連のマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールは、太陽の軌道を、恐らくは地球と同じくらいの半径で回っている」 大きなどよめきが起こった。 「ただし、幸いにして、公転面が地球とずれているために、それが互いに影響し合うのは、かなり限られると考えて良いでしょう。 今はまだ、それが数十年に一度なのか、数百万年に一度なのかは解らない。恐らくは、その接近の距離によって、 いわゆる加藤カーブの特異点が移動するものと推測されます。 地球史を紐解けば、恐らくは、このマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールとの接近がもたらした天変地異があったはずです。 皆さんがご承知のように、ここ10年の研究で、ブ/ラ/ック/ホ/ールはわれわれが考えてるより遥かに多い数がこの宇宙に存在することが解ってきました。 たとえば、人間社会によくある、神隠し。そのいくらかは、これらマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールの悪戯かも知れません。 今、この教室の空間の何処かにも、エネルギー的に極めて安定したブ/ラ/ック/ホ/ールが存在しているのかも知れません。 では、本題に入りましょう――」 甲/斐は、静まり返った講堂で、量子理論が切り開く、未来の世界に関して語り始めた。 もう100年経っても、われわれが宇宙でワープ飛行してわけじゃない。たぶん宇宙探査は、ロボット、冷凍睡眠技術を使って、100年単位の移動を前提に細々と続いている程度だろう。 火星のテラ・フォーミングだって、地球環境の保全に金を掛けた方が遥かに安上がりに済む。 人類の地球外への移住にはほとんどメリットは無い。 (325P、16行目~) 神/は/サ/イ/コ/ロ/を/振/ら/な/い……。それが加/藤/教/授の口癖だった。 もとはア/イ/ン/シ/ュ/タ/イ/ンが、「偶然」を要素とする、当時の量子力学を批判して述べた言葉だと聞いた。 だが、神は、ほんのちょっと悪戯心を起こしたのかも知れないと思った。 大事なものを奪われて道に迷っていた人々に、家族が再生するきっかけを与えてくれたのだ。 【栄養】 (22P、上段20行目~) 「例えば、吉良が過去に帰って事故の原因を取り除いたとしたら、どうだ?」 二人が呆然と痔悪化を見遣る。吉良が首を傾げた。 「どうなる……のかな。助かるのかな」 「……事故の原因を取り除いたとしても、パラドックスじゃないか?」 痔悪化がぼそりと呟いた。全員が痔悪化の顔を見た。 「パラドックス……?」 三人の疑問を汲み取ったように、痔悪化がぽりぽりと頭を掻いた。そう言えばこんな彼でも、成績はトップクラスだったことを思い出す。 明日欄には到底追いつかないが、それでもいつも上位に食い込んでいた。 「タイムパラドックスだ。過去に戻って歴史が変わるなんてことは有り得ないって言われてる。 吉良が過去に戻って事故が防げたとして、吉良が生き延びたとしても、この世界の歴史は変わらない。 生き延びた時点で別の世界が出来る。いわゆる平行世界って奴さ。 だから、どこかの世界で吉良が生きている時間軸発生するかもしれないけど、この時間軸じゃない。 ……この世界の歴史は、変わらない……これは量子力学の世界でほぼ確実と言われている事実なんだ」 (33P、上段15行目~) 吉良の墓標。……吉良・大和の文字が消えかかったり、現れたり…… 何故消えかかる?――そうだ、消えたと言うのなら、他にも消えたものがあるじゃないか。 ノア号の残骸と乗員達だ。……吉良の話によれば、船は逆さになり転覆した。そして恐らく沈没する。 だが一年経った今でも、その片鱗すら見つかっていない。 ……あれも消えたのではないか? 「……まさか」 「明日欄?」 この仮説が正しいのかどうかわからない。希望的観測かも知れない。だが……       、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 「まさか、未来はまだ決まっていない……?」 (35P、下段9行目~) >219の記述直後のシーン 「つまり、吉良はやはり事故当日に帰る。これにより未来が決まると言ってるんだ、この学者は」 しん、と静まり返った。吉良が明日欄を見上げているのがわかる。彼の手を強く握り締めた。 ……吉良は、やはり過去に戻るのだ。 自分の腕の中から、離れて…… 痔悪化が静かに意作に問い掛けた。 「なあ、そうしたら吉良が過去に戻って事故の原因を取り除けば、吉良が帰ってくるってことか?……そうなのか?」 「いや。……この論説によると、時間は可逆で、歴史は不可逆なんだ。吉良が帰って過去を変えたとしても、 やはり前に痔悪化が言った通り、タイム・パラドックスだ。この世界に、吉良は帰って来ない……」 (66P,上段10行目~) ――その時だった。 ぐらり、と視界が歪んだ。 「えっ……?」 両手が透けているのに気が付いて、明日欄は何度も瞬きを繰り返した。だが両手は色を失っていく一方で、一向に戻らない。 何だ、これは……? 「まさ、か……」 明日欄は壁にかかった時計を仰いだ。 ……8時15分。 事故の時間を過ぎている。 ああそうか、と明日欄は目を閉じた。 シ/ュ//レ/デ/ィ/ン/ガ/ーの猫が入っていたブラックボックスの蓋が開けられたのだ。 、 、 、 、 、 、 、 未来は決まった。 もう重ね合わせの状態は終わったのだ……未来が決まった、だからこの世界は消えてなくなる。 そうだ、この世界はノア号のいない、吉良のいない世界だ。 だから、この世界が消えると言うことは、つまり…… 思考がまとまり前に、明日欄は暗闇の中へと飛ばされた。 ---- 栄養本では >「……事故の原因を取り除いたとしても、パラドックスじゃないか?」   >「タイムパラドックスだ。過去に戻って歴史が変わるなんてことは有り得ないって言われてる。 >吉良が過去に戻って事故が防げたとして、吉良が生き延びたとしても、この世界の歴史は変わらない。 >生き延びた時点で別の世界が出来る。いわゆる平行世界って奴さ。 >だから、どこかの世界で吉良が生きている時間軸発生するかもしれないけど、この時間軸じゃない。 >……この世界の歴史は、変わらない……これは量子力学の世界でほぼ確実と言われている事実なんだ」 となっているけれど、ラストでは平行世界は出来ずに一つに収束されてます ハッピーエンドのするためだろうけど、読み比べるとその矛盾に、ちょっと無理矢理感を感じます 量子力学は解らないけれど「きちんと調べて正しい知識に乗っ取って話を作ろう」というより 「多少嘘が入っても、それっぽい感じになればいい」みたいな印象を受けました 確かに自分がサラリとウィキで見ただけなら、コ/ペ/ン/ハ/ー/ゲ/ン/解/釈は栄養と同じ受け取り方をするかもしれない ウィキ丸写しはあるかもしれないね その辺、自分は詳しくないので解る方にお任せしたいと思います あと、神サイも栄養も、元の時間軸に戻るのが「消失した日と同じ日」なのだけれど 神サイで >「なんで15日なんだ?365日の暦なんて、人間の都合だろう?物理の法則とは関係ない。なんで17日や20日じゃないんだ?」 >「偶然です。実は、ある所で、加/藤/教/授が、ご自分の理論に関して語ったとされるテキスト・ファイルが密かに出回っていまして、 >それを読んだことがありますが、教授はその中で、時間軸を計算したら、たまたま彼らにとってのリターン・ポイントは、 >この年の同じ月のほぼ同じ時間になったという話でした。15日という数字自体にはたいした意味はありません」 となっているので、ここはどう見ても神サイオリジナルだろうし、自分も同じ日じゃなくてもいいんじゃない?なんでこの設定にしたの? という気持ちがあります 「偶然被ったにしては…」という感じ それと、今回落とした神サイ部分で >たぶん宇宙探査は、ロボット、冷凍睡眠技術を使って、100年単位の移動を前提に細々と続いている程度だろう。 という記述があるのですが、栄養にも確かこんなネタあったよね 多分「螺旋スペクトル」だったと思うんだけど、これは「トッ/プをね/らえ!」からパクったのか ここから「100年単位移動なら冷凍睡眠でいける」的な感じになったのか気になります
どこかに君がいると思った……………………ラレ作品:神/はサイ/コロを振/らない(小説) *■大まかな話の流れ■ 【神/サ/イ】 1994年8月15日、和/報/航/空/4/0/2/便が乗員乗客68名を乗せたまま消息を絶った 機体の残骸等は一切発見されず、2ヵ月後には捜索は打ち切られ「4/0/2/便は墜落し、乗員乗客は全員死亡」と確定された 慰霊碑が作られ、毎年慰霊祭が行われるようになる しかし、量子力学の権威、加/藤/教/授(以下、教授)は乗員乗客の生還を信じ 「4/0/2/便はマ/イ/ク/ロ/フ/゙/ラ/ッ/ク/ホ/ー/ルに飲み込まれタイムトラベルをし、10年後に戻ってくる」と宣言 教授の予告通り、4/0/2便は10年後に戻ってくる 遺族や関係者はパニックに陥るが、ひとまず「無事に戻って良かった」と喜び合った だが教授は「時間の捩れはもう一度起こり、4/0/2/便及び乗員乗客は3日後に再び元の時間軸に戻され 4/0/2/便は墜落し、乗員乗客は全員死亡する。」とも言う 乗員乗客68名と家族は、それぞれの3日間を過ごし、消息を絶ったのと同じ日8/15に元の時間軸へと戻っていった 【栄養本】 吉良は家族と船旅に出掛ける事になった。明日欄は吉良に旅の安全を願ってお守りを渡し見送る しかし吉良と家族の乗った船(ノ/ア/号)が消息を絶ってしまう 捜索が行われたが破片ひとつ見つからず、捜索は打ち切られる 大和家の親族達は、吉良親子は亡くなったものと考え墓を作った だが明日欄は吉良の死を信じる事が出来ずに探し続ける ノ/ア/号が消息を絶って一年後、突然吉良は明日欄の前に現れる 吉良曰く、ノ/ア/号は恐らく津波に飲まれ転覆した。パニックになって明日欄の名前を呼び続けたらここに来たということだった 明日欄は吉良がタイムトリップしたと判断し、意作と痔悪化の元に連れて行く 「ノ/ア/号は時間の捩れに巻き込まれてタイムトリップしたが、時間の捩れはもう一度起こり吉良はまた元の時間軸に戻される」 というのが、3人で話し合った結果だった 明日欄は吉良が元の時間軸に戻っても死なないよう、事前に津波を回避出来る方法を考え、それを吉良に託す 託された吉良は、明日欄の前から消え、消息を絶った丁度一年後の同じ日に元の時間軸へと帰って行く *■神/サ/イと栄養本の類似点■ ・消息を絶ったもの(ラレは4/0/2便、栄養は吉良)が戻って来た日付は、消息を絶った日の数日前 ・戻って来たものは、再び時間の捩れで元の時間に戻される ・戻るのは「10年後(栄養本では1年後)の消息を絶った日」で、現在に居る事が出来るのはわずかな日数 ・タイムトラベルの仕組みの説明に「量子力学」を使用 ・未来の出来事を変えるために「発信機」を作り、それを使う ---------------------------------------------------------------------------------------- 神サ/イは、元の時間軸に戻った後を変えようとする訳ではなく(希望を抱きつつも死ぬのは仕方ない」と捕らえている) その三日間を現在に居る自分の家族等とどう過ごすかという所に焦点をあてていて、ラストも4/0/2便は墜落したとされる描写もある 栄養本は、残された時間を、ノ/ア/号転覆から救うためにどう使ったらいいのか、とういのに焦点を当てている感じ 丸々パクるというより、大まかな話の流れと設定をパクって、そこに明日吉良要素を足して、ラストをラブエンドにした感じかな 神/サ/イ読んだ人が栄養本読んだら('A`)になるレベルだとは思う *■消息を絶った後の記述■ 【神/サ/イ】 (14P、6行目~) 1994年8月15日に乗員乗客68名を乗せて消息を絶った報/和/航/空/4/0/2/便の捜索は 7日間、延べ機530機の航空機と、海/上/自/衛/隊海/上/保/安/庁の艦船200隻 海岸線を捜索する警/察/消/防の人員12万名によってなされたが、結局ライフ・ジャケット1枚すら発見出来なかった。 かろうじて油の帯が発見された辺りを海底ソナー、深海潜水艇によってその後2ヶ月間、捜索が繰り広げられたが、 尾翼1枚の発見もならなかった。 運/輸/省は消息を絶った日から2ヵ月後の10月15日、4/0/2便の墜落と、乗員乗客全員の死亡を確定、 すべての捜索活動の打ち切りを発表した。 事故からおよそ1年後、運/輸/省の航空機事故調査委員会は、急速に発達した積乱雲を避けきれず、 ダウンバーストに巻き込まれて海面に叩き付けられたものと結論を下した。 遺族がそれで納得したわけではなかったが、世間的には、次第に関心も薄れ、 人々の記憶から忘れ去られて行った。 【栄養】 (11P,上段13行目~) だが現実は明日欄の望むようにはいかなかった。 ノア号は見つからなかった。 ……その船の欠片さえも見つからず、明日欄の愛した少年と共に、忽然と姿を消したのだった。 1日が過ぎ、1週間が過ぎ、そして1ヶ月経っても、船は見つからなかった。 マスコミは騒ぎ、捜索隊は焦り、そして月日と共に忽然と消えたノア号は忘れ去られていった。 ――そして、1年が経った。 (26P、上段1行目) ノア号の捜索は打ち切られた。当然だ、海に出ても、潜っても、何も見つからないのだ。 忽然と姿を消したノア号には、様々な説がつけられた。 宇宙人誘拐説、ブラックホール説、難破して粉々になった、船の破片は深海のクレバスに沈んだ、 ……科学的な解釈から非科学的な解釈まで、多種多様だった。 ------------------------------------------------------------------------------------ 共通点は ・忽然と消え ・一切手掛かり無し ・欠片(ライフ・ジャケット1枚、尾翼1枚)すら発見出来ず ・捜索隊による捜索 ・海底捜索 ・人々に忘れ去られる 船、飛行機が消えたので、当たり前といえば当たり前の展開 事故も風化して忘れ去られるのも当たり前の展開ですが 小さな共通点として上げておきます。 栄養の方では「捜索がいつ打ち切られた」といった記述は一切ありません。 26P、上段1行目は、ノア号が消えてから1年経った記述になっていて その1年後に吉良が明日欄の元に現れます これは私的見解ですが、 もし栄養がこの本を参考にしていると考えた場合 「10年では間が開きすぎるし、パクバレの足がつく恐れがある」 「ラレで捜索が打ち切られたのが1年後、事故が風化していく描写もある」 「1年後くらいに吉良が現れるのが丁度いい」 と考えた恐れがあり ただ、今は栄養に対して非常に懐疑的になっていて、頭が凝り固まってる 自覚があるので「疑いすぎだ」と思われた場合はスルーして下さい *■「時間の捩れ」「タイムトラベル」の記述■ 【神/サ/イ】 (34P、7行目~) 「時間は貴重です。特に皆さんの時間は。簡単に言えば、4/0/2便の身の上に起こったことはタイムトラベルです。 タイムトラベルを引き起こした原因は、地球を横切った、マイクロ・ブラックホールでしょう。恐らく、直径1ミリあるかどうかの。 それが時間軸の捩れを引き起こし、皆さんは吸い込まれ、10年後の未来に吐き出された。 そして皆さん、これからが肝心なことです。この現象はもう一度起きます。 起きるというより、すでに起きたという方が良い。それは10年前に起こったことです。 もう一度、時間が捲られ、皆さんは10年前に引き戻されるでしょう。」 「競/馬年/鑑でも持って帰ったらえらいことになる」 「そうです。けれど、私の考える所、皆さんの時間は、引き戻された時点で終わりです。 つまり、皆さんに残された時間は、15日の夕方まで。つまり明日から3日間ということになります」 全員の顔色が変わった。 「それは死ぬという意味なの?」 「物理学的には、時間の終了に過ぎないが、生物学的考察をするなら、死ということになる」 (35P、5行目~) 「(略)だが、うかうかしている間に時間は過ぎ、3日経ったら、あんたたちふいにわれわれの時間軸から引き離されて消える。 永遠にね。この3日間に何を為すべきか、大急ぎで計画を立てた方が良いぞ」 (69P、5行目~) 「まさか。今でも夢を見ているんじゃないかと思うよ。東/大の先生と話をしてくれ。もし、彼の言うとおりなら、君らは3日後、 乗客もろともまた消える。何か救える術があるかもしれない」 「彼は無いと言っていた」 「一縷の望みという奴さ。われわれは経営学や航空力学はお手の物だが、量子力学となると手に負えない。 だが、それが科学である限り、手はあるんだ」 【栄養】 (19P、上段16行目~) 「そして、幻でないのなら、幽霊でないのなら、お前はタイムトリップをしただけなのかもしれない。 あの船の惨事の最中から、1年後の今へ」 「……タイムトリップ……?」 (21P、上段19行目~) 「吉良は実態も持っているし、俺以外の人間にも見える。触れるし、体温も持っている。幻とは思えない。 だからお前達に聞きたいんだ……タイムトリップなどという現象が本当に有り得ると、思うか?」 「わからんな。ここいいる吉良が幽霊でも何でもなく、間違いなく吉良だと言うなら、 そう考えるのが自然じゃないか?」 「ん~、俺もそう思う。たださ……」 「ただ……?」 痔悪化の言葉に、吉良が不安げな目を向けた。 「ただ、タイムトリップ……、時間の捩れが生じたんなら、もう一度時間の捩れは起こるんじゃない? 早かれ、遅かれ」 「時間の、捩れ……」 それがどういうものかわからない。痔悪化も推測で言っているだけだ。 だが吉良の瞳が戸惑うように揺れているのを見て、明日欄は吉良の肩を抱く腕に力を込めた。 「……吉良の意識が途切れたのはいつだ?」 意作が聞いた。吉良が考え込む。 「確か、出向して3日目だから、……7月30日、かな」 「あと1週間で1年か。……同じ日に時間の捩れが起こる可能性は……あるんじゃないか?」 「……ああ、そうかもな」 「そうすると、……吉良は、消えるのか?」 言葉にしただけで背筋がぞくりと震えた。 せっかくこの腕の中に帰ってきたのに。やはり今ここにいる吉良はこの世界の人間ではなくて、 本来あるべき場所に戻されると言うのか……? 明日欄の言葉に、意作と痔悪化は無言で首を横に振った。当然だ、彼らにわかる訳がない。 「……どうしたら、いいんだ」 喉から、掠れた声を絞り出した。 「どうしたら、いいんだ。吉良を救いたい。もう、帰したくない。……どうしたらいい。どうしたら、いい……」 「俺らも、わかんないさ……」 憔悴した明日欄の言葉に、痔悪化がぽつりと答えた。 しばらく誰も何も喋らなかった。教室の時計の音だけがこちこちと響いた。 (31P、上段8行目~) 「今日、痔悪化が言ってたけど……でも、よく考えたらさ、僕が帰ったとしても、それは不可能だよ。 僕の記憶にある限り、もう船は逆さになってたんだ。だから僕が戻ったとしても、逆さになった後だよ」 「……」 吉良の言葉に沈黙した。 そうだ、1週間後、吉良の意識が途切れた地点に戻ると仮定すれば、船は既に転覆した後だ。 船はひっくり返ったまま浮いていられるように出来ていない。 ……逆さになった先にあるのは、……死だ。 (28P、上段15行目) ふと、ある考えが明日欄の脳裏を掠めた。 「なあ、吉良……」 「ん……?」 もしそれが奇跡を起こしたのだとしたら、吉良が帰るのも防げないだろうか。出来れば、一生このまま……。 だがその考えに、吉良は頭を振った。 「それは、無理……かも」 「何故だ?……お前は今、ここにいるじゃないか」 「うん。……でも、すごく不安定なんだ、僕」 「不安定……?} 「何か、ふわふわしてる。現実味がない感じがする」 ------------------------------------------------------------------------------------------- 共通点は ・タイムトリップはもう一度起きる ・「時間の捩れ」という言葉を使用 ・引き戻されるのは「戻って来たのと同じ日付」(10年後、1年後の違いはあり) ・戻った先に待っているのは「死」 (栄養は、後に、船転覆直前に戻ることになっている。船が津波を避けられれば吉良は助かるので 正確には死ぬ訳ではないが、避けられなければ死が待っている設定) ・「救えるかもしれない」→「無理だろう」の流れ *■発信機に関する記述■ 【神/サ/イ】 (142P、15行目~) 「実は昨夜から掛かっていました。叔父さんならきっと、エンジニアとしての可能性にチャレンジするだろうと思ってね。 データはすでに準備しました。後は、メモリ回路を工夫するだけです。 毎秒三回、その発信を繰り返すようプログラムします。(以下、話題が変わるため略)」 【栄養本】 P39、下段14行目~ 「ここに仕込もうか。」 「えっ、発信機を?」 「ああ、俺が作る。」 「明日欄、が…?」 (略) 「俺がマイクロユニット得意なの、知ってるだろ。モールス信号でSOSと座標が発信されるようにするんだ。 吉良は時間になったら……、そうだな、船が転覆する二、三時間前でいいだろう。 その時になったら発信のボタンを押すだけでいい。 船は遭難者の信号を受け取ったと勘違いし、進路を変え、遭難者を助けに行く。(以下略)」 (64P、上段4行目~) 彼の造った発信機は確かに吉良と共に過去を超えた。吉良は緊張しながらも、明日欄に教えられた通りにボタンを押した。 一回押す。そして、一分経ってから、もう一度押す。それを五、六回繰り返した。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------ 神/サ/イサイドは、4/0/2便を救うためではなく この10年間で起こった悲しい事故や事件、天災をデータにまとめ 10年前に戻った4/0/2便から発信 事件、事故等を前もって防ぐため 栄養サイドは、SOSと座標を組み込んだ救難信号を発信して ノ/ア/号を救助に向かわせ、津波を回避させるため 目的は違うけど「発信機」を作って「一定の間隔で繰り返し発信」する辺りが同じ 決定打にはならないけど、小さな共通点の一つ。 ちなみに神/サ/イで「過去に戻るとき、現在の時間軸のものは素粒子レベルに分解されて消える。過去に持って行く事は出来ない」 とされているが、発信機は無事に時を越えた記述あり 栄養本も、発信機が無事に時を越えるのか不安に思う記述があったが、発信機は時を越える事が出来ている この辺りの記述も必要であれば、探して本文抜き出ししますので言って下さい。 ただ、これに関しての神の方での記述に、実際起こった事故や事件に関するものが含まれていました なので、抜き出すのは控えました。 *■タイム・パラドックス、量子力学に関しての記述■ 【神/サ/イ】 (107P、7行目~) 「(略)それに、私の理論が正しければ、これはすでに過去に起こったことだ。取り返せるわけでもない。 解は二つしかない。君たちがこのまま、この時間軸に留まるか、あるいはまた10年前に戻って、そこで瞬時に死ぬかだ。 もし10年前に戻って、そこで生き続けられるとしたら、タイム・パラドックスが時空を破壊する。 乗客の誰かが競/馬年/鑑を抱いて帰ったら、面倒になるからな」 「引き返した瞬間、われわれの意識はどこにあると思いますか?」 「良い質問だと思うが、敢えて言えば、ゼロ・ポイントだ。君が10年後、私とこうして会話した記憶は、そのゼロ・ポイントにおいては 存在しないだろう。手に持った競/馬年/鑑も消え失せる。考えても見てくれ。誰かチタン合金のケースに競/馬年/鑑が収められた CD-ROMを持ってYSに乗り組んだとしたら。タイム・パラドックスが起こる条件はただひとつ。 平行宇宙(パラレル・ワールド)で別の実体が生き続けることだが、少なくともそれは、私や君の時間軸じゃない。無視して構わない。 パラレル・ワールドにおいては、墜落を免れた4/0/2便もいるだろうし、別のパラレル・ワールドには、墜落はしたものの、 乗客の何人かは助かったケースもあっただろう。 だが、私が生きているこの時間軸、そこには君のお父上もいるわけだが、そこでは、君らは死んだんだ。生存者はいなかった。 ただ単に、10年後、ほんの一瞬、彼岸の挨拶に現れただけ。それが不思議と言えば不思議な話だが、 少なくとも私は科学でそれを説明出来る。科学で説明出来る以上、それが仮説を逸脱することはまず無い」 残念だが、同意する他は無かった。量子理論で、それが起こりうることだとは証明できる。 そして同時にそれは、彼らの生存があり得ないことも証明していた。生き残れるシナリオはあるかもしれないが、 少なくとも、それを加藤の理論の中では、立証出来なかった。 【栄養】 (33P、下段7行目~) 「シ/ュ/レ/テ/゙/ィ/ン/ガーの猫、だな」 明日欄の話を聞くなり、痔悪化はいきなり断定した。 その思考実験は明日欄も知っていた。吉良は不思議そうに首を傾げている。 「波/動関/数を提唱した人物か?」 意作の言葉に痔悪化が頷いた。 「そうだ。……簡単な思考実験だよ。いいか、吉良」 ぱちくりと目を見開いた吉良がどうやら一番この思考実験を知らない様子だった。 (以下、関係ない記述のため略) 痔悪化は紙に大きく立方体の絵を描いて吉良に差し出した。 「ここにブラックボックスがある。この箱の中に、猫が一匹と……ここではわかりやすく 毒入りの餌が置いてあるとしよう。猫が一匹と、毒入りの餌な。OK?」 吉良がうんうんと頷いた。 「猫が餌を食べるか食べないかは、猫次第だ。だが、外からこの箱を見てみな。 ブラックボックスだから、猫が餌を食べたか食べないかは、外からはわからない。 つまり、蓋を開けるまで、猫が死んでいるか生きているかはわからないんだ」 「うん。……そうだね」 吉良が考えながら呟いた。痔悪化もその答えに満足そうに頷いた。 「つまりだ。蓋を開ける前は、猫が生きている状態と死んでいる状態が重なり合っている」 吉良が考え込んだまま沈黙した。意作が顎に手をあてながらふむふむと呟いた。 「つまり……、平行に存在していると言うことか?」 「そういうこと」 「なら、この重なり合いの状態はいつ解かれるんだ?」 「観測された時だ。つまり、蓋を開けられた時。この時初めて、猫の状態がどちらか一つに収束される」 (35P、下段1行目~) 「論文の概要はこうだ。ノア号は見つかっていないのではなく、素粒子レベルで消え失せた。 未来はまだ決まっていないから、未来を決めるために誰かが必ず帰ってくる。 そして事故の日になると、必ず事故当日に戻る。これにより未来は決まり、世界は収束すると言うんだ。 ……俺は量子力学はよくわからんが、コ/ヘ/゚/ン/ハ/ー/ケ/゙/ン/解/釈ににおける波/動関/数収束と言うんだそうだ。 ……わかるか?」 ------------------------------------------------------------------------------------ 神/サ/イも栄養も書いてる事は概ね同じだと思います。 どちらも同じ量子力学からの引用だと思うので、同じになるのは当たり前といえば当たり前かもしれません 一応書き出ししてみましたが、内容よりも「トリックに量子力学を引用している」ことの方が重要だと思う *■大学を追われた教授の存在■ 【神サイ】 (16P、9行目~) 加/藤/久/彦は、長年東/大で量子力学を教えていたが、4/0/2/便遭難に纏わるある事件がきっかけで大学を追われた。 今は、名も無い私学で基礎物理学を教えていた。 (23P、21行目~) 「加/藤/教授が、あのトンデモな説を披露した時、私は関係者として腸が煮えくりかえる思いだった。 遺族の感情に塩をすり込むような行為だと思ったからだ(以下略)」 (36P、1行目~) 「……現実を受け入れ、大学に、息子の私物を取りに行った時です。その時は礼儀的な挨拶を交わしただけだった。 年が代わった、一月のある日、先生が私の家を訪ねて来て下さった。息子は生きていると言う。 最初は、『生きているような気がする』とただの比喩にも聞こえたが、どうもそうじゃない。 量子効果がどうのこうのと訳のわからないことを仰る。 てっきり、頭がおかしくなったものと思って、丁重にお引き取り頂いた。 一年後、一周忌を前にして、ある週刊誌記事が載りました。先生の事を誹謗する記事で、 4/0/2/便は墜落していないと言って東/大に居座るトンデモ教授というタイトルだった。 先生はその記事が元で東大を追われたが、信念は変わらなかった(以下略)」 【栄養】 (35P、上段7行目~) 「……妙な、論文を見つけた」 意作はそう言って論文をばさりと机に置いた。手に取って眺めた瞬間に、ある一文が目に飛び込んできた。 ――彼は必ず、帰ってくる。 「……これは……」 「量子力学を研究している、ある大学教授の論文だ。図書室でノア号関連の論文を探していてな、見つけた。 ……あまりの異説に、学会からは身を追われたんだそうだ。……ここを見てくれ」 意作が指差したところを、三人で覗き込んだ。 ――船の人間は、一年後の事故日前に必ず帰ってくる―― ------------------------------------------------------------------------------------------ 以前落とした検証の「おおまかな流れ」の部分で >しかし、量子力学の権威、加/藤/教/授(以下、教授)は乗員乗客の生還を信じ >「4/0/2/便はマ/イ/ク/ロ/フ/゙/ラ/ッ/ク/ホ/ー/ルに飲み込まれタイムトラベルをし、10年後に戻ってくる」と宣言 >教授の予告通り、4/0/2便は10年後に戻ってくる と書きましたが、この教授はこの説を唱えたことで大学を追われています 栄養本でも、同じような説を唱えた大学教授が学会を追われているという共通点 *■写真■ 【神サイ】 (315P、1行目~) 「ああ、僕もそう思うよ。きっとあの子は、またいつか帰って来てくれる」 黒/木は、恐る恐るウインドブレーカーのポケットに手を入れ、一枚のサービスサイズの写真を取り出した。 「写っていたよ!…・・」と妻に見せた。 「嘘!?それ、あの子が持っていたんじゃないの?」 「うん。黛さんに頼んで、真っ先にコピーして貰った」 「写真がどうかしましたか?」と橘がそれを覗き込んだ。 上半身裸の子が、丁度Tシャツを着ようとして、背後を振り向きながらシャツから首を出したところだった。 笑っていた。亮/君が三歳頃の写真だろうと思った。 「息子のお気に入りの写真でしてね、ずっとヒーロー物のカードと一緒に持ち歩いていたんですよ。 焼き増ししたかったが、ネガが行方不明で、結局諦めた。だからこの写真を見るのは十年振りだったんです。 どうせ写真も消えるからと、その前にその前にコピーを取っておいて良かった」 【栄養】 (59P、上段6行目~) バスローブを羽織った彼が黒い物体を掲げた。髪を拭きながら近づくと、それはポラロイドのカメラだった。 (59P、下段16行目~) 「吉良を撮っておきたい。……ずっとお前のいない世界で、宝物にするために」 ------------------------------------------------------------------------------------------- 帰って来た4/0/2/便の中に5歳の男の子がおり 神サイラスト辺りで、その子が持って帰って来た写真をコピーして手元に残すという描写があり 栄養本でも、ラストにアイテムとして写真が出てくる 神サイは【写真のコピー】、栄養は【お互いに撮り合った写真】と違いはありますが 共通点として上げておきます *■発信機の記述(追記)■ 【神サイ】 (141P、16行目~) 「ええ。二年前から、野辺山の電波望遠鏡を手がけています。それまでは五年くらい、自/衛/隊の無線機を開発してました」 「じゃあ、話は早い。技術は問題ないし、俺が何を頼むかも解っているよな」 「不思議だと思いませんか?もし、叔父さんの考えてるような事が可能で、それを俺が作ったとしてですよ (実際に起こった震災や事件に関する記述のため割愛)は起こっている。叔父さんの企みは失敗したということじゃないんですか?」 「だって、まだ何もしていないじゃないか?明後日には、君が読む新聞のバックナンバーの記事は違っているかもしれないぞ。(以下略)」 「量子力学はちんぷんかんぷんですが、そんなにうまく行きますかね……」 「やってみる価値はある。方法は考えてあるんだろう?」 「ええ。トランシーバーをちょっと改造します。出力は5ワットもあれば十分でしょう。ただ、出力が小さいし、たぶん、発信できる時間も 一秒も無いはずです。だから、確実に聴いている連中に届ける必要がある。50キロバイト前後のデータを圧縮通信の要領で送信します。 送信時間は0コンマ三秒前後。受信する側のとっては、ほんの一瞬、ピークが現れるだけですが、潜水艦通信用の周波数を使うから、 自/衛/隊の通信傍受部隊は変わらずキャッチできる」 「たった50キロバイトに何を入れる?」 「50キロバイトもあれば、新聞一紙は入ります(以下略)」 「一晩で出来るかい?」 「実は昨夜から掛かっていました。叔父さんならきっと、エンジニアとしての可能性にチャレンジするだろうと思ってね。 データはすでに準備しました。後は、メモリ回路を工夫するだけです。 毎秒三回、その発信を繰り返すようプログラムします。(以下、話題が変わるため略)」 (273P、9行目~) 神/降/竜/蔵は、羽田に到着し、空港内の特別室で、甥っ子が例の通信機を完成させて持参するのを待っていた。 その神/降/清は、やっと携帯電話の中身を入れ替えた圧縮型無線機を完成させた。 結局、一個作るのが精一杯だった。 (300P、7行目~) 清は、祖父を抱きかかえるようにして立たせ、お菓子が入った紙袋を手渡した。 「甘納豆です。機内で食べて下さい」 そして、耳元で囁いた。 「下に、例の携帯がひとつ入っています。機内で扉がロックされたら、アンテナを延ばして電源を入れて下さい。 発信するたびに、送信状態を示す旗が3本立ちます」 「有り難う。うまくいくことを祈っててくれ」 「成功しますよ、必ず」 (318P、2行目~) 「(略)昨夜から、インターネットで、過去の新聞や事件を検索して見た。だが、何一つ歴史は変わっていなかった。 (略)メッセージはあの時代に届いたと確信していたが、何一つ歴史は変わっていない。失敗だったのだ。 自分が試みたことのあまりの重大さと、失敗したという結果に打ちのめされていた。 (略) 「あなたはやり遂げたんですよ。過去に情報を送ろうとし、それは見事に届いた」 「そんな馬鹿な!?じゃあどうして歴史は変わっていないんです?」 「誰も変えようとしなかったからですよ」 財/部はあっさりと言った。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------ 神サイサイドでは、実際に「通信機を使っている」描写はありませんが、時を越えて通信に成功している描写はあります しかし、どうして通信機だけ素粒子レベルまで分解して消えなかったのか一切説明が無かったので謎のまま 栄養本も、通信機と写真は時を越えていますが、こちらも一切説明はありません *■タイムスリップ、量子力学に関する記述■ 【神サイ】 ※「また10年前に戻されるなら、この10年間に起こった事故等を未然に防げるのでは?」的な質問に対し (54P、16行目~) 「それは、時間の法則というか、タイム・パラドックスとかいう理由で不可能だということです。残念ですが……」 (71P、19行目~) 「解っていることは、時間のずれが微妙に連続していたことだ。たぶん誤差の範囲内だろうが、少し気になっている。 君らにとっては、ほんのミリ・セカンドだったことが、われわれの世界では数十分連続した可能性がある。 いずれにせよ、君らがこの後もこの時代で暮らせることを保障するデータが出る可能性はゼロだよ」 (179P、4行目~) 「ちなみに、君は、今回起こった奇跡を説明できるかね?」 「はい、マイクロ・ブラックホールを利用することにより、タイムトラベルやワープを実現する手法は、従来から語られていました。 恐らくは、マイクロ・ブラックホールの通過により、不連続なワームホールが一瞬出現したのではと思います」 (略) 「たとえば、運悪く銃撃戦になって、彼を射殺したとする。難病患者に彼の臓器が移植されたらどうなる?それも消えるのか?」 「それは止めた方が良いでしょうね。綺麗に消えますから。たとえば、この時代に着替えたとします。 当然、みんなもう着替えていることでしょう。彼らが現代で着た服はその場に残ります。中身だけ消える。 切った爪や抜け落ちた髪の毛も一緒に消えます。でも裸のまま、十年前に戻るわけじゃありません。 こっちで脱いだ服を着て出現するでしょう」 「その着た服を焼却炉で焼いてしまったら?」 「問題ありません。元の時間軸に戻る過程で、分子レベルで再構成されるはずです」 「奴は人を殺せるのか?」 「それは難しい所だと思います。これがSFドラマなら、犯人が元の時間軸に戻って時間空間の歪みが正常になった時点で、 撃たれた被害者は傷跡も無く蘇るはずですが、私はそうは思いません。たぶん彼は、この世で人を殺せます。 乗員乗客を含めれば、68名もの人間がこの時間軸に放り出されたんです。極端なことを言えば、 彼らがこの時代で一呼吸した途端に、この地球上の酸素の総量を減らし、二酸化炭素を増やしている。 バタフライ効果と言いますが、北京で蝶が羽ばたけば、ニューヨークで嵐になるかもしれない。 何の影響も及ぼさずに、元の時間軸に戻れると考えるのはナンセンスです。すでに影響を及ぼしています。 私は、コ/ミ/ケに行けそうにないし、警部らも、休暇か、本来別の事件の捜査に当たっていただろう事を思えば、すでに大きな影響を受けている。 本来新聞の一面を飾るはずだった事件や政治のスキャンダルが封印されたかも知れない。オリンピックの記事だって片隅に追いやられた。」 立て板に水を流すような調子で、彼女はすらすらと喋った。 「警部補、でも、われわれの記憶も一緒に綺麗に消え失せて、8月の12日の午後から、われわれの時間が再スタートする可能性もあるでしょう?」 小/林が面白そうな話だと乗ってきた。 「それはあり得ません。それが起こりうるのはまさにSFの世界でだけの話です。数百人の記憶を消すのは、何も未来の技術を用いる必要はありません。 メディアを総動員して、それは錯覚だった、集団催眠に掛かったんだと群集心理学の手法で対処すれば良いのですから。 でも地球規模で広がったニュースの記憶を物理学的に消すのは無理です。なぜなら、私たちの時間軸だけが、数日遡るなんてことは無理だからです。 タイム・パラドックスが起こって、天体現象に矛盾が生じる。その矛盾を解消するには、たとえば太陽や銀河の位置そのものを数時間戻す必要が生じます。 それをやり遂げるには、この宇宙が誕生して以来消費された全エネルギーの総量分くらいのエネルギーが要るでしょう。 だから、それはあり得ないことです。われわれの記憶に、この奇跡の出来事は残ります」 「それじゃ、何をやっても奴は逃げおおせるということじゃないか?」 でも死ぬんですよね?それに、この時代で彼を逮捕することは出来るでしょう。確か、事故発生時に、彼らは元の時間軸に帰るはずですが」 「なんで15日なんだ?365日の暦なんて、人間の都合だろう?物理の法則とは関係ない。なんで17日や20日じゃないんだ?」 「偶然です。実は、ある所で、加/藤/教/授が、ご自分の理論に関して語ったとされるテキスト・ファイルが密かに出回っていまして、 それを読んだことがありますが、教授はその中で、時間軸を計算したら、たまたま彼らにとってのリターン・ポイントは、 この年の同じ月のほぼ同じ時間になったという話でした。15日という数字自体にはたいした意味はありません」 (290P、5行目~) 「さて、本日の私のテーマは、量子理論が開く未来という、われわれ科学者を取り巻く大状況に関して、お話させて頂きます。 その前に、この3日間で、新たに教授とわたくしが突き止めた、この現象に関して、いくらか説明させて頂きます。 まず、われわれはたまたまマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールの通り道を横切ってしまったわけですが、その後の計算により2つのことが解りました。 まずマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールは、ひとつではありません。2つです。ある種の2連星と考えて差し支えないと思います。 それは、列島沿いに張り巡らされた重力歪み計その他、たとえば、月表面とのレーザー測距計等の瞬間的な歪みデータから導き出されました。 また、われわれは今回、たまたまその軌道とぶつかりましたが、このマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールは、非常に安定しています。寿命も長い。 つまり、質量の減少が無い。この辺りのことは全く謎です。 そして、この2連のマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールは、太陽の軌道を、恐らくは地球と同じくらいの半径で回っている」 大きなどよめきが起こった。 「ただし、幸いにして、公転面が地球とずれているために、それが互いに影響し合うのは、かなり限られると考えて良いでしょう。 今はまだ、それが数十年に一度なのか、数百万年に一度なのかは解らない。恐らくは、その接近の距離によって、 いわゆる加藤カーブの特異点が移動するものと推測されます。 地球史を紐解けば、恐らくは、このマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールとの接近がもたらした天変地異があったはずです。 皆さんがご承知のように、ここ10年の研究で、ブ/ラ/ック/ホ/ールはわれわれが考えてるより遥かに多い数がこの宇宙に存在することが解ってきました。 たとえば、人間社会によくある、神隠し。そのいくらかは、これらマ/イ/ク/ロ・ブ/ラ/ッ/ク/ホ/ールの悪戯かも知れません。 今、この教室の空間の何処かにも、エネルギー的に極めて安定したブ/ラ/ック/ホ/ールが存在しているのかも知れません。 では、本題に入りましょう――」 甲/斐は、静まり返った講堂で、量子理論が切り開く、未来の世界に関して語り始めた。 もう100年経っても、われわれが宇宙でワープ飛行してわけじゃない。たぶん宇宙探査は、ロボット、冷凍睡眠技術を使って、100年単位の移動を前提に細々と続いている程度だろう。 火星のテラ・フォーミングだって、地球環境の保全に金を掛けた方が遥かに安上がりに済む。 人類の地球外への移住にはほとんどメリットは無い。 (325P、16行目~) 神/は/サ/イ/コ/ロ/を/振/ら/な/い……。それが加/藤/教/授の口癖だった。 もとはア/イ/ン/シ/ュ/タ/イ/ンが、「偶然」を要素とする、当時の量子力学を批判して述べた言葉だと聞いた。 だが、神は、ほんのちょっと悪戯心を起こしたのかも知れないと思った。 大事なものを奪われて道に迷っていた人々に、家族が再生するきっかけを与えてくれたのだ。 【栄養】 (22P、上段20行目~) 「例えば、吉良が過去に帰って事故の原因を取り除いたとしたら、どうだ?」 二人が呆然と痔悪化を見遣る。吉良が首を傾げた。 「どうなる……のかな。助かるのかな」 「……事故の原因を取り除いたとしても、パラドックスじゃないか?」 痔悪化がぼそりと呟いた。全員が痔悪化の顔を見た。 「パラドックス……?」 三人の疑問を汲み取ったように、痔悪化がぽりぽりと頭を掻いた。そう言えばこんな彼でも、成績はトップクラスだったことを思い出す。 明日欄には到底追いつかないが、それでもいつも上位に食い込んでいた。 「タイムパラドックスだ。過去に戻って歴史が変わるなんてことは有り得ないって言われてる。 吉良が過去に戻って事故が防げたとして、吉良が生き延びたとしても、この世界の歴史は変わらない。 生き延びた時点で別の世界が出来る。いわゆる平行世界って奴さ。 だから、どこかの世界で吉良が生きている時間軸発生するかもしれないけど、この時間軸じゃない。 ……この世界の歴史は、変わらない……これは量子力学の世界でほぼ確実と言われている事実なんだ」 (33P、上段15行目~) 吉良の墓標。……吉良・大和の文字が消えかかったり、現れたり…… 何故消えかかる?――そうだ、消えたと言うのなら、他にも消えたものがあるじゃないか。 ノア号の残骸と乗員達だ。……吉良の話によれば、船は逆さになり転覆した。そして恐らく沈没する。 だが一年経った今でも、その片鱗すら見つかっていない。 ……あれも消えたのではないか? 「……まさか」 「明日欄?」 この仮説が正しいのかどうかわからない。希望的観測かも知れない。だが……       、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 「まさか、未来はまだ決まっていない……?」 (35P、下段9行目~) >219の記述直後のシーン 「つまり、吉良はやはり事故当日に帰る。これにより未来が決まると言ってるんだ、この学者は」 しん、と静まり返った。吉良が明日欄を見上げているのがわかる。彼の手を強く握り締めた。 ……吉良は、やはり過去に戻るのだ。 自分の腕の中から、離れて…… 痔悪化が静かに意作に問い掛けた。 「なあ、そうしたら吉良が過去に戻って事故の原因を取り除けば、吉良が帰ってくるってことか?……そうなのか?」 「いや。……この論説によると、時間は可逆で、歴史は不可逆なんだ。吉良が帰って過去を変えたとしても、 やはり前に痔悪化が言った通り、タイム・パラドックスだ。この世界に、吉良は帰って来ない……」 (66P,上段10行目~) ――その時だった。 ぐらり、と視界が歪んだ。 「えっ……?」 両手が透けているのに気が付いて、明日欄は何度も瞬きを繰り返した。だが両手は色を失っていく一方で、一向に戻らない。 何だ、これは……? 「まさ、か……」 明日欄は壁にかかった時計を仰いだ。 ……8時15分。 事故の時間を過ぎている。 ああそうか、と明日欄は目を閉じた。 シ/ュ//レ/デ/ィ/ン/ガ/ーの猫が入っていたブラックボックスの蓋が開けられたのだ。 、 、 、 、 、 、 、 未来は決まった。 もう重ね合わせの状態は終わったのだ……未来が決まった、だからこの世界は消えてなくなる。 そうだ、この世界はノア号のいない、吉良のいない世界だ。 だから、この世界が消えると言うことは、つまり…… 思考がまとまり前に、明日欄は暗闇の中へと飛ばされた。 ---- 栄養本では >「……事故の原因を取り除いたとしても、パラドックスじゃないか?」   >「タイムパラドックスだ。過去に戻って歴史が変わるなんてことは有り得ないって言われてる。 >吉良が過去に戻って事故が防げたとして、吉良が生き延びたとしても、この世界の歴史は変わらない。 >生き延びた時点で別の世界が出来る。いわゆる平行世界って奴さ。 >だから、どこかの世界で吉良が生きている時間軸発生するかもしれないけど、この時間軸じゃない。 >……この世界の歴史は、変わらない……これは量子力学の世界でほぼ確実と言われている事実なんだ」 となっているけれど、ラストでは平行世界は出来ずに一つに収束されてます ハッピーエンドのするためだろうけど、読み比べるとその矛盾に、ちょっと無理矢理感を感じます 量子力学は解らないけれど「きちんと調べて正しい知識に乗っ取って話を作ろう」というより 「多少嘘が入っても、それっぽい感じになればいい」みたいな印象を受けました 確かに自分がサラリとウィキで見ただけなら、コ/ペ/ン/ハ/ー/ゲ/ン/解/釈は栄養と同じ受け取り方をするかもしれない ウィキ丸写しはあるかもしれないね その辺、自分は詳しくないので解る方にお任せしたいと思います あと、神サイも栄養も、元の時間軸に戻るのが「消失した日と同じ日」なのだけれど 神サイで >「なんで15日なんだ?365日の暦なんて、人間の都合だろう?物理の法則とは関係ない。なんで17日や20日じゃないんだ?」 >「偶然です。実は、ある所で、加/藤/教/授が、ご自分の理論に関して語ったとされるテキスト・ファイルが密かに出回っていまして、 >それを読んだことがありますが、教授はその中で、時間軸を計算したら、たまたま彼らにとってのリターン・ポイントは、 >この年の同じ月のほぼ同じ時間になったという話でした。15日という数字自体にはたいした意味はありません」 となっているので、ここはどう見ても神サイオリジナルだろうし、自分も同じ日じゃなくてもいいんじゃない?なんでこの設定にしたの? という気持ちがあります 「偶然被ったにしては…」という感じ それと、今回落とした神サイ部分で >たぶん宇宙探査は、ロボット、冷凍睡眠技術を使って、100年単位の移動を前提に細々と続いている程度だろう。 という記述があるのですが、栄養にも確かこんなネタあったよね 多分「螺旋スペクトル」だったと思うんだけど、これは「トッ/プをね/らえ!」からパクったのか ここから「100年単位移動なら冷凍睡眠でいける」的な感じになったのか気になります

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